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特許7204923電動車輪駆動ユニット用の複数の圧力ピストンを有するブレーキシステムおよび車輪駆動ユニット
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  • 特許-電動車輪駆動ユニット用の複数の圧力ピストンを有するブレーキシステムおよび車輪駆動ユニット 図1
  • 特許-電動車輪駆動ユニット用の複数の圧力ピストンを有するブレーキシステムおよび車輪駆動ユニット 図2
  • 特許-電動車輪駆動ユニット用の複数の圧力ピストンを有するブレーキシステムおよび車輪駆動ユニット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】電動車輪駆動ユニット用の複数の圧力ピストンを有するブレーキシステムおよび車輪駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/18 20060101AFI20230106BHJP
   F16D 55/10 20060101ALI20230106BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20230106BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20230106BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20230106BHJP
   F16D 121/04 20120101ALN20230106BHJP
   F16D 125/04 20120101ALN20230106BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20230106BHJP
【FI】
F16D65/18
F16D55/10
F16D65/00 A
F16D65/02 B
F16D65/02 C
B60K7/00
F16D121:04
F16D125:04
F16D125:06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021533713
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 DE2019101051
(87)【国際公開番号】W WO2020119859
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】102018131876.6
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドリス マリア ヴィンマー
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン オルトマン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ワグネ
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-092837(JP,A)
【文献】特表2015-509876(JP,A)
【文献】特開2012-144228(JP,A)
【文献】特表2018-522188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/18
F16D 55/10
F16D 65/00
F16D 65/02
B60K 7/00
F16D 121/04
F16D 125/04
F16D 125/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車輪駆動ユニット(2)用のブレーキシステム(1)であって、車両フレームに固定して取り付けることができるハウジング(3)であって、フランジ領域(4)および前記フランジ領域(4)に固定されたシャフト状の車輪キャリア領域(5)を有する、ハウジング(3)と、前記ハウジング(3)に接続された第1のブレーキコンポーネント(6a)であって、前記車輪キャリア領域(5)の半径方向外側(7)に直接取り付けられた第1の支持部分(8)および、前記第1の支持部分(8)に回転不可能に固定された第1のブレーキディスク要素(9)を有する、第1のブレーキコンポーネント(6a)と、前記ハウジング(3)に対して回転可能に搭載された第2のブレーキコンポーネント(6b)であって、第2の支持部分(10)、ならびに前記第1のブレーキディスク要素(9)との摩擦接続のために設計および配置された前記第2の支持部分(10)に回転不可能に固定される第2のブレーキディスク要素(11)を有する、第2のブレーキコンポーネント(6b)と、少なくとも1つ以上の圧力ピストン(12)を備えた油圧作動デバイス(13)とを有し
