(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】タイヤビード潤滑システム
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20230106BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B60C19/00 K
B29D30/00
(21)【出願番号】P 2020545573
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(86)【国際出願番号】 US2019019500
(87)【国際公開番号】W WO2019168810
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597000191
【氏名又は名称】アクロン・スペシャル・マシナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AKRON SPECIAL MACHINERY INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】2740 Cory Avenue,Akron,Ohio ,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン ベンジャミン イー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ブライアン ディー
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-063909(JP,A)
【文献】特開2017-131845(JP,A)
【文献】特開2014-069684(JP,A)
【文献】特開2006-110524(JP,A)
【文献】特開2005-224773(JP,A)
【文献】特表2001-511891(JP,A)
【文献】特開2012-220319(JP,A)
【文献】特開2012-096153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B29D 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ
のビードに潤滑剤を塗布するためのタイヤビード潤滑システムであって、
フレームと、
タイヤを移送するために前記フレームに関連付けられた一対のコンベヤベルトであって、それらの間にコンベヤ開口を有する一対のコンベヤベルトと、
前記一対のコンベヤベルト間に位置決めされた複数のテーブルローラを有し、前記タイヤを受け入れて上昇させるために前記コンベヤ開口と整列されたポップアップテーブルと、
前記フレームに関連付けられた移動シリンダと、
潤滑剤を塗布する、前記フレームに関連付けられたスプレーノズルと、
前記移動シリンダによって前記タイヤのボア内に軸方向に移動可能な潤滑ウィックアセンブリ
であって、少なくとも1つの係合ローラによって互いに接続された対向キャップを有しており、少なくとも1つの細長ブラシが前記キャップの少なくとも一方から延在しており、
前記スプレーノズルは前記少なくとも1つの細長ブラシ上に前記潤滑剤を塗布するようになっている、潤滑ウィックアセンブリと、
前記潤滑ウィックアセンブリが前記移動シリンダによって前記ボア内に移動される時に前記ポップアップテーブルによって上昇される前記複数のテーブルローラ上の前記タイヤと係合して回転させることで、前記少なくとも1つの係合ローラと前記少なくとも1つの細長ブラシとがタイヤビードに接触して前記少なくとも1つの細長ブラシが前記潤滑剤を前記タイヤビードに塗布するようになっている、少なくとも1つのスピナーローラと、
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの係合ローラは、前記キャップ間に延在する一対の係合ローラを含み、
前記係合ローラの各々は、軸方向に回転可能であ
り、
前記少なくとも1つの細長ブラシは、前記対向キャップ間に延在し、前記一対の係合ローラ間に位置決めされている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長ブラシは、前記一対の係合ローラよりも更に径方向に延びる複数のブラシ毛を有する
