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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20230110BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20230110BHJP
   C09D 11/023 20140101ALI20230110BHJP
【FI】
B43K8/02 100
B43K1/12 B
C09D11/023
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020509196
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013200
(87)【国際公開番号】W WO2019189364
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2018062882
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 英明
(72)【発明者】
【氏名】小林 巧
(72)【発明者】
【氏名】大貫 幸子
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 惠子
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-019889(JP,A)
【文献】特開2004-149681(JP,A)
【文献】特開2016-010921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0076746(US,A1)
【文献】特開2006-043888(JP,A)
【文献】特開2017-190392(JP,A)
【文献】特開2017-014317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00 - 31/00
C09D 1/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色樹脂粒子と、着色樹脂粒子の平均粒子径に対して平均粒子径が5%以上95%以下のワックス粒子とを少なくとも含む水性インキと、塗布先として繊維集束体を備え
前記ワックス粒子は、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、または、合成炭化水素系ワックス、あるいは、これらの2種以上の混合物であり、
前記合成炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、または、これらの誘導体である
塗布具。
【請求項2】
着色樹脂粒子と、着色樹脂粒子の平均粒子径に対して平均粒子径が5%以上95%以下のワックス粒子とを少なくとも含む水性インキと、塗布先として繊維集束体を備え、
前記着色樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm以上1μm以下であり、前記ワックス粒子の平均粒子径が0.005μm以上である塗布具。
【請求項3】
前記着色樹脂粒子の添加量をx重量%、前記ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上である請求項1又は請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記繊維集束体が、太さが0.5デニール以上50デニール以下の繊維から少なくとも構成され、空孔率が20%以上80%以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インキを備えた塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着色樹脂粒子とワックス粒子を用いているインキ組成物として、水不溶性ポリマーによって被覆された顔料と、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスとを含む、主としてインキジェットに用いるインキ組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-277290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、着色樹脂粒子とワックス粒子が均一に分散した状態で紙面に吐出されてしまうため、水性インキ中の着色成分が紙に素早く浸透し塗布面の裏側まで浸透してしまう、所謂裏抜けと呼ばれる現象が発生してしまう事があった。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態では、裏抜けを極力抑制可能な塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の幾つかの実施形態に係る塗布具は、着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子の平均粒子径に対して平均粒子径が5%以上95%以下のワックス粒子とを少なくとも含む水性インキと、塗布先として、繊維集束体を備える。
一実施形態では、前記着色樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm以上1μm以下であり、前記ワックス粒子の平均粒子径が0.005μm以上であってもよい。
一実施形態では、前記水性インキの、前記着色樹脂粒子の添加量をx重量%、前記ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であってもよい。
一実施形態では、前記塗布先の繊維集束体が、太さが0.5デニール以上50デニール以下の繊維から少なくとも構成され、空孔率が20%以上80%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
幾つかの実施形態に係る塗布具は、潤滑性の高いワックス粒子の平均粒子径が、着色樹脂粒子の平均粒子径に対して5%以上95%以下なので、複雑な曲路を形成している多孔状態の塗布先としての繊維集束体の先端から優先して吐出され、これよりも大径である着色樹脂粒子に先んじて紙の繊維間に浸透して繊維間の隙間を狭いものとし、着色樹脂粒子の紙への過度な浸透が抑制されるものと推察され、裏抜けが抑制できるものである。
また、前記着色樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm以上1μm以下であることで、紙の繊維との衝突や迂回など粒子の移動の障害が大きく減少し、塗布直後、即座に着色樹脂粒子が紙の繊維間に浸入して紙の表面に残り難いという塗布跡の速乾性効果と、着色樹脂粒子に先んじて紙の繊維間に移動する前記ワックス粒子の平均粒子径が、前記着色樹脂粒子の平均粒子径に対して5%以上95%以下であることに加えて、このワックス粒子の平均粒子径が0.005μm以上であることによって、前記着色樹脂粒子が紙の裏面へまで到達することを抑制した裏抜け抑制効果とを両立することが確実にできるものである。
また、前述のとおり、上記塗布具では、水性インキのうち平均粒子径が相対的に小さいワックス粒子を含む成分が、水性インキのうち着色樹脂粒子を含む成分に先行して紙に浸透する傾向がある。ここで、ワックス粒子および着色樹脂粒子は、何れも、紙を構成する繊維(例えば、セルロース繊維)に比べて親水性が低く、水性インキの紙への浸透に際して、ワックス粒子及び着色樹脂粒子の移動速度は水に比べて遅い。このため、紙の内部に進むに従って、液媒体としての水が少なくなり、ワックス粒子又は着色樹脂粒子が最密充填に近似していって、凝集体間の引力が働き、見かけ上嵩高くなって紙繊維内を移動しにくくなる。その結果、着色樹脂粒子が内部に進むにしたがって凝集構造を形成し、既に形成されたワックス粒子の凝集構造と着色樹脂粒子の凝集構造とが重なり、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることを効果的に抑制することができる。特に、着色樹脂粒子の添加量をx重量%、ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、それぞれの粒子の添加量の関係が、(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8の関係を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であるとき、着色樹脂粒子を含む水性インキ成分の浸透に先立ってワックス粒子の凝集構造を適切に形成することが可能となり、ワックス粒子の凝集構造と着色樹脂粒子の凝集構造とを効果的に重なり合わせて、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることを一層抑制することができる。
また、前記塗布先の繊維集束体が、太さが0.5デニール以上50デニール以下の繊維から少なくとも構成され、空孔率が20%以上80%以下であることによって、着色樹脂粒子と、着色樹脂粒子の平均粒子径に対して5%以上95%以下の平均粒子径である潤滑性の高いワックス粒子とが吐出されるバランスが好適となるものと推察され、より裏抜けが抑制されたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
幾つかの実施形態に係る塗布具は、着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子の平均粒子径に対して平均粒子径が5%以上95%以下のワックス粒子とを少なくとも含む水性インキと、塗布先として、繊維集束体を備える。
ここで、塗布先として使用する繊維集束体とは、繊維を束状に集合させたものをいい、合成繊維芯やフェルト芯のことを指す。
【0010】
合成繊維芯は、アクリル、ポリエステル、ナイロン、メラミン、ポリウレタン、ポリアセタールを単独、あるいは2種以上混合し、熱成形を行い、樹脂を含浸させて乾燥・硬化をした後に適当な長さに切断して適宜加熱工程を行った後に研磨を行ってペン先の形に成形したものなどが適宜選択でき、フェルト芯は主にウール(羊毛)などの獣毛や縮巻状の合成繊維などの単繊維をフェルト生地状に加工したものに樹脂を含浸させて乾燥・硬化をした後にプレス成形を行い、短冊状にカットし、ペン先の形に打ち抜きを行ったものや、アクリル、ポリエステルなどの繊維をフェルト生地状にしたものにプレス成形を行い、短冊状にカットし、ペン先の形に打ち抜きを行ったものなどが適宜選択できる。
塗付先の磨耗などの耐久性を考慮すると合成繊維芯を用いることが好ましい。
【0011】
