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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】固形組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/346 20060101AFI20230110BHJP
   A61K 36/736 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 31/09 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230110BHJP
   A61P 11/10 20060101ALI20230110BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20230110BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20230110BHJP
   A61K 129/00 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
A61K36/346
A61K36/736
A61K31/09
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/38
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61P11/10
A61P11/14
A61K125:00
A61K129:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018083538
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2018188425
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2017091537
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】及川 和
(72)【発明者】
【氏名】石井 和寛
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-032346(JP,A)
【文献】特開2010-047518(JP,A)
【文献】特開2004-269513(JP,A)
【文献】特開2007-091633(JP,A)
【文献】特表2007-530620(JP,A)
【文献】特表2007-530481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グアイフェネシン、(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬、及び(c)乳糖、リン酸水素カルシウム及び結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の賦形剤を含有し、次のi)~iii)を満たすことを特徴とする固形組成物。
i)(a)グアイフェネシンの含有率が固形組成物全体に対し1質量%以上
ii)(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬が、(a)グアイフェネシン1質量部に対して、0.01~300質量部
iii)(c)乳糖、リン酸水素カルシウム及び結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の賦形剤が、(a)グアイフェネシン1質量部に対して、0.01~25質量部
【請求項2】
さらに、(d)無水ケイ酸又は含水ケイ酸から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
経口用組成物である、請求項1又は2に記載の固形組成物。
【請求項4】
錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠及びドライシロップ剤からなる群から選ばれる請求項1~3に記載の固形組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グアイフェネシンとオウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬を含有する固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般用医薬品(OTC)分野の薬剤開発においては、如何に効果的にかぜの諸症状を除去等するかが重要である。かぜ症候群のうち、特に痰の喀出(去痰)を図ることは、患者の負担が軽減されるため大変重要である。
グアイフェネシン(Guaifenesin:3-(2-メトキシフェノキシ)-1,2-プロパンジオール)は、視床下部の抑制及び気管支筋の弛緩による鎮咳作用と、気道分泌液の増加による去痰作用を有し、優れた去痰作用を有する化合物として広く知られている薬物である。また、去痰作用を有する生薬としては、オウヒ(桜皮)やキキョウ(桔梗)などが知られている。オウヒ(桜皮)はバラ科のヤマザクラ、その他Prunus属の樹皮から得られるものであり、古来より鎮咳・咳嗽の目的で用いられている生薬である。キキョウ(桔梗)は、キキョウPlatycodon grandiflorum A. De Candolle(キキョウ科Campanulaceae)の根から得られるものであり、去痰、排膿薬、口腔咽頭薬の目的で用いられている生薬である。
【0003】
一方で、グアイフェネシンは融点が約81℃であり、製剤化時に製造機器で発生する摩擦や熱により溶融し、機器への付着が生じ、機器の停止や付着物の混入による質量ばらつきなどの製造性の著しい低下といった問題が生じやすい。また、グアイフェネシンと塩酸メトキシフェナミン、無水カフェイン等との薬剤を含有する製剤に関しては、湿潤、変色等の製剤上の安定性が確保できず、これらを解決する技術(特許文献1)が知られているが、別顆粒とする必要があり製造方法が煩雑化する。
【0004】
生薬エキスは吸湿しやすくべたつくため、製造機器への付着が生じ、製造性の著しい低下といった問題を生じ、また、生薬エキスの高い吸湿性は変色の原因の一因であると考えられており、経時的な変色といった問題を生じる。吸湿しやすいエキス末を使用して組成物を製造する際、生薬エキスのべたつきを改善する手法として、無機物、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを一定の割合で配合する手法が報告されている(特許文献2)が、変色抑制については何ら記載されていない。また、生薬エキスの色変を抑制する手法としては、ポリ酢酸ビニルの配合が報告されているが(特許文献3)、この方法は噴霧・乾燥といった煩雑な製造工程が必要である。また、2種の吸着剤を配合して生薬エキスの色変を抑制する方法が報告されているが(特許文献4)、その効果は十分ではない。
【0005】
本発明者らは、グアイフェネシンとオウヒやキキョウなどの生薬を含む組成物を製造し、鋭意検討したところ、経時的に変色するという課題に直面した。一般的に、変色は商品価値の低下や服用性を悪化させる傾向があり、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-277962号 公報
