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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】電磁シールド部材及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20230110BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20230110BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230110BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
H05K9/00 L
H02G3/04 087
H01B7/00 301
H05K7/20 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019021464
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020129603
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】清水 武史
(72)【発明者】
【氏名】河口 智哉
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-44607(JP,A)
【文献】実開平3-51200(JP,U)
【文献】実開昭58-82710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H02G 3/04
H01B 7/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が個別に収容される筒状の収容部を有する電磁シールド部材であって、
前記収容部には、一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、前記電線を押圧する押圧部が設けられており、
前記収容部は、前記電線を収容する溝部を有するケースと、前記ケースに取り付けられ、前記溝部を覆うカバーと、により構成されており、
前記ケースは、前記電線の長手方向に沿って延在する底壁と、前記底壁から突出され前記底壁の長手方向に延在している側壁とを有しており、
前記押圧部は、前記底壁側を基端とするとともに前記底壁とは反対側を先端として前記側壁から切り起こされており、先端部が前記電線の外周面に沿うように先端側ほど内側に位置するように湾曲しており、
前記電線の外周面は、前記押圧部の前記先端部により前記底壁に向けて押圧されている、
電磁シールド部材。
【請求項2】
電線が個別に収容される筒状の収容部を有する電磁シールド部材であって、
前記収容部には、一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、前記電線を押圧する押圧部が設けられており、
前記収容部は、前記電線を収容する溝部を有するケースと、前記ケースに取り付けられ、前記溝部を覆うカバーと、により構成されており、
前記ケースは、前記電線の長手方向に沿って延在する底壁を有しており、
前記カバーは、前記底壁に対向する対向壁を有しており、
前記押圧部は、前記対向壁から屈曲して前記底壁に向かって延びるとともに、その先端部がさらに屈曲して前記溝部の幅方向の一方側に向かって延びるように前記対向壁から切り起こされており、
前記電線の外周面は、前記押圧部の前記先端部により前記底壁に向けて押圧されている、
電磁シールド部材。
【請求項3】
電線が個別に収容される筒状の収容部を有する電磁シールド部材であって、
前記収容部には、一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、前記電線を押圧する押圧部が設けられており、
前記収容部は、前記電線を収容する溝部を有するケースと、前記ケースに取り付けられ、前記溝部を覆うカバーと、により構成されており、
前記ケースは、前記電線の長手方向に沿って延在する底壁を有しており、
前記カバーは、前記底壁に対向する対向壁を有しており、
前記押圧部は、前記底壁から屈曲して前記対向壁に向かって延びるとともに、その先端部がさらに屈曲して前記溝部の幅方向の一方側に向かって延びるように前記底壁から切り起こされており、
前記電線の外周面は、前記押圧部の前記先端部により前記対向壁に向けて押圧されている、
電磁シールド部材。
【請求項4】
