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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20230110BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20230110BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20230110BHJP
   F22D 1/18 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
F24H1/00 631Z
F24H4/02 G
F24H15/375
F22D1/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018180792
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051676
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-169821(JP,A)
【文献】特開2014-169819(JP,A)
【文献】特開2015-132445(JP,A)
【文献】特開2013-210118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 4/02
F24H 15/375
F22D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水を貯留する給水タンクと、
熱源水を貯留する熱源水タンクと、
給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、
給水を前記給水タンクに送給する第2給水ラインと、
給水を前記給水タンクに送給する第3給水ラインと、
熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、
前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器よりも下流側の前記熱源水ラインを流通する熱源水からヒートポンプ回路により熱を汲み上げ、前記第2給水ラインを流通する給水を加温する冷温水機と、
前記第1給水ライン、前記第2給水ライン、及び前記第3給水ラインのそれぞれに対し、給水の送給の有無を制御する制御手段と、
前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記熱源水タンクから送出される熱源水の温度を検出する熱源水温度検出手段と、を備え
前記冷温水機は、圧縮機、凝縮器、過冷却器、膨張弁、及び蒸発器が順に環状に接続され、冷媒を循環しながら前記凝縮器で温熱を取り出す前記ヒートポンプ回路と、第2熱交換器と、を有し、
前記第2給水ラインを流通する給水は、前記第2熱交換器、前記過冷却器、及び前記凝縮器の順で通水され、
前記熱源水ラインを流通する熱源水は、前記蒸発器及び前記第2熱交換器の順で通水され、
前記制御手段は、
前記熱源水温度検出手段の検出温度値が第1設定温度値以上の場合、
前記水位検出手段の検出水位値が第1設定水位値を下回ると、前記第1給水ラインから給水を送給させ、
前記検出水位値が前記第1設定水位値よりも低い第2設定水位値を下回ると、前記第2給水ラインから給水を送給させるとともに、前記圧縮機を起動し、
前記検出水位値が前記第2設定水位値よりも低い第3設定水位値を下回ると、前記第3給水ラインから給水を送給させ、
前記熱源水温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度値未満の場合、
前記検出水位値が第4設定水位値を下回ると、前記第2給水ラインから給水を送給させるとともに、前記圧縮機を起動し、
前記検出水位値が前記第4設定水位値よりも低い第5設定水位値を下回ると、前記第1給水ラインから給水を送給させ、
前記検出水位値が前記第5設定水位値よりも低い第6設定水位値を下回ると、前記第3給水ラインから給水を送給させ、
前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインの一方又は両方から給水を送給中、前記熱源水タンクから前記熱源水ラインに熱源水を送出させる、
給水加温システム。
【請求項2】
前記第1給水ラインは、上流端が前記第3給水ラインから分岐するように、又は下流端が前記第3給水ラインに合流するように、又は前記上流端が前記第3給水ラインから分岐し且つ前記下流端が前記第3給水ラインに合流するように配設されている、
請求項1記載の給水加温システム。
【請求項3】
前記給水タンクに供給される給水を貯留する一次タンクと、
前記一次タンクから送出される給水の温度を検出する給水温度検出手段と、
前記第1熱交換器の上流側及び下流側の前記熱源水ラインどうしを連通する第1バイパスラインと、
熱源水の前記第1熱交換器への流通と、前記第1バイパスラインへの流通とを切り換える第1熱源水流路切換手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記熱源水温度検出手段の検出温度値と前記給水温度検出手段の検出温度値との差分値が第2設定温度値未満になると、熱源水を前記第1バイパスラインに流通させるように前記第1熱源水流路切換手段を切り換え、
前記差分値が前記第2設定温度値以上になると、熱源水を前記第1熱交換器に流通させるように前記第1熱源水流路切換手段を切り換える、
請求項又は請求項に記載の給水加温システム。
【請求項4】
前記給水タンクに供給される給水を貯留する一次タンクと、
前記一次タンクから送出される給水の温度を検出する給水温度検出手段と、
前記冷温水機の上流側及び下流側の前記熱源水ラインどうしを連通する第2バイパスラインと、
熱源水の前記冷温水機への流通と、前記第2バイパスラインへの流通とを切り換える第2熱源水流路切換手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記熱源水温度検出手段の検出温度値と前記給水温度検出手段の検出温度値との差分値が第3設定温度値未満になると、熱源水を前記第2バイパスラインに流通させるように前記第2熱源水流路切換手段を切り換え、
前記差分値が前記第3設定温度値以上になると、熱源水を前記冷温水機に流通させるように前記第2熱源水流路切換手段を切り換える、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水加温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等から排出される廃温水を熱源水として給水を加温し、加温された給水をボイラの給水タンクに供給する技術が提案されている。加温された給水が給水タンクからボイラに供給されることにより、ボイラで蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。特許文献1には、ヒートポンプにより熱源水から熱を汲み上げて給水を加温する給水加温システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-210118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートポンプは、高温部と低温部の温度差が小さいほど成績係数(COP)が良くなるので、低温部側となる給水の温度(10~30℃の常温)に、高温部側となる熱源水の温度が近いほど熱回収効率が高い。その一方で、ヒートポンプは、熱源水の温度が高くなり過ぎると熱回収効率が低下する。工場等から排出される廃温水の温度は、業種によって様々であり、操業中の廃温水の温度変化にも種々のパターンが存在する。そのため、幅広い温度範囲の熱源水から効率良く熱回収できる技術が要望される。
【0005】
本発明の態様は、幅広い温度範囲の熱源水から効率良く熱回収できる給水加温システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、給水を貯留する給水タンクと、熱源水を貯留する熱源水タンクと、給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、給水を前記給水タンクに送給する第2給水ラインと、給水を前記給水タンクに送給する第3給水ラインと、熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加温する第1熱交換器と、前記第1熱交換器よりも下流側の前記熱源水ラインを流通する熱源水からヒートポンプ回路により熱を汲み上げ、前記第2給水ラインを流通する給水を加温する冷温水機と、前記第1給水ライン、前記第2給水ライン、及び前記第3給水ラインのそれぞれに対し、給水の送給の有無を制御する制御手段と、前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記熱源水タンクから送出される熱源水の温度を検出する熱源水温度検出手段と、を備え、前記冷温水機は、圧縮機、凝縮器、過冷却器、膨張弁、及び蒸発器が順に環状に接続され、冷媒を循環しながら前記凝縮器で温熱を取り出す前記ヒートポンプ回路と、第2熱交換器と、を有し、前記第2給水ラインを流通する給水は、前記第2熱交換器、前記過冷却器、及び前記凝縮器の順で通水され、前記熱源水ラインを流通する熱源水は、前記蒸発器及び前記第2熱交換器の順で通水され、前記制御手段は、前記熱源水温度検出手段の検出温度値が第1設定温度値以上の場合、前記水位検出手段の