(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】連続加熱炉および着脱装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/26 20060101AFI20230106BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20230106BHJP
F27D 3/12 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
F27B9/26
F27B9/02
F27D3/12 Z
(21)【出願番号】P 2022023511
(22)【出願日】2022-02-18
【審査請求日】2022-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】小野田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】佐野 達雄
【審査官】岡田 眞理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-048981(JP,A)
【文献】国際公開第2007/111045(WO,A1)
【文献】特開2004-119070(JP,A)
【文献】特開2000-171164(JP,A)
【文献】特許第7053923(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00-9/40
F27D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱容器および前記加熱容器に対して着脱される蓋が搬送される連続した搬送空間を形成する少なくとも1つの炉体を有する連続加熱炉であって、
前記搬送空間は、第1加熱室と、第2加熱室とを有しており、
前記第1加熱室と前記第2加熱室の間には、
搬送方向に沿って並べられた搬送ローラと、
前記搬送ローラの上を搬送された前記蓋および前記加熱容器のうち少なくともいずれか一方を昇降させるリフタと、
前記リフタで持ち上げられた前記蓋を保持する保持機構と
が設けられており、
前記リフタと前記保持機構を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋が載せられた前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記リフタを降下させ、前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
が実行されるように構成された、連続加熱炉。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1加熱室において前記蓋が載せられた前記加熱容器が搬送された場合に、
前記第2加熱室において前記搬送方向に沿って、前記蓋と、前記蓋が取り外された前記加熱容器とが交互に搬送されるように、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋が載せられた前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記リフタを降下させ、前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
、
前記保持機構に保持されている前記蓋が前記リフタに支持される位置まで前記リフタを上昇させる処理と、
前記保持機構による前記蓋の保持を解除した状態で前記リフタを降下させ、前記蓋を前記搬送ローラまで降下させる処理と
が繰り返し実行されるように構成された、請求項1に記載された連続加熱炉。
【請求項3】
加熱容器および前記加熱容器に対して着脱される蓋が搬送される連続した搬送空間を形成する少なくとも1つの炉体を有する連続加熱炉であって、
前記搬送空間は、第1加熱室と、第2加熱室とを有しており、
前記第1加熱室と前記第2加熱室の間には、
搬送方向に沿って並べられた搬送ローラと、
前記搬送ローラの上を搬送された前記蓋および前記加熱容器のうち少なくともいずれか一方を昇降させるリフタと、
前記リフタで持ち上げられた前記蓋を保持する保持機構と
が設けられており、
前記リフタと前記保持機構を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記保持機構に前記蓋が保持されている位置まで、前記蓋が載せられていない前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させて前記加熱容器に前記蓋を載せる処理と
が実行されるように構成された、連続加熱炉。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1加熱室において前記蓋と前記加熱容器が交互に搬送された場合に、
前記第2加熱室において前記蓋が載せられた前記加熱容器が搬送されるように、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記保持機構に前記蓋が保持されている位置まで、前記蓋が載せられていない前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させて前記加熱容器に前記蓋を載せる処理と
、
前記保持機構による前記蓋の保持を解除した状態で前記リフタを降下させ、前記蓋が載せられた前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
が繰り返し実行されるように構成された、請求項3に記載された連続加熱炉。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋が載せられた前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記リフタを降下させ、前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
がさらに実行されるように構成された、請求項3に記載された連続加熱炉。
【請求項6】
前記第1加熱室と前記第2加熱室の間には、前記加熱容器に対して前記蓋を着脱する着脱室が設けられており、
前記搬送ローラと、前記リフタと、前記保持機構は、前記着脱室に設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項7】
前記第1加熱室と前記着脱室の間と、前記着脱室と前記第2加熱室の間とのうち、少なくともいずれかに置換室をさらに有している、請求項6に記載された連続加熱炉。
【請求項8】
前記着脱室は、ヒータを備える、請求項6または7に記載された連続加熱炉。
【請求項9】
前記第1加熱室と前記第2加熱室は、それぞれ独立した搬送機構を備えている、請求項1~8のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項10】
前記第1加熱室および前記第2加熱室は、前記搬送方向に沿って並べられた複数の前記搬送ローラを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項11】
前記保持機構は、
前記炉体に挿通された中空のシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた保持具と
を有し、
前記炉体に前記シャフトが挿通された部位には、シール部材が取り付けられており、
前記シャフトには、前記シャフトの中空部に冷媒を供給する冷媒供給装置が接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項12】
前記炉体は、前記搬送方向と直交する幅方向の両側に一対の側壁を有し、
前記シャフトは、前記一対の側壁に回転可能に架け渡されており、
前記保持具は、
前記シャフトから延びるアーム部と、
前記アーム部の下端から折れ曲がった爪部と
を備える、請求項11に記載された連続加熱炉。
【請求項13】
前記保持機構は、複数の前記保持具を備え、
前記複数の保持具は、前記シャフトに間隔を空けて配置されている、請求項11または12に記載された連続加熱炉。
【請求項14】
前記保持具は、ニッケル-クロム-鉄合金またはニッケル基合金から構成されている、請求項11~13のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項15】
加熱容器および前記加熱容器に対して着脱される蓋が搬送される搬送空間を内部に有する隔壁と、
前記搬送空間に配置されたヒータと、
予め定められた搬送方向に沿って並べられた搬送ローラと、
前記搬送ローラの上を搬送された前記蓋および前記加熱容器のうち少なくともいずれか一方を持ち上げるリフタと、
前記リフタで持ち上げられた前記蓋を保持する保持機構と、
前記リフタと前記保持機構を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋が載せられた前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記リフタを降下させ、前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
が実行されるように構成され、
前記保持機構は、
前記隔壁に挿通された中空のシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた保持具と、
前記隔壁に前記シャフトが挿通された部位に取付けられたシール部材と、
前記シャフトに接続され、前記シャフトの中空部に冷媒を供給する冷媒供給装置とを有する着脱装置。
【請求項16】
加熱容器および前記加熱容器に対して着脱される蓋が搬送される搬送空間を内部に有する隔壁と、
前記搬送空間に配置されたヒータと、
予め定められた搬送方向に沿って並べられた搬送ローラと、
前記搬送ローラの上を搬送された前記蓋および前記加熱容器のうち少なくともいずれか一方を持ち上げるリフタと、
前記リフタで持ち上げられた前記蓋を保持する保持機構と、
前記リフタと前記保持機構を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記保持機構に前記蓋が保持されている位置まで、前記蓋が載せられていない前記