複数の電線と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電磁シールド部材と、を備える、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁シールド部材及び同電磁シールド部材と電線とを備えるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気自動車などの車両に適用されるワイヤハーネスは、複数の電線と、導電性を有し、複数の電線を個別に覆うことで電磁シールドを行う電磁シールド部材とを備えている(例えば、特許文献1参照)。同文献1に記載の電磁シールド部材は、各電線を個別に収容可能な溝状収容部を有するシールドプロテクタと、溝状収容部を塞ぐカバーとを備えている。そして、シールドプロテクタとカバーとにより各電線の外周が覆われることで各電線が電磁シールドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-44607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電磁シールド部材を含む従来の電磁シールド部材及び同電磁シールド部材を備えるワイヤハーネスにおいては、放熱性の向上が望まれている。特に、インバータなどの高電圧の電気機器に電線が接続されるワイヤハーネスにあっては、電線に流れる電流が大きくなるために電線の発熱による課題が顕著となる。
【0005】
本発明の目的は、電線の放熱性を高めることができる電磁シールド部材及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための電磁シールド部材は、電線が個別に収容される筒状の収容部を有するものであり、前記収容部には、一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、前記電線を押圧する押圧部が設けられている。
【0007】
同構成によれば、電磁シールド部材の収容部には、電線を押圧する押圧部が設けられているため、収容部内に電線を収容することで、電線が押圧部により押圧されるようになる。このため、電線の外周面と収容部の内周面との密着度合いを高めることができる。これにより、電線の熱が押圧部を含む収容部を介して外部に放熱されやすくなる。
【0008】
また、収容部に押圧部を形成することにより、収容部の内外を連通する貫通孔が形成される。このため、電線の熱が収容部の内部にこもりにくくなり、貫通孔を通じて収容部の外部に放熱されやすくなる。したがって、電線の放熱性を高めることができる。
【0009】
上記電磁シールド部材において、前記収容部は、前記電線を収容する溝部を有するケースと、前記ケースに取り付けられ、前記溝部を覆うカバーと、により構成されており、前記押圧部は、前記ケースの底壁及び前記カバーの前記底壁に対向する対向壁のいずれか一方に形成されていることが好ましい。
【0010】
同構成によれば、溝部材に蓋部材が取り付けられることで、各電線の周囲が溝部材及び蓋部材により覆われ、各電線が電磁シールドされる。そして、溝部材の底部及び蓋部材の対向部のいずれか一方に切り起こし部が形成されている。このため、各電線が収容された溝部材に蓋部材を取り付ければ、各切り起こし部によって各電線が溝部材または蓋部材に向けて押圧されるようになる。これにより、溝部材に蓋部材を取り付ける作業と、各切り起こし部を各電線の外周面に接触させる作業とを同時に行うことができる。
【0011】
ここで、空気は温度が高いほど上方に移動しやすい。このため、例えば、切り起こし部が上方に位置する姿勢にて電磁シールド部材を配置すれば、電線の熱が切り起こし部の形成に伴う貫通孔を介して収容部の外部に放熱されやすくなる。したがって、電線の放熱性を高めることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するためのワイヤハーネスは、複数の電線と、上記いずれか1つの電磁シールド部材とを備える。
同構成によれば、上記いずれか1つの電磁シールド部材の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電線の放熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電磁シールド部材及びワイヤハーネスの第1実施形態について、ワイヤハーネスを示す斜視図。
図2】同実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図。
図3図1の3-3線に沿った断面図。
図4】電磁シールド部材及びワイヤハーネスの第2実施形態について、ワイヤハーネスを示す分解斜視図。
図5】同実施形態のワイヤハーネスにおける図3に対応した断面図。
図6】第1変更例のワイヤハーネスにおける図3に対応した断面図。
図7】第2変更例のワイヤハーネスにおける図3に対応した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、図1図3を参照して、電磁シールド部材及びワイヤハーネスの第1実施形態について説明する。なお、添付図面においては、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0016】
