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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】車両用タンク
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20230110BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230110BHJP
   F02M 37/04 20060101ALI20230110BHJP
   F02M 37/10 20060101ALI20230110BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F01N3/08 B ZAB
F02M37/00 301D
F02M37/00 301L
F02M37/04 A
F02M37/10 B
F02M37/00 301J
B60K15/03 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021522173
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018901
(87)【国際公開番号】W WO2020241230
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2019099227
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 広記
(72)【発明者】
【氏名】山見 卓也
(72)【発明者】
【氏名】及川 聡
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-067223(JP,A)
【文献】特開2007-008316(JP,A)
【文献】特開2004-138010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F02M 37/00
F02M 37/04
F02M 37/10
B60K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するための貯留空間が設けられたタンク本体と、
前記貯留空間に収容され、前記タンク本体の下面から一部が露出するように取り付けられたポンプモジュールと、
上面が開放された収容空間を有する容器状に形成され、前記ポンプモジュールが露出する穴を設けることで前記タンク本体を前記収容空間に収容し、前記タンク本体を車両に取り付けるタンクプロテクタと、
前記ポンプモジュールが露出する穴を覆うように前記タンクプロテクタの外面に取り付けられたポンプカバーと
を備えたことを特徴とする車両用タンク。
【請求項2】
前記ポンプモジュールを覆うように、前記ポンプカバーの外側に取り付けられたヒートプロテクタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用タンク。
【請求項3】
前記車両は、車両前後方向後輪よりも後方に設置された前記タンク本体の下方域に設置されたガードバーを備え、
前記ポンプモジュールは、前記タンク本体の下面に取り付けられ、前記ガードバーの直上から外れた位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用タンク。
【請求項4】
前記ポンプカバーは、前記ガードバーの直上から外れた位置で前記タンクプロテクタに取り付けられたことを特徴とする請求項3に記載の車両用タンク。
【請求項5】
前記ガードバーの直上から外れた位置に取り付けられたヒートプロテクタを更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の車両用タンク。
【請求項6】
前記車両は、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられる一対のサイドメンバを備え、
前記タンクプロテクタは、前記一対のサイドメンバに架け渡され、前記一対のサイドメンバに固定されたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、尿素水タンク及び尿素水タンクが搭載された車両が開示されている。尿素水タンクは、車両が搭載するNOX触媒の還元剤となる尿素水を貯留するものである。尿素水タンクは、内部に尿素水を貯留する空間を備えた多面体であり、尿素水タンクの下部には尿素水モータ等の尿素水搬送手段が配設されている。また、尿素水タンクの下部には、尿素水搬送手段と尿素水タンクの下半分側を外方から覆うように、保護部材としてのタンクカバーが装着されていて、尿素搬送手段及び尿素水タンクの下部を保護している。このタンクカバーは断熱性を備えていて、マフラーからの排熱による尿素水の温度上昇を抑制している。
【0003】
かかる尿素水タンクは、尿素水タンクの下部を覆う保護部材としてのタンクカバーを備えているので、路面からの突起物や排熱から尿素水タンクや尿素水搬送手段を保護することができ、尿素水タンクの耐久性を高めることができる、とされている。
