(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】ベンゾオキサジンベースのポリウレタン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20230106BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230106BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230106BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230106BHJP
C08K 5/357 20060101ALI20230106BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20230106BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/76 057
C08G18/00 F
C08L75/04
C08K5/357
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021521837
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2018114686
(87)【国際公開番号】W WO2020093346
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500030150
【氏名又は名称】ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユーファン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ファン
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0204385(US,A1)
【文献】特開2001-296658(JP,A)
【文献】特開2010-070757(JP,A)
【文献】特開平10-025343(JP,A)
【文献】国際公開第2017/178548(WO,A1)
【文献】特表2019-511620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/08
C08G 18/76
C08G 18/00
C08L 75/04
C08K 5/357
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
ポリメリックMDI、MDI異性体混合物またはこれらの混合物から選択される多官能イソシアネート;
(b)(b1)多官能ポリオールと触媒組成物、および/または、(b2)多官能アミン、を含むイソシアネート反応性組成物;ならびに
(c)樹脂組成物中に溶解したベンゾオキサジン成分;
を含んでなる樹脂組成物であって、多官能ポリオールの分子量が
100~800の範囲であり、
イソシアネート反応性組成物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルアミンを含み、ベンゾオキサジン成分がビスフェノールAタイプのベンゾオキサジンであり、成分bと成分cの合計量に対するベンゾオキサジン成分cの重量%が
25~60の範囲である、上記樹脂組成物。
【請求項2】
樹脂組成物が、
0.7~5の範囲のNCOインデックスを有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
触媒組成物がアミン触媒および/または三量化触媒を含んでなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
樹脂組成物が少なくとも1つの溶剤をさらに含む、請求項1~
3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂組成物が少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む、請求項1~
4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載の樹脂組成物を製造する方法であって、
多官能イソシアネートにベンゾオキサジン成分とイソシアネート反応性組成物を加えること
、または、熱可塑性ポリウレタンにベンゾオキサジン成分を加えること、を含む、上記方法。
【請求項7】
硬質フォーム製品を製造するための、請求項1~
5のいずれかに記載の樹脂組成物
の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾオキサジンベースのポリウレタン樹脂組成物に関し、より具体的には、ポリウレタンフォームにおいて使用されるベンゾオキサジンベースのポリウレタン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PU)とベンゾオキサジンとの混合物は、当業界において既に公知である。CN103254451は、ベンゾオキサジンとポリウレタンとのブレンド樹脂を開示しているものの、ポリウレタンは、ベンゾオキサジン樹脂系に加えられる添加剤として使用されている。
【0003】