【文献】特開2012-1474号 公報
【文献】特開2014-166994号 公報
【文献】特開2013-32346号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、グアイフェネシン及びオウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬を配合した製剤における経時的な色の変化を抑制した、固形組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、グアイフェネシン、及びオウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬を含有する固形組成物に、さらに、グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤を含有させることで、経時的な変色が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)(a)グアイフェネシン、(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬、及び(c)グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤を含有し、(a)グアイフェネシンの含有率が固形組成物全体に対し1質量%以上であることを特徴とする固形組成物、
(2)(c)グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤が、乳糖、リン酸水素カルシウム及び結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の固形組成物、
(3)さらに、(d)無水ケイ酸又は含水ケイ酸から選ばれる少なくとも1種を含有する(1)又は(2)に記載の固形組成物、
(4)経口用組成物である、(1)~(3)に記載の固形組成物、
(5)錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠及びドライシロップ剤からなる群から選ばれる(1)~(4)に記載の固形組成物、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、経時的な変色が抑制された、グアイフェネシン、及びオウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬を含有する固形組成物の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる(a)グアイフェネシンは、化学式C1014で示される化合物であり、医薬的に許容されるものであれば特に限定はしない。グアイフェネシンは、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬とは、医薬品に用いられるものであれば特に限定されず、粉末化したもの、抽出物、エキス末等を含み、市販品を用いることもできる。オウヒは、ヤマザクラPrunus jamasakura Siebold ex Koidzumi又はカスミザクラPrunus verecunda Koehne(Rosaceae)の樹皮を乾燥したものが使用可能であるが、これを粉砕し粉末化したもの、又はエキス化したものが使用でき、好ましくは、エキス末である。キキョウは、Platycodon grandiflorum A. De Candolle(Campanulaceae)の根を乾燥させたものが使用可能であるが、これを粉砕し粉末化したもの、又はエキス化したものが使用でき、好ましくはエキス末である。
【0013】
本発明における「融点降下」とは、2種の成分が互いに接触することにより、各々の成分固有の融点が接触後降下する現象をいう。このとき、2成分の接触によって、1成分の融点のみが降下する場合、2成分の融点が各々降下する場合、2成分の融点が重なって全体に降下する場合がある。「融点降下が10℃以下」とは、2成分の等量物理混合物において、1成分又は2成分の融点の降下が10℃以下であることをいう。グアイフェネシンの融点は通常、80~83℃であるが、グアイフェネシンが他方の成分と接触後、融点降下を生じる時、グアイフェネシン及び/又は他方の成分の融点降下後の融点は約50℃~約80℃となる場合が多い。融点は公知の方法で測定できる。例えば、示差走査熱量計(DSC8230、リガク社製など)を用いて熱挙動を観察することで、成分の融点の測定が可能である。
【0014】
(c)グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤とは、特に限定されず、前記「融点降下が10℃以下」で規定した特徴を有する成分であるが、例えば、乳糖、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、粉糖及びトレハロース等が挙げられ、好ましくは、乳糖、リン酸水素カルシウム及び結晶セルロースである。
【0015】
乳糖は、医薬品添加物として一般的に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、粒状でも粉末状であってもよい。また、市販のものを用いることができ、例えば、乳糖200(DMV)、Dilactose S(フロイント産業)、Dilactose R(フロイント産業)、タブレトース(メグレジャパン)等を使用できる。
【0016】
結晶セルロースは、医薬品添加物として一般的に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、粒状でも粉末状であってもよい。また、市販のものを用いることができ、例えば、Phatmacel101(DMV)、セオラスPH101(旭化成ケミカルズ)、結晶セルロース(DSP五協フード&ケミカルズ)等を使用出来る。
【0017】
リン酸水素カルシウムは、医薬品添加物として一般的に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、粒状でも粉末状であってもよい。また、市販のものを用いることができ、例えばリン酸水素カルシウム-無水GS(協和化学)、リン酸水素カルシウム-無水軽質(協和化学)及びフジカリン(富士化学工業)等を使用できる。
【0018】
本発明の固形組成物において、(a)グアイフェネシンの含有量は、固形組成物全体に対して通常、1質量%以上であり、1質量%より多い量が好ましい。より好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である。グアイフェネシンの含有量が1重量%未満であれば、外観に変化が生じない場合があるからである。上限は通常、90質量%であり、好ましくは60質量%である。
【0019】
