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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】電子タバコの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20230106BHJP
【FI】
A24F40/57
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021523254
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2018118524
(87)【国際公開番号】W WO2020107394
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】521172217
【氏名又は名称】昂納自動化技術(深▲ゼン▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】朱偉
(72)【発明者】
【氏名】王健
(72)【発明者】
【氏名】周波
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106509998(CN,A)
【文献】特表2018-514191(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019533(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104720119(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0077967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タバコの制御方法であって、
S1:抵抗値検出ユニットによって、電子タバコの起動ユニットが初めて作動したときの発熱体の抵抗値を取得して、発熱体の初期抵抗値として記憶し、
S2:前記発熱体の目標温度を取得して、前記初期抵抗値に基づき前記発熱体の目標抵抗値を取得し、
S3:前記起動ユニットが毎回作動したあとの第1所定時間に対応する第1リアルタイム抵抗値を取得して、前記第1所定時間内における前記発熱体の抵抗値の変動を算出するとともに、前記抵抗値の変動が第1所定値よりも大きいか否かを確認し、大きい場合には前記発熱体の入力電力を遮断するが、大きくない場合にはステップS4を実行し、
S4:前記抵抗値検出ユニットによって、所定の規則に基づき前記発熱体のリアルタイム抵抗値を取得して、前記発熱体のリアルタイム抵抗値が前記目標抵抗値となるよう前記発熱体の入力電力を制御する、
とのステップを含み、
前記方法は、更に、
S11:前記起動ユニットが作動を停止したあと、前記抵抗値検出ユニットによって、第2所定時間内における第3所定時間ごとの前記発熱体の第2リアルタイム抵抗値を取得し、前記第2リアルタイム抵抗値が第2所定値よりも大きいか否かを判断し、
S12:大きい場合には、前記電子タバコが更新されたと判断し、前記第2リアルタイム抵抗値の直後であって、予め定められた前記抵抗値よりも小さな第3リアルタイム抵抗値を取得するとともに、前記初期抵抗値をこれに更新して前記ステップS2を実行し、
S13:大きくない場合には、前記電子タバコが更新されていないと判断し、前記初期抵抗値を変えることなくステップS2を実行する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法は、更に、
S10:前記起動ユニットの作動停止時間を記録し、前記作動停止時間が前記第2所定時間を超えてから再び前記起動ユニットが作動した場合には、前記起動ユニットが初めて作動したと判断することを特徴とする請求項に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項3】
前記方法は、更に、
前記作動停止時間が前記第2所定時間を超えた場合には前記電子タバコを休止させ、前記電子タバコが休止状態のときに前記起動ユニットが作動した場合には、前記起動ユニットが初めて作動したと判断し、及び/又は、
