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特許7204888天然ガス液化プラントにおけるボイルオフガス再循環サブシステム
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  • 特許-天然ガス液化プラントにおけるボイルオフガス再循環サブシステム 図1
  • 特許-天然ガス液化プラントにおけるボイルオフガス再循環サブシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】天然ガス液化プラントにおけるボイルオフガス再循環サブシステム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021507594
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019043021
(87)【国際公開番号】W WO2020036712
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】62/718,742
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002476
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ライバーグ ブレット エル
(72)【発明者】
【氏名】ライト スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】只野 研一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 直樹
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0143843(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0031754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0058803(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス液化プラントであって、
液化サブシステムに流体接続されて、フィードガスを前記液化サブシステムに供給するフィードガスラインと、
前記液化サブシステムを1又は2以上のLNGタンクに流体接続して、LNGを前記液化サブシステムから前記1又は2以上のLNGタンクに供給する液化天然ガス(LNG)ラインと、
前記液化サブシステムを燃料ガスサブシステムに流体接続して、エンドフラッシュガス(EFG)を前記液化サブシステムから燃料ガスサブシステムに供給するEFGラインと、
前記1又は2以上のLNGタンクを圧縮機に流体接続して、LNGボイルオフガス(BOG)を前記1又は2以上のLNGタンクから前記圧縮機に供給するLNG BOGヘッダーと、
前記圧縮機を燃料ガスライン及び双方向ラインに流体接続する圧縮LNG BOGラインと、
を備え、
前記燃料ガスラインが、前記圧縮LNG BOGライン及び前記双方向ラインを前記燃料ガスサブシステムに流体接続し、前記EFGラインは、前記燃料ガスラインと別であり、EFGが前記LNG BOG又は前記フィードガスと別に前記燃料ガスサブシステムに供給され、前記双方向ラインが、前記フィードガスラインを前記燃料ガスラインに流体接続し且つ前記圧縮LNG BOGラインを前記フィードガスラインに流体接続し、
再循環モードにあるときに、前記圧縮LNG BOGラインは、前記圧縮機からの圧縮LNG BOGを前記双方向ラインに供給し、前記双方向ラインは、前記圧縮LNG BOGを前記圧縮LNG BOGラインから前記フィードガスラインに供給し、
燃料モードにあるときに、前記圧縮LNG BOGラインは、前記圧縮LNG BOGを前記圧縮機から前記燃料ガスラインに供給し、前記双方向ラインは、前記天然ガスを前記フィードガスラインから前記燃料ガスラインに供給し、
前記燃料ガスサブシステムは、前記システムが前記再循環モードにあるときに、前記EFG、及び、付加的に前記圧縮LNG BOGの一部のみを受け入れ、又は、前記燃料ガスサブシステムは、前記システムが燃料モードにあるときに、前記EFG、前記圧縮LNG BOG、及び、前記フィードガスの一部のみを受け入れる、ことを特徴とする天然ガス液化プラント。
【請求項2】
前記システムが前記再循環モードにあるときに、前記圧縮LNG BOGラインは、圧縮LNG BOGを前記圧縮機から前記燃料ガスライン及び双方向ラインに供給する、請求項1に記載の天然ガス液化プラント。
【請求項3】
前記フィードガスライン、前記圧縮LNG BOGライン、及び前記双方向ラインは、約55バーゲージ~約70バーゲージで加圧される、請求項1又は請求項2に記載の天然ガス液化プラント。
【請求項4】
前記フィードガスライン、前記圧縮LNG BOGライン、及び前記双方向ラインは、約60バーゲージ~約65バーゲージで加圧される、請求項1~3の何れかに記載の天然ガス液化プラント。
【請求項5】
