(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】液体のレベルの非接触測定のための自己較正光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G01F 23/292 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
G01F23/292 B
(21)【出願番号】P 2020545448
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2018081613
(87)【国際公開番号】W WO2019097013
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518023164
【氏名又は名称】オフィス ナショナル デテュード エ ドゥ ルシェルシュ アエロスパシアル
(73)【特許権者】
【識別番号】520175857
【氏名又は名称】アルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオラト,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】リビエール,ニコラ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/003210(WO,A1)
【文献】特開昭63-169521(JP,A)
【文献】特開昭61-160075(JP,A)
【文献】特開平04-177195(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03113248(DE,A1)
【文献】特開2017-062118(JP,A)
【文献】特開2011-069726(JP,A)
【文献】特開平07-280625(JP,A)
【文献】特表2008-506426(JP,A)
【文献】特開2008-089554(JP,A)
【文献】特開2007-024826(JP,A)
【文献】特開2001-242012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/292,
G01B 9/00-11/30,
G01S 7/48-7/51,17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号による、貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)であって、前記光学デバイス(100)が、貯蔵手段(200)の上方に固定的に位置付けされた光学ユニット(110)と、光信号を放射することができ、前記光学ユニット(110)から分離され、前記光学ユニット(110)から離れて位置付けされた電子制御ユニット(120)とを備え、
- 光学ユニット(110)は、光信号の放射及び受信のための単一チャネル(112)を備え、
- 光学ユニット(110)は、電子制御ユニットによって放射された光信号と、液体によって反射された光信号とを伝送することができる光ファイバ(130)を通して、電子制御ユニット(120)に接続され、
前記光ファイバ(130)は、互いに
直接接触して並置される2つの光コア(134、135)を有し、
それぞれが、そのクラッディングや被覆を欠いていることによって、前記光ファイバ(130)の前記第1の光コア(134)において放射された光信号の少なくとも一部が、前記第2の光コア(135)において後方散乱される
ことを特徴とする、貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項2】
前記光ファイバ(130)の2つのコア(134、135)が、単一のストランドを形成するように、前記光ファイバ(130)
の端部
に互いに並置することを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項3】
前記光ファイバの前
記端部が、前記光学ユニット(110)
に位置していることを特徴とする、請求項2に記載の貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項4】
2つの光コア(134、135)
の一方が
他方の光コアの直径とは異なる直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵手段(200)に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項5】
電子制御ユニット(120)によって放射された光信号を伝送する光コア(134)が、液体(210)の表面によって反射された光信号を受信することを意図された第2の光コア(135)未満の直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項6】
