(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】コンプトンおよび単一光子放射断層撮影マルチモーダル医療用画像システム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20230106BHJP
G01T 1/164 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T1/161 B
G01T1/164 A
(21)【出願番号】P 2021505825
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045466
(87)【国際公開番号】W WO2020032922
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヤ,アレクサンダー ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ミーシャー
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0301535(US,A1)
【文献】米国特許第09606245(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172847(US,A1)
【文献】特表2017-522543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008565(US,A1)
【文献】特表2008-522168(JP,A)
【文献】特表2005-514975(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0251419(US,A1)
【文献】特開2004-125757(JP,A)
【文献】特開2017-026423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0084624(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の捕獲検出器(13)と、
前記
第1の捕獲検出器(13)から離間
して第1の散乱検出器(12)
を着脱可能に保持する第1保持部と、
開口を有する第1の物理的開口部(110)と、
患者空間と前記第1の捕獲検出器(13)との間
に前記第1の物理的開口部(110)
を着脱可能に保持する第2保持部と、
を有する第1のモジュール(11)と、
前記第1の散乱検出器(12)が前記第1のモジュール(11)に含まれる場合にコンプトン事象の入射角を決定し、前記第1の物理的開口部(110)が前記第1のモジュール(11)に含まれる場合に光電事象を計数する
、ように構成された、画像プロセッサ(19)と、
を備え
、
前記第1の物理的開口部(110)は、前記第1の捕獲検出器(13)上の異なる位置で陰影を投影するために、軸周りに回転可能である、および/または、前記軸に垂直な平面内で並進可能に構成されている、
マルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項2】
前記第1の物理的開口部(110)は、鉛またはタングステンからな
り、コード化された開口を含む、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項3】
前記
第1の物理的開口部
(110)は、時間コード化開口部を備え
る、請求項1又は2に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項4】
前記第1の捕獲検出器(13)および前記第1の物理的開口部(110)は平行であり、
前記第1の物理的開口部(110)は
、前記第1の捕獲検出器(13)の
中心を含む領域である中心領域に陰影を有し、
前記中心領域の外側の領域である外側領域には陰影を有さず、
前記画像プロセッサ(19)は、前記外側領域ではなく前記中心領域からの光電事象をカウントし、主に前記外側領域からの光子相互作用事象を伴う前記コンプトン事象の入射角を決定するように構成される、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項5】
第2の散乱検出器(12)および第2の物理的開口部(110)
をそれぞれ着脱可能に保持する保持部と第2の捕獲検出器(13)
とを備える第2のモジュール(11)をさらに備え、
前記第1および第2のモジュール(11)は、
前記患者空間からの放射に直交する断面において、3つ、5つ、または6つの側面を有する、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項6】
前記第1及び第2のモジュール(11)は円柱対称であり、前記第1及び第2のモジュール(11)の各々の最も狭い端部が
前記患者空間に最も近く、前記第1及び第2のモジュール(11)の各々の最も広い端部が前記患者空間から最も離れている、請求項5に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項7】
前記第1のモジュール(11)
は、
前記第1の捕獲検出器(13)に直交する回路基板、
前記第1の捕獲検出器(13)との特定用途向け集積回路、
前記特定用途向け集積回路を前記回路基板に接続するフレキシブル回路、および
前記第1
の捕獲
検出器(13)と前記第1
の散乱
検出器との間
に配置され、1つ以上の追加捕獲
検出器および/または散乱
検出器のそれぞれを着脱可能に保持する保持部をさらに含む、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項8】
前記第1のモジュール(11)が、
前記患者空間の周りのリング(120)または部分リングの一部である、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項9】
前記リング(130)または部分リング用
、および
、別のリング(132)または部分リング
を構成するための追加のモジュール群(11)をさらに含み、
前記別のリング(132)または部分リングは、前記追加のモジュール群のうちの2つ(134)において前記リングまたは部分リングと交差している、請求項8に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項10】
前記リング(130)または部分リングと、前記別のリング(132)または部分リングとは、90度離れている、請求項9に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項11】
前記第1のモジュール(11)を有する前記リングまたは部分リングに軸方向に隣り合い、前記第1のモジュール(11)からなる追加のリングまたは部分リングをさらに備え、
前記追加のリングまたは部分リングと前記リングまたは部分リングとは、ジオデシックドームの一部(140)を形成している、請求項8に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項12】
前記第1の散乱検出器(12)は、前記第1
保持部に着脱可能に保持され、前記第1の物理的開口部(110)は、
前記第2保持部に着脱可能に保持されており、
前記画像プロセッサ(19)は、前記計数から単一光子放射断層撮影像および前記コンプトン事象からのコンプトン画像を生成するように構成され、
前記単一光子放射断層撮影像および前記コンプトン画像を表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項13】
前記第1の散乱検出器(12)は、相対的により高いエネルギーが検出されるべき
位置に配された前記第1
保持部において前記第1のモジュール(11)に備えられ、
前記第1の物理的開口部(110)は、相対的により低いエネルギーが検出されるべき
位置に配された前記
第2保持部において前記第1のモジュール(11)に
備えられる、請求項1に記載のマルチモダリティ医療用画像システム。
【請求項14】
コード化開口部を形成するプレート(110)および散乱検出器(12)のいずれかまたは両方と共に使用されるように配置された第1の検出器(13)を各々有する複数の固体検出器モジュール(11)を備え、
前記固体検出器モジュール(11)が互いに積み重なってジオデシックドームの一部を形成するように、前記固体検出器モジュール(11)は、
患者空間の長手方向
に沿った患者軸
に対して垂直な半径方向に対して垂直な断面において、3つ、5つ、または6つの側面を有
し、
前記固体検出器モジュール(11)の各々が前記プレート(110)を備え、前記プレートは、それぞれの固体検出器モジュール(11)内の第1の検出器(13)に対して回転可能および/または並進可能である、
医療用画像システム。
【請求項15】
画像プロセッサ(19)をさらに備え、
前記固体検出器モジュール(11)の各々は、前記散乱検出器(12)および前記プレート(110)を
備えており、
前記プレート(110)は、前記散乱検出器(12)と前記第1検出器(13)との間にあり、
前記画像プロセッサ(19)は、前記プレート(110)および前記第1検出器(13)を用いた光電効果を利用して放射を検出し、前記散乱検出器(12)および前記第1検出器(13)を用いたコプトン効果を利用して放射を検出する、ように構成され
ている、請求項14に記載の医療用画像システム。
【請求項16】
前記ジオデシックドームの前記一部を形成するための前記積み重ねは、複数の前記固体検出器モジュール(11)のうちの2つを共有する2つの別々のリング(130、132)を含む、請求項14に記載の医療用画像システム。
【請求項17】
第1の捕獲検出器(13)と、
前記第1の捕獲検出器(13)から離間して第1の散乱検出器(12)を着脱可能に保持する第1保持部と、
第1の物理的開口部(110)と、
患者空間と前記第1の捕獲検出器(13)との間に前記第1の物理的開口部(110)を着脱可能に保持する第2保持部と、
を備え、
前記第1の物理的開口部(110)は、前記第1の捕獲検出器(13)上の異なる位置で陰影を投影するために、軸周りに回転可能である、および/または、前記軸に垂直な平面内で並進可能に構成されている、
マルチモダリティ医療用画像システム用モジュール。
【請求項18】
コンプトンカメラおよび/または単一光子放射断層撮影カメラを形成するための方法であって、
捕獲検出器(13)をハウジング(21)に収容すること、ここで、前記捕獲検出器(13)は、コード化開口部(110)を使用して比較的低い放射エネルギーに使用可能であり、かつ、散乱検出器(12)を使用して比較的高い放射エネルギーに使用可能であるように配置されており、前記ハウジング(21)は、ジオデシックドームの一部として成形されている、および