【0004】
ところで、特許文献1が開示する尿素水タンクには、取付部がそれぞれ設けられ、これら取付部と取付ブラケットとをボルト等の締結部材で締結することで、尿素水タンクはフロアパネルの下面に取付けられる。これにより、尿素水タンクは、取付部と取付ブラケットとの締結状態を解除することで、車両から離脱して交換可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-110620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する尿素水タンク及び尿素水タンクが搭載された車両では、尿素水搬送手段を交換又は修理する場合に尿素水タンクを車両から離脱する必要があり、尿素水搬送手段(例えば、ポンプモジュール)の交換又は修理を複雑にしていた。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、車両からタンクを降ろさなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる車両用タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る車両用タンクは、液体を貯留するための貯留空間が設けられたタンク本体と、前記貯留空間に収容され、前記タンク本体から一部が露出するように取り付けられたポンプモジュールと、前記タンク本体を車両に取り付け、前記ポンプモジュールが露出する穴を設けて前記タンク本体を覆うタンクプロテクタと、前記ポンプモジュールが露出する穴を覆うように前記タンクプロテクタの外面に取り付けられたポンプカバーとを備える。
【0009】
上記(1)の構成によれば、タンクプロテクタがタンク本体を覆い、ポンプカバーがポンプモジュールを覆うので、タンク本体、ポンプモジュールを飛び石等から保護できる。また、ポンプカバーをタンクプロテクタから取り外せば、ポンプモジュールが露出するので、タンクを車両から降ろさなくてもタンク本体からポンプモジュールを取り外すことができる。これにより、タンクを車両から降ろさなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる。
【0010】
(2)一実施形態では、上記(1)の構成において、前記ポンプモジュールを覆うように、前記ポンプカバーの外側に取り付けられたヒートプロテクタを更に備える。
【0011】
上記(2)の構成によれば、ヒートプロテクタがポンプモジュールを覆うように、ヒートプロテクタがポンプカバーの外側に取り付けられたので、ヒートプロテクタによって排気熱等の熱が遮断され、ポンプモジュールを排気熱等の熱から保護できる。また、ヒートプロテクタをポンプカバーから取り外せば、ポンプカバーが露出するので、更に、ポンプカバーを取り外せば、ポンプモジュールが露出する。これにより、タンクを車両から降ろさなくてもタンク本体からポンプモジュールを取り外すことができるので、タンクを車両から降ろさなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる。
【0012】
(3)一実施形態では、上記(1)の構成において、前記車両は、車両前後方向後輪よりも後方に設置された前記タンク本体の下方域に設置されたガードバーを備え、前記ポンプモジュールは、前記タンク本体の下面に取り付けられ、前記ガードバーの直上から外れた位置に配置される。
【0013】
上記(3)の構成によれば、ポンプモジュールはガードバーの直上から外れた位置に配置されるので、ガードバーを取り外さなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる。
【0014】
(4)一実施形態では、上記(3)の構成において、前記ポンプカバーは、前記ガードバーの直上から外れた位置で前記タンクプロテクタに取り付けられる。
【0015】
上記(4)の構成によれば、ポンプカバーはガードバーの直上から外れた位置でタンクプロテクタに取り付けられたので、ガードバーを取り外さなくてもポンプカバーを取り外すことができる。
【0016】
(5)一実施形態では、上記(4)の構成において、前記ガードバーの直上から外れた位置に取り付けられたヒートプロテクタを更に備える。
【0017】
上記(5)の構成によれば、ヒートプロテクタがポンプモジュールを覆うように、ヒートプロテクタがガードバーの直上から外れた位置でタンクプロテクタに取り付けられたので、ヒートプロテクタによって排気熱等の熱が遮断され、ポンプモジュールを排気熱等の熱から保護できる。また、ヒートプロテクタをポンプカバーから取り外せば、ポンプカバーが露出するので、更にポンプカバーを取り外せば、ポンプモジュールが露出する。これにより、タンク本体を車両から降ろさなくてもタンク本体からポンプモジュールを取り外すことができるので、タンクを車両から降ろさなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる。
【0018】
