(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】アタッチメント及び情報読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230110BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 252
H04M1/11 Z
(21)【出願番号】P 2019026618
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 明弘
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-005028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H04M 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を情報読取装置に着脱可能に組み付けるためのアタッチメントであって、
前記携帯端末が組み付けられる第1組付面の裏面側となる第2組付面には、凸部と一対のレールが形成され、
当該アタッチメントが組み付けられる前記情報読取装置の一面には、前記一対のレールを案内する一対の案内部と、前記一対のレールが前記一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で前記凸部に係合する凹部とが形成され
、
前記レールには、スライド時に前記案内部に対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起が形成されることを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
携帯端末を情報読取装置に着脱可能に組み付けるためのアタッチメントであって、
前記携帯端末が組み付けられる第1組付面の裏面側となる第2組付面には、凸部と一対のレールが形成され、
当該アタッチメントが組み付けられる前記情報読取装置の一面には、前記一対のレールを案内する一対の案内部と、前記一対のレールが前記一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で前記凸部に係合する凹部とが形成され、
前記第1組付面には、第1係合部が設けられ、
前記携帯端末の裏面には、前記第1係合部に係合する第2係合部が取り付けられ、
前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか一方には、基部と前記基部の先端側に設けられる複数の延出片とが形成され、他方には、前記基部の先端側及び前記複数の延出片が所定の深さまで入り込む開口と当該所定の深さまで入り込んだ前記基部を回転させた際に前記延出片が挟持される挟持部とが形成されることを特徴とす
るアタッチメント。
【請求項3】
前記第2係合部は、前記携帯端末を保護する保護カバーに設けられることを特徴とする請求項2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
携帯端末を情報読取装置に着脱可能に組み付けるためのアタッチメントであって、
前記携帯端末が組み付けられる第1組付面の裏面側となる第2組付面には、凸部と一対のレールが形成され、
当該アタッチメントが組み付けられる前記情報読取装置の一面には、前記一対のレールを案内する一対の案内部と、前記一対のレールが前記一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で前記凸部に係合する凹部とが形成され、
前記第1組付面には、雌ねじ部が設けられ、
前記携帯端末の裏面には、前記雌ねじ部を利用してねじ締結可能な締結部が取り付けられることを特徴とす
るアタッチメント。
【請求項5】
前記締結部は、前記携帯端末を保護する保護カバーに設けられることを特徴とする請求項4に記載のアタッチメント。
【請求項6】
携帯端末を情報読取装置に着脱可能に組み付けるためのアタッチメントであって、
前記携帯端末が組み付けられる第1組付面の裏面側となる第2組付面には、凸部と一対のレールが形成され、
当該アタッチメントが組み付けられる前記情報読取装置の一面には、前記一対のレールを案内する一対の案内部と、前記一対のレールが前記一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で前記凸部に係合する凹部とが形成され、
前記案内部には、前記凸部が前記凹部に係合する際に、前記レールのスライド方向一側の端面に当接して前記スライド方向一側へのスライドを規制する当接面が形成され、
前記凸部は、弾性変形可能な弾性部の先端側に設けられて、前記当接面が前記レールのスライド方向一側の端面に当接する際に、凸部側係合面にて前記凹部のスライド方向他側の内面となる凹部側係合面に対して押圧され、前記凸部側係合面に連なり前記凹部の底面に対向する対向面が前記凸部側係合面に近くなるほど前記底面から離れるようにテーパ状に形成されるとともに、前記対向面と前記凸部側係合面との角部がR形状となるように形成され、
前記凹部は、前記底面から離れた凹部側係合面の角部がR形状となるように形成されることを特徴とす