前記コード化開口部(110)および前記散乱検出器(12)の選択された一方または両方と共に患者ベッド(60)に対してハウジング(21)を装着すること、
ここで、前記コード化開口部は、前記捕獲検出器(13)上の異なる位置で陰影を投影するために、軸周りに回転可能である、および/または、前記軸に垂直な平面内で並進可能に構成されている、
を含む方法。
【請求項19】
前記装着することは、
前記ハウジング(21)における前記散乱検出器(12)を使用する前記コンプトンカメラと、前記ハウジング(21)における前記コード化開口部(110)を使用する単一光子放射断層撮影撮像システムと、を含むマルチモダリティシステムの一部として、前記ハウジング(21)を備えるリング(120)または部分リングを形成すること、および前記ハウジング(21)からなる追加のリングまたは部分リングを形成すること、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記散乱検出器(12)及び前記捕獲検出器(13)を用いてコンプトン事象として第1の放射を検出し、
前記捕獲検出器(13)を用いて前記コード化開口部(110)を通過する光電事象として第2の放射を検出すること、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、単一光子放射断層撮影(SPECT)画像化などの核画像化に関する。
【背景技術】
【0002】
ゆっくりと回転し視野の広いSPECTシステムは、物理的なコリメータの存在に大きく依存している。平行多孔型コリメータは、位置敏感型検出器と組み合わせて画像を形成する。患者の放射性同位元素からの放射を光電効果によって検出するため、このコリメートSPECTシステムは、Tc99mのような低エネルギーの光子放出同位元素に限定されている。SPECT医療用の画像形成システムにおいて、画質と効率は重要なパラメータである。新しいSPECT画像形成システムでは、感度と画質の向上が望まれる機能であるとともに、より高い光子エネルギーの画像化の可能性が追加される。
【0003】
コンプトン効果により、より高いエネルギーの画像化(イメージング)が可能とされる。コンプトン画像システムは、テストプラットフォームとして構築され、散乱リングを組み立てた後に、大きなフレームワークに取り付けられた捕獲リングを組み立てるなどされている。また、ファントムの放射からコンプトンベースの事象を検出するために、電子機器が接続されている。しかしながら、コンプトン画像システムは、商業的な臨床現場において実用的に使用するための設計的および制約的要件に対応できていない。現状の提案では、臨床で画像プラットフォームに統合する機能が欠けているか、または商業的ニーズに対処するための設計および制約要件(すなわち、柔軟性および拡張性)が欠けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
はじめに、以下に記載される好ましい実施形態は、医療用画像化のための方法およびシステムを含む。マルチモダリティ画像システムは、光電効果および/またはコンプトン効果の選択可能な検出を可能としている。カメラまたは検出器は、捕獲検出器を備えるモジュールとされている。用途または設計に応じて、散乱検出器および/またはコード化された物理的開口部が、患者空間に対して捕獲検出器の前に配置される。そして、低エネルギーの場合、散乱検出器を通過する放射は、続いてコード化された開口部(以下、「コード化開口部」という)を通過し、光電効果を利用して捕獲検出器で検出される。あるいは、散乱検出器を設けないことも可能である。高エネルギーの場合は、一部の放射が散乱検出器で散乱し、散乱の結果生じた放射は、コード化開口部の中または傍らを通過し、コンプトン効果を利用して捕獲検出器で検出される。あるいは、コード化開口部は設けないことも可能である。散乱検出器とコード化開口部の両方が捕獲検出器と共に設けられている場合には、同じモジュールを使用して、光電効果とコンプトン効果の両方を利用した検出が可能となる。複数のモジュールを一緒に配置してより大きなカメラを形成してもよいし、1つのモジュールを単独で使用してもよい。モジュールを利用することによって、マルチモダリティ画像システムに適合するように、任意の数のモジュールを使用することができる。また、一つ以上のそのようなモジュールを他の画像システム(例えば、CTまたはMR)に追加して、マルチモダリティ画像システムとしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、マルチモダリティ医療画像システムは、第1の捕獲検出器と、捕獲検出器から離間された第1の散乱検出器の位置と、患者空間と第1の捕獲検出器との間の第1の物理的開口部の位置と、を有する第1のモジュールを含む。画像プロセッサは、第1の散乱検出器が第1のモジュール中に含まれる場合にコンプトン事象の入射角を決定し、第1の物理的開口部が第1のモジュール中に含まれる場合に光電事象を計測するように構成されている。
【0006】
第2の態様では、医療用画像システムは、コード化開口部を形成するプレート及び散乱検出器のいずれか又は両方と共に使用されるように配置された第1の検出器をそれぞれ備える、複数の固体検出器モジュールを含む。複数の固体検出器モジュールは、互いに積み重なってジオデシックドームの一部を形成するように、長手方向に沿う患者軸から延びる半径方向(a radial、放射)に対して垂直な断面において、3つ、5つ、または6つの側面を有する固体検出器モジュールを含む。
【0007】
第3の態様では、コンプトンカメラおよび/または単一光子放射断層撮影カメラを形成するための方法が提供される。捕獲検出器は、ハウジング内に収容されている。捕獲検出器は、コード化開口部と共に比較的低い発光エネルギーに対して使用可能であり、また、散乱検出器と共に比較的高い発光エネルギーに対して使用できるように配置される。ハウジングは、ジオデシックドームの一部として成形される。ハウジングは、コード化開口部および散乱検出器のうちで選択された1つまたは両方と共に、患者ベッドに対して取り付けられる。
【0008】
本発明は、次の特許請求の範囲によって定義され、この欄のいかなる内容も、それらの特許請求の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本発明の更なる態様及び利点については、好ましい実施形態と関連して以下において説明し、これらを独立して又は組合せて特許請求する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
構成要素及び図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。さらに、図面に関し、同一の参照符号は、互いに異なる図全体にわたり対応する部分を示している。
【0010】
【
図1】一実施形態によるコンプトンカメラの複数
のモジュールの
斜視図である;
【
図4A】コンプトンカメラの一実施形態の側面図である。
【
図5】医療用画像システムにおけるコンプトンカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図6】医療用画像システムにおけるフルリングコンプトンカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図7】医療用画像システムにおける部分リングコンプトンカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図8】医療用画像システムにおける軸方向
に伸長する部分リングを備えたフルリングコンプトンカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図9】医療用画像システムにおける単一モジュールベースのコンプトンカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図10】コンプトンカメラを形成する方法の一実施形態のフローチャート図である。
【
図11】光電効果とコンプトン効果の両方を使用して
画像化するための
、コード
化開口部を
介在して備えた散乱検出器及び捕獲検出器を示す図である。
【
図12】ジオデシックドーム状構造
用に成形されたモジュール
を用いたフルリングマルチモダリティカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図13】ジオデシックドーム状構造
用に形成されたモジュール
を用いたデュアルリングマルチモダリティカメラの一実施形態の
斜視図である。
【
図14】ジオデシックドーム状構造
用に成形されたモジュール
を用いたマルチモダリティカメラにおいて軸方向
に重ねられた複数のフルリングの一実施形態の
斜視図である。
【
図15】ジオデシックドーム状構造
用に形
づくられた3つのモジュールから
作製されたマルチモダリティカメラの
一実施形態の
斜視図である。
【
図16】ジオデシックドーム状構造
用に形
づくられた3つのモジュールから
作製された光電効果カメラの
一実施形態の
斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~9は、マルチモダリティ適合性コンプトンカメラを示している。様々な他の画像
化モダリティと共に使用するため
のコンプトンカメラを形成するために、
様々なモジュール設計が使用される。
図11~16は、コンプトン画像用の散乱検出器
、またはSPECT画像用のコード
化開口部
、のいずれかと
併用することができる捕獲検出器を備えた
、モジュー
ル設計を示している。モジュールは、散乱検出器及びコード
化開口部のいずれか又は両方の位置を提供する。選択可能なSPECT-コンプトンの実施形態
の概要の後に、
図1~9のコンプトンカメラ
について説明する。
図1~9のコンプトンカメラの特徴および構成要素の多くは、
図11~16
で説明されるSPECT-コンプトンの実施形態において使用される。
【0012】
選択可能なSPECT-コンプトンの実施形態として、臨床マルチモダリティ適合性およびモジュールカメラが、医療画像化用に提供される。より低エネルギーの放射の場合、コード化開口部がSPECT動作のために各モジュールに含まれ得る。より高エネルギーの放射の場合、散乱検出器がコンプトン動作のために各モジュールに含まれ得る。モジュール設計によって、既存のコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、または陽電子放射断層撮影(PET)プラットフォームに、選択可能なSPECT-コンプトンカメラを、軸方向に分離されたシステムとして、または完全に統合されたシステムとして、追加することができるという十分な柔軟性が可能とされる。また、モジュール化により、効率的な製造と保守性とが可能とされる。新しいSPECT画像形成システムでは、感度と画質の向上が望ましい特徴であるとともに、より高い光子エネルギーを画像化できる可能性が加わっている。ハイブリッド画像化では、散乱検出器とコード化開口部との両方が同じモジュールのそれぞれの位置に設けられており、より高いエネルギーではコンプトン効果を、~140.5keVの低エネルギーでは物理的コリメーションを用いた光電効果を利用する。