本実施形態のワイヤハーネスは、例えばハイブリッド車や電気自動車などの車両の床下を含む経路に配索されるとともに、複数の機器同士を電気的に接続する。
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネスは、並んで配置される2本の電線10と、各電線10が個別に収容される四角筒状の収容部20a,20bを有する導電性の電磁シールド部材20とを備えている。
【0017】
電線10は、例えば、芯線と当該芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有している。
なお、以降において、電線10の延在する方向を長手方向Lと称し、長手方向Lに直交する方向であって、各電線10が並ぶ方向を幅方向Wと称する。
【0018】
電磁シールド部材20は、長手方向Lに対して長い長尺状をなしており、アルミニウム合金などの金属材料により形成されている。
図2に示すように、電磁シールド部材20は、溝状をなす2つの溝部30a,30bを有するケース30と、ケース30に取り付けられ、各溝部30a,30bを覆うカバー40とを備えている。
【0019】
ケース30は、長手方向Lに沿って延在する底壁31と、底壁31の幅方向Wの両端及び幅方向Wの中央部から突出する都合3つの側壁32とを有している。各側壁32は、底壁31の長手方向Lの全体にわたって延在している。
【0020】
底壁31と、幅方向Wにおいて隣り合う一対の側壁32とにより各溝部30a,30bが構成されている。本実施形態では、溝部30aと溝部30bとが、幅方向Wの中央部に位置する側壁32を共有している。
【0021】
図2及び図3に示すように、各溝部30a,30bを構成する一対の側壁32には、それぞれの一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、各収容部20a,20bに収容された電線10を押圧する押圧部33が設けられている。溝部30aに設けられた一対の押圧部33同士は、長手方向Lにおける同一の位置に形成されており、幅方向Wにおいて対向している。同様に、溝部30bに設けられた一対の押圧部33同士は、長手方向Lにおける同一の位置に形成されており、幅方向Wにおいて対向している。
【0022】
図3に示すように、各押圧部33は、底壁31側を基端、底壁31とは反対側を先端として側壁32から切り起こされており、先端部が電線10の外周面に沿うように、先端側ほど内側に位置するように湾曲している。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、各溝部30a,30bを構成する一対の側壁32には、押圧部33を形成することにより、収容部20a,20bの内外を連通する貫通孔34が形成されている。図2に示すように、各貫通孔34の長手方向Lにおける幅は、各押圧部33の長手方向Lにおける幅よりも僅かに大きい。
【0024】
溝部30aの一対の押圧部33と、溝部30bの一対の押圧部33とは、ケース30における長手方向Lの異なる位置に形成されている。したがって、幅方向Wの中央部に位置する側壁32には、幅方向Wにおいて互いに異なる向きに切り起こされた2つの押圧部33が、長手方向Lの異なる位置に形成されている。
【0025】
ケース30は、幅方向Wの両端の側壁32の外面に接合された一対のL字状のブラケット35を有している。各ブラケット35は、上記側壁32の長手方向Lの一端に接合された接合部36と、接合部36の長手方向Lの一端から屈曲した取付部37とを有している。各取付部37には、長手方向Lに貫通する取付孔38が形成されている。なお、各取付部37は、各側壁32の長手方向Lの一端面と面一となっている。
【0026】
図1及び図2に示すように、カバー40は、長手方向Lに沿って延在するとともにケース30の底壁31に対向する対向壁41と、対向壁41の幅方向Wの両端から突出する2つの側壁42とを有している。各側壁42は、対向壁41の長手方向Lの全体にわたって延在している。
【0027】
図3に示すように、カバー40の各側壁42は、ケース30の幅方向Wの両端の側壁32を幅方向Wの外側から覆っている。
図1図3に示すように、各側壁42の長手方向Lにおける途中の部分には、切り欠き部44が形成されている。各切り欠き部44は、ケース30の幅方向Wの両端の側壁32に形成された2つの貫通孔34に対応する位置に形成されている。したがって、これら2つの貫通孔34と同様に、各切り欠き部44は、各側壁42における長手方向Lの異なる位置に形成されている。各切り欠き部44の長手方向Lにおける幅は、各貫通孔34の長手方向Lにおける幅と同一または僅かに大きい。各貫通孔34及び各切り欠き部44とにより各収容部20a,20bの内外が連通されている。
【0028】