CN102838718は、ベンゾオキサジン樹脂の耐熱性能を改良するためにポリウレタンを使用することを開示している。「Enhanced Film Forming Ability of Benzoxazine-Urethane Hybrid Polymer Network by Sequential Cure Method, R. Sarawut, et al, Journal of Applied Polymer Science(2014)」は、コーティングプロセスや流延プロセスにおいてベンゾオキサジン-ウレタンハイブリッドポリマーを使用することを開示している。このような組成物中に使用されるポリオールは、高い分子量を有する極めて特殊なポリオールである。しかしながら既知の解決策では、高いガラス転移温度と改良された耐燃性を有するPU樹脂組成物を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】CN103254451
【文献】CN102838718
【非特許文献】
【0005】
【文献】Enhanced Film Forming Ability of Benzoxazine-Urethane Hybrid Polymer Network by Sequential Cure Method, R. Sarawut, et al, Journal of Applied Polymer Science (2014)
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、本発明の組成物とプロセスは上記の問題点を解消する、ということが見出された。本発明の利点としては、
(1) 高いガラス転移温度(Tg)が得られること;
(2) 耐燃性が改良されること;
(3) フォームの機械的特性に対する影響が認められないこと;
がある。
【0007】
本発明は、改良された耐燃性を有する組成物、およびこうした組成物を製造するためのプロセスに関する。一実施態様では、本発明は、(a)多官能イソシアネート;(b)(b1)多官能ポリオールと触媒組成物および/または(b2)多官能アミン、を含むイソシアネート反応性組成物;ならびに(c)樹脂組成物中に溶解したベンゾオキサジン成分;を含んでなる樹脂組成物を提供し、ここで多官能ポリオールの分子量が約100~約800の範囲、好ましくは約200~約700の範囲であり;成分(b)と(c)の合計量に対するベンゾオキサジン成分(c)の重量%が約25~約60の範囲、好ましくは約30~約50の範囲である。
【0008】
他の実施態様では、本発明は、該樹脂組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0009】
さらに他の実施態様では、本発明は、該樹脂組成物を使用して硬質フォーム製品を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「含んでなる」(comprising)という用語およびその誘導形が本明細書に出てきた場合、これらの用語は、任意のさらなる成分、工程、または手順の存在を排除するよう意図してはいない。曖昧さを避けるために述べておくが、「含んでなる」(comprising)という用語を用いて本明細書にて特許請求されている組成物は全て、含まないことを特に明記しない限り、任意のさらなる添加剤、アジュバント、または化合物を含んでよい。これとは対照的に、「から実質的になる」(consisting essentially of)という用語が本明細書に出てきた場合、この用語は、任意の後続する列挙要素の範囲から、操作性にとって必須ではないものを除いて、他のいかなる成分、工程、または手順も除外し、「~からなる」(consisting of)という用語が使用されている場合、この用語は、明確に記載もしくは列挙されていないいかなる成分、工程、または手順も除外する。特に明記しない限り、「または」(or)という用語は、個別に列挙されている要素だけでなく、それらの任意の組み合わせも表す。
【0011】
本明細書において「a」や「an」といった冠詞は、その項目の文法的対象が「1つの」または「1つより多い」(すなわち、「少なくとも1つの」)、ということを表す。例えば、「樹脂」(a resin)は、1つの樹脂または1より多い樹脂を意味する。
【0012】
「一実施態様では」(in one embodiment)や「一実施態様によれば」(according to one embodiment)等のフレーズは、一般には、該フレーズの後に記載の特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施態様中に含まれ、そして本発明の2つ以上の実施態様中に含まれることがある、ということを意味している。重要なことは、このようなフレーズが必ずしも同じ実施態様を表す必要はない、という点である。
【0013】
ある成分または特徴が含まれてよい(a component or feature 「may」、「can」、「could」、or「might」 be included)、あるいはある成分または特徴がある特性を有してよい(a component or feature may have a characteristic)、と明細書に記載されている場合、その特定の成分または特徴は含まれる必要はないし、また、その特性を有する必要はない。
【0014】