前記液化サブシステムの上流側に1又は2以上のサブシステムを更に備え、前記サブシステムは、ガス受入サブシステム、凝縮物除去サブシステム、酸性ガス除去サブシステム、脱水サブシステム、水銀除去サブシステム、予冷サブシステム、重質炭化水素除去サブシステム、及びこれらの何れかの組み合わせから成るグループから選択される、請求項1~4の何れか1項に記載の天然ガス液化プラント。
【請求項6】
天然ガス液化プラントを運転する方法であって、
フィードガスを液化サブシステムに供給するステップと、
前記フィードガスを液化して、液化天然ガス(LNG)及びエンドフラッシュガス(EFG)を生成するステップと、
前記EFGを前記圧縮EFGに圧縮するステップと、
燃料ガスサブシステムで前記圧縮EFGを燃料ガスとして用いるステップと、
1又は2以上のLNGタンクに前記LNGを貯蔵するステップと、
前記1又は2以上のLNGタンクからのLNGボイルオフガス(BOG)を圧縮して、前記圧縮LNG BOGを生成するステップと、
(1)双方向ラインを介して前記圧縮LNG BOGの少なくとも一部を前記フィードガスに供給することによって再循環モードで運転するステップ、
又は、
(2)(a)前記双方向ラインを介して前記フィードガスの一部を前記EFGと別に前記燃料ガスサブシステムに供給すること及び(b)前記圧縮LNG BOGを前記EFGと別に前記燃料ガスサブシステムに供給することによって、燃料モードで運転するステップ
の何れかと、
を含み、
前記燃料ガスサブシステムは、前記再循環モードで作動するときに、前記EFG、及び、付加的に前記圧縮LNG BOGの一部のみを受け入れ、又は、前記燃料ガスサブシステムは、前記燃料モードで作動するときに、前記EFG、前記圧縮LNG BOG、及び、前記フィードガスの一部のみを受け入れる、方法。
【請求項7】
前記再循環モードで運転するステップは、前記圧縮LNG BOGの少なくとも一部を前記EFGと別に前記燃料ガスサブシステムに供給するステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フィードガス及び前記圧縮LNG BOGは、個別に約55バーゲージ~約70バーゲージの圧力である、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フィードガス及び前記圧縮LNG BOGは、個別に約60バーゲージ~約65バーゲージの圧力である、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項10】
1又は2以上の方法によって天然ガス供給を処理して、液化のために前記フィードガスを生成するステップを更に含み、前記1又は2以上の方法は、凝縮物除去、酸性ガス除去、脱水、水銀除去、予冷、重質炭化水素除去、及びこれらの何れかの組み合わせから成るグループから選択される、請求項6~9の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、名称が「BOIL-OFF GAS RECYCLE SUBSYSTEM IN NATURAL GAS LIQUEFACTION PLANTS」である、2018年8月14日に出願された米国仮特許出願第62/718742号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、天然ガス液化プラントにおける再循環液化天然ガス(LNG)ボイルオフガス(BOG)のためのサブシステム及びそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
天然ガスは、そのクリーンな燃焼性及び利便性の理由から、近年広く用いられるようになっている。しかしながら、大量の天然ガス(すなわち、主としてメタン)は、世界の遠隔の地域にある。このガスは、経済的に市場に移送できる場合には、大きな価値がある。ガス埋蔵量が市場に適度に近接してあり、2つの場所の間の地形が許容される場合、ガスは、典型的には、生産された後、水中及び/又は陸上ベースのパイプラインを通じて市場に移送される。しかしながら、ガスが、パイプラインの敷設が不可能であるか、又は経済的に法外な場所で生産されるときには、このガスを市場に導入するためには他の技術を用いる必要がある。
【0004】
ガスの非パイプライン移送に一般的に用いる技術は、産出現場又はその近くでガスを液化すること、及び移送船に搭載された特別設計の貯蔵タンクにて液化天然ガスを市場に移送することを含む。天然ガスは、冷却されて液体状態に凝縮され、実質的に大気圧で-162°C(-260°F)の温度で液化天然ガス(「LNG」)を生成し、これによって、現場で又は移送船に搭載できる貯蔵タンクに貯蔵できるガスの量が大幅に増加する。
【0005】
