(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】光学センサおよび物理量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 11/02 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
G01L11/02
(21)【出願番号】P 2021527692
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024836
(87)【国際公開番号】W WO2020262460
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2019116954
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 歩
(72)【発明者】
【氏名】藤田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山手 勉
(72)【発明者】
【氏名】小川 顕
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0177132(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0318273(US,A1)
【文献】特表2007-532871(JP,A)
【文献】特開昭58-103633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
G01B 9/00-11/30
G01K11/00-11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成される金属製の基部と、
前記基部の内部に挿入される光導波路と、
前記基部に接合されて前記光導波路と光学的に接続され、単結晶アルミナから形成されるセンサヘッドと、を有し、
前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第1反射面と、前記第1反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第2反射面とを有し、前記第1反射面に反射された光と前記第2反射面に反射された光とを干渉させた第1干渉光を前記光導波路に出力する第1キャビティが設けられる
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学センサにおいて、
前記基部は、前記単結晶アルミナと線膨張係数の近い金属から形成される
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学センサにおいて、
前記第1反射面と前記第2反射面との間の距離は、被測定流体の圧力に依存する
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の光学センサにおいて、
前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第3反射面と、前記第3反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第4反射面とを有し、前記第3反射面に反射された光と前記第4反射面に反射された光とを干渉させた第2干渉光を前記光導波路に出力する第2キャビティが設けられ、
前記第3反射面と前記第4反射面との間の距離は、被測定流体の温度に依存する
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の光学センサにおいて、
前記センサヘッドは、前記センサヘッドの先端側に配置され、被測定流体と接触する接触面を有し、
前記センサヘッドにおいて、前記第1キャビティは、前記第2キャビティよりも前記接触面側に設けられる
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項6】
請求項3に記載の光学センサにおいて、
前記光導波路と光学的に接続され、前記光導波路と前記センサヘッドとの間に配置される誘電体膜を備え、
前記誘電体膜は、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第5反射面と、前記第5反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第6反射面とを有し、前記第5反射面に反射された光と前記第6反射面に反射された光とを干渉させた第3干渉光を前記光導波路に出力し、
前記第5反射面と前記第6反射面との間の距離は、被測定流体の温度に依存する
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項7】
請求項3に記載の光学センサにおいて、
前記センサヘッドは、前記第1反射面および前記第2反射面と平行とされ前記光導波路から導入される光の一部を反射する端面を有し、前記第1反射面または前記第2反射面に反射された光と前記端面に反射された光とを干渉させた第4干渉光を前記光導波路に出力し、
前記第1反射面または前記第2反射面と前記端面との間の距離は、被測定流体の温度に依存する
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学センサにおいて、
前記基部と前記センサヘッドとは直接接合される
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学センサにおいて、
前記基部と前記センサヘッドとは、接合部材を介して接合される
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項10】
光源と、
筒状に形成される金属製の基部と、前記光源と光学的に接続され、前記基部の内部に挿入される光導波路と、前記基部の端部に接合されて前記光導波路と光学的に接続され、単結晶アルミナから形成されるセンサヘッドとを有する光学センサと、
光検出部と、
演算部とを備え、
前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第1反射面と、前記第1反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第2反射面とを有し、前記第1反射面に反射された光と前記第2反射面に反射された光との第1干渉光を出力する第1キャビティが設けられ、