本発明は、一般には、(a)多官能イソシアネート;(b)(b1)多官能ポリオールと触媒組成物および/または(b2)多官能アミンを含むイソシアネート反応性組成物;ならびに(c)樹脂組成物中に溶解したベンゾオキサジン成分;を含んでなる樹脂組成物を提供し、ここで多官能ポリオールの分子量が約100~約800の範囲、好ましくは約200~約700の範囲であり;成分(b)と(c)の合計量に対するベンゾオキサジン成分(c)の重量%が約25~約60の範囲、好ましくは約30~約50である。
【0015】
一実施態様によれば、多官能イソシアネートは、式Q(NCO)nで示されるイソシアネートを含み、ここでnは2~5、好ましくは2~3の数であり、Qは、2~18個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5~10個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、8~13個の炭素原子を有するアリール脂肪族炭化水素基、または6~15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基であり、一般には芳香族炭化水素基が好ましい。
【0016】
多官能イソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;1,12-ドデカンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、およびこれら異性体の混合物;イソホロンジイソシアネート;2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、およびこれら異性体の混合物;ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(水素化MDIまたはHMDI);1,3-フェニレンジイソシアネートと1,4-フェニレンジイソシアネート;2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、およびこれら異性体の混合物(TDI);ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタン-4,4’-ジイシアネート(MDI);ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート;アニリンとホルムアルデヒドを縮合させてからホスゲン化することによって得られるタイプのポリフェニル-ポリメチレン-ポリイソシアネート(ポリメリックMDI);ノルボルナンジイソシアネート;m-イソシアナートフェニルスルホニルイソシアネートとp-イソシアナートフェニルスルホニルイソシアネート;過塩素化アリールポリイソシアネート;カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基、またはビウレット基を有する変性多官能イソシアネート;テロマー化反応によって得られる多官能イソシアネート;エステル基を有する多官能イソシアネート;ならびにポリマー脂肪酸基を有する多官能イソシアネート;等があるが、これらに限定されない。当業者には周知のことであるが、上記多官能イソシアネートの混合物も使用することができ、ポリメリックMDIの混合物、MDI異性体の混合物、およびTDIの混合物を使用するのが好ましい。
【0017】
他の実施態様では、MDIやTDIのプレポリマーも、MDIやTDIの代替物として使用することができる。MDIやTDIのプレポリマーは、過剰量の上記多官能イソシアネート(例えば、MDIやTDI等)と多官能ポリオールとの反応によって製造される。プレポリマーは、20~35重量%のNCO価を有するのが好ましい。MDIやTDIのプレポリマーの合成プロセスは当業界に公知である(例えば、「Polyurethanes Handbook」、第2版、G. Oertel, 1994」を参照)。
【0018】
本発明において使用するのに適したイソシアネート反応性組成物は、多官能ポリオールや多官能アミンを含んでよい。
【0019】
本発明において使用する多官能ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、生物学的再生可能ポリオール(biorenewable polyols)、ポリマーポリオール、および難燃性ポリオール(例えば、リン含有ポリオールやハロゲン含有ポリオール)等があるが、これらに限定されない。このようなポリオールは、単独でも、あるいは混合物としての適切な組み合わせでも使用することができる。
【0020】
本発明において使用する多官能ポリオールの一般的な官能価は2~6である。ポリオールの分子量は100~800の範囲、好ましくは200~700の範囲である。
【0021】
分子量(MW)は、ポリスチレンを内部標準とするゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によって決定される重量平均分子量である。前記多官能ポリオールの割合は、樹脂組成物の重量を基準として、一般には10重量%~80重量%の、好ましくは15重量%~40重量%の範囲の量である。本発明において使用するポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシドポリエーテルポリオールやプロピレンオキシドポリエーテルポリオール等のアルキレンオキシドポリエーテルポリオール;およびジオールとトリオールを含めた多価化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、および類似の低分子量ポリオール)から誘導される、末端ヒドロキシル基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;がある。
