(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】足被覆具
(51)【国際特許分類】
A61F 13/06 20060101AFI20230110BHJP
A41B 11/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61F13/06 H
A41B11/00 G
(21)【出願番号】P 2018212817
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】河合 孝
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-197322(JP,U)
【文献】登録実用新案第3186427(JP,U)
【文献】国際公開第2007/032349(WO,A1)
【文献】実開平6-38949(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203212(JP,U)
【文献】特表2016-504956(JP,A)
【文献】特開2009-142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/06-13/08
A41B11/00-11/14
A41D13/00-13/12
A43B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪先と踵を含む足底とを少なくとも被覆する足被覆具であって、
前記足被覆具は、伸縮性生地で構成された、足底部、側辺部、踵部および前記爪先を覆う爪先部で形成され、
足を出し入れするための開口部を、前記足底部に対して上下反対側に設け、
前記爪先部は、爪先側が開口しているとともに
、第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部と、
第2足指を保持する第2足指保持部と、前記第1足指と
前記第2足指との間に位置する前記伸縮性生地よりも硬い指しきり部とを備え、
前記指しきり部は、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状を備え
た前記伸縮性生地よりも硬い素材が、前記側辺部と前記踵部と前記爪先部とを形成する伸縮性生地に覆われており、
前記開口部から前記爪先を挿入して爪先と踵と足底とを前記伸縮性生地で覆って前記足
被覆具を着用する際に、前記第1足指を前記第1足指保持部へ挿入する程度、および/または、前記第2足指を前記第2足指保持部に挿入する程度を、着用者が調整することにより、前記第1足指と前記第2足指との間を広げる程度を調整することができることを特徴とする足被覆具。
【請求項2】
前記足底部は、前記足底部の肌当接側に、肌側に膨らんだ弾性部材を備え、
前記足被覆具は、足裏側から足甲側までに至る足の横断面を一周するように前記伸縮性生地よりも伸びにくい緊締部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の足被覆具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自宅等で着用して足をリラックスさせることのできる足被覆具に関し、特に、着用すると足指を開放したり足裏を刺激したりして足を十分にリラックスさせることのできる足被覆具に関する。また、本発明は、外反母趾を予防する足被覆具に関する。なお、本発明に係る足被覆具は、足の少なくとも一部を被覆する足被覆具であればよく、ソックス(靴下)、ソックスカバー、インナーソックス、ヌードソックス、カバーソックス等も含む。
【背景技術】
【0002】
パンプス等を履いて自宅等から外出すると、踵が高く甲幅が狭いパンプスの靴等では足指に荷重がかかるとともに靴内部にほとんど隙間がなく足全体が靴とほぼ密着するため、このようなパンプスの靴等を履いていると、足指が蒸れたり、荷重により足指が圧迫されたりする。そこで、靴を脱いで自宅等の中でリラックスするのに適した靴下として、足指に対して通気性の良い靴下や、圧迫された指先の間を広げることができる靴下が近年提案されている。
【0003】
たとえば、実用新案登録第3186427号公報(特許文献1)は、ソックス着用者の好みに応じて、足指に対する通気性および保温性を選択的に得ることができ、かつ、意匠性にも優れたソックスを開示する。この特許文献1に開示されたソックスは、先端が開口されており、着用時に前記開口から足指が露出するように構成されたソックスであって、前記先端には、前記足指を被覆するとともに前記開口を閉塞するカバー体が、取り外しおよび装着自在に設けられたことを特徴とし、前記開口には、前記足指の間に挿入される指仕切部が設けられていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたソックスの指仕切部については、「指仕切部4は、開口5に設けられており、足指tの各指間に挿入されるものであって、指仕切部4の幅分、各指間を広げることができる」としか記載されていない(特許文献1の第0024段落および第0033段落)。この特許文献1に開示されたソックスは、ソックス着用者の好みに応じて、足指に対する通気性および保温性を選択的に得ることができ、かつ、意匠性にも優れたソックスを提供することを目的とする。この目的のために、このソックスは、先端が開口され足指を露出させ、その先端に足指を被覆するとともに開口を閉塞するカバー体が設けられている。そして、通気性を優先する場合にはこのカバー体により足指を被覆することなく、保温性を優先する場合にはカバー体により足指を被覆する。