前記光検出部は、前記第1キャビティから出力される前記第1干渉光から第1干渉信号を検出し、
前記演算部は、前記光検出部で検出された前記第1干渉信号から、被測定流体の物理量を算出する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサおよび物理量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の光学センサでは、センサヘッドにキャビティを設け、当該キャビティの第1反射面および第2反射面により、光ファイバから導入された光を反射させ、反射光を干渉させることで干渉光を得ている。そして、当該干渉光を解析することで、圧力や温度等の物理量を測定可能としている。また、特許文献1の光学センサでは、センサヘッドおよび当該センサヘッドを支持する基部を、物理的・化学的強度の高いサファイアから形成している。これにより、高温・高圧の被測定流体を測定可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2009/0151423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、センサヘッドおよび基部をサファイアから形成するため、例えば、センサヘッドおよび基部を金属から形成する場合に比べて、加工がしにくいといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、物理的・化学的強度を高くでき、かつ、加工しやすくできる光学センサおよび物理量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学センサは、筒状に形成される金属製の基部と、前記基部の内部に挿入される光導波路と、前記基部に接合されて前記光導波路と光学的に接続され、単結晶アルミナから形成されるセンサヘッドと、を有し、前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第1反射面と、前記第1反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第2反射面とを有し、前記第1反射面に反射された光と前記第2反射面に反射された光とを干渉させた第1干渉光を前記光導波路に出力する第1キャビティが設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明では、被測定流体に接触するセンサヘッドには、第1反射面に反射された光と第2反射面に反射された光との第1干渉光を光導波路に出力する第1キャビティが設けられる。そのため、当該第1干渉光を解析することにより、例えば、被測定流体の圧力や温度等の物理量を検出することができる。
また、センサヘッドが、物理的・化学的強度の高いサファイア等の単結晶アルミナから形成される。これにより、被測定流体が高温・高圧であっても、センサヘッドが損傷してしまうことを防ぐことができる。さらに、センサヘッドが接合される基部が金属から形成されるので、基部をサファイア等から形成する場合に比べて、加工をしやすくでき、かつ、製造コストを抑えることができる。したがって、光学センサの物理的・化学的強度を高くでき、かつ、加工しやすくできる。
【0008】
本発明の光学センサにおいて、前記基部は、前記単結晶アルミナと線膨張係数の近い金属から形成されていてもよい。
この構成では、基部を、サファイア(線膨張係数: 7.0~8.0×10-6/℃)等の単結晶アルミナに線膨張係数が近い金属、例えば、線膨張係数が5.0~9.0×10-6/℃の金属から形成する。具体的には、チタン(線膨張係数:8.4×10-6/℃)、ニッケル合金(線膨張係数:5.0~7.0×10-6/℃)、チタン合金(線膨張係数:8.0~9.0×10-6/℃)等が例示される。これにより、センサヘッドおよび基部が高温に曝されて熱膨張したとしても、両者の線膨張係数は近いため、センサヘッドと基部との接合面において、熱膨張による熱応力を抑制できる。したがって、熱膨張による接合面の損傷を抑制することができる。
【0009】
本発明の光学センサにおいて、前記第1反射面と前記第2反射面との間の距離は、被測定流体の圧力に依存してもよい。
この構成では、第1キャビティから出力される第1干渉光は、主に被測定流体の圧力に依存するので、当該第1干渉光を解析することにより、被測定流体の圧力を検出することができる。
【0010】
本発明の光学センサにおいて、前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第3反射面と、前記第3反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第4反射面とを有し、前記第3反射面に反射された光と前記第4反射面に反射された光とを干渉させた第2干渉光を前記光導波路に出力する第2キャビティが設けられ、前記第3反射面と前記第4反射面との間の距離は、被測定流体の温度に依存してもよい。
この構成では、センサヘッドには、第3反射面に反射された光と第4反射面に反射された光との干渉光を光ファイバに出力する第2キャビティが設けられる。そして、第3反射面と第4反射面との間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。すなわち、第2キャビティは温度測定用のキャビティである。
これにより、第2キャビティから出力される第2干渉光は被測定流体の温度に依存する。そのため、当該第2干渉光を解析することにより、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
【0011】
本発明の光学センサにおいて、前記センサヘッドは、前記センサヘッドの先端側に配置され、被測定流体と接触する接触面を有し、前記センサヘッドにおいて、前記第1キャビティは、前記第2キャビティよりも前記接触面側に設けられていてもよい。
この構成では、第1キャビティは、センサヘッドにおいて第2キャビティよりも接触面側に設けられる。すなわち、第1キャビティは、被測定流体と接触する箇所のより近くに設けられる。そのため、被測定流体の圧力による第1反射面と第2反射面との間の距離の変化をより大きくできるので、第1キャビティからの干渉光による圧力検出の精度を高くできる。