検出水位値が第1設定水位値を下回ると、前記第1給水ラインから給水を送給させ、前記検出水位値が前記第1設定水位値よりも低い第2設定水位値を下回ると、前記第2給水ラインから給水を送給させるとともに、前記圧縮機を起動し、前記検出水位値が前記第2設定水位値よりも低い第3設定水位値を下回ると、前記第3給水ラインから給水を送給させ、前記熱源水温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度値未満の場合、前記検出水位値が第4設定水位値を下回ると、前記第2給水ラインから給水を送給させるとともに、前記圧縮機を起動し、前記検出水位値が前記第4設定水位値よりも低い第5設定水位値を下回ると、前記第1給水ラインから給水を送給させ、前記検出水位値が前記第5設定水位値よりも低い第6設定水位値を下回ると、前記第3給水ラインから給水を送給させ、前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインの一方又は両方から給水を送給中、前記熱源水タンクから前記熱源水ラインに熱源水を送出させる、給水加温システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、幅広い温度範囲の熱源水から効率良く熱回収できる給水加温システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る給水加温システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る制御装置の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る給水加温システムの制御方法の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に係る給水加温システムの制御方法の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る給水加温システムの制御方法の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
図7図7は、第2実施形態に係る給水加温システムの制御方法の一例を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る給水加温システムの制御方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[1]第1実施形態
[給水加温システム]
図1は、本実施形態に係る給水加温システム1の一例を模式的に示す図である。給水加温システム1は、工場のような産業施設に設けられる。給水加温システム1は、熱源水SWの熱を用いて給水CWを加温し、加温された給水CWをボイラ80の給水タンク2に供給する。熱源水SWは、産業施設から排出される廃温水を含む。
【0011】
給水加温システム1は、給水CWを貯留する給水タンク2と、熱源水SWを貯留する熱源水タンク3と、給水CWを給水タンク2に送給する第1給水ライン4と、給水CWを給水タンク2に送給する第2給水ライン5と、給水CWを給水タンク2に送給する第3給水ライン6と、熱源水SWを熱源水タンク3から送出する熱源水ライン7と、熱源水ライン7を流通する熱源水SWとの熱交換により第1給水ライン4を流通する給水CWを加温する第1熱交換器8と、第1熱交換器8よりも下流側の熱源水ライン7を流通する熱源水SWからヒートポンプ回路9により熱を汲み上げて第2給水ライン5を流通する給水CWを加温する冷温水機10と、を備える。
【0012】
また、給水加温システム1は、第1給水ライン4及び第3給水ライン6における給水CWの送給の有無を切り換え可能な第1給水ポンプ11と、第2給水ライン5における給水CWの送給の有無を切り換え可能な第2給水ポンプ12と、熱源水ライン7における熱源水SWの送給の有無を切り換え可能な熱源水ポンプ13と、を備える。
【0013】
また、給水加温システム1は、給水タンク2の水位を検出する水位センサ14と、熱源水タンク3から送出される熱源水SWの温度を検出する第1熱源水温度センサ15と、第1熱交換器8に流入する熱源水SWの温度を検出する第2熱源水温度センサ16と、一次タンク27から送出される給水CWの温度を検出する第1給水温度センサ17と、第1熱交換器8から流出する給水CWの温度を検出する第2給水温度センサ18と、を備える。
【0014】
また、給水加温システム1は、給水CWの流通状態を切り換え可能なバルブ19,20と、熱源水SWの流通状態を切り換え可能なバルブ21,22,24,25と、を備える。
【0015】
また、給水加温システム1は、制御装置30を備える。制御装置30は、第1給水ライン4、第2給水ライン5、及び第3給水ライン6のそれぞれに対して給水CWの送給の有無を制御する。
【0016】
<ボイラ>
ボイラ80は、蒸気ボイラである。ボイラ80は、給水タンク2から供給された給水CWを加熱して蒸気を生成する。給水タンク2とボイラ80とは、温水ライン81を介して接続される。温水ライン81に温水ポンプ82が設けられる。温水ポンプ82が駆動されることにより、給水タンク2に貯留されている給水CWがボイラ80に供給される。ボイラ80で生成された蒸気は、蒸気使用機器(不図示)に供給される。加温された給水CWが給水タンク2からボイラ80に供給されることにより、ボイラ80で蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。
【0017】
<タンク>
給水タンク2は、一次タンク27から送出され、第1熱交換器8及び冷温水機10の少なくとも一方により加温された給水CWを貯留する。
【0018】
一次タンク27は、給水タンク2に供給される給水CWを貯留する。一次タンク27に貯留される給水CWは、加温前の給水CWである。一次タンク27に貯留される給水CWの温度は、例えば10~30℃である。水処理装置28で処理された給水CWが一次タンク27に供給される。水処理装置28は、給水CWの硬度成分を除去する硬水軟化装置、及び給水CWの溶存酸素を除去する脱酸素装置を含む。
【0019】
熱源水タンク3は、第1熱交換器8及び冷温水機10の少なくとも一方に供給される熱源水SWを貯留する。熱源水SWは、産業施設から供給ライン29を介して熱源水タンク3に供給される。
【0020】
<給水ライン>
第2給水ライン5は、冷温水機10を介して、一次タンク27と給水タンク2とを接続する。第2給水ライン5の上流端5Aは、一次タンク27に接続される。第2給水ライン5の下流端5Bは、給水タンク2に接続される。第2給水ライン5の少なくとも一部は、冷温水機10に配置される。第2給水ライン5は、一次タンク27と冷温水機10との間に配設される給水流路51と、冷温水機10に配設される加温流路52と、冷温水機10と給水タンク2との間に配設される温水流路53とを含む。
【0021】
第3給水ライン6は、第1熱交換器8及び冷温水機10を介さずに、一次タンク27と給水タンク2とを接続する。第3給水ライン6の上流端6Aは、一次タンク27に接続される。第3給水ライン6の下流端6Bは、給水タンク2に接続される。
【0022】
第1給水ライン4は、第1熱交換器8を介して、第3給水ライン6の第1部分61と第1部分61よりも下流側の第2部分62とを接続する。第1給水ライン4の上流端4Aは、第1部分61に接続される。第1給水ライン4の下流端4Bは、第2部分62に接続される。第1給水ライン4は、上流端4Aが第3給水ライン6の第1部分61から分岐し、下流端4Bが第3給水ライン6の第2部分62に合流するように配設される。第1給水ライン4の少なくとも一部は、第1熱交換器8に配置される。第1給水ライン4は、第1部分61と第1熱交換器8との間に配設される給水流路41と、第1熱交換器8と第2部分62との間に配設される温水流路42とを含む。
【0023】
一次タンク27と給水タンク2との間において、第1給水ライン4及び第3給水ライン6、並びに第2給水ライン5は並列に配設される。すなわち、第1熱交換器8において給水CWが流通する給水ラインと冷温水機10において給水CWが流通する給水ラインとは、並列である。
【0024】
<熱源水ライン>
熱源水ライン7は、熱源水タンク3に接続される。熱源水ライン7の上流端7Aは、熱源水タンク3に接続される。熱源水ライン7の少なくとも一部は、第1熱交換器8に配置される。熱源水ライン7の少なくとも一部は、冷温水機10に配置される。熱源水ライン7は、熱源水タンク3と第1熱交換器8との間に配設される導入流路71と、第1熱交換器8と冷温水機10との間に配設される第1中間流路72と、冷温水機10に配設される第2中間流路73と、冷温水機10よりも下流側に配設される排出流路74とを含む。
【0025】
熱源水ライン7において、導入流路71と第1中間流路72とは、第1バイパスライン23で連通される。また、第1中間流路72と排出流路74とは、第2バイパスライン26で連通される。
【0026】
<ポンプ>
第1給水ポンプ11は、上流端6Aと第1部分61との間の第3給水ライン6に設けられる。第1給水ポンプ11は、可変容量ポンプでもよいし固定容量ポンプでもよい。第1給水ポンプ11は、第1給水ライン4及び第3給水ライン6における給水CWの送給の有無を切り換える。第1給水ポンプ11が駆動されることにより、一次タンク27からの給水CWが第1熱交換器8を介して又は第1熱交換器8を介さずに給水タンク2に送給される。第1給水ポンプ11が停止されることにより、一次タンク27からの給水CWの送給が停止される。
【0027】
