(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】ポイント・オブ・ケア診断システムのための品質管理
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N35/00 F
(21)【出願番号】P 2020550149
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019024735
(87)【国際公開番号】W WO2019191531
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300004500
【氏名又は名称】アイデックス ラボラトリーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IDEXX Laboratories, Inc.
【住所又は居所原語表記】One IDEXX Drive, Westbrook, Maine 04092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジュイ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,ジェームス
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-506876(JP,A)
【文献】特開2016-045004(JP,A)
【文献】特表2016-530620(JP,A)
【文献】特開2012-013704(JP,A)
【文献】特開2011-237462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイント・オブ・ケア医療診断のためのシステムであって、
消費可能な合成品質管理物質を
品質管理動作による使用のために室温で保管するオンボー
ド貯蔵
容器であって、前記消費可能な合成品質管理物質は、血液の細胞特徴に対するフローサイトメトリセンサ応答に類似するフローサイトメトリセンサ応答を提供するように構成される、オンボード貯蔵容器と、
複数の動作パラメータを有する複数のサブシステムであって、前記サブシステムは、患者サンプルを分析し且つ前記
消費可能な合成品質管理物質を分析するように構成された
フローサイトメトリ血液学分析装置を含む、サブシステムと、
品質管理結果を経時的に格納するデータベースであって、前記品質管理結果は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が前記
消費可能な合成品質管理物質
を分析することの結果を含む、データベースと、
1つ以上のプロセッサと、
命令を格納する少なくとも1つのメモリであって、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記システムに
、
前記消費可能な合成品質管理物質に基づく品質管理結果を生成するべく、前記オンボード貯蔵容器から前記消費可能な合成品質管理物質にアクセスし、前記フローサイトメトリ血液学分析装置を用いて前記消費可能な合成品質管理物質を分析することによって、前記品質管理動作を行い、
生成された品質管理結果を前記データベース内に格納し、
前記データベース内に格納された経時的な品質管理結果に基づ
く管理チャートを生成
し、
前記管理チャートに基づいて前記複数の動作パラメータのうちのあるパラメータが許容範囲外であると判定
し、
前記許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに前記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つを調節
する
ようにさせる、メモリと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記データベースがさらに、以前の患者検査結果を格納し、前記以前の患者検査結果は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が複数の患者から得られたサンプルを経時的に分析することの結果を含み、
前記命令
が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、ユーザの介入なしに自動的に、
前記以前の患者検査結果に基づいて別の管理チャートを生成
し、
前記別の管理チャートに基づいて前記複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定
し、
前記別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに前記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つを調節
する
ようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに
、自動調節に関するオペレータへの視覚指示を提供
するようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、ユーザの介入なしに自動的に、
前記複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定
し、
前記別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするのに前記ユーザの介入が必要であると判定
し、
前記別のパラメータが許容範囲外であることをオペレータに知らせる視覚指示を提供
する
ようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに
、
前記
フローサイトメトリ血液学分析装置を用いてブランクサンプルを分析
することであって、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が患者サンプルに対して動作するのと同じ様態で
前記ブランクサンプルに対して動作
