(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】磁気式の位置センサシステムおよびセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20230106BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20230106BHJP
H01F 5/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
G01B7/00 101E
H05K1/16 B
H01F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021528993
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2019082230
(87)【国際公開番号】W WO2020104656
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】102018220032.7
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519453607
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ロイニング
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ アッカー
(72)【発明者】
【氏名】アレックス キース
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス レーベライン
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート シューフ
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-273527(JP,A)
【文献】国際公開第2011/155527(WO,A1)
【文献】特開2013-058754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
H05K 1/16
H01F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気式の位置センサシステム(1)であって、
多層回路基板(2)であって、
1つの層は、1つの絶縁層(5)と少なくとも1つの銅層(3,4,4’)とを含み、
1つの銅層(3,4,4’)は、少なくとも1つの第1の導体路(3a,4a,4’a)および/または第2の導体路(3b,4b,4’b)を含む、
多層回路基板(2)と、
第1の層間接続部(7)、第2の層間接続部(8)、および回路基板コア(6)と、
軟磁性のコア(11)、少なくとも1つの励起巻線を備えた励起コイル、および少なくとも1つのセンサ巻線を備えたセンサコイルを有しているセンサと、
を含む、磁気式の位置センサシステム(1)において、
前記軟磁性のコア(11)は、前記多層回路基板(2)の前記回路基板コア(6)内に配置されていて、励起コイルとセンサコイルとによって取り囲まれており、前記励起コイルの1つの励起巻線は、それぞれ2つの第1の層間接続部(7)を少なくとも部分的に、かつ2つの第1の導体路(3a,4a,4’a)を有しており、前記センサコイルの1つのセンサ巻線は、それぞれ2つの第2の層間接続部(8)を少なくとも部分的に、かつ2つの第2の導体路(3b,4b,4’b)を有して
おり、
前記軟磁性のコア(11)は、少なくとも1つの励起巻線を備えた励起コイルと、少なくとも1つのセンサ巻線を備えたセンサコイルとによって、ほぼ同心に取り囲まれている、ことを特徴とする、磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項2】
前記励起コイルおよび前記センサコイルは、前記多層回路基板(2)の互いに異なった層に配置されている、請求項1記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項3】
前記励起コイルおよび前記センサコイルは、前記多層回路基板(2)の同じ層に配置されている、請求項1記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項4】
1つの励起巻線は、それぞれ2つの第1の層間接続部(7)と2つの第1の導体路(3a)とを外側の前記銅層(3)に有しており、1つのセンサ巻線は、それぞれ2つの第2の層間接続部(8)と2つの第2の導体路(3b)とを前記外側の銅層(3)に有している、請求項3記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項5】