塗付先の繊維集束体の繊維の太さは着色樹脂粒子とワックス粒子の移動差が生じやすくなるように適宜調整し、0.5デニール以上50デニール以下が好ましく、1デニール以上30デニール以下がより好ましく、1デニール以上5デニール以下で、且つ、塗付先の繊維集束体の空孔率は繊維集束体の繊維の太さ同様には着色樹脂粒子とワックス粒子の移動差が生じやすくなるように適宜調整し、20%以上80%以下が好ましく、40%以上70%以下がより好ましく、50%以上70%以下が、着色樹脂粒子とワックス粒子との吐出されるバランスが好適となり、筆跡内で最密充填に近い状態となり易く裏抜けの抑制効果がより発揮されやすく、好ましい。
【0012】
上記塗布具において使用する水性インキに含有される着色樹脂粒子は、市販の樹脂粒子を染料で染色したり、市販の着色樹脂粒子を用いたり、樹脂モノマー成分に染料を溶解させたり顔料を分散させたりした後に乳化重合したり、水不溶性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させて得られた溶液に顔料や染料を添加し、水を添加して混練、分散処理によってO/W型の分散体を調整し、得られた分散体から有機溶剤を除去することによって任意の粒子径の着色樹脂粒子を得ることが出来る。
【0013】
上記塗布具において使用する水性インキに含有される着色樹脂粒子を構成する樹脂の種類として、シリコーン・アクリル、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アクリル、アクリル・スチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリスチレン、スチレン・アクリルニトリル、ポリエステルエラストマー、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフッ化ビリニデン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ乳酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ナイロン12、ナイロン6などが挙げられる。
【0014】
上記塗布具において使用する水性インキに含有される着色樹脂粒子の平均粒子径は裏抜けの抑制を考慮すると、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。着色樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm以上1μm以下であることで、着色樹脂粒子の紙の繊維との衝突や迂回など粒子の移動の障害が少なく、被塗付面である紙の表面に着色樹脂粒子が残りにくくなると推察され、塗付跡の乾燥状態が早く得られる。
【0015】
尚、着色樹脂粒子の平均粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、(株)島津製作所製;SALD-7100)、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、大塚電子(株)製、ELSZ-2000S)、コールターカウンター(例えば、ベックマン・コールター(株)製、Multisizer 4e)等を粒子径の範囲に応じて適宜使用して測定される。また平均粒子径は、粒子径の範囲に応じて適宜選択した装置より得られた数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出した値を採用する。
【0016】
上記塗布具に使用する水性インキに含有される着色樹脂粒子を構成する樹脂粒子の具体例としては、シリコーン-アクリルとして、ソリオスターRA Aタイプ(平均粒子径 3.5μm)、同Bタイプ(平均粒子径 3.5μm)、同Cタイプ(平均粒子径 4.8μm)、同Dタイプ(平均粒子径 5μm)、同Eタイプ(平均粒子径 5μm)、同タイプ(平均粒子径 6μm)(以上、(株)日本触媒製)、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物として、エポスターMS(平均粒子径 2μm)、同M05(平均粒子径 5μm)、同L15(平均粒子径 9μm)(以上、(株)日本触媒製)、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物として、エポスターM30(平均粒子径 3μm)(以上、(株)日本触媒製)、メラミン-ホルムアルデヒド縮合物として、エポスターSS(平均粒子径 0.1μm)、同S(平均粒子径 0.2μm)、同FS(平均粒子径 0.2μm)、同S6(平均粒子径 0.4μm)、同S12(平均粒子径 12μm)(以上、(株)日本触媒製)、アクリル系として、エポスターMA1002(平均粒子径 2μm)、同1004(平均粒子径 4μm)、同1006(平均粒子径 6μm)、同1010(平均粒子径 10μm)(以上、(株)日本触媒製)、MX80H3wT(平均粒子径 0.8μm)、同150(平均粒子径 1.5μm)、同180TA(平均粒子径 1.8μm)、同300(平均粒子径 3μm)、同500(平均粒子径 5μm)、同1000(平均粒子径 10μm)、同1500H(平均粒子径 15μm)、同2000(平均粒子径 20μm)、同3000(平均粒子径 30μm)(以上、総研化学(株)製)、アクリル-スチレン系として、エポスターMA2003(平均粒子径 3μm)(以上、(株)日本触媒製)、ポリメタクリル酸メチル系として、エポスターMX020W(平均粒子径 0.020μm)、同030W(平均粒子径 0.040μm)、同050W(平均粒子径 0.070μm)、同100W(平均粒子径 0.150μm)、同200W(平均粒子径 0.350μm)、同300W(平均粒子径 0.450μm)(以上、(株)日本触媒製)、テクポリマーMBXMBX-5(平均粒子径 5μm)、同-8(平均粒子径 8μm)、同-12(平均粒子径 12μm)、同-20(平均粒子径 20μm)、同-30(平均粒子径 30μm)、同-40(平均粒子径 40μm)、同-50(平均粒子径 50μm)、テクポリマーMB20X-5(平均粒子径 5μm)、同-30(平均粒子径 30μm)、テクポリマーMB30X-5(平均粒子径 5μm)、同-8(平均粒子径 8μm)、同-20(平均粒子径 20μm)、テクポリマーSSX-101(平均粒子径 1μm)、同-102(平均粒子径 2μm)、同-103(平均粒子径 3μm)、同-104(平均粒子径 4μm)、同-105(平均粒子径 5μm)、同-108(平均粒子径 8μm)、同-110(平均粒子径 10μm)、同-115(平均粒子径 15μm)、同-120(平均粒子径 20μm)、同-127(平均粒子径 27μm)(以上、積水化成品工業(株)製)、テクポリマーMBP-8(平均粒子径 8μm)(以上、積水化成品工業(株)製)、ポリメタクリル酸ブチル系として、テクポリマーBM30X-5(平均粒子径 5μm)、同-8(平均粒子径 8μm)、同-12(平均粒子径 12μm)(以上、積水化成品工業(株)製)、ポリスチレン系として、テクポリマーSBX-4(平均粒子径 4μm)、同-6(平均粒子径 6μm)、同-8(平均粒子径 8μm)、同-12(平均粒子径 12μm)(以上、積水化成品工業(株)製)が挙げられる。
【0017】
上記塗布具に使用する水性インキに含有される着色樹脂粒子の具体例としては、ポリスチレンとして、K005D(平均粒子径 0.05μm)、K007D(平均粒子径 0.06μm)、K010D(平均粒子径 0.1μm)、K015D(平均粒子径 0.2μm)、K020D(平均粒子径 0.2μm)、K025D(平均粒子径 0.3μm)、K030D(平均粒子径 0.3μm)、K035D(平均粒子径 0.4μm)、K040D(平均粒子径 0.4μm)、K045D(平均粒子径 0.5μm)、K050D(平均粒子径 0.5μm)、K070D(平均粒子径 0.7μm)、K080D(平均粒子径 0.8μm)、K100D(平均粒子径 1μm)、L200D(平均粒子径 2μm)、L300D(平均粒子径 3μm)、F-K005(平均粒子径 0.05μm)、F-K007(平均粒子径 0.06μm)、F-K010(平均粒子径 0.1μm)、F-K015(平均粒子径 0.2μm)、F-K020(平均粒子径 0.2μm)、F-K025(平均粒子径 0.3μm)、F-K030(平均粒子径 0.3μm)、F-K035(平均粒子径 0.4μm)、F-K040(平均粒子径 0.4μm)、F-K045(平均粒子径 0.5μm)、F-K050(平均粒子径 0.5μm)、F-K070(平均粒子径 0.7μm)、F-K080(平均粒子径 0.8μm)、F-K100(平均粒子径 1μm)、F-L200(平均粒子径 2μm)、F-L300(平均粒子径 3μm)(以上、コアフロント(株)製)、ポリメタクリル酸メチルとして、タフチックAR650S(平均粒子径 18μm)、同M(平均粒子径 30μm)、同MX(平均粒子径 40μm)、同MZ(平均粒子径 60μm)、同ML(平均粒子径 80μm)、同L(平均粒子径 100μm)、同LX(平均粒子径 130μm)、同LL(平均粒子径 150μm)(以上、東洋紡(株)製)、アクリルとして、アートパールGRシリーズ黒色(平均粒子径 3.8μm、6μm、10μm、15μm、22μm、32μm、90μm、120μm)、同白色(平均粒子径 15μm、22μm、32μm、90μm、120μm)、同黄土色(平均粒子径 120μm)、同茶色(平均粒子径 120μm)、アートパールGシリーズ黒色(平均粒子径 6μm、15μm)(以上、根上工業(株)製)、ウレタンとして、アートパールCシリーズ黒色(平均粒子径 6μm、15μm、22μm、32μm)、同白色(平均粒子径 6μm、15μm、22μm、32μm)、同緑色(平均粒子径 15μm)、同黄色(平均粒子径 15μm)、同青色(平均粒子径 15μm)、同赤色(平均粒子径 15μm)、アートパールMTシリーズ茶色(平均粒子径 15μm)、同黄土色(平均粒子径 15μm)、アートパールHIシリーズ黒色(平均粒子径 15μm)、同白色(平均粒子径 15μm)、アートパールHBシリーズ黒色(平均粒子径 8μm、15μm)、アートパールCHシリーズ赤色(平均粒子径 6μm)、同青色(平均粒子径 6μm)(以上、根上工業(株)製)、スチレン・アクリルニトリルとして、NKW3903E、同3926E、同3904E、同3905E、同3902E、同3908E、同3938E、同3977E、同3947E、同3907E、同3203E、同3226E、同3204E、同3205E、同3215E、同3202E、同3208E、同3277E、同3207E、同6013E、同6004E、同6005E、同6002E、同6008E、同6038E、同6047E、同6007E(以上、平均粒子径 0.1μm以下)、同C2103E、同C2104E、同C2105E、同C2102E、同C2108E、同C2167E、同C2147E、同C2117E、同2103E、同2101E、同2104E、同2106E、同2105E、同2102E、同2108E、同2167E、同2137E、同2127E、同2117E、同2107E、同2109E、同7002E、同7012E、同7052E、同7003E、同7004E、同7005E、同7026E、同7017E、同7047E、同7067E、同7008E、同7038Eなどが挙げられ、NKW-7500Eシリーズとして、同7502E、同7517E、同7577E、同7518E、A-300Eシリーズとして、同A-303E、同A-301E、同A-304E、同A-305E、同A-302E、同A-308E、同A-367E、同A-347E、同A-307E(以上、平均粒子径 0.4μm以下)(以上、日本蛍光化学(株)製)、シンロイヒカラーSF-3022N、同3014N、同3015N、同3017N、同3037N、同3038N、同5012、同5013、同5014、同5015、同5017、同5027、同5037、同5018(以上、平均粒子径 0.1μm)、同8012、同8014、同8015、同8017、同8037、同8028(以上、平均粒子径 0.4μm)、シンロイヒカラーSP-13、同14、同15、同16、同17、同27、同37、同47(以上、平均粒子径 1.0μm前後)、シンロイヒカラーSW-同111、同112、同113、同114、同115、同116、同107、同117、同127、同137、同147、同128(以上、平均粒子径 1.0μm以下)、FW-8512KS、同8514KS、同8505KS、同8506KS、同8537KS(以上、平均粒子径 3.5μm以上4.5μm以下)(以上、シンロイヒ(株)製)が挙げられる。