することと、
前記ブランクサンプルの分析に基づいて前記
フローサイトメトリ血液学分析装置がクリーニングされるべきであると判定
することと、
前記
フローサイトメトリ血液学分析装置がクリーニングされるべきであることをオペレータに知らせる視覚指示を提供
することと、
を行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が、化学分析装置、
及び凝固分析装
置のうちの少なくとも1つ
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のサブシステムが、流体サブシステム、光学サブシステム、及び電子サブシステムを含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の動作パラメータが、光学密度、流量、消衰チャネル(EXT)、低角前方光散乱チャネル(FSL)、直角散乱チャネル(RAS)、高角前方光散乱チャネル(FSH)、及び飛行時間型チャネル(TOF)を含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
ポイント・オブ・ケア医療診断のためのシステムであって、
消費可能な合成品質管理物質を
品質管理動作による使用のために室温で保管するオンボー
ド貯蔵
容器であって、前記消費可能な合成品質管理物質は、血液の細胞特徴に対するフローサイトメトリセンサ応答に類似するフローサイトメトリセンサ応答を提供するように構成される、オンボード貯蔵容器と、
複数の動作パラメータを有する複数のサブシステムであって、前記サブシステムは、患者サンプルを分析し且つ前記
消費可能な合成品質管理物質を分析するように構成された
フローサイトメトリ血液学分析装置を含む、サブシステムと、
データベースであって、
経時的な品質管理結果であって、前記品質管理結果は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が前記
消費可能な合成品質管理物質を経時的に分析することの結果を含む、品質管理結果と、
以前の患者検査結果であって、前記以前の患者検査結果は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置が複数の患者から得られたサンプルを経時的に分析することの結果を含む、患者検査結果と、
経時的なブランクサンプル結果であって、前記ブランクサンプル結果は、前記
フローサイトメトリ血液学分析装置がブランクサンプルを経時的に分析することの結果を含む、ブランクサンプル結果と、
を含むデータを格納する、データベースと、
1つ以上のプロセッサと、
命令を格納する少なくとも1つのメモリであって、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記システムに
、
前記消費可能な合成品質管理物質に基づく品質管理結果を生成するべく、前記オンボード貯蔵容器から前記消費可能な合成品質管理物質にアクセスし、前記フローサイトメトリ血液学分析装置を用いて前記消費可能な合成品質管理物質を分析することによって、前記品質管理動作を行い、
生成された品質管理結果を前記データベース内に格納し、
経時的な品質管理結果、前記以前の患者検査結果、及び前記
データベース内に格納された経時的なブランクサンプル結果に基づいて少なくとも1つの管理チャートを生成
し、
前記少なくとも1つの管理チャートに基づいて前記複数の動作パラメータのうちの1つのパラメータが許容範囲外であると判定
し、
前記許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに前記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つを調節
する
ようにさせる、メモリと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、
前記以前の患者検査結果に基づいて別の管理チャートを生成し、
前記別の管理チャートに基づいて前記複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定し、
前記別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに前記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つを調節する
ようにさせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、自動調節に関するオペレータへの視覚指示を提供するようにさせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、ユーザの介入なしに自動的に、
前記複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定し、
前記別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするのに前記ユーザの介入が必要であると判定し、
前記別のパラメータが許容範囲外であることをオペレータに知らせる視覚指示を提供する
ようにさせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、さらに前記システムに、
前記フローサイトメトリ血液学分析装置を用いてブランクサンプルを分析することであって、前記フローサイトメトリ血液学分析装置は、前記フローサイトメトリ血液学分析装置が患者サンプルに対して動作するのと同じ様態で前記ブランクサンプルに対して動作することと、
前記ブランクサンプルの分析に基づいて前記フローサイトメトリ血液学分析装置がクリーニングされるべきであると判定することと、
前記フローサイトメトリ血液学分析装置がクリーニングされるべきであることをオペレータに知らせる視覚指示を提供することと、