前記圧力ピストン(12)が、前記第1及び第2のブレーキディスク要素(9、11)の半径方向側であって前記第2のブレーキコンポーネント(6b)の回転軸(14)の半径方向外側に配置され、
前記1つ以上の圧力ピストン(12)と前記第1及び第2のブレーキディスク要素(9、11)とは軸方向において重複する位置に配置され、
前記圧力ピストン(12)側の半径方向内端から半径方向外向きに延在し、前記1つ以上の圧力ピストン(12)と前記第1及び第2のブレーキディスク要素(9、11)との重複領域を通るように軸方向に延在し、半径方向外向きの半径方向外端が前記第1及び第2のブレーキディスク要素(9、11)と軸方向で並列して配置され、前記1つ以上の圧力ピストン(12)からの軸方向の力を前記第1及び第2のブレーキディスク要素(9、11)のうちの1つに伝達可能なスライド要素(15)が、前記回転軸(14)の前記半径方向および軸方向の両方で前記第1の支持部分(8)と接触しないように配置される、ブレーキシステム(1)。
【請求項2】
互いに対して移動可能である複数の第1のブレーキディスク要素(9)および/または第2のブレーキディスク要素(11)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項3】
逆圧プレート(16)が、前記スライド要素(15)から離れるように向いて前記ブレーキディスク要素(9、11)のアセンブリの軸方向側面上に配置され、かつ前記逆圧プレート(16)が、前記車輪キャリア領域(5)の外側(7)に直接固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項4】
前記逆圧プレート(16)が、前記車輪キャリア領域(5)にねじ込まれたナット(17)によって前記軸方向に固定されることを特徴とする、請求項3に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項5】
前記逆圧プレート(16)が、前記第1の支持部分(8)軸方向に向く側面に支持されることを特徴とする、請求項3または4に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項6】
前記1つ以上の圧力ピストン(12)を受け入れるシリンダハウジング(18)が、前記フランジ領域(4)に直接固定されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項7】
前記スライド要素(15)を前記ブレーキディスク要素(9、11)から離れるように押すバイアスばね(19)が、前記スライド要素(15)と前記第1の支持部分(8)との間に軸方向に挿入されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項8】
前記第1のブレーキディスク要素(9)または前記第2のブレーキディスク要素(11)が、摩擦ライニング(20)を備えていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項9】
熱保護シールド(21)が、前記ブレーキディスク要素(9、11)の半径方向外側のハウジングに固定して取り付けられることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項10】
車輪リム(22)と、前記車輪リム(22)内に収容された電気モータ(23)と、および請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)と、を有し、前記第2のブレーキコンポーネント(6b)が、直接的または間接的に前記車輪リム(22)に回転可能に結合される、電気自動車用の電動車輪駆動ユニット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車輪駆動ユニット用のブレーキシステム、特に好ましくは二輪、三輪、または四輪自動車用の車輪一体型車輪駆動ユニット(車輪ハブ駆動)用のブレーキシステムに関する。本発明はまた、このブレーキシステムを有する電動車輪駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電動駆動に関しては、電動車輪ハブ駆動は、駆動コンポーネントと対応するブレーキシステムとの可能な限りのコンパクトな統合を必要とする。さらに、製造および組み立てのコストを単純に保つために、可能な限り単純な構造が所望される。