前記多層回路基板(2)は長さ(L1)を有しており、前記励起コイルは長さ(L2)を有しており、前記センサコイルは長さ(L3)を有しており、前記コア(11)は長さ(L4)を有しており、前記長さ(L1,L2,L3,L4)は、それぞれ外側区分(a)と内側区分(b)とに分割されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項6】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、相応の長さ(L2,L3)にわたって均等に分配されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項7】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、相応の長さ(L2,L3)にわたって均等に分配されていない、請求項1から5までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項8】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、主として1つの外側区分(a)に配置されている、請求項7記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項9】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、主として1つの内側区分(b)に配置されている、請求項7記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項10】
前記励起コイルは、前記センサコイルを部分的にまたは完全に取り囲んでいる、請求項1から9までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項11】
前記センサコイルは、前記励起コイルを部分的にまたは完全に取り囲んでいる、請求項1から9までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項12】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、前記コア(11)に対して対称に配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項13】
前記励起コイルおよび/または前記センサコイルの前記巻線は、前記コア(11)に対して非対称に配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項14】
前記コア(11)は条片状に形成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の
磁気式の位置センサシステム(1)。
【請求項15】
センサモジュールであって、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの
磁気式の位置センサシステム(1)と、評価電子装置(12)の少なくとも一部とを含むことを特徴とする、センサモジュール。
【請求項16】
前記評価電子装置(12)は、少なくとも部分的に、多層回路基板(2)内に、多層回路基板(2)上に、または多層回路基板(2)の外側に配置されている、請求項15記載のセンサモジュール。
【請求項17】
請求項15または16記載のセンサモジュールを含むことを特徴とする、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気式の位置センサシステム、およびこのような位置センサシステムを備えたセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
位置センサまたは距離センサは、例えば、自動車トランスミッションにおけるギヤセレクタ運動を非接触式に監視するために使用される。磁気式の位置センサは、例えば独国特許出願公開第102006061771号明細書および欧州特許第2149784号明細書に基づいて公知である。
【0003】
このようなセンサシステムの可能な構成は、いわゆる「永久磁石を用いたリニア型の非接触式の変位センサ」、略してPLCDセンサである。従来のPLCDセンサシステムでは、特に、例えば磁石の位置を検出するために、コイルが巻き付けられた軟磁性のコアが回路基板に装着される。
【0004】
センサシステムの評価のためには、特に、付加的な外側回路を備えた相応の集積回路がさらに必要である。
【0005】
そのために、通常、比較的大きな組付けスペースが必要となる。相応の構造技術は手間を要し、高価である。さらに、多くの場合、封止のような特別な保護措置または環境条件に対するシステムの特別な被覆が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゆえに、本発明の課題は、コンパクトにかつ高い信頼性をもって、しかも、簡単かつ廉価に製造することができる磁気式の位置センサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載された特徴を有するセンサシステムによって解決されている。
【0008】
磁気式の位置センサシステムは、
多層回路基板であって、
多層回路基板の1つの層が、1つの絶縁層、特にいわゆるプレプレグ層と、少なくとも1つの銅層とを含み、
1つの銅層が、少なくとも1つの第1の導体路および/または第2の導体路を含む、
多層回路基板と、
第1の層間接続部、第2の層間接続部、および回路基板コアと、
