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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20230106BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20230106BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20230106BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20230106BHJP
【FI】
H01M50/588
H01M50/107
H01M50/121
H01M50/591
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021137570
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】521377100
【氏名又は名称】赤羽 康秀
(74)【代理人】
【識別番号】100131657
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 律次
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 康秀
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0171517(US,A1)
【文献】特開2003-017082(JP,A)
【文献】特開2008-305582(JP,A)
【文献】特開2004-259514(JP,A)
【文献】特開平11-339735(JP,A)
【文献】実開平06-036205(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0267639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/584 - 597
H01M 50/102 - 129
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池本体と、当該電池本体の側面を覆う絶縁性の外装フィルムとからなる電池であって、
前記外装フィルムは、電池側面に形成された溝部に沿って絞った絞り部を有すると共に、引き裂き部を有し、当該引き裂き部で引き裂いて前記電池本体の正極側又は負極側に引っ張った際に、当該正極又は負極を覆うことができるように形成されることを特徴とする電池。
【請求項2】
電池本体と、当該電池本体の側面を覆う絶縁性の外装フィルムとからなる電池であって、
前記外装フィルムは、前記電池本体の正極側又は負極側に引っ張った際に、当該正極又は負極を覆うことができる分だけ前記側面に折り畳んで形成される折り畳み部を有することを特徴とする電池。
【請求項3】
前記折りたたみ部は、引き裂き部を有することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記折りたたみ部は、引き出し部を有することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項5】
前記外装フィルムは、電池側面に形成された溝部に沿って絞った絞り部を有することを
特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電化製品、OA機器、携帯電話等には、各種の電池が使用されている。これらの電池は環境保護の面から分別回収されている。このような各種電池は容量が低下し、機器を使用できなくなると廃棄されるが、その段階でも電池単体は電気エネルギーを残している。そして、これらの電池は、一般的にボール箱や金属製の缶、プラスチック製の容器等の回収箱に一旦回収され、一定量が集まってから専用業者に引き渡されて廃棄処理が行われてきた。
【0003】
しかしながら、このような廃棄方法では、回収箱に多量の電池が集積されると、電池の端子同志が互いに接触してショートすることにより発熱し、それが原因で火災になったり、作業者が火傷をしたりする恐れがあるという問題があった。
【0004】
この対策として、廃棄電池にキャップをするなどの対策がなされることもある(例えば、特許文献1)。しかしながら、電池用のキャップは電池を使用している間どこかに保管場所を確保する必要があるという問題や、当該キャップを紛失してしまう問題があった。また廃棄時にそのキャップを探して付けるのが面倒であるという問題もあった。
【0005】
【文献】特開平8-287899
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、保管場所の確保や紛失の恐れがなく、使用済みの電池を簡単にその場で絶縁して廃棄できる電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電池は、電池本体と、当該電池本体の側面を覆う絶縁性の外装フィルムとからなるものであって、前記外装フィルムは、引き裂き部を有すると共に、当該引き裂き部で引き裂いて前記電池本体の正極側又は負極側に引っ張った際に、当該正極又は負極を覆うことができるように形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の形態の電池は、電池本体と、当該電池本体の側面を覆う絶縁性の外装フィルムとからなるものであって、前記外装フィルムは、前記電池本体の正極側又は負極側に引っ張った際に、当該正極又は負極を覆うことができる分だけ前記側面に折り畳んで形成される折り畳み部を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記折りたたみ部は、引き裂き部を有するものであってもよい。
【0010】
また、前記折りたたみ部は、引き出し部を有するものであってもよい。
【0011】
また、前記外装フィルムは、電池側面に形成された溝部に沿って絞った絞り部を有する方が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電池は、外装フィルムを用いて、使用済みの電池の正極又は負極を簡単に、その場で絶縁して廃棄できるため、集積しても、その電池が発熱して火災になったり、作業者が火傷等を負ったりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電池について説明する側面図である。
図2】本発明の廃棄時の電池を説明する側面図である。
図3】本発明の電池の引き裂き部について説明する側面図である。
図4】本発明の電池の製造方法について説明する斜視図である。
図5】本発明の別の電池について説明する側面図である。
図6】本発明の別の電池の(a)引き裂き部および(b)隙間部について説明する側面図である。
図7】本発明の別の電池の製造方法について説明する斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の電池は、図1に示すように電池本体1と、当該電池本体1の側面を覆う絶縁性の外装フィルム2とで主に構成される。
【0015】
電池本体1は、単4形、単3形などの円筒状の乾電池や、直方体状の乾電池などの一般的な乾電池の外装フィルムを除く部分を意味する。電池本体1は従来の電池の製造方法を用いて作成すればよい。
【0016】