実装されたバージョンでは、質量が比較的大きいため、コンポーネントは対応する堅牢な方法で実装する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、可能な限り少ない組み立てステップで可能な限り少ない個々のコンポーネントで組み立てることができる電動車輪駆動ユニット用のブレーキシステムであって、同時に、コンパクトで堅牢な構造であることを保証する、ブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、請求項1の対象によって本発明に従って達成される。したがって、電動車輪駆動ユニット(車輪ハブ駆動ユニットとも称する)用のブレーキシステムであって、車両フレームに固定して取り付けることができるハウジングであって、フランジ領域およびフランジ領域に固定されたシャフト状の車輪キャリア領域を有する、ハウジングと、ハウジングに接続された第1のブレーキコンポーネントであって、車輪キャリア領域の半径方向外側に直接取り付けられた第1の支持部分と、第1の支持部分に回転固定された第1のブレーキディスク要素と、を有する、第1のブレーキコンポーネントと、ハウジングに対して回転可能に搭載された第2のブレーキコンポーネントであって、第2の支持部分と、第1のブレーキディスク要素との摩擦接続のために設計および配置された第2の支持部分に回転固定される第2のブレーキディスク要素と、を有する、第2のブレーキコンポーネントと、1つ以上の圧力ピストンを備えた油圧作動デバイスであって、圧力ピストン(複数可)が、ブレーキディスク要素内の第2のブレーキコンポーネントの回転軸の半径方向に配置され、かつ圧力ピストン(複数可)をブレーキディスク要素のうちの1つと移動可能に結合させるスライド要素が、回転軸の半径方向および軸方向の両方で第1の支持部分からある距離を置いて配置される/沿うように、配置される、油圧作動デバイスと、を有する、ブレーキシステム。したがって、スライド要素は、第1の支持部分と重ならずに円周方向に配置される。
【0005】
ブレーキシステムのこの設計により、一方では作動デバイスとのブレーキディスク要素の可能な限りコンパクトな入れ子が得られ、他方では構造が可能な限り単純に保たれ、個々のコンポーネントを特に堅牢にすることができる。とりわけ、スライド要素は、ブレーキコンポーネントのうちの1つの通過通路のための開口を備える必要がなく、それにより、スライド要素および第1の支持部分の強度が大幅に増加する。その結果、対応するブレーキシステムの設計が特に長持ちする。
【0006】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項とともに特許請求され、以下により詳細に説明される。
【0007】
互いに(軸方向に)移動可能な複数の第1のブレーキディスク要素および/または第2のブレーキディスク要素が提供される場合、高いブレーキトルクを生成することができる。
【0008】
2つの第1のブレーキディスク要素と、2つの第1のブレーキディスク要素の間に軸方向に配置された1つの第2のブレーキディスク要素とがあって、その結果、コンポーネントの数と達成可能なブレーキトルクとの間の良好な妥協がある場合に特に有用であることが見出された。
【0009】
逆圧プレートが、スライド要素とは反対側を向くブレーキディスク要素のアセンブリの軸側に配置され、逆圧プレートが、車輪キャリア領域の外側に直接固定される(特に軸方向に支持される)場合にも有利である。これにより、構造がさらに簡素化される。
【0010】
車輪キャリア領域にナットをねじ込んで逆圧プレートを軸方向に固定すると、逆圧プレートが安定して支持されるため、動作時に高いブレーキトルクを生成することができる。
【0011】
この文脈において、逆圧プレートも第1の支持部分で軸方向に支持されている場合にも有利である。したがって、逆圧プレートは、好ましくは、第1の支持部分とナットとの間に軸方向に直接クランプされる。これにより、構造がさらにより単純になる。
【0012】
圧力ピストン(複数可)を収容するシリンダハウジングがフランジ領域に直接固定されている場合、組み立てはさらにより単純になる。
【0013】
スライド要素をブレーキディスク要素から押しのけるバイアスばねが、スライド要素と第1の支持部分との間に軸方向に挿入/クランプされるとき、利用可能な設置スペースがさらにより集中的に使用される。
【0014】
ブレーキディスク要素のさらなる設計に関して、少なくとも1つの第1のブレーキディスク要素が摩擦ライニングを備えている場合にも有利である。しかしながら、これに代わるものとして、第2のブレーキディスク要素に(第1のブレーキディスク要素毎に)摩擦ライニングを装備することも可能である。
【0015】
