(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】成形条件決定支援装置および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2018247357
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2018175570
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 勇佐
(72)【発明者】
【氏名】蓮池 正晴
(72)【発明者】
【氏名】馬場 紀行
(72)【発明者】
【氏名】木村 幸治
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-309711(JP,A)
【文献】特開平05-096592(JP,A)
【文献】特開2006-281662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機の型のキャビティに溶融材料を供給することにより成形品を成形する成形方法に適用され、
少なくとも成形機に取り付けられたセンサにより検出された成形時状態データを第一学習データとする機械学習により生成された第一学習モデルであって、前記成形時状態データと前記成形品の品質要素とに関する前記第一学習モデルを記憶する第一学習モデル記憶部と、
前記成形時状態データと成形条件要素とを第二学習データとする機械学習により生成された第二学習モデルであって、前記成形時状態データと前記成形条件要素とに関する前記第二学習モデルを記憶する第二学習モデル記憶部と、
前記第一学習モデルを用いて、前記センサにより検出された前記成形時状態データと成形時状態データ目標値との差分に相当する値である成形時状態データ調整量を取得する成形時状態データ調整量取得部と、
前記第二学習モデルを用いて、前記成形時状態データ調整量に対応する前記成形条件要素の調整量を取得する成形条件要素調整量取得部と、
を備える、成形条件決定支援装置。
【請求項2】
前記第一学習モデルは、前記成形時状態データと前記成形品の品質要素とを前記第一学習データとする機械学習により生成された学習モデルである、請求項1に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項3】
前記成形時状態データ調整量取得部は、
前記第一学習モデルを用いて、予め設定された品質要素目標値に対応する前記成形時状態データ目標値を取得する成形時状態データ目標値取得部と、
前記センサにより検出された前記成形時状態データと前記成形時状態データ目標値との差分である前記成形時状態データ調整量を取得する第二成形時状態データ調整量取得部と、
を備える、請求項1または2に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項4】
前記成形時状態データ調整量取得部は、
前記第一学習モデルを用いて、前記センサにより検出された前記成形時状態データに対応する前記品質要素の値を取得する品質要素取得部と、
予め設定された品質要素目標値と前記品質要素取得部により取得された前記品質要素の値と差分である品質要素調整量を取得する品質要素調整量取得部と、
前記第一学習モデルを用いて、前記品質要素調整量に対応する前記成形時状態データ調整量を、前記センサにより検出された前記成形時状態データと前記成形時状態データ目標値との差分に相当する値として、取得する第二成形時状態データ調整量取得部と、
を備える、請求項1または2に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項5】
前記成形条件決定支援装置は、さらに、
前記成形条件要素調整量取得部により取得された前記成形条件要素の調整量に基づいて、前記成形機の制御装置における成形条件要素の値を変更する条件変更部を備える、請求項1-4の何れか一項に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項6】
前記第二学習モデル記憶部は、成形機の経年劣化に応じて更新された前記第二学習モデルを記憶する、請求項1-5の何れか一項に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項7】
前記センサは、前記型のキャビティにおいて、供給された前記溶融材料から受ける圧力を検出する圧力センサを含み、
前記成形時状態データは、前記圧力センサにより検出された圧力データを含む、請求項1-6の何れか一項に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項8】
前記成形方法は、所定の保圧力により所定時間の保圧処理を行った後に前記保圧力を減少させる処理を行い、
前記センサは、前記キャビティにおいて異なる複数の位置に生じる圧力を各々検出する複数の前記圧力センサを含み、
前記成形時状態データは、前記保圧力の減少処理のときに複数の前記圧力センサにより検出された複数の前記圧力データを含み、
前記品質要素は、前記成形品の形状であり、
前記第一学習モデルは、少なくとも前記圧力データを前記第一学習データとする機械学習により生成され、前記圧力データと前記形状を示す値とに関する学習モデルである、請求項7に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項9】
前記成形品を成形する方法は、所定の保圧力により所定時間の保圧処理を行った後に前記保圧力を減少させる処理を行い、
前記成形時状態データは、前記保圧処理のときに前記圧力センサにより検出された前記圧力データを含み、
前記品質要素は、前記成形品の質量であり、
前記第一学習モデルは、少なくとも前記圧力データを前記第一学習データとする機械学習により生成され、前記圧力データと前記質量とに関する学習モデルである、請求項7または8に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項10】
前記成形品を成形する方法は、所定の保圧力により所定時間の保圧処理を行った後に前記保圧力を減少させる処理を行い、
前記センサは、前記キャビティ内の異なる複数の位置において、供給された前記溶融材料から受ける圧力を各々検出する複数の圧力センサを含み、
前記成形時状態データは、前記保圧力の減少処理のときに複数の前記圧力センサにより検出された複数の圧力データを含み、
前記品質要素は、前記成形品の形状であり、
前記品質要素取得部は、前記第一学習モデルを用いて、少なくとも前記圧力データに対応する前記成形品の形状を示す値を取得する、請求項4に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項11】
前記成形品を成形する方法は、所定の保圧力により所定時間の保圧処理を行った後に前記保圧力を減少させる処理を行い、
前記センサは、前記キャビティにおいて、供給された前記溶融材料から受ける圧力を検出する圧力センサを含み、
前記成形時状態データは、前記保圧処理のときに前記圧力センサにより検出された圧力データを含み、
前記品質要素は、前記成形品の質量であり、
前記品質要素取得部は、前記第一学習モデルを用いて、少なくとも前記圧力データに対応する前記成形品の質量を取得する、請求項4に記載の成形条件決定支援装置。
【請求項12】