【0022】
本発明において使用するポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸と過剰のジオール(例えば、アジピン酸とエチレングリコールもしくはブタンジオール)との反応によって得られるポリエステルポリオール、またはラクトンと過剰のジオール(例えば、カプロラクトンとプロピレングリコール)との反応によって得られるポリエステルポリオール等があるが、これらに限定されない。本発明において使用するポリエステルポリオールはさらに、末端ヒドロキシル基を有する直鎖もしくは低分岐鎖脂肪族(主としてアジペート)ポリオール、低分子量芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン、およびポリカーボネートポリオールを含んでよい。末端ヒドロキシル基を有する直鎖もしくは低分岐鎖脂肪族(主としてアジペート)ポリオールは、ジカルボン酸と過剰のジオール、トリオール、またはこれらの混合物とを反応させることによって製造され;ジカルボン酸としては、例えばアジピン酸やAGS混合酸(AGS mixed acid)等があり(これらに限定されない);ジオールやトリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等がある(これらに限定されない)。低分子量芳香族ポリエステルとしては、ジメチルテレフタレート(DMT)製造のプロセス残留物から誘導される生成物(通常かま残と呼ばれる)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)ボトルまたは磁気テープのグリコリシス(glycolysis)に引き続いて、二酸を使用して再エステル化するか又はアルキレンオキシドと反応させることによって誘導される生成物、および無水フタル酸の直接エステル化によって誘導される生成物等がある。ポリカプロラクトンは、開始剤と触媒の存在下でのカプロラクトンの開環反応によって得られる。開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等がある。炭酸から誘導されるポリカーボネートポリオールは、ジオールとホスゲンとの重縮合反応により製造することができるものの、ジオール(一般にはヘキサンジオール)と炭酸エステル(例えばジフェニルカーボネート)とのエステル交換反応が起こる。
【0023】
本発明において使用するのに適した生物学的再生可能ポリオールとしては、ヒマシ油、ヒマワリ油、パーム核油、キャノーラ油、菜種油、大豆油、コーン油、ピーナッツ油、オリーブ油、藻類油、およびこれらの混合物等がある。
【0024】
多官能ポリオールの例としてはさらに、グラフトポリオールやポリウレア変性ポリオール等があるが、これらに限定されない。グラフトポリオールは、ビニルモノマーがグラフト共重合したトリオールを含む。適切なビニルモノマーとしては、例えばスチレンやアクリロニトリル等がある。ポリウレア変性ポリオールは、ポリオールの存在下でのジアミンとジイソシアネートとの反応によって形成される、ポリウレア分散液を含有するポリオールである。ポリウレア変性ポリオールの変形がポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールであり、これは、ポリオール中でのイソシアネートとアルカノールアミンのその場反応によって形成される。
【0025】
難燃性ポリオールは、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを加えることによって得られるリン含有ポリオールであってよい。ハロゲン含有ポリオールは、例えば、エピクロロヒドリンやトリクロロブチレンオキシドの開環重合によって得られるものであってよい。
【0026】
本発明において使用する多官能アミンは、ポリエーテルポリアミンやポリエステルポリアミンを含んでよい。
【0027】
好ましい実施態様では、イソシアネート反応性組成物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはポリエーテルアミンである。
【0028】
本発明の樹脂組成物中に化合物(c)を加えると耐燃性が改良されることが見出された。
【0029】
一実施態様によれば、ベンゾオキサジン成分は、少なくとも1つのベンゾオキサジンモイエティを含有する、任意のモノマー、オリゴマー、またはポリマーであってよい。
【0030】
一実施態様では、ベンゾオキサジンは、ビスフェノール類をベースとするビス(ジヒドロベンゾオキサジン)であってよく、これらは市販されおり、公開されていてよく知られている方法によって製造することができる。ビスフェノール類をベースとするビス(ジヒドロベンゾオキサジン)は、以下の式(I):
【0031】
【化1】
で示され、ここで、R
1は、C
1-C
18アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
12シクロアルキル-C
1-C
4アルキル、C
6-C
18アリール、またはC
6-C
18アリール-C
1-C
4アルキルであって、これらは非置換であるか、あるいは1つ以上のC
1-C
6アルキル基またはC
1-C
6アルコキシ基で置換されており;R
2は、水素、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、C