貯蔵中に、周囲環境からの熱は、本質的にLNG貯蔵タンク内に漏出し、これにより貯蔵LNGの一部が気化してタンク内でLNG「ボイルオフガス」(BOG)を生じさせる。追加の貯蔵タンクLNG BOGは、(i)フラッシュタンクから貯蔵タンクへのLNG移送を行うのに十分な圧力を提供するランダウンポンプによるLNGへのエネルギー入力、(ii)LNGランダウンラインでの断熱材を通じた熱漏れ、(iii)LNG装荷及び再循環ラインでの断熱材を通じた熱漏れ、及び(iv)再循環ポンプによる貯蔵LNGへのエネルギー入力によって生成される。このLNG BOGは、典型的には、プラントエリア内で燃料ガスとして使用するために回収及び圧縮される。しかしながら、中程度から高濃度の窒素と共に天然ガスを用いる天然ガス液化プラントはまた、エンドフラッシュガス(EFG)を発生させ、これは燃料ガスとして用いることができる。プラント燃料の需要に応じて、LNG BOGを燃料として消費する能力がない場合があるので、使用又は廃棄の代替手段が必要となる。LNG BOGは燃えることができるが、これは、一般的には、通常の運転モードとしては許可されない。
【0006】
米国特許第3,857,245号(Jones)では、窒素含有ボイルオフを凝縮するプロセスが開示されており、ここでは、LNGが窒素含有ボイルオフ蒸気中に注入され、次いで組み合わされた混合物が凝縮される。窒素含有ボイルオフへのLNGの注入は、再液化する必要がある蒸気量を増加させる。
【0007】
米国特許第6,192,705号(Kimble)では、圧縮及び冷却ステージに続いて熱交換器にボイルオフを通過させ、次いで熱交換器を通じてボイルオフを再循環させて戻すプロセスを開示している。圧縮、冷却、及び次いで加熱されたボイルオフは、その後、膨張されて液化ボイルオフの除去のために気液分離器に通される。次いで、液化ボイルオフは、第2の液化ガスストリームと組み合わせられて所望の生成物ストリームを生成する。
【0008】
LNG BOGを用いた複雑でない他の方法が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国仮特許出願第62/718742号明細書
【文献】米国特許第3,857,245号明細書
【文献】米国特許第6,192,705号明細書
【文献】米国特許第5,916,260号明細書
【文献】米国特許第6,658,892号明細書
【文献】米国特許出願第2007/0193303号明細書
【文献】国際特許出願2011/109117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、一般に、天然ガス液化プラントにおける再循環LNG BOGのためのサブシステム及びそれに関連する方法に関する。より具体的には、本開示は、双方向ラインを利用して、LNG BOGを再循環モードでの液化を目的とすること、又は燃料モードでの燃料ガスを目的とすることを可能にした。このような方法及びサブシステムは、有利には、簡単で複雑でない実装設計でオペレータに価値をもたらすLNG BOGの使用に対する簡単な解決策を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の実施形態では、天然ガス液化プラントは、液化サブシステムに流体接続されてフィードガスを液化サブシステムに供給するフィードガスラインと、液化サブシステムを1又は2以上のLNGタンクに流体接続してLNGを液化サブシステムから1又は2以上のLNGタンクに供給するLNGラインと、液化サブシステムを燃料ガスサブシステムに流体接続してEFGを液化サブシステムから燃料ガスサブシステムに供給するEFGラインと、1又は2以上のLNGタンクを圧縮機に流体接続してLNG BOGを1又は2以上のLNGタンクから圧縮機に供給するするLNG BOGヘッダーと、圧縮機を燃料ガスライン及び双方向ラインに流体接続する圧縮LNG BOGラインと、を備えることができ、燃料ガスラインが、圧縮LNG BOGライン及び双方向ラインを燃料ガスサブシステムに流体接続し、双方向ラインが、フィードガスラインを燃料ガスラインに流体接続し、圧縮LNG BOGラインをフィードガスラインに流体接続し、再循環モードにあるときに、圧縮LNG BOGラインは圧縮機からの圧縮LNG BOGを双方向ラインに供給し、双方向ラインは、圧縮LNG BOGラインからの圧縮LNG BOGをフィードガスラインに供給し、燃料モードにあるときに、圧縮LNG BOGラインは、圧縮機からの圧縮LNG BOGを燃料ガスラインに供給し、双方向ラインはフィードガスラインからの天然ガスを燃料ガスラインに供給する。
【0012】
第2の実施形態では、天然ガス液化プラントを運転する方法は、フィードガスを液化サブシステムに供給するステップと、天然ガスを液化してLNG及びEFGを生成するステップと、EFGを圧縮EFGに圧縮するステップと、圧縮EFGを燃料ガスとして用いるステップと、1又は2以上のLNGタンクにLNGを貯蔵するステップと、1又は2以上のLNGタンクからのLNG BOGを圧縮して圧縮LNG BOGを生成するステップと、(1)双方向ラインを介して圧縮LNG BOGの少なくとも一部をフィードガスに供給することによって再循環モードで運転するステップ、又は(2)(a)双方向ラインを介してフィードガスの一部を燃料ガスに供給すること及び(b)圧縮LNG BOGを燃料ガスに供給することによって燃料モードで運転するステップの何れかと、を含む。
【0013】