請求項1-11の何れか一項に記載の成形条件決定支援装置を有する、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形条件決定支援装置および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形等の溶融材料を型のキャビティに供給して成形品を成形する方法において、不良品が発生した場合には、作業者は、成形条件を変更する必要がある。そして、溶融材料および型を用いる成形方法であるため、設備が設置される工場の地域の環境、工場内の環境、工場内での設備の設置状態、設備の経年劣化度合、季節等、種々の要因が成形品の品質に影響を及ぼす。そのため、種々の要因を考慮した成形条件の変更には、熟練技術が要求される。未熟練者にとっては、どの成形条件をどの程度変更するべきかについて判断することが容易ではない。
【0003】
ところで、近年コンピュータの処理速度の向上に伴い、人工知能が急速に発展しており、例えば、特許文献1には、機械学習により、射出成形の操作条件の調整を短時間で行うことが可能となることが記載されている。すなわち、成形品に関する物理量データ(成形品の品質に相当)と機械学習における報酬条件とに基づいて報酬を計算し、報酬と操作条件調整と物理量データに基づいて操作条件調整を機械学習する。
【0004】
物理量データは、成形品の質量、形状、成形品の画像データから算出される外観、長さ、角度、面積、体積、光学成形品の光学検査結果、成形品強度計測結果等であり、成形品の品質に相当する。また、操作条件(成形条件に相当する)が、型締条件、エジェクト条件、射出保圧条件、計量条件、温度条件、ノズルタッチ条件、樹脂供給条件、型厚条件、成形品取出条件、ホットランナ条件等である。つまり、特許文献1に記載の技術により、成形品に不良品が発生した場合に、成形条件を自動的に調整することが可能となる。従って、作業者による調整が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、成形品の品質要素に基づいて報酬が決定され、当該報酬に基づいて成形条件が調整されている。しかしながら、成形品の品質要素は、上述したように、成形品の質量、形状、成形品の画像データから算出される外観、長さ、角度、面積、体積、光学成形品の光学検査結果、成形品強度計測結果等であるため、成形を終了した後に、検査工程を行うことによって取得できる情報である。検査工程を実行する前に、成形品の異常を予測することができれば、不良品の発生を抑制することができる。
【0007】
本発明は、成形品の品質要素を取得するよりも前に取得できる情報を用いて、成形品の品質要素を良好とするための情報を取得できる成形条件決定支援装置および射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る成形条件決定支援装置は、成形機の型のキャビティに溶融材料を供給することにより成形品を成形する成形方法に適用され、少なくとも成形機に取り付けられたセンサにより検出された成形時状態データを第一学習データとする機械学習により生成された第一学習モデルであって、前記成形時状態データと前記成形品の品質要素とに関する前記第一学習モデルを記憶する第一学習モデル記憶部と、前記成形時状態データと成形条件要素とを第二学習データとする機械学習により生成された第二学習モデルであって、前記成形時状態データと前記成形条件要素とに関する前記第二学習モデルを記憶する第二学習モデル記憶部と、前記第一学習モデルを用いて、前記センサにより検出された前記成形時状態データと成形時状態データ目標値との差分に相当する値である成形時状態データ調整量を取得する成形時状態データ調整量取得部と、前記第二学習モデルを用いて、前記成形時状態データ調整量に対応する前記成形条件要素の調整量を取得する成形条件要素調整量取得部とを備える。
【0009】
機械学習の推論フェーズにおいては、成形時状態データを取得し、取得した当該成形時状態データに基づいて成形条件要素の調整量を取得することができる。そして、成形時状態データとは、成形機に取り付けられたセンサにより検出されたデータである。そのため、成形時状態データは、検査工程によって成形品の品質要素を取得するよりも前に取得できる情報である。従って、検査工程を実行する前に、成形品の異常を予測することができ、不良品の発生を抑制することができる。
【0010】
しかしながら、成形品の品質要素が重要な要素である。そこで、当該支援装置は、成形時状態データと成形品の品質要素との関係を表す第一学習モデルを記憶している。そして、第一学習モデルと成形時状態データとを考慮することによって、成形品の品質要素の値が所定値となるように、成形時状態データ調整量を取得している。
【0011】
さらに、当該支援装置は、成形時状態データと成形条件要素との関係を表す第二学習モデルを記憶している。そして、第二学習モデルと成形時状態データ調整量とを考慮することによって、成形条件要素の調整量を取得している。つまり、取得した成形条件要素の調整量に応じて成形条件要素を調整することによって、成形品の品質要素を良好とすることができる。
【0012】
本発明に係る射出成形機は、上述した成形条件決定支援装置を有する。これにより、射出成形機による成形品の品質を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第一例の成形条件決定支援装置を示すブロック図である。
【
図3】成形時状態データの例として、1つの成形品を成形する際における保圧力データの時間の経過に伴う挙動を示すグラフである。
【
図4】第一学習モデル生成部における第一学習データを示す図である。
【
図5】第二学習モデル生成部における第二学習データを示す図である。
【
図6】第一例の成形条件決定支援装置における支援処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図7のVIII-VIII線における金型の断面図である。
【
図9A】成形条件Xでの成形時における第一圧力センサの圧力推移データを示すグラフである。
【
図9B】成形条件Yでの成形時における第一圧力センサの圧力推移データを示すグラフである。
【
図10】第一圧力センサおよび第二圧力センサの圧力推移データを示すグラフである。
【
図11】第二例の成形条件決定支援装置を示すブロック図である。
【
図12】第二例の成形条件決定支援装置における支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.適用対象)
成形条件決定支援装置50は、溶融材料を成形機の型に供給することにより成形品を成形する方法に適用される。適用対象の成形方法は、例えば、樹脂またはゴム等の射出成形、ダイキャスト等の金属鋳造である。以下においては、適用対象として、主に、射出成形を例にあげて説明する。
【0015】
射出成形を行う射出成形機1について
図1を参照して説明する。ここで、成形条件決定支援装置50は、射出成形機1が備える一部構成としてもよいし、射出成形機1とは別構成としてもよい。射出成形機1は、ベッド2、射出装置3、型締装置4および制御装置5を備える。射出装置3は、ベッド2上に配置され、成形材料を加熱溶融して、高圧を加えて金型6のキャビティCに流し込む装置である。加熱溶融された成形材料のことを、溶融材料と称する。
【0016】
射出装置3は、ホッパ31、加熱シリンダ32、スクリュ33、ノズル34、ヒータ35、駆動装置36、射出装置用センサ37等を備える。ホッパ31は、ペレット(粒状に成形材料)の投入口である。加熱シリンダ32:ホッパ31に投入されたペレットを加熱して溶融すると共に、溶融材料を加圧する。加熱シリンダ32は、ベッド2に対して軸方向に移動可能に設けられている。スクリュ33は、加熱シリンダ32の内部に配置され、回転可能且つ軸方向へ移動可能に設けられている。