【0013】
図1~9を参照すると、医療用画像システムは、セグメント化された検出モジュールを有する
、マルチモダリティ適合性コンプトンカメラを含む。コンプトンカメラリングなどのコンプトンカメラは、検出ユニットを収容するモジュールに
、セグメント化されている。各モジュールは独立しており、リング状または部分リング状に組み立て
られると、
各モジュールは
相互に
通信することが
できる。モジュールは独立しているが、コンプトン散乱ベースの画像を生成するマルチモジュールユニットに組み立てることができる。円筒対称モジュール又は球面シェルセグメントモジュールを使用することができる。
【0014】
散乱-捕獲対のモジュール配置は、効率的な製造を可能にし、現場でのサービスが可能であり、高価値でエネルギー効率が高い。そして複数のモジュールにより、各放射検出ユニットの半径、1つのモジュールの角度スパン、および/または軸方向スパンを変更する設計自由度が許容される。散乱-捕獲対モジュールは、マルチモダリティ適合性があり、および/または臨床放射画像用のモジュールリングコンプトンカメラを形成する。この設計により柔軟性がもたらされるため、コンプトンカメラは、軸方向に分離したシステムとして、または完全に統合されたシステムとして、既存のコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、陽電子放射断層撮影(PET)または他の医療用画像プラットフォームに追加することができる。各モジュールは、放熱、データ収集、較正に対処し、および/または、効率的な組立および保守を可能にすることができる。
【0015】
それぞれの散乱-捕獲対モジュールは、商業的に好適な固体検出器モジュール(例えば、Si、CZT、CdTe、HPGeまたは同様のもの)から形成され、100~3000keVのエネルギー範囲に対応する。コンプトン画像化は、より広範囲の同位体エネルギー(>2MeV)で提供され、散乱-捕獲検出器の選択を通じて、新しいトレーサ/マーカを可能にする。モジュール化により、個々のモジュールの取り外しや交換が可能となり、時間と費用効率の高いサービスが可能となる。モジュールは、独立して単離して動作させてもよく、または、クロストークのために連結して動作させてもよく、1つのモジュールの散乱検出器と別のモジュールの捕獲検出器とを使用してコンプトン事象を検出する際の画質の向上およびより高い効率を可能にする。
【0016】
モジュール化により、個々の要求に合わせて最適化された柔軟な設計形状が可能となる。例えば、CTシステムと統合するために部分リングを使用すること(例えば、X線源と検出器との間に接続される)、単一光子放射断層撮影ガンマカメラ又は他の空間が限定された画像システムとの統合のために少数のモジュールを使用すること(例えば、タイリング)、又はフルリングを使用すること、等である。コンプトン検出された事象に基づく機能的画像化を、他の画像化システム(例えば、CT、MR、またはPET)に追加することができる。コンプトンカメラの軸方向のカバレッジをより大きくするために、複数のフルリングまたは部分リングを互いに隣接して配置することができる。専用または独立型のコンプトンベースの画像化システムが形成されてもよい。一実施形態では、モジュールは、低エネルギー(例えば、<300keV)用のコリメータを含み、マルチチャネルおよび多重画像化(例えば、コンプトン事象用の散乱・捕獲検出器を使用する高エネルギーを、SPECTまたはPET画像化用の検出器の一つを使用する低エネルギーを、画像化する)を提供する。モジュールは、静止していてもよいし、高速回転(0.1rpm<<ω<<240rpm)していてもよい。寸法、設置、サービス、および/またはコストの制約は、散乱・捕獲対モジュールによって対処される。
【0017】
図1は、コンプトンカメラのためのモジュール11の一実施形態を示す。4つのモジュール11が示されているが、追加のモジュールまたは
より少ないモジュールを使用してもよい。コンプトンカメラは、コンプトンカメラの望ましい
設計に応じて、
1以上のモジュールから形成される。
【0018】
コンプトンカメラは、医療画像化用である。患者から放出される光子を検出するようにモジュールが配置されるように、モジュールに対する患者空間が提供される。患者内の放射性医薬品には放射性同位元素が含まれる。放射性同位元素の崩壊により、患者から光子が放出される。放射性同位元素からのエネルギーは、検出器の材料と構造に応じて、100~3000keVとすることができる。様々な放射性同位元素のいずれかを、患者の画像化に使用することができる。
【0019】
モジュール11の各々は、同一または多数の同一構成要素を含む。散乱検出器12、捕獲検出器13、回路基板14、およびバッフル15が、同じハウジング21内に設けられている。追加の構成要素、異なる構成要素、またはより少ない構成要素が提供されてもよい。例えば、散乱検出器12および捕獲検出器13は、他の構成要素を伴わずにハウジング21内に設けられる。別の例として、光ファイバデータライン16が、モジュール11の全てまたはサブセットに提供される。
【0020】
モジュール11は、一緒に積み重ねられるように形作られている。モジュール11は、対応するくぼみと拡張部、ラッチ、実継ぎ部、またはクリップを有するなど、互いに嵌合する。他の実施形態において、平坦な面または他の面が、互いにまたは仕切りに対して静止するように提供される。モジュール11を任意の隣接するモジュール11に取り付けるための、ラッチ、クリップ、ボルト、実継ぎ部、または他の取り付け機構が設けられる。他の実施形態では、モジュール11は、任意の隣り合うモジュール11に、直接接続することで、あるいは直接には接続せずに、ガントリまたは他のフレームワークに取り付けられる。
【0021】
他のモジュール11またはガントリへの接続または複数の接続は、取り外し可能であってもよい。モジュール11は接続されており、取り外されてもよい。接続は、すべてのモジュール11を取り外すことなく、1つのモジュール11またはモジュール11の群を取り外すことができるように、取り外し可能であってよい。
【0022】
複数のモジュール11からコンプトンカメラを形成するために、モジュール11のハウジング21および/または外形はくさび形である。モジュール11は、
くさび形状のため、軸周りに
重ねて、リングまたは部分リングを形成することができる。軸に近い部分は、
軸に垂直な方向に沿った幅寸法が、軸から
より遠い部分の幅
寸法よりも狭い。
図1のモジュール11において、ハウジング21は、
最も幅の広い部分が軸から最も離れ
ている。他の実施形態では、最も広い部分は軸により近いが、軸に最も近
く最も狭い部分から離れて配置されている。
くさび形状
において、散乱検出器12は、捕獲検出器13よりも
くさび形状の
幅の狭い部分に近い。軸に垂直な平面に沿った断面におけるこのくさび形状は、軸
を中心とするリングの少なくとも一部を形成するように
、モジュール11を、隣接する
位置に、連続して重ね、および/または接続
することを可能にする。
【0023】
くさびのテーパは、N個のモジュール11を提供して、軸の周りにフルリングを形成する。任意の数Nを使用してもよく、例えば、N=10~30モジュール、などが挙げられる。数Nは、異なる数Nに対して異なるハウジング21を使用するような構成可能であってもよい。所与のコンプトンカメラに使用されるモジュール11の数は、コンプトンカメラの設計(例えば、部分リング)に応じて変化し得る。くさび形状は、軸に平行な断面においてくさび形状を有するなど、他の方向に沿って設けられてもよい。
【0024】
積み重なったモジュール11は、医療用画像システムのガントリと接続された状態で、円筒対称である。くさび状の断面の最も狭い端部は、医療画像システムの患者空間に最も近く、くさび状の断面の最も広い端部は、患者空間から最も遠くてもよい。別の実施形態では、一緒に積み重なってリング状または一般的に湾曲した形状の積み重ねを可能にする、くさび状以外の他の形状が提供されてもよい。
【0025】
ハウジング21は、金属、プラスチック、ファイバーガラス、炭素(例えば、炭素繊維)、および/またはその他の材料である。一実施形態において、ハウジング21の異なる部分は、異なる材料である。例えば、回路基板14の周囲のハウジングには、錫が使用される。アルミニウムは、散乱検出器12および/または捕獲検出器13を保持するために使用される。別の例では、ハウジング12は、アルミニウムなどの同じ材料である。
【0026】
ハウジング21は、くさび形状を有するエンドプレート、回路基板14を収容する接地面のシート、散乱検出器12および捕獲検出器13を保持する壁部のためのセパレート構造、などの様々な構造から形成されてよく、ここで、セパレート構造は、コンプトン事象から所望のエネルギーの光子が通過し得る材料(例えば、アルミニウムまたは炭素繊維)で形成される。代替の実施形態では、散乱検出器12および/または捕獲検出器13が配置される領域のためのエンドプレート間において、モジュール11には壁部が設けられておらず、一のモジュール11の散乱検出器12から他のモジュール11の捕獲検出器13に向けて通過する光子の干渉を回避している。検出器12、13の傍らのハウジング21および/または検出器12、13を保持するためのハウジング21は、アルミニウムまたは炭素繊維などの低減衰材料で作られている。
【0027】
ハウジング21は、モジュールを密閉していてもよいし、又は開口部を含んでもよい。例えば、空気の流れのための開口部が、回路基板14におけるくさび形状の最も広い部分の頂部などに設けられる。ハウジング21は、取り付け、嵌合、および/または積み重ねのための、穴、溝、舌状部、ラッチ、クリップ、スタンドオフ、バンパー、または他の構造を含んでもよい。
【0028】
固体検出器モジュール11の各々は、コンプトンセンサの散乱検出器12および捕獲検出器13の両方を含む。各モジュールを積み重ねることにより、コンプトンセンサのサイズは大きくなる。散乱検出器12と捕獲検出器13の両方がモジュールに含まれるので、所与のモジュール11自体がコンプトンセンサであってもよい。
【0029】