以下の図は、実施形態の特定の態様を例示するために含まれており、排他的な実施形態とみなされるべきではない。開示された主題は、当業者には想起され、本開示の利益を有する形態及び機能において相当な修正、変更、組み合わせ、及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】天然ガス液化プラントの一部の例示的な図である。
図2】例示的な天然ガス液化プラントのサブシステムの例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、一般に、天然ガス液化プラントにおける再循環液化天然ガス(LNG)ボイルオフガス(BOG)のためのサブシステム及びそれに関連する方法に関する。より具体的には、本開示は、双方向ラインを利用してLNG BOGを再循環モードでの液化を目的とすること、又は燃料モードでの燃料ガスを目的とすることを可能にした。
【0016】
図1は、天然ガス液化プラントの一部100の例示的な図である。この天然ガス液化プラントの一部100は、液化サブシステム104に流体接続されて液化サブシステム104にフィードガスを供給するフィードガスライン102を含む。フィードガスは、液化に好適であるように必要な処理を受けた天然ガスである。処理は、天然ガスの組成物(例えば、硫黄、水、及び水銀含有物)に依存し、限定ではないが、凝縮物除去、酸性ガス除去、脱水、水銀除去、重質炭化水素除去、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
本明細書で用いられる場合、2つの構成要素を流体接続するラインを説明する場合、ラインは、ラインに沿って設置可能なポンプ、コネクタ、熱交換器、及びバルブのような、2つの構成要素及び他のハードウェアを流体接続する1又は複数のラインを包含する一般用語として用いられる。
【0018】
再度図1を参照して、液化サブシステム104は、天然ガスを液化して、実質的に周囲圧力でLNGを生成する。本明細書で用いられる場合、「実質的に周囲圧力」とは、周囲圧力±5バーゲージ(barg)を指す。液化サブシステムは、当技術分野で公知であり、幾つかの異なる構成を有することができる。典型的には、液化サブシステムは、1又は2以上の熱交換器、膨張バルブ又は液圧タービン、1又は2以上のポンプ、及び分離器を含む。液化サブシステムの実施例は、限定ではないが、米国特許第5,916,260号及び米国特許第6,658,892号、米国特許出願第2007/0193303号及びPCT国際出願第WO2011/109117号に記載されたものを含み、これらの各々は引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
一般に、フィードガスは、液化サブシステム104に導入される場合、約55barg(約798psiゲージ(psig))~約70barg(約1,015psig)とすることができる。液化サブシステム104におけるフィードガスの圧力を低下させるために、フィードガスは、典型的には、分離器(すなわち、フラッシュタンク)に入る前に、極低温熱交換器システムから膨張バルブ又は液圧タービンにわたって通過する(すなわち、フラッシュされる)。冷却されたフィードガスの圧力が低下して、実質的に周囲圧力にてLNGを生成すると、ガスの一部がフラッシュして、エンドフラッシュガス(EFG)として知られる蒸気になる。LNGは、フラッシュタンクから除去されて、液化サブシステム104及びLNG貯蔵タンク108を流体的に結合するLNGライン106を介して、液化サブシステム104からLNG貯蔵タンク108に圧送される。EFGは、液化サブシステム104及びEFG圧縮機112を流体的に結合するEFGライン110を介して、液化サブシステム104におけるフラッシュタンクから除去されて、EFG圧縮機112に圧送される。
【0020】
EFG圧縮機112は、約55barg(約798psig)~約70barg(約1,015psig)の圧力でEFGを圧縮し、圧縮EFGを生成する。圧縮EFGは、EFG圧縮機112及び燃料ガスサブシステム116を流体的に結合する圧縮EFGライン114を介して、燃料ガスサブシステム116に供給される。燃料ガスサブシステム116は、天然ガス液化プラントの種々の構成要素に燃料ガスを供給する。
【0021】
上記で説明したように、LNG貯蔵タンク108中のLNGは、少なくとも一つにはLNGを加温する周囲環境からの熱に起因して、時間と共にLNG BOGに気化する。LNG BOGは、LNG貯留タンク108をLNG BOG圧縮機120に流体結合するLNG BOGヘッダー118にて捕捉される。LNG BOG圧縮機120は、約55barg(約798psig)~約70barg(約1,015psig)の圧力でLNG BOGを圧縮し、圧縮LNG BOGを生成する。圧縮LNG BOGライン122は、LNG BOG圧縮機120を燃料ガスライン124及び双方向ライン126に流体結合する。
【0022】
圧縮LNG BOGは、天然ガス液化プラントを稼働するのに必要な燃料ガスを供給又は供給を増強するのに必要な量で燃料ガスライン124に供給される。これは、圧縮LNG BOGの全て、圧縮LNG BOGの一部、又は圧縮LNG BOGなしとすることができる。燃料ガスに必要とされない過剰な圧縮LNG BOGが存在する場合、過剰な圧縮LNG BOGは、矢印Aの流れ方向で双方向ライン126を介してフィードガスライン102に搬送される。過剰な圧縮LNG BOGは、液化のためにフィードガスと同伴される。流れ方向Aのこの構成は、本明細書では「再循環モード」にあると呼ばれる。