第1熱交換器8から送出される給水CWの温度を一定に調節したい場合には、第1給水ポンプ11は、可変容量ポンプを選択する。第1熱交換器8の出湯温度一定制御では、第2給水温度センサ18の検出温度値が目標温度値に収束するように、速度型PIDアルゴリズムにより第1給水ポンプ11の駆動周波数に対する操作量が演算され、インバータ回路からモータ部への出力周波数が調整される。
【0028】
第2給水ポンプ12は、第2給水ライン5の給水流路51に設けられる。第2給水ポンプ12は、可変容量ポンプでもよいし固定容量ポンプでもよい。第2給水ポンプ12は、第2給水ライン5における給水CWの送給の有無を切り換える。第2給水ポンプ12が駆動されることにより、一次タンク27からの給水CWが冷温水機10を介して給水タンク2に送給される。第2給水ポンプ12が停止されることにより、一次タンク27からの給水CWの送給が停止される。
【0029】
冷温水機10から送出される給水CWの温度を一定に調節したい場合には、第2給水ポンプ12は、可変容量ポンプを選択する。冷温水機10の出湯温度一定制御では、温水流路53に設けた温度センサ(図示省略)の検出温度値が目標温度値に収束するように、速度型PIDアルゴリズムにより第2給水ポンプ12の駆動周波数に対する操作量が演算され、インバータ回路からモータ部への出力周波数が調整される。
【0030】
熱源水ポンプ13は、熱源水ライン7の導入流路71に設けられる。熱源水ポンプ13は、可変容量ポンプでもよいし固定容量ポンプでもよい。熱源水ポンプ13は、熱源水ライン7、第1バイパスライン23、及び第2バイパスライン26における熱源水SWの送給の有無を切り換える。熱源水ポンプ13が駆動されることにより、熱源水タンク3からの熱源水SWが第1熱交換器8及び冷温水機10の少なくとも一方に送給される。熱源水ポンプ13が停止されることにより、熱源水タンク3からの熱源水SWの送給が停止される。
【0031】
<バルブ>
バルブ19は、第1給水ライン4の温水流路42に設けられる。バルブ19は、モータバルブである。バルブ19は、第1熱交換器8における給水CWの流通状態を切り換え可能である。バルブ19を開くことにより、第1熱交換器8に給水CWが流通される。バルブ19を閉じることにより、第1熱交換器8の給水CWの流通が停止される。
【0032】
バルブ20は、第1部分61と第2部分62との間の第3給水ライン6の中間流路63に設けられる。バルブ20は、モータバルブである。バルブ20は、中間流路63における給水CWの流通状態を切り換え可能である。バルブ20を開くことにより、中間流路63に給水CWが流通される。バルブ20を閉じることにより、中間流路63の給水CWの流通が停止される。
【0033】
第1給水ポンプ11が駆動されている状態で、バルブ19を開き、且つバルブ20を閉じることにより、一次タンク27から送出された給水CWは、中間流路63を流通することなく、第1熱交換器8を流通する。第1給水ポンプ11が駆動されている状態で、バルブ19を閉じ、且つバルブ20を開くことにより、一次タンク27から送出された給水CWは、第1熱交換器8を流通することなく、中間流路63を流通する。
【0034】
バルブ21は、熱源水ライン7の導入流路71に設けられる。バルブ21は、モータバルブである。バルブ21は、第1熱交換器8における熱源水SWの流通状態を切り換え可能である。バルブ21を開くことにより、第1熱交換器8に熱源水SWが流通される。バルブ21を閉じることにより、第1熱交換器8の熱源水SWの流通が停止される。
【0035】
バルブ22は、導入流路71と第1中間流路72とを連通する第1バイパスライン23に設けられる。バルブ22は、モータバルブである。バルブ22は、第1バイパスライン23における熱源水SWの流通状態を切り換え可能である。バルブ22を開くことにより、第1バイパスライン23に熱源水SWが流通される。バルブ22を閉じることにより、第1バイパスライン23の熱源水SWの流通が停止される。
【0036】
熱源水ポンプ13が駆動されている状態で、バルブ21を開き、且つバルブ22を閉じることにより、熱源水タンク3から送出された熱源水SWは、第1バイパスライン23を流通することなく、第1熱交換器8を流通する。熱源水ポンプ13が駆動されている状態で、バルブ21を閉じ、且つバルブ22を開くことにより、熱源水タンク3から送出された熱源水SWは、第1熱交換器8を流通することなく、第1バイパスライン23を流通する。
【0037】
バルブ24は、熱源水ライン7の第1中間流路72に設けられる。バルブ24は、モータバルブである。バルブ24は、冷温水機10における熱源水SWの流通状態を切り換え可能である。バルブ24を開くことにより、冷温水機10に熱源水SWが流通される。バルブ24を閉じることにより、冷温水機10の熱源水SWの流通が停止される。
【0038】
バルブ25は、第1中間流路72と排出流路74とを連通する第2バイパスライン26に設けられる。バルブ25は、モータバルブである。バルブ25は、第2バイパスライン26における熱源水SWの流通状態を切り換え可能である。バルブ25を開くことにより、第2バイパスライン26に熱源水SWが流通される。バルブ25を閉じることにより、第2バイパスライン26の熱源水SWの流通が停止される。
【0039】
熱源水ポンプ13が駆動されている状態で、バルブ24を開き、且つバルブ25を閉じることにより、熱源水タンク3から送出された熱源水SWは、第2バイパスライン26を流通することなく、冷温水機10を流通する。熱源水ポンプ13が駆動されている状態で、バルブ24を閉じ、且つバルブ25を開くことにより、熱源水タンク3から送出された熱源水SWは、冷温水機10を流通することなく、第2バイパスライン26を流通する。
【0040】
バルブ19及びバルブ20は、給水CWの第1熱交換器8への流通と中間流路63への流通とを切り換える給水流路切換手段として機能する。バルブ21及びバルブ22は、熱源水SWの第1熱交換器8への流通と第1バイパスライン23への流通とを切り換える第1熱源水流路切換手段として機能する。バルブ24及びバルブ25は、熱源水SWの冷温水機10への流通と第2バイパスライン26への流通とを切り換える第2熱源水流路切換手段として機能する。
【0041】
<第1熱交換器>
第1熱交換器8は、第1給水ライン4を流通する給水CWと熱源水ライン7を流通する熱源水SWとの熱交換により、給水CWを加温する。第1熱交換器8で加温された給水CWは、温水流路42を介して給水タンク2に供給される。
【0042】
第1熱交換器8は、シェルアンドチューブ式熱交換器でもよいし、積層プレート式熱交換器でもよい。熱源水ライン7において、第1熱交換器8は、冷温水機10よりも上流側に配置される。
【0043】
<冷温水機>
冷温水機10は、第2給水ライン5を流通する給水CWを加温する。冷温水機10で加温された給水CWは、温水流路53を介して給水タンク2に供給される。
【0044】
冷温水機10は、蒸気圧縮式のヒートポンプ回路9と、第2熱交換器96とを有する。ヒートポンプ回路9は、圧縮機91と、凝縮器92と、過冷却器93と、膨張弁94と、蒸発器95とを有する。圧縮機91、凝縮器92、過冷却器93、膨張弁94、及び蒸発器95は、循環流路97を介して環状に接続される。ヒートポンプ回路9は、循環流路97において冷媒REを循環しながら、凝縮器92で温熱を取り出す。冷媒REは、圧縮機91、凝縮器92、過冷却器93、膨張弁94、及び蒸発器95の順に循環流路97を流れる。循環流路97を流れる冷媒REは、気相の冷媒REであるガス冷媒REgと、液相の冷媒REである液冷媒RElとを含む。
【0045】
第2熱交換器96は、ヒートポンプ回路9に供給される前の第1給水ライン4を流通する給水CWとヒートポンプ回路9を通過した後の熱源水ライン7を流通する熱源水SWとの熱交換により、給水CWを加温する。
【0046】
第2熱交換器96は、シェルアンドチューブ式熱交換器でもよいし、積層プレート式熱交換器でもよい。熱源水ライン7において、第2熱交換器96は、ヒートポンプ回路9よりも下流側に配置される。
【0047】
第2給水ライン5は、第2熱交換器96、過冷却器93、及び凝縮器92のそれぞれに配置される。一次タンク27から送出され、第2給水ライン5を流通する給水CWは、第2熱交換器96、過冷却器93、及び凝縮器92の順で通水される。
【0048】
熱源水ライン7は、蒸発器95及び第2熱交換器96のそれぞれに配置される。熱源水タンク3から送出され、熱源水ライン7を流通する熱源水SWは、蒸発器95及び第2熱交換器96の順で通水される。
【0049】
圧縮機91は、冷媒REを圧縮する。圧縮機91には、ガス冷媒REgが供給される。圧縮機91は、ガス冷媒REgを圧縮して高温高圧のガス冷媒REgを生成する。圧縮機91で生成される高温高圧のガス冷媒REgは、給水CWとの熱交換に利用される高温流体である。
【0050】
圧縮機91は、モータ(不図示)により駆動される。圧縮機91が駆動されることにより、ガス冷媒REgが圧縮され、高温高圧のガス冷媒REgが凝縮器92に供給される。圧縮機91が停止されることにより、凝縮器92に対するガス冷媒REgの供給が停止される。
【0051】
凝縮器92は、圧縮機91からのガス冷媒REgを凝縮する。給水CWは、第2給水ライン5を介して凝縮器92に供給される。ガス冷媒REgは、凝縮器92において凝縮されることにより放熱して、給水CWに熱を与える。また、ガス冷媒REgは、凝縮器92において放熱することにより液化して液冷媒RElに変換される。凝縮器92は、高温流体であるガス冷媒REgと給水CWとの熱交換により給水CWを加温する。
【0052】
凝縮器92は、第2給水ライン5の温水流路53を介して給水タンク2に接続される。凝縮器92で加温された給水CWは、温水流路53を介して給水タンク2に供給される。