複数のモジュール11は、コンプトンセンサに対して、別々に取り外したり、および/または追加したりできる。所定のモジュール11について、散乱検出器12および/または捕獲検出器13は、モジュール11から取り外し可能であってもよい。例えば、モジュール11は、保守サービスのために取り外される。故障した検出器12、13の一方または両方は、交換のためにモジュール11から取り外される。交換されると、修理されたモジュール11は、医療用画像システムに戻される。ボルト、クリップ、ラッチ、実継ぎ部、又は他の取り外し可能な接続部材は、検出器12、13または検出器12、13のためのハウジング21の一部を、モジュール11の残りの部分に接続することができる。
【0030】
散乱検出器12は、固体検出器である。Si、CZT、CdTe、HPGe、および/または他の材料などの任意の材料を使用
することができる。散乱検出器12は、任意の厚さ、例えば、CZT
の場合は約4mmの
厚みに、ウエハ製造
を利用して作製される。約5×5cmのような任意のサイズを用いてもよい。
図2は、散乱検出器12
の正方形の形状を示す。長方形など、
正方形以外の形状を用い
てもよい。
図1のモジュール11については、散乱検出器12は、2つのくさび形の
エンドプレートの間に延在する長方形であってもよい。
【0031】
モジュール11において、散乱検出器12は任意の範囲を有する。例えば、散乱検出器12は、1つのくさび形の端部壁から他のくさび形の端部壁まで延びる。モジュール11内の搭載部の間に延在したり、あるいは一方もしくは両方の端部壁を越えて軸方向に延在するなど、より小さな、またはより大きな範囲が提供され得る。一実施形態では、散乱検出器12は、他方の端部壁にまで延びることなく、一方の端部壁において、一方の端部壁上に、または一方の端部壁のそばに存在する。
【0032】
散乱検出器12は、センサのアレイを形成する。例えば、
図2の5
×5cm
の散乱検出器12は、約2.2mmの画素ピッチを有する21
×21画素アレイである。他の多数の画素、画素ピッチ、および/またはアレイのサイズを使用してもよい。
【0033】
散乱検出器12は、処理のためにフォーマットされた半導体を含む。例えば、散乱検出器12は、散乱検出器12内の電子との光子相互作用を感知するための特定用途向け集積回路(ASIC)を含む。ASICは、散乱検出器12の画素とコロケーションされる。ASICの厚さは任意である。複数のASIC、例えば、散乱検出器12の3×3グリッドに9個のASICSを設けることができる。
【0034】
散乱検出器12は、例えば>100kcps/mmのような任意の計数率で動作することができる。相互作用に起因し、画素ごとに電気が生成される。この電気は、特定用途向け集積回路によって感知される。位置、時間、および/またはエネルギーが感知される。感知された信号は、増幅される等の調整をされてもよく、回路基板14の1つ以上に送られる。フレキシブル回路、ワイヤ、または他の通信経路は、ASICからの信号を回路基板14に運ぶ。
【0035】
コンプトン計測は、コリメーションなしで動作する。代わりに、捕獲検出器13での光子相互作用に対する、散乱検出器12における光子相互作用の、エネルギー、位置、および角度の間の固定的な関係が、散乱検出器12に入射する光子の角度を決定するために使用される。コンプトン処理は、散乱検出器12および捕獲検出器13を用いて適用される。
【0036】
捕獲検出器13は
、固体検出器である。Si、CZT、CdTe、HPGe、および/または他の材料などの任意の材料を使用
することができる。捕獲検出器13は、任意の厚さ、例えば、CZT
の場合は約10mmの
厚さに、ウエハ製造
を使用して作製される。約5×5cmのような任意のサイズを用いてもよい。くさび形状
と散乱検出器12
および捕獲検出器13の離間した
配置に因って、
捕獲検出器13の少なくとも1つの
方向に沿
うサイズを、散乱検出器12よりも大きくすることができる。
図3は、捕獲検出器13
に関する長方形
の形状を示すが、他の形状を使用してもよい。
図1のモジュール11
の場合、捕獲検出器13は、
2つのエンドプレートの間に伸びる長方形であってよく、長さが
散乱検出器12と同じであり、幅が散乱検出器12よりも大きい。
【0037】
捕獲検出器
13は、センサアレイを形成する。例えば、
図3の5×6cmの捕獲検出器13は、約3.4mmの画素ピッチを有する14×18画素アレイである。画素サイズは、散乱検出器12の画素サイズよりも大きい。画素数は、散乱検出器12の画素数よりも少ない。他の画素数、画素ピッチ、および/またはアレイの大きさを使用してもよい。他の相対的な画素サイズおよび/または画素数を使用してもよい。
【0038】
モジュール11において、捕獲検出器13は任意の広がり(範囲)を有する。例えば、捕獲検出器13は、一方のくさび状の端部壁から他方のくさび状の端部壁まで延びている。モジュール11内の搭載部間に延在するか、または一方もしくは両方の端部壁を越えて軸方向に延在するように、より小さな、またはより大きな範囲が提供され得る。一実施形態において、捕獲検出器13は、他方の端部壁まで延びることなく、一方の端部壁において、一方の端部壁上に、または一方の端部壁のそばに存在する。
【0039】
捕獲検出器13は、処理用にフォーマットされた半導体を含む。例えば、捕獲検出器13は、捕獲検出器13内の電子との光子相互作用を感知するためのASICを含む。ASICは、捕獲検出器13の画素とコロケーションされる。ASICの厚さは任意である。捕獲検出器13の2×3グリッドには、複数のASICS、例えば6個のASICS、が提供されてよい。
【0040】
捕獲検出器13は、例えば>100kcps/mmのような任意の計数率で動作することができる。相互作用に起因し、画素によって電気が発生する。この電気はASICによって感知される。位置、時間、および/またはエネルギーが感知される。感知された信号は、増幅されるなどの調整をされてもよく、回路基板14の1つ以上に送られる。フレキシブル回路、ワイヤ、または他の通信経路は、ASICからの信号を回路基板14に運ぶ。
【0041】
捕獲検出器13は、軸から半径方向線に沿って、または、平行な散乱検出器12および捕獲検出器13に対する法線に沿って、散乱検出器12から任意の距離だけ離間されている。一実施形態において、離間距離は約20cmであるが、より大きいまたはより小さい離間距離を設けてもよい。捕獲検出器13と散乱検出器12との間の空間は、所望のエネルギーの光子に対して減衰の少ない、空気、他のガス、および/または他の材料で満たされる。
【0042】
回路基板14はプリント回路基板であるが、フレキシブル回路又は他の材料を使用してもよい。各モジュールの回路基板14は、任意の数の回路基板14を使用することができる。例えば、一の回路基板14が散乱検出器12に設けられ、別の回路基板14が捕獲検出器13に設けられる。
【0043】
回路基板14はハウジング21内にあるが、ハウジング21を越えて延在してもよい。ハウジング21は接地されてもよく、回路基板14の接地面として作用してもよい。回路基板14は、互いに平行に実装されるか、または、くさびの形状に応じて離間するなど非平行である。回路基板は、捕獲検出器13に対して概ね垂直に配置される。概ねとは、くさび形によるあらゆる広がりを考慮して使用される。回路基板14を所定の位置に保持するために、ブラケット、ボルト、スクリュー、および/または、相互からのおよび/またはハウジング21からのスタンドオフが、使用される。
【0044】
回路基板14は、フレキシブル回路又はワイヤを介して散乱検出器12及び捕獲検出器13のASICSに接続される。ASICは、検出した信号を出力する。回路基板14は捕捉電子回路であり、検出された信号を処理してコンプトンプロセッサ19にパラメータを提供する。検出された信号の任意のパラメータ化を使用することができる。一実施形態では、エネルギー、到着時間、および3次元における位置が出力される。他の取得処理が提供され得る。
【0045】
回路基板14は、モジュール11内のガルバニック接続を介して、データブリッジ17へ、および/または光ファイバデータリンク16へ、互いに出力する。ファイバデータリンク16は、電気信号を光信号に変換するための光ファイバインタフェースである。光ファイバケーブルまたは複数のケーブルは、散乱検出器12および捕獲検出器13によって検出された事象の取得パラメータを、コンプトンプロセッサ19に提供する。
【0046】
データブリッジ17は、モジュール11間の通信を可能にするためのガルバニック接続用の回路基板、ワイヤ、フレキシブル回路、および/または他の材料である。ハウジング又は保護プレートがデータブリッジ17を覆うことができる。データブリッジ17は、1つ以上のモジュール11に取り外し可能に接続する。例えば、データブリッジ17のプラグまたは嵌合コネクタは、ハウジング21および/または回路基板14上の対応するプラグまたは嵌合コネクタと接合する。ラッチ、クリップ、実継ぎ部、ネジ、および/またはボルト接続を使用して、データブリッジ17をモジュール11との所定の位置に取り外し可能に保持することができる。
【0047】
データブリッジ17は、モジュール間の通信を可能にする。例えば、ファイバデータリンク16は、一のモジュール11に提供され、他のモジュール11には提供されない。これにより、モジュール11ごとにファイバデータリンク16を設けるコストが回避される。代わりに、他のモジュール11によって出力されるパラメータは、データブリッジ17を介して、ファイバデータリンク16を有するモジュール11に提供される。そのファイバデータリンク16を有するモジュール11の回路基板または複数の回路基板14は、パラメータ出力をファイバデータリンク16にルーティングし、ファイバデータリンク16を用いて複数のモジュール11から検出された事象を報告する。代替の実施形態では、各モジュール11はファイバデータリンク16を含むため、データブリッジ17は提供されないか、または他の情報を伝達する。
【0048】
データブリッジ17は、モジュール11間に他の信号を接続することができる。例えば、データブリッジ17は、電力用のコンダクターを含む。あるいは、別のブリッジがモジュール11に電力を提供するか、またはモジュール11に個別に電力を提供する。別の例として、データブリッジ17を用いて、クロック信号および/または同期信号が、モジュール11間で通信される。
【0049】
図1の実施形態において、別々のクロックおよび/または同期ブリッジ18が提供される。クロックおよび/または同期ブリッジ18は、モジュール11間のクロックおよび/または同期信号の通信を可能にするための、
ガルバニック接続用の回路基板、ワイヤ、フレキシブル回路、および/また
は他の材料である。ハウジング又は保護プレートは、クロックおよび/または同期ブリッジ18を覆うことができる。クロックおよび/または同期ブリッジ18は、1つ以上のモジュール11に取り外し可能に接続する。例えば、クロックおよび/または同期ブリッジ18の