ことを特徴とする請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの細長ブラシは、複数のブラシセグメントを含み、
前記ブラシセグメントの各々は、複数のブラシ毛を有し、
前記ブラシセグメントの各々は、交換可能である
ことを特徴とする請求項
2に記載のシステム。
【請求項5】
前記潤滑ウィックアセンブリを軸方向に受け入れる潤滑ウィックチャンバ
を更に備えたことを特徴とする請求項
2に記載のシステム。
【請求項6】
前記スプレーノズルは、前記潤滑ウィックチャンバに結合され
ており、
前記スプレーノズルは、前記潤滑ウィックチャンバに対して出入りする時に前記少なくとも1つの細長ブラシに
前記潤滑剤を塗布する
ことを特徴とする請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
タイヤに潤滑剤を塗布するためのタイヤビード潤滑システムであって、
それらの間にコンベヤ開口を形成する複数のコンベヤベルトを支持するフレーム
であって、前記複数のコンベアベルトは
当該フレームの一端から他端へとタイヤを移送する
、フレームと、
前記複数のコンベヤベルト間に位置決めされた複数のテーブルローラを有し、前記タイヤを受け入れて上昇させるために前記コンベヤ開口と整列されたポップアップテーブルと、
前記フレーム内に維持され、前記コンベヤ開口の下方に位置決めされた潤滑ウィックチャンバと、
前記潤滑ウィックチャンバを支持し、移動可能なピストンロッドを有する移動シリンダと、
潤滑剤を塗布する、前記潤滑ウィックチャンバに関連付けられたスプレーノズルと、
前記潤滑ウィックチャンバに受容されており、
前記移動可能なピストンロッドの起動により前記コンベヤ開口内に移動
するようになっている潤滑ウィックアセンブリ
であって、少なくとも1つの係合ローラと、前記
スプレーノズルによって塗布される潤滑剤を保持する少なくとも1つの細長ブラシと、を有する
潤滑ウィックアセンブリと、
前記潤滑ウィックアセンブリが前記移動可能なピストンロッドによって移動される時に前記ポップアップテーブルによって上昇される前記複数のテーブルローラ上の前記タイヤと係合して回転させることで、前記少なくとも1つの係合ローラと前記少なくとも1つの細長ブラシとが前記タイヤに接触するようになっている、少なくとも1つのスピナーローラと、
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの細長ブラシは、前記少なくとも1つの係合ローラよりも更に径方向に延びる複数のブラシ毛を有する
ことを特徴とする請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの係合ローラは、一対の対向するキャップ間に延在し、
前記少なくとも1つの細長ブラシは、前記キャップの少なくとも一方から延在
する一対の係合ローラを有して、
当該一対の係合ローラ間に位置決めされている
ことを特徴とする請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記潤滑
剤を保持するためのタンクと、前記潤滑ウィックアセンブリに関連付けられた
前記スプレーノズルに接続されたポンプと、を有する潤滑ポンプシステム
を更に備え、
前記ポンプは、前記スプレーノズルを通して、前記少なくとも1つの細長ブラシ上に潤滑流体を差し向ける
ことを特徴とする請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポンプは、前記潤滑ウィックアセンブリが前記潤滑ウィックチャンバに対して出入りする時に、
前記潤滑
剤を噴霧する
ことを特徴とする請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記潤滑ウィックチャンバに接続された余剰戻りチューブが、
前記潤滑
剤を前記タンクに送る
ことを特徴とする請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記潤滑ウィックアセンブリは、前記一対の対向するキャップと、それらの間に延在する
前記一対の係合ローラと、を有し、
前記ローラの各々は、回転可能である
ことを特徴とする請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
前記フレームから延在する外部クロス部材
を更に備え、
前記外部クロス部材は、受容穴を有し、