【0023】
或いは、LNG BOGの全てが、天然ガス液化プラントを稼働するのに必要な燃料ガスの供給又は供給を増強するのに不十分である場合、フィードガスライン102からのフィードガスの少なくとも一部は、矢印Bの流れ方向に双方向ライン126を介して燃料ガスライン124に搬送することができる。流れ方向Aのこの構成は、本明細書では「燃料モード」であると呼ばれる。
【0024】
従って、本開示の方法は、フィードガスを液化サブシステムに供給するステップと、天然ガスとすることができるフィードガスを液化して、LNG及びEFGを生成するステップと、EFGを圧縮EFGに圧縮するステップと、圧縮EFGを燃料ガスとして用いるステップと、1又は2以上のLNGタンクにLNGを貯蔵するステップと、1又は2以上のLNGタンクからLNG BOGを圧縮して圧縮LNG BOGを生成するステップと、(1)双方向ラインを介して圧縮LNG BOGの少なくとも一部をフィードガスに供給することによって再循環モードで運転するステップ、又は(2)(a)双方向ラインを介してフィードガスの一部を燃料ガスに供給すること及び(b)圧縮LNG BOGを燃料ガスに供給することによって、燃料モードで運転するステップの何れかと、を含むことができる。一部の事例では、再循環モードで運転するステップは更に、圧縮LNG BOGの少なくとも一部を燃料ガスに供給するステップを含むことができる。
【0025】
天然ガス液化プラントの燃料需要は、稼働するプロセスによって異なる。例えば、典型的には、複数の液化サブシステム104が並行して運転している。メンテナンスのため、或いは供給又は需要が少ないために、一部がオフラインであるときには、圧縮EFGは、プラントの燃料ガス需要を供給するのに十分な場合がある。このような場合、圧縮EFGの供給を増強するのに、圧縮LNG BOGの一部が必要とされるか、又は必要でないことがある。このような場合、天然ガス液化プラントの一部100は、再循環モードで運転することができる。
【0026】
別の実施例では、天然ガス液化プラントは、圧縮EFG及び圧縮LNG BOGの組み合わせた量が、プラントを運転するのに必要な燃料ガス量を提供するのには不十分であるように、複数の液化サブシステム104を並行して運転している場合がある。このような場合には、天然ガス液化プラントの一部100は、燃料モードで運転することができる。
【0027】
更に別の実施例では、天然ガスの供給は、低濃度の窒素を有することができ、より少ない量のEFGをもたらす。その結果、天然ガス液化プラントの一部100は、天然ガスの供給が中程度から高濃度の窒素を有している場合よりも多くの頻度で燃料モードで運転する可能性がある。
【0028】
天然ガス液化プラントの一部100において、フィードガス、圧縮LNG BOG、及び圧縮EFGは、それぞれ個別に、約55barg(約798psig)~約75barg(約1,088psig)、又は約58barg(約841psig)~約72barg(約1,044psig)、或いは約60barg(約870psig)~約70barg(約1,015psig)、又は約62barg(約899psig)~約68barg(約986psig)の圧力とすることができる。
【0029】
図2は、例示的な天然ガス液化プラントのサブシステム230の例示的な流れ図である。代替の実施形態では、サブシステム230の一部は、除外又は迂回することができ、サブシステム230を並べ替えることができ、及び/又は追加サブシステム230を含めることができる。
【0030】
例示のサブシステム230では、天然ガスの供給232が、ガス受入サブシステム234に提供され、凝縮物除去サブシステム236に移送される。凝縮物除去サブシステム236は、非安定化凝縮物238を抽出し、これは、縮合物安定化サブシステム240に移送される。次いで、凝縮物除去サブシステム236からの生成物は、酸性ガス除去サブシステム242、脱水サブシステム244、水銀除去サブシステム246、及び予冷サブシステム248を通して処理された後、重質炭化水素除去サブシステム250における重質炭化水素252が除去される。重質炭化水素252は、分別サブシステム254において、安定化凝縮物256、液体天然ガス258(NGL)(例えば、エタン、プロパン、ブタン、及びより重質の炭化水素)、及びメタン260に分別することができる。安定化凝縮物256は、凝縮物貯蔵サブシステム262に移送することができ、ここは、凝縮物安定化サブシステム240からの安定化凝縮物264が貯蔵される場所でもある。NGL258は、NGL貯蔵サブシステム266に移送することができる。メタン260は、冷凍サブシステム268に移送することができ、冷却されたメタンを重質炭化水素除去サブシステム250のフィードガス270生成物と組み合わせることができる。
【0031】