第2のブレーキディスク要素は、特に好ましくは、純粋に一片の鋼プレートとして実装され、少なくとも1つの第1のブレーキディスク要素、好ましくは2つの第1のブレーキディスク要素の各々は、鋼体と、第2のブレーキディスク要素に適用される摩擦ライニングと、を備える。
【0016】
電気モータで可能な限り最もコンパクトな入れ子を可能にするために、熱保護シールドがブレーキディスク要素の半径方向外側のハウジングに取り付けられている場合にも有利である。
【0017】
本発明はまた、電気自動車用の電動車輪駆動ユニット(車輪ハブ駆動ユニット)に関連し、この車輪駆動ユニットは、車輪リム、車輪リムに収容された電気モータ、および上述の実施形態の少なくとも1つによる本発明によるブレーキシステムを備え、第2のブレーキコンポーネントは直接または間接的に車輪リムと回転可能に結合される。
【0018】
この文脈において、第2のブレーキコンポーネントが、歯車、特に好ましくは遊星歯車を介して間接的に車輪リムに回転可能に結合される場合、それは特に好都合である。
【0019】
さらに、電気モータが、ブレーキシステムから軸方向および/または半径方向に(好ましくはその固定子で)オフセットされるように配置される場合、都合がよい。これにより、特にコンパクトで効率的な車輪駆動ユニットが実現する。
【0020】
言い換えれば、電動車輪アプリケーション用の好ましくは全表面マルチピストンブレーキ(ブレーキシステム)は、通過通路のない設計で実装される。これで、内部プレートキャリア(第1支持部)および圧力プレート(逆圧プレート)が車輪キャリア(車輪キャリア領域)に固定される。作動ハウジング(シリンダハウジング)および作動要素(圧力ピストン)は、車輪キャリアフランジ(フランジ領域)に配置される。動力の流れは、ナットを通って車輪キャリアを経由してフランジ(フランジ領域)に流れる。
【0021】
ここで、本発明を、図を参照して以下により詳細に説明し、その文脈において、様々な例示的な実施形態も原理的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】好ましい例示的な実施形態による本発明によるブレーキシステムの縦断面図を示す。
図2図1によるブレーキシステムの斜視分解図を示す。
図3】ブレーキシステムを有する車輪駆動ユニットの斜視部分断面図を示し、ブレーキシステムは概略的にのみ示され、車輪駆動ユニットの基本構造が明らかにされている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図は本質的に単なる概略図であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同じ要素には同じ参照記号が付与されている。
【0024】
図1では、本発明によるブレーキシステム1の詳細な構造を見ることができる。図3では、このブレーキシステム1の好ましい適用領域も示されている。図3に概略的にのみ示されているブレーキシステム1は、好ましい実施形態による電動車輪駆動ユニット2に統合されている。車輪駆動ユニット2は、車輪ハブ駆動ユニット2を表し、ブレーキシステム1および電気モータ23の両方が、電気自動車用の車輪リム22内に統合された駆動を提供する。動作中、車輪リム22は、典型的な方法で、車両フレームに固定して取り付けることができるハウジング3上の車輪ハブを介して支持される。車輪リム22は、さらなる軸受35を介してハウジング3に対して搭載される。
【0025】
以下の軸方向、半径方向、および円周方向の方向指定は、車輪リム22の/ブレーキシステム1の第2のブレーキコンポーネント6bの、回転中心軸14に関連している。したがって、軸方向は回転軸14に沿った方向であり、半径方向は回転軸14に垂直な方向であり、円周方向は回転軸14の周りを同心円状に沿う円線である。
【0026】
図1に戻ると、ブレーキシステム1のハウジング3/ブレーキシステム1の領域における車輪駆動ユニット2の設計を詳細に見ることができる。以下の説明では、ハウジング3はブレーキシステム1に割り当てられているが、原則として、それは車輪駆動ユニット2のハウジング3でもあり、したがって、別の領域で電気モータ23(電気モータ23用の液体冷却デバイス34を含む)を収容する。ハウジング3は、ブレーキシステム1のコンポーネントのために、図1で見ることができるように、受容空間24を形成する。受容空間24は、カバー形状のフランジ要素の形態のフランジ領域4によって第1の軸方向側で区切られる。その半径方向内側で、受容空間24は、シャフト状/ピン状の車輪キャリア領域5によって区切られる。車輪キャリア領域5は、フランジ領域4に固定して接続される。したがって、車輪キャリア領域5は、すでに述べたように、動作中に車両フレームに固定して取り付けることができるハウジングを直接形成する。車輪キャリア領域5は、フランジ領域4とは別に形成される。半径方向外側およびフランジ領域4とは反対側に向く第2の軸方向側において、受容空間24は、軸方向および半径方向に延在する主ハウジング部分25によって区切られる。