るアタッチメント。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載のアタッチメントが前記一面に組み付けられたことを特徴とする情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を情報読取装置に組み付けるためのアタッチメント及びこのアタッチメントが組み付けられた情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、棚卸し作業等の作業効率の向上を図るため、商品等に付された無線タグや情報コード等の読取結果を利用した作業が頻繁に行われている。このような作業に用いる情報読取装置には、無線タグや情報コード等を読み取る機能に加えて、読取結果等に関する情報を表示する表示機能やテンキー等の文字入力機能、無線通信機能、大容量バッテリ等、様々な機能が要求されやすい。しかしながら、様々な機能を搭載した情報読取装置では、小型軽量化が困難になり、一部の機能しか利用しないユーザにとっては使い勝手が悪くなる場合がある。
【0003】
このため、例えば、表示機能や文字入力機能等を除くことで小型軽量化が図られた情報読取装置に対して、ユーザが要求する機能を補完可能なスマートフォン等の携帯端末を着脱可能に組み付ける構成が考えられる。これにより、例えば、単に読み取ったデータをその都度上位機器等に送信するような読み取り作業では、携帯端末を装着しない状態の情報読取装置を用いて作業を行い、所定の作業を行う場合に携帯端末を装着した情報読取装置を用いて作業を行うことができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0004】
このように、情報読取装置に対して携帯端末を着脱可能に組み付ける技術として、例えば、下記特許文献1に開示される光学情報読取装置が知られている。この光学情報読取装置は、ハンドヘルド型のバーコードリーダと市販のPDAとを受台を介して結合することで構成される。この受台には、電力供給用の電源線や交信用の信号線が設けられており、バーコードリーダとPDAとの間で相互に動作電力の供給が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示される光学情報読取装置では、バーコードリーダと受台との結合構造やPDAと受台との結合構造について具体的な検討がなされていない。このため、バーコードリーダと受台とを単に結合する構成やPDAと受台とを単に結合する構成では、落下等の外力が作用する場合に、結合部分が破損等してしまう可能性がある。その一方で、結合部分の破損等を防止して耐久性を高めるために強固な結合構造を採用すると、着脱作業の簡素化が困難になり、ユーザの利便性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、携帯端末を情報読取装置に対して簡単に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高め得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
携帯端末(50)を情報読取装置(10)に着脱可能に組み付けるためのアタッチメント(60)であって、
前記携帯端末が組み付けられる第1組付面(70)の裏面側となる第2組付面(80)には、凸部(90)と一対のレール(82a,82b)が形成され、
当該アタッチメントが組み付けられる前記情報読取装置の一面(12a)には、前記一対のレールを案内する一対の案内部(40a,40b)と、前記一対のレールが前記一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で前記凸部に係合する凹部(30)とが形成され、
前記レールには、スライド時に前記案内部に対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起が形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、携帯端末が組み付けられる第1組付面の裏面側となる第2組付面には、凸部と一対のレールが形成され、当該アタッチメントが組み付けられる情報読取装置の一面には、一対のレールを案内する一対の案内部と、一対のレールが一対の案内部によりそれぞれ案内された状態で凸部に係合する凹部とが形成される。
【0010】
これにより、携帯端末が組み付けられたアタッチメントを、情報読取装置の一面に対して、凸部が凹部に係合するまで、一対のレールが一対の案内部によりそれぞれ案内されるようにスライドさせることで、アタッチメントが情報読取装置に組み付けられる結果、携帯端末が情報読取装置に組み付けられる。このため、携帯端末を情報読取装置に対して簡単に組み付けることができる。特に、凸部が凹部に係合する状態では、一対のレールが一対の案内部に接触した状態となるので、落下等の外力が作用する場合でも、その外力が凸部と凹部との係合部分だけでなく、レールと案内部との接触部分にも分散して作用するため、係合部分の破損等を抑制することができる。したがって、携帯端末を情報読取装置に対して簡単に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0011】
請求項2の発明では、第1組付面には、第1係合部が設けられ、携帯端末の裏面には、第1係合部に係合する第2係合部が取り付けられる。そして、第1係合部及び第2係合部のいずれか一方には、基部と基部の先端側に設けられる複数の延出片とが形成され、他方には、基部の先端側及び複数の延出片が所定の深さまで入り込む開口と当該所定の深さまで入り込んだ基部を回転させた際に延出片が挟持される挟持部とが形成される。
【0012】
これにより、基部の先端側及び複数の延出片を開口に入り込ませた後に回転させて各延出片をそれぞれ挟持部により挟持させることで、第1係合部と第2係合部とが係合するので、第1係合部が設けられるアタッチメントと第2係合部が取り付けられる携帯端末とを容易に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0013】
請求項3の発明では、第2係合部は、携帯端末を保護する保護カバーに設けられるため、保護カバーを携帯端末に取り付けるだけで携帯端末の裏面に第2係合部を容易に取り付けることができる。