【0053】
膨張弁94は、凝縮器92からの液冷媒RElを膨張させる。膨張弁94は、凝縮器92からの液冷媒RElの圧力及び温度を低下させる。
【0054】
蒸発器95は、膨張弁94からの液冷媒RElを蒸発させる。熱源水SWは、熱源水ライン7を介して蒸発器95に供給される。液冷媒RElは、蒸発器95において蒸発することにより吸熱して、熱源水SWから熱を奪う。また、液冷媒RElは、蒸発器95において吸熱することにより気化してガス冷媒REgに変換される。
【0055】
過冷却器93は、凝縮器92に供給される前の給水CWと膨張弁94に供給される前の液冷媒RElとを熱交換する間接熱交換器である。給水CWは、第2給水ライン5を介して過冷却器93に供給される。過冷却器93に供給された給水CWにより、膨張弁94に供給される前の液冷媒RElが過冷却される。過冷却器93に供給された液冷媒RElにより、凝縮器92に供給される前の給水CWが加温される。冷媒REは、凝縮器92において潜熱を放出し、過冷却器93において顕熱を放出する。
【0056】
第2熱交換器96は、過冷却器93に供給される前の給水CWと蒸発器95を通過した後の熱源水SWとを熱交換する間接熱交換器である。給水CWは、第2給水ライン5を介して第2熱交換器96に供給される。熱源水SWは、熱源水ライン7を介して第2熱交換器96に供給される。第2熱交換器96において、給水CWと熱源水SWとが熱交換することにより、過冷却器93に供給される前の給水CWが加温される。
【0057】
<センサ>
水位センサ14は、給水タンク2の水位を検出する水位検出手段として機能する。水位センサ14は、給水タンク2に設けられる。給水タンク2の水位とは、給水タンク2に貯留される給水CWの表面の高さをいう。水位センサ14は、電極式水位センサを含む。水位センサ14として、複数の電極棒が給水タンク2に配置されてもよい。複数の電極棒は、電極棒の下端部の高さが異なるように給水タンク2に配置される。給水CWに接触した電極棒が特定されることにより、給水タンク2の水位が検出される。なお、水位センサ14は、給水タンク2の水位を検出できればよく、電極式水位センサ以外に静電容量式水位センサや圧力式センサを利用することもできる。
【0058】
第1熱源水温度センサ15は、熱源水タンク3から送出される熱源水SWの温度を検出する第1熱源水温度検出手段として機能する。第1熱源水温度センサ15は、熱源水タンク3に設けられる。第1熱源水温度センサ15は、熱源水タンク3に貯留されている熱源水SWの温度を検出する。なお、第1熱源水温度センサ15は、熱源水ライン7の上流端7Aにおける熱源水SWの温度を検出してもよい。
【0059】
第2熱源水温度センサ16は、第1熱交換器8に流入する熱源水SWの温度を検出する第2熱源水温度検出手段として機能する。第2熱源水温度センサ16は、第1熱交換器8の熱源水SWの入口とバルブ20との間の導入流路71に設けられる。
【0060】
第1給水温度センサ17は、一次タンク27から送出される給水CWの温度を検出する第1給水温度検出手段として機能する。第1給水温度センサ17は、一次タンク27に貯留されている給水CWの温度を検出する。なお、第1給水温度センサ17は、第2給水ライン5の上流端5Aや第3給水ライン6の上流端6Aにおける給水CWの温度を検出してもよい。
【0061】
第2給水温度センサ18は、第1熱交換器8から流出する給水CW(温水)の温度を検出する第2給水温度検出手段として機能する。第2給水温度センサ18は、第1熱交換器8の給水CWの出口とバルブ19との間の温水流路42に設けられる。
【0062】
[制御装置]
制御装置30は、第1給水ライン4、第2給水ライン5、及び第3給水ライン6のそれぞれに対して給水CWの送給の有無を制御する制御手段として機能する。制御装置30は、第1給水ポンプ11、第2給水ポンプ12、熱源水ポンプ13、バルブ19、バルブ20、バルブ21、バルブ22、バルブ24、バルブ25及び圧縮機91のそれぞれを制御する。
【0063】
図2は、本実施形態に係る制御装置30の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置30は、検出水位値取得部31と、検出温度値取得部32と、温度差算出部33と、記憶部34と、給水制御部35と、熱源水制御部36と、第1熱交換器制御部37と、冷温水機制御部38とを有する。
【0064】
検出水位値取得部31は、水位センサ14の検出値を示す検出水位値Lsを取得する。検出水位値Lsは、給水タンク2の水位を示す。
【0065】
検出温度値取得部32は、第1熱源水温度センサ15の検出値を示す検出温度値Ts、第2熱源水温度センサ16の検出値を示す検出温度値Tss、第1給水温度センサ17の検出値を示す検出温度値Tc、及び第2給水温度センサ18の検出値を示す検出温度値Thを取得する。検出温度値Tsは、熱源水タンク3から送出される熱源水SWの温度を示す。検出温度値Tssは、第1熱交換器8に流入する熱源水SWの温度を示す。検出温度値Tcは、一次タンク27から送出される給水CW(冷水)の温度を示す。検出温度値Thは、第1熱交換器8から流出する給水CW(温水)の温度を示す。
【0066】
温度差算出部33は、温度差算出部33は、検出温度値Tsと検出温度値Tcとの第1差分値ΔT1を算出する。また、温度差算出部33は、温度差算出部33は、検出温度値Tssと検出温度値Thとの第2差分値ΔT2を算出する。第2差分値ΔT2は、第1熱交換器8における熱源水SWの入口温度と給水CWの出口温度のアプローチ温度差である。
【0067】
記憶部34は、検出水位値Lsに係る設定水位値Lr(Lr1,Lr2,Lr3,Lr4,Lr5,Lr6)と、検出温度値Tsに係る第1設定温度値Trと、第1差分値ΔT1に係る第2設定温度値Tm及び第3設定温度値Tnとを記憶する。設定水位値Lr、第1設定温度値Tr、第2設定温度値Tm、及び第3設定温度値Tnは、予め決められている値であり、記憶部34に記憶される。
【0068】
以下の説明では、熱源水SWが高温域の条件のとき、給水タンク2の減水時において、第1給水ライン4の送給を開始させる設定水位値Lrを第1設定水位値、第2給水ライン5の送給を開始させる設定水位値Lrを第2設定水位値、第3給水ライン6の送給を開始させる設定水位値Lrを第3設定水位値とそれぞれ呼称する。また、熱源水SWが低~中温域の条件のとき、給水タンク2の減水時において、第1給水ライン4の送給を開始させる設定水位値Lrを第4設定水位値、第2給水ライン5の送給を開始させる設定水位値Lrを第5設定水位値、第3給水ライン6の送給を開始させる設定水位値Lrを第6設定水位値とそれぞれ呼称する。
【0069】
第1設定温度値Trは、一次タンク27に貯留される給水CWの温度値よりも高い。一次タンク27に貯留される給水CWの温度値と第2設定温度値Tmとの和は、第1設定温度値Trよりも低い。第1設定温度値Trは、例えば60℃である。なお、第1設定温度値Trは60℃でなくてもよく、例えば50℃以上70℃以下の範囲で任意に設定可能である。第2設定温度値Tmは、例えば15℃である。なお、第2設定温度値Tmは15℃でなくてもよく、例えば10℃以上20℃以下の範囲で任意に設定可能である。第3設定温度値Tnは、0℃である。
【0070】
給水制御部35は、第1給水ライン4、第2給水ライン5、及び第3給水ライン6のそれぞれにおける給水CWの送給の有無を制御する制御指令を出力する。給水制御部35から出力される制御指令は、第1給水ポンプ11を制御する制御指令、第2給水ポンプ12を制御する制御指令、バルブ19を制御する制御指令、及びバルブ20を制御する制御指令を含む。
【0071】
熱源水制御部36は、熱源水タンク3から熱源水ライン7に対する熱源水SWの送出の有無を制御する制御指令を出力する。熱源水制御部36から出力される制御指令は、熱源水ポンプ13を制御する制御指令を含む。
【0072】
第1熱交換器制御部37は、第1熱交換器8を運転又は停止させる制御指令を出力する。第1熱交換器制御部37は、第1差分値ΔT1と第2設定温度値Tmとに基づいて、熱源水SWの第1熱交換器8への流通と第1バイパスライン23への流通とを切り換える制御指令を出力する。第1熱交換器制御部37から出力される制御指令は、バルブ21を制御する制御指令、及びバルブ22を制御する制御指令を含む。
【0073】
冷温水機制御部38は、冷温水機10を運転又は停止させる制御指令を出力する。冷温水機制御部38は、第1差分値ΔT1と第2設定温度値Tmとに基づいて、熱源水SWの冷温水機10への流通と第2バイパスライン26への流通とを切り換える制御指令を出力する。冷温水機制御部38から出力される制御指令は、圧縮機91を制御する制御指令、バルブ24を制御する制御指令、及びバルブ25を制御する制御指令を含む。
【0074】
<給水制御部の処理>
給水制御部35は、水位センサ14の検出水位値Lsと、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsと、記憶部34に記憶されている設定水位値Lrと、記憶部34に記憶されている第1設定温度値Trとに基づいて、第1給水ライン4、第2給水ライン5、及び第3給水ライン6のそれぞれにおける給水CWの送給の有無を制御する。
【0075】
第1給水ライン4から給水タンク2に給水CWを送給する場合、給水制御部35は、バルブ19を開放し、第1給水ポンプ11を駆動する。これにより、一次タンク27に貯留されている給水CWは、上流端6Aを介して第3給水ライン6に流入する。第3給水ライン6の少なくとも一部を流通した給水CWは、第1部分61を介して第1給水ライン4の給水流路41に流入し、給水流路41を流通した後、第1熱交換器8を通過する。第1熱交換器8を通過し、第1給水ライン4の温水流路42を流通した給水CWは、第2部分62を介して第3給水ライン6に流入し、下流端6Bを介して給水タンク2に供給される。
