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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】エボジアミンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20230110BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230110BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20230110BHJP
   A61P 29/02 20060101ALN20230110BHJP
   A61P 9/08 20060101ALN20230110BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07B61/00 300
A61K31/519
A61P29/02
A61P9/08
A61P9/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018012737
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019131483
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝之
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107629051(CN,A)
【文献】Christodoulou, Michael S.; Sacchetti, Alessandro; Ronchetti, Valentina; et al,"Quinazolinecarboline alkaloid evodiamine as scaffold for targeting topoisomerase I and sirtuins",Bioorganic & Medicinal Chemistry,2013年,Vol.21(22),p.6920-6928
【文献】Beugelmans-Verrier, Michele; Potier, Pierre,"Synthesis of pentacyclic β-carboline and 1,4-benzodiazepine hybrid molecules by dehydrogenation-transamidation of quinazolinotetrahydro-β-carbolines",Tetrahedron,1987年,Vol.43(15),p.3465-3470
【文献】Bergman, Jan; Bergman, Solveig,"Studies of rutaecarpine and related quinazolinocarboline alkaloids",Journal of Organic Chemistry,1985年,Vol.50(8),p.1246-1255
【文献】Danieli, Bruno; Lesma, Giordano; Palmisano, Giovanni,”The configuration of (+)-evodiamine: a long-standing problem in the chemistry of indole alkaloids",Journal of the Chemical Society, Chemical Communications,1982年,Vol.19,p.1092-1093
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/14
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるエボジアミンの製造方法であって、
下記式(2)で表される化合物を、トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物をオルトギ酸エステル中で縮合反応させることによって合成した後、下記式(2)で表される化合物を精製せずに、下記式(2)で表される化合物とオルトギ酸エステルを、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロ酢酸及びトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種である非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させる工程と、
得られた反応物を乾固した後の残渣をピリジンの存在下で還流によって加熱し、式(1)で表されるエボジアミンを結晶として析出させる工程とを含むことを特徴とするエボジアミンの製造方法であって、
前記式(1)で表されるエボジアミンを結晶として析出させる工程において、前記還流によって加熱した後に、酢酸エチルを添加するエボジアミンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エボジアミンの製造方法に関し、詳しくは、効率的にエボジアミンを製造することができるエボジアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呉茱萸(ゴシュユ)成分のエボジアミンは、ミカン科ゴシュユ(Evodia rutaecarpa)とその近縁種に含まれるインドールアルカロイドである。アントラニル酸とトリプタミンを生合成前駆体としており、特徴的なインドロキナゾリン骨格を有する。強心作用(非特許文献1、2)、末梢血管拡張作用(非特許文献3、4)、鎮痛作用(非特許文献5、6)といった興味深い薬理作用を有しており、臨床薬理学的に注目されているとともに、漢方処方製剤の品質面においても、日本薬局方生薬「ゴシュユ」の確認試験成分として、また呉茱萸(ゴシュユ)成分を含む製剤の確認試験および定量試験での指標成分となっており、品質管理上も極めて重要な成分である。エボジアミンの製法としては、「ゴシュユ」から単離精製する方法が挙げられるが、この製法は、工程が煩雑で、純度の高いエボジアミンを得るのに難渋するものであった。また、エボジアミンの合成法も検討されているが、高収率化が課題であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】N.Shoji,et al.:J.Pharm Sci.,75,612(1986)