【0014】
請求項4の発明では、第1組付面には、雌ねじ部が設けられ、携帯端末の裏面には、雌ねじ部を利用してねじ締結可能な締結部が取り付けられる。
【0015】
これにより、締結部を雌ねじ部にねじ締結することで、雌ねじ部が設けられるアタッチメントと締結部が取り付けられる携帯端末とを容易に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0016】
請求項5の発明では、締結部は、携帯端末を保護する保護カバーに設けられるため、保護カバーを携帯端末に取り付けるだけで携帯端末の裏面に締結部を容易に取り付けることができる。
【0017】
請求項6の発明では、案内部には、凸部が凹部に係合する際に、レールのスライド方向一側の端面に当接してスライド方向一側へのスライドを規制する当接面が形成される。そして、凸部は、弾性変形可能な弾性部の先端側に設けられて、当接面がレールのスライド方向一側の端面に当接する際に、凸部側係合面にて凹部側係合面に対して押圧され、凸部側係合面に連なり凹部の底面に対向する対向面が凸部側係合面に近くなるほど底面から離れるようにテーパ状に形成されるとともに、対向面と凸部側係合面との角部がR形状となるように形成される。また、凹部は、底面から離れた凹部側係合面の角部がR形状となるように形成される。
【0018】
これにより、アタッチメントに対してスライド方向他側への過剰な外力が作用する場合には、対向面と凸部側係合面との角部が凹部側係合面の角部を乗り越えやすくなる。すなわち、上述のような過剰な外力が作用する場合には、凸部と凹部との係合が解除されやすくなるので、凸部と凹部との係合が解除されないために凸部等が破損してしまうことを抑制することができる。
【0019】
請求項1の発明では、レールには、スライド時に案内部に対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起が形成される。
【0020】
これにより、スライド時にレールが案内部に摺接する部分が減るために、スライド時にレールと案内部との間で生じる摩擦抵抗を軽減することができるので、レールと案内部との接触部分を利用した外力の分散効果を維持しつつ、情報読取装置に対してアタッチメントをより容易に組み付けることができる。
【0021】
請求項7の発明では、請求項1~6のいずれか一項の効果を有するアタッチメントを組み付けた情報読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係るアタッチメント及び情報読取装置を組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のアタッチメント及び情報読取装置の側面図である。
【
図3】
図1のアタッチメント及び情報読取装置の平面図である。
【
図4】
図1のアタッチメント及び情報読取装置の正面図である。
【
図5】
図1のアタッチメント及び情報読取装置の背面図である。
【
図8】
図8(A)は、情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図であり、
図8(B)は、無線タグ処理部の電気的構成を例示するブロック図であり、
図8(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図9】携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図14】アタッチメントの係合部と携帯端末に取り付けられた係合部との係合状態を説明するための拡大断面図である。
【
図15】
図2のX1-X1線相当の切断面についてレール82aの近傍を拡大して示す拡大断面図である。
【
図16】アタッチメントの凸部が情報読取装置の凹部に係合した状態を拡大して示す拡大断面図である。
【
図17】携帯端末が組み付けられていないアタッチメントを情報読取装置に対して組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図18】締結用の貫通孔が設けられる保護カバーの一部を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るアタッチメント及び情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報読取装置10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で所定の情報を読み取る携帯型の読取装置として構成されており、アンテナ26を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ等の無線タグTに記憶されている情報を読み取る無線タグリーダとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードCを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。特に、本実施形態では、情報読取装置10は、表示機能や文字入力機能等を除くことで小型軽量化が図られるように構成されている。
【0024】
また、本実施形態では、情報読取装置10に対してユーザが所持する携帯端末50を着脱可能に組み付けるためのアタッチメント60が用意されている。すなわち、本実施形態では、
図1~
図5に示すように、携帯端末50がアタッチメント60を介して情報読取装置10に組み付けられた状態での使用と、
図6及び
図7に示すように、情報読取装置10単体での使用とが想定されている。
【0025】
まず、情報読取装置10の詳細構成について、図面を参照して説明する。
図6及び