また、樹脂粒子を塩基性染料で染着した着色樹脂粒子も使用できる。その具体例としては、C.I.ベーシックレッド1:1とC.I.ベーシックバイオレット11:1とC.I.ベーシックバイオレット15で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックバイオレット11:1で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックレッド1:1とC.I.イエロー28とC.I.ベーシックイエロー40とC.I.ベーシックバイオレット11:1とC.I.ベーシックバイオレット15で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックレッド1:1とC.I.ベーシックイエロー28とC.I.ベーシックイエロー40とC.I.ベーシックバイオレット11:1で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックレッド1:1とC.I.ベーシックイエロー28とC.I.ベーシックイエロー40で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックブルー3とC.I.ベーシックイエロー40で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックブルー3とC.I.ベーシックイエロー40で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックブルー3で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックブルー7とC.I.ベーシックバイオレット15で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)、C.I.ベーシックイエロー28とC.I.ベーシックイエロー40とC.I.ベーシックバイオレット1で染着した着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子(平均粒子径 0.1μm)が挙げられる。
【0018】
これら着色樹脂粒子の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.5重量%以上56.0重量%以下が好ましく、より好ましくは1.0重量%以上40.0重量%以下であり、最も好ましくは3.0重量%以上30.0重量%以下である。0.5重量%未満だと筆跡の発色が不十分で、56.0重量%を越えると耐ペン先乾燥性に悪影響を与える恐れがある。
【0019】
上記塗布具において使用する水性インキに含有されるワックス粒子とは滑剤として使用可能な、主に25℃の環境下において固体のワックスから得られる粒子である。
【0020】
上述の実施形態によれば、ワックス粒子は、着色樹脂粒子に対して平均粒子径が5%以上95%以下であるので、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜ける裏抜けが極力抑制できる。
更に、着色樹脂粒子に対して平均粒子径が平均粒子径の33%以上67%以下の粒子径である場合には、ワックス粒子の凝集構造と、着色樹脂粒子の凝集構造との充填密度が一層大きくなり、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることをより一層抑制できるため好ましい。
【0021】
尚、ワックス粒子の平均粒子径の測定は着色樹脂粒子同様にレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、(株)島津製作所製;SALD-7100)、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、大塚電子(株)製、ELSZ-2000S)、コールターカウンター(例えば、ベックマン・コールター(株)製、Multisizer 4e)等を粒子径の範囲に応じて適宜使用して測定される。また平均粒子径は、粒子径の範囲に応じて適宜選択した装置より得られた数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出した値を採用する。
【0022】
ワックス粒子に使用できるワックスとして、例えば、石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどが挙げられる。また、植物系ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウなどが挙げられる。また、動物系ワックスとしては、ラノリン、みつろうなどが挙げられる。
合成炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、これらの誘導体などが挙げられる。これらのワックスは、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0023】
ワックス粒子として酸化ポリエチレンワックス粒子を用いると繊維集束体、紙内部での移動性に優れ、着色樹脂粒子との移動速度差がより広がることでワックス粒子によって着色樹脂粒子の紙への過度な浸透を一層抑制できるため、酸化ポリエチレンワックス粒子の使用がより好ましい。
【0024】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、ワックス粒子は市販のワックス粒子を用いても良いし、ワックスを水などの液媒体中で乳化分散などによって得られたものを用いても良い。
ワックス粒子の具体例として、パラフィンワックス粒子として、SELOSOL R-582(平均粒子径 0.21μm)、同R-585(平均粒子径 0.22μm)、同R-586(平均粒子径 0.21μm)(以上、中京油脂(株)製)、変性パラフィンワックス粒子として、AQUACER537(平均粒子径 0.05μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、カルナバワックス粒子として、SELOSOL524(平均粒子径 0.07μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、変性ポリエチレンワックス粒子として、CERAFLOUR925(平均粒子径 6μm)、同929(平均粒子径 8μm)、同950(平均粒子径 9μm)、同988(平均粒子径 6μm)、AQUACER531(平均粒子径 0.15μm)、同(μm)、同998(平均粒子径 5μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、ポリエチレンワックス粒子として、CERAFLOUR991(平均粒子径 5μm)、同996(平均粒子径 6μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アマイドワックス粒子として、CERAFLOUR994(平均粒子径 5μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、酸化ポリエチレンワックス粒子として、AQUACER507(平均粒子径 0.04μm)、同515(平均粒子径 0.04μm)(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、HYTEC E-6500(平均粒子径 0.06μm)、同-9015(平均粒子径 0.05μm)、同-6400(平均粒子径 0.055μm)、同-8237(平均粒子径 0.08μm)、同-5403P(平均粒子径 0.05μm)、同-1000(平均粒子径 0.14μm)、同-4A(平均粒子径 0.06μm)(以上、東邦化学工業(株)製)、カルボキシル基含有エチレン系共重合体ワックス粒子として、HYTEC S-3121(平均粒子径 0.035μm)、同-3800(平均粒子径 0.1μm)、同-9242(平均粒子径 0.04μm)、同-9200(平均粒子径 0.04μm)、同-8512(平均粒子径 0.08μm)、同-3148K(平均粒子径 0.045μm)(以上、東邦化学工業(株)製)、マイクロクリスタリンワックス粒子として、Michem Lube 124(平均粒子径 0.05μm)、ProHere L90109(平均粒子径 0.05μm)(以上、Michelman, Inc.製)が挙げられる。
これらのワックス粒子の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1重量%以上50.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上23.0重量%以下であり、最も好ましくは1.0重量%以上15.0重量%以下である。0.1重量%未満だと裏抜け抑制が不十分の恐れがあり、50.0重量%を越えると水性インキ中での固形分が高くなりすぎて耐ペン先乾燥性に悪影響を与える恐れがある。
【0025】
ワックス粒子を作製する場合、目的の粒子径に適した機械的乳化法、転相乳化法、液晶乳化法、D相乳化法などの乳化方法やジェットミルなどの機械的粉砕方法や温度の違いによる溶解度の差などによる析出方法を用いて作製すればよいが、ワックス粒子の表面積を最小限にすることで、繊維集束体中や紙内部で形成している複雑な曲路を移動しやすいため、乳化方法によってワックス粒子を作製する事が好ましい。
【0026】
幾つかの実施形態では、着色樹脂粒子の添加量をx重量%、ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、それぞれの粒子の添加量の割合が、