軟磁性のコア、少なくとも1つの励起巻線を備えた励起コイル、および少なくとも1つのセンサ巻線を備えたセンサコイルを有しているセンサと、
を含む。
【0009】
回路基板は、通常、ガラス繊維強化された硬化されたエポキシ樹脂製の1つまたは複数の基板層から成っており、これらの基板層は、導電性の構造、特に導体路を形成するために、片側または両側で銅被覆されている。特に多層の回路基板では、これらの基板層のうちの1つまたは複数が、プレプレグを用いて、かつ部分的にさらに付加的に銅箔と共にプレス加工される。基板層およびプレプレグは、多層の回路基板の電気絶縁性の基板層を形成している。
【0010】
電気絶縁性の基板層同士の間の絶縁された導体路は、多層回路基板に設けられた金属めっきされた層間接続部によって互いに電気接続される。
【0011】
本発明によれば、軟磁性のコアが、多層回路基板の回路基板コア内に配置されていて、励起コイルとセンサコイルとによって取り囲まれており、励起コイルの1つの励起巻線が、それぞれ2つの第1の層間接続部を少なくとも部分的に、かつ2つの第1の導体路を有しており、センサコイルの1つのセンサ巻線が、それぞれ2つの第2の層間接続部、少なくとも第2の層間接続部のうちの一部、および2つの第2の導体路を有している。
【0012】
この場合、好ましくは、軟磁性のコアは、回路基板内に直接埋め込まれる。コアを取り囲む励起コイルまたはセンサコイルのコイル巻線は、それぞれ、第1の層間接続部または第2の層間接続部の相応の区分により電気接続された銅層上の第1の導体路または第2の導体路によって実現される。
【0013】
このように構成されていると、通常必要となる構造スペース高さが低減される。システムは、この構造コンセプトによって、有害な環境条件に対してより抵抗力があり、製造プロセスを最小にすることによって、製造コストが削減される。
【0014】
位置センサシステムの1つの実施形態では、励起コイルおよびセンサコイルが、多層回路基板の互いに異なった層に配置されている。
【0015】
位置センサシステムの別の実施形態では、励起コイルおよびセンサコイルが、多層回路基板の同じ層に配置されており、これによって、層の数ひいては位置センサシステムの構造高さを使用例に応じて特に小さく保つことができる。
【0016】
位置センサシステムの別の発展形態では、1つの励起巻線が、それぞれ2つの第1の層間接続部と2つの第1の導体路とを外側の銅層に有しており、1つのセンサ巻線が、それぞれ2つの第2の層間接続部と2つの第2の導体路とを外側の銅層に有している。
【0017】
位置センサシステムの別の実施形態では、多層回路基板、励起コイル、センサコイル、およびコアのそれぞれの長さが、外側区分と内側区分とに分割されている。
【0018】
長さは、多層回路基板の最大値の範囲内でそれぞれ異なる値をとることができる。すなわち、特に励起コイルおよびセンサコイルのそれぞれの長さは互いに異なっていてよい。
【0019】
位置センサシステムの発展形態では、励起コイルおよび/またはセンサコイルの巻線が、相応の長さにわたって均等に分配されていてよく、個々の巻線の間隔は、特に同じである。多くの場合、個々の巻線の間隔は、相応の長さにわたって変化してもよい。
【0020】
位置センサシステムの別の実施形態では、励起コイルおよび/またはセンサコイルの巻線が、相応の長さにわたって均等に分配されていなくてよい。このような実施形態では、励起コイルおよび/またはセンサコイルの巻線は、主として一方の外側区分または両方の外側区分に配置されていてよく、この場合、外側区分はコア側において、例えば真っ直ぐな導体部材によって互いに導電接続されている。また、励起コイルおよび/またはセンサコイルの巻線が、主として内側区分、特に軟磁性のコアの領域に配置されていることも可能である。
【0021】
位置センサシステムの別の実施形態では、励起コイルが、センサコイルを部分的にまたは完全に取り囲んでいる、または逆に、センサコイルが、励起コイルを部分的にまたは完全に取り囲んでいる。
【0022】
特に、使用例に応じて、導体路および層間接続部、または層間接続部の相応の区分から成る、励起コイルの励起巻線もしくはセンサコイルのセンサ巻線が、特に多層回路基板の層に関してかつ/または層間接続部に関して、軟磁性のコアに対して対称にまたは非対称に配置されていてよい。
【0023】
位置センサシステムの別の実施形態では、軟磁性のコアが、特に位置センサシステム全体のように、条片状に形成されており、特に1つの軸線において多層回路基板に対して平行に移動する磁石の位置を検出することができる。
【0024】
本発明の別の課題は、コンパクトにかつ高い信頼性をもって、しかも、簡単かつ廉価に製造することができるセンサモジュールを提供することである。
【0025】
この課題は、本発明によれば、請求項15に記載された特徴を有するセンサモジュールによって解決されている。
【0026】
センサモジュールは、少なくとも1つの本発明に係る位置センサシステムと、評価電子装置の少なくとも一部とを含み、この場合、評価電子装置は、少なくとも部分的に多層回路基板内に配置されていてよく、この構成は、センサモジュールの特にコンパクトで確実な実施形態である。
【0027】
代替的には、評価電子装置またはその一部が、要求に応じて、多層回路基板の何処かの外面に配置されていてもよい。