【0027】
受容空間24において、第1のブレーキコンポーネント6aは、ハウジングに固定され、すなわち、動作中に、ハウジング3に、したがって車両フレームに固定して取り付けることができる。第2のブレーキコンポーネント6bは、動作中に車輪リム22に回転可能に結合され、第1のブレーキコンポーネント6aに摩擦接続されて、車輪駆動ユニット2のブレーキ状態で車輪リム22にブレーキをかける第1のブレーキコンポーネント6aと相互作用する。
【0028】
2つのブレーキコンポーネント6a、6bは各々、支持部分8、10と、それぞれの支持部分8、10に接続された少なくとも1つのブレーキディスク要素9、11と、を有する。したがって、第1のブレーキコンポーネント6aは、内部キャリア/内部プレートキャリアとも称する、第1の支持部分8を有する。この第1の支持部分8は、その半径方向内側を車輪キャリア領域5の半径方向外側7に直接取り付けられる。この目的のために、プラグイン歯として設計された歯26が好ましくは使用され、これは2つのコンポーネント(車輪キャリア領域5および第1の支持部分8)を回転方向に形状適合様式で互いに接続する。第1の支持部分8は、歯26とは反対側を半径方向に向く側で、スリーブ領域27を形成し、その上に2つの第1のブレーキディスク要素9が、互いに対して移動可能であるが回転固定様式で収容される。2つの第1のブレーキディスク要素9は、本質的にプレート状になるように設計される。2つの第1のブレーキディスク要素9は、ディスク形状の鋼支持体/鋼本体28と、第2のブレーキコンポーネント6bの第2のブレーキディスク要素11に向かって配置された摩擦ライニング20と、を有する。第2のブレーキディスク要素11は、回転軸14に沿った軸方向に見られる2つの第1のブレーキディスク要素9の間に配置される。第2のブレーキディスク要素11は、外側キャリア/外側プレートキャリアとして設計された第2のブレーキコンポーネント6bの第2の支持部分10上で、回転固定様式で受け入れられるが、軸方向に移動可能である。
【0029】
第2のブレーキコンポーネント6bは、典型的には、ハウジング3に対して回転可能であるように搭載される。図3で概略的に見ることができるように、第2のブレーキコンポーネント6bは、遊星歯車29を介して車輪リム22に間接的に結合される。遊星歯車29は、ハウジング3に受け入れられる。図1では、遊星歯車29の太陽歯車30を見ることができ、この太陽歯車30は、第2の支持部分10に固定して接続される。
【0030】
油圧作動デバイス13は、典型的には、ブレーキシステム1を作動させるために、すなわち、第1および第2のブレーキコンポーネント6a、6bを互いに摩擦接続するために提供される。この油圧作動デバイス13は、フランジ領域4に固定されたシリンダハウジング18を有する。シリンダハウジング18は、車輪キャリア領域5の外側に半径方向に配置される。シリンダハウジング18はまた、ブレーキディスク要素9、11の内側に半径方向に配置される。円周方向に分散様式で配置された作動デバイス13の複数の圧力ピストン12は、図2でも見ることができるように、軸方向に移動可能であるようにシリンダハウジング18内に移動可能に受け入れられる。圧力ピストン12は、スライド要素15に移動不可能に結合され、このスライド要素を介して第1および第2のブレーキコンポーネント6a、6bの相対位置に調整効果を有する。したがって、スライド要素15は、動作中に(ブレーキ)作動力を伝達するのに役立つ。
【0031】
本発明によれば、スライド要素15は、そのコースに沿って、第1の支持部分8まで通過通路のない様式で配置され、その結果、図1に示すように、軸方向および半径方向に、第1の支持部分8からある距離を置いて縦断面において、その延長部を介して配置される。
【0032】
スライド要素15は、圧力ピストン側の端部から半径方向外向きに延在し、半径方向外端がブレーキディスク要素9、11と同じ高さで半径方向に配置される。したがって、スライド要素15は、動作中に、油圧によって生成されたブレーキ力を、第1および第2のブレーキディスク要素9、11、ここでは第1のブレーキディスク要素9のうちの1つのアセンブリから端部に配置されたブレーキディスク要素上の圧力ピストン12に伝達するように形作られる。作動デバイス13が作動すると、シリンダハウジング18と圧力ピストン12(シール36でシールされている)との間に形成された圧力チャンバ31に油圧が加えられ、圧力ピストン12が軸方向に延在する。その結果、スライド要素15がブレーキディスク要素9、11に押し付けられ、これらは互いに摩擦接触する。