(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8
の関係を満たす。
上記塗布具では、水性インキのうち平均粒子径が相対的に小さいワックス粒子を含む成分が、水性インキのうち着色樹脂粒子を含む成分に先行して紙に浸透する傾向がある。ここで、ワックス粒子および着色樹脂粒子は、何れも、紙を構成する繊維(例えば、セルロース繊維)に比べて親水性が低く、水性インキの紙への浸透に際して、ワックス粒子及び着色樹脂粒子の移動速度は水に比べて遅い。このため、紙の内部に進むに従って、液媒体としての水が少なくなり、ワックス粒子又は着色樹脂粒子が最密充填に近似していって、凝集体間の引力が働き、見かけ上嵩高くなって紙繊維内を移動しにくくなる。その結果、着色樹脂粒子が内部に進むにしたがって凝集構造を形成し、既に形成されたワックス粒子の凝集構造と着色樹脂粒子の凝集構造とが重なり、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることを効果的に抑制することができる。特に、上述の(式1)を満たす場合、着色樹脂粒子を含む水性インキ成分の浸透に先立ってワックス粒子の凝集構造を適切に形成することが可能となり、ワックス粒子の凝集構造と着色樹脂粒子の凝集構造とを効果的に重なり合わせて、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることを一層抑制することが可能である。
なお、xが3.0重量%以上30.0重量%以下、yが1.0重量%以上15.0重量%以下であると更に好ましい。
yが(式1)の範囲を越えるとペン先において粒子の目詰まりが発生しやすく、耐ペン先乾燥性を向上する添加剤を用いても耐ペン先乾燥性が向上しない恐れがあり、yが(式1)の範囲を越えないことが好ましい。
【0027】
更に、着色樹脂粒子の添加量、ワックス粒子の添加量との関係が、
(式2)-0.12x+15.0≧y>-0.12x+8.0
の関係を満たすとき、着色樹脂粒子とワックス粒子の割合になったときにワックス粒子の凝集構造に着色樹脂粒子の凝集構造の重なりが一層密になり、ワックス粒子と着色樹脂粒子との距離が最接近することでお互いの引力が最大限増大し、構造同士の凝集作用が最も強く働くと推察されるため、着色樹脂粒子が紙の裏側から抜けることをより一層抑制するため更に好ましい。
yが(式2)の範囲を越えるとペン先において粒子の目詰まりの恐れがわずかにあり、耐ペン先乾燥性を向上する添加剤を用いても十分に耐ペン先乾燥性が発揮できない恐れがあるが、yが(式2)の関係を満たすことで耐ペン先乾燥性の向上が十分に発揮されるため好ましい。
【0028】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、着色樹脂粒子の添加量が、インキ組成物全量に対し、0.5重量%以上56.0重量%以下が好ましく、より好ましくは1.0重量%以上40.0重量%以下であり、最も好ましくは3.0重量%以上30.0重量%以下であり、且つ、ワックス粒子の含有量が、インキ組成物全量に対し、0.1重量%以上50.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上23.0重量%以下であり、最も好ましくは1.0重量%以上15.0重量%以下である。更に、この着色樹脂粒子の添加量xに対するワックス粒子の添加量yの割合y/xが0.02以上21以下、より好ましくは0.42以上1.6以下であることによって、繊維集束体である塗布先を通過して吐出される粒子のバランスが最適となり、筆跡上で最密充填状態を形成しやすく、高い発色性と裏抜け抑制効果の両立された筆跡が形成される。
【0029】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、水としては、水道水、地下水、イオン交換水、純水、超純水などが挙げられ、特に限定されることなく使用できる。中でも、イオン交換水、純水が好ましい。
【0030】
上記塗布具に使用する水性インキに、水溶性有機溶剤を用いることができる。
この水溶性有機溶剤とは、水100gに対して10g以上溶解することのできる有機溶剤を指す。
【0031】
水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコールとして、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキシレングリコール、チオジエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,4-ブタントリオール、等が挙げられ、1価のアルコールとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1~4のもの、などが挙げられ、グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルグリコール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、などが挙げられ、環状構造を持つ水溶性有機溶剤としては、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、スルホラン、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、などが挙げられ、その他としては、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、などが挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤の中でも、筆跡の紙への浸透性と耐ペン先乾燥性向上の観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、スルホランを使用することが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから単独、あるいは2種以上混合して使用し、更にスルホランを併用すると耐ペン先乾燥性を高い状態で満足しながら着色樹脂粒子とワックス粒子を紙内部へ浸透させることが出来るため、筆跡の速乾性と裏抜け抑制と耐ペン先乾燥抑制効果を両立することが可能になる。
【0032】
これらの水溶性有機溶剤の添加量は、水性インキ全量に対し0.1重量%以上50.0重量%以下が好ましく、5.0重量%以上20.0重量%以下がより好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0033】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、着色樹脂粒子以外の着色剤として、速乾性、裏抜けに悪影響を与えない範囲で染料、顔料及び、その両方を使用しても良い。
【0034】
染料は、水溶性染料が使用できる。水溶性染料の具体的としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料などが挙げられる。直接染料の具体例としては、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL-200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)などが挙げられる。
酸性染料の具体例としては、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187-L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN-6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)、などが挙げられる。
塩基性染料の具体例としては、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE-3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL-ED(同28)、ブライトイエロー3Gコンク(同40)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、ローダミン590クロリド(同1:1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE-2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、ローダミンA(同11:1)、C.I.ベーシックバイオレット15、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、ビクトリアピュアブルーBO(同7)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)などが挙げられる。これらの染料は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0035】
顔料の具体例としては、ファーネストブラック、コンタクトブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉、錫粉、雲母系顔料、C.I.PIGMENT RED 2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同206、同207、同209、同216、同245、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同139、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、などが挙げられる。これらの顔料は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0036】