【0012】
本発明の光学センサにおいて、前記光導波路と光学的に接続され、前記光導波路と前記センサヘッドとの間に配置される誘電体膜を備え、前記誘電体膜は、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第5反射面と、前記第5反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第6反射面とを有し、前記第5反射面に反射された光と前記第6反射面に反射された光とを干渉させた第3干渉光を前記光導波路に出力し、前記第5反射面と前記第6反射面との間の距離は、被測定流体の温度に依存することが好ましい。
この構成では、光導波路から導入される光の一部を反射する第5反射面と、第5反射面と対向して設けられ光導波路から導入される光の一部を反射する第6反射面とを有する誘電体膜を備える。そして、第5反射面と第6反射面との間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。
これにより、誘電体膜から出力される第3干渉光は被測定流体の温度に依存する。そのため、当該第3干渉光を解析することにより、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
さらに、センサヘッドに温度測定用のキャビティを設けなくても温度補償することができるので、センサヘッドの加工を容易にできる。
【0013】
本発明の光学センサにおいて、前記センサヘッドは、前記第1反射面および前記第2反射面と平行とされ前記光導波路から導入される光の一部を反射する端面を有し、前記第1反射面または前記第2反射面に反射された光と前記端面に反射された光とを干渉させた第4干渉光を前記光導波路に出力し、前記第1反射面または前記第2反射面と前記端面との間の距離は、被測定流体の温度に依存することが好ましい。
この構成では、センサヘッドは、第1反射面および第2反射面と平行とされ光導波路から導入される光の一部を反射する端面を有し、第1反射面または第2反射面に反射された光と前記端面に反射された光とを干渉させた第4干渉光を光導波路に出力する。そして、第1反射面または第2反射面と端面との間の距離は、被測定流体の温度に依存する。
これにより、誘電体膜から出力される第4干渉光は被測定流体の温度に依存する。そのため、当該第4干渉光を解析することにより、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
さらに、センサヘッドに温度測定用のキャビティを設けなくても温度補償することができるので、センサヘッドの加工を容易にできる。
【0014】
本発明の光学センサにおいて、前記基部と前記センサヘッドとは直接接合されていてもよい。
この構成では、基部とセンサヘッドとの間に、両者を接合させるための部材が存在しないので、このような部材が高温や高圧によって損傷するおそれがない。そのため、光学センサの物理的・化学的強度を高くできる。
【0015】
本発明の光学センサにおいて、前記基部と前記センサヘッドとは、接合部材を介して、接合されていてもよい。
この構成では、基部とセンサヘッドとの間に、両者を接合させるための接合部材が介在する。そのため、例えば、基部の線膨張係数とセンサヘッドの線膨張係数とが異なることにより、両者の接合部分に熱応力が作用したとしても、当該熱応力を接合部材により逃がすことができる。そのため、熱応力によって基部とセンサヘッドとの接合部分が損傷することを抑制できる。
【0016】
本発明の物理量測定装置は、光源と、筒状に形成される金属製の基部と、前記光源と光学的に接続され、前記基部の内部に挿入される光導波路と、前記基部の端部に接合されて前記光導波路と光学的に接続され、単結晶アルミナから形成されるセンサヘッドとを有する光学センサと、光検出部と、演算部とを備え、前記センサヘッドには、前記光導波路から導入される光の一部を反射する第1反射面と、前記第1反射面と対向して設けられ前記光導波路から導入される光の一部を反射する第2反射面とを有し、前記第1反射面に反射された光と前記第2反射面に反射された光との第1干渉光を出力する第1キャビティが設けられ、前記光検出部は、前記第1キャビティから出力される前記第1干渉光から第1干渉信号を検出し、前記演算部は、前記光検出部で検出された前記第1干渉信号から、被測定流体の物理量を算出することを特徴とする。
本発明では、上記した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物理量測定装置の概略構成を示す図。
【
図2】前記実施形態の光学センサの一部を破断した断面図。
【
図4】第2実施形態の光学センサの一部を破断した断面図。
【
図5】第3実施形態の光学センサの一部を破断した断面図。
【
図6】第4実施形態の光学センサの一部を破断した断面図。
【
図7】第5実施形態の光学センサの一部を破断した断面図。
【
図9】別の変形例の光学センサの一部を破断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の物理量測定装置100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、物理量測定装置100は、光学センサ1と、広帯域光源2と、光ケーブル3と、受光器4と、サーキュレータ7とを備える。
光学センサ1は、被測定流体の圧力を検出可能に構成されたセンサである。光学センサ1の詳細については後述する。
【0019】
[広帯域光源2]
広帯域光源2は、広帯域な波長の光を放出する。なお、広帯域光源2は、本発明の光源の一例である。
本実施形態では、広帯域光源2は、例えば、SC(Super Continuum)光源であり、1200nm~1600nm程度の波長領域の光を放出可能に構成されている。なお、広帯域光源2は、上記構成に限られるものではなく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源やSLD(Super luminescent diode)光源やLED(Light Emitting Diode)光源等を組み合わせたものであってもよく、また、チューナブルレーザーのように広帯域を掃引する狭帯域光源であってもよい。さらに、広帯域光源2は、例示した波長領域よりも広い波長領域の光を放出可能に構成されていてもよく、あるいは、例示した波長領域よりも狭い波長領域の光を放出可能に構成されていてもよい。