前記起動ユニットが作動したあと、前記発熱体のリアルタイム抵抗値を検出し続け、前記リアルタイム抵抗値が第3所定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には前記発熱体の入力電力を遮断することを特徴とする請求項に記載の電子タバコの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコの技術分野に関し、より具体的には、電子タバコの制御方法及び電子タバコに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコはタバコの代替品として、主に、健康に支障をきたさないことを前提に喫煙感覚を模倣するために用いられる。従来の電子タバコは、アトマイザーとバッテリロッドという2つの部材に大別される。バッテリロッドは、アトマイザーに接続されて電気を供給し、消費者が吸引できるようリキッドを霧化する。現在のところ、バッテリロッドからアトマイザーに電気を供給する方式には、主として、1)バッテリロッドがバッテリから定電圧でアトマイザーに一定出力する方式、2)バッテリロッドがバッテリから定電力で出力し、アトマイザーに供給する方式、3)バッテリロッドがアトマイザーの発熱体における抵抗値の変動を算出し、出力電力を動的に調節することで、アトマイザーに対する恒温出力及び供給を実現し、リキッドを霧化する方式、が存在する。しかし、1)及び2)の出力方式ではアトマイザーの発熱体における霧化温度を良好に制御できず、使用者の喫煙体験に支障をきたす。また、3)のアトマイザーにおける抵抗値の変動を算出する方式では、算出ミスを回避するために、アトマイザーをバッテリロッドに接続する際に冷却状態とするか、ボタンで初期抵抗値を設定する必要があり、アトマイザーの抵抗の初期値設定がやや面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の技術的瑕疵に対し、電子タバコの制御方法及び電子タバコを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
即ち、電子タバコの制御方法を構成する。当該方法は、以下のステップを含む。
【0006】
S1:抵抗値検出ユニットによって、電子タバコの起動ユニットが初めて作動したときの発熱体の抵抗値を取得して、発熱体の初期抵抗値として記憶する。
【0007】
S2:前記発熱体の目標温度を取得して、前記初期抵抗値に基づき前記発熱体の目標抵抗値を取得する。
【0008】
S3:前記起動ユニットが毎回作動したあとの第1所定時間に対応する第1リアルタイム抵抗値を取得して、前記第1所定時間内における前記発熱体の抵抗値の変動を算出する。そして、前記抵抗値の変動が第1所定値よりも大きいか否かを確認し、大きい場合には前記発熱体の入力電力を遮断するが、大きくない場合にはステップS4を実行する。
【0009】
S4:前記抵抗値検出ユニットによって、所定の規則に基づき前記発熱体のリアルタイム抵抗値を取得して、前記発熱体のリアルタイム抵抗値が前記目標抵抗値となるよう前記発熱体の入力電力を制御する。
【0010】
好ましくは、本発明における電子タバコの制御方法は更に以下を含む。
【0011】
S11:前記起動ユニットが作動を停止したあと、前記抵抗値検出ユニットによって、第2所定時間内における第3所定時間ごとの前記発熱体の第2リアルタイム抵抗値を取得し、前記第2リアルタイム抵抗値が第2所定値よりも大きいか否かを判断する。
【0012】
S12:大きい場合には、前記電子タバコが更新されたと判断し、前記第2リアルタイム抵抗値の直後であって、予め定められた前記抵抗値よりも小さな第3リアルタイム抵抗値を取得するとともに、前記初期抵抗値をこれに更新して前記ステップS2を実行する。
【0013】
S13:大きくない場合には、前記電子タバコが更新されていないと判断し、前記初期抵抗値を変えることなく前記ステップS2を実行する。
【0014】
好ましくは、本発明における電子タバコの制御方法は更に以下を含む。
【0015】
S10:前記起動ユニットの作動停止時間を記録する。前記作動停止時間が前記第2所定時間を超えてから再び前記起動ユニットが作動した場合には、前記起動ユニットが初めて作動したと判断する。
【0016】
好ましくは、本発明における電子タバコの制御方法は更に以下を含む。
【0017】
前記作動停止時間が前記第2所定時間を超えた場合には、前記電子タバコを休止させる。また、前記電子タバコが休止状態のときに前記起動ユニットが作動した場合には、前記起動ユニットが初めて作動したと判断する。
【0018】