【文献】T.Kosuge,et al.:Chem.Pharm.Bull.,24,176
【文献】W.Chiou,et al.:J.Nat.Prod.,59,374(1996)
【文献】M.Yang,et al.:Euro.J.Pharmacol.,182,537(1990)
【文献】久保道徳ら:Natural Medicines,49,451(1995)
【文献】H.Matsuda,et al.:Biol.Pharm.Bull.,20,243(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、効率的にエボジアミンを製造することができるエボジアミンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記問題について鋭意研究した結果、特定の化合物とオルトギ酸エステルとを、非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させた後、有機塩基の存在下で加熱することによって、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明のエボジアミンの製造方法は、下記の[1]~[6]である。
【0007】
[1]下記式(1)で表されるエボジアミンの製造方法であって、
下記式(2)で表される化合物とオルトギ酸エステルを、非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させる工程と、
得られた反応物を有機塩基の存在下で加熱する工程とを含むことを特徴とするエボジアミンの製造方法。
【0008】
[2]前記式(2)で表される化合物を、トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物をオルトギ酸エステル中で縮合反応させることによって合成する[1]に記載のエボジアミンの製造方法。
【0009】
[3]前記得られた反応物を有機塩基の存在下で加熱する工程を還流によって行う[1]又は[2]に記載のエボジアミンの製造方法。
【0010】
[4]前記非還元性の酸触媒が、酢酸及びトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウムから選ばれる少なくとも1種である[1]~[3]のいずれかに記載のエボジアミンの製造方法。
【0011】
[5]前記有機塩基が、ピリジン、トリエチルアミン及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選ばれる少なくとも1種である[1]~[4]のいずれかに記載のエボジアミンの製造方法。
【0012】
[6]前記得られた反応物を有機塩基の存在下で加熱する工程において、前記得られた反応物を乾固した後の残渣を加熱する[1]~[5]のいずれかに記載のエボジアミンの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率的にエボジアミンを製造することができるエボジアミンの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のエボジアミンの製造方法によって、上記のとおり、式(2)で表される化合物とオルトギ酸エステルを、非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させた後、有機塩基の存在下で加熱することによって、高い収率でエボジアミンを製造することができるようになった。詳しいメカニズムは明らかではないが、式(2)で表される化合物が、非還元性の酸触媒の存在下、オルトギ酸エステルとの反応によってホルミル化した後、環化して下記の化合物が生成し、有機塩基で還元されることによって、効率的に次の環化が進行し、エボジアミンを製造できたと考えられる。
【0015】
【0016】
また、本発明においては、式(2)で表される化合物を合成して得る場合、式(2)で表される化合物を精製せずに、非還元性の酸触媒の存在下でオルトギ酸エステルと反応させてもよい。その場合、式(2)で表される化合物の精製工程を省略したにもかかわらず、高い収率で、式(2)で表される化合物を製造することができる。
【0017】
さらに、本発明においては、有機塩基の存在下で加熱する工程を、還流によって行うことによって、エボジアミンが結晶として析出され、容易に極めて高純度なエボジアミンを製造することが可能である。
【0018】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
<式(2)で表される化合物>
【0020】
式(2)で表される化合物は、トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応によって合成して得ることができるが、これに限定されず、公知慣用の方法で得ればよい。式(2)で表される化合物を合成で得た場合、得られた式(2)で表される化合物を精製してもよいが、上記のとおり、本発明においては精製せずに用いても、目的物であるエボジアミンを高い収率で得ることができる。特に、トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応によって式(2)で表される化合物を合成した場合、式(2)で表される化合物を精製せずに、非還元性の酸触媒の存在下でオルトギ酸エステルと反応させても、80%以上という高い収率でエボジアミンを製造することも可能である。