(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬の含有量(オウヒ及びキキョウを含む場合はその総量、以下同じ)は、通常、固形組成物全体の0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。生薬の含有量が1質量%未満であれば、外観に変色が生じない場合があるからである。上限は、通常、90質量%であり、好ましくは60%である。また、(b)オウヒ又はキキョウから選ばれる少なくとも1種の生薬は、(a)グアイフェネシン1質量部に対して、通常、0.01~300質量部であり、好ましくは0.01~15質量部であり、より好ましくは0.01~5質量部である。
【0020】
(c)グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤の含有量(2種以上を含む場合はその総量、以下同じ)は、固形組成物全体に対して、通常、0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤の含有量が0.1%未満であれば、外観に変化が生じない場合があるからである。上限は、通常、90質量%であり、好ましくは、60質量%である。また、(c)グアイフェネシンとの融点降下が10℃以下の賦形剤は、(a)グアイフェネシン1質量部に対して、通常、0.01~25質量部であり、好ましくは0.1~15質量部である。
【0021】
本発明に用いられる(d)無水ケイ酸又は含水ケイ酸から選ばれる少なくとも1種は、医薬品添加物として一般的に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、粒状でも粉末状であってもよい。また、市販のものを用いることができ、例えば、アエロジル(日本アエロジル)、アドソリダー101(フロイント産業)、サイリシア(富士シリシア化学)、MMR(浅田製粉)及びPKP-81(富士タルク)等を使用できる。
【0022】
(d)無水ケイ酸又は含水ケイ酸から選ばれる少なくとも1種の含有量(混合物である場合にはそれらの総量、以下同じ)は、本発明の固形組成物全体に対し、通常0.05質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上である。上限は、通常、50質量%であり、好ましくは、10質量%である。(d)無水ケイ酸又は含水ケイ酸から選ばれる少なくとも1種は、(a)グアイフェネシン1質量部に対して、通常、0.01~25質量部であり、好ましくは0.02~1質量部である。
【0023】
本発明の固形組成物中にはグアイフェネシンの他に、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、通常用いられる他の有効成分(例えばアセトアミノフェン、イブプロフェン等の解熱鎮痛剤、ジヒドロコデインリン酸塩等の鎮咳剤、クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン剤、メチルエフェドリン塩酸塩等の気管支拡張剤、カフェイン無水物等の中枢興奮剤など)、賦形剤、崩壊剤、結合剤などを配合しうる。
【0024】
本発明の固形組成物とは、2成分以上の成分により構成される常温で固体状の組成物をいい、例えば、混合することにより得られる粉末、造粒により得られる造粒物、粉末や造粒物を打錠することにより得られる錠剤などを挙げることができる。剤型としては、錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤等を挙げることができ、特にこれらに限定されるものではないが、好ましくは錠剤、顆粒剤又は散剤である。また、その製造方法は、医薬品の製剤化における一般的な方法で製造することができ、本発明の効果を損なわない範囲で製剤製造時に一般的に配合される成分を適宜配合することができる。グアイフェネシン及び特定の生薬、及び賦形剤として乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウムを配合し、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を混合して常法により製造することができる。
【実施例
【0025】
(実施例、比較例)
以下に実施例及び比較例を挙げ、本説明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
表1~表4の成分を各配合比に従い秤量し、ビニール袋内で混合した後、篩を通して粉体を調製した。粉体を300mgずつ秤り取り、錠剤成型機(HANDTAB-200、市橋精機製)で製錠した。
【0026】
(試験例)
実施例1~18及び比較例1~8について1錠ずつガラスビンに入れて密閉し、65℃条件下で3時間保存した。保存後の錠剤について、それぞれ製造直後品との色差ΔE*(ab)について分光式光度計(SE6000、日本電色工業製)を用いて測定した。
また、保存後の錠剤について、それぞれ製造直後品との外観変色を評価した。外観変色評価は、下記『外観評価基準』に従い実施した。
結果を、表1、表2、表3及び表4に示す。
【0027】
『外観評価基準』
○ 変化なし,もしくはほぼ変化なし
× 明らかな変色が認められる
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
表1より明らかなように、グアイフェネシンに加えてオウヒエキス末を含有することで固形組成物の変色の程度は増加した(比較例1、2)。またグアイフェネシン及びオウヒエキス末を含有する固形組成物に関して、結晶セルロース、乳糖又はリン酸水素カルシウムを含む実施例1~3の固形組成物は、マンニトール、コーンスターチ又はバレイショデンプンを含む比較例2~4の固形組成物と比べて、経時的な色の変化が抑制された。
【0033】
表2より明らかなように、グアイフェネシン及びキキョウエキス末を含有する固形組成物に関して、結晶セルロース、乳糖又はリン酸水素カルシウムを含む実施例4~6の固形組成物は、マンニトール又はバレイショデンプンを含む比較例5、6の固形組成物と比べて、経時的な色の変化が抑制された。
【0034】
表3より明らかなように、グアイフェネシンに加えてオウヒエキス末及びキキョウエキス末を含有する固形組成物に関して、結晶セルロース、乳糖又はリン酸水素カルシウムを含む実施例7~9の固形組成物は、マンニトール又はバレイショデンプンを含む比較例7、8の固形組成物と比べて、経時的な色の変化が抑制された。
【0035】
表4より明らかなように、グアイフェネシンに加えてオウヒエキス末、キキョウエキス末、又はオウヒエキス末及びキキョウエキス末を含有する固形組成物に関して、結晶セルロース、乳糖又はリン酸水素カルシウムに加えて、さらに軽質無水ケイ酸を含む実施例10~18の固形組成物は、軽質無水ケイ酸を含まない実施例1~9の固形組成物と比べて、経時的な色の変化が抑制された。
【0036】
(製剤例1)
表5の処方に従い、製剤例1を調製した。造粒顆粒に属する各成分を秤量後、精製水及びエタノール混液を造粒液として高速攪拌造粒機(VG-5、パウレック社製)にて造粒した。調製した造粒顆粒に後末添加成分を混合した後、ロータリー式打錠機(VIRGO19、菊水製作所社製)にて製錠した。
【0037】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明により、グアイフェネシン及び特定の生薬を含有していても、経時的な変色が抑制された、商品価値の高いグアイフェネシン及び生薬配合の固形組成物の提供が可能となった。