(6)一実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記車両は、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられる一対のサイドメンバを備え、前記タンクプロテクタは、前記一対のサイドメンバに架け渡され、前記一対のサイドメンバに固定される。
【0019】
上記(6)の構成によれば、タンクプロテクタが一対のサイドメンバに架け渡され、一対のサイドメンバに固定されたので、車両の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、タンクを車両から降ろさなくてもポンプモジュールを交換又は修理できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るタンクを搭載した車両の要部を概略的に示す上面図である。
図2図1に示した車両の要部を示す左側面図である。
図3図1及び図2に示した車両の要部を示す下面図である。
図4】本発明の実施形態に係るタンクを概略的に示す斜視図である。
図5図4に示したタンクの分解斜視図である。
図6図3及び図4に示したタンクの断面図である。
図7図4に示したタンク本体からヒートプロテクタ及びポンプカバーを取り外した状態を示す断面図である。
図8図4に示したタンク本体にタンクプロテクタを取り付けた状態を示す下面図である。
図9図8に示したタンクカバーに更にポンプカバーを取り付けた状態を示す下面図である。
図10図9に示したポンプカバーに更にヒートプロテクタを取り付けた状態を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
本発明の実施形態に係る車両100は、ピックアップトラック型のスポーツ用多目的車(SUV(Sport Utility Vehcle))であり、例えば、堅牢な車体フレーム1の上にボディを載せたセパレートフレーム構造が採用される。本発明の実施形態に係る車両100は、例えば、車両前後方向前側に乗員の乗車が可能なキャビン(車室)(図示せず)が設置され、キャビンの後側に荷物の積載が可能な荷台(図示せず)が設置される。
【0024】
本発明の実施形態に係る車両100では、例えば、車体フレーム1にラダーフレーム(梯子型フレーム)が採用される。車体フレーム1は、一対のサイドメンバ11L,11Rと複数のクロスメンバ12を備えている。一対のサイドメンバ11L,11Rは、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられる。一対のサイドメンバ11L,11Rは、車両幅方向において間隔を空けて配置された中空筒状の構造部材である。複数のクロスメンバ12は、一対のサイドメンバ11L,11Rに架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rに固定される。複数のクロスメンバ12は、一対のサイドメンバ11L,11Rを梯子状に接続する構造部材であり、車両前後方向に間隔を空けて設けられる。
【0025】
図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係る車両100は、荷台の下にスペアタイヤ110が横倒し姿勢で搭載可能である。スペアタイヤ110は、一対のサイドメンバ11L,11Rの間であって、車両前後方向後輪120の車軸121よりも後方となる領域(以下「スペアタイヤ搭載領域」という)に搭載される。例えば、スペアタイヤ搭載領域の車両前後方向の位置は、スペアタイヤ110が後輪120の車軸121及びディファレンシャル装置130と干渉しない範囲でできるだけ車両前方となるように設定される。また、例えば、スペアタイヤ搭載領域の車両幅方向の位置は、排気管140に対して所定の間隔が確保されるように設定される。本発明の実施形態に係る車両100では、排気管140が車体フレーム1の中心線よりも右側(図1において上側)に偏って配置され、スペアタイヤ搭載領域が車体フレーム1の中心線よりも左側(図1において下側)に偏って配置される。
【0026】
本発明の実施形態に係る車両100では、スペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110は、スペアタイヤ搭載領域の略中央を車両幅方向に沿って横切るクロスメンバ12F(以下「スペアタイヤブラケット12F」という)に着脱可能に取り付けられる。図2に示すように、スペアタイヤブラケット12Fに取り付けられたスペアタイヤ110の上面は車体フレーム1の上面よりも低い位置にあり、車体フレーム1の上に設置された荷台に干渉することがない。また、スペアタイヤブラケット12Fに取り付けられたスペアタイヤ110の下面は車体フレーム1の下面よりも低い位置にあり、スペアタイヤ110が先に地面に接地することで車体フレーム1が地面に接地しないようにしている。
【0027】
図1及び図3に示すように、本発明の実施形態に係る車両100は、車両前後方向後輪120よりも後方にタンク2が設置される。タンク2は、一対のサイドメンバ11L,11Rの間であって、上述したスペアタイヤ設置領域と車両前後方向後方に設けられたバンパ(図示せず)との間となる領域(以下「タンク設置領域」という)に設置される。タンク設置領域は、スペアタイヤ搭載領域に搭載されるスペアタイヤ110に沿って湾曲するとともに、バンパ(図示せず)に干渉しないように設けられる。