前記潤滑ウィックアセンブリは、前記キャップの一方から延在して前記潤滑ウィックアセンブリが前記潤滑ウィックチャンバから延びる時に前記受容穴内に受容可能なキャップパイロットを有する
ことを特徴とする請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、空気入りタイヤのビード領域を潤滑するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの生産を含む多くの作業において、製造と加硫とに続いて、タイヤがチャックアセンブリ上に配置され、様々な検査と研削作業とが実施され得る。 一般に、例えばタイヤユニフォミティマシンでは、タイヤはコンベヤに沿って当該ユニフォミティマシン内へと前進され、そこで第1チャックが上昇されてタイヤの下部ビードに係合し、その後、当該タイヤが上昇されて、上部ビードが第2チャックによって係合される。その後、当該タイヤは膨張され、様々な検査が実施される。その後、当該タイヤは収縮され、第1チャックが後退され、当該タイヤは第2チャックから取り外されて、別のタイヤがテストされ得るように当該機械から取り外される。
【0003】
更なる製造、検査または研削作業のためにタイヤがチャック上に取り付けられるこのようなシステム及び他の領域では、チャック、ついでに言えば自動車のホイール、の適合面と完全な気密シールを実現するように、それらのシール面に沿って上部及び下部ビードを潤滑することが望ましい。
【0004】
既存の潤滑システムの1つは、垂直配向のローラ(アプリケータとも呼ばれる)を提供する。当該ローラは、コンベヤの下方に取り付けられ、余剰な潤滑剤のスプレーしぶきや流出分を収容するために使用される容器内に収容されている。タイヤが当該ローラの上方のある位置に移動すると、当該ローラはその軸に沿って上向きに伸長され、タイヤによって定義されたボアに入る。同時に、ポップアップローラテーブルが、タイヤをコンベヤから持ち上げる。タイヤはローラテーブル上で駆動され、前記ローラと接触させられ、前記ローラ回りに回転される。前記ローラは、1組のポップアップスピナーロールによってビードに潤滑剤を塗布する。ローラとビードとの間の接触は、ポップアップスピナーロールがタイヤをアプリケータと接触させることに依存しているため、ローラはタイヤとの衝撃によってストレスを受ける。多くの場合、適切な位置に到達するまで、タイヤはローラに複数回衝突する。このように、幾つかのシステムは、タイヤのボアに入るために垂直軸に沿って移動可能で、タイヤのビードに接触してそれに潤滑剤を塗布するために半径方向に伸張可能な複数のアプリケータを有するアプリケータアセンブリを提供する。
【0005】
別の既知の潤滑システムでは、タイヤのビードに塗布する前に、ローラを覆って潤滑流体を吸収するために、布スリーブまたは「靴下」を使用することが一般的である。特に、ほとんどのシステムが、布スリーブが装着されたナイロン製円筒ローラを採用している。タイヤのビードへの各塗布工程の前に、潤滑油がスリーブ上に噴霧(スプレー)されるか、あるいは、塗布される。次に、当該円筒ローラが強制的にビードと係合され、次いでビード表面をコーティングするべく回転される。時間の経過により、タイヤのビードが同じ位置でスリーブに係合し、スリーブが破れて、もはや潤滑材料を適切に塗布しなくなる。そのため、スリーブは交換される必要があり、機械のダウンタイムが発生する。当業者はまた、布繊維が緩んで油圧流体バルブ及び流体ラインに入って、更にタイヤユニフォミティマシン及び他の近くの機器の動作に問題を引き起こし得るため、布スリーブの使用には問題があることを理解するであろう。従って、当該技術分野では、布スリーブ無しでアプリケータを使用して、より長く続き、機械のメンテナンスの必要性を最小限に抑える、というニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
前記に照らして、本発明の第1の特徴は、タイヤビード潤滑システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の特徴は、タイヤに潤滑剤を塗布するためのタイヤビード潤滑システムであって、タイヤのボア内に軸方向に移動可能な潤滑ウィックアセンブリを備え、当該潤滑ウィックアセンブリは、少なくとも1つの係合ローラによって互いに接続された対向キャップを有しており、少なくとも1つの細長ブラシが、前記キャップの少なくとも一方から延びており、前記少なくとも1つの係合ローラは、タイヤのビードに接触し、前記少なくとも1つの細長ブラシは、前記ビードに塗布するための潤滑剤を保持する、タイヤビード潤滑システムを提供することである。