図7に示すように、情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される筐体11によってその外郭が形成されている。この情報読取装置10は、本体部12および把持部14に加えて、送信電波の高出力化を図るための無線通信部16を備えるように構成されている。また、本体部12の長手方向一端側(読取側:
図6及び
図7の左側)の端部には、情報コードからの反射光を取り込むための読取口13が設けられている。
【0026】
本体部12の上面12aは、中央部が略平坦面状に形成されており、上面12aの長手方向一端側には、アタッチメント60が係合する凹部30が設けられている。また、上面12aの長手方向他端側(
図6及び
図7の右側)には、凹部30を係合させる際にアタッチメント60がスライド時に案内される一対の案内部40a,40bが本体部12の長手方向に延びるように設けられている。このため、本実施形態では、スライド方向が本体部12の長手方向に一致する。なお、凹部30及び一対の案内部40a,40bの詳細形状については後述する。また、上面12aは、「情報読取装置の一面」の一例に相当し得る。
【0027】
把持部14は、本体部12の下面12bに対して中央近傍に組み付けられており、下面12b近傍であって無線通信部16に対向する部位には、無線タグT等に対する読取処理を開始する際に操作されるトリガースイッチ23aが配置されている。無線通信部16は、読取口13の下方に位置するように、本体部12の下面12bの読取側に組み付けられている。
【0028】
次に、情報読取装置10の電気的構成について、
図8(A)~(C)を参照して説明する。
本体部12は、情報読取装置10全体を制御する制御部21を備えており、筐体11内に収容されている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、
図10(A)に示すように、操作部23、LED24a、バイブレータ24b、ブザー24c、外部インタフェース25などが接続されている。
【0029】
操作部23は、トリガースイッチ23a等を備えてその操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED24a、バイブレータ24bおよびブザー24cは、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース25は、携帯端末50や外部機器等との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、図略の電源部が設けられており、この電源部やバッテリによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。なお、バイブレータ24b等は、情報読取装置10が用いられる環境等によってはあってもなくてもよい。
【0030】
また、情報読取装置10は、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する無線タグ処理部27及び情報コード読取部28を備えている。
【0031】
まず、無線タグ処理部27について、
図8(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部27は、アンテナ26及び制御部21と協働して無線タグTとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグTに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部27は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図8(B)にて概略的に示すように、送信回路27a、受信回路27b、整合回路27cなどを有している。
【0032】
送信回路27aは、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路27cを介してアンテナ26に出力している。このようにしてアンテナ26に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ26より外部に放射される。
【0033】
一方、アンテナ26によって受信された応答信号は、整合回路27cを介して受信回路27bに入力される。この受信回路27bは、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ26を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0034】
次に、情報コード読取部28について、
図8(C)を用いて説明する。
情報コード読取部28は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図8(C)に示すように、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部28a、結像レンズ28b、CCDエリアセンサからなる受光センサ28cなどを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0035】