【0028】
本発明の実施形態に係る車両100では、タンク設置領域に設置されたタンク2は、タンク設置領域の車両幅方向両側に設けられた一対のサイドメンバ11L,11Rに着脱可能に取り付けられる。図2に示すように、一対のサイドメンバ11L,11Rに取り付けられたタンク2の上面は車体フレーム1の上面よりも低い位置にあり、車体フレーム1の上に設置された荷台に干渉することがない。また、一対のサイドメンバ11L,11Rに取り付けられたタンク2の下面はスペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110の下面よりも高い位置にあり、タンク2がスペアタイヤ110よりも先に地面に干渉することがないようにしている。
【0029】
タンク設置領域に設置されるタンク2には、液体を貯留するための貯留空間が設けられている。タンク2に貯留される液体は、例えば、NOX還元剤であり、例えば、尿素水である。尿素水は、尿素SCRシステムにおいて用いられるNOX還元剤である。尿素SCRシステムは、排気ガス浄化技術の一つで、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOX)を浄化するものである。尿素SCRシステムは、排気通路上に設けられたNOX選択還元触媒の上流側で尿素水が噴射され、尿素の加水分解によって生成されるアンモニア(NH)を還元剤として、窒素酸化物が窒素に還元される。なお、タンク2に貯留される液体はこれに限らず、例えば燃料であってもよい。
【0030】
図4及び図5に示すように、本発明の実施形態に係るタンク2は、タンク本体21、ポンプモジュール22(図5参照)、タンクプロテクタ23及びポンプカバー24(図5参照)を備えている。
【0031】
タンク本体21は、上述した貯留空間が設けられる容器である。例えば、タンク本体21は、金属又は樹脂によって構成される。また、例えば、タンク本体21は、車両幅方向に沿って設けられる。かかるタンク本体21は、例えば、上面視三日月形であって高さ方向に厚みを有する。また、かかるタンク本体21は、車両前後方向前方となる前面21a(図5参照)が車両幅方向外側から内側に向けて車両前後方向後方に漸次後退する湾曲面で構成され、車両前後方向後方となる後面21b(図5参照)が車両幅方向外側よりも内側が車両前後方向後方に膨出する屈曲面で構成されている(図1及び図3参照)。また、かかるタンク本体21の前面21aに構成された湾曲面は、例えば、スペアタイヤ搭載領域に搭載されるスペアタイヤ110に沿って形成されている(図1及び図3参照)。なお、タンク本体21の形状は上述した貯留空間が設けられていればよく、例えば、楕円体や略直方体であってもよい。
【0032】
図5に示すように、タンク本体21の下面21cには、貯留空間にポンプモジュール22を収容するための穴21c1(図6参照)が設けられている。例えば、タンク本体21の下面に設けられる穴21c1は、タンク本体21の下面21cから更に下方に膨らんだ部分21c2(図6参照)に設けられる。例えば、タンク本体21の下面21cから更に下方に膨らんだ部分21c2は、車両幅方向右側に偏って配置され、排気管140の排気口141の後方に配置される(図3参照)。
【0033】
図5に示すように、例えば、タンク本体21は、下半部分21d(以下「下半部21d」という)と上半部分21e(以下「上半部21e」という)を水密に接合することにより構成されている。下半部21dは、上面が開口した容器であり、その開口縁部にフランジ21d1を有している。上半部21eは、下半部21dと反対に、下面が開口した容器であり、その開口縁部に下半部21dの開口縁部に有するフランジ21d1と水密に接合されるフランジ21e1を有している。
【0034】
また、例えば、タンク本体21には、タンクプロテクタ23にタンク本体21を取り付けるための貫通穴21fが設けられている。例えば、貫通穴21fは、タンク本体21の車両前後方向前方となる前縁部に二箇所、車両前後方向後方となる後縁部に二箇所設けられている。
【0035】
図6及び図7に示すように、ポンプモジュール22は、タンク本体21の下面21cに設けられた穴21c1に嵌合し、貯留空間に収容されてタンク本体21に取り付けられる。ポンプモジュール22はタンク本体21に貯留された尿素水を排気系(例えば、排気通路に設けられた尿素水インジェクタ)に供給可能である。ポンプモジュール22は、例えば、ポンプ221のほかに、尿素水を適温まで加熱するためのヒータ222、尿素水中の異物を除去するフィルタ(図示せず)、尿素水の温度を検出するための温度センサ(図示せず)、尿素水のタンク残量を検出するための残量センサ(図示せず)を含む。
【0036】