【0076】
第1給水ライン4から給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する場合、給水制御部35は、バルブ19を閉止し、第1給水ポンプ11を停止する。
【0077】
第2給水ライン5から給水タンク2に給水CWを送給する場合、給水制御部35は、第2給水ポンプ12を駆動する。これにより、一次タンク27に貯留されている給水CWは、上流端5Aを介して第2給水ライン5に流入する。第2給水ライン5の給水流路51を流通した給水CWは、第2熱交換器96を通過し、過冷却器93を通過した後、凝縮器92を通過する。凝縮器92を通過し、第2給水ライン5の温水流路53を流通した給水CWは、下流端5Bを介して給水タンク2に供給される。
【0078】
第2給水ライン5から給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する場合、給水制御部35は、第2給水ポンプ12を停止する。
【0079】
第3給水ライン6から給水タンク2に給水CWを送給する場合、給水制御部35は、バルブ20を開放し、第1給水ポンプ11を最大流量で駆動する。これにより、一次タンク27に貯留されている給水CWは、上流端6Aを介して第3給水ライン6に流入する。第3給水ライン6を流通する給水CWは、中間流路63を通って給水タンク2に供給される。
【0080】
第3給水ライン6から給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する場合、給水制御部35は、バルブ20を閉止し、第1給水ポンプ11を停止する。
【0081】
<第1熱交換器制御部の処理>
第1熱交換器制御部37は、給水制御部35がバルブ19を開放して第1給水ポンプ11を駆動している状態において、温度差算出部33により算出された第1差分値ΔT1と、記憶部34に記憶されている第2設定温度値Tmとに基づいて、熱源水SWの第1熱交換器8への流通と第1バイパスライン23への流通とを切り換える。
【0082】
第1熱交換器制御部37は、第1差分値ΔT1が第2設定温度値Tm以上(ΔT1≧15℃)であると判定した場合、バルブ21を開放し、バルブ22を閉止する。これにより、熱源水SWが第1熱交換器8を流通可能になる。逆に、第1熱交換器制御部37は、第1差分値ΔT1が第2設定温度値Tm未満(ΔT1<15℃)以上であると判定した場合、バルブ21を閉止し、バルブ22を開放する。これにより、熱源水SWが第1バイパスライン23を流通可能になる。
【0083】
<冷温水機制御部の処理>
冷温水機制御部38は、給水制御部35が第2給水ポンプ12を駆動している状態において、温度差算出部33により算出された第1差分値ΔT1と、記憶部34に記憶されている第3設定温度値Tnとに基づいて、熱源水SWの冷温水機10への流通と第2バイパスライン26への流通とを切り換える。
【0084】
冷温水機制御部38は、第1差分値ΔT1が第3設定温度値Tn超過(ΔT1>0℃)であると判定した場合、バルブ24を開放、バルブ25を閉止に制御すると共に、圧縮機91を駆動する。これにより、熱源水SWが冷温水機10の蒸発器95及び第2熱交換器96を流通し、ヒートポンプ回路9で熱の汲み上げが可能になる。逆に、冷温水機制御部38は、第1差分値ΔT1が第3設定温度値Tn以下(ΔT1≦0℃)であると判定した場合、バルブ24を閉止、バルブ25を開放に制御すると共に、圧縮機91を停止する。これにより、熱源水SWが第2バイパスライン26を流通し、ヒートポンプ回路9での熱の汲み上げが停止される。
【0085】
<熱源水制御部の処理>
熱源水制御部36は、給水制御部35がバルブ19を開放して第1給水ポンプ11を駆動している状態、且つ第1熱交換器制御部37がバルブ21を開放、バルブ22を閉止に制御した状態において、熱源水ポンプ13を駆動する。すなわち、熱源水制御部36は、第1熱交換器8に給水CWを流通させている状態に同期させて熱源水SWを流通させ、第1熱交換器8を運転させるようにする。
【0086】
また、熱源水制御部36は、給水制御部35が第2給水ポンプ12を駆動している状態、且つ冷温水機制御部38がバルブ24を開放、バルブ25を閉止に制御した状態において、熱源水ポンプ13を駆動する。すなわち、熱源水制御部36は、冷温水機10に給水CWを流通させている状態に同期させて熱源水SWを流通させ、冷温水機10を運転させるようにする。
【0087】
[制御方法]
次に、本実施形態に係る制御装置30の動作について説明する。図3図4及び図5は、本実施形態に係る給水加温システム1の制御方法の一例を説明するための図である。
【0088】
制御装置30は、水位センサ14の検出水位値Ls及び第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsに基づいて、第1給水ライン4、第2給水ライン5、及び第3給水ライン6のそれぞれによる給水CWの送給状態を変える。図3及び図4は、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr以上の場合の給水CWの送給状態を示す状態遷移図である。図5は、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr未満の場合の給水CWの送給状態を示す状態遷移図である。
【0089】
本実施形態の給水タンク2には、水位センサ14として長さの異なる6本の電極棒が配置されており、[Lr1>Lr2>Lr3>Lr4>Lr5>Lr6]の関係となる6段階の水位が設定されている。検出水位値取得部31は、最も短い電極棒の先端に水面が接触した状態を検出すると、検出水位値Ls≧Lr1と判定する。また、検出水位値取得部31は、最も短い電極棒の先端から水面が離間した状態を検出すると、検出水位値Ls<Lr1と判定する。残りの電極棒についても同様の判定が行われ、検出水位値取得部31による水位判定は、[Ls≧Lr1],[Lr1>Ls≧Lr2],[Lr2>Ls≧Lr3],[Lr3>Ls≧Lr4],[Lr4>Ls≧Lr5],[Lr5>Ls≧Lr6],[Lr6>Ls]の7パターンが存在する。
【0090】
<熱源水の検出温度値が第1設定温度値以上の場合>
図3を参照しながら、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr(60℃)以上の場合の給水加温システム1の制御方法について説明する。なお、図3においては、Lr3が第1設定水位値に、Lr5が第2設定水位値に、Lr6が第3設定水位値に、それぞれ対応付けられている。
【0091】
(送給状態A1)
後述する送給状態A6で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr3>Ls≧Lr4]となった場合、送給状態A1に移行する。送給状態A1では、給水制御部35は、バルブ19を開放、且つバルブ20を閉止し、第1給水ポンプ11を駆動して第1給水ライン4の送給を開始する。第1熱交換器制御部37は、ΔT1≧Tmの条件を満たすことにより、バルブ21を開放し、バルブ22を閉止する。第1給水ポンプ11の駆動とバルブ21の開放を受けて、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13を駆動して熱源水ライン7の送給を開始する。これにより、第1熱交換器8が運転され、第1熱交換器8で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。この送給状態A1では、第2給水ポンプ12及び圧縮機91は停止中であり、冷温水機10は停止されている。
【0092】
(送給状態A2)
送給状態A1で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr5>Ls≧Lr6]となった場合、送給状態A2に移行する。送給状態A2では、給水制御部35は、第2給水ポンプ12を駆動して第2給水ライン5の送給を開始する。冷温水機制御部38は、ΔT1>Tnの条件を満たすことにより、バルブ24を開放、バルブ25を閉止した上で圧縮機91を駆動する。第2給水ポンプ12の駆動とバルブ24の開放を受けて、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を継続する。これにより、冷温水機10が運転され、冷温水機10で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。この送給状態A2では、給水制御部35は、第1給水ポンプ11の駆動を継続する。そのため、第1熱交換器8の運転は継続されており、第1熱交換器8で加温された給水CWが同時に供給される。
【0093】
(送給状態A3)
送給状態A2で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr6>Ls]となった場合、送給状態A3に移行する。送給状態A3では、給水制御部35は、バルブ20を開放すると共に、第1給水ポンプ11を最大流量で駆動して第3給水ライン6の送給を開始する。これにより、中間流路63を介して常温の給水CWが給水タンク2に供給される。この送給状態A3では、給水制御部35は、第2給水ポンプ12の駆動を継続し、冷温水機制御部38は、圧縮機91の駆動を継続し、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を継続する。そのため、第1熱交換器8及び冷温水機10の運転は継続されており、第1熱交換器8及び冷温水機10で加温された給水CWが同時に供給される。