【0017】
ノズル34は、加熱シリンダ32の先端に設けられた射出口であり、スクリュ33の軸方向移動によって、加熱シリンダ32の内部の溶融材料を、金型6のキャビティCに供給する。ヒータ35は、例えば加熱シリンダ32の外側に設けられており、加熱シリンダ32の内部のペレットを加熱する。駆動装置36は、加熱シリンダ32の軸方向への移動、スクリュ33の回転および軸方向移動等を行う。射出装置用センサ37は、溶融材料の貯留量、保圧力、保圧時間、射出速度、駆動装置36の状態等を取得するセンサを総称する。ただし、当該センサ37は、上記に限られず、種々の情報を取得するようにしてもよい。
【0018】
型締装置4は、ベッド2上において射出装置3に対向配置されている。型締装置4は、装着された金型6の開閉動作を行うと共に、金型6を締め付けた状態において、金型6のキャビティCに射出された溶融材料の圧力により金型6が開かないようにする。
【0019】
型締装置4は、固定盤41、可動盤42、タイバー43、駆動装置44、型締装置用センサ45を備える。固定盤41は、固定側の第一金型6aが固定されている。固定盤41は、射出装置3のノズル34に当接可能であって、ノズル34から射出される溶融材料を金型6のキャビティCへ導く。キャビティCは、第一金型6aと第二金型6bとの間に形成され、製品形状に対応する領域である。可動盤42は、可動側の第二金型6bが固定されており、固定盤41に対して接近および離間可能である。タイバー43は、可動盤42の移動を支持する。駆動装置44は、例えば、シリンダ装置によって構成されており、可動盤42を移動させる。型締装置用センサ45は、型締力、金型温度、駆動装置44の状態等を取得するセンサを総称する。
【0020】
金型6には、第一金型6aと第二金型6bとの間にキャビティCが形成されている。第一金型6aは、ノズル34からキャビティCまでの間に供給路6c(スプルー、ランナー、ゲート)を備える。さらに、第一金型6aまたは第二金型6bは、圧力センサ6d,6eを備える。圧力センサ6d,6eは、溶融材料から受ける圧力を検出する。
【0021】
制御装置5は、成形条件に関する指令値に基づいて、射出装置3の駆動装置36および型締装置4の駆動装置44を制御する。特に、制御装置5は、射出装置用センサ37、型締装置用センサ45、および、圧力センサ6d,6eから各種情報を取得して、指令値に応じた動作を行うように、射出装置3の駆動装置36および型締装置4の駆動装置44を制御する。
【0022】
ここで、射出成形機1による射出成形方法について説明する。計量工程、型締工程、射出充填工程、保圧工程、冷却工程、離型取出工程が順次実行される。計量工程において、ヒータ35の加熱およびスクリュ33の回転に伴うせん断摩擦熱によってペレットが溶融されながら、溶融材料が加熱シリンダ32の先端とノズル34の間に貯留される。溶融材料の貯留量の増加に伴ってスクリュ33が後退するため、スクリュ33の後退位置から溶融材料の貯留量の計量が行われる。
【0023】
続いて、型締工程において、可動盤42を移動させて、第一金型6aと第二金型6bとを合わせることにより、型締めを行う。さらに、ノズル34を型締装置4の固定盤41に接続する。続いて、射出充填工程において、スクリュ33の回転を停止した状態において、スクリュ33をノズル34に向けて所定の押込み力にて移動させることにより、溶融材料を高い圧力で金型6のキャビティCに射出充填する。
【0024】
射出充填の後、保圧工程において、キャビティCに溶融材料が充填された状態でさらに溶融材料をキャビティCに押し込み、キャビティC内の溶融材料に所定の保圧力が所定時間加えられた保圧処理を行う。具体的には、スクリュ33に一定の押込み力を付与することにより、溶融材料に所定の保圧力を付与する。キャビティC内の溶融材料に生じる圧力は、キャビティCの位置によって異なる。
【0025】
そして、所定の保圧力により所定時間の保圧処理を行った後、冷却工程へ移行する。冷却工程では、溶融材料の押込みを停止して保圧力を減少させる処理(保圧力減少処理)を行い、さらに金型6を冷却する。金型6を冷却することで、金型6のキャビティCにおける溶融材料を固化させる。最後に、離型取出工程において、第一金型6aと第二金型6bとを離間させて、成形品を取り出す。
【0026】
(2.第一例の成形条件決定支援装置50の構成)
第一例の成形条件決定支援装置50(以下、支援装置と称する)の構成について、
図2-
図5を参照して説明する。支援装置50は、機械学習の学習フェーズにおいて機能する部分と、機械学習の推論フェーズにおいて機能する部分とを備える。
【0027】
すなわち、支援装置50は、
図2に示すように、学習フェーズとして機能する部分として、成形条件データベース51、成形時状態データベース52、成形品品質データベース53、第一学習モデル生成部54、第一学習モデル記憶部55、第二学習モデル生成部56、第二学習モデル記憶部57を備える。また、支援装置50は、推論フェーズとして機能する部分として、第一学習モデル記憶部55、第二学習モデル記憶部57、成形時状態データ調整量取得部60、成形条件要素調整量取得部71、条件変更部72を備える。
【0028】
成形条件データベース51は、制御装置5に指令値として入力される多数の成形品の成形条件要素を、それぞれの成形品に対応付けられて記憶する。成形条件要素とは、例えば、金型温度、保圧力、射出速度、保圧時間、型締力、加熱シリンダ32における溶融材料の貯留量等が含まれる。成形条件データベース51には、多数の成形品に関する成形条件要素が記憶されている。つまり、成形条件データベース51には、多数の成形品の形状、多数の成形品の材質に関する成形条件要素が記憶されている。
【0029】
成形時状態データベース52は、射出成形機1に取り付けられた射出装置用センサ37、型締装置用センサ45、および、圧力センサ6d,6eにより検出された成形時状態データを、それぞれの成形品に対応付けられて記憶する。成形時状態データとは、成形品の成形時において取得されるデータである。
【0030】
ここで、成形時状態データは、対象のデータ種の時間に伴う挙動としてもよいし、当該挙動情報から得られる所定の統計量としてもよい。例えば、
図3に示すように、成形時状態データは、1つの成形品の成形時における保圧力データの時間経過に伴う挙動としてもよいし、当該挙動から得られる統計量としてもよい。
【0031】
なお、挙動は、対象のデータ種に関してサンプリング時間の数の分存在することになる。統計量は、例えば、全期間(成形開始から成形終了までの期間)の積分値、所定の一部期間の積分値、所定のタイミングにおける微分値、最大値、最大微分値など、種々の統計量の中から選択できる。成形時状態データは、保圧力データの他に、例えば、金型温度データ、射出速度データ、型締力データ、加熱シリンダ32における溶融材料の貯留量等を含めることができる。
【0032】
ここで、保圧力データは、射出装置用センサ37により検出されるスクリュ33に付与される押込み力データとすることもできるし、圧力センサ6d,6eにより検出される金型6内の圧力データとすることもできる。スクリュ33に付与される押込み力は、制御装置5による制御可能なパラメータであるが、圧力センサ6d,6eによる圧力は、制御装置5による制御可能なパラメータではない。
【0033】