この情報コード読取部28によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部28aから照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口13を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口13を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ28bを通って受光センサ28cに受光される。読取口13と受光センサ28cとの間に配される結像レンズ28bは、情報コードCの像を受光センサ28c上に結像させる構成をなしており、受光センサ28cはこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ28cから出力された受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部28には、受光センサ28cからの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0036】
次に、携帯端末50について、
図9を参照して説明する。
携帯端末50は、ユーザが所持するスマートフォンや業務用携帯端末等の携帯型の情報処理端末であって、情報読取装置10の読取結果等を利用した処理を行うための所定のアプリケーションプログラム(以下、読取アプリともいう)がインストールされて構成されるものである。この携帯端末50は、
図9に示すように、CPU等からなる制御部51、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部52、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部53、液晶表示器などからなる表示部54、各種操作キーやタッチパネル等(図示略)によって構成される操作部55、情報読取装置10等の外部機器との間での無線通信又は有線通信を行う通信インタフェースとして構成される通信部56などを備えている。
【0037】
このように構成される携帯端末50の裏面57には、
図2等に示すように、アタッチメント60に係合するための係合部58が両面テープ等を用いて取り付けられている。この係合部58の詳細形状については後述する。なお、係合部58は、「第2係合部」の一例に相当し得る。
【0038】
次に、アタッチメント60の詳細構成について、図面を参照して説明する。
図10~
図13に示すように、アタッチメント60は、略平板状に形成されており、上面が携帯端末50に組み付けられる第1組付面70として機能し、この第1組付面70の裏面側となる下面が情報読取装置10に組み付けられる第2組付面80として機能するように構成されている。
【0039】
第1組付面70の中央近傍には、携帯端末50に取り付けられた係合部58が係合する係合部71が設けられている。この係合部71は、第1組付面70に固定される基部72と、基部72の先端側に設けられる4つの延出片73とを備えるように形成されている。また、第1組付面70には、4つの雌ねじ部74が設けられている。
【0040】
これに対して、係合部58には、
図14からわかるように、基部72の先端側及び各延出片73が所定の深さまで入り込む開口58aと、当該所定の深さまで入り込んだ基部72を回転させた際に各延出片73が挟持される挟持部58bとが形成されている。なお、係合部71は、「第1係合部」の一例に相当し、係合部58は、「第2係合部」の一例に相当し得る。
【0041】
第2組付面80のスライド方向一端側(長手方向一端側:
図13の左側)には、弾性変形可能な略薄板状の弾性部81が設けられており、この弾性部81の先端側には、情報読取装置10の凹部30に係合可能なスナップフィットとして爪状の凸部90が設けられている。また、第2組付面80のスライド方向他端側(長手方向他端側:
図13の右側)には、短手方向両端となる位置に一対のレール82a,82bが設けられている。
【0042】
一対のレール82a,82bは、情報読取装置10の案内部40a,40bにそれぞれ摺接した状態で案内されるように形成されている。レール82aには、
図15に示すように、スライド時に案内部40aに対して摺接する面に、スライド時にレール82aと案内部40aとの間で生じる摩擦抵抗を軽減するため、スライド方向に伸びる突起83が形成されている。同様に、レール82bには、スライド時に案内部40bに対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起83が形成されている。
【0043】
これに対して、案内部40aは、レール82aの先端側(
図15の右側)を挟み込むように形成されており、この案内部40aには、凸部90が凹部30に係合する際に、レール82aのスライド方向一側の端面84a(
図13参照)に当接してスライド方向一側へのスライドを規制する当接面41aが形成されている(
図7等参照)。同様に、案内部40bは、レール82bの先端側を挟み込むように形成されており、この案内部40bには、凸部90が凹部30に係合する際に、レール82bのスライド方向一側の端面84b(
図13参照)に当接してスライド方向一側へのスライドを規制する当接面41bが形成されている(
図7等参照)。
【0044】
凸部90は、
図16に示すように、当接面41a,41bがレール82a,82bのスライド方向一側の端面84a,84bにそれぞれ当接する際に、係合面91にて凹部30のスライド方向他側の内面となる係合面31に対して弾性部81による弾性力に応じて押圧されるように形成されている。また、凸部90は、係合面91に連なり凹部30の底面32に対向する対向面92が係合面91に近くなるほど底面32から離れるようにテーパ状に形成されるとともに、対向面92と係合面91との角部93がR形状となるように形成されている。なお、係合面91は、「凸部側係合面」の一例に相当し、係合面31は、「凹部側係合面」の一例に相当し得る。
【0045】
これに対して、凹部30は、底面32から離れた係合面31の角部33がR形状となるように形成されている。また、凹部30は、その深さ(角部33から底面32までの長さ)が、アタッチメント60に対してスライド方向他側への過剰な外力等が作用する場合に凸部90の角部93が角部33を乗り越える程度の長さに、設定されている。