【0006】
しかしながら、保温性を優先する場合には指仕切部の幅分だけ各指間を広げた足指をカバー体により被覆する必要があるために、指仕切部の幅を大きくすると大きく広がった足指をカバー体により被覆することができなくなるので、指仕切部の幅は必然的に小さくせざるを得ない。これでは、カバー体自体の伸縮性によりカバー体を被覆するときに広がるとしても限界があるので、指仕切部の小さな幅分しか各指間を広げることしかできない。このため、踵が高く甲幅が狭いパンプスの靴等を履くことによって指間が圧迫されていた場合に着用して指間を広げてリラックスすることができるとは到底考えられない。
【0007】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、踵が高く甲幅が狭い靴を履くことによって指間が圧迫されていても、指間を確実に広げたり足裏を刺激したりして足を十分にリラックスすることのできる足被覆具を提供することを目的とする。また、本発明は、外反母趾を予防する足被覆具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る足被覆具は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る足被覆具は、爪先と踵を含む足底とを少なくとも被覆する足被覆具であって、前記足被覆具は、伸縮性生地で構成された、足底部、側辺部、踵部および前記爪先を覆う爪先部で形成され、足を出し入れするための開口部を、前記足底部に対して上下反対側に設け、前記爪先部は、爪先側が開口しているとともに、少なくとも第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部と、前記第1足指と第2足指との間に位置する前記伸縮性生地よりも硬い指しきり部とを備え、前記指しきり部は、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状を備え、前記指しきり部は、非着用時の平面視において、前記指しきり部の爪先側の幅である略三角形の底辺の長さは前記第1足指保持部の幅に対して50%以上であることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記足底部は、前記足底部の肌当接側に、肌側に膨らんだ弾性部材を備え、前記足被覆具は、足裏側から足甲側までに至る足の横断面を一周するように前記伸縮性生地よりも伸びにくい緊締部材をさらに備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の足被覆具によれば、踵が高く甲幅が狭い靴を履くことによって指間が圧迫されていても、指間を確実に広げたり足裏を刺激したりして足を十分にリラックスすることのできる足被覆具を提供することができる。また、本発明の足被覆具によれば、外反母趾を予防する足被覆具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100を足Fに着用した状態についての全体斜視図である。
【
図2】
図1に示した足被覆具100についての(A)着用時における矢示2Aから見た底面図、(B)非着用時における矢示2Bから見た上面図、(C)足被覆具100が備える指しきり部132を説明するための斜視図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る足被覆具200を足Fに着用した状態についての全体斜視図である。
【
図4】
図3に示した足被覆具200についての(A)着用時における矢示4Aから見た底面図、(B)非着用時における矢示4Bから見た上面図、(C)足被覆具200が備える緊締部材210および弾性部材220を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100を、図面に基づき詳しく説明する。なお、足被覆具の構造には様々なものがあり、本発明は特定の構造に限定されるものではなく、後述する特徴を備えたものであれば、どのような足被覆具の構造であっても、足被覆具を形成する生地の種類、生地の型紙およびその生地の接合方法がどのようなものであっても基本的には構わない。そのため、以下に示す足被覆具の構造自体は単なる例示でしかない。特に、本発明に係る足被覆具は、足の少なくとも一部を被覆する足被覆具であればよく、ソックス(靴下)、ソックスカバー、インナーソックス、ヌードソックス、カバーソックス等も含む点については、上述した通りである。
【0013】
なお、この足被覆具を形成する生地について説明する。この足被覆具100を着用すると足指を開いて足指を開放することができるという作用効果または外反母趾を予防するという作用効果を十分に発現させるためには、閉じている足指間をこの足被覆具100により広げなければならずある程度の生地の強さが必要であることが多いので、この足被覆具100に採用される生地は、限定されるものではないが、ある程度伸びにくく縮みにくく、ある程度強靱な生地が好ましい。
【0014】