【0094】
(送給状態A4)
送給状態A3で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr3>Ls≧Lr4]となった場合、送給状態A4に移行する。送給状態A4では、給水制御部35は、バルブ20を閉止して第3給水ライン6の送給を停止する。これにより、中間流路63を介した常温の給水CWの供給が停止される。この送給状態A4では、給水制御部35は、第1給水ポンプ11を通常流量での駆動に戻し、第2給水ポンプ12の駆動を継続する。また、冷温水機制御部38は、圧縮機91の駆動を継続し、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を継続する。そのため、第1熱交換器8及び冷温水機10の運転は継続されており、第1熱交換器8及び冷温水機10で加温された給水CWが同時に供給される。
【0095】
(送給状態A5)
送給状態A2又は送給状態A4で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr1>Ls≧Lr2]となった場合、送給状態A5に移行する。送給状態A5では、給水制御部35は、第2給水ポンプ12を停止して第2給水ライン5の送給を停止する。冷温水機制御部38は、バルブ24を閉止、バルブ25を開放した上で圧縮機91を停止する。これにより、冷温水機10の運転が停止される。この送給状態A5では、給水制御部35は、第1給水ポンプ11の駆動を継続する。また、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を継続する。そのため、第1熱交換器8の運転は継続されており、第1熱交換器8で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。
【0096】
(送給状態A6)
送給状態A1又は送給状態A5で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Ls≧Lr1]となった場合、送給状態A6に移行する。送給状態A6では、給水制御部35は、バルブ19,20を閉止し、第1給水ポンプ11を停止して第1給水ライン4の送給を停止する。第1熱交換器制御部37は、バルブ21を閉止し、バルブ22を開放する。熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13を停止して熱源水ライン7の送給を停止する。これにより、第1熱交換器8の運転が停止される。この送給状態A6では、給水タンク2に対する給水CWの供給が完全に停止された状態となる。
【0097】
(第1熱交換器の割り込み停止処理)
送給状態A1~A5において、第1熱交換器制御部37は、ΔT1<Tm(15℃)の条件を満たすと、バルブ21を閉止し、バルブ22を開放する。これにより、熱源水SWの流通が第1バイパスライン23に切り換えられ、第1熱交換器8が停止される。ΔT1<Tmの条件は、熱源水SWの温度が給水CWの温度近くまで大幅に低下している状態を示しており、単純な間接熱交換では十分な熱回収ができる状態ではないので、第1熱交換器8を停止させるようにしている。
【0098】
(冷温水機の割り込み停止処理)
送給状態A2~A4において、冷温水機制御部38は、ΔT1≦Tn(0℃)の条件を満たすと、バルブ24を閉止し、バルブ25を開放し、圧縮機91を停止する。これにより、熱源水SWの流通が第2バイパスライン26に切り換えられ、冷温水機10が停止される。ΔT1<Tnの条件は、熱源水SWの温度が給水CWの温度と変わらないか低い状態を示しており、ヒートポンプ回路でも十分な熱回収ができる状態ではないので、冷温水機10を停止させるようにしている。なお、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に停止された場合には、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13を停止させる。
【0099】
以上説明したように、Ts≧Tr(60℃)以上の場合には、給水タンク2の減水時に第1給水ライン4の送給を最先で開始させることにより、第1熱交換器8が優先して運転される。第1熱交換器8は、ヒートポンプ式の冷温水機10よりも高温域の熱源水SWに対する熱回収効率が高いため、第1熱交換器8を給水のベースロード機に、冷温水機10を給水のピークロード機に指定することで、効率の良い熱回収を実現することができる。
【0100】
また、送給状態A2,A3,A4では、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に運転されることにより、二段階の熱回収が行われる。後段に位置する冷温水機10は、第1熱交換器8よりも低~中温域の熱源水SWに対する熱回収効率が高いため、第1熱交換器8を通過した後の低~中温域の熱源水SWから無駄のない熱回収を行うことができる。
【0101】
図3に示した状態遷移図は、図4のように変形することもできる。図4に示す状態遷移図のうち、送給状態A2,A3,A4,A6の移行条件及び制御内容は、図3と同じである。図4の送給状態A1´,A5´は、図3の送給状態A1,A5と制御内容は同じであるが、移行条件が異なっている。ここでは、図3と相違する送給状態A1´,A5´のみを説明する。
【0102】
(送給状態A1´)
送給状態A6で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr1>Ls≧Ls2]となった場合、送給状態A1´に移行する。送給状態A1´では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A1と同じ制御を行う。
【0103】
(送給状態A5´)
送給状態A2又は送給状態A4で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Ls3]となった場合、送給状態A5´に移行する。送給状態A5´では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A5と同じ制御を行う。
【0104】
<熱源水の検出温度値が第1設定温度値未満の場合>
図5を参照しながら、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr(60℃)未満の場合の給水加温システム1の制御方法について説明する。なお、図5においては、Lr4が第4設定水位値に、Lr5が第5設定水位値に、Lr6が第6設定水位値に、それぞれ対応付けられている。
【0105】
(送給状態B1)
後述する送給状態B6で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr4>Ls≧Lr5]となった場合、送給状態B1に移行する。送給状態B1では、給水制御部35は、バルブ19,20を閉止に制御した上で、第2給水ポンプ12を駆動して第2給水ライン5の送給を開始する。冷温水機制御部38は、ΔT1>Tnの条件を満たすことにより、バルブ24を開放、バルブ25を閉止した上で圧縮機91を駆動する。第2給水ポンプ12の駆動とバルブ24の開放を受けて、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を開始する。これにより、冷温水機10が運転され、冷温水機10で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。この送給状態B1では、第1給水ポンプ11は停止中であり、第1熱交換器8は停止されている。
【0106】
(送給状態B2)
送給状態B1で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr5>Ls≧Lr6]となった場合、送給状態B2に移行する。送給状態B2では、給水制御部35は、給水制御部35は、バルブ19を開放、バルブ20を閉止した上で、第1給水ポンプ11を駆動して第1給水ライン4の送給を開始する。第1熱交換器制御部37は、ΔT1≧Tmの条件を満たすことにより、バルブ21を開放し、バルブ22を閉止する。第1給水ポンプ11の駆動とバルブ21の開放を受けて、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13の駆動を継続する。これにより、第1熱交換器8が運転され、第1熱交換器8で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。この送給状態B2では、冷温水機10の運転は継続されており、冷温水機10で加温された給水CWが同時に供給される。
【0107】
(送給状態B3)
送給状態B2で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr6>Ls]となった場合、送給状態B3に移行する。送給状態B3では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A3と同じ制御を行う。
【0108】
(送給状態B4)
送給状態B3で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Lr3]となった場合、送給状態B4に移行する。送給状態B4では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A4と同じ制御を行う。