次いで、図1にて記載されるように、フィードガス270は、液化サブシステム272に提供される。EFG274は、圧縮されて燃料ガスサブシステム276に移送される。液化サブシステム272にて生成されたLNG278は、LNG貯蔵サブシステム280に貯蔵することができる。LNG貯蔵サブシステム280からのLNG BOG282を圧縮することができる。次いで、再循環モードでは、LNG BOG282の少なくとも一部分は、フィードガス270と同伴するように、双方向回ライン284を介して移送することができる。或いは、燃料モードでは、LNG BOG282は、流れ矢印Bに従って、双方向ライン284を介してフィードガス270の一部と共に燃料ガスサブシステム276に移送することができる。
【0032】
最終的には、必要に応じて、LNG貯蔵サブシステム280中のLNGは、運送船286(例えば、タンカートラック、タンカー鉄道車両、及び船舶)に移送することができる。
【0033】
本開示の方法は、1又は2以上の方法によって天然ガス供給装置を処理し、液化のためのフィードガスを生成するステップを含むことができ、1又は2以上の方法は、凝縮物除去、酸性ガス除去、脱水、水銀除去、予冷、重質炭化水素除去、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される。
【0034】
特に明記しない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量、反応条件などの特性を表す全ての数字は、全ての事例において用語「約」によって修正されると理解されるべきである。従って、それとは反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0035】
本明細書に開示される本発明の実施形態を組み込んだ1又は2以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての機能が本出願において記載され又は図示されているとは限らない。本発明の実施形態を組み込んだ物理的実施形態の開発において、多くの実装時固有の決定は、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約への準拠など、実装毎に且つ適宜異なる開発者の目標を実現するために行う必要があることは理解される。開発者の努力は時間がかかる場合があるが、それでも尚、このような努力は、本開示の利益を当業者にとって日常的な業務であろう。
【0036】
構成及び方法は、本明細書では種々の構成要素又はステップを「含む」という観点から記載されているが、構成及び方法はまた、種々の構成要素及びステップから「本質的に成る」又は「から成る」ことができる。
【0037】
従って、本発明は、上述の目的及び利点並びに本明細書で内在されるものを実現するように良好に適応される。上記で開示された特定の実施形態は、単に例証に過ぎないので、本発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな異なる同等の手法で修正及び実施することができる。更に、以下の請求項で説明する以外に、本明細書に示す構造又は設計の詳細事項に限定されるものではない。従って、上記で開示された特定の例示の実施形態は、変更、組み合わせ、又は修正することができ、全てのこのような変形形態は、本発明の範囲及び精神内にあるものとみなされる点は明らかである。好適には、本明細書で例示的に開示される本発明は、本明細書で具体的に開示されないあらゆる要素及び/又は本明細書で開示されるあらゆる任意の要素がない限り、実施することができる。構成及び方法は、本明細書では種々の構成要素又はステップを「含む」という観点から記載されているが、構成及び方法はまた、種々の構成要素及びステップから「本質的に成る」又は「から成る」ことができる。上記で開示された全ての数及び範囲は、ある量までは異なる可能性がある。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときは常に、この範囲内に含まれるあらゆる数及びあらゆる包含範囲は、具体的に開示される。詳細には、本明細書で開示される(「約aから約bまで」、又は同等に「ほぼaからbまで」、或いは同等に「ほぼa~b」の形態の)値の全ての範囲は、値のより広い範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載していることを理解されたい。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的に明確に定義されない限り、これらの明白な通常の意味を有する。更に、特許請求の範囲で用使用される不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、導入する要素の1又は2以上を意味するものと定義される。
【符号の説明】
【0038】
100 一部分
102 フィードガスライン
104 液化サブシステム
106 LNGライン
108 LNG貯蔵タンク
110 EFGライン
112 EFG圧縮機
114 圧縮EFGライン
116 燃料ガスサブシステム
118 LNG BOGヘッダー
120 LNG BOG圧縮機
122 圧縮LNG BOGライン
124 燃料ガスライン
126 双方向ライン
A、B 流れ方向
図1
図2