【0008】
本発明の更に別の特徴は、タイヤに潤滑剤を塗布するためのタイヤビード潤滑システムであって、それらの間にコンベヤ開口を形成する複数のコンベヤベルトを支持するフレームを備え、当該複数のコンベアベルトは、前記フレームの一端から他端へとタイヤを移送し、潤滑ウィックチャンバが、前記フレーム内に維持され、前記コンベヤ開口の下方に位置決めされており、潤滑ウィックアセンブリが、前記潤滑ウィックチャンバに受容されており、前記コンベヤ開口内に移動可能で、前記潤滑ウィックアセンブリは、少なくとも1つの係合ローラと、タイヤに塗布される潤滑剤を保持する少なくとも1つの細長ブラシと、を有する、タイヤビード潤滑システムを提供することである。
【0009】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び、添付の図面に関連して、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の概念に従う、タイヤビード潤滑システムの正面図である。
【
図2】本発明の概念に従う、タイヤビード潤滑システムの側面図である。
【
図3】本発明の概念に従う、タイヤビード潤滑システムで利用される潤滑システムの詳細図である。
【
図4】本発明の概念に従う、潤滑ウィックアセンブリを維持する潤滑ウィックチャンバの部分断面図である。
【
図5】本発明の概念に従う、潤滑ウィックチャンバから離れた伸張位置にある潤滑ウィックアセンブリの部分正面斜視図である。
【
図6】本発明の概念に従う、潤滑ウィックチャンバに対する後退位置にある潤滑ウィックアセンブリの部分後面斜視図である。
【
図7】本発明の概念に従う、潤滑ウィックアセンブリの斜視図である。
【
図8】本発明の概念に従う、潤滑動作の開始前の潤滑対象のタイヤを示す、タイヤビード潤滑システムの平面図である。
【
図9】本発明の概念に従う、潤滑動作の開始前の動作位置にある潤滑ウィックアセンブリを示す、タイヤビード潤滑システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面、特に
図1乃至
図3に示されるように、タイヤビード潤滑システムは、全体的に符号10で示されている。当該システム10は、タイヤ製造設備、特にタイヤ試験設備、と共に使用される。特に、タイヤビード潤滑システム10は、最近に製造されたタイヤがタイヤユニフォミティマシン、他の検査設備または他の製造設備によって受容される前に、使用される。タイヤは、次の製造または試験動作の前に、一対の対向するリムの間に受容されてチャックされなければならない。一般に、タイヤビード潤滑システムは、チャッキング装置の対向するリム内へのタイヤの取り付けおよび取り外しを容易にするために、タイヤビードに潤滑油を塗布する。
【0012】
システム10は、符号11によって示されたフレームを備える。当該フレームは、製造フロアによって支持された複数の支柱12を含む。支柱12のほぼ中間点で、内部クロス部材14が、一方側から他方側まで及ぶことができる。当業者は、一対の対向するコンベヤベルト18がフレーム11に関連付けられ、当該コンベヤベルトがそれらの間にコンベヤ開口20(
図8及び
図9参照)を有することを理解するであろう。当業者は、また、コンベヤベルト18がモータによって駆動され、タイヤを前の製造ステーションから次の製造ステーション(タイヤ検査機械であり得る)に移送することを理解するであろう。大文字の「T」で示されたタイヤは、コンベヤベルト上を移動し、当該タイヤは、各サイドウォールで終端する大文字の「B」で示された対向するビードを有する。ビードは、内径を規定し、特にタイヤボア22を規定する。ビードは、次の製造ステーションでのタイヤのチャッキングを容易にするべく、潤滑液が塗布される場所である。
【0013】
タイヤ位置センサ24が、タイヤの前縁を監視し、位置信号Aを生成する。位置信号Aは、コントローラ26によって受信される。コントローラ26は、タイヤビード潤滑システム10の様々な動作を実行するために様々なタイプの信号を受信するのに必要なハードウェア及びソフトウェアを含む。適切な位置信号Aがコントローラ26によって受信されると、当該コントローラは、コンベヤベルトに接続されたモータに、所定の位置で停止して、以後に説明される他の動作を開始するように、指示する。