カバー40は、幅方向Wの両端の側壁42の外面に接合された一対のL字状のブラケット45を有している。各ブラケット45は、上記側壁42の長手方向Lの一端に接合された接合部46と、接合部46の長手方向Lの一方側の端部から屈曲した取付部47とを有している。各取付部47には、長手方向Lに貫通する取付孔48が形成されている。
【0029】
ここで、図2に示すように、各側壁42の長手方向Lの一端部には、カバー40がケース30に取り付けられる際に、ケース30のブラケット35の接合部36を逃がすための逃がし部49が切り欠いて形成されている。ブラケット45の接合部46は、逃がし部49を幅方向Wの外側から覆っている。
【0030】
ケース30の各ブラケット35とカバー40の各ブラケット45とが長手方向Lにおいて重ね合わされるとともに、各ブラケット35の取付孔38と各ブラケット45の取付孔48とに挿通されたボルト50にナット51が螺合されることにより、カバー40がケース30に取り付けられる。本実施形態においては、各溝部30a,30bと対向壁41とにより収容部20a,20bが構成されている。
【0031】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)電磁シールド部材20は、各電線10が個別に収容される四角筒状の収容部20a,20bを有している。各収容部20a,20bには、一部を内側に向かって切り起こすことによって形成され、電線10を押圧する押圧部33が設けられている。
【0032】
こうした構成によれば、電磁シールド部材20の収容部20a,20bには、各電線10を押圧する押圧部33が設けられているため、収容部20a,20b内に各電線10を収容することで、各電線10が各押圧部33により押圧されるようになる。このため、各電線10の外周面と各収容部20a,20bの内周面との密着度合いを高めることができる。これにより、各電線10の熱が各押圧部33を含む収容部20a,20bを介して外部に放熱されやすくなる。
【0033】
また、各収容部20a,20bに押圧部33を形成することにより、各収容部20a,20bの内外を連通する貫通孔34が形成される。このため、各電線10の熱が各収容部20a,20bの内部にこもりにくくなり、各貫通孔34を通じて各収容部20a,20bの外部に放熱されやすくなる。したがって、電線10の放熱性を高めることができる。
【0034】
(2)電磁シールド部材20は、ケース30と、ケース30に取り付けられるカバー40とにより構成されており、各押圧部33は、ケース30の各側壁32に設けられている。
【0035】
こうした構成によれば、ケース30とカバー40とが別体で構成されているため、各電線10が各押圧部33により押圧されるように各押圧部33とケース30の底壁31との間に電線10を配索する作業が容易となる。
【0036】
(3)溝部30aと溝部30bとは、幅方向Wの中央部に位置する側壁32を共有している。当該側壁32には、幅方向Wにおいて互いに異なる向きに切り起こされた2つの押圧部33が長手方向Lの異なる位置に形成されている。
【0037】
こうした構成によれば、2つの収容部20a,20bの片方の側壁を1つの側壁32により構成することができるとともに、当該側壁32に複数の押圧部33を形成することができる。このため、2つの収容部が1つの側壁を共有しない構成、すなわち、2つの収容部が異なる側壁によりそれぞれ区画される構成と比較して、電磁シールド部材20の幅方向Wにおける体格が増大することを抑制できる。
【0038】
(4)ワイヤハーネスは、2本の電線10と、電磁シールド部材20とを備える。
こうした構成によれば、上記作用効果(1)と同様な作用効果を奏することができる。
<第2実施形態>
以下、図4及び図5を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付すとともに、第1実施形態と対応する構成については、第1実施形態の符号「**」に「100」を加算した「1**」を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。
【0040】
図4及び図5に示すように、本実施形態の電磁シールド部材120は、第1実施形態と同様なケース130及びカバー140を備えている。
ただし本実施形態では、押圧部133が、カバー140の対向壁141のうち各収容部120a,120bを構成する部分にのみ形成されている。各押圧部133は、対向壁141から屈曲してケース130の底壁131に向かって延びるとともに、その先端部が更に屈曲して幅方向Wの一方側に向かって延びている。対向壁141には、各押圧部133を形成することにより、各収容部120a,120bの内外を連通する貫通孔134が形成されている。なお、各貫通孔134の長手方向Lにおける幅は、各押圧部133の長手方向Lにおける幅よりも僅かに大きい。
【0041】