外装フィルム2は、電池使用時には電池本体1の側面を覆い、電池側面の正極11又は負極12からの漏電を防ぐためのものである。また、電池廃棄時には、図2のように電池本体1から引き出して正極11または負極12を覆い隠すためのものである。外装フィルム2は絶縁性のフィルムであればどのようなものでも良いが、例えばポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いれば良い。
【0017】
また、外装フィルム2は、当該外装フィルム2の一部を引き裂くための引き裂き部21を有する。これにより、引き裂き部21で一部を引き裂かれた外装フィルム2は、電池本体1から引き剥がしやすくなると共に、電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出しやすくなる。このようにして電池本体1から引き剥がされ、電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出された外装フィルム2は、当該電池本体1の正極又は負極を覆うことができる。
【0018】
引き裂き部21としては、外装フィルム2を電池本体1から正極11側又は負極12側に引っ張りやすくするために外装フィルム2の端部を引き裂ければどのようなものでも良い。例えば、外装フィルム2を引き出したい方向とは反対の端、例えば、負極12に引き出したいのであれば正極11の端に、図1に示すようにミシン目211を形成することができる。これにより、ミシン目211によって外装フィルム2を簡単に引き裂くことができる。また、図3に示すように、電池本体1と外装フィルム2との間に外装フィルム2より強度のある紐212を入れてもよい。これにより、当該紐212を引っ張ると外装フィルム2を簡単に引き裂くことができる。
【0019】
電池本体1への外装フィルム2の被覆は、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、図4(a)に示すように、予め引き裂き部21を形成したシートを作成する。次に、図4(b)、図4(c)に示すように、このシートを巻いて接着する等の周知の方法で、電池本体1に被覆すればよい。
【0020】
また、本発明の別の形態の電池は、図5に示すように、電池本体1と、当該電池本体1の側面を覆う絶縁性の外装フィルム2とからなる電池であって、外装フィルム2は、折り畳み部22を有するように形成される。
【0021】
折り畳み部22は、電池本体1の正極11側又は負極12側に引っ張った際に、当該正極11又は負極12を覆うことができる分だけ電池本体1の側面に折り畳んで形成される。これにより、折り畳み部22のみを電池本体1から引き出せるため、電池本体1の表面から外装フィルム1を引き剥がす必要がなく、また、外装フィルム2が電池本体1から剥がれ落ちるのを防止することができるという利点がある。
【0022】
また、図5(a)では、電池本体1の正極11側又は負極12側の端部で1回折り曲げて二つ折りにした場合について説明したが、当該折り畳み部22は、図5(b)に示すように三つ折りにしてもよい。三つ折りの場合、外装フィルム2の端部が電池本体の端部側にあるため、当該外装フィルム2を正極11側又は負極12側に引き出しやすいという利点がある。
【0023】
また、折り畳み部22は、図6(a)に示すように、折り畳み部22を引き裂くための引き裂き部23を有していてもよい。これにより、引き裂き部23で引き裂かれた折り畳み部22は拡開するため、電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出しやすくなる。また、図6(b)に示すように、折り畳み部22に縦方向に隙間部24を形成しておいてもよい。この場合も、折り畳み部22は拡開しやすくなるため、電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出しやすくなる。このようにして電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出された外装フィルム2の折り畳み部22は、当該電池本体1の正極又は負極を覆うことができる。
【0024】
電池本体1への外装フィルム2の被覆は、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、図7(a)に示すように、予め二つ折り又は三つ折りに折り畳んだ折り畳み部22と、折り畳んでいないのりしろ部25を形成したシートを作成する。折り畳み部22の横方向(外装フィルム2としたときの周回方向)の長さは、電池本体1の外周の長さと同じにすればよい。また、折り畳み部22の縦方向(外装フィルム2としたときの周回方向と垂直な方向)の長さは、電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出した際に、当該正極又は負極を覆い隠すことができる長さとすればよい。次に、図7(b)、図7(c)に示すように、糊代部25側からシートを巻いて接着する等の周知の方法で、電池本体1に被覆すればよい。
【0025】
引き裂き部23や隙間部24を形成する場合には、図7(a)~(c)に示すように、予めシートの折り畳み部22の端部に形成しておけばよい。また、折り畳み部22の横方向(外装フィルム2としたときの周回方向)の長さを、電池本体1の外周の長さよりやや短く形成すれば、図7(d)に示すように、外装フィルム2を電池本体1に巻いた際、のりしろ部25上に隙間部24を形成することもできる。
【0026】
また、電池本体1の側面には、通常正極11側と負極12側を組み合わせる際にプレスしてかしめた溝部13がある。外装フィルム2は、図1に示すように、この溝部13に沿って絞った絞り部26を有する方が好ましい。これにより、図2に示すように、外装フィルム2を電池本体1の正極11側又は負極12側に引き出した際に、外装フィルム2が絞り部26で電池本体1に固定されているので、電池本体1から外装フィルム2が抜け落ちることを防止することができる。絞り部26を溝部13に沿って形成するためには、例えば外装フィルム2を熱収縮性フィルムで作成しておき、電池本体1に巻き終わった後、熱を掛けて収縮させればよい。
【0027】
次に、本発明の電池の使用方法を説明する。本発明の電池は、廃棄する際に、電池本体から外装フィルム2を引き出し、正極または負極を覆うようにすればよい。この際、正極または電極を覆った後に、図2に示すように、引き出した外装フィルム2捻るなどすれば、電池を確実に絶縁することができる点で好ましい。このようにして、使用済みの電池の正極又は負極を簡単にその場で絶縁して廃棄できるため、集積しても電池の端子同志が互いに接触してショートすることを防止することができる。したがって、電池が発熱して火災になったり、作業者が火傷等を負ったりする危険を防止することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 電池本体
2 外装フィルム
11 正極
12 負極
13 溝部
21 引き裂き部
22 折り畳み部
23 引き裂き部
24 隙間部
25 糊代部
26 絞り部
211 ミシン目
212 紐
【要約】
【課題】 保管場所の確保や紛失の恐れがなく、使用済みの電池を簡単にその場で絶縁して廃棄できる電池を提供すること。
【解決手段】 電池本体1と、当該電池本体1の側面を覆う絶縁性の外装フィルム2とからなる電池であって、外装フィルム2は、引き裂き部21を有すると共に、当該引き裂き部21で引き裂いて電池本体1の正極11側又は負極12側に引っ張った際に、当該正極11又は負極12を覆うことができるように形成される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7