さらに、本実施の形態に係る足被覆具100は、爪先と踵を含む足底とを少なくとも被覆する足被覆具であって、伸縮性生地で構成された、足底部104、側辺部102B、踵部102Cおよび爪先を覆う爪先部102Aで形成され、足を出し入れするための開口部を足底部104に対して上下反対側に設けている。この開口部には伸縮性細幅生地114Aが設けられている。また、この足被覆具100は左右共用ではなく、左足用と右足用と
は左右対称の形状を備える。なお、図示しているのはこの足被覆具100の右足用である。
【0015】
そして、特徴的であるのは、爪先部102Aは、爪先側が開口しているとともに、少なくとも第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部122と、第1足指と第2足指との間に位置する(この足被覆具100を構成する)伸縮性生地よりも硬い指しきり部132とを備える点である。さらに、この指しきり部132は、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状を備え、指しきり部132は、
図2(B)に示すように、非着用時の平面視において、指しきり部132の爪先側の幅である略三角形の底辺の長さW(2)は第1足指保持部122の幅W(1)に対して50%以上であることを特徴とする。
【0016】
なお、本実施の形態に係る足被覆具100は複数の生地(爪先部102A、側辺部102Bおよび踵部102Cを形成する生地、足底部104を形成する生地の2つの生地)により構成されているが、生地の数およびこれらの生地どうしの接合方法については限定されるものではない。たとえば、3枚以上の生地で構成されていても構わないし、縫合により生地どうしを接合するものであっても構わないし、帯状部材の一面に接着材が塗布された接着テープを用いて加熱することにより接着材が溶融して生地を熱接着して生地どうしを接合するものであっても構わない。ここで、この接合には、熱圧着によるもの、熱溶着によるもの、熱融着によるもの等を含む。
【0017】
さらに詳しくこの足被覆具100について説明する。
図1にこの足被覆具100を足Fに着用した状態についての全体斜視図を、
図2(A)にこの足被覆具100の着用時における
図1に示す矢示2Aから見た底面図を、
図2(B)にこの足被覆具100を足Fに着用していない状態であってこの足被覆具100を平面に平置きした状態での平面視における
図1に示す矢示2Bから見た上面図、
図2(C)にこの足被覆具100が備える指しきり部132を説明するための斜視図を、それぞれ示す。ここで、
図1および
図2(A)は、着用者の足Fに足被覆具100を着用している状態での斜視図および底面図であって、
図2(B)は着用者の足Fに足被覆具100を着用していない状態であって足被覆具100自体を平面に平置きした状態での平面視での上面図である。
【0018】
これらの図に示すように、この足被覆具100は、着用者の足Fの爪先と踵を含む足底とを少なくとも被覆する足被覆具である。
この足被覆具100は、爪先部102A、足底部104、側辺部102Bおよび踵部102Cで形成されている。上述したように、足被覆具100は、爪先部102A、側辺部102Bおよび踵部102Cを形成する生地(この生地を生地102と記載する場合がある)および足底部104を形成する生地の2つの生地が縫合されたり接着されたりして接合されている。より詳しくは、爪先部102A、側辺部102Bおよび踵部102Cを形成する生地102は(隠れて見えないために)図示しない1ヶ所の縦方向の接合線により接合されるとともに、この生地102と足底部104を形成する生地とが足底外周に沿った(限定されるものではないがここでは接合テープ104Aを用いた)接合線により、それぞれ接合されている。
【0019】
そして、足底部104に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部が設けられている。この開口部の全周に亘って伸縮性細幅生地114Aが設けられている。この足被覆具100を履くときに伸縮性細幅生地114Aを伸張させると開口部が大きく開くために履きやすく、かつ、この足被覆具100を履いた後は伸縮性細幅生地114Aを収縮して開口部が小さくなるために足被覆具100が脱げることを防止することができる。なお、この伸縮性細幅生地114Aは、開口部の上縁の全周ではなく上縁の一部に設けるようにしても構わないし、連続的ではなく断続的に設けるようにしても構わないし、開口部に設けなくても構わない。いずれであっても、この伸縮性細幅生地114Aを設けると、この足被覆具100が履きやすく、足被覆具100が脱げたり位置ずれすることが少ない。この伸縮性細幅生地114Aの一例として、ナイロン製テープを挙げることができる。また、この伸縮性細幅生地114Aは(後述する伸縮性細幅生地114Bも)、開口部の生地の端部から糸が解けないように端面処理(ヘム処理)として、この開口部の全周の内側
(肌側)と外側(靴側)とに跨がって伸縮性細幅生地114Aを設けることも好ましい。
【0020】
そして、この足被覆具100の特徴は、爪先部102Aがその爪先側が開口しており(足爪を含めた足指先が足被覆具100から露出しており)その開口部の周縁には全周に亘って伸縮性細幅生地114Bが設けられている。そして、少なくとも第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部122と、第1足指と第2足指との間に位置するこの足被覆具100を形成する伸縮性生地(たとえば生地102)よりも硬い指しきり部132とを備える。なお、本発明に係る足被覆具は、少なくとも第1足指(親指)を他の足指から分離して保持するものであれば構わないが、本実施の形態に係る足被覆具100は、第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部122と、第5足指(小指)を他の足指から分離して保持する第3足指保持部126と、その他の足指(人差し指、中指、薬指の3指)をまとめて保持する第2足指保持部124とを備える。