【0020】
[光ケーブル3]
光ケーブル3は、所謂マルチモード光ファイバや保護部材等を備えて構成され、広帯域光源2から放出される光が入射される。そして、光ケーブル3は、広帯域光源2から放出された光を光学センサ1に伝送する。また、光ケーブル3は、光学センサ1から出力された第1干渉光および第2干渉光を受光器4に伝送する。なお、光ケーブル3は、マルチモード光ファイバを備えて構成されるものに限られるものではなく、例えば、シングルモード光ファイバを備えて構成されていてもよい。
【0021】
[サーキュレータ7]
サーキュレータ7は、広帯域光源2から放出された光を入射して、光学センサ1に送る。また、サーキュレータ7は、光学センサ1から出力された干渉光を入射して、受光器4に送る。
なお、サーキュレータ7は、上記構成に限られず、例えば、ビームスプリッタから構成されていてもよい。
【0022】
[光学センサ1]
図2は、光学センサ1の一部を破断した断面図である。
図2に示すように、光学センサ1は、基部10と、光ファイバ部材20と、センサヘッド30と、フェルール40とを備える。
【0023】
[基部10]
基部10は、金属製であり、基部本体部11と、工具係合部12とを備える。
ここで、本実施形態では、基部10は、サファイアと線膨張係数の近い金属であるチタンから形成される。具体的には、サファイアの線膨張係数が7.0~8.0×10-6/℃であるのに対して、チタンの線膨張係数は8.4×10-6/℃であり、両者の線膨張係数は非常に近い。
【0024】
基部本体部11は、円筒状に形成され、内部に貫通孔111が形成される。また、基部本体部11は、大径部112と小径部113とを備える。なお、基部本体部11は、円筒状に形成されることに限らず、例えば、多角筒状に形成されていてもよい。
大径部112は、一方の端部に工具係合部12が設けられ、他方の端部に小径部113が設けられる。また、大径部112の周囲には、被接続部Nの雌ねじ部と螺合可能な雄ねじ部114が設けられている。
小径部113は、大径部112よりも直径が小さくなるように形成されている。小径部113の先端側には、センサヘッド30が接合されている。ここで、本実施形態では、小径部113とセンサヘッド30とは直接接合されている。直接接合としては、例えば、ADB(Atomic Diffusion Bonding:原子拡散接合)、SAB(Surface-activated Bonding:表面活性化接合)、熱拡散接合等が挙げられる。
また、基部本体部11は、上記構成に限定されるものではない。例えば、基部本体部11には、小径部113が設けられていなくてもよい。この場合、基部本体部11は、一方の端部から他方の端部に亘って、径が変化しないように形成されていてもよい。
さらに、基部本体部11には、雄ねじ部114が形成されていなくてもよい。この場合、基部本体部11は被接続部Nに、例えば、溶接により取り付けられていてもよい。
工具係合部12は、基部10の中心から径方向に延出して形成されており、スパナ等の工具と係合可能とされている。
【0025】
[光ファイバ部材20]
光ファイバ部材20は、基部本体部11の貫通孔111に配置される。本実施形態では、光ファイバ部材20は、所謂マルチモード光ファイバから構成され、光ケーブル3を構成する光ファイバと連続的に設けられている。これにより、光ファイバ部材20は、広帯域光源2と光学的に接続されている。なお、光ファイバ部材20は、光ケーブル3を構成する光ファイバと連続的に設けられることに限られるものではなく、例えば、コネクタ等によって光ケーブル3を構成する光ファイバと接続されていてもよい。
そして、光ファイバ部材20は、光ケーブル3から入射した光をセンサヘッド30に伝送する。また、光ファイバ部材20は、センサヘッド30から出力された干渉光を光ケーブル3に伝送する。なお、光ファイバ部材20は、本発明の光導波路の一例である。
また、光ファイバ部材20は、マルチモード光ファイバから構成されるものに限られるものではなく、例えば、シングルモード光ファイバから構成されていてもよい。
【0026】
[センサヘッド30]
センサヘッド30は、単結晶アルミナであるサファイアから円柱状に形成されている。本実施形態では、センサヘッド30は、第1キャビティ31と、第2キャビティ32と、接触面33と、接合面34とを有する。第1キャビティ31および第2キャビティ32は、接触面33側から見た平面視において、内部が真空とされた同心円の円柱状に形成される。
接触面33は、センサヘッド30の先端側に配置されており、被測定流体と接触する面である。
接合面34は、センサヘッド30の基部10側に配置されており、小径部113と接合する面である。
【0027】
図3は、センサヘッド30の分解断面図である。
図3に示すように、センサヘッド30は、第1センサヘッド部35と、第2センサヘッド部36と、第3センサヘッド部37とを備える。
第1センサヘッド部35には、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)により、第1凹部351が円柱状に形成されている。同様に、第3センサヘッド部37には、例えば、MEMSにより、第2凹部371が円柱状に形成されている。ここで、第1凹部351および第2凹部371は同心円状に形成されている。
そして、センサヘッド30は、真空状態において、第1センサヘッド部35、第2センサヘッド部36、および第3センサヘッド部37がフュージョンボンディングにより接合されて形成される。すなわち、第1凹部351により第1キャビティ31が形成され、第2凹部371により第2キャビティ32が形成される。これにより、本実施形態では、第1キャビティ31および第2キャビティ32の内部は真空状態になっている。
なお、第1凹部351および第2凹部371は、MEMSにより形成されることに限られるものではなく、例えば、レーザー加工等の機械加工により形成されていてもよい。また、第1センサヘッド部35、第2センサヘッド部36、および第3センサヘッド部37は、フュージョンボンディングにより接合されることに限られるものではなく、例えば、ADBやSABにより接合されていてもよい。さらに、第1キャビティ31および第2キャビティ32の内部は真空状態であることに限られるものではなく、例えば、空気等が存在していてもよい。また、第1キャビティ31および第2キャビティ32と、貫通孔111とが、連通孔等により連通することで、ゲージ圧を測定可能に構成されていてもよい。