を行わせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記フローサイトメトリ血液学分析装置が、化学分析装置、及び凝固分析装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のサブシステムが、流体サブシステム、光学サブシステム、及び電子サブシステムを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の動作パラメータが、光学密度、流量、消衰チャネル(EXT)、低角前方光散乱チャネル(FSL)、直角散乱チャネル(RAS)、高角前方光散乱チャネル(FSH)、及び飛行時間型チャネル(TOF)を含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年3月30日に出願された米国特許仮出願第62/650,609号の利益及び優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療診断に関し、より具体的には、ポイント・オブ・ケア医療診断システムのための品質管理に関する。
【背景技術】
【0003】
血液学分析装置などの多くの医療診断システムの医療ガイダンスでは、サンプルの採取後にできるだけ早くサンプルを分析することが推奨されている。サンプルは医療現場で得られるが、検査は外部の実験室で行われる場合、この推奨は難しいことがある。そのため、多くの医師及び獣医は、新鮮なサンプルを分析するためにポイント・オブ・ケア(POC)システムの導入を希望する。一方、医療診断システムは、システムの機能の確認及び結果の精度の保証のために品質管理手順に基づいている。しかしながら、品質管理手順は、POCオフィスには馴染みがない場合があり、この馴染みのなさが、医師及び獣医が外部の実験室にサンプルを送付する大きな理由であり得る。
【0004】
血液学診断システムには、品質管理とパフォーマンスに関するいくつかのかなり難しい要件がある。医療及び獣医学の分野ではシステムのパフォーマンスを正確に測定するために固定細胞を使用しなければならないと一般に信じられているため、血液学システムの品質管理(QC)は特に難しいことがある。固定細胞の品質管理は、一般に、安定化され所定の濃度で混合されている細胞に関係する。細胞は、全血中の異なる細胞タイプを表すのに一般的に用いられる、ヒト細胞又は獣医学細胞であり得る。
【0005】
固定細胞を用いる血液学QCの主な手法は、一般に冷蔵保存を必要とし、固定細胞の保存寿命は約8週間である。さらに、固定細胞の室温での安定性には限界があり、そのため、オペレータは、使用前にサンプルを温め、その後できるだけ早く冷蔵に戻さなければならない。また、開封後、固定細胞は、一般に約2週間以内は安定している。固定細胞の短い保存寿命と厳しい熱要件は、QCテストが失敗したときにその物質に疑いを生じることが多く、結果を確認するために別のロットの管理物質での再実行を必要とする。固定細胞の別の欠点は、血液学システムが細胞と特定の化学的様態で相互作用するように設計されることであり、このような相互作用は、固定細胞の管理のために細胞を安定化させるのに用いられる技術によって阻害されることがある。
【0006】
獣医学診断システムでは、固定細胞の品質管理手法は、いくつかの獣医学種がサポートされるときに欠点を有する場合が多い。獣医学診断では、異なる細胞種間に有意な差異が存在することがあり、したがって、それぞれの種は、一般に、診断システムにおいてそれ独自の細胞認識アルゴリズムを有することになる。このようなシステムでは、固定細胞の品質管理物質は、すべてのサポートされる種に関するシステムのパフォーマンスを確認することはできない場合がある。例えば、イヌのサンプル分析は品質管理パラメータを満たすことができるが、ネコのサンプル分析はそうではない場合がある。特に、固定細胞の品質管理手法は、種に固有の試薬反応、並びに、種に固有の流体及び検出システム問題などの、特定のシステムコンポーネントのパフォーマンスを確認することができない場合がある。
【0007】
したがって、医療診断システムを改良することに引き続き関心が寄せられている。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、ポイント・オブ・ケア診断システムのための品質管理に関する。本開示のいくつかの態様によれば、オンボードの自動ビーズ分析、自動ブランク実行、及び/又は傾向のある患者サンプル(種別)の統合により、診断システムが制御されているかどうかだけでなく、制御されていない場合にどのコンポーネントが故障しているかも判断するための新しい手法が提供される。
【0009】
本開示のいくつかの態様によれば、ポイント・オブ・ケア医療診断のためのシステムは、合成品質管理物質を収容するオンボードの貯蔵部と、複数の動作パラメータを有する複数のサブシステムであって、そのサブシステムは、患者サンプルを分析し且つ合成品質管理物質を分析するように構成された物質分析装置を含む、サブシステムと、品質管理結果を経時的に格納するデータベースであって、その品質管理結果は、物質分析装置が合成品質管理物質を経時的に分析することの結果を含む、データベースと、1つ以上のプロセッサと、命令を格納する少なくとも1つのメモリであって、その命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、品質管理結果に基づいて管理チャートを生成させ、管理チャートに基づいて複数の動作パラメータのうちのあるパラメータが許容範囲外であると判定させ、許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに複数のサブシステムのうちの少なくとも1つを調節させる、メモリとを含む。種々の実施形態において、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、自動調節に関するオペレータへの視覚指示を提供させる。
【0010】