加熱容器を支持する前記リフタを上昇させて前記加熱容器に前記蓋を載せる処理と
が実行されるように構成され、
前記保持機構は、
前記隔壁に挿通された中空のシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた保持具と、
前記隔壁に前記シャフトが挿通された部位に取付けられたシール部材と、
前記シャフトに接続され、前記シャフトの中空部に冷媒を供給する冷媒供給装置とを有する着脱装置。
【請求項17】
前記制御装置は、
前記蓋が前記保持機構に保持される位置まで、前記蓋が載せられた前記加熱容器を支持する前記リフタを上昇させる処理と、
前記蓋を前記保持機構に保持させる処理と、
前記リフタを降下させ、前記加熱容器を前記搬送ローラまで降下させる処理と
がさらに実行されるように構成された、請求項16に記載された着脱装置。
【請求項18】
前記隔壁は、前記搬送方向と直交する幅方向の両側に一対の側壁を有し、
前記シャフトは、前記一対の側壁に回転可能に架け渡されており、
前記保持具は、
前記シャフトから延びるアーム部と、
前記アーム部の下端から折れ曲がり、前記加熱容器を支える爪部と
を備える、請求項15~17のいずれか一項に記載された着脱装置。
【請求項19】
前記シャフトは、前記搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられている、請求項15~18のいずれか一項に記載された着脱装置。
【請求項20】
前記保持具は、ニッケル-クロム-鉄合金またはニッケル基合金から構成されている、請求項15~19のいずれか一項に記載された着脱装置。
【請求項21】
前記保持具は、前記加熱容器と当接する面に断熱材を備える、請求項15~20のいずれか一項に記載された着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続加熱炉および着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8-219652号公報、特開平8-226774号公報、特開平9-105585号公報には、第1の加熱空間と第2の加熱空間を有する炉本体と、被焼成物が投入される加熱容器(これらの公報では、匣と称されている。)と、加熱容器を第1の加熱空間から第2の加熱空間に向かって搬送する搬送部とを備えた焼成装置が開示されている。加熱容器は、蓋が載せられた状態で搬送される。
【0003】
特開平8-219652号公報に開示されている焼成装置は、第1の加熱空間と第2の加熱空間との境界近傍に蓋閉塞手段を有している。蓋閉塞手段は、蓋が加熱容器の開口を閉塞するように加熱容器と蓋とを相対移動させる押し出し部材と、押し出し部材を加熱容器および蓋に対して前進および後退させる押し出し部材駆動手段とを備えている。加熱容器は、第1の加熱空間では、蓋が開口部の少なくとも一部を開放するように載せられた状態で搬送される。加熱容器が第1の加熱空間と第2の加熱空間との境界に搬送されると、蓋閉塞手段は、加熱容器に載せられた蓋を移動させ、加熱容器の開口部を閉塞する。同公報に開示されている焼成装置によると、脱バインダ処理と本焼成処理との連続処理が可能になるとされている。
【0004】
特開平8-226774号公報に開示されている焼成装置に用いられる加熱容器は、加熱容器本体と、開口部が形成され、加熱容器本体の上面を塞ぐ蓋と、蓋上に載置され、蓋の開口部を覆う開口閉塞部材とを備えている。開口閉塞部材は、載置された位置と蓋の開口部を覆う位置との間を移動可能に設けられている。焼成装置は、第1の加熱空間と第2の加熱空間との境界近傍に、開口閉塞部材に当接する当接部材を備えている。開口閉塞部材は、当接部材に当たることによって載置された位置から蓋の開口部を覆う位置に移動し、開口部を塞ぐように構成されている。同公報に開示されている焼成装置によると、脱バインダ処理と本焼成処理とを連続的に行うことができ、装置の簡素化及び焼成処理の効率化を図ることができるとされている。
【0005】
特開平9-105585号公報に開示されている焼成装置に用いられる加熱容器は、上面の開口を開閉する搬送方向にスライド自在な蓋を有している。搬送部は、第1の加熱空間と第2の加熱空間との境界部付近に他の部位と異なる速度で加熱容器を移動させる異速度領域を有している。異速度領域では、後方の加熱容器を前方の加熱容器の蓋に押し当てることにより、加熱容器の蓋を順次閉鎖される。加熱容器は、蓋が開いた状態で炉本体の第1の加熱空間を通過し、蓋が閉じた状態で第2の加熱空間を通過するように構成されている。同公報に開示されている焼成装置によると、簡素な構造で脱バインダから本焼成まで1つの炉内で連続処理することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-219652号公報
【文献】特開平8-226774号公報
【文献】特開平9-105585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、本発明者は、被処理物を効率的に処理できる連続加熱炉を提供したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される連続加熱炉は、加熱容器が搬送される連続した搬送空間を形成する少なくとも1つの炉体を有する。搬送空間は、第1加熱室と、第2加熱室とを有している。第1加熱室と第2加熱室の間には、搬送方向に沿って並べられた搬送ローラと、搬送ローラの上を搬送された被搬送物を昇降させるリフタと、リフタで持ち上げられた被搬送物を保持する保持機構とが設けられている。
かかる連続加熱炉によれば、被処理物を効率的に加熱処理することができる。
【0009】
第1加熱室と第2加熱室の間には、加熱容器に対して蓋を着脱する着脱室が設けられていてもよい。搬送ローラと、リフタと、保持機構は、着脱室に設けられていてもよい。
連続加熱炉は、制御装置をさらに備えていてもよい。制御装置は、蓋が保持機構に保持される位置まで、蓋が載せられた加熱容器を支持するリフタを上昇させる処理と、蓋を保持機構に保持させる処理と、加熱容器を搬送ローラまで降下させる処理とが実行されるように構成されていてもよい。
制御装置は、蓋が保持機構に保持される位置まで、蓋を支持するリフタを上昇させる処理と、蓋を保持機構に保持させる処理と、保持機構に蓋が保持されている位置まで、蓋が載せられていない加熱容器を支持するリフタを上昇させて加熱容器に蓋を載せる処理とが実行されるように構成されていてもよい。
連続加熱炉は、第1加熱室と着脱室の間と、着脱室と第2加熱室の間とのうち、少なくともいずれかに置換室をさらに有していてもよい。
第1加熱室と第2加熱室は、それぞれ独立した搬送機構を備えていてもよい。
第1加熱室および第2加熱室は、搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラを備えていてもよい。
着脱室は、ヒータを備えていてもよい。
保持機構は、炉体に挿通された中空のシャフトと、シャフトに取り付けられた保持具と
を有していてもよい。炉体にシャフトが挿通された部位には、シール部材が取り付けられていてもよい。シャフトには、シャフトの中空部に冷媒を供給する冷媒供給装置が接続されていてもよい。
着脱室は、搬送方向と直交する幅方向の両側に一対の側壁を有していてもよい。シャフトは、一対の側壁に回転可能に架け渡されていてもよい。保持具は、シャフトから延びるアーム部と、アーム部の下端から折れ曲がった爪部とを備えていてもよい。
保持機構は、複数の保持具を備えていてもよい。複数の保持具は、シャフトに間隔を空けて配置されていてもよい。
保持具は、ニッケル-クロム-鉄合金またはニッケル基合金から構成されていてもよい。
【0010】
ここに開示される着脱装置は、加熱容器が搬送される搬送空間を内部に有する。着脱装置は、加熱容器に対して蓋を着脱する。着脱装置は、搬送空間に配置されたヒータと、予め定められた搬送経路に沿って並べられたローラと、搬送ローラの上を搬送された被搬送物を持ち上げるリフタと、リフタで持ち上げられた被搬送物を保持する保持機構とを備えている。保持機構は、隔壁に挿通された中空のシャフトと、シャフトに取り付けられた保持具と、隔壁にシャフトが挿通された部位に取付けられたシール部材と、シャフトに接続され、シャフトの中空部に冷媒を供給する冷媒供給装置とを有している。
隔壁は、搬送方向と直交する幅方向の両側に一対の側壁を有していてもよい。シャフトは、一対の側壁に回転可能に架け渡されていてもよい。保持具は、シャフトから延びるアーム部と、アーム部の下端から折れ曲がり、加熱容器を支える爪部とを備えていてもよい。
シャフトは、搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられていてもよい。
保持具は、ニッケル-クロム-鉄合金またはニッケル基合金から構成されていてもよい。
保持具は、加熱容器と当接する面に断熱材を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、連続加熱炉10を模式的に示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、連続加熱炉10の段数変更室10bを模式的に示す横断面図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の昇降位置L1の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【
図3B】
図3Bは、第2の昇降位置L2の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【
図3C】
図3Cは、第3の昇降位置L3の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【
図5】
図5は、連続加熱炉10Aを模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、連続加熱炉10Aの着脱室10b1を模式的に示す横断面図である。
【
図7】
図7は、蓋Bが載せられた加熱容器Aの側面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1の昇降位置L1の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【
図8B】