【0109】
(送給状態B5)
送給状態B2又は送給状態B4で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr1>Ls≧Lr2]となった場合、送給状態B5に移行する。送給状態B5では、給水制御部35は、バルブ19,20を閉止に制御した上で、第1給水ポンプ11を停止して第1給水ライン4の送給を停止する。これにより、第1熱交換器8の運転が停止される。この送給状態B5では、冷温水機10の運転は継続されており、冷温水機10で加温された給水CWが給水タンク2に供給される。
【0110】
(送給状態B6)
送給状態A1又は送給状態B5で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Ls≧Lr1]となった場合、送給状態B6に移行する。送給状態B6では、給水制御部35は、第2給水ポンプ12を停止して第2給水ライン5の送給を停止する。冷温水機制御部38は、バルブ24を閉止、バルブ25を開放した上で圧縮機91を停止する。これにより、冷温水機10の運転が停止される。この送給状態A6では、給水タンク2に対する給水CWの供給が完全に停止された状態となる。この送給状態B6では、給水タンク2に対する給水CWの供給が完全に停止された状態となる。
【0111】
(第1熱交換器の割り込み停止処理)
送給状態B2~B4において、第1熱交換器制御部37は、ΔT1<Tm(15℃)の条件を満たすと、バルブ21を閉止し、バルブ22を開放する。これにより、熱源水SWの流通が第1バイパスライン23に切り換えられ、第1熱交換器8が停止される。ΔT1<Tmの条件は、熱源水SWの温度が給水CWの温度近くまで大幅に低下している状態を示しており、単純な間接熱交換では十分な熱回収ができる状態ではないので、第1熱交換器8を停止させるようにしている。
【0112】
(冷温水機の割り込み停止処理)
送給状態B1~B4において、冷温水機制御部38は、ΔT1≦Tn(0℃)の条件を満たすと、バルブ24を閉止し、バルブ25を開放し、圧縮機91を停止する。これにより、熱源水SWの流通が第2バイパスライン26に切り換えられ、冷温水機10が停止される。ΔT1<Tnの条件は、熱源水SWの温度が給水CWの温度と変わらないか低い状態を示しており、ヒートポンプ回路でも十分な熱回収ができる状態ではないので、冷温水機10を停止させるようにしている。なお、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に停止された場合には、熱源水制御部36は、熱源水ポンプ13を停止させる。
【0113】
以上説明したように、Ts<Tr(60℃)以上の場合には、給水タンク2の減水時に第2給水ライン5の送給を最先で開始させることにより、冷温水機10が優先して運転される。冷温水機10は、第1熱交換器8よりも低~中温域の熱源水SWに対する熱回収効率が高いため、冷温水機10を給水のベースロード機に、第1熱交換器8を給水のピークロード機に指定することで、効率の良い熱回収を実現することができる。
【0114】
また、送給状態B2,B3,B4では、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に運転されることにより、二段階の熱回収が行われる。前段に位置する第1熱交換器8は、低~中温域の熱源水SWに対する熱回収効率があまり高くはないが、熱回収効率の高い冷温水機10と組み合わせることで、無駄のない熱回収を行うことができる。
【0115】
[コンピュータシステム]
図5は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の制御装置30は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置30の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0116】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、熱源水SWとの熱交換により第1給水ライン4を流通する給水CWを加温する第1熱交換器8と、ヒートポンプ回路9により熱源水SWから熱を汲み上げて第2給水ライン5を流通する給水CWを加温する冷温水機10とが設けられる。第1熱交換器8は、高温域(例えば、60~80℃)の熱源水SWに対する熱回収効率が高い。一方、冷温水機10は、低~中温域(例えば、60℃未満)の熱源水SWに対する熱回収効率が高い。熱回収効率が高い温度領域が異なる第1熱交換器8と冷温水機10とが設けられることにより、熱源水SWの温度に応じて第1給水ライン4と第2給水ライン5とのそれぞれにおける給水CWの送給の有無を制御することにより、幅広い温度範囲の熱源水SWから効率良く熱回収することができる。
【0117】
また、第1給水ライン4及び第2給水ライン5に加えて第3給水ライン6が設けられることにより、第1給水ライン4及び第2給水ライン5からの送給だけでは給水量が不足するとき、第3給水ライン6を介して給水CWを送給することができる。第3給水ライン6は、第1熱交換器8及び冷温水機10を介さずに給水タンク2に給水CWを送給する。したがって、ボイラ80の負荷が一時的に増加したとしても、給水タンク2の貯水量を短時間で回復させることができる。
【0118】
本実施形態においては、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr以上の場合、給水タンク2の水位Lsが第1設定水位値Lr3(図3),Lr1(図4)を下回ると、第1給水ライン4からの給水CWの送給が第1優先で実施される。給水タンク2の水位Lsが第1設定水位値Lr3,Lr1よりも低い第2設定水位値Lr5を下回ると、第2給水ライン5からの給水CWの送給が第2優先で実施される。給水タンク2の水位Lsが第2設定水位値Lr5よりも低い第3設定水位値Lr6を下回ると、第3給水ライン6からの給水CWの送給が第3優先で実施される。第1熱交換器8が高い熱回収効率を発揮できる温度領域は、冷温水機10が高い熱回収効率を発揮できる温度領域よりも高い。そのため、熱源水SWの温度が所定の高温域にある場合、給水CWの加温に第1熱交換器8が優先して利用されることにより、熱源水SWから効率良く熱回収することができる。また、給水タンク2の減水量が所定のレベルを超えたときには、加温された給水CWと共に未加温の給水CWを供給することにより、給水タンク2が低水位状態になるのを防止できる。
【0119】
また、本実施形態においては、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr未満の場合、給水タンク2の水位Lsが第4設定水位値Lr4(図5)を下回ると、第2給水ライン5からの給水CWの送給が第1優先で実施される。給水タンク2の水位Lsが第4設定水位値Lr4よりも低い第5設定水位値Lr5を下回ると、第1給水ライン4からの給水CWの送給が第2優先で実施される。給水タンク2の水位Lsが第5設定水位値Lr5よりも低い第6設定水位値Lr6を下回ると、第3給水ライン6からの給水CWの送給が第3優先で実施される。冷温水機10が高い熱回収効率を発揮できる温度領域は、第1熱交換器8が高い熱回収効率を発揮できる温度領域よりも低い。そのため、熱源水SWの温度が所定の低~中温域にある場合、給水CWの加温に冷温水機10が優先して利用されることにより、熱源水SWから効率良く熱回収することができる。また、給水タンク2の減水量が所定のレベルを超えたときには、加温された給水CWと共に未加温の給水CWを供給することにより、給水タンク2が低水位状態になるのを防止できる。
【0120】
本実施形態において、第1給水ライン4は、上流端4Aが第3給水ライン6から分岐し、下流端4Bが第3給水ライン6に合流するように配設される。上流端6Aと第1部分61との間の第3給水ライン6の一部分、及び第2部分62と下流端6Bとの間の第3給水ライン6の一部分は、第1給水ライン4に兼用される。これにより、配管の構造を簡略化することができる。
【0121】
[2]第2実施形態
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0122】
図7は、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr以上の場合の給水CWの送給状態を示す状態遷移図である。図8は、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr未満の場合の給水CWの送給状態を示す状態遷移図である。
【0123】
本実施形態の給水タンク2には、水位センサ14として長さの異なる4本の電極棒が配置されており、[Lr1>Lr2>Lr3>Lr4]の関係となる4段階の水位が設定されている。検出水位値取得部31は、最も短い電極棒の先端に水面が接触した状態を検出し、その状態を第1確認時間t1(例えば、5秒)継続すると、検出水位値Ls≧Lr1と判定する。また、検出水位値取得部31は、最も短い電極棒の先端から水面が離間した状態を検出し、その状態を第2確認時間t2(例えば、5秒)継続すると、検出水位値Ls<Lr1と判定する。残りの電極棒についても同様の判定が行われ、検出水位値取得部31による水位判定は、[Ls≧Lr1],[Lr1>Ls≧Lr2],[Lr2>Ls≧Lr3],[Lr3>Ls≧Lr4],[Lr4>Ls]の5パターンが存在する。
【0124】
<熱源水の検出温度値が第1設定温度値以上の場合>