タンクプロテクタ23は、タンク本体21の下半部21dを覆うプロテクタであり、タンクプロテクタ23にポンプモジュール22が露出する穴23aが設けられている。タンクプロテクタ23は、タンク本体21を飛び石や排気熱等の熱から保護するためのものであり、例えば、金属又は樹脂によって構成される。タンクプロテクタ23は、タンク本体21の下半部21dに沿って設けられる外殻であって、例えば、タンク本体21の下半部21dよりも僅かに大きな容器状に形成されている。容器状に形成されたタンクプロテクタ23は、タンク本体21の下半部21dが収容可能な上面が開放された収容空間を有し、収容空間の上方からタンク本体21の下半部21dが収容される。
【0037】
タンクプロテクタ23に設けられた穴23aは、ポンプモジュール22よりもひとまわり大きな穴であって、タンク本体21に取り付けられたポンプモジュール22と重なる位置に設けられ、該穴23aからポンプモジュール22が露出する。例えば、タンクプロテクタ23に設けられた穴23aは、タンクプロテクタ23の車両幅方向右側(図5参照)に偏って配置され、排気管140の排気口141の後方に配置される(図3参照)。例えば、貯留空間にポンプモジュール22を収容するための穴21c1がタンク本体21の下面21cから更に下方に膨らんだ部分21c2に配置される場合には、タンクプロテクタ23に設けられた穴23aからタンク本体21の下面21cから更に下方に膨らんだ部分21c2がポンプモジュール22とともに露出する。
【0038】
また、図5に示すように、例えば、タンクプロテクタ23の収容空間を区画する底には、タンクプロテクタ23にタンク本体21を取り付けるためのボルト23bが設けられている。ボルト23bは、タンク本体21に設けられた貫通穴21fに対応する位置に設けられ、タンクプロテクタ23の収容空間に下半部21dが収容されたタンク本体21の貫通穴21fを通り、ナット(図示せず)に嵌合する。これにより、タンクプロテクタ23にタンク本体21が取り付けられ、タンクプロテクタ23にタンク本体21が固定される。
【0039】
また、例えば、タンクプロテクタ23に設けられた穴23aに対応する、タンクプロテクタ23の車幅方向右側の開口縁部内側には、タンク本体21との間の隙間を埋めるためのインシュレータ25が設けられている。インシュレータ25は、例えば、ウレタン等の弾性や塑性のある材料で構成されている。
【0040】
また、例えば、タンクプロテクタ23の車両幅方向両側には、取付部23c(サイドメンバ取付部23c)が設けられている。かかる取付部23cは、例えば、タンクプロテクタ23の開口縁部(上面が開放された収容空間の縁部)に沿って設けられている。取付部23cは、タンクプロテクタ23から車両幅方向外側に延びる板状であり、例えば、金属の板を直角に折り曲げた部材を金属製のタンクプロテクタ23に溶接することで、タンクプロテクタ23に接合されている。
【0041】
また、例えば、タンクプロテクタ23の車両幅方向右側前縁には、取付部23d(ヒートプロテクタ取付部23d)が設けられている。かかる取付部23dは、例えば、タンクプロテクタ23の開口縁部(上面が開放された収容空間の縁部)に沿って設けられる。取付部23dは、タンクプロテクタ23から車両前後方向前方に延びる板状であり、例えば、金属の板を直角に折り曲げた部材を金属製のタンクプロテクタ23に溶接することで、タンクプロテクタ23に接合されている。
【0042】
また、例えば、タンクプロテクタ23は、一対のサイドメンバ11L,11Rに架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rにタンクプロテクタ23が固定される。尚、本発明の実施形態に係るタンク2では、例えば、タンクプロテクタ23は、一対のサイドメンバ11L,11Rの下面にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられる。
【0043】
図8に示すように、例えば、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bは、タンクプロテクタ23の底面の外面に沿って配管及び配線され、ポンプモジュール22と反対側の端部で配管カバー26に覆われている。配管カバー26は、例えば、樹脂で構成され、タンクプロテクタ23に取り付けられ、タンクプロテクタ23のポンプモジュール22と反対側の端部でポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bを覆う。
【0044】
図9に示すように、ポンプカバー24は、タンクプロテクタ23に取り付けられ、ポンプモジュール22、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bを覆う。ポンプカバー24は、例えば、車両幅方向に沿って延びるトレイ状であって、その上面にポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bが収容される凹部24a(図5参照)を有している。また、ポンプカバー24は、例えば、その外形に貫通穴24b1が設けられるフランジ24bを有し、該貫通穴24b1を貫通するネジがタンクプロテクタ23に設けられたネジ穴(図示せず)に嵌合することで、タンクプロテクタ23に取り付けられ、ポンプカバー24がタンクプロテクタ23に固定される。
【0045】