図8Bは、第2の昇降位置L2の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【
図8C】
図8Cは、第3の昇降位置L3の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本明細書において、「連続加熱炉」とは、被処理物を連続的に加熱処理する加熱炉のことを言う。また、本明細書において、被処理物を焼成する際に使用される容器のことを、適宜「加熱容器」と称する。
【0013】
<連続加熱炉10>
図1は、連続加熱炉10の縦断面図である。図中の矢印T1は、加熱容器Aを搬送する搬送方向を示している。
図1では、搬送方向T1に沿った連続加熱炉10の縦断面が模式的に示されている。
図2は、連続加熱炉10の段数変更室10bを模式的に示す横断面図である。この実施形態では、加熱容器Aは、搬送方向T1と直交する幅方向に3列に並べられ、搬送されている。
連続加熱炉10は、
図1に示されているように、加熱容器Aが搬送される連続した搬送空間12aを形成する少なくとも1つの炉体12を有している。この実施形態では、被処理物は、加熱容器Aに収容された状態で搬送空間12aを搬送され、連続的に加熱処理される。連続加熱炉10の搬送空間12aは、加熱室10a,10cと、段数変更室10bとを有している。この実施形態では、連続加熱炉10の搬送空間12aは、搬送方向T1に沿って順に、第1加熱室10aと、段数変更室10bと、第2加熱室10cとを有している。また、この実施形態では、第1加熱室10aと段数変更室10bの間には、置換室10dが設けられている。また、段数変更室10bと第2加熱室10cの間には、置換室10eが設けられている。以下、かかる連続加熱炉10を順に説明する。また、連続加熱炉10は、搬送方向T1に加熱容器Aを搬送するための搬送機構15をさらに備えている。
【0014】
<炉体12>
炉体12は、
図1に示されている実施形態では、複数の加熱容器Aを段積みした状態で搬送方向T1に搬送しうる搬送空間12aを内部に有している。搬送空間12aには、後述する、搬送ローラ16と、リフタ20と、保持機構30とが設けられている。この実施形態では、炉体12は、搬送空間12aを囲うトンネル型の炉体である。搬送空間12aは、段積みされた加熱容器Aを搬送できる所要の高さを有している。この実施形態では、搬送空間12aは、直線状に設定されている。
図2に示されているように、炉体12は、搬送空間12aの搬送方向T1(
図1参照)の周りを全周に亘って、断熱材によって構成された炉壁12b~12dで囲われている。この実施形態では、炉体12は、搬送方向T1と直交する幅方向の両側に一対の側壁12bと、天井12cと、床壁12dとを有している。各炉壁12b~12dは、例えば、セラミックファイバーボードで構成されている。セラミックファイバーボードは、例えば、いわゆるバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とが添加されて板状に成形された板材である。セラミックファイバーボードは、所定の形状に切り出されて重ねられることによって、所要の厚さの炉壁を形成する。炉壁12b~12dの厚さは、搬送空間12aの熱が十分に断熱される程度の所要の厚さに設定されうる。
【0015】
炉体12には、搬送空間12aの雰囲気を制御するための種々の構成が設けられていてもよい。例えば、
図1に示されているように、窒素やアルゴン等を給気できるよう、ガス供給管12fが設けられていてもよい。ガス供給管12fの噴き出し口12f1には、噴き出すガスが当たり勢いが抑えられるように適宜に遮蔽棒12f2が設けられていてもよい。雰囲気圧力の調整や排ガスをできるよう、ガス排気管12gが設けられていてもよい。この実施形態では、ガス供給管12fは、床壁12dに設けられている。ガス排気管12gは、天井12cに設けられている。また、炉体12内には、空間ごとに雰囲気を切り替えるための仕切り12hが設けられていてもよい。炉体12は、予め定められた高さに設定されたベース18(
図2参照)の上に配置されている。ベース18は、連続加熱炉10内の雰囲気を調整するためのガス供給管や搬送機構15の駆動装置などが設けられる空間を有しているとよい。
【0016】
<搬送機構15>
搬送機構15は、搬送方向T1に加熱容器Aを搬送する機構である。この実施形態では、搬送機構15は、炉体12の内部の搬送空間12aに、複数の搬送ローラ16が搬送方向T1に沿って並べられた構造を有している。搬送ローラ16は、加熱容器Aを搬送するためのローラである。複数の搬送ローラ16は、円筒形状のローラであり、加熱容器Aを支持できるように高さを揃え、予め定められたピッチで搬送空間12aに並べられている。
図2は、連続加熱炉10のうち段数変更室10bの横断断面図である。搬送ローラ16は、
図2に示されているように、搬送方向T1と直交する方向に沿って炉体12の両側の側壁12bの挿通孔12eを貫通している。搬送ローラ16としては、例えば、セラミックローラや金属ローラ等が用いられる。搬送ローラ16は、図示しない軸受を介して、炉体12の外部に設けられた支持板16a,16bに回転可能に支持されている。
【0017】
この実施形態では、搬送ローラ16の支持板16a側の端部にはスプロケット17が取り付けられている。スプロケット17には、図示しないローラチェーンが取り付けられている。ローラチェーンは、搬送ローラ16を回転させるモータ等の駆動装置と連結されている。ローラチェーンはさらに、隣り合う搬送ローラ16を連結している。搬送ローラ16の支持板16b側の端部には、スプロケットは取り付けられていない。搬送ローラ16の支持板16b側の端部は、支持板16a側の回転に合わせて回転する。このように、ローラチェーンによって連結された搬送ローラ16は、同じタイミングで同じ速度で回転する。ローラによって製品を搬送する連続式加熱炉は、ローラハースキルン(RHK)と称される。ローラハースキルンに用いられるローラは、一般的に、連続加熱炉に用いられる搬送機構の中でも高強度であり、例えば、重量の重い被処理物を焼成する際に好適に用いられうる。また、セラミックローラ間の隙間があることにより、上方および下方から効率よく加熱することができ、例えば、高い焼成温度で焼成する際に好適に用いられうる。
【0018】
<ヒータ14>
ヒータ14は、搬送空間12aにおいて加熱容器Aに収容された被処理物を加熱する装置である(
図1参照)。ヒータ14は、
図1に示されているように、炉体12の搬送空間12aに配置されている。この実施形態では、ヒータ14は、複数の搬送ローラ16の上方および下方に、搬送方向T1に沿って所定の間隔を空けて並べられている。この実施形態では、ヒータ14として、円筒形状のセラミック製のヒータが用いられている。ヒータ14は、側壁12bを貫通している。この実施形態では、ヒータ14は、搬送ローラ16の上方および下方に配置されているが、かかる形態に限定されない。ヒータ14は、加熱容器Aに収容された被処理物を一方向から加熱できるように、搬送ローラ16の上方または下方にも配置されてもよい。なお、
図2では、ヒータ14の図示は省略されている。なお、ヒータ14には、加熱温度等に応じて種々のヒータが用いられうる。ヒータ14には、セラミック製のヒータの他に、金属シースヒータ等が用いられうる。また、ヒータ14の形状は特に限定されず、例えば、板状のパネルヒータ等も用いられうる。
【0019】
<第1加熱室10a,第2加熱室10c>
第1加熱室10aと第2加熱室10cは、それぞれ加熱容器Aに収容された被処理物を加熱するブースである。この実施形態では、第1加熱室10aと第2加熱室10cとは、異なる段数で加熱容器Aが搬送されるように構成されている。
図1に示された形態では、第1加熱室10aは、複数の加熱容器Aが段積みされた状態で搬送されるように構成されている。第2加熱室10cでは、加熱容器Aがばらされた状態で搬送される。
図1に示された形態では、第2加熱室10cでは、加熱容器Aは一段ずつ搬送されている。例えば、第1加熱室10aには、仕切り12hが設けられている。第1加熱室10aの仕切り12hは、複数の加熱容器Aが段積みされた状態で通過可能な高さに設定されている。第2加熱室10cにも同様に仕切り12hが設けられている。第2加熱室10cの仕切り12hは、一段ずつ搬送される加熱容器Aが、仕切り12hの間を通過するように、第1加熱室10aに比べて仕切り12hが低い位置まで延びている。このように、第1加熱室10aは、複数段に段積みされた加熱容器Aが搬送されるように構成されており、第2加熱室10cは一段ずつばらされた加熱容器Aが搬送されるように構成されている。なお、この実施形態では、第1加熱室10aと第2加熱室10cには仕切り12hが設けられていたが、かかる形態に限定されない。第1加熱室10aと第2加熱室10cのいずれか一方に仕切り12hが設けられていてもよい。また、第1加熱室10aと第2加熱室10cのどちらにも仕切りが設けられていなくてもよい。
【0020】
この実施形態では、第1加熱室10aと第2加熱室10cは、搬送ローラ16を挟むように搬送空間12aの上部と下部にそれぞれヒータ14が並べられている。第1加熱室10aと第2加熱室10cは、異なる条件で加熱容器Aが加熱される。例えば、第1加熱室10aでは、複数の加熱容器Aが段積みされた状態で搬送されて纏めて加熱される。第1加熱室10aでは、例えば、脱バイ処理や、予加熱などの処理が行なわれうる。第2加熱室10cでは、加熱容器Aが1つずつ搬送されて加熱される。このため、加熱容器Aに収容された被処理物をより精度の高い条件で加熱することができる。第2加熱室10cでは、例えば、本焼成などが行なわれうる。この実施形態では、第1加熱室10aと第2加熱室10cには、ガス供給管12fと、ガス排気管12gがそれぞれ設けられている。第1加熱室10aと第2加熱室10cには、それぞれ異なる雰囲気ガスが供給されうる。
【0021】
<置換室10d>
置換室10dは、第1加熱室10aと段数変更室10bとの間に設けられている。置換室10dには、段積みされた状態で搬送された加熱容器Aが導入される。置換室10dには、搬送方向T1の上流側(第1加熱室10a側)と下流側(段数変更室10b側)に、それぞれ空間を仕切るシャッタ10d1,10d2が設けられている。シャッタ10d1,10d2は、断熱材によって構成されている。置換室10dに加熱容器Aが導入される際には、例えば、段数変更室10b側のシャッタ10d2が閉じられた状態で、第1加熱室10a側のシャッタ10d1が開けられる。この状態で第1加熱室10aから置換室10dに段積みされた加熱容器Aが導入される。次に、第1加熱室10a側のシャッタ10d1が閉じられて、置換室10dに加熱容器Aが留められる。