【0014】
潤滑システム10のかなりの部分が、コンベヤベルトの下方に実質的に維持される。当該システムの主要な構成要素は、コンベヤ開口20の領域に関連付けられている。当該潤滑システム10は、その中に潤滑ウィックアセンブリ34を維持する潤滑ウィックチャンバ32を備え得る。潤滑ウィックアセンブリ34は、
図5に示されるように、移動シリンダ36によって、伸長位置まで移動可能であり、結果として、タイヤボア22内に軸方向に移動可能である。シリンダ36は、ピストンロッド38を内部に維持し、シリンダ36は、コントローラ26に接続され、適切な時にコントローラ26から制御信号Bを受信して、ピストンロッド38、結果としてウィックアセンブリ34、を伸長及び収縮させる。当業者は、ウィックアセンブリがより重い重量である実施形態において、ウィックアセンブリ34を持ち上げるために複数の移動シリンダ36が採用され得ることを理解するであろう。これは、システム10が、より大型のセミトラックタイヤ、または、建設設備で使用されるタイヤ、を取り扱うサイズである場合に必要とされ得る。複数の移動シリンダ36は、コントローラによって作動される時、タンデムで移動する。また、潤滑システム10の一部は、潤滑ウィックアセンブリ34がチャンバ32に対して出入りする時、潤滑ウィックアセンブリ34に潤滑流体を供給する潤滑ポンプシステム40である。
【0015】
潤滑ウィックチャンバ32は、タイヤがコンベヤベルト18上の停止位置にある時、コンベヤ開口20、特にタイヤボア22、と軸方向に整列される。チャンバ32は、チャンバキャビティ44を画定するチャンバハウジング42を含む。チャンバキャビティ44は、ハウジング42の底部をシールするハウジング底部48を有する。ハウジング底部48の開口に接続されているのは、余剰戻りポート50である。当該余剰戻りポート50は、当該ポートに接続されたチューブ51によって潤滑ポンプシステム40に戻るべく、チャンバの底部に蓄積する余剰の潤滑流体を集める。キャップ開口53を有するハウジングキャップ52が、ハウジング底部48の反対側の端部でチャンバハウジング42上に位置している。キャップ52は、チャンバハウジング42の上縁を効果的に取り囲み、キャップ開口53を通っての潤滑ウィックアセンブリ34の伸長及び後退を許容する。チャンバハウジング42から径方向に延在し得るキャップ52は、ドレン54を提供し得て、当該ドレン54は、潤滑ウィックアセンブリ34から落下する余剰の潤滑流体を集め、それを余剰戻りポート50及びチューブ51によるポンプシステム40への戻りのためにハウジング底部48に向ける。余剰な流体はまた、ポート50及びチューブ51を通ってチャンバハウジング42にドレンバックし得る。
【0016】
潤滑ウィックアセンブリ34は、チャンバハウジング42に対して軸方向に出入り移動可能である。更に、潤滑ウィックアセンブリ34は、タイヤボア22の内外に移動可能である。アセンブリ34の動きは、ピストンロッド38によって始動され、シリンダ36は、ハウジング底部48の下方に位置決めされ、適切なシーリング構成がピストンロッド38の周りに維持されている。これにより、シリンダ36内への潤滑流体の漏れが排除されている。適切な時に、コントローラ26は、ピストン38の鉛直方向の動きを制御するシリンダ36によって受け取られる制御信号Bを生成し、ピストン38は、次に、潤滑ウィックアセンブリ34を鉛直方向に動かす。
【0017】
潤滑ウィックアセンブリ34は、
図4乃至
図7において最も良く見られるが、頂部キャップ62によって対向される底部キャップ60を含む。底部キャップ60は、ピストンロッド38に接続され、それによって移動される。少なくとも1つの支持ロッド64が、それらの間の接続のために、底部キャップ60と頂部キャップ62との間に延在し得る。また、底部キャップ60と頂部キャップ62との間には、少なくとも1つの係合ローラ66が接続されている。幾つかの実施形態では、一対の係合ローラ66が採用され得て、各ローラは、支持ロッドから等距離に離間される。幾つかの実施形態では、1または複数のローラは、キャップのうちの1つだけから延在し得る。更に、各ローラ66は、その軸回りに回転可能である。換言すれば、ローラに接線方向の力が加わると、ローラが回転し得る。キャップ60及び62の少なくとも一方から延びているのは、細長ブラシ68である。当該ブラシは、ブラシ毛70を含み、その上に潤滑流体が塗布され、それは、その後、以下に説明されるように、タイヤビードに移送される。一実施形態では、当該細長ブラシは、キャップ60及び62の両方に接続され得る。