成形品品質データベース53は、多数の成形品の品質要素を、それぞれの成形品に対応付けられて記憶する。品質要素には、質量、形状、ボイド状態、焼け状態等が含まれる。品質要素は、成形品の成形後に、検査装置(図示せず)等によって検査された情報である。また、品質要素は、各要素の検査数値そのものの値としてもよいし、各要素の検査数値を評価値に置換した値としてもよい。
【0034】
なお、成形条件データベース51、成形時状態データベース52および成形品品質データベース53とは、別々のデータベースである場合を例にあげるが、これらが一体となったデータベースとすることもできる。この場合、成形条件要素、成形時状態データおよび成形品の品質要素が、それぞれの成形品に対応付けられて記憶されることになる。
【0035】
第一学習モデル生成部54は、
図4に示すように、少なくとも成形時状態データベース52に記憶された成形時状態データを第一学習データとする機械学習を行う。本例では、第一学習モデル生成部54は、成形時状態データと品質要素データベースに記憶された品質要素とを第一学習データとする機械学習を行う。第一学習モデル生成部54は、当該機械学習により、成形時状態データと品質要素とに関する第一学習モデルを生成する。第一学習モデルは、教師あり学習を例にあげるが、他の機械学習アルゴリズムを適用することもできる。第一学習モデルは、例えば、回帰モデル等を適用する。第一学習モデル生成部54により生成された第一学習モデルは、第一学習モデル記憶部55に記憶される。
【0036】
第二学習モデル生成部56は、
図5に示すように、成形時状態データベース52に記憶された成形時状態データと成形条件データベース51に記憶された成形条件要素とを第二学習データとする機械学習を行う。第二学習モデル生成部56は、当該機械学習により、成形時状態データと成形条件要素とに関する第二学習モデルを生成する。第二学習モデルは、例えば、回帰モデル等を適用する。第二学習モデル生成部56により生成された第二学習モデルは、第二学習モデル記憶部57に記憶される。
【0037】
成形時状態データ調整量取得部60は、対象の成形品の成形を行っている際に、第一学習モデルを用いて成形時状態データ調整量を取得する。具体的には、成形時状態データ調整量取得部60は、射出装置用センサ37および型締装置用センサ45により検出された成形時状態データに基づいて、成形時状態データ調整量を取得する。成形時状態データ調整量とは、センサ37,45により検出された成形時状態データと成形時状態データ目標値との差分に相当する値である。
【0038】
成形時状態データ調整量取得部60は、品質要素目標値取得部61、成形時状態データ目標値取得部62、成形時状態データ取得部63、第二成形時状態データ調整量取得部64を備える。
【0039】
品質要素目標値取得部61は、対象の成形品に関する品質要素目標値、例えば、品質要素における良品であるための境界値を取得する。対象の成形品とは、現在成形を行っている成形品、または、これから成形を行う予定の成形品である。品質要素目標値は、予め設定された情報である。品質要素目標値取得部61は、作業者の入力によって対象の成形品に関する品質要素の目標値を取得する。品質要素目標値は、例えば、質量が○○kg、形状を示す値が○○m、ボイド状態の指標値、焼け状態の指標値等に関する目標値である。
【0040】
成形時状態データ目標値取得部62は、第一学習モデル記憶部55に記憶された第一学習モデルを用いて、品質要素目標値取得部61により取得された品質要素目標値に対応する成形時状態データ目標値を取得する。第一学習モデルは、上述したように、成形時状態データと品質要素とに関するモデルである。従って、第一学習モデルを用いて、品質要素目標値を入力することにより、成形時状態データに関する情報、すなわち、成形時状態データ目標値が出力される。なお、成形時状態データ目標値は、成形時状態データベース52に記憶される成形時状態データと同種である。すなわち、成形時状態データ目標値は、対象のデータ種の時間に伴う挙動としてもよいし、当該挙動情報から得られる所定の統計量としてもよい。
【0041】
成形時状態データ取得部63は、対象の成形品の成形を行っている際に、射出装置用センサ37、型締装置用センサ45、および、圧力センサ6d,6eにより検出された成形時状態データを取得する。なお、ここでの成形時状態データは、成形時状態データベース52に記憶される成形時状態データと同種である。すなわち、成形時状態データは、対象のデータ種の時間に伴う挙動としてもよいし、当該挙動情報から得られる所定の統計量としてもよい。
【0042】
第二成形時状態データ調整量取得部64は、成形時状態データ取得部63により取得された成形時状態データと、成形時状態データ目標値取得部62により取得された成形時状態データ目標値との差分を算出し、当該差分を前記成形時状態データ調整量として取得する。
【0043】
成形条件要素調整量取得部71は、第二学習モデル記憶部57に記憶された第二学習モデルを用いて、第二成形時状態データ調整量取得部64により取得された成形時状態データ調整量に対応する成形条件要素の調整量を取得する。第二学習モデルは、上述したように、成形時状態データと成形条件要素とに関するモデルである。従って、第二学習モデルを用いて、成形時状態データ調整量を入力することにより、成形条件要素に関する情報、すなわち、成形条件要素の調整量が出力される。成形条件要素の調整量とは、例えば、金型温度の指令値の上昇量5℃等である。
【0044】
条件変更部72は、成形条件要素調整量取得部71により取得された成形条件要素の調整量に基づいて、射出成形機1の制御装置5における成形条件要素の値(指令値)を変更する。条件変更部72は、作業者による実行処理信号を受け付けることなく、自動的に変更処理を実行する。なお、条件変更部72は、作業者による実行処理信号を受け付けた場合に、変更処理を実行するようにしてもよい。
【0045】
(3.第一例の支援処理)
第一例の支援装置50による支援処理について、
図6を参照して説明する。ここで、支援処理は、学習フェーズと推論フェーズとが存在するが、支援処理のうちの推論フェーズについて説明する。つまり、第一学習モデルおよび第二学習モデルが生成された後の処理について説明する。
【0046】
品質要素目標値取得部61が、品質要素目標値を取得する(S1)。続いて、成形時状態データ目標値取得部62が、第一学習モデルを用いて、品質要素目標値に対応する成形時状態データ目標値を取得する(S2)。続いて、成形時状態データ取得部63が、成形時状態データを取得する(S3)。続いて、第二成形時状態データ調整量取得部64が、成形時状態データと成形時状態データ目標値とに基づいて、これらの差分である成形時状態データ調整量を取得する(S4)。
【0047】
成形条件要素調整量取得部71が、当該調整量が所定値より大きいか否かを判定する(S5)。当該調整量が所定値以下の場合には(S5:No)、ステップS3に戻り、上記処理を繰り返す。一方、当該調整量が所定値より大きい場合には(S5:Yes)、成形条件要素調整量取得部71が、第二学習モデルを用いて、成形条件要素調整量を取得する(S6)。
【0048】
続いて、条件変更部72が、成形条件要素調整量に基づいて、制御装置5における成形条件要素の値を変更する(S7)。そして、同種の成形品が有る場合には(S8:No)、ステップS3に戻り、次の成形品について処理を繰り返す。一方、同種の成形品が無い場合には(S8:Yes)、支援処理を終了する。なお、異なる種類の成形品の成形を行う場合には、ステップS1から処理を実行する。
【0049】
(4.支援装置50による効果)