各押圧部133は、長手方向Lにおける同一の位置に形成されている。なお、各押圧部133を長手方向Lにおける異なる位置に形成することもできる。
図5に示すように、各電線10の外周面は、各押圧部133の幅方向Wの一方側に向かって延びる先端部により底壁131に向けて押圧されている。
【0042】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(5)収容部120a,120bは、各電線10を収容する溝部130a,130bを有するケース130と、ケース130に取り付けられ、溝部130a,130bを覆うカバー140とにより構成されている。押圧部133は、ケース130の底壁131に対向するカバー140の対向壁141に形成されている。
【0043】
こうした構成によれば、溝部130a,130bを有するケース130にカバー140が取り付けられることで、各電線10の周囲がケース130及びカバー140により覆われ、各電線10が電磁シールドされる。そして、カバー140の対向壁141に押圧部133が形成されている。このため、各電線10が収容されたケース130にカバー140を取り付ければ、各押圧部133によって各電線10がケース130の底壁131に向けて押圧されるようになる。これにより、ケース130にカバー140を取り付ける作業と、各押圧部133により各電線10を押圧する作業とを同時に行うことができる。
【0044】
ここで、空気は温度が高いほど上方に移動しやすい。このため、例えば、押圧部133が上方に位置する姿勢にて電磁シールド部材120を配置すれば、各電線10の熱が各押圧部133の形成に伴う貫通孔134を介して収容部120a,120bの外部に放熱されやすくなる。したがって、電線10の放熱性を高めることができる。
【0045】
(6)ワイヤハーネスは、2本の電線10と、電磁シールド部材120とを備える。
こうした構成によれば、上記作用効果(5)と同様な作用効果を奏することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
なお、以下の図6及び図7にそれぞれ示す第1変更例及び第2変更例において、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに、対応する構成については、「200」及び「300」を加算した符号を付すことにより、重複した説明を省略している。
【0047】
・第1実施形態において、各収容部20a,20bは、幅方向Wの両側に押圧部33が設けられるものであったが、各収容部20a,20bは、幅方向Wの一側にのみ押圧部が設けられるものであってもよい。この場合、図6に示すように、各押圧部233により各電線10の外周面を、底壁231と、当該押圧部233に対向する側壁232とに密着させるようにすれば、各電線10の熱が、各押圧部233を含む各収容部220a,220bを介して放熱されやすくなる。
【0048】
・第2実施形態において、図7に示すように、ケース330の底壁331に押圧部333を設けることもできる。この場合であっても、上記作用効果(5)と同様な作用効果を奏することができる。
【0049】
・ワイヤハーネスは、3つ以上の電線とこれら電線を個別に収容する3つ以上の収容部とを有するものであってもよい。
・電線10と押圧部33との間にエラストマーやゴムなどの弾性材料により形成された緩衝材を設けるようにしてもよい。こうした構成によれば、押圧部33により電線10の外周面が傷つくことを抑制できる。
【0050】
・押圧部33(133)は、電磁シールド部材20(120)の長手方向Lに沿って複数設けられていてもよい。
・電磁シールド部材20(120)は、アルミニウム合金からなるものに限定されない。他に例えば、ステンレス鋼などからなるものであってもよい。
【0051】
・電線10は、長手方向Lに直交する面における断面形状が半円状や多角形状など任意の断面形状を有するものであってもよい。
・ワイヤハーネスの搭載姿勢は上記実施形態における姿勢に限定されず、適宜変更できる。
【符号の説明】
【0052】
10…電線、20,120,220,320…電磁シールド部材、20a,120a,220a,320a…収容部、20b,120b,220b,320b…収容部、30,130,230,330…ケース、30a,130a…溝部、30b,130b…溝部、31,131,231,331…底壁、32,132,232,332…側壁、33,133,233,333…押圧部、34,134…貫通孔、35…ブラケット、36…接合部、37…取付部、38…取付孔、40,140,240,340…カバー、41,141,241,341…対向壁、42,142,242,342…側壁、44…切り欠き部、45…ブラケット、46…接合部、47…取付部、48…取付孔、49…逃がし部、50…ボルト、51…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7