上述した本発明の実施形態に係るタンク2によれば、タンクプロテクタ23がタンク本体21の下半部21dを覆い(図8参照)、ポンプカバー24がポンプモジュール22、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bを覆うので(図9参照)、タンク本体21、ポンプモジュール22、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bを飛び石等から保護できる。また、ポンプカバー24をタンクプロテクタ23から取り外せば、ポンプモジュール22、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bが露出するので(図8参照)、タンク2を車両100から降ろさなくてもタンク2からポンプモジュール22を取り外すことができる。これにより、タンク2を車両100から降ろさなくてもポンプモジュール22を交換又は修理できる。
【0046】
図5に示すように、本発明の実施形態に係るタンク2は、ヒートプロテクタ(下側)27を更に備えている。
【0047】
図10に示すように、ヒートプロテクタ27は、ポンプモジュール22を覆うように、ポンプカバー24の外側に取り付けられている。ヒートプロテクタ27は、ポンプカバー24の外側においてポンプモジュール22を覆うプロテクタであり、例えば、タンクプロテクタ23のポンプモジュール側のコーナーを覆うように設けられている。例えば、ヒートプロテクタ27は、タンク本体21の右側前面、右側側面、及び、右側下面を覆うことで、ポンプモジュール22を排気熱等の熱から保護する。例えば、ヒートプロテクタ27は、金属又は樹脂で構成される。
【0048】
ヒートプロテクタ27は、例えば、下面に設けられた周りが盛り上げられた貫通穴27a(図5参照)を通るネジ(図示せず)がポンプカバー24に設けられたネジ穴(図示せず)に嵌合することで、ポンプカバー24にヒートプロテクタ27が取り付けられ、ポンプカバー24にヒートプロテクタ27が固定される。
【0049】
また、ヒートプロテクタ27は、例えば、前面上縁部に取付部27bが設けられている。ヒートプロテクタ27は、前面上縁部に設けられた取付部27b及びタンクプロテクタ23に設けられた取付部23d(ヒートプロテクタ取付部23d)を貫通するネジ(図示せず)がナット(図示せず)に嵌合することによっても、ヒートプロテクタ27がタンクプロテクタ23に取り付けられ、ヒートプロテクタ27がタンクプロテクタ23に固定される。
【0050】
上述した本発明の実施形態に係るタンク2によれば、ヒートプロテクタ27がポンプモジュール22を覆うように、ヒートプロテクタ27がポンプカバー24の外側に取り付けられたので、ヒートプロテクタ27によって排気熱等の熱が遮断され、ポンプモジュール22を排気熱等の熱から保護できる。また、ヒートプロテクタ27をポンプカバー24から取り外せば、ポンプカバー24が露出するので(図9参照)、更に、ポンプカバー24を取り外せば、ポンプモジュール22、ポンプモジュール22に接続された配管22a及び配線22bが露出する(図8参照)。これにより、タンク2を車両100から降ろさなくてもタンク本体21からポンプモジュール22を取り外すことができるので、タンク2を車両100から降ろさなくてもポンプモジュール22を交換又は修理できる。
【0051】
図5に示すように、本発明の実施形態に係るタンク2は、ヒートプロテクタ(上側)28を更に備えている。
【0052】
ヒートプロテクタ28は、ポンプモジュール22を覆うように、タンク本体21の外側に設けられている。ヒートプロテクタ28は、タンク本体21の外側においてポンプモジュール22を覆うプロテクタであり、例えば、タンク本体21のポンプモジュール側のコーナーを覆うように設けられている。例えば、ヒートプロテクタ28は、タンク本体21の右側前面及び右側側面を覆うことで、ポンプモジュール22を排気熱等の熱から保護する。例えば、ヒートプロテクタ28は、金属又は樹脂で構成される。
【0053】
ヒートプロテクタ28は、例えば、前面下縁部及び側面下縁部に取付部28a,28bが設けられている。ヒートプロテクタ28は、前面下縁部に設けられた取付部28a及びタンクプロテクタ23に設けられた取付部23d(ヒートプロテクタ取付部23d)を貫通するネジ(図示せず)がナット(図示せず)に嵌合し、側面下縁部に設けられた取付部28b及びタンクプロテクタ23に設けられた取付部23c(サイドメンバ取付部23c)を貫通するネジ(図示せず)がサイドメンバ11Rに共締めされることで固定される。
【0054】