【0028】
別の実施形態では、評価電子装置は、少なくとも部分的に多層回路基板の外側に配置されていてよい。
【0029】
以下の記載では、本発明の特徴および詳細を添付の図面を参照しながら実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】位置センサシステムを概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1に示された位置センサシステムの概略的な三次元図である。
【
図3】
図1に示された位置センサシステムを備えたセンサモジュールを概略的に示す図である。
【
図4】追加的な層を備えた実施形態を
図1のように概略的に示す図である。
【
図5】
図4に示された実施形態の変化形態を概略的に示す縦断面図である。
【
図6】
図4に示された実施形態の変化形態を概略的に示す縦断面図である。
【
図7】
図4に示された実施形態の変化形態を概略的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、磁気式の位置センサシステム1が断面図で概略的に示されており、ここで横断面は方形である。磁気式の位置センサシステム1は多層回路基板2を含んでおり、この多層回路基板2は、多層回路基板2の上側および下側に設けられたそれぞれ1つの外側の銅層3と、多層回路基板2の上側または下側に設けられた相応の外側の銅層3上のそれぞれ第1の外側の導体路3aおよび第2の外側の導体路3bとを備えている。さらに、多層回路基板2は、この例では、絶縁層としての2つのプレプレグ層5と、回路基板コア6を取り囲んでいる2つの内側の銅層4とを含む。銅層4は、特にそれぞれ第1の内側の導体路4aと第2の内側の導体路4bとを含む。
【0032】
銅層3,4、外側の導体路3a,3b、および内側の導体路4a,4bは、特に第1の層間接続部7および第2の層間接続部8によってまたは両層間接続部7,8の相応の区分によって互いに電気接続される。
【0033】
さらに、磁気式の位置センサシステム1は、全体的に多層回路基板2の回路基板コア6内に配置されている軟磁性のコア11を備えたセンサを含む。コア11は、少なくとも1つの励起巻線を備えた励起コイルと、少なくとも1つのセンサ巻線を備えたセンサコイルとによって、ほぼ同心に取り囲まれている。
【0034】
励起巻線は、
図1では、多層回路基板2の上側の外側の銅層3上の第1の外側の導体路3aと、下側の外側の銅層3上の第1の外側の導体路3aとを有している。これらの導体路3aは、それぞれ2つの第1の層間接続部7と共に励起巻線3a,7,3a,7を形成するために、互いに電気接続されている。これらの励起巻線3a,7,3a,7は、
図1ではコア11の最も近くに位置している。
【0035】
センサ巻線は、多層回路基板2の上側の外側の銅層3上の第2の外側の導体路3bと、下側の外側の銅層3上の第2の外側の導体路3bとを有している。これらの第2の外側の導体路3bは、それぞれ2つの第2の層間接続部8と共にセンサ巻線3b,8,3b,8を形成するために、互いに電気接続されている。これらのセンサ巻線3b,8,3b,8は、
図1ではコア11を備えた励起巻線を取り囲んでいる。
【0036】
代替的には、励起巻線がセンサ巻線を取り囲んでいてもよい。
【0037】
図2には、
図1に示された位置センサシステム1が概略的な三次元図で示されている。多層回路基板2およびそこに埋め込まれたコア11は、条片状に形成されている。それぞれ3つの励起巻線3a,7,3a,7と3つのセンサ巻線3b,8,3b,8とを備えた位置センサシステム1が示されており、単に外側の導体路3a,3bだけが、多層回路基板2の上側の外側の銅層3に示されている。
【0038】
図3には、センサモジュールが概略的に示されている。センサモジュールは、
図1に示された位置センサシステム1と、特に、位置センサシステム1からの信号を処理するための、多層回路基板2の回路基板コア6に配置された相応の評価電子装置12、またはそのうちの一部とを含む。評価電子装置12はまた、多層回路基板2上にまたはその外側に配置されていてもよい。
【0039】
同様に、センサモジュールは、1つよりも多くのセンサおよび/または1つよりも多くの評価電子装置12を含んでいてよい。
【0040】
図4には、
図1のような位置センサシステム1が概略的に示されているが、この位置センサシステム1は、単に、それぞれ1つの別の内側の銅層4’と1つの別の絶縁層5とを含む2つの付加的な層を備えている。内側の銅層4’は、特にそれぞれ第1の内側の導体路4’aと第2の内側の導体路4’bとを含む。
【0041】
外側の銅層3a,3bと内側の導体路4a,4b,4’a,4’bとは、特にそれぞれ第1の層間接続部7および第2の層間接続部8によって、またはそれらの相応の区分によって、相応の巻線を形成しながら、互いに電気接続されている。
【0042】
導体路3a,3b,4a,4b,4’a,4’bおよび層間接続部7,8または層間接続部7,8の相応の区分から成る、励起コイルの励起巻線またはセンサコイルのセンサ巻線は、特に、多層回路基板2の層に関してかつ/または層間接続部7,8に関して、軟磁性のコア11に対して対称にまたは非対称に配置されていてよい。
【0043】