電子制御ユニット(120)に接続された前記光ファイバ(130)
の端部
において、前記光ファイバ(130)が、2つの別個のストランド(131、132)を有し、それぞれが単一の光コア(134、135)で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項7】
電子制御ユニット(120)が、貯蔵手段(200)に収容された液体(210)から前記光学ユニットを隔てる距離dを、光信号の飛行時間の測定によって決定するための手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルの非接触測定のための光学デバイス(100)。
【請求項8】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の光学デバイス(100)により、貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルを決定するための方法であって、
方法が、
- 前記電子制御ユニットにより光信号を放射するステップであって、前記光信号が、光学ユニット(110)の方向に前記光ファイバ(130)の内部を伝搬する、ステップと、
- 2つの並置されたコア(134、135)のレベルで、光ファイバ(130)の内部で後方散乱された、前記放射された信号の一部に対応する第1の戻り信号を、時点t
1において検出するステップと、
- 貯蔵手段(200)内に収容された前記液体(210)の表面で反射された、放射された信号の一部に対応する第2の戻り信号を、時点t
2において検出するステップと、
- 第1の戻り信号を検出する時点t
1と、第2の戻り信号を検出する時点t
2との間の飛行時間の決定により、液体のレベルを算出するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
方法が、原子炉燃料プール内の水のレベルを検出する方法であることを特徴とする、請求項8に記載の、光学デバイス(100)により、貯蔵手段(200)内に収容された液体(210)のレベルを決定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵タンク内に収容された液体のレベルの非接触測定分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、測定条件にかかわらず、より具体的には劣化した測定条件(高温、高湿レベル、かなりの霧状、沸騰液状)において、貯蔵手段内に収容された液体のレベルを正確に測定するための方法および光学デバイスに関する。
【0003】
本発明は、原子力発電所の燃料プールの水のレベルの測定に特に興味深い用途を見いだすものである。
【背景技術】
【0004】
民生原子力分野においては、原子力発電所の制御を支配するパラメータのすべてを正確に知ることが非常に大切である。したがって、原子力発電所の放射性元素の一部、特に放射性の高い使用済燃料を貯蔵・冷却するため、燃料プール内の水のレベルに関する知見は極めて重要である。
【0005】
燃料プール内の水のレベルを継続的様式で測定するために、電気機械デバイスを使用することが知られている。このようなデバイスは、ガイドによって案内される可動の浮きを有し、浮きの動きは、ガイドに沿って垂直方向に移動するとき、大体1つの電気回路を閉じる。しかしながら、この種のセンサは限界を有し、既に稼働中のプールにマウントすることが困難である。実際に、プールの壁のライナーは、底部から遠く離れないように穴あけされて、その中に留め具を取り付け、ガイドの振り子現象および高すぎるねじれを回避するように、底部におけるガイドの維持を保証しなければならない。このように、これらのデバイスは、既設の燃料プール又は大深度の貯蔵手段には使用することがしばしば困難であり、これらのデバイスは、しばしば10メートル未満の測定の大きさに制限される。
【0006】
別の公知の解決策は、レーダセンサによる水のレベルの非接触測定のために超音波パルスの原理を用いることにある。レーダのアンテナによって放射された超音波は、誘電率の変化のために、水の表面によって反射され、次に受信機によって受信される。したがって、超音波の走行時間は、カバーされる距離に正比例する。したがって、貯蔵手段内の水のレベルは、レーダの位置が正確な様式で既知である瞬間から算出されることができる。しかしながら、レーダパルスによるこの種の測定は、大気中の水蒸気の存在、特に大気が水蒸気で100%飽和しているときに非常にセンシティブである。その結果、この技術を使用して、劣化した測定条件の水のレベルを正確に測定することは難しい。
【0007】
さらに、この技術は、燃料プールの上方に位置付けされたレーダが、周囲環境における、地震、照射、高温および高圧、非常に高湿度のレベルにそれをセンシティブにする電気/電子コンポーネントを備えるため、民生用原子力環境では活用することが困難である。
【0008】