【0021】
トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応は、公知慣用の方法で行えばよい。トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応は、オルトギ酸エステル存在下で行ってもよく、その場合、縮合反応後に非還元性の酸触媒を添加するだけで、次の工程の反応系とすることができるため、工程を簡略化することができる。トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応は24℃~120℃で行うことが好ましく、80℃~100℃で行うことがより好ましい。また、反応時間は1時間~5時間であることが好ましく、2時間~3時間であることがより好ましい。反応溶媒は特に限定されず、例えばテトラヒドロフラン(THF)等を用いることができるが、次の工程で溶媒自身がホルミル化できるものを好適に用いることができる。そのような溶媒としては、例えばジメチルホルムアミドジメチルアセタール等が挙げられ、また、オルトギ酸エステルを用いることもできる。
【0022】
トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物は公知慣用の方法で得ればよく、例えば市販されているものを用いればよい。N-メチルイサト酸無水物を合成して得る場合、例えば、N-メチルイサト酸を原料に用い、ジ-tert-ブチルビスカーボネートと向山試薬によってN-メチルイサト酸無水物を合成すればよい。
【0023】
<式(2)で表される化合物とオルトギ酸エステルを非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させる工程>
当該工程において、オルトギ酸エステルとしては、ホルミル化剤として用いることができるものであればよく、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール等が挙げられ、なかでも、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチルが好ましい。
【0024】
また、非還元性の酸触媒としては、公知慣用のものを用いればよく、例えば、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0025】
当該工程における反応は、24℃~150℃で行うことが好ましく、80℃~130℃で行うことがより好ましく、100℃~125℃で行うことがさらに好ましい。また、反応時間は1時間~26時間であることが好ましい。式(2)で表される化合物を合成して得た後に精製せずに当該工程で加熱して反応させる場合は、反応時間は1時間~5時間であることが好ましく、3時間~4時間であることがさらに好ましい。式(2)で表される化合物を合成して得た後に精製してから当該工程で加熱して反応させる場合は、反応時間は20時間~26時間であることが好ましい。また、反応溶媒として公知慣用の溶媒を用いてもよい。
【0026】
<有機塩基の存在下で加熱する工程>
式(2)で表される化合物とオルトギ酸エステルを非還元性の酸触媒の存在下で加熱して反応させる工程だけでも目的物であるエボジアミンを生成し得るが、収率が低かった。本発明においては、得られた反応物を有機塩基の存在下で加熱することによって、エボジアミンを高い収率で製造することができる。当該工程は、上記のとおり、還流によって行うことが好ましい。
【0027】
当該工程において、有機塩基としては、公知慣用のものを用いればよく、例えば、窒素原子を含む有機塩基であるピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられ、なかでも、ピリジンが好ましい。有機塩基の添加方法は特に限定されないが、反応物に添加してもよく、また、反応物を例えば減圧下で乾固してから、残渣を有機塩基で溶解してもよい。
【0028】
当該工程における加熱は、100℃~140℃で行うことが好ましく、125℃~130℃で行うことがより好ましい。また、加熱時間は1時間~5時間であることが好ましく、2時間~3時間であることがより好ましい。
【0029】
当該工程を還流によって行うと、エボジアミンが結晶として析出するため、精製工程も兼ねることができ、極めて高純度なエボジアミンを得ることができる。析出したエボジアミンの結晶は、濾取して回収すればよい。
【0030】
本発明の製造方法において、式(2)で表される化合物をトリプタミンとN-メチルイサト酸無水物から合成した後、式(2)で表される化合物を精製せずに、非還元性の酸触媒の存在下でオルトギ酸エステルと反応させる場合の具体的な実施態様の一例を下記に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物のオルトギ酸トリメチル混液を加熱攪拌し、TLC(薄層クロマトグラフィー)にて式(2)で表される化合物が生成されたことを確認後、酢酸を加え、再度、加熱攪拌する。TLCにて反応が完結していることを確認し、過剰のオルトギ酸トリメチルと酢酸を減圧下蒸発させて乾固する。得られた残渣にピリジンを加えて還流すると目的物であるエボジアミンが結晶として析出してくる。これを濾取することでエボジアミンが得られる。当該実施態様によれば、簡便に、しかも80%以上の単離収率でエボジアミンを得ることができる。
【実施例
【0032】
<式(2)で表される化合物の合成例(トリプタミンとN-メチルイサト酸無水物の縮合反応)>