プラグまたは嵌合コネクタは、ハウジング21および/または回路基板14上の対応する
プラグまたは嵌合コネクタと接合する。ラッチ、クリップ、
実継ぎ部、スクリュー、および/またはボルト接続を使用して、クロックおよび/または同期ブリッジ18を
、モジュール11とともに所定の位置に取り外し可能に保持することができる。
【0050】
クロックおよび/または同期ブリッジ18は、データブリッジ17と同じまたは複数のモジュール11のグルー
プと接続することができる。
図1に図示の実施形態では、データブリッジ17は、モジュール11の対の間に接続し、クロックおよび/または同期ブリッジ18は、4つのモジュール11の群にわたって接続する。
【0051】
クロックおよび/または同期ブリッジ18は、モジュール11のクロックを同期させるための共通のクロック信号および/または同期信号を提供する。各モジュール11の回路基板14によって形成されるパラメータの1つは、事象の検出時である。コンプトンの検出は、散乱事象と捕獲事象という一対の事象に基づいて行われる。タイミングを用いて、複数の検出器12、13からの事象を対(ペア)にする。複数のモジュール11において事象の対が検出される場合、共通のクロックおよび/または同期によって、正確なペアリングが可能となる。別の実施形態では、同じモジュール11で検出される散乱事象および捕獲事象のみが使用されるので、クロックおよび/または同期ブリッジ18は提供されなくてもよい。
【0052】
異なるモジュール11間の他のリンクまたはブリッジが提供されてもよい。ブリッジ17、18は着脱可能であるため、個々のモジュール11は、ガントリ内に残りのモジュール11を残しながら、サービスのために取り外すことができる。
【0053】
各モジュール11は空冷される。モジュール11に強制的に空気を通すための孔(すなわち、入口孔および出口孔)を設けてもよい。モジュール11内の空気を誘導するために、1つ以上のバッフル15が用意されてもよい。水、伝導的移送、および/または他の冷却が、代替的に、または追加的に提供され得る。
【0054】
一実施形態において、くさび形状のモジュール11またはハウジング21の上部は開いている(すなわち、患者領域から最も遠い側のカバーがない)。1以上のバッフル15が、1以上の回路基板14および/またはハウジング21の中心に沿って設けられている。ファンおよび熱交換器20は、捕獲検出器13から離間した位置(例えば、モジュール11の上部)において、モジュール11の一半に沿うように、冷却されたまたは周囲温度の空気を各モジュール11に強制的に流入させる。バッフル15および/または回路基板14は、散乱検出器12と捕獲検出器13との間の空間に少なくとも一部の空気を導く。次いで、空気は、モジュール11の別の部分(例えば、別の半分)のバッフル15および/または回路基板14のそばを通り、熱交換器20に出る。空気の他の経路が用意されてもよい。
【0055】
熱交換器およびファン20は、個々のモジュール11ごとに用意されており、モジュール11内に全体的にまたは部分的に存在してもよい。他の実施形態では、ダクト、バッフル、または他の構造体が空気を複数のモジュール11にルーティングする。例えば、4つのモジュール11からなる群は、モジュール11群を冷却するためにガントリまたは他のフレームワークに設置される、共通の熱交換器およびファン20を共有する。
【0056】
コンプトンセンサを形成するために、1つ以上のモジュール11が使用される。例えば、患者からの光子の放出を検出するために、2つ以上のモジュール11が、患者のベッドまたはイメージング空間に対して配置される。より多くの数のモジュール11を配列することで、より多くの放射を検出することができる。くさび形状を使用することによって、モジュール11は、患者空間の周りに円弧を形成するように、互いに対向し、隣り合い、および/または連結して、配置することができる。円弧は、任意の広がり(範囲)を有してもよい。モジュール11は、互いに直接接触するか、またはモジュール11の間に小さな間隔(例えば、10cm以下)をもってスペーサまたはガントリを介して接触する。
【0057】
一実施形態では、4つのモジュール11が一緒に配置され、クロックおよび/または同期ブリッジ18、1以上のデータブリッジ17、ならびに、熱交換器およびファン20を共有している。モジュール11群に対して、1つ、2つ、または4つのファイバデータリンク16が提供される。このような複数のモジュール11群は、同一の患者空間に対して互いに離れて配置されてもよいし、互いに隣接して配置されてもよい。
【0058】
モジュール式アプローチによって、任意の数のモジュール11を使用することができる。同じ構成要素を複数構築することにより、任意の一定のモジュール11を異なる配置で使用するにもかかわらず、モジュール11の他のものに使用されるよりも、製造はより効率的かつ高価値である。
【0059】
モジュール11またはモジュール11群のファイバデータリンク16は、コンプトンプロセッサ19に接続される。コンプトンプロセッサ19は、複数の事象のパラメータの値を受信する。エネルギーおよびタイミングのパラメータを用いて、散乱事象と捕獲事象が対(ペア)にされる。各対について、一対の事象の空間的位置及びエネルギーが、散乱検出器12への光子の入射角を求めるために使用される。事象の対は、一実施形態における同一モジュール11における事象に限定される。別の実施形態では、同一または異なるモジュール11からの捕獲事象を、所定のモジュール11からの散乱事象と、対にすることができる。部分リング40の異なる部分からの事象をペアリングするため等に、1以上のコンプトンプロセッサ19が使用されてもよい。
【0060】
対にされた事象がリンクされると、コンプトンプロセッサ19または他のプロセッサは、検出された放射の2次元または3次元における分布を再構成するために、コンピュータ断層撮影を実行することができる。各事象の入射角または入射線(入射ライン)は、再構成において使用される。
【0061】
図4A~
図6は、モジュール11の一
つの例
示的な配置を示している。モジュール11は、患者空間を囲むリング40を形成する。
図4Aは、軸方向に積み重ねられた4つのそのようなリング40を示す。
図4Bは、リング40内のモジュール11の
、散乱検出器12
と、対応する捕獲検出器13
と、を示す。
図4Cは、リング40の一部の詳細を示し
、3つのモジュール11
が、散乱検出器12及び捕獲検出器13
の対応する対を提供
している。
図示されている以外の
寸法が用い
られてもよい。任意の数のモジュール11を用いてリング40を形成することができる。リング40は、患者空間を完全に囲んでいる。医療用画像システムのハウジング内で、リング40は、
図5に示すように
、ガントリ50または
他のフレームワークと接続されている。リング40は、患者ベッド60が患者をリング40
の中に、および/または
、患者がリング
40を
通過するように、移動させることができるように配置されてもよい。
図6は、この
構成の
一例を示す。
【0062】
リングは、患者からの
放射のコンプトンに基づく画像化のために使用され得る。
図7は、同じタイプのモジュール11を複数の構成で使用する例を示す。部分リング40が形成される。リング40には
、1つ以上の隙間70が
設けられている。これにより、他の構成要素
を隙間内で使用
することができ、および/または
、より少ないモジュール11を使用することにより、より安価なシステムを作ることが
できる。
【0063】
図8は、モジュール11の別の構成を示している。リング40はフルリングである。追加の部分リング80
が、ベッド60または患者空間に対して軸方向
に重ねられ、検出された
放射の軸方向の範囲
(広がり)を拡張する。部分リング80は、
図7の2つの隙間70の
ある部分リング40ではなく、
1つおきの又は1グループごとの、N個
(例えば、N=4)のモジュール11
の分布
である。追加のリングは
、フルリングであり得る。フルリング40は、部分リング80であってもよい。異なるリング40および/または部分リング80は、
全くまたは殆ど離間せずに(例えば、1モジュール11の軸方向の範囲の1/2未満)、軸方向に積み重
ねられる。
1モジュールの11の軸方向の範囲
よりも大きい隙間を有するなど、より広い間隔
が設けられていてもよい。
【0064】
図9は、モジュール11のさらに別の構成を示している。
1つのモジュール11、または
一群のモジュール1
1が、患者空間またはベッド60
の傍に配置され
ている。複数の間隔をあけた単一モジュール11または群(例えば、4つの群)
が、ベッド60および/または患者空間に対して異なる位置に
設けられ得る。
【0065】
いずれの構成においても、モジュール11は、1つのガントリ、複数のガントリ、および/または他のフレームワークに取り付けることによって、所定の位置に保持される。保持は、ボルトやスクリューを使用するなどして、取り外し可能である。所定の医療用画像システムのための所望の構成を組み立てるために、所望の数のモジュール11が使用される。集められたモジュール11は、医療用画像システムにおいて、患者空間を定義するか、または患者空間に相対的に、搭載される。その結果、患者を画像化するためのコンプトンセンサが得られる。
【0066】
患者の異なる部分を異なる時間に走査するために、ベッド60は患者を移動させることができる。代替的または追加的に、ガントリ50は、コンプトンセンサを形成するモジュール11を移動させる。ガントリ50は、患者空間に沿って軸方向に並進し、および/または、患者空間の周りでコンプトンセンサを回転させる(すなわち、ベッド60および/または患者の長軸の周りで回転させる)。他の回転および/または並進を提供することができ、例えば、モジュール11をベッド60または患者の長軸に対して平行ではない軸の周りで回転させてもよい。複数の並進および/または回転の組合せを提供してもよい。
【0067】
コンプトンセンサを備える医療用画像システムは、スタンドアローンの画像システムとして使用される。コンプトンセンシングは、患者内の放射性医薬品の分布を測定するために使用される。例えば、フルリング40、部分リング40、および/または、軸方向に積み重ねられたリング40、80は、コンプトンベースの画像システムとして使用される。
【0068】
他の実施形態において、医療用画像システムは、マルチモダリティ画像システムである。モジュール11によって形成されるコンプトンセンサは、1つのモダリティであり、他のモダリティもまた提供される。例えば、他のモダリティは、単一光子放射断層撮影(SPECT)、PET、CT、またはMR画像システムである。フルリング40、部分リング40、軸方向に積み重ねられたリング40,80、および/または単数のモジュール11またはモジュール11群は、他の種類の医療用画像のためのセンサと組み合わされる。コンプトンセンサは、ベッド60の長軸に沿って位置決めされるなど、他のモダリティとベッド60を共有することができる。ここで、ベッドは、一の方向においてはコンプトンセンサ内に、他の方向においては他のモダリティ内に、患者を配置する。