民生用原子力環境におけるこのようなデバイスのセンシティビティを最小化するために、光センサと飛行時間(TOF)による測定の原理を用いることも知られている。このようなデバイスは、タンク内の流体のレベルの測定に関する文献CA2730161に特に記載されている。
【0009】
文献CA2730161に記載されている光学デバイスは、タンクの上方に位置付けされ、任意の電気/電子コンポーネントを除外された光学ユニットと、光学ユニットから離れたところに位置している分離された電子制御ユニットとを備え、2つのユニットは2つの独立した光ファイバによって接続されている。動作中、光学ユニットは、トリガ信号に基づいて、タンク内に収容された流体の表面に向かって光ビームの形態で伝搬する一連のパルスを放射する。光ビームの一部は光学ユニットに向かって反射される。次に受信された信号は、電子制御ユニットによって処理されて、光学ユニットと流体の表面との間の距離を決定する。流体の表面と光学ユニットとの間隔は、パルスが往復するのに要する時間を電子時計により測定することにより得られる。光学ユニットは、放射チャネル及び受信チャネルを備え、各チャネルは、光ファイバによって電子制御ユニットに独立に接続されている。
【0010】
しかし、このようなデバイスでは、事前の較正フェーズなしに精密な測定を得ることができない。加えて、特にデバイスの時計のタイムシフトによって、経時的に測定が誤りになるという無視できない危険性が存在する。最後に、出願人は文献CA2730161に記載されているデバイスで一連の試験を実施しており、特に高レベルの湿気を伴う劣化した測定条件において、正確で信頼性の高い測定を実施することができるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】カナダ国特許出願公開第2730161号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
このコンテキストにおいて、本発明は、原子力分野のものである劣化した測定条件および20メートルまでの深さを有する燃料プールのような大深度の貯蔵手段で使用することができ、較正フェーズなしで、精密で信頼性のある繰り返し可能な測定を得ることを可能にする、液体のレベルを非接触測定するための光学デバイスを提案することによって、従来技術の欠点を克服することを目的とする。
【0013】
そうするために、本発明は、光信号による、貯蔵手段内に収容された液体のレベルの非接触測定のための光学デバイスであって、前記光学デバイスが、貯蔵手段の上方に固定的に位置付けされた光学ユニットと、光信号を放射することができ、前記光学ユニットから分離され、前記光学ユニットから離れて位置付けされた電子制御ユニットとを備え、前記光学デバイスが:
- 光学ユニットは、光信号の放射及び受信のための単一チャネルを備え;
- 光学ユニットは、電子制御ユニットによって放射された前記光信号と、液体によって反射された光信号とを伝送することができる光ファイバを通して、電子制御ユニットに接続され、前記光ファイバは、互いに並置される2つの光コアを有し、前記光ファイバの前記第1の光コアにおいて放射された光信号の少なくとも一部が、前記第2の光コアにおいて後方散乱される
ことを特徴とする、収容された液体のレベルの非接触測定のための光学デバイスを提案する。
【0014】
また、本発明による光学デバイスは、個々に、又は技術的に可能な全ての組み合わせに従って採られた以下の特性のうちの1つ以上を有することができる:
- 前記光ファイバの2つのコアが、単一のストランドを形成するように、前記光ファイバの第1の端部のレベルに互いに並置する;
- 前記光ファイバの前記第1の端部が、前記光学ユニットのレベルに位置している;
- 2つの光コアが異なる直径を有する;
- 電子制御ユニットによって放射された光信号を伝送する光コアが、液体の表面によって反射された光信号を受信することを意図された第2の光コア未満の直径を有する;
- 電子制御ユニットに接続された前記光ファイバの第2の端部のレベルにおいて、前記光ファイバが、2つの別個のストランドを有し、それぞれが単一の光コアで構成されている;
- 電子制御ユニットが、貯蔵手段内に収容された液体から前記光学ユニットを隔てる距離dを、光信号の飛行時間の測定によって決定するための手段を備える。
【0015】
本発明は、また、本発明による光学デバイスを用いて、貯蔵手段内に収容された液体のレベルを決定する方法であって、
方法が、
- 前記電子制御ユニットにより光信号を放射するステップであって、前記光信号が、光学ユニットの方向に前記光ファイバの内部を伝搬する、ステップと;
- 2つの並置されたコアのレベルで、光ファイバの内部で後方散乱された、前記放射された信号の一部に対応する第1の戻り信号を、時点t1において検出するステップと;
- 貯蔵手段(200)内に収容された前記液体の表面で反射された、放射された信号の一部に対応する第2の戻り信号を、時点t2において検出するステップと;
- 第1の戻り信号を検出する時点t1と、第2の戻り信号を検出する時点t2との間の飛行時間の決定により、液体のレベルを算出するステップと