【0021】
そして、指しきり部132は、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状を備え、指しきり部132は、
図2(B)に示す非着用時の平面視において、指しきり部132の爪先側の幅である略三角形の底辺の長さW(2)は第1足指保持部122の幅W(1)に対して50%以上である。特に、各指間が圧迫されている場合にこの足被覆具100を着用して各指間を確実に広げて十分にリラックスすることができるという作用効果または外反母趾を予防するという作用効果を確実に発現させるためには75%以上であることが好ましい。また、指しきり部132の爪先側の幅である略三角形の底辺の長さW(2)についての第1足指保持部122の幅W(1)に対する比率(50%以上、好ましくは75%以上)の上限については特に限定されるものではないが、200%以下であることが好ましい(W(2)≦W(1)×2)。
【0022】
このような指しきり部132は、限定されるものではないが、生地102に覆われた略三角柱形状である、たとえば硬質スポンジ132Sにより実現することが考えられる。
また、この足被覆具100は、第5足指(小指)を他の足指から分離して保持する第3足指保持部126と、その他の足指(人差し指、中指、薬指の3指)をまとめて保持する第2足指保持部124との間にも、小指しきり部134を備える。この小指しきり部134の幅は指しきり部132の幅W(2)よりも小さく、たとえば、爪先側開口部のこの小指しきり部134の位置で生地102を縫合するだけでも構わない。
【0023】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100によると、少なくとも第1足指(親指)を他の足指から分離して保持する第1足指保持部122と、第1足指と第2足指との間に位置するこの足被覆具100を形成する伸縮性生地(たとえば生地102)よりも硬い指しきり部132とを備える。そして、この指しきり部132は、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状を備え、指しきり部132は、
図2(B)に示す非着用時の平面視において、指しきり部132の爪先側の幅である略三角形の底辺の長さW(2)は第1足指保持部122の幅W(1)に対して50%以上であるために、各指間が圧迫されている場合にこの足被覆具100を着用して各指間を確実に広げて十分にリラックスすることができる。特に、足甲から爪先へ向けて幅が広くなる略三角柱の形状であるために、足被覆具100を着用するに従って(親指を足被覆具100の第1足指保持部122に挿入するとともに人差し指等を足被覆具100の第2足指保持部124に挿入するに従って)次第に足指の間(ここでは親指と人差し指との間)を広げてゆくことができるので、足指の間を容易に広げることができる。さらに、親指を足被覆具100の第1足指保持部122に挿入する程度、および/または、人差し指等を足被覆具100の第2足指保持部124に挿入する程度を着用者自身が調整することができるので、足指の間をどの程度まで広げるのかを容易に調整することができる。
【0024】
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100によると、このようなリラックス効果に加えて、以下のような外反母趾を予防するという作用効果を発現する。主として、女性がハイヒールのような踵が高く、先の細くなった靴を長時間履いている場合に、足の親指が外側(小指)の方に曲がる(外反する)病態として外反母趾が広く知られている。この外反母趾は、足の甲の内側にある第一中足骨が内反し、親指が外反すると親指の
付け根の関節(第一MTP関節)が突出して、靴を履いた場合に突出した部分が靴にこすれて疼痛を生じる。このような外反母趾の初期病態においては、本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100が備える指しきり部132により第1足指(親指)と第2足指(人差し指)との間を確実かつ十分に広げることができるので、外側(小指)の方に曲がった(または曲がる傾向がある)親指を反対側に反らせることができるために、外反母趾の病態が進行して手術等をしなければならない事態を回避することができる。このようにして、(結果的に)本発明の第1の実施の形態に係る足被覆具100によると、外反母趾を予防することができる。
【0025】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る足被覆具200を、図面に基づき詳しく説明する。なお、この足被覆具200は、上述した第1の実施の形態に係る足被覆具100の構成に加えて、緊締部材210および弾性部材220を備える点のみが異なる。それ以外の構造であって第1の実施の形態と同じ構造については第1の実施の形態と同じ符号を付している。それらについての説明は、上述した説明と重複するために、ここでは繰り返して説明しない。