また、顔料を水性媒体に分散した顔料分散体も用いることができる。顔料分散体としては、無機顔料、有機顔料、蛍光顔料などが使用でき、具体例としては、unisperseシリーズとして、同Green G-S、同Red 3RS-E2、同Red C2B-Agro RS、同Red C2B-Agro Syngenta、同Yellow 10GN-S2(以上、BASFジャパン(株)製)などが挙げられ、Hostafineシリーズとして、同Red FGR、同Red HF3S、同Red F5RK VP3204、同Red P2GL、同Rubine F6B、同Black T 30、同Yellow HR、同Violet RL、同Blue B2G、同Yellow GR 30 VP 5176、同Trans Oxide Red B 30、同Magenta E、同Green GN、同Black TS 30、同Transoxid Red B 31 VP 6045、同Trans Oxide Yellow R 30、同Yellow HR 30 VP 6022、同Transoxide Yellow R 31 VP 6043(以上、クラリアントジャパン(株)製)などが挙げられ、FASTOGENシリーズとして、同Blue 4RO-2、同Blue 5003、同Blue AE-8、同Blue AE-8K、同Blue AR-7、同Blue BRF、同Blue CA5380、同Blue FA5375、同Blue FA5380、同Blue LA5380、同Blue PA5380、同Blue RSK、同Green 2YK、同Green 5720、同Green S、同Green SF、同Green SMF-2、同Super Magenta R、同Super Magenta RE-03、同Super Magenta RE-05、同Super Magenta RG、同Super Magenta RH、同Super Magenta RTS、同Super Magenta RY、同Super Red 209 228-6736、同Super Red 254 226-0200、同Super Red 254 226-5254、同Super Red 400RG、同Super Red 500RG、同Super Red 7061B、同Super Red 7064B、同Super Red 7100Y、同Super Red ATY-01、同Super Red ATY-TR、同Super Red B conc、同Super Red YE、同Super Scarlet GK、同Super Violet RN、同Super Violet RNS、同Super Violet RN-SU-02、同Super Violet RZE、同Super Violet RZSなどが挙げられ、PALOMARシリーズとして、同Turquoise 264-4900などが挙げられ、PERRINDOシリーズとして、同Maroon 179 229-6424、同Maroon 179 229-6436、同Maroon 179 229-6438、同Maroon 179 229-6440、同Maroon 179 229-6454、同Red 224 229-6420、同Violet 29 229-4050などが挙げられ、QUINDOシリーズとして、同Magenta 202 228-6843、同Magenta 202 228-6853、同Violet 19 228-1119などが挙げられ、SYMULERシリーズとして、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 226、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 233S、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 236S、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 243、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 246、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 300、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 303S、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 306、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 308、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 313S、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 350K、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 392、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 393、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 397、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 400S、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 401、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 412W、同SYMULER Brilliant Carmine 6B 413W、同SYMULER Fast Orange G、同SYMULER Fast Orange K、同SYMULER Fast Orange V、同SYMULER Fast Red 4134A、同SYMULER Fast Red 4134S、同SYMULER Fast Red 4580、同SYMULER Fast Red 4586、同SYMULER Fast Red 4601、同SYMULER Fast Red 4608、同SYMULER Fast Red 4610、同SYMULER Fast Red BR 4598、同SYMULER Fast Yellow 4059G、同SYMULER Fast Yellow 4090G、同SYMULER Fast Yellow 4192、同SYMULER Fast Yellow 4GO、同SYMULER Fast Yellow 5GF、同SYMULER Fast Yellow 8GF、同SYMULER Fast Yellow 8GTF、同SYMULER Fast Yellow BY 2000GT、同SYMULER Fast Yellow GFconc、同SYMULER Fast Yellow GFconcP、同SYMULER Fast Yellow GRF、同SYMULER Fast Yellow NIF、同SYMULER Lake Red Cconc210、同SYMULER Red 2BY、同SYMULER Red 3013、同SYMULER Red 3013P、同SYMULER Red 3014、同SYMULER Red 3070、同SYMULER Red 3075、同SYMULER Red 3111、同SYMULER Red 3123、同SYMULER Red NRYなどが挙げられ、RYUDYE-Wシリーズとして、同YELLOW KGR、同YELLOW FRT-K、同ORANGE FKS、同SCARLET F3G、同RED FBY、同VIOLET FFBN、同BLUE GLK、同GREEN FBT、同BROWN FFM、同BLACK RC、同YELLOW FF7G、同YELLOW FF3R、同ORANGE FF2R、同RED FFGR、同VIOLET FFBN、同BLUE GLK、同GREEN FBT、同BROWN FFR、同BLACK RC、同YELLOW KG、同GOLD YELLOW FFR、同ORANGE FKV、同SCARLET F3G、同RED GCL、同VIOLET FN、同BLUE RC、同GREEN S CONC、同BROWN GDR、同BLACK WT、同YELLOW FF4G、同YELLOW FFRG、同ORANGE FFYR、同RED FF2G、同VIOLET FN、同BLUE RC、同GREEN S CONC、同BROWN FFR、同BLACK WT(以上、DIC(株)製)などが挙げられ、Fuji SPシリーズとして、同Black 8031、同Black 8041、同Black 8119、同Black 8167、同Black 8276、同Black 8381、同Black 8406、同Red 5096、同Red 5111、同Red 5193、同Red 5220、同Bordeaux 5500、同Blue 6062、同Blue 6474、同Blue 6133、同Blue 6134、同Blue 6401、同Blue 6555、同Blue 6474、同Green 7051、同Yellow 4060、同Yellow 4360、同Yellow 4178、同Violet 9011、同Violet 9602、同FujiSP Pink 9524、同Pink 9527、同Orange 534、同Pink 636、同Pink 9429、同Brown 3074、同RED 5543、同RED 5657、同RED 5653、同RED 5544(以上、冨士色素(株)製)などが挙げられ、Emacolシリーズとして、同Black CN、同Blue FBB、同Blue FB、同Blue KR、同Green LXB、同Violet BL、同Brown3101、同Carmmine FB、同RedBS、同Orange R、同Yellow FD、同Yellow IRN、同Yellow 3601、同Yellow FGN、同Yellow GN、同Yellow GG、同Yellow F5G、同Yellow F7G、同Yellow 10GN、同Yellow 10Gなどが挙げられ、Sandyeシリーズとして、同Super Black K、同Super Black C、同Super Grey B、同Super Brown SB、同Super Brown FRL、同Super Brown RR、同Super Green L5G、同Super Green GXB、同Super Navy Blue HRL、同Yellow Super Navy Blue GLL、同Yellow Super Navy Blue HB、同Yellow Super Navy Blue FBL-H、同Yellow Super Navy Blue FBL-160、同Yellow Super Navy Blue FBB、同Super Violet BL H/C、同Super Violet BL、同Super Bordeaux FR、同Super Pink FBL、同Super Pink F5B、同Super Rubine FR、同Super Carmmine FB、同Super Red FFG、同Super Red RR、同Super Red BS、同Super Red 1315、同Super Orange FL、同Super Orange R、同Super Orange BO、同Gold Yellow 5GR、同Gold Yellow R、同Gold Yellow 3R、同Yellow GG、同Yellow F3R、同Yellow IRC、同Yellow FGN、同Yellow GN、同Yellow GRS、同Yellow GSR-130、同Yellow GSN-130、同Yellow GSN、同Yellow 10GN(以上、山陽色素(株)製)などが挙げられ、MICROPIGMOシリーズとして、同AMBE-4、同AMBE-8、同AMBK-2、同AMBK-8、同AMGN-2、同AMGN-6、同AMGN-8、同AMVT-2、同AMRD-2、同AMRD-8、同AMOE-6、同WMBE-5、同WMBK-5、同WMGN-6、同WMRD-5、同WMRD-8、同WMVT-5、同WMWE-1、同WMYW-5、同WMYW-6などが挙げられ、BONJETシリーズとして、同BLACK CW-1、同BLACK CW-1S、同BLACK CW-2、同BLACK M-800(以上、オリヱント化学工業(株)製)などが挙げられ、Rio Fastシリーズとして、同Black Fx 8012、同Black Fx 8