1-C
18アルキル、C
1-C
18アルコキシ、C
1-C
18アルコキシアルキル、非置換であるかまたは1つ以上のC
1-C
6アルキル基もしくはC
1-C
6アルコキシ基で置換されたC
5-C
12シクロアルキル、非置換であるかまたは1つ以上のC
1-C
6アルキル基もしくはC
1-C
6アルコキシ基で置換されたC
6-C
12アリール、あるいは非置換であるかまたは1つ以上のC
1-C
6アルキル基もしくはC
1-C
6アルコキシ基で置換されたC
7-C
13アリールアルキルであり;X
1は、直接結合であるか、あるいは-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)
2-、-C(O)-、-NR
3-、-O-C(O)-、-O-C(O)-O-、-SO
2-O-、-O-SO
2-O-、-NR
3-C(O)-、-NR
3-C(O)-O-、-NR
3-C(O)-NR
3-、-NR
3-SO
2-、-NR
3-SO
2-O-、-O-SO
2NR
3-、-NR
3SO
2-NR
3-、-P(O)(OR
3)O-、-OP(OR
3)O-、-(O)P(OR
3)-、-P(OR
3)-、-P(R
3)-、-O-(O)P(R
3)-O-、C
1-C
18アルキレン、C
2-C
18アルキリデン、C
3-C
12シクロアルキレン、C
3-C
12シクロアルキリデン、-Si(OR
3)
2-、および-Si(R
3)
2-から選ばれる二価の架橋基であって、R
3は、H、C
1-C
12アルキル、C
5シクロアルキル、C
6シクロアルキル、C
5シクロアルキルメチル、C
5シクロアルキルエチル、C
6シクロアルキルメチル、C
6シクロアルキルエチル、フェニル、ベンジル、または1-フェニル-2-エチルである。
【0032】
基R1~R3がアルキル、アルコキシ、またはアルコキシアルキルである場合、こうしたアルキル基またはアルコキシ基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、1~12個の、さらに好ましくは1~8個の、最も好ましくは1~4個の炭素原子を有してよい。
【0033】
アルキル基の例は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、種々の異性体ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、およびオクタデシル基である。
【0034】
適切なアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、種々の異性体ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、およびオクタデシルオキシ基である。
【0035】
アルコキシアルキルの例は、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、および4-エトキシブチルである。
【0036】
シクロアルキルは、好ましくはC5-C8シクロアルキルであり、特にC5シクロアルキルまたはC6シクロアルキルである。これらの幾つかの例としては、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0037】
アリール基の例は、フェニル、ナフチル、およびアントリルである。
【0038】
アリールアルキルは、7~12個の炭素原子を有するのが好ましく、7~11個の炭素原子を有するのが特に好ましい。アリールアルキルは、例えばベンジル、フェネチル、3-フェニルプロピル、α-メチルベンジル、4-フェニルブチル、またはα,α-ジメチルベンジルであってよい。
【0039】
R1は、非置換であるか又は1つ以上のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4アルコキシ基で置換されたC1-C12アルキル、C5-C8シクロアルキル、またはC5-C8シクロアルキル-C1-C2アルキル、あるいは非置換であるか又は1つ以上のC1-C4アルキル基もしくはC1-C4アルコキシ基で置換されたC6-C10アリールまたはC6-C10アリール-C1-C2アルキルであるのが好ましい。
【0040】
本発明のより好ましい実施態様では、R1は、非置換であるか又は1つ以上のメチル基もしくはメトキシ基で置換されたC1-C6アルキル、フェニル、またはベンジルである。
【0041】
本発明によれば、R1がイソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、またはフェニルである場合の式(I)の化合物が好ましい。
【0042】
式(I)の化合物におけるR2は水素であるのが好ましい。
【0043】
シクロアルキレンX1は、2~4個の縮合および/または架橋した炭素環(例えば、ビシクロ-[2,2,1]ヘプタニレンやトリシクロ-[2,1,0]-デカニレン等)であってよい。
【0044】
X1は、好ましくは直接結合であり、さらに好ましくは、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、-P(O)(OR3)O-、-OP(OR3)O-、-OP(OR3)-、-P(OR3)-、-P(R3)-、C1-C2アルキレン、およびC1-C12アルキリデンから選ばれる二価の架橋基であり、ここでR3は、C1-C4アルキル、C5シクロアルキル、C6シクロアルキル、フェニル、またはベンジルである。