及び/又は、前記起動ユニットが作動したあと、前記発熱体のリアルタイム抵抗値を検出し続け、前記リアルタイム抵抗値が第3所定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には前記発熱体の入力電力を遮断する。
【0019】
本発明は、更に電子タバコを構成する。当該電子タバコは、バッテリロッド、アトマイザー、及び前記アトマイザー内に設置される発熱体と、前記バッテリロッド内に設置される電気供給ユニット、起動ユニット、マイクロプロセッサ、電力制御ユニット及び抵抗値検出ユニットを含む。
【0020】
前記起動ユニットは前記マイクロプロセッサに接続されており、起動信号を前記マイクロプロセッサに送信して前記マイクロプロセッサを動作させるよう作動する。
【0021】
前記抵抗値検出ユニットは、前記発熱体及び前記マイクロプロセッサに接続されており、前記起動ユニットの動作過程における前記発熱体のリアルタイム抵抗値を検出して、前記マイクロプロセッサに送信する。
【0022】
前記マイクロプロセッサは、前記起動ユニットが初めて作動したときの前記発熱体のリアルタイム抵抗値を初期抵抗値として記憶するとともに、前記発熱体の目標温度と前記初期抵抗値に基づいて、発熱体の加熱後の目標抵抗値を取得する。
【0023】
前記マイクロプロセッサは前記電力制御ユニットに接続されており、前記発熱体のリアルタイム抵抗値と目標抵抗値に基づき、制御信号を前記電力制御ユニットに出力して前記発熱体の入力電力を制御する。
【0024】
好ましくは、前記抵抗値検出ユニットは、第1サンプリング回路と、前記第1サンプリング回路に接続されるスイッチング回路を含む。
【0025】
前記スイッチング回路は、電界効果トランジスタQ5、電界効果トランジスタQ6及びバイポーラトランジスタQ7を含む。前記電界効果トランジスタQ5のドレインは、前記電界効果トランジスタQ6のドレインに接続されるとともに、抵抗R12を介して前記バイポーラトランジスタQ7のコレクタに接続されている。また、前記電界効果トランジスタQ5のゲート及び前記電界効果トランジスタQ6のゲートは、いずれも前記バイポーラトランジスタQ7のコレクタに接続されている。また、前記電界効果トランジスタQ6のソースは抵抗R13を介して前記発熱体の第1端子に接続されており、前記バイポーラトランジスタQ7のベースは抵抗R11を介して前記マイクロプロセッサに接続されている。
【0026】
前記第1サンプリング回路はサンプリング抵抗R14を含む。前記サンプリング抵抗R14の一端は、前記バイポーラトランジスタQ7のエミッタに接続されるとともに、コンデンサC9を介して前記マイクロプロセッサに接続されている。また、前記サンプリング抵抗R14の他端は、前記発熱体の第2端子に接続されるとともに、抵抗R15を介して前記マイクロプロセッサに接続されている。
【0027】
好ましくは、前記抵抗値検出ユニットは、定電圧ユニットと、前記定電圧ユニットに接続される第2サンプリングユニットを含む。
【0028】
前記定電圧ユニットは電源チップU5を含む。前記電源チップU5は、抵抗R11を介して前記発熱体の第1端子に接続されている。
【0029】
前記第2サンプリングユニットはサンプリング抵抗R12を含む。前記抵抗R12の一端は、前記発熱体の第1端子に接続されている。また、前記サンプリング抵抗R12の他端は、前記マイクロプロセッサに接続されるとともに、コンデンサC10を介して接地しており、且つ前記発熱体の第2端子に接続されている。
【0030】
好ましくは、前記起動ユニットはスイッチKと電界効果トランジスタQ1を含む。前記スイッチKの第1ピンは電源の入力に接続されており、前記スイッチKの第2ピンは前記電界効果トランジスタQ1のゲートに接続されている。また、前記電界効果トランジスタQ1のソースは前記マイクロプロセッサに接続されており、前記電界効果トランジスタQ1のドレインは前記スイッチKの第1ピンに接続されるとともに接地している。
【0031】
好ましくは、前記電気供給ユニットは、バッテリと、前記バッテリに接続される充電入力ユニットと、定電圧ユニットと、バッテリ電圧検出ユニットを含む。
【0032】
前記充電入力ユニットはコネクタJF及び充電管理チップU1を含む。前記充電管理チップU1の入力ピンは前記コネクタJFの第1ピンに接続されており、前記充電管理チップU1の出力ピンは前記バッテリに接続されている。
【0033】