【0028】
図2に戻って、第1キャビティ31は、第1反射面311と、第2反射面312とを有する。第1反射面311は、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。また、第2反射面312は、第1反射面311に対向して設けられ、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。そして、第1反射面311と第2反射面312とにより反射された光同士が干渉することにより、第1キャビティ31から第1干渉光が出力される。なお、第1キャビティ31は、第1反射面311と第2反射面312とにより光が多重反射され、多重反射された光同士が干渉するように構成されていてもよい。
【0029】
ここで、第1キャビティ31において、第1反射面311と第2反射面312との間の距離は、被測定流体の圧力および温度に依存する。すなわち、第1キャビティ31は、被測定流体の圧力および温度に応じて、第1干渉光を出力する。
また、第1キャビティ31は、第2キャビティ32よりも接触面33側に配置されている。さらに、第1キャビティ31は、第2キャビティ32よりも径が大きくなるように形成されている。これにより、第1キャビティ31と接触面33との間の部材は、被測定流体の圧力によって、より撓みやすくなっている。これにより、第1キャビティ31において、第1反射面311と第2反射面312との間の距離は、被測定流体の圧力によってより変化しやすくなっている。すなわち、第1キャビティ31から出力される第1干渉光は、主に被測定流体の圧力によって影響を受ける。そのため、第1キャビティ31は、圧力測定用のキャビティである。
【0030】
第2キャビティ32は、第3反射面321と、第4反射面322とを有する。第3反射面321は、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。また、第4反射面322は、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。そして、第3反射面321と第4反射面322とにより反射された光同士が干渉することにより、第2キャビティ32から第2干渉光が出力される。なお、第2キャビティ32は、第3反射面321と第4反射面322とにより光が多重反射され、多重反射された光同士が干渉するように構成されていてもよい。
【0031】
また、第2キャビティ32は、第1キャビティ31よりも基部10側に配置されている。さらに、第2キャビティ32は、第1キャビティ31よりも径が小さくなるように形成されている。これにより、第2キャビティ32において、第3反射面321と第4反射面322との間の距離は、被測定流体の圧力によってそれほど変化しない。すなわち、第2キャビティ32から出力される第2干渉光は、被測定流体の圧力による影響を受けにくい。そのため、第2キャビティ32において、第3反射面321と第4反射面322との間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。すなわち、第2キャビティ32は、温度測定用のキャビティである。
【0032】
[フェルール40]
フェルール40は、光ファイバ部材20を支持する部材である。
本実施形態では、フェルール40には、一方の端部から他方の端部に亘ってフェルール40を貫通する孔部41が形成される。そして、フェルール40には、当該孔部41に光ファイバ部材20が挿入されている。これにより、フェルール40は、光ファイバ部材20を支持している。
また、本実施形態では、フェルール40は、光ファイバ部材20の先端をセンサヘッド30の接合面34に接触させるように、光ファイバ部材20を支持している。
【0033】
図1に戻って、受光器4は、光学センサ1から出力された第1干渉光および第2干渉光を入射して、当該第1干渉光および第2干渉光に応じた物理量を演算する。受光器4は、光検出部5と、MPU6とを有する。
【0034】
光検出部5は、図示略の光検出素子、光電変換機、増幅器、AD変換器などを備えて構成され、入射された第1干渉光および第2干渉光を検出して、第1干渉信号および第2干渉信号を出力する。
【0035】
MPU6は、所謂Micro Processing Unitであり、光検出部5から出力される複数の干渉信号を入力して、それぞれの干渉信号に応じた物理量を演算する。本実施形態では、MPU6は、公知の演算方法により、第1干渉信号および第2干渉信号から物理量を測定する。すなわち、MPU6は、第1干渉信号および第2干渉信号のそれぞれから干渉縞を求める。そして、MPU6は、干渉縞の周期的な強度変化から、位相変化を算出する。MPU6は、この位相変化と物理量との相関関係を予め求めておくことで、位相変化に応じた物理量を算出する。なお、MPU6は、本発明の演算部の一例である。
【0036】
ここで、本実施形態では、前述したように、第1干渉光は被測定流体の圧力および温度の影響を受ける。そのため、第1干渉信号は、主に被測定流体の圧力に依存するが、温度にも依存する。
一方、第2干渉光は、被測定流体の温度の影響は受けるが、圧力の影響を受けにくい。そのため、第2干渉信号は、主に被測定流体の温度に依存する。
これにより、MPU6は、第1干渉信号に基づく物理量の算出結果から、第2干渉信号に基づく物理量の算出結果を差し引くことにより、被測定流体の圧力を求めることができる。すなわち、第1キャビティ31の第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができるので、被測定流体の圧力の測定精度を向上できる。
【0037】
以上のような第1実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、被測定流体に接触するセンサヘッド30には、第1反射面311に反射された光と第2反射面312に反射された光との第1干渉光を出力する第1キャビティ31が設けられる。そのため、当該第1干渉光を解析することにより、被測定流体の圧力等の物理量を検出することができる。
また、センサヘッド30が、物理的・化学的強度の高いサファイアから形成される。これにより、被測定流体が高温・高圧であっても、センサヘッド30が損傷してしまうことを防ぐことができる。さらに、センサヘッド30が接合される基部10が金属であるチタンから形成されるので、基部10をサファイアから形成する場合に比べて、加工をしやすくでき、かつ、製造コストを抑えることができる。したがって、光学センサ1の物理的・化学的強度を高くでき、かつ、加工しやすくできる。