【0022】
<置換室10e>
置換室10eは、段数変更室10bと第2加熱室10cとの間に設けられている。この実施形態では、置換室10eには、段数変更室10bで段ばらしされた状態で搬送された加熱容器Aが導入される。置換室10eには、搬送方向T1の上流側(段数変更室10b側)と下流側(第2加熱室10c側)に、それぞれ空間を仕切るシャッタ10e1,10e2が設けられている。シャッタ10e1,10e2は、断熱材によって構成されている。置換室10eに加熱容器Aが導入される際には、例えば、第2加熱室10c側のシャッタ10e2が閉じられた状態で、段数変更室10b側のシャッタ10e1が開けられる。この状態で段数変更室10bから置換室10eに段ばらしされた加熱容器Aが導入される。次に、段数変更室10b側のシャッタ10e1が閉じられて、置換室10eに加熱容器Aが留められる。なお、シャッタ10e1,10e2は、断熱材によって構成されているものに限られず、例えば、内部に冷却水が供給されるような金属製のシャッタ等であってもよい。
【0023】
置換室10dと置換室10eは、それぞれ室内の雰囲気を調整できる空間でありうる。例えば、置換室10d,10eのガス組成や温度や圧力などが適宜に調整されるとよい。置換室10d,10eには、ガス雰囲気を調整するための機構が適宜に組み込まれていてもよい。置換室10d,10eの雰囲気が調整された後、下流側のシャッタ10d2,10e2が開けられて、置換室10d,置換室10eから加熱容器Aが搬出される。この実施形態では、置換室10d,10eは、それぞれ炉体12の炉壁12b~12dで囲まれている。連続加熱炉10は、加熱容器Aが搬送される連続した搬送空間12aを形成する少なくとも1つの炉体12を有しているとよく、搬送空間12aの一部には置換室10d,10eを有していてもよい。この場合、置換室10d,10eの搬送空間12aは、炉体12で形成されている。このため、置換室10d,10eにおいて搬送される加熱容器Aの温度を高く維持できる。
【0024】
第1加熱室10aと段数変更室10bの間に置換室10dが設けられていることによって、第1加熱室10aの雰囲気ガスが、段数変更室10bに及び難くなる。また、段数変更室10bと第2加熱室10cの間に置換室10eが設けられていることによって、段数変更室10bの雰囲気ガスが第2加熱室10cに及び難くなる。この実施形態では、第1加熱室10aと段数変更室10bの間と、段数変更室10bと第2加熱室10cの間との両方に、それぞれ置換室10d,10eが設けられている。第1加熱室10aの雰囲気ガスと第2加熱室10cの雰囲気ガスを互いに混ざりにくくするとの観点においては、第1加熱室10aと段数変更室10bの間と段数変更室10bと第2加熱室10cの間との少なくともいずれかに置換室が設けられているとよい。この場合も、置換室10d,10eが炉体12によって形成される搬送空間12aに構成されていることによって、加熱容器Aの温度を高く維持できる。
【0025】
また、この実施形態では、第1加熱室10aと、段数変更室10bと、第2加熱室10cとは、それぞれ搬送方向T1に沿って並べられた複数の搬送ローラ16を備えている。このうち第1加熱室10aと第2加熱室10cは、それぞれ独立した搬送機構15を備えていてもよい。例えば、第1加熱室10aと第2加熱室10cとで、搬送ローラ16は、異なる駆動装置に接続されているとよい。つまり、第1加熱室10aでは、複数の加熱容器Aが段積みされた状態で搬送される。第2加熱室10cでは、段ばらしされた状態で加熱容器Aが搬送される。このため、第1加熱室10aと第2加熱室10cとで、加熱容器Aを搬送する速度が異なっていてもよい。つまり、複数の加熱容器Aが段積みされた状態で搬送される第1加熱室10aでは、ゆっくりと搬送され、段ばらしされた状態で加熱容器Aが搬送される第2加熱室10cでは、第1加熱室10aよりも速い搬送速度で加熱容器Aが搬送されるとよい。これによって、加熱容器Aが第1加熱室10aと第2加熱室10cで渋滞することなくスムーズに搬送される。また、置換室10d,10eは、独立した搬送機構を有していてもよい。置換室10d,10eは、当該置換室10d,10eを挟む、第1加熱室10a、段数変更室10b、第2加熱室10cの搬送機構15と適宜に連動するように構成されているとよい。
【0026】
また、第1加熱室10aと第2加熱室10cにおける加熱容器Aの搬送は、搬送ローラ16に限られない。例えば、いわゆるメッシュベルトキルン(MBK)に使用されるような、金属製のベルトコンベヤによって加熱容器Aを搬送するように構成されていてもよい。
【0027】
<段数変更室10b>
段数変更室10bは、段数変更手段11と、ストッパ50と、幅寄せ機構70(
図2参照)と、ヒータ14と、搬送ローラ16とを備えている。段数変更手段11は、搬送される加熱容器Aの段数を変更する装置である。段数変更手段11によって、第1加熱室10aと第2加熱室10cには、異なる段数の加熱容器Aが搬送される。段数変更手段11は、リフタ20と、保持機構30とを備えている。
【0028】
<ストッパ50>
ストッパ50は、搬送空間12aを搬送される加熱容器Aを、リフタ20に合わせて予め定められた位置で停止させる装置である。この実施形態では、ストッパ50は、ストッパ本体51と、ストッパ本体51を支持するシャフト52と、シャフト52を通じてストッパ本体51を昇降させる昇降装置53とを備えている。ストッパ本体51は、搬送方向T1に法線方向を向けられたプレート状の部材であり、リフタ20に合わせて予め定められた位置で搬送ローラ16の間隙から搬送ローラ16の上方に突出するように設けられている。シャフト52は、ストッパ本体51を支持するシャフトである。シャフト52は、ストッパ本体51の下端を支持しており、炉体12の床壁12dを上下に貫通している。
【0029】
昇降装置53は、シャフト52を昇降させる装置であり、例えば、シリンダ装置で構成されている。この実施形態では、昇降装置53としてのシリンダは、ピストンロッドを下方に向けて炉体12の床壁12dの外側面に取り付けられている。シリンダのピストンロッドの先端には、シャフト52が連結されている。昇降装置53のピストンロッドが押し下げられることによって、ストッパ本体51が下がる。昇降装置53のピストンロッドが引き上げられることによって、ストッパ本体51が上がり、加熱容器Aが所定位置で停止される。
【0030】
<幅寄せ機構70>
幅寄せ機構70は、
図2に示されているように、幅方向において加熱容器Aの位置を調整するための機構である。幅寄せ機構70は、ストッパ50(
図1参照)によって停止された加熱容器Aの位置が調整される。幅寄せ機構70は、幅寄せ板71と、幅寄せ板71を支持するシャフト72と、シャフト72を通じて幅寄せ板71を駆動する駆動装置73とを備えている。幅寄せ板71は、炉体12の側壁12bと平行なプレート状の部材である。シャフト72は、幅寄せ板71の側壁12bと対向する側の面に垂直に取り付けられている。シャフト72は、側壁12bを貫通し、炉体12の外側に延びている。駆動装置73は、シャフト72を駆動する装置であり、例えば、シリンダ装置で構成されている。この実施形態では、駆動装置73としてのシリンダは、ピストンロッドを幅方向外側に向けて炉体12の側壁12bの外側面に取り付けられている。シリンダのピストンロッドの先端には、シャフト72が連結されている。ピストンロッドが内側に向かって引き入れられることによって、炉体12内部の幅寄せ板71が幅方向内側に向かって駆動される。その際、ストッパ50によって停止させられた加熱容器Aの位置は、所定の位置に調整される。この実施形態では、幅方向に3列に並べられた加熱容器Aが接触した状態で位置が調整される。
3列に並べて搬送された加熱容器Aは、ストッパ50(
図1参照)によって搬送方向T1における位置が揃えられ、幅寄せ機構70によって幅方向の位置が揃えられる。なお、加熱容器Aを搬送する際の列数は被処理物の大きさや加熱容器Aの寸法等によって適宜設定される。加熱容器Aを搬送する際の列数は、単列であってもよく、2列以上の複数列であってもよい。
【0031】
<リフタ20>
リフタ20は、第1加熱室10a(
図1参照)から搬送ローラ16の上を搬送された加熱容器Aを昇降させる装置である。この実施形態では、リフタ20は、炉体12において保持機構30と上下に対向する位置に設けられている。リフタ20は、リフタ本体21と、昇降装置24と、ガイド25とを備えている。
【0032】
リフタ本体21は、
図1に示されているように、搬送方向T1に沿って並べられた搬送ローラ16の間から上方に突出し、加熱容器Aを持ち上げる部材である。この実施形態では、リフタ本体21は、第1プレート21aと、第2プレート21bと、連結部21cとを有している。第1プレート21aと第2プレート21bは、それぞれ矩形のプレートである。第1プレート21aと第2プレート21bは、プレートの法線方向を搬送方向T1に向け、一方の長辺を上、他方の長辺を下に向け、搬送ローラ16の間隙に挿通されるように配置されている。第1プレート21aと第2プレート21bは、3列に並べられた加熱容器Aを乗せられる程度の幅を有している。
【0033】
この実施形態では、第1プレート21aは、搬送方向T1の上流側、第2プレート21bは、搬送方向T1の下流側に配置されている。連結部21cは、搬送ローラ16の下方で、第1プレート21aと第2プレート21bとの下端を繋ぐ部材である。換言すると、第1プレート21aと第2プレート21bは、連結部21cから上方に向けて立ち上がっている。連結部21cには、下方に延びる操作ロッド21dが取り付けられている。この実施形態では、
図2に示されているように、搬送空間12aの幅方向において間隔をあけて、2本の操作ロッド21dが、連結部21cに取り付けられている。操作ロッド21dは、それぞれ床壁12dを上下に貫通し、床壁12dから下方に延びている。2本の操作ロッド21dの下端は、連結バー21eで連結されている。連結バー21eの両端は、床壁12dの外側面から下方に延びたガイド25にリニアブッシュ25aを介して取り付けられているとよい。
【0034】