種々の実施形態において、データベースは、物質分析装置が複数の患者から得られたサンプルを経時的に分析することの結果を含む、以前の患者検査結果を格納する。命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、以前の患者検査結果に基づいて別の管理チャートを生成させ、別の管理チャートに基づいて複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定させ、別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに複数のサブシステムのうちの少なくとも1つのサブシステムを調節させる。
【0011】
種々の実施形態において、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、複数の動作パラメータのうちの別のパラメータが許容範囲外であると判定させ、別の許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするのにユーザの介入が必要であると判定させ、別のパラメータが許容範囲外であることをオペレータに知らせる視覚指示を提供させる。
【0012】
種々の実施形態において、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、患者サンプルに対して動作するのと同じ様態でブランクサンプルに対して動作する物質分析装置を用いてブランクサンプルを分析させ、ブランクサンプルの分析に基づいて物質分析装置がクリーニングされるべきであると判定させ、物質分析装置がクリーニングされるべきであることをオペレータに知らせる視覚指示を提供させる。
【0013】
種々の実施形態において、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、オンボードの貯蔵部からの合成品質管理物質にアクセスさせ、物質分析装置を用いて合成品質管理物質を分析してさらなる品質管理結果を提供させ、さらなる品質管理結果をデータベースに格納させる。
【0014】
種々の実施形態において、物質分析装置は、血液学分析装置である。種々の実施形態において、物質分析装置は、化学分析装置、凝固分析装置、又は尿分析装置のうちの少なくとも1つである。
【0015】
種々の実施形態において、物質分析装置は、フローサイトメータを含む。種々の実施形態において、複数のサブシステムは、流体サブシステム、光学サブシステム、及び電子サブシステムを含む。種々の実施形態において、複数の動作パラメータは、光学密度、流量、消衰チャネル(EXT)、低角前方光散乱チャネル(FSL)、直角散乱チャネル(RAS)、高角前方光散乱チャネル(FSH)、及び飛行時間型チャネル(TOF)を含む。
【0016】
本開示のいくつかの態様によれば、ポイント・オブ・ケア医療診断のためのシステムは、合成品質管理物質を収容するオンボードの貯蔵部と、複数の動作パラメータを有し且つ患者サンプルを分析し且つ合成品質管理物質を分析するように構成された物質分析装置を含む複数のサブシステムと、データベースと、1つ以上のプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを含む。データベースは、物質分析装置が合成品質管理物質を経時的に分析することの結果を含む、経時的な品質管理結果と、物質分析装置が複数の患者から得られたサンプルを経時的に分析することの結果を含む、以前の患者検査結果と、物質分析装置がブランクサンプルを経時的に分析することの結果を含む、経時的なブランクサンプル結果とを含むデータを格納する。少なくとも1つのメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、システムに、ユーザの介入なしに自動的に、品質管理結果、以前の患者検査結果、及びブランクサンプル結果に基づいて少なくとも1つの管理チャートを生成させ、少なくとも1つの管理チャートに基づいて複数の動作パラメータのうちの1つのパラメータが許容範囲外であると判定させ、許容範囲外のパラメータを許容範囲内にするべくユーザの介入なしに複数のサブシステムのうちの少なくとも1つのサブシステムを調節させる命令を格納する。
【0017】
本開示の例示的な実施形態のさらなる詳細及び態様が、添付図を参照して以下でより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示のいくつかの態様に係る、品質管理動作の一実施形態のブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの態様に係る、品質管理に用いられる例示的な管理チャートの図である。
【
図3】本開示のいくつかの態様に係る、フローサイトメトリ分析装置の例示的なコンポーネントの図である。
【
図4】本開示のいくつかの態様に係る、種々の粒子に関する光学特性の例示的なプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、ポイント・オブ・ケア医療診断システムのための品質管理に関する。本明細書で用いられる場合の、ポイント・オブ・ケアは、ヒト又は動物の患者にケアが提供される場所を指し、医療診断システムは、患者から得られたサンプルを分析して患者の病状を診断することができるシステムを指す。したがって、医療診断システムは、限定はされないがフローサイトメータなどの患者サンプル分析装置を含む。
【0020】
品質管理は、一般に、診断システムに品質管理(QC)物質でそのパフォーマンスを実証させることを含み、QC物質での適切なパフォーマンスは、患者サンプルでの適切なパフォーマンスと相関する。本明細書で詳細に説明するように、提案されるシステム及び方法は、合成QC物質、患者に基づく品質管理、及び/又はブランク実行を用いる品質管理動作に関係する。本開示の一部は獣医学の血液学分析装置に焦点をあてることになるが、本明細書の説明は、化学分析装置、凝固分析装置、及び尿分析装置を含むがこれらに限定されない他のタイプの医療診断システムにも当てはまる。
【0021】