上述したように、機械学習の推論フェーズにおいては、成形時状態データを取得し、取得した当該成形時状態データに基づいて成形条件要素の調整量を取得することができる。そして、成形時状態データとは、射出成形機1に取り付けられたセンサ37,45により検出されたデータである。そのため、成形時状態データは、検査工程によって成形品の品質要素を取得するよりも前に取得できる情報である。従って、検査工程を実行する前に、成形品の異常を予測することができ、不良品の発生を抑制することができる。
【0050】
しかしながら、成形品の品質要素が重要な要素である。そこで、当該支援装置50は、成形時状態データと成形品の品質要素との関係を表す第一学習モデルを生成している。そして、第一学習モデルと成形時状態データとを考慮することによって、成形品の品質要素の値が所定値となるように、成形時状態データ調整量を取得している。
【0051】
さらに、当該支援装置50は、成形時状態データと成形条件要素との関係を表す第二学習モデルを生成している。そして、第二学習モデルと成形時状態データ調整量とを考慮することによって、成形条件要素の調整量を取得している。つまり、取得した成形条件要素の調整量に応じて成形条件要素を調整することによって、成形品の品質要素を良好とすることができる。
【0052】
さらに、成形時状態データ調整量取得部60において、成形時状態データ目標値取得部62が、第一学習モデルを用いて、予め設定された品質要素目標値に対応する成形時状態データ目標値を取得する。そして、第二成形時状態データ調整量取得部64が、センサ37,45により検出された成形時状態データと成形時状態データ目標値との差分である成形時状態データ調整量を取得している。このように、第一学習モデルを用いることで成形時状態データ目標値を得ることができ、その結果、成形時状態データ調整量を得ることができる。このように、確実に、成形時状態データ調整量を得ることができる。
【0053】
また、支援処理において、品質要素目標値は予め設定されているため、成形時状態データ目標値は、予め取得しておくことができる。つまり、支援処理において、成形品の都度、第一学習モデルを用いた処理が行われることはない。従って、支援処理の実行時間を短時間とすることができる。
【0054】
(5.第二学習モデル生成部56の変形態様)
第二学習モデル生成部56は、成形条件要素の値を変更する前に、予め第二学習モデルを生成しておく必要がある。そこで、上記においては、第二学習モデル生成部56は、予め第二学習モデルを生成することについて説明した。
【0055】
ただし、成形条件要素と成形時状態データとの関係は、射出成形機1の経年劣化に応じて変化することがある。例えば、保圧力を当初の指令値で制御したとしても、部品の摩耗等によって、実際の保圧力は、初期と経変劣化後とで異なる場合がある。そこで、第二学習モデル生成部56は、射出成形機1の経年劣化に応じて第二学習モデルを更新するとよい。これにより、第二学習モデルを用いて成形条件要素調整量を取得する際に、射出成形機1の経年劣化状態を考慮することができる。従って、より高精度に、成形条件要素調整量を取得することができる。
【0056】
(6.第一学習モデルの構成と適用の第一例)
次に、第一例の支援装置50において使用する第一学習モデルの第一例について説明する。第一学習モデルは、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の形状を示す値とに関する学習モデルである。
【0057】
(6-1.金型6の詳細構成)
金型6の詳細構成について、
図7および
図8を参照して説明する。金型6は、少なくとも一つのキャビティCを備える。本例では、成形機1が成形する成形品は、等速ジョイントに用いられる保持器とする。従って、成形品は、環状、特に円環状である。キャビティCも、環状、特に円環状に形成される。なお、成形品は、環状以外の形状、例えば、C形状や矩形枠状とすることもできる。そして、キャビティCは、成形品に対応する形状となる。
【0058】
第一金型6aは、ノズル34とキャビティCとの間に、溶融材料の供給路6cを備える。第一金型6aは、供給路6cとして、1個のスプルー6c1と、1個または複数のランナー6c2と、1個または複数のゲート6c3とを備える。本例では、第一金型6aは、1個のスプルー6c1、1個のランナー6c2、1個のゲート6c3を備える場合を例にあげる。
【0059】
スプルー6c1は、ノズル34から溶融材料が供給される通路である。ランナー6c2は、スプルー6c1から分岐する通路であり、スプルー6c1に供給された溶融材料は、ランナー6c2に流入する。ゲート6c3は、ランナー6c2に流入した溶融材料をキャビティCに導く通路であり、ゲート6c3の流路断面積は、ランナー6c2の流路断面積よりも小さい。
【0060】
キャビティCが環状である場合であって、第一金型6aが1個のゲート6c3を備える場合には、キャビティC内における溶融材料の流入経路は、ゲート6c3からキャビティCの環状の周方向に流動する経路となる。つまり、キャビティC内において、溶融材料は、最初にゲート6c3の位置に流入し、最後にゲート6c3からの最遠位置に流入する。
【0061】
なお、金型6には、複数のキャビティCを設けることが可能である。この場合、第一金型6aには、キャビティCと同数のランナー6c2およびゲート6c3が形成され、スプルー6c1に供給された溶融材料は、ランナー6c2およびゲート6c3を介して各々のキャビティCに供給される。
【0062】
また、上述したように、金型6には、第一圧力センサ6dが配置されている。金型6は、第一圧力センサ6dとして、キャビティCにおいて、供給された溶融材料から受ける圧力を検出する6つの第一圧力センサ6d1-6d6を備える。6つの第一圧力センサ6d1-6d6の各々は、キャビティC内においてゲート6c3から溶融材料が流入する流入経路において、ゲート6c3からの距離が異なる位置に配置される。
【0063】
ここで、複数の第一圧力センサ6d1-6d6のうちの一部は、流入経路において、ゲート6c3からの最遠位置よりも、ゲート6c3寄りの位置に配置される。また、複数の第一圧力センサ6d1-6d6のうちの他の一部は、流入経路において、ゲート6c3よりも、ゲート6c3からの最遠位置寄りに配置される。
【0064】
第一圧力センサ6d1が、キャビティC内において流入経路において最もゲート6c3から離れた位置に配置される。第一圧力センサ6d2が、次にゲート6c3から離れた位置に配置される。第一圧力センサ6d3-6d5が、順次、ゲート6c3から離れた位置に配置される。そして、第一圧力センサ6d6が、最もゲート6c3に近い位置に配置される。
【0065】
具体的に、第一圧力センサ6d1は、ゲート6c3からキャビティCに流入した溶融材料が最後に到達する領域に配置される。一方、第一圧力センサ6d6は、ゲート6c3の延長線上の領域に配置され、キャビティC内において溶融材料が最初に流入する領域に配置される。
【0066】
さらに、上述したように、金型6には、第二圧力センサ6eが配置されている。詳細には、第一金型6aが、少なくとも1個の第二圧力センサ6eを備える。本例では、第一金型6aは、1個の第二圧力センサ6eを備える場合を例にあげる。第二圧力センサ6eは、スプルー6c1、ランナー6c2およびゲート6c3の何れかに配置され、ノズル34とキャビティCとの間の供給路において溶融材料から受ける圧力を検出する。本例では、第二圧力センサ6eは、ランナー6c2に配置され、ランナー6c2において第一金型6aが溶融材料から受ける圧力を検出する。
【0067】
(6-2.金型6内の圧力データ)