昇降装置24は、連結バー21eを昇降させる装置である。昇降装置24は、例えば、シリンダ装置で構成されている。昇降装置24としてのシリンダは、ピストンロッドを下方に向けて炉体12の床壁12dの外側面に取り付けられている。シリンダのピストンロッドの先端に、連結バー21eが連結されている。昇降装置24のピストンロッドが引き上げられることによって、連結バー21eが上がり、リフタ本体21が上昇する。これによって、ストッパ50によって予め定められた位置に停止している加熱容器Aが持ち上げられる。昇降装置24のピストンロッドが押し下げられることによって、連結バー21eが下がり、加熱容器Aが降ろされる。なお、この実施形態では、昇降装置24としてシリンダ装置が用いられていたが、かかる形態に限定されない。例えば、昇降装置として、リフタ本体21を上下させるアクチュエータが用いられてもよい。また、リフタ本体21の形状は、プレート状に限られず、例えば、柱状などであってもよい。
【0035】
<昇降位置L1~L3>
この実施形態では、リフタ20には、3つの昇降位置L1~L3が予め設定されている。ここで、
図3Aは、第1の昇降位置L1の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
図3Bは、第2の昇降位置L2の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
図3Cは、第3の昇降位置L3の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【0036】
第1の昇降位置L1では、リフタ本体21の上端が搬送ローラ16の上端よりも低くなるように、リフタ本体21の位置が設定されている。昇降位置L1では、リフタ本体21は、搬送ローラ16の上を搬送される加熱容器Aに当たらない。例えば、搬送ローラ16によって加熱容器Aを搬送させる場合に、リフタ20は昇降位置L1に制御されるとよい。
【0037】
第2の昇降位置L2では、保持機構30に保持されている加熱容器Aの下に重ねられる所定の高さまで加熱容器Aが持ち上げられるように、リフタ本体21の位置が設定されている。昇降位置L2では、例えば、持ち上げた加熱容器Aに保持機構30に保持されている加熱容器Aが重ねられる。この際、保持機構30の保持を解除しても、リフタ20で加熱容器Aを保持できる。
【0038】
第3の昇降位置L3では、保持機構30によって保持される高さまで、加熱容器Aが持ち上げられるように、リフタ本体21の位置が設定されている。例えば、リフタ20によって持ち上げられた加熱容器Aを保持機構30に保持させる場合や、保持機構30で保持された加熱容器Aを降ろす場合に、リフタ20は、昇降位置L3に制御されるとよい。
【0039】
<保持機構30>
保持機構30は、
図2に示されているように、リフタ20によって持ち上げられた加熱容器Aを保持する機構である。保持機構30は、2本のシャフト31と、複数の保持具32(
図1参照)とを有している。保持機構30は、シール部材33と、冷媒供給装置40とを有している。この実施形態では、1本のシャフト31につき3つの保持具32が所要の間隔を空けて取り付けられている。3つの保持具32は、3列に並べられた加熱容器Aのそれぞれの位置に対応する位置に取り付けられているとよい。ここで、
図4は、加熱容器Aの側面図であり、略矩形の浅底のケースである。加熱容器Aの周縁部には、壁a1が立ち上がっている。略矩形の辺に沿った壁a1の中央部は凹んでいる。かかる凹みa2は、加熱容器Aが重ねられた時に雰囲気ガスが流通する間隙を形成する。
【0040】
<シャフト31>
2本のシャフト31は、炉体12の挿通孔に挿通されている。シャフト31は、搬送方向T1と直交する幅方向に沿って設けられている。シャフト31は、中空構造を有している。シャフト31は、円筒形状である。シャフト31は、一方の端から他方の端にわたって空洞が形成されている。シャフト31としては、耐熱性や強度に優れる金属が用いられ、例えば、ステンレス、後述するニッケル基合金、クロムやモリブデンを合計で20~35質量%程度含んだニッケル基合金等が用いられうる。この実施形態では、ステンレス製のシャフト31が用いられている。シャフト31は、搬送方向T1(
図1参照)においてリフタ20によって加熱容器Aが持ち上げられる予め定められた位置の前後に設けられている。シャフト31は、搬送方向T1と直交する幅方向に沿って一対の側壁12bを貫通し、かつ、回転可能に架け渡されている(
図2参照)。
【0041】
保持具32は、
図3A~
図3Cに示されているように、基部32aと、アーム部32bと、爪部32cとを備えている。基部32aは、円筒状の部材であり、シャフト31に装着されている。アーム部32bは、基部32aの外周面から下方に向かって延びたプレート状の部位である。この実施形態では、アーム部32bは、搬送方向T1の前後に設けられたシャフト31に装着された基部32aの外側面のうち、搬送方向T1に沿って対向する内側の側面に設けられている。これにより、アーム部32bは、リフタ20によって持ち上げられる加熱容器Aを前後から挟むように延びている。爪部32cは、アーム部32bの下端から内側に折れ曲がった部位である。爪部32cは、加熱容器Aの底部を支持しうる。このように、この実施形態では、シャフト31は、炉体12の一対の側壁12bに回転可能に架け渡されている。保持具32は、シャフト31から延びるアーム部32bと、アーム部32bの下端から折れ曲がった爪部32cとを有している。
【0042】
かかる保持具32としては、耐熱性や耐酸化性の高い金属が用いられ、例えば、ニッケル-クロム-鉄合金や、ニッケル基合金等が用いられる。本明細書において、ニッケル-クロム-鉄合金とは、合金全体を100質量%としたときに、ニッケル、クロムおよび鉄の合計の含有割合が80質量%以上である合金のことをいう。ニッケル、クロムおよび鉄の合計の含有割合は、90質量%以上であってもよく、例えば、95質量%以上であってもよい。ニッケル-クロム-鉄合金に含まれるニッケルの含有割合は、例えば、20質量%以上35質量%以下であってもよい。クロムの含有割合は、例えば、20質量%以上25質量%以下であってもよい。鉄の含有割合は、例えば、40質量%以上60質量%以下であってもよい。また、本明細書において、ニッケル基合金とは、合金全体を100質量%としたときに、ニッケルの含有割合が50質量%以上である合金のことをいう。ニッケルの含有割合は、70質量%以上であってもよい。ニッケル以外の金属としては、例えば、クロムや鉄が含まれていてもよい。合金全体を100質量%としたときに、クロムの含有割合は、10質量%以上25質量%以下であってもよい。鉄の含有割合は、20質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよい。
【0043】
<シール部材33>
シール部材33は、
図2に示されているように、炉体12にシャフト31が挿通された部位に取り付けられている。この実施形態では、炉体12は、シャフト31が挿通された部位の外側にハウジング34が設けられている。ハウジング34内には、シール部材33と軸受35とが装着されている。シャフト31は、ハウジング34内で軸受35によって回転可能に支持されている。また、シール部材33は、シャフト31とハウジング34との隙間をシールしている。シール部材33としては、例えば、炭素繊維系のグランドパッキン、ゴム製のオイルシール、シリコン系シール材などが用いられる。シール部材33によって、炉体12内部の雰囲気ガスが外部に漏れるのが防止される。
【0044】
シャフト31は、ハウジング34からさらに外側に延びており、シャフト31の径方向に延びた操作アーム36を介して駆動装置37に取り付けられている。ここで駆動装置37は、シリンダ装置であり、シリンダの一端は、炉体12の筐体に設けられた支持片38に固定されている。シャフト31は、かかる駆動装置37によって回転操作される。また、シャフト31の端部には、冷媒供給装置40に接続されるコネクタ39が設けられている。コネクタ39は、シャフト31の中空部に接続され、シャフト31の中空部に冷媒を供給する構造を有しているとよい。
【0045】
保持機構30は、駆動装置37によってシャフト31を周方向に回転させることによって、保持具32が開閉され、加熱容器Aを保持できるように構成されている。この実施形態では、保持機構30は、シャフト31を回転させると3つの保持具32が同時に開閉されるように構成されている。そのため、3列に並べられた加熱容器Aが同時に保持される。
【0046】
図3A~
図3Cに示されているように、搬送方向T1の前後のシャフト31がそれぞれ内向きに回転することによって、加熱容器Aを保持するようにシャフト31に取り付けられたアーム部32bが閉じられる。また、前後のシャフト31がそれぞれ外向きに回転すると、加熱容器Aを保持するようにシャフト31に取り付けられたアーム部32bが開かれる。
【0047】
前後のシャフト31のアーム部32bが閉じられた閉状態H1では、爪部32cが加熱容器Aの底部を支えるので加熱容器Aが保持される。前後のシャフト31のアーム部32bが開かれた開状態H2では、爪部32cが加熱容器Aの底部に干渉しない位置に退避する。このように、駆動装置37が制御されることによって、保持機構30の保持具32を閉状態H1と開状態H2とに操作できる。なお、
図3A~
図3Cは、模式的に示されている。
図3A~
図3Cでは、炉体12の側壁12bは、図示が省略されており、保持機構30の駆動装置37が図示されている。なお、この実施形態では、保持機構30は、側壁12bに架け渡されたシャフト31を有し、一端から他端に向かって冷媒が供給されるように構成されていたが、かかる形態に限定されない。例えば、炉体12の天井12cを貫通するシャフトが用いられていてもよい。かかるシャフトは、例えば、二重管構造を有し、内側の管から外側の管に向かって冷媒の流れが折り返すように構成されているとよい。かかるシャフトには、端部に保持具が取り付けられているとよい。
【0048】
<冷媒供給装置40>
冷媒供給装置40は、