巻線の対称の配置形態の例は、
4’a,7,4’a,7;
4’b,8,4’b,8;
4a,7,4a,7;
4b,8,4b,8;
3a,7,3a,7;
3b,8,3b,8;
である。
【0044】
層に関した巻線の非対称の配置形態の例は、
4’a,7,4a,7;
3a,7,4’a,7;
である。
【0045】
層間接続部7,8に関した巻線の非対称の配置形態の例は、
4’a,7,4b,8;
3b,8,4’a,7;
である。
【0046】
上に記載された組合せでは、最初に述べた導体路は、コア11に関してコア11の上に配置されており、次に述べた導体路は、コア11に関してコア11の下に配置されており、最初に述べた層間接続部は、コア11に関してコア11の左に配置されており、次に述べた層間接続部は、コア11に関してコア11の右に配置されている。
【0047】
既に述べたように、内側の導体路から成る巻線では、相応の層間接続部7,8は単に部分的にしか関与しない。
【0048】
同様に、既に述べたように、励起コイルおよびセンサコイルは使用例に応じて交換されていてもよい。
【0049】
以下、
図5~
図7には、
図4に示された位置センサシステムが縦断面図で概略的に示されている。
図5~
図7では、励起コイル9およびセンサコイル10は、
図1~
図4の図示とは異なり、空間的により良好に見えるようにするために、丸い巻線を備えたコイルとして示されている。
【0050】
多層回路基板2は長さL1を有しており、励起コイル9は長さL2を有しており、センサコイル10は長さL3を有しており、軟磁性のコア11は長さL4を有している。長さL1,L2,L3,L4は、それぞれ外側区分aと内側区分bとに分割されている。
【0051】
長さL2,L3,L4は、多層回路基板2の最大値L1内で様々な値をとることができる。
【0052】
励起コイル9および/またはセンサコイル10の巻線は、相応の長さL2,L3にわたって均等に、特に等距離に分配されていてよい。
【0053】
しかしながら、励起コイル9および/またはセンサコイル10の巻線は、相応の長さL2,L3にわたって均等に分配されていなくてもよい。
【0054】
このとき、励起コイル9および/またはセンサコイル10の巻線は、主として、外側区分aまたは内側区分bに配置されていてよい。
【0055】
図5では、
図2との関連において、励起コイル9の巻線が第2の外側の導体路3bと第2の層間接続部8とによって形成され、巻線は、励起コイル9の長さL2の両外側区分aにおいてコア11に対称に配置されている。
【0056】
センサコイル10の巻線は、第2の内側の導体路4’aと第1の層間接続部7の相応の区分とによって形成され、巻線は、センサコイル10の全長L3にわたって均等に分配されてコア11に対して対称に配置されている。
【0057】
ここでは、励起コイル9がセンサコイル10を取り囲んでいる。励起コイル9とセンサコイル10とは入れ換えられていてもよい。
【0058】
図6では、
図2との関連において、センサコイル10の巻線が第2の内側の導体路4’aと第1の層間接続部7の相応の区分とによって形成され、巻線は、センサコイル10の全長L3にわたって均等に分配されてコア11に対して対称に配置されている。
【0059】
図5とは異なり、ここでは励起コイル9の巻線が、内側の銅層4上の第2の外側の導体路4bと、第2の層間接続部8の相応の区分とによって形成され、巻線は、励起コイル9の長さL2の内側区分bにおいてコア11に対して対称に、特に均等に分配されて配置されている。
【0060】
ここでも、励起コイル9はセンサコイル10を取り囲んでいる。励起コイル9とセンサコイル10とは入れ換えられていてもよい。
【0061】
図7では、
図2との関連において、励起コイル9の巻線が、第2の外側の導体路3bと第2の層間接続部8とによって形成され、巻線は、励起コイル9の全長L2にわたって均等に分配されてコア11に対して対称に配置されている。
【0062】
センサコイル10の巻線が、第1の内側の導体路4aと第1の内側の導体路4’aと第1の層間接続部7の相応の区分とによって形成され、巻線は、センサコイル10の全長L3にわたって均等に分配されている。この実施形態は、多層回路基板2の層に関した巻線の非対称の配置形態のための例である。
【0063】
ここでも、励起コイル9はセンサコイル10を取り囲んでいる。励起コイル9とセンサコイル10とは使用例に応じて入れ換えられていてもよい。
【0064】
また、巻線ごと多層回路基板2の層の交番が行われることも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 センサシステム
2 多層回路基板
3 外側の銅層
3a 第1の外側の導体路
3b 第2の外側の導体路
4 内側の銅層
4a 4上の第1の内側の導体路
4b 4上の第2の内側の導体路
4’ 内側の銅層
4’a 4’上の第1の内側の導体路
4’b 4’上の第2の内側の導体路
5 絶縁層、プレプレグ層
6 回路基板コア
7 第1の層間接続部
8 第2の層間接続部
9 励起コイル
10 センサコイル
11 軟磁性のコア
12 評価電子装置
L1 多層回路基板の長さ
L2 励起コイルの長さ
L3 センサコイルの長さ
L4 コアの長さ
a 外側区分
b 内側区分