を含むことを特徴とする、方法にも関する。
【0016】
有利には、液体のレベルを決定するための方法は、原子炉燃料プール内の水のレベルを検出するための方法である。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、添付された図を参照して、以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明による、燃料プールのような貯蔵手段内の水のレベルの非接触測定のための光学デバイスの、第1の例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図2】本発明による光学デバイスの光ファイバの一端部を特に示す図である。
【
図3】本発明の光学デバイスによる液体レベルを決定するための方法の主要ステップを示す総観図である。
【
図4】本発明による光学デバイスの制御ユニットによって時間に応じて検出された光子をグラフの形態で示す図である。
【
図5a】
図5bと対比して、本発明による所謂モノスタティック(monostatic)光学デバイスで得られた重なりのレベルを示す図である。
【
図5b】従来技術によるバイスタティック(bistatic)デバイスで得られた重なりのレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全ての図において、共通要素は、別段の記載がない限り、同一の参照を持つ。
【0020】
図1は、燃料プールなどの貯蔵手段200内の水210のレベルの非接触測定のための光学デバイス100の第1の例示的実施形態を概略的に示す。
【0021】
光学デバイス100は、湿度のレベルが高く、例えば、測定するための光学デバイス100と水210のレベルとの間に位置している霧220が存在する劣化した測定条件における水のレベルの測定に特に適している。
【0022】
貯蔵手段200は、例えば、数十メートル、典型的には20メートルのオーダーの全深度(ht)を有する燃料プールである。
【0023】
本発明による光学デバイス100は、貯蔵手段200の上方に固定的に位置付けされ、電気/電子コンポーネントを除外された光学ユニット110と、光学ユニット110及び貯蔵手段200から離れたところに位置している分離された電子制御ユニット120とを備え、貯蔵手段200、2つのユニット110、120は、二重ストランド131、132を有し二重コアを有する光ファイバ130によって接続されている。
【0024】
電子制御ユニット120は:
- 光信号を放射することができる、光ファイバ130の第1のストランド131に接続された放射器。有利には、放射器は、水蒸気で飽和した媒体内の干渉を受けないように、特別にその容量のために選ばれた波長で、レーザパルスを放射するレーザ放射器であり;一例として、レーザ放射器は、532nmでパルスを放射する;
- 光電子増倍管検出器のような、光ファイバ130の第2のストランド132に接続された受信器;
- 放射と、水の表面によって反射されたレーザパルスの受信との間の飛行時間の測定を実施することを可能にする処理ユニット;
を備える。
【0025】
光学ユニット110は、水面の表面で反射されたビームの全てを収集し、光ファイバ130に向かって再び方向付けるために、光ファイバ130の出力においてレーザビームをコリメートして、測定点に向かう光線の平行化を可能にするための手段を備える。そのような手段は、例えば、アライメントレンズ及び/もしくは、コリメーション、フォーカシング又はビーム拡張レンズである。従って、光学ユニットは、光ビームの放射及び受信のための単一の光学チャンネル112のみを備える。
【0026】
光ファイバ130は、二重コアファイバ(double core fibre)であり、二つの分離したストランド131、132(すなわち、各ストランドが光シースで囲まれた光コアを有する)の形態で、第1の端部のレベル(制御ユニット120のレベル)にある。第2の端部のレベル(光学ユニット110のレベル)では、光ファイバ130は、二重コア134、135を有する単一のストランド133の形態であり、2つのコア134、135は、並置され、単一の光シース136によって囲まれている。また、光ファイバ130の全体が保護シース(図示せず)で覆われることもできる。
【0027】
図2に模式的に表わされる第2の端部のレベルにおいて、2つのコア134、135は並置され、互いに直接接している、すなわち、それらのコアは、それぞれ、それらの光学
的な被覆またはそれらの保護
的な被覆を欠いている。コア134は放射に使用され、より大きな直径を有するコア135は、反射信号の受信を最適化するように、反射信号の受信に使用される。2つのコア134、135は、規定された長さにわたって並置され、2つのコア間で放射されるレーザ信号の後方散乱を保証することが可能になる。この並置長は、例えば、0と10mmの間に含まれることができる。しかしながら、後方散乱機能が保証されている限り、2つのコア134、135を、いくつかの構成において10mmよりも大きい長さにわたって並置することも想定される。