【0026】
本発明の第2の実施の形態に係る足被覆具200について説明する。
図3に(上述した
図1に対応する図であって)この足被覆具200を足Fに着用した状態についての全体斜視図を、
図4(A)に(上述した
図2(A)に対応する図であって)この足被覆具200の着用時における
図3に示す矢示4Aから見た底面図を、
図4(B)に(上述した
図2(B)に対応する図であって)この足被覆具200を足Fに着用していない状態であってこの足被覆具200を平面に平置きした状態での平面視における
図3に示す矢示4Bから見た上面図、
図4(C)にこの足被覆具200が備える緊締部材210および弾性部材220を説明するための斜視図を、それぞれ示す。ここで、
図3、
図4(A)および
図4(C)は、着用者の足Fに足被覆具200を着用している状態での斜視図および底面図であって、
図4(B)は着用者の足Fに足被覆具200を着用していない状態であって足被覆具200自体を平面に平置きした状態での平面視での上面図である。
【0027】
そして、特徴的であるのは、上述した第1の実施の形態に係る足被覆具100の特徴に加えて、この足被覆具200の足底部104は、足底部104の肌当接側に、肌側に膨らんだ弾性部材220をさらに備えるとともに、足被覆具200は、足裏側から足甲側までに至る足の横断面を一周するように(この足被覆具100を構成する)伸縮性生地よりも伸びにくい緊締部材210を(開口部を横断するようにまたは開口部を横断することなく)さらに備えることを特徴とする。なお、緊締部材210および弾性部材220のいずれかだけを備えるものであっても構わない。
【0028】
緊締部材210は、その一例として幅広ゴムバンドがあげられて、生地102に接合されて、足甲から足側を経て足裏を回って、足をその足幅方向を強く締め付ける。また、弾性部材220は、その一例として硬質スポンジやシリコーンゴム等があげられて、足底部104の生地と被覆生地222とに挟まれてその位置がずれないように設けられている。
ここで、弾性部材220の位置は、足被覆具200においては着用者の足Fにおける踵に対応する位置であるがこの位置に限定されるものではなく、たとえば、着用者の足Fにおける土踏まずに対応する位置であっても構わない。特に、この足被覆具200により後述する外反母趾を予防するという観点では、弾性部材220の位置は足指の付け根に十分に作用するように設けることが好ましい。
【0029】
また、緊締部材210の幅W(3)および緊締部材210の開口部における位置は、履くときおよび脱ぐときに緊締部材210が邪魔にならず、かつ、緊締部材210により弾性部材220が足裏に強く圧接することのできる、幅および開口部における位置であることが好ましい。特に、この足被覆具200により後述する外反母趾を予防するという観点では、緊締部材210の幅W(3)および緊締部材210の開口部における位置は足指の付け根に十分に作用するように設けることが好ましい。
【0030】
以上のようにして、本発明の第2の実施の形態に係る足被覆具200によると、上述した第1の実施の形態に係る足被覆具100の作用効果に加えて、その足底部104の肌当
接側に、肌側に膨らんだ弾性部材220をさらに備え、足裏側から足甲側までに至る足の横断面を一周するように(この足被覆具200を構成する)伸縮性生地よりも伸びにくい緊締部材210を(開口部を横断するようにまたは開口部を横断することなく)さらに備えるために、緊締部材210により弾性部材220が足裏に強く圧接されて、弾性部材220が足裏を刺激して足を十分にリラックスさせることができる。
【0031】
特に、上述した第1の実施の形態における外反母趾を予防するという作用効果については、足被覆具100が備えずこの足被覆具200が備える緊締部材210を足指の付け根に作用するように設けることにより、この緊締部材210および指しきり部132により第1足指(親指)と第2足指(人差し指)との間を確実かつ十分に広げて親指を小指とは反対側に反らせることができるので、より効果的に外反母趾を予防することができる。さらに、この緊締部材210に加えて/替えて足被覆具100が備えずこの足被覆具200が備える弾性部材220を足指の付け根に十分に作用するように設けることにより、この弾性部材220および指しきり部132により第1足指(親指)と第2足指(人差し指)との間を確実かつ十分に広げて親指を小指とは反対側に反らせることができるので、より効果的に外反母趾を予防することができる。
【0032】
なお、指しきり部132、緊締部材210および弾性部材220により、第1足指(親指)と第2足指(人差し指)との間を確実かつ十分に広げて親指を小指とは反対側に反らせることができるので、さらに効果的に外反母趾を予防することができることになる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自宅等で着用して足をリラックスさせることのできる足被覆具に好適であり、着用すると足指を開放するとともに足裏を刺激して足をリラックスさせることのできる点または外反母趾を予防できる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0034】
100、200 足被覆具
102 生地
102A 爪先部
102B 側辺部
102C 踵部
104 足底部
114A、114B 伸縮性細幅生地
122 第1足指保持部
132 指しきり部
F 足