及び/又は、前記バッテリ電圧検出ユニットはバイポーラトランジスタQ4と電界効果トランジスタQ3を含む。前記電界効果トランジスタQ3のソースは前記バッテリに接続されており、前記電界効果トランジスタQ3のドレインは抵抗R8及びR9を介して前記マイクロプロセッサに接続されている。前記抵抗R8は、抵抗R10を通じて接地している。前記バイポーラトランジスタQ4のコレクタは抵抗R7を介して前記バッテリに接続されており、前記バイポーラトランジスタQ4のベースは抵抗R6を介して前記マイクロプロセッサに接続されている。前記バイポーラトランジスタQ4のエミッタは接地している。
【0034】
及び/又は、前記定電圧ユニットは定電圧チップU3を含む。前記定電圧チップU3の入力端子は前記バッテリに接続されており、前記定電圧チップU3の出力端子は前記マイクロプロセッサに接続されている。
【0035】
好ましくは、前記電力制御ユニットはロジックチップU4と電界効果トランジスタQ2を含む。前記ロジックチップU4の第2ピンは前記マイクロプロセッサに接続されており、前記ロジックチップU4の第4ピンは前記電界効果トランジスタQ2のゲートに接続されている。また、前記電界効果トランジスタQ2のドレインは前記発熱体の第1端子に接続されており、前記電界効果トランジスタQ2のソースは前記バッテリに接続されている。
【発明の効果】
【0036】
本発明における電子タバコの制御方法及び電子タバコを実施すれば、バッテリエネルギーを節約しながら電子タバコの温度制御を迅速に実施可能になるとともに、空焚きによる加熱が防止され、静的消費電力が低下するとの有益な効果が得られる。
【0037】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明について更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明に係る電子タバコの制御方法の第1実施例におけるプログラムのフローチャートである。
図2図2は、本発明に係る電子タバコの制御方法の第2実施例におけるプログラムのフローチャートである。
図3図3は、本発明に係る電子タバコの制御方法の第3実施例におけるプログラムのフローチャートである。
図4図4は、本発明に係る電子タバコの一実施例の論理ブロック図である。
図5図5は、本発明に係る電子タバコの第1部分の電気回路の原理図である。
図6図6は、本発明に係る電子タバコの第2部分の電気回路の原理図である。
図7図7は、本発明に係る電子タバコの第3部分の電気回路の原理図である。
図8図8は、本発明に係る電子タバコの第4部分の電気回路の原理図である。
図9図9は、本発明に係る電子タバコの第5部分の電気回路の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0040】
図1に示すように、本発明における電子タバコの制御方法の第1実施例では、以下のステップを含む。
【0041】
S1:抵抗値検出ユニット50によって、電子タバコの起動ユニット40が初めて作動したときの発熱体60の抵抗値を取得して、発熱体60の初期抵抗値として記憶する。具体的に、電子タバコを初めて吸う際には、起動ユニット40が作動することで、電子タバコから発熱体60への電気供給が開始され、最初の電気供給時に発熱体60の抵抗値を取得する。このとき、発熱体60の温度は上昇を開始していないため、発熱体60の温度は常温に近い温度となっており、対応する発熱体60の抵抗値は常温に対応する抵抗値となっている。そこで、当該常温温度に対応する抵抗値を初期抵抗値として記憶しておき、昇温演算過程で使用する。
【0042】
S2:発熱体60の目標温度を取得して、初期抵抗値に基づき発熱体60の目標抵抗値を取得する。具体的に、通常、電子タバコに使用する発熱体60は、例えば、ステンレス316、チタン、ニッケル、ニッケルクロム合金等であり、安定的な温度-抵抗特性を有している。即ち、温度が1℃上昇するごとに発熱体60の抵抗値に相応の変化fが生じる。fは、固定的な抵抗と理解してもよいし、関数的変化であると理解してもよい。初期温度をT1、予め定められた霧化目標温度をT2、測定されたアトマイザーの初期抵抗値をR1とすると、演算によってアトマイザーの所望の目標抵抗値R2=(T2-T1)*f+R1を得ることができる。電子タバコの使用環境により、T1は通常は常温である。また、T2はアトマイザーの最適な霧化温度としてもよいし、特定の温度としてもよい。
【0043】