【0045】
R3は、H、C1-C12アルキル、C5シクロアルキル、C6-シクロアルキル、C5シクロアルキル-メチル、C5シクロアルキル-エチル、C6シクロアルキル-メチル、C6シクロアルキル-エチル、フェニル、ベンジル、または1-フェニル-2-エチルであるのが好ましい。R3が基-P(O)(OR3)O-、-OP(OR3)O-、-OP(OR3)-、-P(OR3)-、および-P(R3)-の一部である場合には、R3は水素ではないのが好ましい。
【0046】
好ましい実施態様では、R3は、C1-C4アルキル、シクロヘキシル、フェニル、またはベンジルから選ばれる。
【0047】
ビス(ジヒドロベンゾオキサジン)を製造するのに使用されるビスフェノール類の幾つかの好ましい例は、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、(4-ヒドロキシフェニル)2C(O)(DHBP)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、フェノールフタレイン、およびビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ-[2,1,0]-デカンである。
【0048】
成分(b)と(c)の合計量のうちのベンゾオキサジン成分(c)の割合は、約25重量%~約60重量%の範囲であり、好ましくは約30重量%~約50重量%の範囲である。
【0049】
本発明では、組成物は、多官能イソシアネートと多官能ポリオールとの反応、またはイソシアネート三量化反応を触媒するために、1以上の触媒〔例えばN,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N’,N’-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-プロパンジアミン、2-((2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチレンジアミン等のアミン触媒、ならびに第三アミン、トリアジン、および最も好ましくは金属塩三量化触媒等の三量化触媒〕をさらに含む。
【0050】
適切な金属塩三量化触媒の例は、有機カルボン酸のアルカリ金属塩である。好ましいアルカリ金属はカリウムとナトリウムであり、好ましいカルボン酸は酢酸と2-エチルヘキサン酸である。
【0051】
好ましい金属塩三量化触媒は、酢酸カリウム(Huntsman Polyurethanes 社からCatalyst LBとして市販)および2-エチルヘキサン酸カリウムである。本発明のプロセスでは、2種以上の異なる触媒を使用することができる。
【0052】
一実施態様では、組成物中に存在する触媒の割合は、樹脂組成物の総重量を基準として0.001~10重量%、好ましくは0.1~5重量%の範囲である。
【0053】
一実施態様によれば、樹脂組成物のNCOインデックスは、0.7~5、好ましくは1~5、さらに好ましくは1.2~4の範囲である。
【0054】
イソシアネートインデックス、NCOインデックス、またはインデックスは、配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するNCO基の比である([NCO]/[活性水素])。
【0055】
すなわち、NCOインデックスは、配合物中に使用されているイソシアネート反応性水素の量と反応するために理論的に必要とされるイソシアネートの量に対する、配合物中に実際に使用されているイソシアネートの量、を表す。
【0056】
他の実施態様では、樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、溶剤、界面活性剤、物理的もしくは化学的発泡剤、鎖延長剤、架橋剤、気泡安定剤、フィラー、顔料、またはPU材料において使用される他の任意の代表的添加剤をさらに含んでよい。
【0057】
本発明の組成物の利点は、(1)高いガラス転移温度が得られること;(2)耐燃性が改良されること;および(3)フォームの機械的特性に対する影響が認められないこと;を含む。
【0058】
本発明はさらに、ベンゾオキサジン成分とイソシアネート反応性組成物を多官能イソシアネートに加えることを含む、樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0059】
本発明はさらに、ベンゾオキサジン成分を熱可塑性ポリウレタン(TPU)に加えることを含む、樹脂組成物の製造方法を提供する。本発明のTPUは、二官能イソシアネートと二官能ポリオールと鎖延長剤としての二官能ジオールとの反応により得られる。
【0060】
本発明はさらに、本発明の樹脂組成物を使用して硬質フォーム製品(例えば、屋根、壁、または冷却における断熱層)を製造する方法を提供する。
【0061】
以下に記載の実験例は、本発明の代表的な例であって、決してこれらに限定されない、と考えるべきである。
【実施例】
【0062】
原材料
多官能イソシアネート: スプラセク(SUPRASEC)(登録商標)5005ポリメリックMDI〔サプライヤー:米国Huntsman Corporation〕;
ポリオールA: ステパンポール(STEPANPOL)(登録商標)PS-3152二官能ポリエステルポリオール(分子量:約356、サプライヤー:米国Stepan Company);
ポリオールB: ダルトラック(DALTOLAC)(登録商標)R200ポリエーテルポリオール(分子量:約679、サプライヤー:米国ハンツマン社);