【0033】
[参考例1]
トリプタミン( 2.9g、17.8mmol)、N-メチルイサト酸無水物( 3.2g、18mmol)をTHF溶媒中で縮合させ、式(2)で表される化合物Benzamide, N-[2-(1H-indol-3-yl)ethyl]-2-(methylamino)-を得た。
【0034】
得られた化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)のデータを以下に示す。
1H-NMR (CDCl3-d6, 600 MHz) δ2.85 (3H, s), 3.08 (2H, t, J = 6.6Hz), 3.75 (2H, dd, J = 12.6, 6.6Hz), 6.11 (1H, brs), 6.50 (1H, td, J = 7.8, 0.6Hz), 6.64 (1H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (1H, d, J = 2.4Hz), 7.12-7.15 (2H, m), 7.22 (1H, td, J = 8.4, 1.2Hz), 7.28 (1H, ddd, J = 8.4, 7.2, 1.2Hz), 7.39 (1H, d, J = 8.4Hz), 7.46 (1H, brs), 7.65 (1H, dd, J = 7.8, 0.6Hz)
【0035】
<式(2)で表される化合物からのエボジアミンの合成の検討>
【0036】
[比較例1]
前記参考例1で得た式(2)で表される化合物66.4mgおよびオルトギ酸トリメチル(10mL)の混合液に酢酸(10mL)を添加し、100℃で24時間攪拌した。冷却後、得られた反応混液を減圧濃縮し、少量のエボジアミンを得た。(収率:10%)
【0037】
[比較例2]
比較例1で酢酸の代わりにパラトルエンスルホン酸を使用した場合、エボジアミンは得られず、反応が進まなかった。
【0038】
[比較例3]
前記参考例1で得た式(2)で表される化合物64.6mgおよびオルトギ酸トリメチル(0.5mL)、のギ酸(0.5mL)混合液を110℃で18時間撹拌した場合、冷却後、得られた反応混液を減圧下蒸発させた後に、ピリジンに溶解させ120℃で2時間撹拌し、冷却後得られた反応混液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記の化合物が収率67%で得られた。
【0039】
参考例2
前記参考例1で得た式(2)で表される化合物51.3 mgおよびオルトギ酸トリメチル(0.5mL)の酢酸(0.5mL)混合液を、100℃で26時間撹拌した。冷却後、得られた反応混液に、ピリジン(0.5mL)を加え、さらに、125℃で2時間撹拌した。冷却後得られた反応混液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エボジアミンが61%の収率で得られた。
【0040】
参考例3
前記参考例1で得た式(2)で表される化合物50.8mgおよびオルトギ酸トリエチル(0.25mL)の1,2-DCE(0.5mL)懸濁液にSc(OTf)(2mol%)を室温中で添加し、125℃で20時間撹拌した。冷却後、得られた反応混液に、ピリジン(0.5mL)を加え、さらに、125℃で2時間撹拌した。冷却後得られた反応混液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エボジアミンが57%の収率で得られた。
【0041】
[実施例3]
トリプタミン(3.0g、18.7mmol)、N-メチルイサト酸無水物(3.3g、18.6mmol)、及び、オルトギ酸トリメチル(10mL)の懸濁液を100℃で2時間攪拌し、式(2)で表される化合物が得られていることをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートで確認した。冷却後、得られた反応混液に酢酸(10mL)を添加し、100℃で3時間攪拌した。冷却後、得られた反応混液を減圧濃縮し、トルエン(50mL×2)で共沸し、その残渣をピリジン(20mL)で溶解した。その後、得られた反応混液を125℃で3時間攪拌した。酢酸エチル(150mL)を添加した後、沈殿した目的物を少量のメタノールと共に濾過して回収し、エボジアミンを得た(この工程は2回繰り返した)。エボジアミンの収量は4.6g(4.4g+0.2g)(15.2mmol)であり、収率は82%であった。
【0042】
得られたエボジアミンのプロトン核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)のデータを以下に示す。
1H-NMR spectrum of evodiamine (600MHz, DMSO-d6) δ2.80 (1H, dd, J = 4.2, 15.0Hz), 2.88-2.95 (1H, m), 3.21 (1H, ddd, J = 4.8, 12.0, 12.6Hz), 4.63 (1H, dd, J = 11.4, 12.6Hz), 6.13 (1H, s), 6.97 (1H, td, J = 7.8, 0.6Hz), 7.00 (1H, td, J = 7.8, 0.6Hz), 7.06 (1H, d, J = 7.8Hz), 7.11 (1H, td, J = 7.2, 0.6Hz), 7.36 (1H, d, J = 7.8Hz), 7.47 (1H, dd, J = 1.8, 7.2Hz), 7.49 (1H, dd, J = 1.8, 7.8Hz), 7.80 (1H, dd, J = 1.2, 7.8Hz), 11.07 (1H, s)
【0043】
上記の実験例に示すとおり、本発明のエボジアミンの製造方法によれば、高い収率でエボジアミンの合成を達成することができた。