【0018】
幾つかの実施形態における細長ブラシ68は、キャップ60及び62の間に接続されてもよく、ローラ66間に位置決めされてもよい。 当業者は、摩耗した場合に選択されたブラシセグメントの交換を許容するべく、スパイン(主柱)73に固定された幾つかのブラシセグメント72内にブラシ68が提供され得ることを理解するであろう。細長ブラシは、ブラシ毛がタイヤビードによって係合されていない時に係合ローラの外面よりも更に半径方向に延びるように位置決めされる。一方、1または複数の係合ローラがタイヤビードと接触する時、タイヤ及び/またはウィックアセンブリが移動されるにつれて、ブラシ毛70が撓まされ、潤滑剤がビードに移される。
【0019】
図5及び
図6で最も良く見られるように、頂部キャップ62から延在しているのは、キャップパイロット76であり、それは幾分円錐形であり得て、ローラ及びブラシの反対のキャップの側に位置決めされている。フレーム11からコンベヤベルト18の上方に延びているのは、外部クロス部材78である。当該外部クロス部材78は、本実施形態では、フレームから垂直に上向きに、次いでコンベヤ開口20の上方を水平に延びている。幾つかの実施形態では、外部クロス部材78は、フレーム11以外の構造から延び得る。当該クロス部材78は、潤滑ウィックアセンブリ34が鉛直方向に伸長される時にその中に受容するべく、キャップパイロット76と軸方向に整列されたクロス部材受容穴80を提供している。
【0020】
図1及び
図2に戻って、潤滑ポンプシステム40は、フレーム11の下方のフロア上またはそれに非常に近接して維持され得る。ポンプシステム40は、潤滑流体を保持する流体タンク84を含み、当該タンクは、その包囲のために取り外し可能なタンクカバー86を保持し得る。ポンプ90が、タンクカバー86上に維持されており、制御信号Cを介してコントローラ26に接続される。カバー92が、ポンプ90を覆ってデブリをポンプ機構から遠ざけるように、採用され得る。流体タンク84内に維持されているのは、流体レベルスイッチ94である。当該流体レベルスイッチ94は、流体タンク84の中の流体レベルを監視し、制御信号Cを介してコントローラ26にレベル指示を送る。これにより、流体レベルに応じて、アラートが生成され得て、及び/または、送信され得る。充填キャップ100が、カバー86と関連付けされており、必要に応じて潤滑流体をタンク84内に堆積させることができる。当該カバー86はまた、流体戻りポート102を提供し、当該流体戻りポート102は、余剰戻りチューブ51に接続されていて、集められる余剰な流体がポンプシステム40を通して再循環され得るようになっている。空気ライン106が、その操作を容易にするべくポンプに接続されていて、流体ライン108が、ポンプ90から延在しており、当該流体ライン108の反対端は、スプレーノズル110に接続されており、当該スプレーノズル110は、潤滑ウィックチャンバハウジング42に最適位置で取り付けられている。換言すれば、スプレーノズル110は、潤滑ウィックアセンブリが上方に伸長される時、及び/または、チャンバハウジング42内へ戻る際に受容される時、ブラシ毛70上に潤滑流体を堆積させるように配向されている。
【0021】
潤滑システム10の実装は、追加の構成要素を必要とする場合がある。
図8及び
図9に示すように、スピナーロール120が、コンベヤベルト18の近くのフレーム11の各側に位置決めされ得る。各スピナーロール120は、ロール駆動部122を含み、当該ロール駆動部122が、必要な時にスピナーロールをコンベヤベルトの上方に鉛直移動させ、必要でない時にコンベヤベルトの下方に撤退させる。各スピナーロールはまた、コントローラに接続されて各スピナーロール120を回転させる働きをする駆動モータ124を含み得る。ロール駆動部122及び駆動モータ124は、制御信号Dを介してコントローラ26によって作動される。
【0022】
潤滑システムの別の特徴は、コンベヤ開口20の領域でコンベヤベルト18間に位置決めされるポップアップテーブル130である。少なくとも1つのテーブルエアシリンダ132(