図2に示されているように、シャフト31の内部に冷媒を供給する装置である。冷媒としては、水等を用いることができる。シャフト31の内部に供給される冷媒の温度は、例えば、常温等、搬送空間12aの雰囲気温度よりも低い温度である。冷媒の種類や温度は特に限定されず、搬送空間12aの雰囲気温度等に応じて適宜設定される。この実施形態では、シャフト31の両端にはコネクタ39が取り付けられている。シャフト31の一方の端には、コネクタ39を介して冷媒供給装置40が接続されている。冷媒供給装置40によって、シャフト31の一方の端から他方の端に向かって冷媒が供給される。冷媒供給装置40によるシャフト31へ冷媒の供給方法は特に限定されない。例えば、2本のシャフト31に、それぞれに別の冷媒供給装置が接続され、それぞれのシャフト31には個別に冷媒が送られるように構成されていてもよい。また、冷媒供給装置として、循環型の冷媒供給装置を用い、2本のシャフト31を同じ冷媒が循環するように構成されていてもよい。
【0049】
冷媒供給装置40は、シャフト31の内部に適宜に冷媒を供給することができる。例えば、シャフト31に冷媒を供給しつつ、後述する段積み作業や段ばらし作業を行なうことができる。例えば、段積み作業や段ばらし作業が、高温環境で行なわれる場合など、適宜にシャフト31に冷媒が供給されるとよい。
【0050】
図2に示されているように、リフタ20、保持機構30およびストッパ50(
図1参照)は、制御装置60によって制御されるとよい。制御装置60は、例えば、加熱容器Aの搬送、リフタ20の昇降、保持機構30の保持具32の開閉を制御するように構成されているとよい。ここで、制御装置60は、リフタ20を昇降させる昇降装置24と、保持機構30を駆動する駆動装置37と接続されている。制御手法としては、例えば、シーケンス制御等の種々の制御手法を採用することができる。また、冷媒供給装置40による冷媒の供給についても、制御装置60によって制御されてもよい。
【0051】
上述したリフタ20および保持機構30の動作が組み合わされることによって、加熱容器Aを段積みしたり、重ねられた複数の加熱容器Aをばらしたりすることができる。ここでは、複数の加熱容器Aを重ねる作業は、適宜に「段積み」と称される。重ねられた複数の加熱容器Aをばらす作業は、適宜に「段ばらし」と称される。ここでは、第1加熱室10aから搬送方向T1に搬送された、複数段に重ねられた加熱容器Aを段ばらしする作業を説明し、その後、段積み作業を説明する。
【0052】
<段ばらし作業>
段ばらし作業では、複数の加熱容器Aが重ねられた状態で搬送されてくる。これを、所定の枚数ずつ加熱容器Aをばらす。ここでは、
図1に示されているように、加熱容器Aを1段ずつばらして搬送する作業を例示的に説明する。
【0053】
図3Aに示されているように、制御装置60(
図2参照)は、リフタ20を搬送ローラ16よりも下の第1の昇降位置L1で待機させる。また、保持機構30を2点鎖線で示されているように、アーム部32bが開いた開状態H2で待機させる。この状態で、制御装置60は、搬送空間12aの所定の位置で加熱容器Aを検知し、予め定められたタイミングでストッパ50を上昇させる。これにより、リフタ20によって持ち上げられる予め定められた位置で、加熱容器Aが停止する。
【0054】
制御装置60は、
図3Bに示されているように、第2の昇降位置L2までリフタ20を上昇させる。この状態で、保持機構30のアーム部32bが閉状態H1に閉じられることによって、段積みされた加熱容器Aのうち一番下の加熱容器Aよりも上の加熱容器Aが保持機構30に保持される。その後、制御装置60は、
図3Aに示されているように、リフタ20を降下させて、搬送ローラ16よりも下の第1の昇降位置L1でリフタ20を待機させる。これによって、一番下の加熱容器Aが降下する。ストッパ50を下げて開放させることによって、加熱容器Aは搬送ローラ16によって搬送される。これにより、段積みされた加熱容器Aのうち一番下の加熱容器Aがばらされて搬送される。
【0055】
次に、制御装置60は、
図3Cに示されているように、リフタ20を第3の昇降位置L3に上昇させる。これによって、保持機構30に保持された段積みされた残りの加熱容器Aがリフタ20によって支持される。制御装置60は、保持機構30を開状態H2にし、
図3Bに示されているように、リフタ20を第2の昇降位置L2に降下させた後で、保持機構30を閉状態H1にする。これによって、段積みされた加熱容器Aのうち一番下の加熱容器Aはリフタ20によって支持される。また、一番下の加熱容器Aよりも上の加熱容器Aは保持機構30によって保持される。この状態で、制御装置60は、
図3Aに示されているように、リフタ20を第1の昇降位置L1に降下させる。これによって、一番下の加熱容器Aが降下し、搬送ローラ16によって搬送される。このように、段積みされた加熱容器Aのうち一番下の加熱容器Aがばらされる。
【0056】
以降は、制御装置60によって、上記の処理が繰り返される。これによって、段積みされた加熱容器Aは、下から順番にばらされて搬送ローラ16によって搬送される。加熱容器Aを2段ずつばらす場合には、リフタ20の第2の昇降位置L2の高さが、第3の昇降位置L3から加熱容器A2つ分の下げた高さに調整されるとよい。これにより、加熱容器Aは、2段ずつばらされ、2段で段積みされた状態で搬送される。同様に、加熱容器Aは、複数段(例えば、3段)ずつ段積みされた状態にばらすこともできる。
【0057】
<段積み作業>
搬送方向T1に搬送された加熱容器Aを重ねる段積み作業では、以下の手順で、加熱容器Aの停止、加熱容器Aの持ち上げ、加熱容器Aの保持が繰り返される。
【0058】
図3Aは、段積み作業において加熱容器Aを停止させた状態が示されている。ここでは、
図3Aに示されているように、リフタ20は、リフタ本体21を搬送ローラ16の下に位置する昇降位置L1で待機させる。また、保持機構30は、加熱容器Aを保持しておらず、2点鎖線で示されているように、アーム部32bが開いた開状態H2で待機させる。この状態で、制御装置60(
図2参照)は、搬送空間12aの所定の位置で加熱容器Aを検知すると、予め定められたタイミングでストッパ50を上昇させる。これにより、リフタ20によって持ち上げられる予め定められた位置で、加熱容器Aが停止する。その際、搬送ローラ16の回転を止めてもよく、搬送ローラ16の回転を止めずに空転させてもよい。
【0059】
次に、
図3Cに示されているように、制御装置60は、第3の昇降位置L3までリフタ20を上昇させる。これによって、保持機構30で保持可能な高さに加熱容器Aが持ち上げられる。そして、制御装置60によって、保持機構30のアーム部32bが閉状態H1に閉じられる。これによって、持ち上げられた加熱容器Aが保持機構30に保持される。その後、
図3Aに示されているように、制御装置60は、リフタ20を降下させて、搬送ローラ16よりも下の第1の昇降位置L1でリフタ20を待機させる。また、保持機構30を、加熱容器Aを保持した閉状態H1で待機させる。これにより、加熱容器Aが保持機構30で保持された状態となる。
【0060】
次に、再びストッパ50によって加熱容器Aを予め定められた位置で停止させる。そして、
図3Bに示されているように、リフタ20を第2の昇降位置L2まで上昇させ、加熱容器Aを保持機構30に保持された加熱容器Aの下に重ねる。そして、加熱容器Aをリフタ20で支持した状態で、保持機構30を開状態H2にして、加熱容器Aから爪部32cを抜く。この状態で、制御装置60は、
図3Cに示されているように、リフタ20を第3の昇降位置L3まで上昇させる。これにより、保持機構30に保持されていた加熱容器Aとリフタ20で新たに持ち上げられた加熱容器Aが重ねられた状態で、保持機構30に保持される高さまで上昇する。その後、制御装置60は、保持機構30を閉状態H1にする。これにより、リフタ20で持ち上げられた加熱容器Aのうち一番下の加熱容器Aが保持機構30の爪部32cに支持され、加熱容器Aが段積みされた状態で保持機構30に保持される。
【0061】
そして、
図3Aに示されているように、リフタ20を降下させ、搬送ローラ16よりも下の第1の昇降位置L1で待機させるとよい。その後、ストッパ50によって加熱容器Aを停止させる。リフタ20を第2の昇降位置L2に上昇させ、加熱容器Aを持ち上げて、保持機構30に保持されている加熱容器Aの下に重ねる(
図3B参照)。保持機構30を開状態H2として爪部32cを抜き、リフタ20を第3の昇降位置L3に上昇させる(
図3C参照)。保持機構30を閉状態H1として、段積みされた加熱容器Aを保持させる。リフタ20を第1の昇降位置L1に降下させて、待機させる。制御装置60は、これを繰り返す。これにより、加熱容器Aが一段ずつ段積みされる。
【0062】
搬送ローラ16によって、加熱容器Aが2段ずつ流れてくる場合には、リフタ20で持ち上げられる加熱容器Aが保持機構30で保持された加熱容器Aの下に重ねられるように、リフタ20の第2の昇降位置L2の高さが調整されるとよい。これにより、加熱容器Aは、2段ずつ段積みすることもできる。同様に、加熱容器Aは、複数段(例えば、3段)ずつ段積みすることもできる。
【0063】
このように、リフタ20は、加熱容器Aを予め定められた高さに持ち上げ、保持機構30は、リフタ20で持ち上げられた加熱容器Aのうち、下から予め定められた段数以上の加熱容器を保持するように構成することができる。つまり、所望の段数ごとに、段ばらし作業や段積み作業を行うことができる。
【0064】
以上、段積み作業や段ばらし作業が実行される連続加熱炉について具体的な実施形態を挙げて詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎない。ここで開示される連続加熱炉は、例えば、リフタ、保持機構およびストッパの動作を制御する制御装置の制御を変更することによって、段積み作業や段ばらし作業以外の作業も可能である。以下、他の実施形態として、加熱容器の蓋を着脱させることができる連続加熱炉について説明する。以下では、連続加熱炉10で説明された部材・部位と同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
図5は、連続加熱炉10Aを模式的に示す縦断面図である。
図6は、連続加熱炉10Aの着脱室10b1を模式的に示す横断面図である。連続加熱炉10Aは、搬送空間12aを有している。搬送空間12aでは、被処理物は、加熱容器Aに蓋Bが取り付けられた状態または加熱容器Aから蓋Bが取り外された状態で搬送され、加熱処理される。搬送空間12aでは、加熱容器Aおよび蓋Bが搬送されうる。この実施形態では、加熱容器Aおよび蓋Bは、搬送方向T1に沿って1列で搬送されている。
図7は、加熱容器Aの側面図である。加熱容器Aには、蓋Bが取り付けられる。蓋Bは、加熱容器Aの凹みa2を覆わない形状であるとよい。この実施形態では、蓋Bは、搬送方向T1および幅方向が加熱容器Aと同様の寸法の平板状である。