【0069】
コンプトンセンサは、外側のハウジングを他のモダリティと共有することができる。例えば、フルリング40、部分リング40、軸方向に積み重なったリング40,80、および/または単一モジュール11、またはモジュール11群は、他のモダリティの1つのセンサまたは複数のセンサ用の同じ画像システムハウジング内に配置される。ベッド60は、所望のセンサに対して、画像システムハウジング内で患者を位置決めする。コンプトンセンサは、他のセンサに対し軸方向において隣り合って配置してもよいし、および/または、同じ軸方向位置の隙間内に配置してもよい。一実施形態において、部分リング40はコンピュータ断層撮影システムにおいて使用される。X線源およびX線検出器を保持するガントリは、部分リング40のモジュール11も保持する。X線源は1つの隙間70内にあり、検出器は別の隙間70内にある。別の実施形態では、単一のモジュール11または疎な配置のモジュール11は、SPECTシステムのガントリと結合している。モジュール11はガンマカメラに隣接して配置され、その場合、ガンマカメラのガントリは、モジュール11を移動させる。あるいは、コリメータを、モジュール11と患者との間、または散乱検出器12と捕獲検出器13との間に配置し、モジュール11の散乱検出器12および/または捕獲検出器13を、コンプトン事象の検出の代わりに、またはこれに加えて、SPECT画像化のための光電事象の検出のために、使用できるようにしてもよい。
【0070】
コンプトンセンサのモジュールベースのセグメント化により、同じ設計のモジュール11を任意の異なる構成において使用することができる。したがって、異なる数のモジュール11、モジュール位置、および/またはモジュール11の構成が、異なる医療用画像システムのために使用されてもよい。例えば、ある配列が、あるタイプのCTシステムと共に使用するために提供され、異なる配列(例えば、モジュール11の数および/または位置)が、異なるタイプのCTシステムのために使用される。
【0071】
コンプトンセンサのモジュールベースのセグメント化により、より効率的で価値のあるサービスが可能になる。つまり、コンプトンセンサ全体を交換するのではなく、任意のモジュール11を切り離して固定したり、交換したりすることができる。モジュール11は、個別に接続可能であり、また、互いにかつ/またはガントリ50から切り離すことができる。任意のブリッジを取り外したのち、他のモジュール11を残したまま、モジュール11を医療用画像システムから取り外される。個別のモジュール11を交換する方が、より安価である。また、サービス時間を短縮することができる。さらに、欠陥のあるモジュール11の個々の構成要素は、他方を残したまま、散乱検出器12又は捕獲検出器13を交換する等、容易に交換することができる。モジュール11は、対応する検出器12、13を使用することによって、異なる放射性同位元素(すなわち、異なるエネルギー)で動作するように構成されてもよい。
【0072】
図11~15は、モジュール11が、光電効果を
利用するSPECT検出
用の物理的開口部を選択可能に含む実施形態を示す。
またモジュールは、コンプトン検出用の散乱検出器を選択可能に含むことができる。モジュールは、コンプトン検出と光電検出の両方に使用することができる。マルチモダリティ医療用画像システムは、
1つ以上のモジュー
ルから形成される。
図1~
図9について論じたモジュール11の配置及び構成要素は、物理的開口部を有するモジュール11に使用することができる。
【0073】
セグメント化された検出モジュール11は、ジオデシックドーム状の多層マルチモーダルカメラを形成するために使用することができる。このカメラは、検出ユニットを収容するモジュールに分割されている。各モジュール11は独立しており、リング、部分リングまたは他の構成に組み立てられた場合に、モジュール11は互いに通信し合うことができる。各モジュール11は、散乱層と称される内殻状の層と、捕獲層と称される外殻状の層と、を含む。複数のモジュール11が使用される場合、モジュールは、少なくとも部分的に画像化対象を取り囲むことができる。
【0074】
図16は、
医療用画像システムの実施形態を示
す。このシステムでは、モジュール11が散乱検出器を含まず、物理的開口部と検出器とを
用いてSPECTカメラ
のモジュール式に
作製することができる。
図15は、モジュール11が散乱検出器を含
む医療用画像システムの実施形態を示し、
したがって、散乱検出器を
用いるコンプトンカメラ
のモジュール式
構築を提供する。
図15のモジュール11は、物理的開口部を含むことができるので、コンプトンカメラおよびSPECTカメラの両方として動作する
ことができる。任意の
所定のシステムに
ついて画像化される
べき所望のエネルギーに
応じて、捕獲検出器を
備えるベースモジュールは、散乱検出器(例えば、より高いエネルギー)または物理的開口部(例えば、より低いエネルギー)のいずれかまたは両方を装着してもよい。
【0075】
図11は、1つのモジュール11の検出器構造を示しており、物理的開口部110と散乱検出器12の両方が選択され、同じモジュール11に含まれている。モジュール11は、散乱検出器12および捕獲検出器13を含む。散乱検出器12および/または捕獲検出器13は固体検出器であ
り、そのためモジュール11は
、固体検出器モジュールである。
散乱検出器12が選択されて含まれているモジュール11内にその散乱検出器12を配置するために、ブラケット、フレーム、クリップ、または他の機械的構造物
が提供される。
その位置は、捕獲検出器13から
所定の距離
であってよいし、
あるいは
、組立中または組立後に調節可能であってもよい。所定の画像システムの設計者が
含むべき捕獲
層および/または散乱層の数を選択することができるように、モジュール11内
には追加の捕獲
検出器および/または散乱検出器の位置
のための機械的構造物が提供されてもよい。
【0076】
追加の捕獲検出器
13または散乱検出器
12を、例えば
、患者空間から
の放射
(a radial、半径方向)に
対して垂直であって、平行
な層状検出器12、13のように、追加の捕獲検出器13または散乱検出器12が(例えば、
図11の回転
軸に沿って)提供され
てもよい。
一の捕獲検出器13を通過する任意の
放射は、
他の捕獲検出器13内で相互作用
する可能性がある。同様に
、初期の散乱検出器12を通過する
放射によって、
中間検出器は、散乱検出器12として動作
し得る。
このような中間検出器は、散乱検出器12または捕獲検出器13のいずれかと同じ構造を有
することができるが、散乱検出器12および/または捕獲検出器13として作動する。散乱検出器12の1つはコンプトン散乱光子を
生成し、これは
そのあとに配置される捕獲層13の1つによって捕捉される。
【0077】
複数のモジュール11は、独立しているものの、マルチモーダルベースの画像形成画像を生成するユニットに組み立てることができる。モジュール11は、その形状における設計自由度によって、放射状の各検出ユニットの半径、1つのモジュール11における角度スパン、および/または軸方向スパン、を変化させることが可能とされる。患者空間に対するモジュール11の寸法および位置は、異なるハウジングを使用するなどして、必要に応じて設計変更することができる。
【0078】
図1~9に記載されている形状のいずれを用いてもよい。例えば、
図1は、患者空間から
の放射
(a radial、半径方向)に直交する断面において4つの側面を有するモジュール11を示す。
一実施形態において、モジュール11は、患者空間から
の放射
に直交する断面において、3
つ、5
つ、6つ、またはそれ以上の側面を有する。
図11は、6つの側
面を有するモジュール11を示す。複数のモジュール11を
併用する場合
、全てのモジュールは、同じ数の側面を有する。あるいは、5つ
の側面を有するモジュール11と6つの側面を有するモジュール11
との組合せのように、異なる数の側面を有する異なるモジュール11が共に使用される。
【0079】
3つ、5つ、または6つの
側面を有するモジュールは、患者空間から
遠い直交断面よりも
、患者空間により近い直交断面
のほうが狭く、ジオデシックドームを
実現することが可能
である。モジュール11は、球
形またはジオデシックドームを形成するように配置されてもよい。任意の
所定の画像システムでは、
完全なドームは使用されない。ジオデシックドームの一部を形成するために、2つ以上のモジュール11が配置され得る。代替的な実施形態では、モジュール11は、
図1のモジュール11がリングまたは円筒を形成するように
形作られるなど、球形またはジオデシックドームを形成する
用の形状ではない。
【0080】
モジュール11は、円筒対称である。複数のモジュール11の各々の最も狭い端部は、医療用画像システムの患者空間に最も近い。複数のモジュール11の各々の最も広い端部は、患者空間からさらに又は最も遠い。散乱検出器12は、捕獲検出器13よりも狭く、面積が小さい。
【0081】
モジュール11が散乱検出器12および捕獲検出器13の両方を含む場合には、コンプトンベースの画像化を提供することができる。SPECTのための光電効果を使用して事象を検出するために、物理的な開口部110がモジュール11に含まれる。物理的な開口110は、板状又はシート状の材料である。物理的開口部110は、鉛またはタングステンのような、より低いエネルギー(例えば、約140.5keV以下)に対して不透明な任意の材料である。任意の厚さを採用してもよく、例えば、0.5~5mm(例えば、1~3mm)である。厚さは、全てまたは一部のより高いエネルギー(例えば、>>140.5keV)の放射または光子がコンプトン検出のために通過できるように選択される。
【0082】
物理的開口部110は、散乱検出器12と捕獲検出器13の位置の間に配置される。中間検出器が提供される場合には、物理的開口部110は、いずれかの検出器層の間にあってもよい。コード化開口部は、例えば1cm以内(例えば5mm以内)で捕獲検出器13に隣り合っていてもよく、または捕獲検出器13からさらに離れていてもよい。代替的な実施形態では、物理的開口部110は、散乱検出器12のための位置の前方(すなわち、患者空間により近い方)に配置される。
【0083】
物理的開口部110がモジュール11内に含まれるように選択されたそのモジュール11の中に物理的開口部110を位置決めするために、ブラケット、フレーム、クリップ、または他の機械的構造物が提供される。その位置は、捕獲検出器13から所定の距離にあるか、または組立中または組立後に調節可能であってもよい。