射出充填工程から保圧工程を介して冷却工程までにおいて、6つの第一圧力センサ6d1-6d6により検出される圧力データについて、
図9Aおよび
図9Bを参照して説明する。
図9Aには、射出充填工程から冷却工程までにおいて、所定の成形条件Xで成形した成形品の成形時における圧力推移データを示すグラフが示されており、
図9Bには、射出充填工程から冷却工程までにおいて、成形条件Xとは異なる成形条件Yで成形した成形品の成形時における圧力推移データを示すグラフが示されている。
【0068】
ここで、成形条件Xで成形した成形品の真円度は、成形条件Yで成形した成形品の真円度に比べて、大きくなった。つまり、成形条件Xで成形した成形品は、成形条件Yで成形した成形品よりも形状精度(特に、真円度)が低くなった。以下、圧力推移データと形状精度(特に、真円度)との関係についての考察を述べる。
【0069】
図9Aおよび
図9Bにおいて、T1-T2間が射出充填工程であり、T2-T3間が保圧工程であり、T3以降が冷却工程である。保圧処理の開始時刻は、キャビティC内に充填されたときであるため、全ての第一圧力センサ6dの圧力データがゼロでない値(微小の所定値より大きな値)になったときである。保圧処理の終了時刻、すなわち保圧力減少処理の開始時刻は、スクリュ33に押込み力の付与を停止したときである。保圧処理における圧力推移データを「保圧処理推移データ」と称し、保圧力減少処理における圧力推移データを「減少処理推移データ」と称する。
【0070】
ここで、保圧力減少処理が開始された際に、キャビティC内の溶融材料が全域に亘って均等に収縮することで、固化後の成形品の形状精度が向上すると考えられる。そして、キャビティC内に充填された溶融材料が、保圧力減少処理を開始してから全域に亘って均等に収縮した場合、6つの第一圧力センサ6dの減少処理推移データが近似すると考えられる。一方、保圧力減少処理を開始してからの溶融材料の収縮度合が、キャビティCにおける溶融材料の位置によって大きく異なる場合、6つの第一圧力センサ6dの減少処理推移データのバラツキが大きくなると考えられる。
【0071】
図9Aに示すグラフと
図9Bに示すグラフとを比較した場合、成形条件Xの減少処理推移データは、成形条件Yの減少処理推移データと比べて、各々の減少処理推移データ間での挙動のバラツキが大きいと判断できる。特に、成形条件Xの減少処理推移データに関して、第一圧力センサ6d1の減少処理推移データの挙動は、第一圧力センサ6d6の減少処理推移データの挙動との違いが大きいと判断できる。
【0072】
よって、キャビティCに充填された溶融材料のうち、ゲート6c3の近傍に位置する溶融材料と、ゲート6c3から離れて位置する溶融材料との間で、保圧力減少処理を開始してからの成形品の収縮度合にバラツキが発生したと判断できる。その結果、成形条件Xにより成形された成形品は、成形条件Yにより成形された成形品と比べて、形状精度が低く、真円度が大きくなると判断できる。このように、6つの第一圧力センサ6d1-6d6の各々の保圧力減少推移データの違いやバラツキは、成形品の形状精度との相関性が高い。
【0073】
(6-3.第一学習モデルの第一例の詳細)
次に、第一学習モデルの第一例の詳細について説明する。第一学習モデルの第一例は、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の形状を示す値とに関する学習モデルである。第一学習モデルは、少なくとも成形時状態データとしての金型6内の圧力データを第一学習データとする機械学習により生成される。本例では、成形品の形状を示す値は、円環状の成形品の外周面または内周面の真円度である。ここで、第一学習モデルは、品質要素としての成形品の形状を示す値を第一学習データに含めるようにしてもよい。さらに、第一学習データは、圧力データの他に、種々の成形時状態データを含むようにしてもよい。
【0074】
ここで、当該圧力データは、保圧力減少処理のときに圧力センサ6d,6eにより検出された金型6内の圧力データである。保圧力減少処理における圧力データを「減少処理圧力データ」と定義し、保圧力を減少開始してからの経過時間と圧力データとの関係を「減少処理推移データ」と定義する。
【0075】
そして、金型6内の減少処理圧力データは、保圧力減少処理において第一圧力センサ6d1-6d6により検出された圧力データを含む。さらに、減少処理圧力データは、第二圧力センサ6eにより検出された圧力データを含むようにしてもよい。また、金型6内の圧力データは、第一圧力センサ6d1-6d6の一部のみにより検出された圧力データとすることも可能である。
【0076】
ここで、第一学習データは、減少処理圧力データのバラツキを示す値を含むとよい。
図9Aおよび
図9Bに示すように、減少処理圧力データのバラツキが大きいほど、成形品の真円度が大きくなるという関係を有する。従って、第一学習データとして、当該バラツキを示す値を含むことにより、第一学習モデルは、成形品の形状精度、特に真円度との相関性を強くすることができる。
【0077】
バラツキを示す値として、複数の圧力センサ6d,6eの減少処理圧力データの差、複数の減少処理圧力データの分散、複数の減少処理推移データの時間積分値の差、減少処理推移データの時間積分値の分散、減少処理推移データの時間微分値の平均値の差、減少処理推移データの時間微分値の平均値の分散などとすることができる。さらに、バラツキを示す値として、保圧力を減少開始してから圧力データがゼロに近い所定値以下となるまでに要した時間を保圧減少時間と定義した場合に、各々の第一圧力センサ6d間での保圧減少時間の差とすることもできる。
【0078】
本例において、
図6に示す第一例の支援処理は、次のように行われる。品質要素目標値取得部61は、品質要素目標値として、成形品の環状の外周面または内周面の真円度の目標値を取得する(S1)。成形時状態データ目標値取得部62は、上記の第一学習モデルを用いて、少なくとも、品質要素目標値としての真円度の目標値に対応する成形時状態データ目標値を取得する(S2)。本例では、成形時状態データ目標値取得部62は、成形時状態データ目標値として、金型6内の減少処理圧力データに関する値の目標値を取得する。
【0079】
成形時状態データ取得部63は、少なくとも減少処理圧力データを取得する(S3)。そして、第二成形時状態データ調整量取得部64が、成形時状態データと成形時状態データ目標値とに基づいて、これらの差分である成形状態データ調整量を取得する(S4)。その後、上述した処理(S5、S6)を行い、成形条件要素の値を変更する(S7)。以上より、当該第一学習モデルを用いた処理を行うことにより、品質要素としての成形品の真円度を良好にするための成形条件を決定することができる。
【0080】
(7.第一学習モデルの構成と適用の第二例)
次に、第一例の支援装置50において使用する第一学習モデルの第二例について説明する。第一学習モデルは、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の質量とに関する学習モデルである。
【0081】
(7-1.金型6内の圧力データ)
射出充填工程から保圧工程を介して冷却工程までにおいて、第一圧力センサ6dおよび第二圧力センサ6eにより検出される圧力データについて、
図10を参照して説明する。
図10には、射出充填工程から冷却工程までにおいて、所定の成形条件で成形した成形品の成形時における圧力推移データを示すグラフが示されている。T1,T2,T3は、
図9Aおよび
図9Bと同様である。ここで、保圧処理における圧力データを「保圧処理圧力データ」と定義し、保圧処理において保圧処理を開始してからの経過時間と圧力データとの関係を「保圧処理推移データ」と定義する。