【0028】
これにより、本発明による光ファイバ130は、放射されたレーザ信号をコア134を介して光学ユニット110に伝送することに加え、2つのコア134,135間の後方散乱によって、放射されたレーザ信号の一部をコア135を介して回復し、それを制御部120に伝送することを可能にする。
【0029】
本発明による二重コア光ファイバ130の使用が、いわゆるモノスタティック(monostatic)システム(すなわち、光信号の放射のためと受信のための両方に同じ光チャネルを使用すること)を有することを可能とし、外部クロックを使用することなく、および、事前の較正ステップを実施することなく、測定毎に基準時間を規定することを可能とする。これは、正確で既知の点、すなわち光学ユニット110のレベル、より具体的には貯蔵手段の上部点における2つのコア134、135のカップリングのおかげで、ストランド131を通して放射されたレーザパルスの、ストランド132への散乱によって可能になる。
【0030】
本発明による光ファイバ130のおかげで、貯蔵手段200内の水210のレベルの算出は、デバイス100によって水のレベルを決定するための方法の主要なステップを示す
図3に示される総観図に従って行われる。
【0031】
第1のステップ310の間、制御ユニット120のレーザ放射器は、基準時間t
0でレーザパルスを放射する。レーザパルスは、光ファイバ130、より具体的には第1のストランド131を通って進み、光学ブロック110のレベルに位置している光ファイバ(単一ストランド)の第2の端部に到達する。この端部のレベルにおいて、レーザパルスの光子の一部は、光学ユニット110を通ってコリメートされ、水の表面に向けられ、一部は第1のコア134から第2のコア135に後方散乱される。後方散乱光子は、第2のストランド132を介して制御ユニット120に伝達される。したがって、第2のステップ320の間、制御ユニット120の光電子増倍管は、時点t
1(
図4のグラフに示された第1のピーク)で、放射された信号の後方散乱光子を検出する。時間的基準を定義する時点t
1。
【0032】
レーザパルスのコリメートされた部分は、水の表面に向けられ、光学ユニットの方へ反射され、反射されて第2のストランド132を通って伝送された光子は、制御ユニット120の光電子増倍管によって捕捉される。このようにして、本法の第3のステップ330は、時点t
2(
図4のグラフに示される第2のピーク)で水の表面によって反射された光子を検出することからなる。
【0033】
第4のステップ340の間、制御ユニットは、時点t1で検出され、光ファイバ130を横断してファイバ130内部で後方散乱によって再注入される放射されたレーザ信号に対応する第1のピーク(指定される基準ピーク)と、水の表面によって反射され、光学ブロックを横断して光ファイバ130を介して制御ユニット120に伝送されるレーザ信号に対応する時点t2で検出される第2のピークとの間の差による、光信号の飛行時間(TOF)の測定によって距離dの測定を決定する。
【0034】
したがって、本発明のおかげで、外部クロック(又はトリガ)を利用可能にする必要がなく、光ファイバ130内で放射及び後方散乱される信号が、水レベルの測定毎に固有の基準時間を規定することによって、人工的な光学「クロック」の役割を果たす。これにより、本発明による光学デバイスは、電子時計のタイムシフトの問題を回避することができる。
【0035】
また、本発明による光学デバイスは、光学ユニット110の正確な位置を知る必要がない限り、較正の前ステップなしで行うことができる。実際、
図5aに示されているような、このいわゆるモノスタティックな解決策は、先行技術から知られており、
図5bに示されているような、放射に光学ブロックまたはチャネルを使用し、受信に別個の光学ブロックまたはチャネルを使用するバイオスタティック(biostatic)な解決策とは対照的に、振動によりセンシティブではない(2つの光学ブロックの位置ずれの危険性がない)。このように、水のレベルの測定は、例えば容器の振動に起因して光学ユニットがずれた場合でも、ロバストで再現性のある様式で直接的に実施される。
【0036】
また、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本発明によるモノスタティックな解決策は、レーザ信号の放射と受信との間で、光学ブロックの視野のより良好な重複Txを有することができ、比較の目的で
図5(b)に示す、従来技術によるバイスタティック(bistatic)デバイスを用いるよりも、より小さな距離で測定を実施することができる。
【0037】
光学ユニットのレベルに並置された2つのコア134、135を有する光ファイバ130を使用することは、水面の表面上の信号の反射に続くレーザの戻り信号の回復を最適化し、信号対雑音比を最大化することも可能にする。