【0046】
次に、上述のように構成されるアタッチメント60と情報読取装置10との組み付けについて、図面を参照して詳述する。
アタッチメント60を情報読取装置10に組み付ける際には、アタッチメント60の一対のレール82a,82bを情報読取装置10の上面12aの案内部40a,40bに案内させるように嵌め込んだ状態で、アタッチメント60を情報読取装置10に対してスライド方向一側へスライドさせる。そして、レール82aの端面84a及びレール82bの端面84bがそれぞれ案内部40aの当接面41a及び案内部40bの当接面41bに当接するまでスライドさせることで、弾性部81による弾性力に応じて、凸部90が凹部30に嵌まり込むようにして係合面91が係合面31に押圧される。これにより、
図17に示すように、情報読取装置10に対するアタッチメント60の組み付けが完了する。
【0047】
続いて、係合部58が裏面57に取り付けられた携帯端末50を用意する。そして、アタッチメント60に設けられる係合部71の基部72の先端側及び各延出片73を係合部58の開口58aに対して所定の深さまで入り込ませた状態で回転させることで、各延出片73がそれぞれ挟持部58bに挟持された状態となる。これにより、
図1等に示すように、アタッチメント60を介した情報読取装置10に対する携帯端末50の組み付けが完了する。
【0048】
このように情報読取装置10に組み付けられた携帯端末50に対して読取アプリを起動させる操作を行うことで、情報読取装置10との間で無線通信を利用したデータ通信処理がなされ、情報読取装置10の読取結果を利用した処理を携帯端末50にて行うことができる。例えば、棚卸作業の際、情報読取装置10にて読み取った無線タグTに関する情報を表示部54に表示させることで、棚卸作業の進捗状況などを確認することができる。また、携帯端末50に対する所定の操作に応じて、読み取ったデータ等を情報読取装置10から上位機器等に対して所定のタイミングで送信させることもできる。
【0049】
また、情報読取装置10単体で読取作業を行う場合には、係合部71と係合部58との係合を解除することでアタッチメント60から携帯端末50を取り外すか、アタッチメント60までも取り外す。これにより、軽量化した情報読取装置10単体にて読み取ったデータ等を、その都度又は所定のタイミングで上位機器等に送信するような読取作業を行うことができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るアタッチメント60では、携帯端末50が組み付けられる第1組付面70の裏面側となる第2組付面80には、凸部90と一対のレール82a,82bが形成され、当該アタッチメント60が組み付けられる情報読取装置10の上面12aには、一対のレール82a,82bを案内する一対の案内部40a,40bと、一対のレール82a,82bが一対の案内部40a,40bによりそれぞれ案内された状態で凸部90に係合する凹部30とが形成される。
【0051】
これにより、携帯端末50が組み付けられたアタッチメント60を、情報読取装置10の上面12aに対して、凸部90が凹部30に係合するまで、一対のレール82a,82bが一対の案内部40a,40bによりそれぞれ案内されるようにスライドさせることで、アタッチメント60が情報読取装置10に組み付けられる結果、携帯端末50が情報読取装置10に組み付けられる。このため、携帯端末50を情報読取装置10に対して簡単に組み付けることができる。特に、凸部90が凹部30に係合する状態では、一対のレール82a,82bが一対の案内部40a,40bに接触した状態となるので、落下等の外力が作用する場合でも、その外力が凸部90と凹部30との係合部分だけでなく、レール82a,82bと案内部40a,40bとの接触部分にも分散して作用するため、係合部分の破損等を抑制することができる。したがって、携帯端末50を情報読取装置10に対して簡単に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0052】
特に、本実施形態では、案内部40a,40bには、凸部90が凹部30に係合する際に、レール82a,82bのスライド方向一側の端面84a,84bに当接してスライド方向一側へのスライドを規制する当接面41a,41bがそれぞれ形成される。そして、凸部90は、弾性変形可能な弾性部81の先端側に設けられて、当接面41a,41bがレール82a,82bのスライド方向一側の端面84a,84bに当接する際に、係合面91にて凹部30の係合面31に対して押圧され、係合面91に連なり凹部30の底面32に対向する対向面92が係合面91に近くなるほど底面32から離れるようにテーパ状に形成されるとともに、対向面92と係合面91との角部33がR形状となるように形成される。また、凹部30は、底面32から離れた係合面31の角部33がR形状となるように形成される。
【0053】
これにより、アタッチメント60に対してスライド方向他側への過剰な外力が作用する場合には、対向面92と係合面91との角部93が係合面31の角部33を乗り越えやすくなる。すなわち、上述のような過剰な外力が作用する場合には、凸部90と凹部30との係合が解除されやすくなるので、凸部90と凹部30との係合が解除されないために凸部90等が破損してしまうことを抑制することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、レール82a,82bには、スライド時に案内部40a,40bに対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起83がそれぞれ形成される。
【0055】