【0082】
ここで、成形品の質量は、保圧処理圧力データと相関を有することが分かった。保圧処理の時間が長いほど、成形品の質量が大きくなる関係を有する。また、保圧処理のときの保圧力が大きいほど、成形品の質量が大きくなる関係を有する。さらに、保圧処理推移データのバラツキが大きいほど、成形品の質量が低下する関係を有する。
【0083】
また、金型6の供給路6cにおいて溶融材料から加わる圧力は、キャビティCにおいて溶融材料から加わる圧力と比べて、ノズル34に近い分、保持処理時に射出装置3から加わる圧力との相関性が高い。一方、第一圧力センサ6d1は、流入経路においてゲート6c3からの最遠位置に配置されているため、第一圧力センサ6d1から溶融材料から受ける圧力は、キャビティCに充填された溶融材料の中で最も圧力損失が大きくなると考えられる。
【0084】
つまり、第一圧力センサ6d1の圧力データは、第二圧力センサ6eの圧力データより小さくなる。そして、両者の差が大きいほど、圧力損失が大きいことを意味し、結果として質量が小さくなると考えられる。
【0085】
(7-2.第一学習モデルの第二例の詳細)
次に、第一学習モデルの第二例について説明する。第一学習モデルの第二例は、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の質量とに関する学習モデルである。第一学習モデルは、少なくとも成形時状態データとしての金型6内の圧力データを第一学習データとする機械学習により生成される。ここで、第一学習モデルは、品質要素として成形品の質量を第一学習データに含めるようにしてもよい。さらに、第一学習データは、圧力データの他に、種々の成形時状態データを含むようにしてもよい。
【0086】
当該圧力データは、保圧処理のときに圧力センサ6d,6eにより検出された金型6内の圧力データである。そして、金型6内の保圧処理圧力データは、保圧処理において第一圧力センサ6d1-6d6により検出された圧力データ、および、第二圧力センサ6eにより検出された圧力データを含む。ただし、金型6内の圧力データは、第一圧力センサ6d1-6d6の一部のみにより検出された圧力データとすることも可能である。
【0087】
第一学習データは、保圧処理の時間および保圧処理のときの保圧力を表す保圧処理推移データを時間積分した積分値を含むとよい。ただし、成形品の質量において、保圧処理の時間の影響度合いと、保圧処理のときの保圧力の影響度合いとは異なる。そこで、第一学習データは、保圧処理の時間そのもの、および、圧力データそのものの少なくとも一方を含むようにするとよい。例えば、第一学習データは、圧力データそのものとして、保圧処理のときに第一圧力センサ6d1-6d6により検出された圧力データの最大値および平均値の少なくとも一つを含むとよい。
【0088】
さらに、第一学習データは、圧力センサ6d,6eによる保圧処理圧力データのバラツキを含むとよい。上述したように、保圧処理圧力データのバラツキが大きいほど、成形品の質量が低下するという関係を有する。従って、第一学習データとして、当該バラツキを示す値を含むことにより、成形品の質量との相関性を強くすることができる。
【0089】
特に、ゲート6c3から最遠位置における圧力データと、供給路6cにおける圧力データとの差が大きいほど、成形品の質量が低下する。そこで、金型6内の保圧処理圧力データは、保圧処理において、少なくともゲート6c3から最遠位置寄りの位置に配置された第一圧力センサ6d1の圧力データ、および、供給路6cに配置された第二圧力センサ6eの圧力データを含むようにするとよい。
【0090】
第一学習データは、バラツキを示す値として、以下の少なくとも一つを含むようにするとよい。バラツキを示す値として、複数の圧力センサ6d,6eの保圧処理圧力データの差、複数の保圧処理圧力データの分散、複数の保圧処理推移データの時間積分値の差、保圧処理推移データの時間積分値の分散、保圧処理推移データの時間微分値の平均値の差、保圧処理推移データの時間微分値の平均値の分散などとすることができる。
【0091】
本例において、
図6に示す第一例の支援処理は、次のように行われる。品質要素目標値取得部61は、品質要素目標値として、成形品の質量の目標値を取得する(S1)。成形時状態データ目標値取得部62は、上記の第一学習モデルを用いて、少なくとも、品質要素目標値としての質量の目標値に対応する成形時状態データ目標値を取得する(S2)。本例では、成形時状態データ目標値取得部62は、成形時状態データ目標値として、金型6内の保圧処理圧力データに関する値の目標値を取得する。
【0092】
成形時状態データ取得部63は、少なくとも保圧処理圧力データを取得する(S3)。そして、第二成形時状態データ調整量取得部64が、成形時状態データと成形時状態データ目標値とに基づいて、これらの差分である成形状態データ調整量を取得する(S4)。その後、上述した処理(S5、S6)を行い、成形条件要素の値を変更する(S7)。以上より、当該第一学習モデルを用いた処理を行うことにより、品質要素としての成形品の質量を所望値にするための成形条件を決定することができる。
【0093】
(8.第二例の成形条件決定支援装置150の構成)
第二例の成形条件決定支援装置150(以下、支援装置と称する)の構成について、
図11を参照して説明する。ここで、第二例の支援装置150は、第一例の支援装置50と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
支援装置150は、機械学習の学習フェーズにおいて機能する部分と、機械学習の推論フェーズにおいて機能する部分とを備える。すなわち、支援装置150は、
図11に示すように、学習フェーズとして機能する部分として、成形条件データベース51、成形時状態データベース52、成形品品質データベース53、第一学習モデル生成部54、第一学習モデル記憶部55、第二学習モデル生成部56、第二学習モデル記憶部57を備える。また、支援装置150は、推論フェーズとして機能する部分として、第一学習モデル記憶部55、第二学習モデル記憶部57、成形時状態データ調整量取得部160、成形条件要素調整量取得部71、条件変更部72を備える。
【0095】
つまり、第二例の支援装置150は、第一例の支援装置50に対して、成形時状態データ調整量取得部160のみ相違する。以下、成形時状態データ調整量取得部160について説明する。
【0096】
成形時状態データ調整量取得部160は、対象の成形品の成形を行っている際に、第一学習モデルを用いて成形時状態データ調整量を取得する点においては、第一例の取得部60と同様である。つまり、成形時状態データ調整量取得部160は、射出装置用センサ37および型締装置用センサ45により検出された成形時状態データに基づいて、成形時状態データ調整量を取得する。
【0097】
成形時状態データ調整量取得部160は、成形時状態データ取得部161、品質要素取得部162、品質要素目標値取得部163、品質要素調整量取得部164、第二成形時状態データ調整量取得部165を備える。
【0098】
成形時状態データ取得部161は、対象の成形品の成形を行っている際に、射出装置用センサ37、型締装置用センサ45、および、圧力センサ6d,6eにより検出された成形時状態データを取得する。なお、ここでの成形時状態データは、成形時状態データベース52に記憶される成形時状態データと同種である。すなわち、成形時状態データは、対象のデータ種の時間に伴う挙動としてもよいし、当該挙動情報から得られる所定の統計量としてもよい。