S3:起動ユニット40が毎回作動したあとの第1所定時間に対応する第1リアルタイム抵抗値を取得して、第1所定時間内における発熱体60の抵抗値の変動を算出する。そして、抵抗値の変動が第1所定値よりも大きいか否かを確認し、大きい場合には発熱体60の入力電力を遮断するが、大きくない場合にはステップS4を実行する。具体的に、電子タバコの使用過程では、毎回、喫煙開始直後の段階において、単位時間である第1所定時間Tn内に発熱体60の抵抗値の上昇値が所定値を上回っているか否かを判断する。そして、上回っている場合には、空焚きであると判断して発熱体60の入力電力を遮断する。一方、上回っていない場合には正常に霧化されている。
【0044】
S4:抵抗値検出ユニット50によって、所定の規則に基づき発熱体60のリアルタイム抵抗値を取得して、発熱体60のリアルタイム抵抗値が目標抵抗値となるよう発熱体60の入力電力を制御する。具体的には、アトマイザーにおける発熱体60の初期抵抗値を検出したあと、発熱体60が加熱により到達すべき目標抵抗値を算出可能となる。そして、発熱体60の入力電力を制御し、発熱体60のリアルタイム抵抗値を所望の目標抵抗値と動的に平衡させることで、アトマイザーの発熱体60について恒温加熱を実現する。ここで、リアルタイム抵抗値と目標抵抗値の調整過程における動的平衡幅が小さいほど恒温化は正確となる。
【0045】
更に、図2に示す実施例において、本発明に係る電子タバコの制御方法は更に以下を含む。
【0046】
S11:起動ユニット40が作動を停止したあと、抵抗値検出ユニット50によって、第2所定時間内における第3所定時間ごとの発熱体60の第2リアルタイム抵抗値を取得し、第2リアルタイム抵抗値が第2所定値よりも大きいか否かを判断する。
【0047】
S12:大きい場合には、電子タバコが更新されたと判断し、第2リアルタイム抵抗値の直後であって、予め定められた抵抗値よりも小さな第3リアルタイム抵抗値を取得するとともに、初期抵抗値をこれに更新してステップS2を実行する。
【0048】
S13:大きくない場合には、電子タバコが更新されていないと判断し、初期抵抗値を変えることなくステップS2を実行する。
【0049】
具体的に、電子タバコの喫煙が停止されたあとも、抵抗値検出ユニット50は、例えば1minや2minといった一定の時間(即ち、第2所定時間Tf)内において、2度の検出の時間間隔t2(即ち、第3所定時間)ごとにアトマイザーの抵抗値を検出し続ける。t2は、バッテリロッドに対しアトマイザーを交換するための時間よりも短く、例えば1秒とする。ここで、t2を合理的に設定することで検出時の電力消費を抑えられるとともに、バッテリロッドに対しアトマイザーが交換されたか否かを検出することも可能となる。t2はアトマイザーの交換時間よりも短いため、バッテリロッドは発熱体60の抵抗値が通常の抵抗値よりも大きくなったことを必ず一度は検出し得る。また、これにより、マイクロプロセッサ20はアトマイザーが交換されたと判断することができる。且つ、この場合には、発熱体60の初期抵抗値を改めて検出及び取得する必要がある。そこで、抵抗値からアトマイザーの交換が完了したと判断されたあと、抵抗値検出ユニット50が1回目に検出した正常な抵抗値を発熱体60の新たな初期抵抗値として記憶し、その後の過程で呼び出して使用する。また、電子タバコの喫煙後、一定の時間(即ち、第2所定時間Tf)にわたって使用されない状況を想定する場合には、第2所定時間Tfとして、電子タバコの加熱停止後に電子タバコのバッテリロッドとアトマイザーが分離されていない状況で、アトマイザーが常温に戻るまでに要する時間よりもやや長い時間を選択する。このような時間を選択すれば、スマート検出効果に支障をきたさないことを前提に、電子タバコのバッテリエネルギーを節約することができる。且つ、第2所定時間Tf内において検出ユニットが検出を継続するようにする。また、2度の検出の各時間間隔を第3所定時間とするとともに、第3所定時間として電子タバコがアトマイザーを正常に交換するために要する時間よりもやや短い時間を選択する。これは、アトマイザーの交換を確実にスマート検出可能としつつ、バッテリエネルギーを最大限節約するためである。なぜなら、毎回の検出時にはバッテリエネルギーを消費する必要があるからである。且つ、第2所定時間Tf内にアトマイザーの交換が検出されなかった場合、マイクロプロセッサ20は記憶されている初期抵抗値を引き続き使用する。そして、当該初期抵抗値に基づき、電子タバコの使用過程で発熱体60の入力電力を制御する。ここで、第2所定時間Tfの長さを合理的に設定することで、電子タバコの静的消費電力を低下させられる。
【0050】