【0084】
物理的開口部110は、患者空間から
の放射
(半径方向)に直交
するので、検出器12、13と平行である。
あるいは、物理的開口部110は、一方または両方の検出器12、13
とは平行ではなく、および/または
、患者空間から
の放射
(半径方向)に直交していない。半径方向
は、図11において、回転軸として
示される。
【0085】
物理的開口110は、検出器12、13と同じ形状を有する。例えば、
図11に示されるように、物理的開口部110および検出器12、13は、6つの側面
を有している。物理的開口部110は、1つまたは両方の検出器12、13とは
異なる外周形状を有していてもよい。
【0086】
物理的開口部110は、コード化開口部である。捕獲検出器13上に陰影を投影するために、規則的な又は変化する(異なる)パターンの孔が設けられる。孔の形状および/または大きさは、同じか、あるいはそれぞれ異なっている。孔は、異なる角度(例えば、物理的開口部110に直交する方向から0~40度離れた角度)からの放射が孔を通過することができる十分な大きさである。開口部の孔のコード化は、線源(例えば、患者)から照らされたとき、捕獲検出器13に重なる陰影をもたらす。陰影のコード化は、画像をデコンボリューションする(畳み込みを解く)ための再構成においてマスクとして使用され得る。代替の実施形態では、物理的開口部110は、平行多孔型コリメータ(例えば、直交から0~1度の放射のみが孔を通過する)である。
【0087】
ノイズ、線源サイズ、および/または散乱の問題を低減するために、コード化開口部は、時間コード化された開口部であってもよい。物理的開口部110は、中心軸(例えば、患者空間から放射状)の周りを回転する。陰影のコード化は、異なる時間での検出のために、シフトされるか変更される。ノイズを減少させるため、および/またはバックグラウンド放射を患者からの放射と区別するために、捕獲検出器13に対して異なる配置のコード化開口部110からの検出が使用される。捕獲検出器13の近くの時間コード化されたコード化開口部は、回転軸の周りを回転して画質を改善し、また、視野を拡大させる。他の実施形態では、物理的開口部110は、回転の代わりに、または回転に加えて、並進する。並進は、モジュール11内の捕獲検出器13に対して物理的開口部110の位置をシフトさせる。他の時間コード化されたものを使用してもよい。
【0088】
一実施形態では、物理的開口部110は、捕獲検出器13の中心領域112上に影を落とし、捕獲検出器13の外側領域114には落とさないように、捕獲検出器に対して配置される。例えば、物理的開口部110は、散乱検出器12と同じか同様の(例えば10%以内)面積を有し、捕獲検出器13よりも小さい面積を有する。コンプトン検出における散乱のために、コンプトン効果を利用して捕獲層によって検出される光子は、捕獲検出器13の中心から離れやすくなっている。逆に、光電効果では散乱は利用されないので、光電効果を用いて検出される光子は、中心領域112内に存在しやすくなっている。中央領域112には、内部検出器と相互作用しない光電事象だけでなく、コンプトン散乱光子も記録される。外側領域114は、内側の散乱検出器12又は他の散乱検出器12からのコンプトン散乱事象のみ又はそのほとんどを記録する。
【0089】
捕獲検出器13の実際の構造は、中央領域112と外側領域114の両方に対して均一であってもよいし、同じであってもよいが、異なる領域112、114に対して異なる画素サイズ、厚さ、および/または他の特性を有していてもよい。捕獲検出器13からの読み取り(読影)は、実施される画像化のタイプに基づいて、一方または両方の領域112、114に限定されてもよい。あるいは、異なる構造が使用されるか、または画像の種類に関係なく捕獲検出器13全体にわたる検出が使用される。モジュール11が通信するように配置される場合、一つのモジュール11からのコンプトン事象は、別のモジュール11の領域112、114のいずれかで検出されてもよい。
【0090】
画像プロセッサ19は、物理的開口110および捕獲検出器13を用いて光電効果による放射を検出し、散乱検出器12および捕獲検出器13を用いてコンプトン効果による放射を検出するように構成されている。回路基板14によって出力された検出事象は、SPECTまたはコンプトン画像化のために画像プロセッサ19によって使用される。SPECTの場合は、散乱検出器12からの事象を用いずに、コード化された開口部または時間コード化された開口部が、使用される。約140.5keV以下のエネルギーの光子は、光電効果を用いて検出される。コンプトン散乱の場合は、物理的開口部110からのシャドウイングなしに、散乱検出器12及び捕獲検出器13が使用される。一桁大きい(例えば、1450keV以上)エネルギーの光子は、コンプトン効果を用いて検出される。同じモジュール11と画像プロセッサ19が、光電画像化とコンプトン画像化の両方に使用される。
【0091】
コンプトン検出のために、散乱検出器12および捕獲検出器13からの事象は対にされ、1つ以上のモジュール11におけるコンプトン事象の入射角を決定するために使用される。光子は、まず散乱層内でコンプトン散乱によって相互作用し、次に捕獲層内で光電効果によって相互作用する。これらの光子は、散乱層と捕獲層の両方をトリガーとして、すべての層上にその全エネルギーを降り注ぐ(マルチ層事象)。散乱のために、捕獲検出器13において検出される事象の半分以上又は大部分は、外側領域114内にある。光子相互作用事象は、主に(半分以上または大部分)外側領域114において検出される。対の事象について測定された位置(x,y,z)とエネルギー(E)とに基づいてコンプトン運動学を知る(推定する)ことによって、正しい線源方向を決定するために、コンプトン再構成が使用される。
【0092】
光電検出(すなわち、SPECT画像化)のために、捕獲検出器13からの光電事象が計数される。モジュール11の物理的開口部110および捕獲検出器13が使用される。光子は、光電効果によって捕獲層でのみ相互作用することができる。低エネルギー光子は、散乱層を引き金とせず、代わりに捕獲層上にその全エネルギーを堆積させ得る(単層事象)。散乱は利用されないので、光電事象は、捕獲検出器13の外側領域114ではなく、中心領域112からカウントされる。外側領域114からの事象は、バックグラウンドの測定値として使用することができる。
【0093】
時間コードされた、コード化開口部は、モジュール11の軸の周りを回転することができ、正しい線源方向を決定するために使用される。時間コード化開口部は、バックグラウンド(例えば、散乱、線源によって放射されたより高いエネルギーの光子など)を低減し得る。
【0094】
画像プロセッサ19は、SPECT画像を生成するように構成される。カウントと捕獲検出器13上の位置(すなわち、応答線(応答ライン)を示す位置)は、患者の2次元または3次元表現を再構成するために使用される。放射の位置が表現される。画像プロセッサ19は、コンプトン事象からコンプトン画像を生成するように構成されている。コンプトン散乱事象と対応する推定角度とから二次元または三次元表現が再構成される。物体または画像空間の三次元表示の場合、二次元画像を表現から三次元的に描出することができる。
【0095】
表示部22は、CRT、LCD、プロジェクタ、プリンタ、または他のディスプレイである。ディスプレイ22は、SPECT画像および/またはコンプトン画像を表示するように構成されている。一の画像または複数の画像は、ディスプレイプレーンバッファに格納され、表示部22に読み出される。画像は別々に表示されてもよいし、SPECT画像と重ね合わせてコンプトン画像を表示したり、またはSPECT画像の隣りにコンプトン画像を表示するなど、組み合わされてもよい。
【0096】
図12~16は、2つ以上のモジュール11から形成された医療用画像システムを示す。固体検出器モジュール11の形状により、モジュール11を直接接触させて、または接触させずに一緒に積み重ねて、ジオデシックドームの一部を形成することができる。
複数のモジュール11
が、3Dジオデシックドーム
状のSPECT-コンプトンカメラを形成するために結合され得る。
図12~16は、それぞれ18
個、34
個、54
個、3
個、および3個のモジュールを有する
、同じ概念の
、異なる実現
例を示している。
【0097】
図12は、フルリング120を形成するために使用されるモジュール11を示す。リングの半径
とモジュール11のサイズに基づいて、18個のモジュール11がフルリング120を形成する。より多くのまたはより少ないモジュール11が、フルリング120を形成するために使用され
てもよい。代わりに
、1つ以上の部分リングが形成され
てもよい。
【0098】
図13は、2つのフルリング130、132を形成するために使用されるモジュール11を示す。2つのリング130、132は
、交差
しており、
そのため2つのモジュール134を共有
している。リング130の一方は、他方のリング132に対して90度にある。
モジュール134の側面の数および/または形状に応じて、他の角度が
設定されてもよい。
図13の例において、34個のモジュール11
が、2つのリング130、132を形成
している。
他の数
のモジュール11を使用してもよい。リング130、132の1
方または両方は、部分リングであ
ってもよい。
その場合、リング130、132は別々であるが、交差している。他の実施形態では、リング130、132は、交差せず、平行
平面でまたは非平行平面で互いに離間している。追加のリング
が含
まれてもよい。
【0099】
リング130、132は、所定の位置に保持されているか又は固定されている。他の実施形態では、リング130、132は、ヒンジ又は回転軸と接続する。リング130、132は、2つの共有モジュール134を通る軸のような共通軸を中心に旋回する。両方のリング130、132または各リング130、132の並進および/または回転は、独立して提供することができる。
【0100】
図14は、
図12および
図13と比較して、
3つのリングをジオデシックドーム140のより大きな部分に
形づくるために使用されるモジュール11を示す。球形シェルの一部は、セグメント化されたモジュール11から形成される。3つのリングは、互いに軸方向に隣接しており、ほとんど(例えば、モジュール11の幅の1/2未満)または全く
離間することがない。リングは、互いに直接接触し
ていてもよく、および/または同じガントリまたはフレームワークに取り付けられて
いてもよい。3つのフルリングが示されているが、1つ以上のリングが部分リングであ
ってもよい。
また、2つ、4つ、またはそれ以上のリングを用い
てもよい。
図14の例では、3つのリングに対して54個のモジュール11が使用され
ているが、追加のまたはより少ない数のモジュール11が使用され
てもよい。
【0101】