313、同Black Fx 8169、同Red Fx 8209、同Red Fx 8172、同Red S Fx 8315、同Red S Fx 8316、同Blue Fx 8170、同Blue Fx 8170、同Blue S Fx 8312、同Green S Fx 8314などが挙げられ、EMFカラーシリーズとして、同イエロー3G、同オレンジO、同レッドHFB、同レッドHR、同ブルーHG、同バイオレットHB(以上、トーヨーカラー(株)製)などが挙げられ、ポルックスカラーシリーズとして、同PC5T1020、同ブラックPC8T135、同レッドIT1030(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられ、ビクトリアシリーズとして、同イエロー G-11、同イエロー G-20、同オレンジ G-16、同オレンジ G-21、同レッド G-19、同レッド G-22、同ピンク G-17、同ピンク G-23、同グリーン G-18、同グリーン G-24、同ブルー G-15、同ブルー G-25(以上、御国色素(株)製)などが挙げられる。
これらの顔料分散体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。ただし、着色された樹脂粒子を着色剤として用いる場合は、樹脂粒子が有機溶剤に溶解しないものを用いる。
【0037】
着色剤に顔料や油性染料を用いることで、筆跡の耐水性を備えるものとすることもでき、顔料のみを用いることで筆跡の耐光性を備えるものとすることができる。
【0038】
着色剤に顔料を用いた場合は、顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することもできる。分散剤として、従来一般に用いられている水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などの、顔料の分散剤として用いられるものを用いることができる。分散剤の具体例としては、高分子分散剤として、リグニンスルホン酸塩、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン-アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合物の塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩、などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの非イオン性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤、などが挙げられる。これらの水可溶性樹脂および界面活性剤の添加量は顔料10.0重量%に対し、0.05重量%以上20.0重量%以下が好ましい。これらの水可溶性樹脂および界面活性剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0039】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、顔料を分散するには一般的な方法が使用可能である。
例えば、顔料と、溶媒と、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。分散機の具体例としては、ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ニーダーなどが挙げられる。使用する分散機の種類は、水性インキの溶媒量や、顔料濃度などによって適宜選択できる。
また、これらの分散する工程において、発生した分散熱をそのまま利用して撹拌したり、熱をかけたり、冷却したり、加圧したり、減圧したり、不活性ガス雰囲気中で撹拌することができる。脱泡機による泡の除去やろ過機による粗大物のろ過等を必要に応じて行っても良い。更に、多糖類の分散性を十分にするために水性インキ調整後に加熱処理工程及び/又は冷却処理工程を行っても良い。
これらの混合、分散、ろ過、加熱、冷却、加圧、減圧、不活性ガス雰囲気とすることなどは、それぞれ単独で行ってもよく、あるいは、2種以上の工程を同時に行ってもよい。
【0040】
上記塗布具に使用する水性インキの粘度は、マーキングペン、筆ペンなどの塗布先として繊維集束体を用いる塗布具の形態によって適宜調整することができる。
【0041】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、インキ吸蔵体にインキを充填して使用する形態では、水性インキの粘度が測定温度25℃、剪断速度76.6s-1において1.0mPa・s以上50.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上20.0mPa・s以下がより好ましく、インキ吸蔵体を用いることなく、インキを塗布具に充填して使用する形態では、水性インキの粘度が測定温度25℃、剪断速度76.6s-1において1.0mPa・s以上100.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上60.0mPa・s以下がより好ましい。
【0042】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、粘度を調整するために粘度調整剤を用いることができる。粘度調整剤の具体例としては、HPC-SL、HPC-L、HPC-M、HPC-H(以上、ヒドロキシプロピルセルロース、日本曹達(株)製)、セオラスSC-900、セオラスSC-900S、セオラスRC591S、セオラスRC-N81、セオラスRC-N30、セオラスCL-611S、セオラスDX-2、セオラスDX-3,セオラスUF-F711、セオラスUF-F702、セオラスST-100、セオラスST-02、セオラスFD-101,セオラスFD-301、セオラスFD-F20、セオラスファイバーDF-17(以上、結晶セルロース、旭化成(株)製)などのセルロース類、ケルザン、ケルザンS、ケルザンT、ケルザンST、ケルザンASX、ケルザンAR、ケルザンHP、ケルザンG、ケトロールCG、ケトロールCG-T、ケトロールCG-SFT(以上、三晶(株)製)、サンエース、サンエースS、サンエースC、サンエースC-S、サンエースB-S、サンエースNF、サンエースG、サンエースE-S、サンエースNXG-S、サンエースNXG-C、ビストップD-3000-DF、ビストップD-3000-DF-C(以上、三栄源エフ・エス・アイ(株)製)、コージン、コージンF、コージンT、コージンK(以上、(株)興人製)などのキサンタンガム、レオザン(サクシノグルカン、三晶(株)製)、K1A96、BG3810(以上、三晶(株)製)などのウェランガム、K1A112、K7C2433(以上、三晶(株)製)などのラムザンガム、ジャガー8111、同8600、同HP-8、同HP-60、CP-13(以上、三晶(株)製)などのグァーガム類、プルラン(水溶性多糖類、(株)林原商事製)、レオジック250H(日本純薬(株)製)、ジュンロンPW111(日本純薬(株)製)、Uジェリ・CP(昭和電工(株)製)などの架橋型アクリル酸樹脂、カーボポール934、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981、カーボポール1342、カーボポール1382、カーボポール2984、カーボポール5984、カーボポールETD2020、カーボポールETD2050、EZ-1、ペミュレンTR-1、ペミュレンTR-2(ルーブリゾール社製、アメリカ合衆国)などのアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、GX-205、NA-010(昭和電工(株)製)などのN-ビニルアセトアミド重合架橋物、などが挙げられる。
これらの粘度調整剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0043】
上記成分の他に必要に応じて、保湿剤、潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、消泡剤、などの添加剤を併用して用いることができる。
これらの、保湿剤、潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、消泡剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0044】
上記塗布具に使用する水性インキにおいて、保湿剤の具体例としては、グリセリン、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、ヒアルロン酸、トリメチルグリシン、グリシン、尿素、ヒドロキシエチル尿素、1,2-ジメチル尿素、エチレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、チオ尿素、グアニジン、ソルビット、ソルビタンが挙げられる。
グリセリンは紙面上の筆跡を湿潤させる力が強いため極力使用しないことが好ましい。
保湿剤の中でもグリシンはアミノ酸の中でも最も分子量が小さく、立体障害が少ないことなどの理由から、水性インキの粘度を増粘させにくく、着色樹脂粒子とワックス粒子との相互作用を起こすことによって筆跡の紙への浸透を向上させると共に耐ペン先乾燥性を維持することができるため使用することが好ましい。
【0045】
これらの保湿剤の添加量は、水性インキ全量に対し0.1重量%以上20.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以上10.0重量%以下がより好ましい。これらの保湿剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0046】
防腐剤、防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンゾイソチアゾリン-3-オン、オマジンナトリウム、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体、などが挙げられる。
【0047】
水性インキのpHを調整するために、pH調整剤を用いることができる。pH調整剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの塩基性物質や、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、などの酸性物質が挙げられる。これらのpH調整剤は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。2種類以上のpH調整剤を併用することで、pHの微調整が可能となったり、経時におけるpH変化を抑制しやすくなるため好ましい。