更に、図3に示す実施例において、本発明に係る電子タバコの制御方法は更に以下を含む。
【0051】
S10:起動ユニット40の作動停止時間を記録する。作動停止時間が第2所定時間を超えてから再び起動ユニット40が作動した場合には、起動ユニット40が初めて作動したと判断する。具体的に、電子タバコが動作を停止したあと、例えば、喫煙停止時間が第2所定時間Tfを超えてから再び当該電子タバコが使用されたとき、即ち、起動ユニット40が作動した場合には、起動ユニット40が初めて作動したと判断して、上記の初めて作動した場合に基づき処理を行う。
【0052】
更に、本発明における電子タバコの制御方法は以下を含む。
【0053】
作動停止時間が第2所定時間を超えた場合には、電子タバコを休止させる。また、電子タバコが休止状態のときに起動ユニット40が作動した場合には、起動ユニット40が初めて作動したと判断する。具体的に、電子タバコが動作を停止した場合、例えば、喫煙停止時間が第2所定時間Tfを超えた場合には、電子タバコを休止に設定可能である。電子タバコが休止状態の場合には、抵抗値検出ユニット50は発熱体60の抵抗値を検出しない。また、電子タバコが休止状態の場合には、起動ユニット40を作動させることで電子タバコの休止を終了させられるとともに、起動ユニット40の作動を初めての作動とみなし、発熱体60の初期抵抗値を取得して上記の操作を実行する。
【0054】
更に、本発明における電子タバコの制御方法は以下を含む。
【0055】
起動ユニットが作動したあと、発熱体のリアルタイム抵抗値を検出し続け、リアルタイム抵抗値が第3所定値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には発熱体の入力電力を遮断する。具体的に、発熱体の入力電力が定電力入力の場合、起動ユニットの作動時間全体にわたって出力電圧及び出力電流を検出し続け、マイクロプロセッサにフィードバックして発熱体の抵抗値を算出する。そして、抵抗値が第3所定値に達した場合には出力を停止することで、アトマイザーの空焚きを防止する。
【0056】
このほか、図4に示す実施例において、本発明の電子タバコは、バッテリロッド、アトマイザー、及びアトマイザー内に設置される発熱体60と、バッテリロッド内に設置される電気供給ユニット10、起動ユニット40、マイクロプロセッサ20、電力制御ユニット30及び抵抗値検出ユニット50を含む。起動ユニット40はマイクロプロセッサ20に接続されており、起動信号をマイクロプロセッサ20に送信してマイクロプロセッサ20を動作させるよう作動する。抵抗値検出ユニット50は、発熱体60及びマイクロプロセッサ20に接続されており、起動ユニット40の動作過程における発熱体60のリアルタイム抵抗値を検出して、マイクロプロセッサ20に送信する。マイクロプロセッサ20は、起動ユニット40が初めて作動したときの発熱体60のリアルタイム抵抗値を初期抵抗値として記憶するとともに、発熱体60の目標温度と初期抵抗値に基づいて、発熱体60の加熱後の目標抵抗値を取得する。マイクロプロセッサ20は電力制御ユニット30に接続されており、発熱体60のリアルタイム抵抗値と目標抵抗値に基づき、制御信号を電力制御ユニット30に出力して発熱体60の入力電力を制御する。具体的に、電子タバコを初めて吸う際には、起動ユニット40が作動することで、電子タバコから発熱体60への電気供給が開始され、最初の電気供給時に発熱体60の抵抗値を取得する。このとき、発熱体60の温度は上昇を開始していないため、発熱体60の温度は常温に近い温度となっており、対応する発熱体60の抵抗値は常温に対応する抵抗値となっている。そこで、当該常温温度に対応する抵抗値を初期抵抗値として記憶しておき、昇温演算過程で使用する。通常、電子タバコに使用する発熱体60は、例えば、ステンレス316、チタン、ニッケル、ニッケルクロム合金等であり、安定的な温度-抵抗特性を有している。即ち、温度が1℃上昇するごとに発熱体60の抵抗値に相応の変化fが生じる。fは、固定的な抵抗と理解してもよいし、関数的変化であると理解してもよい。初期温度をT1、予め定められた霧化目標温度をT2、測定されたアトマイザーの初期抵抗値をR1とすると、演算によってアトマイザーの所望の目標抵抗値R2=(T2-T1)*f+R1を得ることができる。電子タバコの使用環境により、T1は通常は常温である。また、T2はアトマイザーの最適な霧化温度としてもよいし、特定の温度としてもよい。アトマイザーにおける発熱体60の初期抵抗値を検出したあと、発熱体60が加熱により到達すべき目標抵抗値を算出可能となる。