これにより、スライド時にレール82a,82bが案内部40a,40bに摺接する部分が減るために、スライド時にレール82a,82bと案内部40a,40bとの間で生じる摩擦抵抗を軽減することができるので、レール82a,82bと案内部40a,40bとの接触部分を利用した外力の分散効果を維持しつつ、情報読取装置10に対してアタッチメント60をより容易に組み付けることができる。
【0056】
また、本実施形態では、第1組付面70には、係合部71が設けられ、携帯端末50の裏面57には、係合部71に係合する係合部58が取り付けられる。そして、係合部71には、基部72と基部72の先端側に設けられる複数の延出片73とが形成され、係合部58には、基部72の先端側及び複数の延出片73が所定の深さまで入り込む開口58aと当該所定の深さまで入り込んだ基部72を回転させた際に延出片73が挟持される挟持部58bとが形成される。
【0057】
これにより、基部72の先端側及び複数の延出片73を開口58aに入り込ませた後に回転させて各延出片73をそれぞれ挟持部58bにより挟持させることで、係合部71と係合部58とが係合するので、係合部71が設けられるアタッチメント60と係合部58が取り付けられる携帯端末50とを容易に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0058】
なお、係合部58は、両面テープ等を用いて裏面57に取り付けられることに限らず、例えば、当該係合部58を設けた保護カバーにて携帯端末50の裏面57等を保護することで裏面57に取り付けられてもよい。このように、係合部58が携帯端末50を保護する保護カバーに設けられるため、保護カバーを携帯端末50に取り付けるだけで携帯端末50の裏面57に係合部58を容易に取り付けることができる。
【0059】
また、基部72及び複数の延出片73を備えるように係合部58が形成され、開口58a及び挟持部58bを備えるように係合部71が形成されてもよい。このようにしても、係合部71が設けられるアタッチメント60と係合部58が取り付けられる携帯端末50とを容易に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。なお、この場合には、係合部58は、「第1係合部」の一例に相当し、係合部71は、「第2係合部」の一例に相当し得る。
【0060】
本実施形態の変形例として、アタッチメント60と携帯端末50とは、係合部71及び係合部58を利用して組み付けられることに限らず、他の組み付け構造を利用して組み付けられてもよい。例えば、係合部71及び係合部58を廃止して、第1組付面70に設けられる各雌ねじ部74にねじ締結可能な締結部を携帯端末50の裏面57に取り付けることができる。
【0061】
これにより、締結部を雌ねじ部74にねじ締結することで、雌ねじ部74が設けられるアタッチメントと締結部が取り付けられる携帯端末とを容易に組み付けることができ、かつ、その組み付け構造での耐久性を高めることができる。
【0062】
締結部を携帯端末50の裏面57に取り付ける構造としては、例えば、
図18に例示するように、携帯端末50を保護する保護カバー59に締結部として締結用の貫通孔59aを設け、貫通孔59aに挿通するねじ59bを雌ねじ部74に締結する構造が考えられる。このように、締結用の貫通孔59aが携帯端末50を保護する保護カバー59に設けられるため、保護カバー59を携帯端末50に取り付けるだけで携帯端末50の裏面57に締結部を容易に取り付けることができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態及びその変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本実施形態に係るアタッチメント60が組み付けられる情報読取装置は、無線タグリーダライタ及び情報コードリーダの双方の機能を兼備するように構成されることに限らず、例えば、無線タグリーダライタ及び情報コードリーダのいずれか一方の機能を有するように構成されてもよいし、さらに他の機能を有するように構成されてもよい。
【0064】
(2)凸部90は、第2組付面80のスライド方向一端側に1つ設けられることに限らず、2以上設けられてもよい。この場合には、同数の凹部30が情報読取装置10の上面12aの対応する位置にそれぞれ設けられる。また、凸部90は、弾性部81とともにスナップフィット状に形成されることに限らず、凹部30に係合可能な形状であればよい。
【0065】
(3)レール82aには、スライド時に案内部40aに対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起83が1つ形成されることに限らず、突起83が2以上形成されてもよい。同様に、レール82bには、スライド時に案内部40bに対して摺接する面に、スライド方向に伸びる突起83が1つ形成されることに限らず、突起83が2以上形成されてもよい。
【0066】
(4)アタッチメント60は、情報読取装置10の上面12aに組み付けられることに限らず、例えば、情報読取装置10の側面のうちユーザから見て手前側の一面に組み付けられてもよい。この場合、凹部30及び一対の案内部40a,40bは、上記手前側の一面に設けられる。
【符号の説明】
【0067】
10…情報読取装置
12a…上面(一面)
30…凹部
31…係合面(凹部側係合面)
32…底面
33…角部
40a,40b…案内部
41a,41b…当接面
50…携帯端末
58…係合部(第2係合部)
59…保護カバー
59a…締結用の貫通孔(締結部)
60…アタッチメント
70…第1組付面
71…係合部(第1係合部)
74…雌ねじ部
80…第2組付面
81…弾性部
82a,82b…レール
83…突起
84a,84b…端面
90…凸部
91…係合面(凸部側係合面)
92…対向面
93…角部