図2に最も良く示されている)が、ポップアップテーブル130に結合されている。ポップアップテーブル130は、タイヤをコンベヤベルト18から持ち上げて、タイヤの回転を許容する。エアシリンダ132は、コントローラ26に接続され、フレームの下側及び/またはタイヤビード潤滑システムの複数の構成要素に取り付けられる。各エアシリンダ132は、コントローラ26から制御信号Eを受信する。ポップアップテーブル130は、以下に説明されるように、タイヤの回転運動を許容する複数のテーブルローラ140を含む。
【0023】
スピナーロール120は、コンベヤベルトの上方位置に持ち上げられ、ポップアップテーブル130によってタイヤが持ち上げられた後、キャリッジ150によって横方向に移動される。キャリッジ150は、フレーム11によって保持されるロッド154に摺動可能に取り付けられた一対のブシュ152を含む。ピストン156が、制御信号Fによってコントローラ26に接続され得て、スピナーロール120をタイヤのトレッドと係合させる。後述されるように、これは、タイヤビードをローラ66に隣接させる、ないし、ローラ66と接触係合させる。
【0024】
動作時、タイヤは、コンベヤラインに沿って給送され、コンベヤベルト18によって受け取られる。タイヤ位置センサ24は、タイヤの前縁を検出し、そのボア22が潤滑ウィックチャンバ32と実質的に同心になるようにタイヤを位置決めする。適切なタイミングで、コントローラ26はコンベヤベルト18の動きを停止させ、タイヤが所定位置に位置決めされる。次に、ポップアップテーブル130が作動され、テーブルローラ140がタイヤのサイドウォールに係合してタイヤをコンベヤベルトの上方に持ち上げ、タイヤがもはやそれと接触しないようにする。
【0025】
これらの工程が完了すると、コントローラは、潤滑ウィックシリンダ36に指示して、その内部ピストンロッド38を作動させて、潤滑ウィックアセンブリ34を潤滑ウィックチャンバ32から鉛直方向に移動させる。この指示と同時に、コントローラは、ポンプシステム40に指示して、潤滑流体をスプレーノズル110に導き得て、スプレーノズル110は、ブラシ毛70が上向きに移動する時に、ブラシ毛70上に潤滑流体を付着(堆積)させる。潤滑ウィックアセンブリは、キャップパイロット76がクロス部材受容穴80に受け入れられる時まで、上方に移動し続け得る。
【0026】
次に、コントローラ26は、上向きに伸長してスピナーロールを持ち上げるようにロール駆動部122に指示し、その後、コントローラ26は、ピストン156を作動させてキャリッジ155を移動させ、スピナーローラ120をタイヤトレッドに横方向に係合させる。この横方向の動きは、タイヤビードをローラ66と強制的に係合させる。
【0027】
次に、コントローラは、スピナーローラに回転するよう指示し、その結果、タイヤが回転する。タイヤの回転は、タイヤのビードを強制的に係合ローラ及びブラシ毛に回転可能に係合させ、タイヤがテーブルローラ140上で回転するにつれて、タイヤビードに潤滑流体を塗布する。両方のビードを適切な量の潤滑剤でコーティングするためのタイヤの十分な回転数が完了した後、スピナーロールの回転はコントローラ26によって停止され、引き出される。対応する態様で、潤滑ウィックアセンブリが引き出され得て、スピナーローラが係合解除されて下降され得て、ポップアップテーブルが下降されて、タイヤサイドウォールがもはやポップアップテーブル130ではなくコンベヤベルト18によって係合されるようになる。全てのアセンブリが完全に引き出されると、コンベヤベルトが潤滑されたタイヤをチャッキングステーションに送る。
【0028】
本発明の利点は、明らかである。潤滑流体が付着されたブラシ(毛)の使用は、当該ブラシがタイヤビードの直接接触を吸収しないという点で有利である。代わりに、ローラが当該直接接触を吸収し、最小限の力のみがブラシ毛に適用されるので、ブラシ毛が過度に磨耗して潤滑流体の流れに入り込むことがない。結果として、ブラシ毛がポンプの機械に絡まったりすることがなく、緩んだり外れたブラシ毛が近くの動作設備の他の流体システムに入ることもない。更に、より多くの液体がリサイクルされ、廃棄物が最小限となる。更に、摩耗したブラシセグメントは、必要に応じて簡単に交換され得る。
【0029】
従って、本発明の目的が以上に提示された構造及びその使用方法によって満たされることが、理解され得る。特許法に従って、最良の実施形態及び好適な実施形態のみが提示され詳細に説明されたが、本発明はそれらに限定されないことが理解される。本発明の真の範囲及び広さを理解するためには、以下の特許請求の範囲が参照されるべきである。