【0038】
(2)本実施形態では、基部10を、サファイアと線膨張係数の近い金属であるチタンから形成する。そのため、センサヘッド30および基部10が高温に曝されて熱膨張したとしても、両者の線膨張係数は近いため、センサヘッド30と基部10との接合面34において、熱膨張による熱応力を抑制できる。したがって、熱膨張による接合面34の損傷を抑制することができる。
【0039】
(3)本実施形態では、第1キャビティ31から出力される第1干渉光は、主に被測定流体の圧力に依存するので、当該第1干渉光を解析することにより、被測定流体の圧力を検出することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、センサヘッド30には、第3反射面321に反射された光と第4反射面322に反射された光との第2干渉光を出力する第2キャビティ32が設けられる。そして、第3反射面321と第4反射面322との間の距離は、主に被測定流体の温度に依存し、圧力にほとんど依存しない。これにより、第2キャビティ32から出力される第2干渉光は主に被測定流体の温度に依存する。そのため、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
【0041】
(5)本実施形態では、センサヘッド30において、第1キャビティ31は、第2キャビティ32よりも接触面33側に設けられている。これにより、第1キャビティ31は、センサヘッド30において被測定流体と接触する箇所のより近くに設けられる。そのため、被測定流体の圧力による第1反射面311と第2反射面312との間の距離の変化をより大きくできるので、第1キャビティ31からの干渉光による圧力検出の精度を高くできる。
【0042】
(6)本実施形態では、基部10とセンサヘッド30とは直接接合される。これにより、基部10とセンサヘッド30との間に、両者を接合させるための部材が存在しないので、このような部材が高温や高圧によって損傷するおそれがない。そのため、光学センサ1の物理的・化学的強度を高くできる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、光ファイバ部材20は、フェルール40Aを介して、センサヘッド30と接続されており、光ファイバ部材20の先端とセンサヘッド30とが接触していない点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図4は、第2実施形態の光学センサ1Aの一部を破断した断面図である。
図4に示すように、フェルール40Aには、一方の端部に光ファイバ部材20が接続されており、他方の端部はセンサヘッド30と接触している。すなわち、光ファイバ部材20は、センサヘッド30と直接接触しておらず、フェルール40Aを介してセンサヘッド30に接続されている。
そして、本実施形態では、光ファイバ部材20から出力された光は、フェルール40Aに設けられた平行レンズ41Aおよび孔部42Aを伝播して、センサヘッド30に入射される。また、センサヘッド30から出力された第1干渉光および第2干渉光は、平行レンズ41Aおよび孔部42Aを伝播して、光ファイバ部材20に入射される。
なお、光ファイバ部材20の先端と、センサヘッド30の端面、すなわち接合面34とを近づけて配置する場合、平行レンズ41Aを設けなくてもよい。この場合、光ファイバ部材20の先端と、センサヘッド30の端面との間で干渉が生じることを防ぐために、光ファイバ部材20の先端を斜め研磨したり、球面研磨したりしてもよい。
【0045】
以上のような第2実施形態では、次の効果を奏することができる。
(7)本実施形態では、光ファイバ部材20は、フェルール40Aを介して、センサヘッド30と接続されており、光ファイバ部材20の先端とセンサヘッド30とが接触していない。これにより、被測定流体の温度を光ファイバ部材20に伝わりにくくすることができる。そのため、被測定流体の温度によって光ファイバ部材20が損傷してしまうことを抑制でき、光学センサ1Aの物理的強度をより高くすることができる。
【0046】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明する。
第3実施形態では、光ファイバ部材20は、フェルール40Bを介して、センサヘッド30と接続されており、光ファイバ部材20の先端とセンサヘッド30とが接触していない点で第1実施形態と異なる。また、第3実施形態では、フェルール40Bに貫通孔が形成されていない点で第1実施形態と異なる。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0047】
図5は、第3実施形態の光学センサ1Bの一部を破断した断面図である。
図5に示すように、フェルール40Bには、一方の端部に光ファイバ部材20が接続されており、他方の端部はセンサヘッド30と接触している。すなわち、光ファイバ部材20は、センサヘッド30と直接接触しておらず、フェルール40Bを介してセンサヘッド30に接続されている。
また、本実施形態では、フェルール40Bは、光透過性を有する部材から形成されている。そのため、光ファイバ部材20から出力された光は、フェルール40Bを伝播して、センサヘッド30に入射される。また、センサヘッド30から出力された第1干渉光および第2干渉光は、フェルール40Bを伝播して、光ファイバ部材20に入射される。すなわち、本実施形態では、光ファイバ部材20およびフェルール40Bは、本発明の光導波路を構成する。
【0048】
以上のような第3実施形態では、次の効果を奏することができる。
(8)本実施形態では、光ファイバ部材20は、フェルール40Bを介して、センサヘッド30と接続されており、光ファイバ部材20の先端とセンサヘッド30とが接触していない。そのため、前述した第2実施形態と同様に、被測定流体の温度によって光ファイバ部材20が損傷してしまうことを抑制でき、光学センサ1Bの物理的強度をより高くすることができる。
【0049】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4施形態について図面に基づいて説明する。
第4実施形態では、フェルール40Cの端部に誘電体膜50Cが設けられている点で第1~3実施形態と異なる。なお、第4実施形態において、第1~3実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