ポリエーテルアミン: ジェファーミン(JEFFAMINE)(登録商標)T-403三官能第一アミン(分子量:約440、サプライヤー:米国ハンツマン社);
TPU: イログラン(IROGRAN)(登録商標)A85P4394 TPU材料(サプライヤー:米国ハンツマン社);
気泡安定剤: テゴスタブ(TEGOSTAB)(登録商標)B8462ポリマー添加剤(シリコーン界面活性剤、サプライヤー:エボニック社);
触媒A: ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル;
触媒B: 48.2重量%の酢酸カリウム、48.2重量%のエチレングリコール、および3.6重量%のH2Oの混合物;
ベンゾオキサジン: CB3100(ビスフェノールAベースのベンゾオキサジン、サプライヤー:Chengdu Coryes Polymer Science & Technology Company);
溶剤: トリエチルホスフェート
実験例1~13
実験例1~11は、多官能イソシアネートをA成分として使用して得られた。実験例1~11に対するB成分を表1に示す。表1に記載の値は全て、B成分の重量部を表す。表1に示すように、実験例9~11は、ベンゾオキサジンを含有しない比較例である。
【0063】
【表1】
実験例12は、100重量部のTPUと40重量部のベンゾオキサジンを使用して得られた。実験例13は、ベンゾオキサジンを含有せず、100重量部のTPUを使用した比較例である。
【0064】
手順
実験例1~4と実験例9では、A成分とB成分は、A:B=3:1の重量割合および2.6のインデックスにて混合した。実験例5では、A成分とB成分は、A:B=2:1の重量割合および1.7のインデックスにて混合した。実験例6では、A成分とB成分は、A:B=4:1の重量割合および3.5のインデックスにて混合した。実験例7と実験例10では、A成分とB成分は、A:B=3.3:1の重量割合および2.7のインデックスにて混合した。実験例8と実験例11では、A成分とB成分は、A:B=1:1の重量割合および1.3のインデックスにて混合した。各実験例の混合物をポリエチレン容器中にて撹拌してポリウレア/ポリウレタンフォームを作製した。生成したフォーム組成物を、速やかにポリエチレン袋中に注ぎ込んだ。発泡反応が進行し、フォームがフリーライズした。試験に付す前に、フォームを室温で少なくとも24時間キュアーした。各配合処方に対し、試験用に約1kgのフォームを手混合法で作成した。
【0065】
実験例12では、100gのTPUと40gのベンゾオキサジンを、Haakeミキサー中にて150℃で5分混合した。次いで、この溶融物をモールド中に注ぎ込み、モールドを低温(10~20℃)のプレス機中にて30分保持した。硬化後、混合物をモールドから取り出して試験に付した。
【0066】
実験例13では、100gのTPUを150℃にて溶融させ、モールド中に注ぎ込み、モールドを低温(10~20℃)のプレス機中にて30分保持した。硬化後、TPUをモールドから取り出して試験に付した。
【0067】
結果:耐燃性能と物理的特性
【0068】
【表2】
表2は、実験例1~13に対する耐燃性能と物理的特性を示す。ベンゾオキサジンが存在すると(実験例1~8と12)、耐燃性が著しく改良され、フォームの機械的特性に及ぼす明らかな影響は認められない。実験例1~8では、フォームはより高いガラス転移温度を有する。
[1]
(a)多官能イソシアネート;
(b)(b1)多官能ポリオールと触媒組成物、および/または、(b2)多官能アミン、を含むイソシアネート反応性組成物;ならびに
(c)樹脂組成物中に溶解したベンゾオキサジン成分;
を含んでなる樹脂組成物であって、多官能ポリオールの分子量が約100~約800の範囲、好ましくは約200~約700の範囲であり、成分(b)と(c)の合計量に対するベンゾオキサジン成分(c)の重量%が約25~約60の範囲、好ましくは約30~約50の範囲である、上記樹脂組成物。
[2] 樹脂組成物が、約0.7~約5の範囲の、好ましくは約約1~約5の範囲の、そしてさらに好ましくは約1.2~約4の範囲のNCOインデックスを有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 多官能イソシアネートが、ポリメリックMDI、MDI異性体混合物、またはこれらの混合物である、[1]に記載の樹脂組成物。
[4] ベンゾオキサジン成分がビスフェノールAタイプのベンゾオキサジンである、[1]に記載の樹脂組成物。
[5] 触媒組成物がアミン触媒および/または三量化触媒を含んでなる、[1]に記載の樹脂組成物。
[6] 多官能アミン(b2)がポリエーテルアミンである、[1]に記載の樹脂組成物。
[7] 樹脂組成物が少なくとも1つの溶剤をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 樹脂組成物が少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物を製造する方法であって、多官能イソシアネートにベンゾオキサジン成分とイソシアネート反応性組成物を加えることを含む、上記方法。
[10] 熱可塑性ポリウレタンにベンゾオキサジン成分を加えることを含む、[1]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物を使用して硬質フォーム製品を製造する方法。