図1を参照すると、医療診断システムのための例示的な品質管理手順100の一実施形態のブロック図が示されている。品質管理手順100は、QC動作102、ブランク実行動作104、及び/又は患者データ動作106を含む。これらの動作102~106のそれぞれは、本明細書でより詳細に後で説明する。これらの動作102~106の結果は、データベース108に格納され、データベース108での情報は、次いで、管理チャート110を生成するのに用いられる。管理チャートは、
図2に関連してより詳細に後で説明する。管理チャート110に基づいて、品質管理手順は、医療診断システムの種々のコンポーネントが意図されたパラメータ内で動作しているかどうかを判定する112ことができる。システムが意図されたパラメータ内で動作している場合114、調節を行う必要はなく、システムは、スケジュールされたとき又はそうすることが要求されたときに、品質管理動作102~106を再び実行することができる。システムが意図されたパラメータ内で動作していない場合116、システムは、可能であれば自動的に調節を行う118ことができ、及び/又は自動調節が不可能であればオペレータに手動で調節を行うように警告する120ことができる。
【0022】
以下、
図1の品質管理実行102を説明する。その後、ブランク実行104、次いで、患者実行106を本明細書で説明する。
【0023】
品質管理実行102は、品質管理(QC)物質の使用を伴う。本開示のいくつかの態様によれば、合成の非生体材料であるが依然として生体材料のセンサ応答を模擬した又はそれに類似したセンサ応答をもたらすQC物質が提供される。種々の実施形態において、QC物質は合成物であるため、それらは固定細胞よりも長い保存寿命を有することができる。種々の実施形態において、QC物質は、室温で安定しており、室温で診断システムに内蔵して保管することができる。種々の実施形態において、診断システムは、内蔵したQC物質を指定された環境条件(冷凍又は他の方法など)で保管し、次いで、自動実行が望まれるときにそれらを適切に取り扱う(例えば、該物質を温める)ことができる。種々の実施形態において、必要に応じて内蔵した管理物質を補充すること以外のオペレータからのアクションは、品質管理動作を行うのに必要とされない。
【0024】
種々の実施形態において、QC物質は、血液学フローサイトメータの標準化及び校正用のポリマービーズとすることができる。ポリマービーズの例は、米国特許第6,074,879号で開示されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、当業者には理解されるであろう。種々の実施形態において、ポリマービーズは、ラテックス、ポリスチレン、ポリカーボネート、及び/又はメタクリレートポリマーを含み得る。
【0025】
固定細胞の品質管理物質では、該細胞が患者の天然細胞の代用物であっても、それらは天然サンプルの実際の細胞と比べて異なる化学的挙動を有する。したがって、これらの違いを明らかにするために、医療診断システムでは、固定細胞の分類は患者サンプルの分類とは異なる方法で行われる。対照的に、本開示のいくつかの態様によれば、QC物質は、医療診断システムが計数、測定、又は分析することを意図される細胞又は化学的特徴を模擬する又はこれに実質的に類似させることができ、したがって、天然サンプルと本開示のQC物質で同じ分類方法を用いることができる。
【0026】
本開示のいくつかの態様によれば、診断システムは、品質管理動作102~106を自動実行することができる。例えば、診断システムは、診断システム内に格納されたQC物質と共に機能する、フィードバックサブシステム100を含むことができる。QC物質とフィードバックサブシステムに基づいて、診断システムは、そのコンポーネントが意図されたパラメータ内で機能しているかどうか又は調節が必要とされるかどうかを判定することができる。種々の実施形態において、いくつかの調節は、診断システムによって自動的に行う118ことができる。このような自動調節は、診断精度を有益に維持し、重大な誤診を未然に防ぐことができる。他の調節は、ユーザの対話を必要とする場合があり、診断システムは、そのようなアクションに関するユーザへの指示120を提供することができる。したがって、ユーザは、診断システムを維持するためのアクション可能なガイダンス付きの自動警告の恩恵を受ける。種々の実施形態において、診断システムは、品質管理動作102~106に基づいて診断システムのパフォーマンスに関するユーザへの指示を提供することができる。
【0027】
種々の実施形態において、自動的に行うことができない調節に関して、診断システムは、診断システムの製造業者又はサービス業者に電子メッセージ又はレポートを通信することができる。製造業者又はサービス業者は、このような電子メッセージ/レポートを様々な方法で用いることができる。種々の実施形態において、電子メッセージは、診断システムのサービスをスケジュールするのに用いることができる。種々の実施形態において、電子メッセージを複数の診断システムに関して集計することができ、診断システムの種々のコンポーネントのパフォーマンス傾向を分析して判断することができる。このような情報は、設計の修正又は改善から恩恵を受ける可能性のある領域を特定するのに有用であり得る。
【0028】
種々の実施形態において、品質管理手順100は、診断システムを管理の良い状態に保つために毎日自動的に行うことができる。例えば、品質管理手順100は、毎日AM2:00に又は別の時間に自動的に行うことができる。人間医学での自動血液学分析装置は、品質管理手順100を、政府機関の規制で一般に要求される頻度である、8時間シフトにつき少なくとも1回行うことができる。獣医学での血液学分析装置には品質管理の規制要件はない。したがって、獣医学オフィスでは、品質管理手順100はより少ない頻度で行うことができる。種々の実施形態において、品質管理手順100を実行する頻度は、患者サンプルが分析される頻度がどれほど多いか又はどれほど少ないかに依存し得る。例えば、獣医学オフィスでは、患者サンプルを1日にほとんど分析しない又は1日に1サンプルしか分析しない場合がある。このようなオフィスでは、品質管理手順100を1日1回実行するとオフィスで用いられる試薬のコストが2倍になるであろう。したがって、このようなオフィスでは、品質管理手順100を実行する頻度はそれほど頻繁ではなくてもよい。種々の実施形態において、獣医学での血液学分析装置は、品質管理分析を月に1回の頻度で行うことができる。