図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係る車両100は、上述したタンク2が車両前後方向後輪120よりも後方に設置された車両100であって、ガードバー150を備えている。ガードバー150は、ディパーチャアングル(車両100の後部が接地する可能性がある角度)を規定するものであり、本発明の実施形態に係る車両100は、図2に示すように、車両前後方向後輪120よりも後方に設置されたタンク2が接地しないように、タンク2の車両前後方向後方下方域に設けられている。ガードバー150は、上述したスペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110の下面よりも低い位置にあり、ガードバー150がスペアタイヤ110よりも先に地面に接地することで、スペアタイヤ110が接地しないようにしている。また、ガードバー150は、中空又は中実のバー(丸棒)であって、車幅方向に沿って設けられている。例えば、ガードバー150は、ブラケット151L,151Rを介してサイドメンバ11L,11Rに取り付けられ、固定される。このように、ガードバー150を備えることで、ガードバー150によって規定されたディパーチャアンクルを超えると、まず、ガードバー150が接地するので、運転者がそれを認識した上で悪路走行を継続するか否かを判断できる。
【0055】
図8に示すように、本発明の実施形態に係る車両100では、上述したポンプモジュール22は、ガードバー150の直上から外れた位置に配置される。例えば、ポンプモジュール22は、ガードバー150の直上から車両前後方向前方に外れた位置に配置される。
【0056】
上述した本発明の実施形態に係る車両100によれば、ポンプモジュール22はガードバー150の直上から外れた位置に配置されるので、ガードバー150を取り外さなくてもポンプモジュール22をタンク本体21から取り外すことができる。
【0057】
図9に示すように、本発明の実施形態に係る車両100では、上述したポンプカバー24は、更に、ガードバー150の直上から外れた位置でタンクプロテクタ23に取り付けられる。例えば、ポンプカバー24は、ガードバー150の直上から車両前後方向前方に外れた位置でタンクプロテクタ23に取り付けられる。ガードバー150の直上から外れた位置は、ガードバー150を取り付けたままでポンプカバー24を取り外すことができる位置であり、例えば、ガードバー150の直上に貫通穴24b1がある場合であっても、ポンプカバー24を固定しているネジをねじまわしによって外すことができる位置を含む。
【0058】
上述した本発明の実施形態に係る車両100によれば、上述したポンプカバー24は、更に、ガードバー150の直上から外れた位置でタンクプロテクタ23に取り付けられたので、ガードバー150を取り外さなくてもポンプカバー24を取り外すことができる。
【0059】
図10に示すように、本発明の実施形態に係る車両100では、上述したヒートプロテクタ27は、更に、ガードバー150の直上から外れた位置でポンプカバー24に取り付けられる。例えば、ヒートプロテクタ27は、ガードバー150の直上から車両前後方向前方に外れた位置でポンプカバー24に取り付けられる。ガードバー150の直上から外れた位置は、ガードバー150を取り付けたままでヒートプロテクタ27を取り外すことができる位置であり、例えば、ガードバー150の直上にヒートプロテクタ27の一部が位置する場合でもあっても、ヒートプロテクタ27を取り外すことができる位置を含む。
【0060】
上述した本発明の実施形態に係る車両100によれば、上述したヒートプロテクタ27は、ガードバー150の直上から外れた位置でポンプカバー24に取り付けられたので、ガードバー150を取り外さなくてもヒートプロテクタ27を取り外すことができる。
【0061】
図1及び図3に示すように、本発明の実施形態に係る車両100では、上述したように、タンクプロテクタ23は、一対のサイドメンバ11L,11Rに架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rに固定される。
【0062】
上述した本発明の実施形態に係る車両100によれば、上述したように、タンクプロテクタ23が一対のサイドメンバ11L,11Rに固定されたので、車両100の剛性を高めることができる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0064】
1 車体フレーム
11L,11R サイドメンバ
12 クロスメンバ
12F クロスメンバ(スペアタイヤブラケット)
2 タンク
21 タンク本体
21a 前面
21b 後面
21c 下面
21c1 穴
21c2 下方に膨らんだ部分
21d 下半部分(下半部)
21d1 フランジ
21e 上半部分(上半部)
21e1 フランジ
21f 貫通穴
22 ポンプモジュール
22a 配管
22b 配線
221 ポンプ
222 ヒータ
23 タンクプロテクタ
23a 穴
23b ボルト
23c 取付部(サイドメンバ取付部)
23d 取付部(ヒートプロテクタ取付部)
24 ポンプカバー
24a 凹部
24b フランジ
24b1 貫通穴
25 インシュレータ
26 配管カバー
27 ヒートプロテクタ(下側)
27a 貫通穴
27b 取付部
28 ヒートプロテクタ(上側)
28a 取付部
28b 取付部
100 車両
110 スペアタイヤ
120 後輪
121 後輪の車軸
130 ディファレンシャル装置
140 排気管
141 排気口
150 ガードバー
151L,151R ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10