【0048】
水性インキを製造するには、上記の着色樹脂粒子と、ワックス粒子と水及び/又は有機溶剤と、分散剤と、プロペラやホモミキサー等にて充分に混合攪拌した後、他の添加剤、例えば粘度調整剤や、pH調整剤、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解、混合することで得られる。
また、これらの調製工程において、発生した分散熱をそのまま利用して撹拌したり、熱をかけたり、冷却したり、加圧したり、減圧したり、不活性ガス置換したりして、撹拌することができる。脱泡機による泡の除去やろ過機による粗大物のろ過等を必要に応じて行っても良い。更に、多糖類の分散性を十分にするために水性インキ調整後にエージング工程を行っても良い。
これらの種々の混合工程、分散工程、ろ過工程、加熱工程および/又は冷却工程、加圧及び又は減圧工程、不活性ガス置換工程は、それぞれ単独で行ってもよく、あるいは、2種以上の工程を並行して行ってもよい。
【0049】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例
【0050】
実施例、比較例に記載の材料の添加量は重量%で表す。
表1~7に示すとおり、実施例1~56、比較例1~11に使用した水性インキを、プロペラを用いて攪拌し作製した。作製手順としては、水と水溶性有機溶剤を容器に投入してプロペラで5分攪拌し、その他の添加剤を添加し、プロペラで30分攪拌して水性インキを得た。
市販されていない着色樹脂粒子は染料で着色したスチレン・アクリロニトリルモノマーを水溶性有機溶剤であるプロピレングリコールの添加量を調整しながら水中で乳化重合することで得たり、染料を有機溶剤である変性アルコールとアセトンに溶解させアクリル樹脂粒子と混合、攪拌させた後に有機溶剤を蒸発させて得た。
顔料を内包した着色樹脂粒子はメタクリル酸、スチレン、ポリエチレン(15)グリコールモノメタクリレート、ポリエチレン(5)グリコール・ポリプロピレン(7)グリコールモノメタクリレート、スチレンマクロモノマーをモノマー混合物とし、メチルエチルケトンと2,2‘-アゾビスイソブチロニトリルとオクチルメルカプタンとモノマー混合物を用いて重合することでポリマー溶液を作成し、顔料を加え分散機で混練しながら水を加え、減圧下でメチルエチルケトンを除去、水分を適宜除去して顔料を内包した着色樹脂粒子を得た。
ワックス粒子は、融点以上で水中にてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて乳化させた後冷却することで得たり、ワックスを溶解する水溶性有機溶剤とポリオキシエチレンソルビタンモノオレートを用いて転相乳化することで得た。
また、平均粒子径は、レーザ式粒度分布測定機SALD-7100((株)島津製作所製)を用いて測定し、得られた数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出した値である。
また、着色樹脂粒子とワックス粒子の平均粒子径の大きさを比較する場合は下記の通り計算を行った。(着色樹脂粒子の平均粒子径)/(ワックス粒子の平均粒子径)の値を%表記にした時の値の小数点第1を四捨五入して整数の値に丸めた値を用いて比較した。
着色樹脂粒子及びワックス粒子をインキに配合するに当り、それぞれの分散液を使用する場合には、各粒子のインキ中における割合(重量%)は、各分散液の固形分の割合を、各分散液のインキに対する添加量に乗じて計算される値の小数点第2位を四捨五入して小数点第1位の値に丸めた値が、インキ全量に対する着色樹脂粒子又はワックス粒子そのものの配合割合である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
表1~7に示す各組成物の材料としては、具体的には下記のものを使用した。
着色樹脂粒子分散液(1):桃色樹脂粒子分散液(NKW3207E、平均粒子径 0.09μmの着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子、固形分37.5重量%、日本蛍光(株)製)
着色樹脂粒子分散液(2):黄色樹脂粒子分散液(NKW3205E、平均粒子径 0.08μmの着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子、固形分37.5重量%、日本蛍光(株)製)の濃縮液(固形分50重量%)
着色樹脂粒子分散液(3):紫色樹脂粒子分散液(SF-3037N、平均粒子径 0.07μmの着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子、固形分40重量%、シンロイヒ(株)製)
着色樹脂粒子分散液(4):茶色樹脂粒子分散液(NKW3226E、平均粒子径 0.1μmの着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子、固形分37.5重量%、日本蛍光(株)製)
着色樹脂粒子分散液(5):青色樹脂粒子分散液(平均粒子径 0.01μmの着色スチレン・アクリロニトリル樹脂粒子をC.I.ベーシックブルー3にて着色、固形分20重量%)
着色樹脂粒子分散液(6):赤色樹脂粒子(平均粒子径 1.0μmのC.I.ピグメントレッド3内包スチレン樹脂粒子、固形分20重量%)
着色樹脂粒子(1):桃色樹脂粒子(MP-1000、平均粒子径 0.4μmのアクリル樹脂粒子、総研化学(株)製をC.I.ベーシックレッド1:1にて染着したもの)
着色樹脂粒子(2):桃色樹脂粒子(MX-1000、平均粒子径 10μmのアクリル樹脂粒子、総研化学(株)製をC.I.ベーシックレッド1:1にて染着したもの)
着色樹脂粒子(3):桃色樹脂粒子(MX-500、平均粒子径 5μmのアクリル樹脂粒子、総研化学(株)製をC.I.ベーシックレッド1:1にて染着したもの)
着色樹脂粒子(4):桃色樹脂粒子(SX-130H、平均粒子径 1.3μmのアクリル樹脂粒子、総研化学(株)製をC.I.ベーシックレッド1:1にて染着したもの)
着色樹脂粒子(5):蛍光橙色樹脂粒子(平均粒子径 3μm、着色アクリル樹脂粒子)顔料分散液(1):黒色顔料分散液(平均粒子径 0.09μmのC.I.ピグメントブラック7分散液、固形分15重量%)
顔料分散液(2):赤色顔料分散液(平均粒子径 0.40μmのC.I.ピグメントレッド4分散液、固形分25重量%)
染料(1):黒色染料(WATER BLACK 31、オリヱント化学工業(株)製)着色ワックス粒子分散液(1):シアン顔料で着色したワックス粒子分散液(平均粒子径 0.18μm、固形分19.9重量%)
ワックス粒子分散液(1):酸化ポリエチレンワックス粒子分散液(平均粒子径 0.03μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分20重量%)
ワックス粒子分散液(2):AQUACER 507(平均粒子径 0.04μmの酸化高密度ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、ビックケミー・ジャパン(株)製)
ワックス粒子分散液(3):AQUACER 515(平均粒子径 0.04μmの酸化高密度ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、ビックケミー・ジャパン(株)製)
ワックス粒子分散液(4):HYTEC E-8237(平均粒子径 0.08μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、東邦化学工業(株)製)
ワックス粒子分散液(5):HYTEC E-4A(平均粒子径 0.06μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、東邦化学工業(株)製)
ワックス粒子分散液(6):酸化ポリエチレンワックス粒子分散液(平均粒子径 0.005μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分20重量%)
ワックス粒子分散液(7):Joncryl Wax 26(平均粒子径 0.07μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分25重量%、BASFジャパン(株)製)
ワックス粒子分散液(8):HYTEC E-1000(平均粒子径 0.14μmの酸化ポリエチレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、東邦化学工業(株)製)
ワックス粒子分散液(9):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 0.05μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分10重量%)
ワックス粒子分散液(10):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 0.005μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分10重量%)
ワックス粒子分散液(11):HYTEC P-9018(平均粒子径 0.06μmの酸化ポリプロピレンワックス粒子分散液、固形分35重量%、東邦化学工業(株)製)
ワックス粒子分散液(12):Michem Lube 124(平均粒子径 0.05μmのマイクロクリスタリンワックス粒子分散液、固形分42重量%)
ワックス粒子分散液(13):マイクロクリスタリンワックス粒子分散液(平均粒子径 0.007μmのマイクロクリスタリンワックス粒子分散液、固形分20重量%)
ワックス粒子分散液(14):パラフィンワックス粒子分散液(平均粒子径 0.05μmのパラフィンワックス粒子分散液、固形分10重量%)
ワックス粒子分散液(15):パラフィンワックス粒子分散液(平均粒子径 0.08μmのパラフィンワックス粒子分散液、固形分10重量%)
ワックス粒子分散液(16):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 0.25μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分40重量%)
ワックス粒子分散液(17):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 0.4μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分40重量%)
ワックス粒子分散液(18):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 3μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分40重量%)