【0029】
本開示のいくつかの態様によれば、品質管理テスト102~106に関係する情報を、データベース108に格納することができる。データベースは、SQLデータベース、NoSQLデータベース、又は別のタイプのデータベースなどの任意のタイプのデータベースとすることができる。
【0030】
種々の実施形態において、QC結果は、
図2に示すようにリービー-ジェニングズチャートなどの管理チャート110にプロットすることができ、目標値又は範囲と比較することができる。種々の実施形態において、管理チャートルールは、システムが管理されているかどうかを判定する112ことができる。種々の実施形態において、どのパラメータが管理されておらず修正行為を必要とし得るか116、及び、どのパラメータが管理されており変更を必要としないか114を判定するために、複数のパラメータに関する管理チャート110を生成することができる。
【0031】
種々の実施形態において、品質管理物質は、通常レベル、高レベル、及び低レベルを含む3レベルの制御を可能にする所定の濃度で提供することができる。3つのレベルがあることにより、ユーザは、診断システムが正常範囲と異常範囲を検出するのに適正に機能しているかどうかを確認することができる。種々の実施形態において、各レベルは管理チャートで示すことができる。管理チャートは、
図2に示すように分析装置のヒストリカルパフォーマンスを実証することができ、比較的小さい変更を含めて、変更が必要なときを検出する方法を提供することができる。種々の実施形態において、オペレータは管理チャートにアクセスしてこれを見ることができる。種々の実施形態において、管理チャートは、
図2に示すようなチャートの形態である必要はなく、様々な方法で実装することができる。例えば、種々の実施形態において、管理チャートは、時間と相関する又はデータサンプルナンバーと相関する、格納されたデータ値の編成体として実装することができる。
【0032】
種々の実施形態において、管理チャートのデータから校正の必要性を判定することができる。技術者は、管理されていないパラメータが診断システムコンポーネントの再校正を必要とするかどうか、又はコンポーネントのクリーニングなどの他の行為が代わりに行われるべきであるかどうかを判定することができる。一般に、他のすべての機能が確認された後で、校正変更が最後に行われる。
【0033】
したがって、本明細書で前述したのは、概して、医療診断システムの品質管理の種々の態様である。以下、特に、フローサイトメトリに基づく診断システムと、このようなシステムの品質管理の態様を説明する。フローサイトメトリに基づく分析装置の例は、米国特許第7,324,194号に示され説明されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、当業者には理解されるであろう。
【0034】
フローサイトメトリシステムには、流体サブシステム、光学サブシステム、及び電子サブシステムなどのサブシステムが含まれる。
図3を参照すると、流体サブシステムは、サンプルを、細胞のストリームなどの粒子のストリームに配列する。光学サブシステムは、レーザビームを各細胞に誘導し、光検出器を用いて散乱光を検出することによって、各細胞を分析する。細胞のサイズ、複雑さ、粒度、及び直径に応じて光が散乱し、これにより各細胞タイプの「フィンガープリント」が形成される。一例を
図4に示す。電子サブシステムは、サンプルストリームの細胞/粒子を分類する、計数する、及び/又は他の方法で分析するべくフィンガープリントを処理することができる。
【0035】
フローサイトメトリシステムは、入力サンプルから特定の散乱パターン及び位置が生成されるように流体サブシステム、光学サブシステム、及び電子サブシステムを調節する一連の設定及びパラメータを有する。これらのサブシステムがすべて適正に機能するとき、システムは、認識アルゴリズムを用いて散乱出力を特定の細胞と相関させることができる。しかしながら、これらのパラメータがシフトする場合、認識アルゴリズムは機能しないことがある。別のレベルの調節が校正プロセスの一部であり、そこでは、種々の校正パラメータを用いて、出力結果を所与のサンプルセットの参照値と一致するように調節する。診断システムがドリフト又はシフトする場合、校正パラメータは、出力結果が参照値と確実に一致し続けるように調節される必要があり得る。
【0036】
本開示のいくつかの態様によれば、血液学のためのフローサイトメータは、診断システムの主要な機能が正確且つ精度の良い結果をもたらすことを含めて制御された様態で動作することを保証するために、品質管理手順(
図1の100)を用いることができる。
図1の品質管理手順によって、血液学システムの以下の態様及びパラメータをテストし、傾向分析することができる。
分析前: サンプルが適切に混合されているか。種々の実施形態において、医療診断システムのボルテックスミキサによって、品質管理物質の混合を行うことができる。ボルテックスミキサは、品質管理物質を15秒などの数秒から15分などの数分間混合することができる。
希釈: システムが、サンプルボリューム、試薬ボリューム、及び混合を含めて、適正な希釈を行っているか。種々の実施形態において、光学密度などのフローサイトメトリシステムの態様をテストすることができる。種々の実施形態において、光学密度は、赤色色素などの有色色素サンプルを用いてテストすることができる。
システムの化学:試薬がサンプルと適切に相互作用しているか。
流体系: 希釈されたサンプルが検出方法に適した状態で存在しているか。種々の実施形態において、流量などのフローサイトメトリシステムの態様をテストすることができる。
センサ: 細胞が検出システムと適正な様態で相互作用しているか。種々の実施形態において、消衰チャネル(EXT)、低角前方光散乱チャネル(FSL)、直角散乱チャネル(RAS)、高角前方光散乱チャネル(FSH)、及び/又は飛行時間型チャネル(TOF)などのフローサイトメトリシステムの態様をテストすることができる。