そして、発熱体60の入力電力を制御し、発熱体60のリアルタイム抵抗値を所望の目標抵抗値と動的に平衡させることで、アトマイザーの発熱体60について恒温加熱を実現する。ここで、リアルタイム抵抗値と目標抵抗値の調整過程における動的平衡幅が小さいほど恒温化は正確となる。また、電子タバコの使用過程では、毎回、喫煙開始直後の段階において、単位時間である第1所定時間Tn内に発熱体60の抵抗値の上昇値が所定値を上回っているか否かを判断する。そして、上回っている場合には、空焚きであると判断して発熱体60の入力電力を遮断する。一方、上回っていない場合には正常に霧化されている。電力制御ユニットは、発熱体の入力電力の上昇或いは低下或いは停止を含む発熱体の入力電力の制御によって、発熱体の加熱温度を動的に平衡させると解釈すればよい。
【0057】
更に、図5に示す実施例において、抵抗値検出ユニット50は、第1サンプリング回路と、第1サンプリング回路に接続されるスイッチング回路51を含む。スイッチング回路は、電界効果トランジスタQ5、電界効果トランジスタQ6及びバイポーラトランジスタQ7を含む。電界効果トランジスタQ5のドレインは、電界効果トランジスタQ6のドレインに接続されるとともに、抵抗R12を介してバイポーラトランジスタQ7のコレクタに接続されている。また、電界効果トランジスタQ5のゲート及び電界効果トランジスタQ6のゲートは、いずれもバイポーラトランジスタQ7のコレクタに接続されている。また、電界効果トランジスタQ6のソースは抵抗R13を介して発熱体60の第1端子に接続されており、バイポーラトランジスタQ7のベースは抵抗R11を介してマイクロプロセッサ20に接続されている。第1サンプリング回路はサンプリング抵抗R14を含む。サンプリング抵抗R14の一端は、バイポーラトランジスタQ7のエミッタに接続されるとともに、コンデンサC9を介してマイクロプロセッサに接続されている。また、サンプリング抵抗R14の他端は、発熱体60の第2端子に接続されるとともに、抵抗R15を介してマイクロプロセッサ20に接続されている。具体的に、電界効果トランジスタQ5、電界効果トランジスタQ6及びバイポーラトランジスタQ7によってスイッチング回路が構成されており、電界効果トランジスタQ6が逆方向の導通を防止する。抵抗R11、抵抗R12及び抵抗R13は限流抵抗である。また、抵抗R15とコンデンサC9はRCフィルタを構成しており、サンプリング抵抗R14の電圧をマイクロプロセッサ20にフィードバックする。マイクロプロセッサ20は、発熱体60と抵抗R13及び抵抗R14を通過する電流を算出し、更に、バッテリ電圧に基づき発熱体60のリアルタイム抵抗値を算出する。マイクロプロセッサ20はR-EN信号を出力し、バイポーラトランジスタQ7のベースを制御することで、抵抗値検出の持続時間及び複数回検出する際のインターバルを制御する。
【0058】
更に、図6に示す実施例において、抵抗値検出ユニット50は、定電圧ユニットと、定電圧ユニットに接続される第2サンプリングユニットを含む。定電圧ユニットは電源チップU5を含む。電源チップU5は、抵抗R11を介して発熱体60の第1端子に接続されている。第2サンプリングユニットはサンプリング抵抗R12を含む。抵抗R12の一端は、発熱体60の第1端子に接続されている。また、サンプリング抵抗R12の他端は、マイクロプロセッサ20に接続されるとともに、コンデンサC10を介して接地しており、且つ発熱体60の第2端子に接続されている。具体的には、定電圧チップU5を通じて発熱体60に電気を供給する。ここで、定電圧チップU5には、TPS7A0968又はSGM2019を採用可能である。抵抗R11は限流分圧抵抗であり、その作用として、検出時の電力消費を低減させられる。また、コンデンサC8及びコンデンサC9は平滑コンデンサである。且つ、抵抗R12とコンデンサC10によりRCフィルタが構成されている。マイクロプロセッサ20は、発熱体60のフィードバック信号を取得して発熱体60の抵抗値を算出する。且つ、算出した抵抗値に基づいて、マイクロプロセッサ20はR-EN信号を出力し、抵抗値検出の持続時間及び複数回検出する際のインターバルを制御する。
【0059】