図7を参照しながら、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr(60℃)以上の場合の給水加温システム1の制御方法について説明する。なお、図7においては、Lr2が第1設定水位値に、Lr3が第2設定水位値に、Lr4が第3設定水位値に、それぞれ対応付けられている。
【0125】
(送給状態C1)
後述する送給状態C6で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Lr3]となった場合、送給状態C1に移行する。送給状態C1では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A1と同じ制御を行う。
【0126】
(送給状態C2)
送給状態C1で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr3>Ls≧Lr4]となった場合、送給状態C2に移行する。送給状態C2では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A2と同じ制御を行う。
【0127】
(送給状態C3)
送給状態C2で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr4>Ls]となった場合、送給状態C3に移行する。送給状態C3では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A3と同じ制御を行う。
【0128】
(送給状態C4)
送給状態C3で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Lr3]となった場合、送給状態C4に移行する。送給状態C4では給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A4と同じ制御を行う。
【0129】
(送給状態C5)
送給状態C2又は送給状態C4で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr1>Ls≧Lr2]となった場合、送給状態C5に移行する。送給状態C5では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A5と同じ制御を行う。
【0130】
(送給状態C6)
送給状態C1又は送給状態C5で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Ls≧Lr1]となった場合、送給状態C6に移行する。送給状態C6では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A6と同じ制御を行う。
【0131】
(第1熱交換器及び/又は冷温水機の割り込み停止処理)
送給状態C1~C5において、第1熱交換器制御部37は、ΔT1<Tm(15℃)の条件を満たすと、上述した方法により、第1熱交換器8を停止させる。また、送給状態C2~C4において、冷温水機制御部38は、ΔT1≦Tn(0℃)の条件を満たすと、上述した方法により、冷温水機10を停止させる。なお、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に停止された場合には、熱源水ポンプ13が停止される。
【0132】
<熱源水の検出温度値が第1設定温度値未満の場合>
図8を参照しながら、第1熱源水温度センサ15の検出温度値Tsが第1設定温度値Tr(60℃)未満の場合の給水加温システム1の制御方法について説明する。なお、図8においては、Lr2が第4設定水位値に、Lr3が第5設定水位値に、Lr4が第6設定水位値に、それぞれ対応付けられている。
【0133】
(送給状態D1)
後述する送給状態D6で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Lr3]となった場合、送給状態D1に移行する。送給状態D1では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態B1と同じ制御を行う。
【0134】
(送給状態D2)
送給状態D1で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr3>Ls≧Lr4]となった場合、送給状態D2に移行する。送給状態D2では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態B2と同じ制御を行う。
【0135】
(送給状態D3)
送給状態D2で給水タンク2の水位が下降し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr4>Ls]となった場合、送給状態D3に移行する。送給状態D3では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A6と同じ制御を行う。上述した送給状態B3と同じ制御を行う。
【0136】
(送給状態D4)
送給状態D3で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr2>Ls≧Lr3]となった場合、送給状態D4に移行する。送給状態D4では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態A6と同じ制御を行う。上述した送給状態B4と同じ制御を行う。
【0137】
(送給状態D5)
送給状態D2又は送給状態D4で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Lr1>Ls≧Lr2]となった場合、送給状態D5に移行する。送給状態D5では、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態B5と同じ制御を行う。
【0138】
(送給状態D6)
送給状態D1又は送給状態D5で給水タンク2の水位が上昇し、検出水位値取得部31の水位判定が[Ls≧Lr1]となった場合、送給状態D6に移行する。送給状態D6では、給水制御部35は、給水制御部35、熱源水制御部36、第1熱交換器制御部37、及び冷温水機制御部38は、上述した送給状態B6と同じ制御を行う。
【0139】
(第1熱交換器及び/又は冷温水機の割り込み停止処理)
送給状態D2~D4において、第1熱交換器制御部37は、ΔT1<Tm(15℃)の条件を満たすと、上述した方法により、第1熱交換器8を停止させる。また、送給状態D1~D5において、冷温水機制御部38は、ΔT1≦Tn(0℃)の条件を満たすと、上述した方法により、冷温水機10を停止させる。なお、第1熱交換器8と冷温水機10が同時に停止された場合には、熱源水ポンプ13が停止される。
【0140】
図7に示した制御動作においては、図3,4で示した制御動作と同様の効果が得られる。また、図8に示した制御動作においては、図5で示した制御動作と同様の効果が得られる。
【0141】
[3]他の実施形態
上述の実施形態においては、第1給水ライン4の上流端4Aが第3給水ライン6から分岐し且つ下流端4Bが第3給水ライン6に合流するように配設されることとした。第1給水ライン4の上流端4Aが第3給水ライン6のから分岐せずに一次タンク27に接続されてもよい。第1給水ライン4の下流端4Bが第3給水ライン6に合流せずに給水タンク2に接続されてもよい。
【0142】
なお、熱源水タンク3の熱源水SWが加圧状態であるとき、熱源水ポンプ13が省略されても、熱源水タンク3の熱源水SWは、熱源水ライン7に送出される。そのため、熱源水タンク3の熱源水SWが加圧状態であるとき、例えば上流端7Aに設けられた開閉弁が制御されることによって、熱源水ライン7に対する熱源水SWの送出の有無が切り換えられてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1…給水加温システム、2…給水タンク、3…熱源水タンク、4…第1給水ライン、4A…上流端、4B…下流端、5…第2給水ライン、5A…上流端、5B…下流端、6…第3給水ライン、6A…上流端、6B…下流端、7…熱源水ライン、7A…上流端、8…第1熱交換器、9…ヒートポンプ回路、10…冷温水機、11…第1給水ポンプ、12…第2給水ポンプ、13…熱源水ポンプ、14…水位センサ、15…第1熱源水温度センサ、16…第2熱源水温度センサ、17…第1給水温度センサ、18…第2給水温度センサ、19…バルブ、20…バルブ、21…バルブ、22…バルブ、23…第1バイパスライン、24…バルブ、25…バルブ、26…第2バイパスライン、27…一次タンク、28…水処理装置、29…供給ライン、30…制御装置、31…検出水位値取得部、32…検出温度値取得部、33…温度差算出部、34…記憶部、35…給水制御部、36…熱源水制御部、37…第1熱交換器制御部、38…冷温水機制御部、41…給水流路、42…温水流路、51…給水流路、52…加温流路、53…温水流路、61…第1部分、62…第2部分、63…中間流路、71…導入流路、72…第1中間流路、73…第2中間流路、74…排出流路、80…ボイラ、81…温水ライン、82…温水ポンプ、91…圧縮機、92…凝縮器、93…過冷却器、94…膨張弁、95…蒸発器、96…第2熱交換器、97…循環流路、CW…給水、Ls…検出水位値、Lr…設定水位値、Ts…検出温度値、Tss…検出温度値、Tc…検出温度値、Th…検出温度値、Tr…第1設定温度値、Tm…第2設定温度値、Tn…第3設定温度値、ΔT1…第1差分値、ΔT2…第2差分値、RE…冷媒、REg…ガス冷媒、REl…液冷媒、SW…熱源水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8