信号処理: 細胞信号が適切な信号対雑音比で存在しているか。
分類アルゴリズム: アルゴリズムが個体群を適正に識別するように細胞が検出システムに適切に存在しているか。
結果: システムが精度の良い正確な結果を提供しているか。
【0037】
以下、
図1のブランク実行動作104を説明する。フローサイトメータの流体サブシステムは、全血サンプルを試薬と組み合わせること、それらを混合すること、及びそれらをレーザ光学サブシステムに移動することを担う。フローサイトメータの流体サブシステムは、常に試薬を収容しており、一般に、サンプル実行の準備ができていることを保証するためにメンテナンス手順を必要とする。診断システムが1日に1回又は数日に1回実行されるとき、流体サブシステムは、例えば、流体ライン内のタンパク質、細菌、染料、又は塩分濃度によって「汚れる」リスクがある。本開示のいくつかの態様によれば、流体サブシステムを清浄に保つために定期的なフラッシュを行うことができる。種々の実施形態において、定期的なフラッシュは、サンプルが存在するかのように行われるが、実際にはどのようなサンプルも存在しない状態での診断システムの実行である、「ブランク」実行を用いることによって行うことができる。これらのブランク実行の結果を記録108し、流体サブシステムの清浄度を判定し、記録されたデータの何らかの傾向を評価するべくチャート化110することができる。種々の実施形態において、ブランク実行動作104は、定期的に、或いはスケジュールされた又は要求されたとおりに、診断システムによって自動的に行うことができる。ブランク実行はサンプルが存在するかのように行われるので、ブランク実行では試薬が用いられ、より迅速に消費される。
【0038】
ブランク実行104は、診断システムの清浄度を測定し、1つの実行から次の実行へのサンプルのキャリーオーバーがないことを保証することができる。特に、ブランク実行では、光路内に堆積がある又は種々のコンポーネントに他の摩耗状態が存在する場合に、診断システムのセンサ値がシフトすることになる。ブランク実行データの傾向分析では、ヒストリカルな傾向を用いて継続的に清浄度をチェックすることができる。いくつかの清浄度の問題は修正することができる。例えば、オペレータは、光路内の堆積を除去するために診断システムで漂白剤サンプル実行を行うことができ、又は、診断システムに侵入した可能性がある細菌コロニーを殺菌するために殺生物剤サンプル実行を行うことができる。したがって、ブランク実行104は、このような状態を識別し、このような状態に対処するためのアクションをオペレータに警告することができる。種々の実施形態において、いくつかの診断システム測定では、ヘモグロビンの透過率測定などにおいて、結果を自己校正するための参照としてブランク実行を用いることができ、その場合、ベールの法則に従って光学透過率を求めるために、ブランク値はサンプル値との比で用いられる。
【0039】
以下、
図1の患者データ実行106の態様を説明する。新鮮でないサンプルの管理手法は、試薬の化学とアルゴリズムの効果を評価する能力が制限される。このような制限を考慮して、本開示のいくつかの態様によれば、品質管理手順は、複数の患者の患者データに基づくフィードバック制御手法で強化することができる。正常データ範囲と異常データ範囲を判定するのに患者データを用いる例が米国特許出願公開第2015/0025808号で説明されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、当業者には理解されるであろう。
【0040】
種々の実施形態において、患者実行動作106は、患者サンプルに基づいてデータ範囲及び傾向を判定するべく、種々の平均技術を用いて患者サンプルを順次に平均することを含む。このデータは、データベース108に格納することができ、管理チャート110を生成するのに用いることができる。種々の実施形態において、患者サンプル結果を患者データに基づく管理チャートと比較することによって診断システムが管理されているか否かを判定するために、管理チャートルール112を適用することができる。種々の実施形態において、品質管理の目的での患者実行動作106は、定期的に、或いはスケジュールされた又は要求されたとおりに、診断システムによって自動的に行うことができる。
【0041】
種々の実施形態において、イヌの管理チャート又はネコの管理チャートなどの、診断システムによってサポートされる各動物種に関する別個の管理チャート110を生成することができる。種々の実施形態において、種固有の個体群の結果に基づいて校正調節を行うことができる。
【0042】
したがって、本明細書で説明されるのは、オンボードの自動ビーズ分析、自動ブランク実行、及び/又は傾向のある患者サンプル(種別)の統合であり、これは、診断システムが制御されているかどうかだけでなく、制御されていない場合にどのコンポーネントが故障しているかも判断するための新しい手法を提供する。手動介入が必要とされる場合、アクション可能なガイダンスをオペレータに自動的に提供することができる。または、診断システムを意図されたパラメータ内に収まるように自動調節することができる場合、診断システムは、自動調節を行い、適宜オペレータに通知することになる。
【0043】
本明細書で開示される実施形態は、本開示の例であり、様々な形態で具体化され得る。例えば、本明細書で特定の実施形態が個別の実施形態として説明されているが、本明細書での実施形態のそれぞれは、本明細書での他の実施形態のうちの1つ以上と組み合わされてもよい。本明細書で開示される特定の構造的及び機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、請求項の根拠として、及び事実上任意の適切な詳細な構造で本開示を様々に使用するべく当業者に教示するための代表的根拠として解釈されるべきである。図面の説明の全体を通して、同様の参照符号は、同様の又は同一の要素を指す場合がある。
【0044】