図6は、第4実施形態の光学センサ1Cの一部を破断した断面図である。
図6に示すように、フェルール40Cには、一方の端部に光ファイバ部材20が接続されており、他方の端部には誘電体膜50Cが設けられている。そして、前述した第3実施形態と同様に、フェルール40Cは、光透過性を有する部材から形成されている。このため、本実施形態では、光ファイバ部材20から導入される光は、フェルール40Cおよび誘電体膜50Cを伝播して、センサヘッド30Cに入射される。
なお、誘電体膜50Cとセンサヘッド30Cの接合面34との間には、僅かな隙間が設けられている。そのため、誘電体膜50Cから出射された光は、当該隙間の空間を通って、センサヘッド30Cに入射される。また、本実施形態では、センサヘッド30Cには、前述した第1~3実施形態のような第2キャビティ32が設けられていない。
【0051】
[誘電体膜50C]
誘電体膜50Cは、誘電体の単層膜として構成されている。そして、誘電体膜50Cは、第5反射面511Cと、第6反射面512Cとを有する。
第5反射面511Cは、フェルール40Cを介して光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。また、第6反射面512Cは、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。そして、第5反射面511Cと第6反射面512Cとにより反射された光同士が干渉することにより、誘電体膜50Cから第3干渉光が出力される。なお、誘電体膜50Cは、第5反射面511Cと第6反射面512Cとにより光が多重反射され、多重反射された光同士が干渉するように構成されていてもよい。
また、誘電体膜50Cは、上記構成に限られるものではなく、例えば、複数の誘電体層を重ねた多層膜として構成されていてもよい。
【0052】
ここで、前述したように、誘電体膜50Cとセンサヘッド30Cとの間には隙間が設けられているため、誘電体膜50Cに対して被測定流体の圧力が伝播することはない。そのため、第5反射面511Cと第6反射面512Cとの間の距離は、被測定流体の圧力によって変化しない。一方、誘電体膜50Cの層厚は、被測定流体の温度に依存する。すなわち、第5反射面511Cと第6反射面512Cとの間の距離は、被測定流体の温度に依存する。そのため、誘電体膜50Cにおいて、第5反射面511Cと第6反射面512Cとの間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。すなわち、誘電体膜50Cは、温度測定用の光学素子として機能する。
【0053】
以上のような第4実施形態では、次の効果を奏することができる。
(9)本実施形態では、光ファイバ部材20から導入される光の一部を反射する第5反射面511Cと、第5反射面511Cと対向して設けられ光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する第6反射面512Cとを有する誘電体膜50Cを備える。そして、第5反射面511Cと第6反射面512Cとの間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。
これにより、誘電体膜50Cから出力される第3干渉光は被測定流体の温度に依存する。そのため、当該第3干渉光を解析することにより、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
さらに、センサヘッド30Cに温度測定用のキャビティを設けなくても温度補償することができるので、センサヘッド30Cの加工を容易にできる。
【0054】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5施形態について図面に基づいて説明する。
第5実施形態では、センサヘッド30Dにおいて、キャビティが1個だけ設けられる点で第1~3実施形態と異なる。なお、第5実施形態において、第1~4実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図7は、第5実施形態の光学センサ1Dの一部を破断した断面図である。
図7に示すように、本実施形態では、前述した第4実施形態と同様に、センサヘッド30Dには、第1キャビティ31Dのみが設けられており、前述した第1~3実施形態のような第2キャビティ32が設けられていない。
そして、本実施形態では、第1キャビティ31Dの第1反射面311Dおよび第2反射面312Dと、接合面34Dとは互いに平行とされている。
なお、本実施形態では、フェルール40Dは光透過性を有する部材から形成されており、フェルール40Dとセンサヘッド30Dの接合面34Dとの間には、僅かな隙間が設けられている。そのため、フェルール40Dから出射された光は、当該隙間の空間を通って、センサヘッド30Dに入射される。
【0056】
ここで、本実施形態では、第2反射面312Dは、フェルール40Dを介して光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。また、接合面34Dは、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。そして、第2反射面312Dと接合面34Dとにより反射された光同士が干渉することにより、センサヘッド30Dから第4干渉光が出力される。すなわち、接合面34Dは、本発明の端面の一例である。なお、第2反射面312Dと接合面34Dとにより光が多重反射され、多重反射された光同士が干渉するように構成されていてもよい。
また、第1反射面311Dおよび第2反射面312Dは、前述した第1実施形態の第1反射面311および第2反射面312と同様に、光ファイバ部材20から入射された光の一部を反射する。そして、第1反射面311Dと第2反射面312Dとにより反射された光同士が干渉することにより、第1キャビティ31Dから第1干渉光が出力される。
【0057】
また、接合面34Dは第1キャビティ31Dよりも基部10側に配置されているので、第2反射面312Dと接合面34Dとの間の距離は、被測定流体の圧力によってそれほど変化しない。すなわち、第4干渉光は、被測定流体の圧力による影響を受けにくい。そのため、第2反射面312Dと接合面34Dとの間の距離は、主に被測定流体の温度に依存する。
【0058】