【0066】
連続加熱炉10Aの搬送空間12aは、
図5に示されているように、搬送方向T1に沿って順に、第1加熱室10aと、着脱室10b1と、第2加熱室10cとを有している。換言すると、加熱室10a,10cは、着脱室10b1よりも上流側に設けられた第1加熱室10aと、着脱室10b1よりも下流側に設けられた第2加熱室10cとを有している。この実施形態では、第1加熱室10aと着脱室10b1の間には、置換室10dが設けられている。着脱室10b1と第2加熱室10cの間には、置換室10eが設けられている。
【0067】
<着脱室10b1>
着脱室10b1は、第1加熱室10aと、第2加熱室10cとの間に設けられている。この実施形態では、第1加熱室10aでは、被処理物は、加熱容器Aに収容され、蓋Bが閉じられた状態で加熱処理される。第2加熱室10cでは、被処理物は、蓋Bが取り外されて炉体12内に開放された状態で加熱処理される。着脱室10b1では、第1加熱室10aから搬送された加熱容器Aから蓋Bが取り外される。着脱室10b1は、段数変更室10b(
図1参照)と同様、ストッパ50と、リフタ20と、保持機構30とを備えている。着脱室10b1は、段数変更室10b(
図1参照)と同様、ヒータ14を備えている。この実施形態では、保持機構30は、2本のシャフト31と、炉体12の幅方向の略中央部においてシャフト31に取り付けられた保持具32とを有している(
図6参照)。
【0068】
この実施形態では、ストッパ50は、蓋Bが載せられた加熱容器Aを、リフタ20に合わせて予め定められた位置で停止させる。リフタ20は、第1加熱室10aから搬送された加熱容器Aや蓋Bを昇降させる。保持機構30は、リフタ20によって持ち上げられた蓋Bを保持する。ストッパ50、リフタ20および保持機構30の動作は、制御装置60(
図6参照)によって制御される。
【0069】
<昇降位置L4~L6>
この実施形態では、リフタ20には、3つの昇降位置L4~L6が予め設定されている。ここで、
図8Aは、第4の昇降位置L4の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
図8Bは、第5の昇降位置L5の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
図8Cは、第6の昇降位置L6の状態でのリフタ本体21の位置を示す側面図である。
【0070】
第4の昇降位置L4では、リフタ本体21の上端が搬送ローラ16の上端よりも低くなるように、リフタ本体21の位置が設定されている。昇降位置L4では、リフタ本体21は、搬送ローラ16の上を搬送される加熱容器Aや蓋Bには当たらない。例えば、搬送ローラ16によって加熱容器Aや蓋Bを搬送させる場合に、リフタ20は昇降位置L4に制御されるとよい。なお、第4の昇降位置L4は、第1の昇降位置L1(
図3A参照)と同様であってもよい。
【0071】
第5の昇降位置L5では、加熱容器Aに載せられた蓋Bが保持機構30に保持される所定の高さまで加熱容器Aが持ち上げられるように、リフタ本体21の位置が設定されている。昇降位置L5では、例えば、保持機構30に保持されている蓋Bに対して、持ち上げられた加熱容器Aが下に重ねられることによって、加熱容器Aに蓋Bが取り付けられる。昇降位置L5では、例えば、加熱容器Aに載せられた蓋Bが保持機構30に保持されることによって、加熱容器Aから蓋Bが取り外される。なお、加熱容器Aの寸法にもよるが、第5の昇降位置L5は、第2の昇降位置L2(
図3B参照)と同様であってもよい。
【0072】
第6の昇降位置L6では、保持機構30に保持される所定の高さまで蓋Bが持ち上げられるように、リフタ本体21の位置が設定されている。昇降位置L6では、例えば、加熱容器Aに載せられる蓋Bが保持される。昇降位置L6では、例えば、加熱容器Aから取り外された蓋Bが保持される。なお、第6の昇降位置L6は、第3の昇降位置L3(
図3C参照)と同様であってもよい。
【0073】
上述したリフタ20および保持機構30の動作が組み合わされることによって、加熱容器Aに載せられた蓋Bを取り外したり、蓋Bが載せられていない加熱容器Aに蓋Bを載せたりすることができる。加熱容器Aに載せられた蓋Bを取り外す作業は、適宜に「取り外し」と称される。蓋Bが載せられていない加熱容器Aに蓋Bを載せる作業は、適宜に「取り付け」と称される。以下、第1加熱室10aから搬送方向T1に搬送された加熱容器Aの蓋Bの取り外し作業を説明し、その後、蓋Bの取り付け作業を説明する。
【0074】
<蓋Bの取り外し作業>
蓋Bの取り外し作業では、加熱容器Aは、蓋Bが載せられた状態で第1加熱室10aから着脱室10b1に搬送される。着脱室10b1では、加熱容器Aから蓋Bが取り外される。ここでは、
図5に示されているように、加熱容器Aから蓋Bを取り外し、取り外した蓋Bを搬送ローラ16に載せて搬送する作業を説明する。
【0075】
図8Aに示されているように、制御装置60(
図6参照)は、リフタ20を搬送ローラ16よりも下の第4の昇降位置L4で待機させる。また、保持機構30を、2点鎖線で示されているように、アーム部32bが開いた開状態H2で待機させる。この状態で、制御装置60は、搬送空間12aの所定の位置で蓋Bが載せられた加熱容器Aを検知し、予め定められたタイミングでストッパ50を上昇させる。これにより、リフタ20によって持ち上げられる予め定められた位置で、蓋Bが載せられた加熱容器Aが停止する。
【0076】
次に、制御装置60は、
図8Bに示されているように、第5の昇降位置L5までリフタ20を上昇させる。この状態で、保持機構30のアーム部32bが閉状態H1に閉じられることによって、加熱容器Aに載せられた蓋Bが保持機構30に保持される。その後、制御装置60は、
図8Aに示されているように、リフタ20を降下させて、搬送ローラ16よりも下の第4の昇降位置L4でリフタ20を待機させる。これによって、加熱容器Aが降下する。ストッパ50を下げて開放させることによって、加熱容器Aは搬送ローラ16によって搬送される。これにより、蓋Bが取り外された状態で加熱容器Aが搬送される。
【0077】
次に、制御装置60は、
図8Cに示されているように、リフタ20を第6の昇降位置L6に上昇させる。これによって、保持機構30に保持された蓋Bがリフタ20によって支持される。制御装置60は、保持機構30を開状態H2にし、
図8Aに示されているように、リフタ20を第4の昇降位置L4に降下させる。制御装置60は、ストッパ50を降下させる。これによって、蓋Bが降下し、搬送ローラ16によって搬送される。このように、蓋Bが取り外された加熱容器Aが搬送された後には、続いて蓋Bが搬送される。
【0078】
以降は、制御装置60によって、上記の処理が繰り返される。これによって、加熱容器Aから蓋Bが順次外されて搬送される。このため、第2加熱室10cでは、被処理物が収容された加熱容器Aと、加熱容器Aから取り外された蓋Bとが交互に搬送される。
【0079】
以上のように、制御装置60では、蓋Bが保持機構30に保持される位置まで、蓋Bが載せられた加熱容器Aを支持するリフタ20を上昇させる処理と、蓋Bを保持機構30に保持させる処理と、加熱容器Aを搬送ローラ16まで降下させる処理とが実行される。これによって、着脱室10b1では、蓋Bの取り外し作業が可能である。
【0080】
<蓋Bの取り付け作業>
蓋Bの取り付け作業では、蓋Bが載せられていない状態で加熱容器Aが搬送される。この実施形態では、上述した蓋Bの取り外し作業とは反対に、蓋Bが載せられていない加熱容器Aと蓋Bとが着脱室10b1に向かって交互に搬送される。ここでは、加熱容器Aに蓋Bを取り付け、蓋Bが取り付けられた加熱容器Aを順次搬送する作業を説明する。
【0081】
図8Aに示されているように、制御装置60は、リフタ20を搬送ローラ16よりも下の第4の昇降位置L4で待機させる。また、保持機構30を2点鎖線で示されているように、アーム部32bが開いた開状態H2で待機させる。この状態で、制御装置60は、搬送空間12aの所定の位置で蓋Bを検知し、予め定められたタイミングでストッパ50を上昇させる。これにより、リフタ20によって持ち上げられる予め定められた位置で、蓋Bが停止する。
【0082】
次に、制御装置60は、
図8Cに示されているように、第6の昇降位置L6までリフタ20を上昇させる。この状態で、保持機構30のアーム部32bが閉状態H1に閉じられることによって、蓋Bが保持機構30に保持される。その後、制御装置60は、
図8Aに示されているように、リフタ20を降下させて、搬送ローラ16よりも下の第4の昇降位置L4でリフタ20を待機させる。
【0083】
次に、制御装置60は、再びストッパ50によって加熱容器Aを予め定められた位置で停止させる。
図8Bに示されているように、リフタ20を第5の昇降位置L5に上昇させる。これによって、保持機構30に保持された蓋Bの下に加熱容器Aを重ねられ、加熱容器Aに蓋Bが取り付けられる。制御装置60は、保持機構30を開状態H2にし、加熱容器Aと蓋Bの隙間から爪部32cを抜く。この状態で、制御装置60は、
図8Aに示されているように、リフタ20を第4の昇降位置L4に降下させる。制御装置60は、ストッパ50を降下させる。これによって、蓋Bが載せられた加熱容器Aが降下し、搬送ローラ16によって搬送される。
【0084】
以降は、制御装置60によって、上記の処理が繰り返される。これによって、加熱容器Aには、蓋Bが取り付けられて順次搬送される。
【0085】
以上のように、制御装置60では、蓋Bが保持機構30に保持される位置まで、蓋Bを支持する20リフタを上昇させる処理と、蓋Bを保持機構30に保持させる処理と、保持機構30に蓋Bが保持されている位置まで、蓋Bが載せられていない加熱容器Aを支持するリフタ20を上昇させて加熱容器Aに蓋Bを載せる処理とが実行される。これによって、着脱室10b1では、蓋Bの取り付け作業が可能である。
【0086】