「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「種々の実施形態において」、「一部の実施形態において」、「種々の実施形態において」、又は「他の実施形態において」という文言は、それぞれ、本開示に係る同じ又は異なる実施形態のうちの1つ以上を指す場合がある。「A又はB」という形式の文言は、「(A)、(B)、又は(A及びB)」を意味する。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という形式の文言は、「(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)」を意味する。
【0045】
本明細書で説明した方法、プログラム、アルゴリズム、又はコードのいずれも、プログラミング言語又はコンピュータプログラムに変換され得る又はそれらで表現され得る。本明細書で用いられる場合の「プログラミング言語」及び「コンピュータプログラム」という用語は、それぞれ、コンピュータへの命令を指定するのに用いられる任意の言語を含み、以下の言語及びそれらの派生語:Assembler、Basic、バッチファイル、BCPL、C、C+、C++、Delphi、Fortran、Java、JavaScript、マシンコード、Matlab、オペレーティングシステムコマンド言語、Pascal、Perl、PL1、Python、スクリプト言語、Visual Basic、それ自体がプログラムを指定するメタ言語、及びすべての第1、第2、第3、第4、第5、又はそれ以降の世代のコンピュータ言語を含む(がこれらに限定されない)。また、データベース及び他のデータスキーマ、及び任意の他のメタ言語も含まれる。解釈される手法、コンパイルされる手法、又はコンパイルされる手法と解釈される手法との両方の手法を用いる言語の区別はない。プログラムのコンパイルされたバージョンとソースバージョンの区別はない。したがって、プログラミング言語が1つよりも多い状態(ソース、コンパイル済み、オブジェクト、またはリンク付き)で存在し得るプログラムへの言及は、ありとあらゆるそのような状態への言及である。プログラムへの言及は、実際の命令及び/又はそれらの命令の意図を含み得る。
【0046】
上記の説明は本開示の単なる例示であることを理解されたい。当業者は本開示から逸脱することなく種々の代替及び修正を考案することができる。したがって、本開示は、すべてのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。添付図を参照して説明される実施形態は、本開示の特定の例を実証するためにのみ提示されている。上記及び/又は付属の請求項に記載されているものとは実質的に異なる他の要素、ステップ、方法、及び技術が、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0047】
本明細書で説明されるシステムはまた、様々な情報を受け取り、受け取った情報を変換して出力を生成するために1つ以上のコントローラを使用することができる。コントローラは、メモリに格納されている一連の命令を実行することができる任意のタイプのコンピューティングデバイス、計算回路、又は任意のタイプのプロセッサ又は処理回路を含むことができる。コントローラは、複数のプロセッサ及び/又はマルチコア中央処理装置(CPU)を含むことができ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの任意のタイプのプロセッサを含むことができる。コントローラは、エンドユーザの場所にあるデバイス又はシステム内に配置されてよく、製造業者又はサービス業者の場所にあるデバイス又はシステム内に配置されてよく、又はクラウドコンピューティングプロバイダに配置されたクラウドコンピューティングプロセッサであってよい。コントローラはまた、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに1つ以上のプロセッサに1つ以上の方法及び/又はアルゴリズムを行わせるデータ及び/又は命令を格納するためにメモリを含むことができる。
【0048】
本明細書で説明した方法、プログラム、アルゴリズム、又はコードのいずれも、プログラミング言語又はコンピュータプログラムに変換され得る又はそれらで表現され得る。本明細書で用いられる場合の「プログラミング言語」及び「コンピュータプログラム」という用語は、それぞれ、コンピュータへの命令を指定するのに用いられる任意の言語を含み、以下の言語及びそれらの派生語:Assembler、Basic、バッチファイル、BCPL、C、C+、C++、Delphi、Fortran、Java、JavaScript、マシンコード、オペレーティングシステムコマンド言語、Pascal、Perl、PL1、スクリプト言語、Visual Basic、それ自体がプログラムを指定するメタ言語、及びすべての第1、第2、第3、第4、第5、又はそれ以降の世代のコンピュータ言語を含む(がこれらに限定されない)。また、データベース及び他のデータスキーマ、及び任意の他のメタ言語も含まれる。解釈される手法、コンパイルされる手法、又はコンパイルされる手法と解釈される手法との両方の手法を用いる言語の区別はない。プログラムのコンパイルされたバージョンとソースバージョンの区別はない。したがって、プログラミング言語が1つよりも多い状態(ソース、コンパイル済み、オブジェクト、またはリンク付き)で存在し得るプログラムへの言及は、ありとあらゆるそのような状態への言及である。プログラムへの言及は、実際の命令及び/又はそれらの命令の意図を含み得る。
【0049】
上記の説明は本開示の単なる例示であることを理解されたい。当業者は本開示から逸脱することなく種々の代替及び修正を考案することができる。したがって、本開示は、すべてのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。添付図を参照して説明される実施形態は、本開示の特定の例を実証するためにのみ提示されている。上記及び/又は付属の請求項に記載されているものとは実質的に異なる他の要素、ステップ、方法、及び技術が、本開示の範囲内であることが意図されている。