以上のような第5実施形態では、次の効果を奏することができる。
(10)本実施形態では、センサヘッド30Dは、第1反射面311Dおよび第2反射面312Dと平行とされ光ファイバ部材20から導入される光の一部を反射する接合面34Dを有し、第2反射面312Dに反射された光と接合面34Dに反射された光とを干渉させた第4干渉光を光ファイバ部材20に出力する。そして、第2反射面312Dと接合面34Dとの間の距離は、被測定流体の温度に依存する。
これにより、センサヘッド30Dから出力される第4干渉光は被測定流体の温度に依存する。そのため、当該第4干渉光を解析することにより、第1干渉光から得られる圧力を温度補償することができ、圧力の測定精度を向上できる。
さらに、センサヘッド30Dに温度測定用のキャビティを設けなくても温度補償することができるので、センサヘッド30Dの加工を容易にできる。
【0059】
[変形例]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図8は、変形例のセンサヘッド30Eの分解断面図である。
図8に示すように、センサヘッド30Eは、第1センサヘッド部35Eと、第2センサヘッド部36Eと、第3センサヘッド部37Eとを備える。
第2センサヘッド部36Eには、第1センサヘッド部35E側に第1凹部361Eが形成され、第3センサヘッド部37E側に第2凹部362Eが形成されている。そして、センサヘッド30Eは、真空状態において、第1センサヘッド部35E、第2センサヘッド部36E、および第3センサヘッド部37Eがフュージョンボンディングされることにより形成される。すなわち、第1凹部361Eにより第1キャビティ31が形成され、第2凹部362Eにより第2キャビティ32が形成されていてもよい。
なお、第1センサヘッド部35E、第2センサヘッド部36E、および第3センサヘッド部37Eは、フュージョンボンディングにより接合されることに限られるものではなく、例えば、ADBやSABにより接合されていてもよい。
【0060】
前記各実施形態では、基部10はチタンから形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、基部10は、ニッケル合金(線膨張係数:5.0~7.0×10-6/℃)やチタン合金(線膨張係数:8.0~9.0×10-6/℃)等のサファイアと線膨張係数の近い金属から形成されていてもよい。さらに、基部10がSUS等の金属から形成されていている場合も、本発明に含まれる。
【0061】
前記各実施形態では、基部10とセンサヘッド30とは直接接合されていたが、これに限定されるものではない。
図9は、別の変形例の光学センサ1Fの一部を破断した断面図である。
図9に示すように、基部10とセンサヘッド30とは、金属、ガラス、セラミック等で形成される接合部材60Fを介して、接合されていてもよい。この場合、基部10とセンサヘッド30との間に、両者を接合させるための接合部材60Fが介在する。そうすると、基部10の線膨張係数とセンサヘッド30の線膨張係数とが異なることにより、両者の接合部分に熱応力が作用したとしても、当該熱応力を接合部材60Fにより逃がすことができる。そのため、熱応力によって基部10とセンサヘッド30との接合部分が損傷することを抑制できる。
【0062】
前記第1~3実施形態では、第1キャビティ31と第2キャビティ32とは、接触面33側から見た平面視において、同心円上に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1キャビティ31と第2キャビティ32とは、中心がオフセットされて形成されていてもよい。
また、第2キャビティ32には、被測定流体の圧力による影響を軽減するために、第1キャビティ31と第2キャビティ32との間の部材の撓みを抑制する支持部が形成されていてもよい。
さらに、第2キャビティ32が形成されない場合も、本発明に含まれる。
【0063】
前記第1、第2実施形態では、光導波路は光ファイバ部材20により構成されていたが、これに限定されない。例えば、光導波路は、結晶材料等から形成される光透過性を有する部材から構成されていてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、センサヘッド30は円柱状に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、センサヘッド30は、四角柱や六角柱等の角柱状に形成されていてもよい。この場合、基部10の小径部113の先端に、当該角柱状のセンサヘッド30を収容する収容凹部が形成されていてもよい。
【0065】
前記第1~3実施形態では、第2キャビティ32から出力される第2干渉光に基づいて温度を測定して、第1干渉光から得られる圧力を温度補償していたが、これに限定されない。例えば、被測定流体の温度を測定する熱電対や測温抵抗体等を設け、この出力値により温度補償できるように構成されていてもよい。すなわち、光学的または電気的に温度を測定できるように構成されていてもよい。
【0066】
前記第5実施形態では、センサヘッド30Dは、第2反射面312Dと接合面34Dとで反射された光同士が干渉することにより、第4干渉光をするよう構成されていたが、これに限定されない。例えば、センサヘッドは、第1反射面と接触面とで反射された光同士が干渉することにより、第4干渉光を出力するよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,1D,1F…光学センサ、2…広帯域光源(光源)、3…光ケーブル、4…受光器、5…光検出部、6…MPU(演算部)、7…サーキュレータ、10…基部、11…基部本体部、12…工具係合部、20…光ファイバ部材(光導波路)、30,30C,30D,30E…センサヘッド、31,31D…第1キャビティ、32…第2キャビティ、33,33D…接触面、34…接合面、34D…接合面(端面)、35,35E…第1センサヘッド部、36,36E…第2センサヘッド部、37,37E…第3センサヘッド部、40,40A,40B,40C,40D…フェルール、41…孔部、41A…平行レンズ、42A…孔部、50C…誘電体膜、60F…接合部材、100…物理量測定装置、111…貫通孔、112…大径部、113…小径部、114…雄ねじ部、311,311D,…第1反射面、312,312D…第2反射面、321…第3反射面、322…第4反射面、511C…第5反射面、512C…第6反射面。