ワックス粒子分散液(19):カルナバワックス粒子分散液(平均粒子径 9.5μmのカルナバワックス粒子分散液、固形分40重量%)
樹脂エマルション(1):Joncryl 537(平均粒子径 0.07μmのスチレン・アクリルエマルション、固形分46重量%、BASFジャパン(株)製)
ラテックス粒子分散液(1):ナルスター SR-100(平均粒子径 0.18μmのカルボキシ変性スチレンブタジエンゴム粒子を含むラテックス粒子分散液、固形分51重量%、日本エイアンドエル(株)製)
ラテックス粒子分散液(2):Nipol 1571CL(平均粒子径 0.10μmのアクリロニトリルブタジエンゴム粒子を含むラテックス粒子分散液、固形分38重量%、日本ゼオン(株)製)
樹脂粒子(1):ケミスノー MP-1000(平均粒子径 0.4μmのアクリル樹脂粒子、総研化学(株)製)
水溶性有機溶剤(1):エチレングリコール
水溶性有機溶剤(2):グリセリン
水溶性有機溶剤(3):γ-ブチロラクトン
水溶性有機溶剤(4):ヘキシレングリコール
水溶性有機溶剤(5):エチレングリコールモノイソプロピルエーテル
水溶性有機溶剤(6):ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル
水溶性有機溶剤(7):ジエチレングリコールジエチルエーテル
水溶性有機溶剤(8):N,N-ジメチルホルムアミド
水溶性有機溶剤(9):トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル
水溶性有機溶剤(10):1,2-ペンタンジオール
水溶性有機溶剤(11):1,2-ブタンジオール
水溶性有機溶剤(12):1,2-ヘキサンジオール
水溶性有機溶剤(13):ジエチレングリコール
水溶性有機溶剤(14):トリエチレングリコール
水溶性有機溶剤(15):スルホラン
保湿剤(1):トリメチルグリシン(東京化成工業(株)製)
保湿剤(2):ペンタエリスリトール
保湿剤(3):グリシン(磐田化学工業(株)製)
活性剤(1):BYK-348(ポリエーテル変性シロキサン、ビックケミー・ジャパン(株)製)
活性剤(2):サーフィノール DF110D(アセチレングリコール系活性剤、日信化学工業(株)製)
活性剤(3):サーフロンS111N(フッ素系界面活性剤、AGCセイケミカル(株)製)
活性剤(4):ノイゲンXL80(ポリオキシエチレンアルキレン分鎖デシルエーテル、第一工業製薬(株)製)
pH調整剤(1):トリエタノールアミン
防腐剤(1):PROXEL GXL(S)(ベンズイソチアゾリン-3-オン、ロンザジャパン(株)製)
【0059】
試験用塗布具の作製
実施例1~56、比較例1~9にて使用した水性インキを、中綿(中綿の材質:ポリエステルとポリプロピレン混合繊維、中綿の空孔率:81%(±2%のばらつきを有する))に1.25ml充填したものを、水性マーキングペン(ノック式ハンディラインS、製品符号SXNS15、ぺんてる(株)製)軸にセットし、ペン先(ペン先の材質:ポリエステル繊維、ペン先の空孔率:60%(±2%のばらつきを有する)、ペン先の材質の繊維の太さ:3デニール)を取り付け、ノックをしてペン先を軸筒内に収納して密閉状態とし、その後2時間静置してペン先まで水性インキを十分に浸透させ、実施例1~56、比較例1~9の塗布具を得た。また、比較例10、11にて使用した水性インキをシリンジ(ハミルトンマイクロシリンジ701、ジーエルサイエンス(株)製)で吸引し、0.1μl吐出出来る状態にした。
【0060】
筆跡乾燥確認試験
上記の各実施例、比較例(比較例10、11を除く)の試験用塗布具を、各実施例、比較例あたり3本ずつ用意し、温度25℃、湿度65%の環境下にて、筆記用紙(アルティマグロス70(米坪80g/m)、日本製紙(株)製)に手書きで30cmの直線を筆記した後、筆記用紙紙面上の跡を指で横断するように1回擦ることを1秒ごとに繰り返し、筆跡が伸びなくなる時間を乾燥時間とした。比較例10、11の試験用塗布具を用いて、温度25℃、湿度65%の環境下にて、筆記用紙に0.1μl滴下した後、インキの滴下した面上を指で擦ることを1秒ごとに繰り返し、インキの滴下した面が伸びて周囲の筆記用紙に転写されなくなる時間を乾燥時間とした。
表1~7には、乾燥時間を記載した(単位「秒」)。
【0061】
筆跡裏抜け確認試験
上記の各実施例、比較例(比較例10、11を除く)の試験用塗布具を各実施例、比較例あたり5本ずつ用意し、温度25℃湿度65%の環境下にて、ノート(TANOSEE ノートブック セミB5 OSF-5A(米坪65g/m)、(株)大塚商会製)に手書きで0.5cm/秒の筆記速度で筆記した際の裏抜けの様子をデジタルマイクロスコープVHX-5000((株)キーエンス製)にて30倍にて撮影し、画像編集ソフトAdobe Photoshop CC(アドビシステムズ(株)製)によって筆跡全体のピクセル数と、筆記面の筆跡と同じ色としてソフトウェア上で認識される筆記面裏側の筆跡部分を裏抜け部分として裏抜け部分のピクセル数を計測し、筆跡全体に対する裏抜け部分の割合を求めた。比較例10、11の試験用塗布具を用いて、温度25℃、湿度65%の環境下にて、ノートに0.1μl滴下した際の裏抜けの様子をデジタルマイクロスコープにて撮影し、画像編集ソフトによって塗付面全体のピクセル数と、塗付面と同じ色としてソフトウェア上で認識される塗布面裏側を裏抜け部分として裏抜け部分のピクセル数を計測し、塗布面全体に対する裏抜け部分の割合を求めた。表1~7には、裏抜けの割合を記載した(単位「%」)。
【0062】
耐ペン先乾燥性確認試験
上記の各実施例、比較例(比較例10、11を除く)の試験用塗布具を用いて、温度25℃湿度20%の環境下で、ペン先を露出した状態で横向きで放置して、30分後、45分後、60分後、90分後ごとに手書きで筆記し、筆跡のカスレが5cm以下であった最長の時間を筆記可能な時間とした。表1~7には、筆記可能な時間を記載した(単位「分」)。
【0063】
結果を表1~7に示す。
【0064】
実施例1~3の塗布具は、着色樹脂粒子と着色樹脂粒子に対して平均粒子径が5%以上95%以下のワックス粒子とを少なくとも含む水性インキと、塗布先として、繊維集束体を備える塗布具であることから、複雑な曲路を形成している多孔状態の塗布先としての繊維集束体の先端から優先して吐出され、これよりも大径粒子の着色樹脂粒子に先んじて紙の繊維間の隙間を狭いものとし、着色樹脂粒子の紙への過度な浸透が抑制されることで、裏抜けが抑制できた。
実施例4~6の塗布具は、実施例1~3の塗布具と比較して平均粒子径が0.01μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子と平均粒子径が0.005μm以上で着色樹脂粒子よりも小さいワックス粒子であることで、速乾性を付与でき、速乾性と裏移りの両立を達成することができた。
実施例24~27、29の塗布具と、実施例7~8、13の塗布具を比較して、着色樹脂粒子の添加量をx重量%、前記ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8の関係を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であるので、裏抜け抑制と耐ペン先乾燥性を両立できた。
また、実施例36,37、39~41の塗布具は実施例17~20の塗布具と比較して、着色樹脂粒子の添加量をx重量%、前記ワックス粒子の添加量をy重量%としたとき、(式1)-0.12x+23.0≧y>-0.12x+6.8の関係を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であるので、裏抜け抑制と耐ペン先乾燥性を両立できた。
実施例10および45の塗布具は、実施例9および44の塗布具と比較して、ワックス粒子が酸化ポリエチレンワックス粒子であることで裏抜け抑制効果が一層向上することができた。
実施例49および54の塗布具は、実施例46および53の塗布具と比較して、着色樹脂粒子と着色樹脂粒子に対して平均粒子径が33%以上67%以下であることで裏抜け抑制効果が一層向上することができた。
実施例55~58の塗布具は、実施例28、30~32の塗布具と比較して、(式2)-0.12x+15.0≧y>-0.12x+8.0の関係を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であるので、裏抜け抑制と耐ペン先乾燥性を一層向上できた。
また、実施例23および43および58の塗布具を比較して、(式2)-0.12x+15.0≧y>-0.12x+8.0の関係を満たし、xが0.5重量%以上56.0重量%以下、yが0.1重量%以上であるので、裏抜け抑制と耐ペン先乾燥性を一層向上できた。
実施例22および48の塗布具は、実施例21および47の塗布具と比較して、水溶性有機溶剤にジエチレングリコール、トリエチレングリコールの内少なくとも1つ以上含むことで、速乾性と耐ペン先乾燥性を一層向上することができた。
実施例16および52の塗布具は、実施例15および51の塗布具と比較して、水溶性有機溶剤にジエチレングリコール、トリエチレングリコールの内少なくとも1つ以上含み、更にスルホランを併用することで、速乾性を一層向上することができた。
実施例31および50の塗布具は、実施例30および49の塗布具と比較してグリシンを含むことで、速乾性を維持したまま、耐ペン先乾燥性を一層向上することができた。
【0065】
これに対して、比較例1の塗布具は特許文献1に記載の発明であるが、速乾性を担保しようとした結果、ワックス粒子が含まれていないため裏抜けを担保する事ができなくなってしまった。
比較例2、3、4の塗布具は着色剤が一般顔料であったり、染料であったりすることからノートのような薄い紙では筆跡の裏抜け抑制が十分満足できるものではなかった。
比較例5の塗布具は着色剤としてワックスに着色剤を含有した粒子を用いているが、着色剤樹脂粒子とワックス粒子を併用していないので裏抜け抑制効果を満足できていない。
比較例6の塗布具はワックス粒子の平均粒子径が着色樹脂粒子よりも大きいため、着色樹脂粒子が紙内部に先に浸透してしまうため裏移り抑制効果を満足できていない。
比較例7~9の塗布具はワックス粒子以外の粒子を用いているが、ノートのような薄い紙に筆記すると裏移り抑制効果を発揮することができなかった。
比較例10、11の塗布具は繊維集束体以外の方法で塗布しているため、紙面に水性インキを塗付した際に着色樹脂粒子とワックス粒子の移動速度の差が生じることがないため、着色樹脂粒子とワックス粒子が均等に紙面に塗付されるため着色樹脂粒子が紙に浸透しやすく裏抜けが発生しやすくなってしまった。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0067】
本明細書において、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。