更に、図7に示すように、起動ユニット40はスイッチKと電界効果トランジスタQ1を含む。スイッチKの第1ピンは電源の入力に接続されており、スイッチKの第2ピンは電界効果トランジスタQ1のゲートに接続されている。また、電界効果トランジスタQ1のソースはマイクロプロセッサ20に接続されており、電界効果トランジスタQ1のドレインはスイッチKの第1ピンに接続されるとともに接地している。具体的に、スイッチKとしては、タッチスイッチ、空気流センサ、空気圧センサ、タッチセンサスイッチ等を選択可能である。電子タバコを起動すると、スイッチKが電界効果トランジスタQ1を導通させるよう作動するとともに、トリガ信号KEYを生成してマイクロプロセッサ20に送信する。これにより、マイクロプロセッサ20は電子タバコ内部の電気回路が動作を開始するよう制御する。
【0060】
更に、図8に示すように、一実施例において、電気供給ユニット10は、バッテリ11と、バッテリ11に接続される充電入力ユニット12と、定電圧ユニット14と、バッテリ電圧検出ユニット13を含む。充電入力ユニット12はコネクタJF及び充電管理チップU1を含む。充電管理チップU1の入力ピンはコネクタJFの第1ピンに接続されており、充電管理チップU1の出力ピンはバッテリに接続されている。別の実施例において、バッテリ電圧検出ユニット13はバイポーラトランジスタQ4と電界効果トランジスタQ3を含む。電界効果トランジスタQ3のソースはバッテリに接続されており、電界効果トランジスタQ3のドレインは抵抗R8及びR9を介してマイクロプロセッサ20に接続されている。抵抗R8は、抵抗R10を通じて接地している。また、バイポーラトランジスタQ4のコレクタは抵抗R7を介してバッテリに接続されており、バイポーラトランジスタQ4のベースは抵抗R6を介してマイクロプロセッサ20に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のエミッタは接地している。別の実施例において、定電圧ユニット14は定電圧チップU3を含む。定電圧チップU3の入力端子はバッテリ11に接続されており、定電圧チップU3の出力端子はマイクロプロセッサ20に接続されている。具体的に、充電入力ユニットはMICRO USB/DC入力構造を含み、充電管理チップU1は、BQ21040、SGM4056又はBQ24040を含む。充電管理チップU1は、充電状態をマイクロプロセッサ20に送信する。また、バッテリ電圧検出ユニット13におけるバイポーラトランジスタQ4にはNPN型バイポーラトランジスタS8050を採用し、電界効果トランジスタQ3にはエンハンスメント型電界効果トランジスタP-MOSFETを採用する。且つ、バッテリ電圧を検出及びサンプリングしてバッテリの出力状態を取得することで、必要に応じてバッテリに然るべき操作を行う。抵抗R6及び抵抗R7は限流抵抗である。また、バイポーラトランジスタQ3と電界効果トランジスタQ4によりスイッチ効果が奏される。抵抗R8及び抵抗R10は電圧の分圧を行う。また、抵抗R9及びコンデンサC7によりRCフィルタが構成されている。
【0061】
更に、図5及び図6に示す実施例において、電力制御ユニット30はロジックチップU4と電界効果トランジスタQ2を含む。ロジックチップU4の第2ピンはマイクロプロセッサ20に接続されており、ロジックチップU4の第4ピンは電界効果トランジスタQ2のゲートに接続されている。また、電界効果トランジスタQ2のドレインは発熱体60の第1端子に接続されており、電界効果トランジスタQ2のソースはバッテリに接続されている。具体的に、ロジックチップU4にはSN74AUP1G04を採用する。これにより、マイクロプロセッサ20の駆動電流及び電圧を向上させられる。また、電界効果トランジスタQ2にはP-MOSFET PB521BXを採用する。抵抗R5は限流抵抗であり、発熱体60の入力電流を制限する。
【0062】
更に、図9に示すように、マイクロプロセッサ20に接続される表示ユニット70を含む。表示ユニット70は、マイクロプロセッサ20に接続されるRGB-LEDを含んでもよい。表示ユニット70によって、バッテリの状態や電子タバコの動作状態を表示可能である。
【0063】
理解可能なように、以上の実施例は本発明における好ましい実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載はしたが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、いくつかの変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属する。
図1
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