【0033】
作動デバイス13によって生成されるブレーキ力/作動力を支持するために、逆圧プレート16が、第1および第2のブレーキディスク要素9、11のアセンブリに対してスライド要素15とは反対側を軸方向に向く側に設けられる。逆圧プレート16は、圧力ピストン12とは反対側を軸方向に向く第1の支持部8の側面に配置される。ここで、逆圧プレート16の半径方向内側も、車輪キャリア領域5の外側7に固定されていることが分かる。この実施形態では、車輪キャリア領域5の(雄)ねじ32にねじ込まれたナット17は、逆圧プレート16を軸方向に固定するのに役立つ。したがって、逆圧プレート16は、第1の電動マシン8とナット17との間で軸方向に固定される。さらに、第1の支持部分8は、逆圧プレート16と車輪キャリア領域5の半径方向ショルダ33との間に固定されている。
【0034】
熱保護シールド21が2つのブレーキコンポーネント6a、6bの半径方向外側に取り付けられていることも図1からはっきりと見ることができる。熱保護シールド21は、第1のブレーキコンポーネント6aの全長にわたって、および第2のブレーキコンポーネント6bの大部分にわたって、軸方向に受容空間24内に延在する。熱保護シールド21は、ブレーキディスク要素9、11を外側から半径方向に覆う。
【0035】
ブレーキシステム1の開位置に対応する初期位置で作動デバイス13を支持するために、バイアスばね19が設けられる。この実施形態では、バイアスばね19は、スライド要素15と第1の支持部分8との間に軸方向に直接配置され、ブレーキディスク要素9、11の半径方向内側に配置される。
【0036】
完全を期すために、ブレーキディスク要素9、11も逆の様式で実装できることに留意されたい。したがって、原則として、第1のブレーキディスク要素9ではなく、第2のブレーキディスク要素11に、それぞれの第1のブレーキディスク要素9に面する摩擦ライニング20を設けることも可能である。
【0037】
言い換えれば、本発明による配置は、内部プレートキャリア8(歯付き26(または同様のもの)の助けを借りて)および圧力プレート16が車輪キャリア5に直接取り付けられる一方で、作動ハウジング(シリンダハウジング18)および作動要素(スライド要素15、圧力ピストン12、およびシール36)は、車輪キャリアフランジ4に固定されることを特徴とする。図1に見られるように、内部プレートキャリア8および圧力プレート16は、ナット17で車輪キャリア5に固定される。作動力は、プレートパック(第1のブレーキディスク要素9(鋼体28および摩擦ライニング20を有する)および第2のブレーキディスク要素11)を介してこのナット17によって支持される。ブレーキトルクは、遊星セットから来るシャフト(太陽歯車30)を介して、そこから外部プレートキャリア10、次にプレートパック9、11、および車輪キャリア5で支持されている内部プレートキャリア8に導入される。作動力は、作動要素12、15、36を介して油圧で生成され、圧力ポット(スライド要素15)の助けを借りてプレートパック9、11に伝達され、圧力プレート16上で支持される。そこから、動力の流れは、車輪キャリア5を介してナット17に流れ、車輪キャリアフランジ4に向かう。復元要素(バイアスばね19)は、プレート9、11を非作動状態で開いたままにする。図2では、コンポーネントは対応するアセンブリシーケンスにおいて見ることができる。コンポーネント8および15が、(通過通路なしで)大幅により堅牢になるように設計されていることが分かる。一般に、シングルディスクとマルチディスクとの両方の概念が考えられ、回転または固定のライニングおよび/または鋼マスも考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1 ブレーキシステム
2 車輪駆動ユニット
3 ハウジング
4 フランジコンポーネント
5 車輪キャリア領域
6a 第1のブレーキコンポーネント
6b 第2のブレーキコンポーネント
7 外側
8 第1の支持部分
9 第1のブレーキディスク要素
10 第2の支持部分
11 第2のブレーキディスク要素
12 圧力ピストン
13 作動デバイス
14 回転軸
15 スライド要素
16 逆圧プレート
17 ナット
18 シリンダハウジング
19 バイアスばね
20 摩擦ライニング
21 熱保護シールド
22 車輪リム
23 電気モータ
24 受容空間
25 主ハウジング部分
26 歯
27 スリーブ領域
28 鋼体
29 遊星歯車
30 太陽歯車
31 圧力チャンバ
32 スレッド
33 ショルダ
34 冷却デバイス
35 軸受
36 シール
図1
図2
図3