図15は、患者ベッド60に対して配置された3つのモジュール11を示す。1つ、2つ、4つ、またはそれ以上のモジュール11が使用され
てもよい。モジュール11は
、モジュール
1つ分以上の幅によ
って互いに間隔をあけて配置されているが、より小さい
離間距離での配置または隣接
しての配置が
採用されてもよい。モジュール11は、専用のSPECTカメラ等の
他のモダリティと接続
されてもよい。モジュール11は、ガントリと接続して、患者
のまわりの回転および/または
患者に沿った移動(並進
)(例えば、経軸的
に(transaxially))を可能にする。代わりに、または追加的に、
ベッド60は、モジュール11に対して患者を
相対的に移動させる。
【0102】
図16は、異なるタイプのモジュール160を用いた
、図15の3個のモジュール配置を示している。散乱検出器12は
取り除かれ、
患者空間からの放射線に沿って、モジュール160がより低い高さになるか、また
はより小さい範囲
を有することが可能と
される。同じハウジングを使用するが、散乱検出器12を使用しないなど、同じ高さを
採用してもよい。コンプトン画像
化は提供されないので、モジュール160は、1つ以上の捕獲検出器13と共に物理的開口110を使用する。捕獲検出器13は、SPECTまたは光電効果に基づく画像
化のため
に、時間コード化された
コード化開口部110
と共に機能する。捕獲検出器13は、光電効果により光子を吸収する。捕獲層の近くの時間コード化されたコード
化開口部110は、画質を改善するために回転軸の周りで回転することができる。コード
化開口部はまた、視野を
拡大させるためにXY検出器面内で(横方向に)移動してもよい。SPECT画像
化のためのモジュール160の他の配置、例えば
図12~14の配置を使用してもよい。単一
のモジュール160が使用され
てもよい。
異なる構成の
いずれかに組み込まれた
、より少ないまたはより多くのモジュールが使用され
てもよい。
【0103】
図10は、コンプトンカメラ、SPECTカメラ、またはその両方
になるように選択可能なカメラを
、形成、使用、および
修理するための方法のフローチャートの
一実施形態を示す。カメラは
、セグメント化されたアプローチで形成される。カメラ全体を所定の位置に組み立てる
のではなく、1つ以上の捕獲検出器を互いに相対的に配置して、カメラの所望の構成を形成する。捕獲検出器は
、比較的低い
放射エネルギーに対して使用
できるようにコード化開口部と共に、そして、比較的高い
放射エネルギーに対して使用
できるように散乱検出器とともに、配置される。この選択可能
でかつセグメント化されたアプローチは、同じ部品を使用する異なる構成、組
立の容易さ、修理の容易さ、および/または他の画像
化モダリティとの統合
、を可能にし得る。
【0104】
他の実施形態は、コンプトンカメラとSPECTカメラとの組合せを形成し、ここで、散乱検出器とコード
化開口部の両方が、捕獲検出器と同じカメラで使用されるように選択される。
ここでは、図11のセグメント化されたモジュール11を使用する。
散乱検出器が含まれていないSPECTカメラを形成するために
、図16のモジュール160が使用され
てもよい。
また、図11のモジュール11
が、コード
化開口部のないコンプトンカメラを形成するために使用
されてもよい。
【0105】
本方法は
、図4~9のいずれかに示されるよう
なコンプトンセンサを組み立て
るために、図1のシステムによって実施されてもよい。本方法は、
図12~16のいずれかに示されるよう
なコンプトンセンサを組み立てるために、
図11のシステムによって実施されてもよい。他のシステム、モジュール、および/または構成されたコンプトンセンサ
が使用
されてもよい。
【0106】
動作(工程)は、示された順序で(すなわち、上から下へ、または数値的に)または他の順序で行われる。例えば、動作108は、動作104の一部として実施されることがある。
【0107】
追加の動作、異なる動作、またはより少ない動作が提供されることがある。例えば、動作102および104は、動作106および108を実行せずにコンプトンカメラを組み立てるために提供される。別の例として、動作106は、他の動作を行わずに実行される。
【0108】
動作102では、捕獲検出器は、別個のハウジング内に収容される。モジュールは、各モジュールが捕獲検出器を含むように組み立てられる。機械および/または人が、ハウジングを製造する。1つのハウジングと対応するモジュールのみを使用してもよい。
【0109】
複数のモジュールは、複数のハウジングのうちの異なるハウジングにおけるそれぞれの散乱検出器および捕獲検出器の対が非平面であるところで当接するように、形づくられている。例えば、図4Cに示されるように、検出器対が円弧から形成されるように、くさび形の形状および/または位置決めが提供される。この形状は、モジュールが互いに対して位置決めされたときに、円弧形状を可能にし、および/または強制する。
【0110】
コンプトン-SPECTカメラ(例えば、
図11)の場合
、散乱検出器、コード
化開口部、及び捕獲検出器は、ハウジング内に収容される。ハウジングおよび対応するモジュールは、ジオデシックドームの一部
であるか、または一部を形成するよう
な形状など、
任意の形状を
有する。ハウジングは、散乱検出器およびコード
化開口部の一方又は両方を選択的に含む。設計および/または
放射エネルギー
要件に応じて、散乱検出器またはコード
化開口部の一方のみが配置または設置されている場合であっても、散乱検出器およびコード
化開口部の両方の
ための位置を有する同一のハウジングを使用してもよい。代替的に、散乱検出器および/またはコード
化開口部
のいずれが含まれるべきかに応じて、異なるハウジングが使用される。
【0111】
動作104では、ハウジングは隣接される。人または機械が、ハウジングからコンプトンセンサを組み立てる。ハウジングを、直接接触、またはスペーサ、ガントリ、またはフレームワークを介した接触で互いに隣接するように積み重ねることによって、当接されたハウジングが円弧を形成する。フルリングまたは部分リングが患者空間の周りに形成され、少なくとも部分的に患者空間を規定する。コンプトンカメラ、SPECTカメラ、またはコンプトン-SPECTカメラの設計に基づいて、対応する散乱検出器と捕獲検出器の対を有する任意の数のハウジングを一緒に配置してカメラを形成する。1つのハウジングを用いてもよい。
【0112】
ハウジングは、マルチモダリティシステムの一部として、または単一の画像
化システムを作成するために、隣接
させることができる。マルチモダリティシステムの
場合、ハウジングは、SPECT、PET、CT、またはMR画像
化システム
等の他のモダリティ
用のセンサと
、同じ外部ハウジング
内に、および/または同じベッドに
相対して、配置される。コンプトンカメラのハウジングおよび他のモダリティ用のセンサには、同一または
異なるガントリまたは支持フレームワークを使用してもよい。
図11~15の実施形態について、モジュールは、コンプトンカメラおよびSPECT画像
化システムの両方を
備えることによって
、マルチモダリティを提供する。
【0113】
コンプトンカメラの構成または設計により、ハウジングの数および/または位置が規定される。ハウジングは、いったん当接されたあとは、1本以上のブリッジを介するなどして、通信のために接続することができる。ハウジングは、空気冷却システムおよび/またはコンプトンプロセッサなどの他の構成要素と接続することができる。
【0114】
動作106において、組み立てられたコンプトンカメラは、放射を検出する。所定の放出された光子は、散乱検出器と相互作用する。その結果、放出された光子の入射線から特定の角度で別の光子の散乱が生じる。この二次光子は、エネルギーがより小さい。この二次光子は、捕獲検出器で検出される。そして検出された散乱事象と捕獲事象の両方のエネルギーとタイミングに基づいて、事象を対にする(ペアリングする)。対になった事象の位置とエネルギーは、検出器間の線と散乱角を得ることができる。その結果、放射された光子の入射線が決定される。
【0115】
二次光子を検出する可能性を高めるために、あるハウジングからの捕獲事象を、別のハウジングの散乱事象と対にすることができる。角度によって、1つの散乱検出器からの散乱は、同じハウジング内の対になった捕獲検出器、または別のハウジング内の捕獲検出器に入射することができる。検出器領域においてハウジングが開いていること、および/または光子減衰の少ない材料を使用することによって、より多くのコンプトン事象を検出することができる。
【0116】
検出された事象は、計数されるか、または収集される。再構成では、応答線または異なるコンプトン事象が発生するライン(線)が使用される。患者からの放射の3次元における分布は、コンプトンセンシングに基づいて再構成することができる。コンプトンセンシングが放射された光子の入射角を説明または提供するので、再構成にはコリメータは必要ない。
【0117】
図11のコンプトン-SPECTモジュール11を使用して、モジュールはまた、光電事象としての
放射を検出するために使用され得る。低いエネルギーの
放射は
、散乱検出器を通過する。これらの
放射は、コード
化開口部の孔を通過するか、またはコード
化開口部によってブロックされる。捕獲検出器は、コード
化開口部の孔を通過する
放射の少なくとも一部を検出する。散乱検出器及びコード
化開口部のいずれか又は両方を含む
という選択に応じて、比較的低いおよび/または高いエネルギーでの
放射が検出される。
【0118】
検出された事象は、放射性同位元素の位置を再構成するために使用される。コンプトンおよび/または光電画像化は、検出された事象および事象からの対応するライン情報から生成される。
【0119】
動作108では、人または機械(例えばロボット)が、ハウジングの1つを取り外す。ハウジングの検知器又は関連する電子機器のうちの1つが故障した場合、又は異なるエネルギーで検知するために交換する場合には、ハウジングを取り外すことができる。このとき他のハウジングは、医療用画像システムに残されている。これにより、コンプトンカメラ全体のより大きな解体および/または交換の費用なしに、ハウジングおよび/または検知器のより容易な修理および/または交換が可能となる。
【0120】
本発明を種々の実施形態を参照して上述したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び改変がなされ得ることは理解されるべきである。したがって、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解されるものであり、本発明の精神および特許請求の範囲を定めるのは、全ての均等物を含めて特許請求の範囲の記載に基づくものであることは理解されるべきである。