【0099】
品質要素取得部162は、第一学習モデルを用いて、成形時状態データ取得部161により取得された成形時状態データに対応する品質要素の値を取得する。品質要素目標値取得部163は、対象の成形品に関する品質要素目標値、例えば、品質要素における良品であるための境界値を取得する。品質要素目標値は、予め設定された情報である。
【0100】
品質要素調整量取得部164は、品質要素目標値取得部163により取得された品質要素目標値と、品質要素取得部162により取得された品質要素の値と差分を算出し、当該差分を品質要素調整量として取得する。
【0101】
第二成形時状態データ調整量取得部165は、第一学習モデル記憶部55に記憶された第一学習モデルを用いて、品質要素調整量取得部164により取得された品質要素調整量に対応する成形時状態データ調整量を取得する。ここで、取得した成形時状態データ調整量が、センサ37,45により検出された成形時状態データと成形時状態データ目標値との差分に相当する値となる。
【0102】
(9.第二例の支援処理)
第二例の支援装置150による支援処理について、
図12を参照して説明する。ここで、支援処理は、学習フェーズと推論フェーズとが存在するが、支援処理のうちの推論フェーズについて説明する。つまり、第一学習モデルおよび第二学習モデルが生成された後の処理について説明する。
【0103】
成形時状態データ取得部161が成形時状態データを取得する(S11)。続いて、品質要素取得部162が、第一学習モデルを用いて、成形時状態データに対応する品質要素の値を取得する(S12)。続いて、品質要素目標値取得部163が、品質要素目標値を取得する(S13)。品質要素調整量取得部164が、品質要素の値と品質要素目標値とに基づいて、これらの差分である品質要素調整量を取得する(S14)。
【0104】
続いて、第二成形時状態データ調整量取得部165が、品質要素調整量が所定値より大きいか否かを判定する(S15)。品質要素調整量が所定値以下の場合には(S15:No)、ステップS11に戻り、上記処理を繰り返す。一方、品質要素調整量が所定値より大きい場合には(S15:Yes)、第二成形時状態データ調整量取得部165が、第一学習モデルを用いて、成形時状態データ調整量を取得する(S16)。続いて、成形条件要素調整量取得部71が、第二学習モデルを用いて、成形条件要素調整量を取得する(S17)。
【0105】
続いて、条件変更部72が、成形条件要素調整量に基づいて、制御装置5における成形条件要素の値を変更する(S18)。そして、同種の成形品が有る場合には(S19:No)、ステップS11に戻り、次の成形品について処理を繰り返す。一方、同種の成形品が無い場合には(S19:Yes)、支援処理を終了する。なお、異なる種類の成形品の成形を行う場合には、ステップS11から処理を実行する。
【0106】
(10.支援装置150による効果)
成形時状態データ調整量取得部160において、品質要素取得部162が、第一学習モデルを用いて、成形時状態データに対応する品質要素の値を推定している。そして、品質要素調整量取得部164が、品質要素調整量を取得している。その後、第二成形時状態データ調整量取得部165が、再び第一学習モデルを用いて、成形時状態データ調整量を取得している。このように、第一学習モデルが2工程において用いられている。本例においても、確実に、成形時状態データ調整量を得ることができる。
【0107】
(11.第一学習モデルの構成と適用の第一例)
次に、第二例の支援装置150において使用する第一学習モデルの第一例について説明する。第一学習モデルは、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の形状を示す値とに関する学習モデルである。当該第一学習モデルには、上記第一例の支援装置50における第一学習モデルの第一例を適用することができる。
【0108】
本例において、
図10に示す第二例の支援処理は、次のように行われる。成形時状態データ取得部161は、少なくとも減少処理圧力データを取得する(S11)。続いて、品質要素取得部162は、上記の第一学習モデルを用いて、減少処理圧力データに対応する品質要素の値を取得する(S12)。本例では、品質要素の値は、成形品の外周面または内周面の真円度である。そして、品質要素目標値取得部163が、品質要素目標値として成形品の真円度の目標値を取得する(S13)。品質要素調整量取得部164は、品質要素の値としての成形品の真円度と、品質要素目標値としての成形品の真円度の目標値とに基づいて、これらの差分である品質要素調整量を取得する(S14)。
【0109】
その後、上述した処理(S15、S16、S17)を行い、成形条件要素の値を変更する(S18)。以上より、当該第一学習モデルを用いた処理を行うことにより、品質要素としての成形品の真円度を良好にするための成形条件を決定することができる。
【0110】
(12.第一学習モデルの構成と適用の第二例)
次に、第二例の支援装置150において使用する第一学習モデルの第二例について説明する。第一学習モデルは、成形時状態データとしての金型6内の圧力データと品質要素としての成形品の質量とに関する学習モデルである。当該第一学習モデルには、上記第一例の支援装置50における第一学習モデルの第二例を適用することができる。
【0111】
本例において、
図11に示す第二例の支援処理において、成形時状態データ取得部161は、少なくとも保圧処理圧力データを取得する(S11)。続いて、品質要素取得部162は、上記の第一学習モデルを用いて、保圧処理圧力データに対応する品質要素の値を取得する(S12)。本例では、品質要素の値は、成形品の質量である。そして、品質要素目標値取得部163が、品質要素目標値として成形品の質量の目標値を取得する(S13)。品質要素調整量取得部164は、品質要素の値としての成形品の質量と、品質要素目標値としての成形品の質量の目標値とに基づいて、これらの差分である品質要素調整量を取得する(S14)。
【0112】
その後、上述した処理(S15、S16、S17)を行い、成形条件要素の値を変更する(S18)。以上より、当該第一学習モデルを用いた処理を行うことにより、品質要素としての成形品の質量を所望値にするための成形条件を決定することができる。
【符号の説明】
【0113】
1:射出成形機、 2:ベッド、 3:射出装置、 4:型締装置、 5:制御装置、 6:金型、 6a:第一金型、 6b:第二金型、 6c:供給路、 6d,6d1-6d6:第一圧力センサ 6e:第二圧力センサ、 31:ホッパ、 32:加熱シリンダ、 33:スクリュ、 34:ノズル、 35:ヒータ、 36:駆動装置、 37:射出装置用センサ、 41:固定盤、 42:可動盤、 43:タイバー、 44:駆動装置、 45:型締装置用センサ、 50,150:成形条件決定支援装置、 51:成形条件データベース、 52:成形時状態データベース、 53:成形品品質データベース、 54:第一学習モデル生成部、 55:第一学習モデル記憶部、 56:第二学習モデル生成部、 57:第二学習モデル記憶部、 60,160:成形時状態データ調整量取得部、 61:品質要素目標値取得部、 62:成形時状態データ目標値取得部、 63:成形時状態データ取得部、 64:第二成形時状態データ調整量取得部、 71:成形条件要素調整量取得部、 72:条件変更部、 161:成形時状態データ取得部、 162:品質要素取得部、 163:品質要素目標値取得部、 164:品質要素調整量取得部、 165:第二成形時状態データ調整量取得部