上述した実施形態では、連続加熱炉10,10Aの搬送空間12aは、第1加熱室10aと、第2加熱室10cとを有している。第1加熱室10aと第2加熱室10cの間には、搬送方向T1に沿って並べられた搬送ローラ16と、搬送ローラ16の上を搬送された被搬送物(この実施形態では、加熱容器Aや蓋B)を昇降させるリフタ20と、リフタ20で持ち上げられた被搬送物を保持する保持機構30とが設けられている。第1加熱室10aと、第2加熱室10cとの間で、加熱容器Aの蓋Bの着脱や加熱容器Aの段数の変更を行う場合、これらの作業に時間を要し、被処理物の温度が下がりやすい。温度が下がった加熱容器Aを再び加熱温度まで加熱することにも時間を要する。この連続加熱炉10,10Aでは、第1加熱室10aと、第2加熱室10cと、リフタ20および保持機構30が、少なくとも1つの炉体12によって形成される搬送空間12aに設けられている。このため、段数変更室10bや着脱室10b1で加熱容器Aを所要の温度に維持できる。その結果、加熱処理にかかる時間を短縮することができ、被処理物を効率的に加熱処理することができる。
【0087】
上述した連続加熱炉10の段数変更室10bや連続加熱炉10Aの着脱室10b1は、ヒータ14を備えている。これによって、例えば、第1加熱室10aと第2加熱室10cの間での被処理物の温度の低下を抑えることができる。そのため、連続加熱炉10,10Aで被処理物が効率的に処理されうる。
【0088】
ところで、連続加熱炉で被処理物を加熱処理する場合、例えば、被処理物が加熱処理されて発生する気体が炉内を汚染することを抑制するため、被処理物が入れられた加熱容器に蓋が取り付けられた状態で被処理物が加熱処理されることがある。また、連続加熱炉で被処理物を脱バインダ処理や乾燥処理する際等、蓋が取り外された状態で被処理物を加熱処理することが効率的な場合がある。上述した連続加熱炉10Aでは、搬送空間12aは、加熱室10a,10cと、加熱容器Aに対して蓋Bを着脱する着脱室10b1とを有している。搬送ローラ16と、リフタ20と、保持機構30は、着脱室10b1に設けられている。かかる構成によって、連続加熱炉10A内で加熱容器Aに対して蓋Bを着脱することができる。これによって、加熱条件や被処理物の処理条件に合わせて蓋の開閉が制御され、被処理物が効率的に処理されうる。
【0089】
上述した実施形態では、蓋Bが加熱容器Aに載せられていない時には、蓋Bは、搬送ローラ16上に載せられている。このとき、加熱容器Aの上部は開放されている。蓋Bが加熱容器Aの上部を覆っていないことによって、被処理物が炉内の雰囲気に曝されやすくなる。これによって例えば、被処理物と炉内の雰囲気とのガス交換を効率よくすることができる。その結果、被処理物が効率的に処理されうる。
【0090】
この実施形態では、連続加熱炉10,10Aは、第1加熱室10aと着脱室10b1の間に、置換室10dを有している。また、連続加熱炉10,10Aは、着脱室10b1と第2加熱室10cの間に、置換室10eを有している。このように、第1加熱室10aと着脱室10b1の間と、着脱室10b1と第2加熱室10cの間のうち、少なくともいずれかに置換室を有することによって、第1加熱室10aと第2加熱室10cで加熱条件が大きく異なる時でも、一方の雰囲気が他方に漏れることを防止することができる。
【0091】
この実施形態では、第1加熱室10aおよび第2加熱室10cは、搬送方向T1に沿って並べられた複数の搬送ローラ16を備えている。かかる構成によって、より多くの被処理物の加熱処理を行うことができ、設備を省スペース化することができる。また、連続加熱炉10,10Aをより高い温度での加熱にも使用することができる。
【0092】
上述した実施形態では、保持機構30のシャフト31は、中空のシャフトであり、冷媒供給装置40に接続されている。このため、シャフト31を冷却しつつ、段積み作業や段ばらし作業を行なうことができる。この実施形態では、保持機構30は、連続加熱炉10,10A内の高温環境下に設けられている。けれども、冷媒供給装置40によって供給される冷媒によってシャフト31が冷却されているので、シール部材33のシール性が保たれる。このため、連続加熱炉10,10A内の高温環境下で、加熱容器Aの蓋Bの着脱や加熱容器Aの段数の変更が行なわれても、シャフト31を通じて内部の雰囲気ガスが外に流出しにくい。また、シャフト31が冷却されることによってシール部材33の劣化が抑制されるので、シール部材33の長寿命化が図られる。かかる構成は、被処理物を高い温度で連続的に焼成する連続加熱炉に好適に用いられる。
【0093】
この実施形態では、シャフト31に取り付けられた保持具32は、シャフト31から延びたアーム部32bと、アーム部32bの下端から折れ曲った爪部32cとを備えている(
図3A~
図3C参照)。この場合、加熱容器Aは、アーム部32bの下端の爪部32cで保持されているので、冷媒によって冷やされるシャフト31に熱が奪われにくい。
【0094】
なお、保持具32は、加熱容器Aと当接する面に断熱材を備えていてもよい。この実施形態では、加熱容器Aと当接する面は、爪部32cである。爪部32cの、加熱容器Aが当接する面が断熱材を備えていることによって、保持具32を通して加熱容器Aが冷却されることを抑えることができる。なお、ここで用いられる断熱材は特に限定されないが、例えば、セラミック製の断熱材等を用いることができる。
【0095】
図2に示されている実施形態では、保持機構30は、複数の保持具32を備えている。複数の保持具32は、シャフト31に間隔を空けて配置されている。かかる構成によって、複数の列に並べられた加熱容器Aを同時に加熱処理し、および、加熱容器Aの蓋Bの着脱や加熱容器Aの段数の変更することができる。その結果、被処理物の処理時間を短縮することができる。
【0096】
この実施形態では、保持具32は、ニッケル-クロム-鉄合金またはニッケル基合金から構成されている。かかる構成によって、保持具32は酸化雰囲気、還元雰囲気、窒化雰囲気等の雰囲気下においても耐久性が良好である。また、高温環境下で使用されても耐久性が良好である。
【0097】
図9は、着脱装置80を示す断面図である。連続加熱炉10Aのうち、リフタ20と保持機構30を有する部分は、モジュール化されて着脱装置80を構成してもよい。
図9に示されているように、着脱装置80は、加熱容器Aを搬送する搬送空間12aを内部に有する隔壁12と、ヒータ14と、リフタ20と、保持機構30とを備えている。着脱装置80は、搬入口80aと、搬出口80bとを備えている。ヒータ14と、リフタ20と、保持機構30とは、それぞれ上述されているので、ここでは、詳しい説明を省略する。着脱装置80の隔壁12は、連続加熱炉10Aの炉体12と同様に、搬送空間12aの搬送方向T1の周りを全周に亘って、断熱材によって構成された炉壁12b~12dで囲われているとよい。着脱装置80は、加熱容器Aに蓋Bが載せられていない状態で搬入および搬出され、着脱装置80内でのみ蓋Bが載せられて被処理物が加熱処理されるように構成されていてもよい。また、着脱装置80は、加熱容器Aに蓋Bが載せられた状態で搬入および搬出され、着脱装置80内でのみ蓋Bが取り外されて被処理物が加熱処理されるように構成されていてもよい。着脱装置80の前後には、雰囲気を切り替えるためのシャッタや置換室が設けられていてもよい。着脱装置80は、搬入口80aと搬出口80bとのうち、少なくともいずれか一方が、被処理物を加熱処理するための加熱炉と、密封して接続されるように構成されていてもよい。
【0098】
かかる着脱装置80は、連続加熱炉の一部をなすモジュールとして利用可能である。着脱装置80は、連続加熱炉の他の構成や他のモジュールと組み合わせて被処理物を加熱する際に、適切な位置や温度で蓋Bの着脱作業が行えるように連続加熱炉を構成することができる。ここで、連続加熱炉の他のモジュールとしては、例えば、置換室や焼成室を構成するモジュールなどが挙げられうる。ここで開示される着脱装置80によれば、保持機構30のシャフト31に冷媒が供給されるので、蓋Bの着脱作業が行なわれる隔壁12の内部の搬送空間12aが高い温度でも、シール部材のシール性が高く維持される。このため、被処理物の温度を下げずに、蓋Bの着脱作業が行える。このため、連続加熱炉全体としての処理時間が短縮される。また、このように着脱装置80がモジュール化され、他のモジュールと接続することによって、蓋Bを着脱可能な任意の連続加熱炉を提供できる。このため、例えば、モジュールを選定し、モジュールの順番を決定して組み合わせることによって、蓋Bの着脱機構を備えた連続加熱炉を提供できる。このため、蓋Bの着脱機構を備えた連続加熱炉の設計が容易になる。
【0099】
以上、具体的な実施形態を挙げて詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。このように、請求の範囲に記載の技術には、以上に記載した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。また、上記実施形態で例示された複数の技術の一部を連続加熱炉または着脱装置に採用することも可能である。
【符号の説明】
【0100】
10,10A 連続加熱炉
10a 第1加熱室
10b 段数変更室
10b1 着脱室
10c 第2加熱室
10d,10e 置換室
12 炉体(隔壁)
12a 搬送空間
12b 側壁(炉壁)
12c 天井(炉壁)
12d 床壁(炉壁)
12e 挿通孔
12f ガス供給管
12g ガス排気管
12h 仕切り
14 ヒータ
16 搬送ローラ
16a,16b 支持板
17 スプロケット
18 ベース
20 リフタ
21 リフタ本体
21a 第1プレート
21b 第2プレート
21c 連結部
21d 操作ロッド
21e 連結バー
24 昇降装置
25 ガイド
25a リニアブッシュ
30 保持機構
31 シャフト
32 保持具
32a 基部
32b アーム部
32c 爪部
33 シール部材
34 ハウジング
35 軸受
36 操作アーム
37 駆動装置
38 支持片
39 コネクタ
40 冷媒供給装置
50 ストッパ
51 ストッパ本体
52 シャフト
53 昇降装置
60 制御装置
70 幅寄せ機構
71 幅寄せ板
72 シャフト
73 駆動装置
80 着脱装置
A 加熱容器
B 蓋
a1 壁
a2 凹み
H1 閉状態
H2 開状態
L1~L6 昇降位置
【要約】
【課題】被処理物の処理効率の向上。
【解決手段】連続加熱炉10Aは、加熱容器Aが搬送される連続した搬送空間12aを形成する少なくとも1つの炉体12を有する。搬送空間12aは、第1加熱室10aと、第2加熱室10cとを有している。第1加熱室10aと第2加熱室10cの間には、搬送方向T1に沿って並べられた搬送ローラ16と、搬送ローラ16の上を搬送された被搬送物を昇降させるリフタ20と、リフタ20で持ち上げられた被搬送物を保持する保持機構30とが設けられている。
【選択図】
図5