(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】身体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230110BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230110BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230110BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230110BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230110BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230110BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20230110BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/36
A61Q19/10
A61K8/46
A61K8/44
C11D3/37
C11D1/04
C11D1/94
(21)【出願番号】P 2019186585
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】森川 稔之
(72)【発明者】
【氏名】田中 将啓
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-500493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0135918(US,A1)
【文献】特開2019-196446(JP,A)
【文献】再公表特許第2020/152939(JP,A1)
【文献】特開2019-094287(JP,A)
【文献】特開2016-132646(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093089(WO,A1)
【文献】特開2015-189674(JP,A)
【文献】特開2004-339108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 3/37
C11D 1/04
C11D 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で示されるモノマー(a)のホモポリマーまたはモノマー(a)と共重合可能な他のモノマーとの共重合体からなる重合体を0.01質量%~3質量%、
(B)炭素数8~22の脂肪酸塩を1質量%~30質量%、
(C)両性界面活性剤を1質量%~30質量%、
(D)(B)炭素数8~22の脂肪酸塩以外のアニオン性界面活性剤を1質量%~20質量%、および
(E)水を含有することを特徴とする、身体洗浄剤組成物。
【化1】
(式(1)中、
R
1は水素原子またはメチル基を示し、
R
2は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のアルケニル基、または炭素数1~24のヒドロキシアルキル基を示し、
Aは炭素数1~10のアルキレン基を示し、
Xは0または1を示し、
Yは、下記式(2)のヒドロキシウレタン構造および下記式(3)のヒドロキシウレタン構造からなる群より選ばれた1種以上のヒドロキシウレタン構造である。)
【化2】
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ボディソープなどの身体洗浄剤組成物に関して、皮膚に付着した汚れを洗い流し、心地の良い肌環境を整えることを目的に、これまで多くの技術が開示されている。その中には、優れた洗浄力だけでなく、主成分として用いる高級脂肪酸アルカリ塩による洗い上がり後のつっぱり感の抑制や、その課題解決に伴うさっぱり感の消失を抑制することなど、肌の感触に関するものもある。
【0003】
また、洗浄時に指やタオルなどと肌が直接当たり、摩擦を生じて肌トラブルを引き起こすという課題に対しては、解決方法の1つとして洗浄時の泡立ちや泡質を向上させることが挙げられる。具体的には、泡立ちが良いことで肌との接触を抑えるに足る十分な泡ができ、泡の弾力(コシ)が高いことで、洗浄中に泡が消失してクッション性が低下することによる指などと肌との接触を抑える。
【0004】
このような泡立ち、泡の弾力に注目した技術はこれまでに数多く開示されている。
その中、泡の弾力に着目すると、カチオン化ポリマーなどのポリマー成分を加える方法が知られている。特許文献1にはアルキルエーテルカルボン酸、脂肪酸、カチオンポリマー、塩基を含む組成物が開示され、特許文献2には高級脂肪酸塩、カチオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコールを含む組成物が開示されている。本組成物のうち、カチオン性ポリマーや多価アルコールが泡の弾力性に寄与する成分である。
【0005】
また、特許文献3にはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸またはその塩、カチオン基含有ポリマー、無機塩または有機酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、高級脂肪酸または高級アルコールまたはアルキルグリセリルエーテルを含む組成物が開示されている。本組成物は、高級脂肪酸を主成分とはしていないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤を含むことで泡の弾力を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-139439号公報
【文献】特開2019-94287号公報
【文献】特開2009-263289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような洗浄時の泡立ち、泡の弾力(コシ)は、効果が高いほど指などと肌が直接当たることを抑制でき、その性能の向上に向けた検討の結果が上記に示した文献などに示されている。しかしながら実際の使用においては、泡の各性能の向上のみならず、洗浄時の心地の良い感触も求められている。その一例として、泡に優しく包まれる感触、が挙げられる。一方、泡の弾力(コシ)の効果が高い場合、泡は硬くなり、洗浄中において泡に優しく包まれる感触のような心地良さを満足させることができない場合がある。
【0008】
そのため、洗浄時の摩擦の発生を抑える目的で泡立ち、泡の弾力(コシ)を向上させるとともに、その泡の弾力が洗浄時に良好な洗い心地を示す柔らかさも兼ね備えた身体洗浄剤組成物が求められている。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、身体の洗浄に用いられる洗浄剤組成物であって、泡立ちと泡の弾力(コシ)に優れ、更には良好な洗い心地を示す柔らかな泡を形成することができる洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、特定のモノマーを構成成分とするポリマーを脂肪酸塩、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤と組み合わせることで、泡立ちが良く、泡の弾力(コシ)も優れ、良好な洗い心地を示す柔らかな泡を形成する洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0011】
すなわち本発明に係る身体洗浄剤組成物は、
(A)下記式(1)で示されるモノマー(a)のホモポリマーまたはモノマー(a)と共重合可能な他のモノマーとの共重合体からなる重合体を0.01質量%~3質量%、
(B)炭素数8~22の脂肪酸塩を1質量%~30質量%、
(C)両性界面活性剤を1質量%~30質量%、
(D)(B)炭素数8~22の脂肪酸塩以外のアニオン性界面活性剤を1質量%~20質量%、および
(E)水を含有することを特徴とする。
【化1】
(式(1)中、
R
1は水素原子またはメチル基を示し、
R
2は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のアルケニル基、または炭素数1~24のヒドロキシアルキル基を示し、
Aは炭素数1~10のアルキレン基を示し、
Xは0または1を示し、
Yは、下記式(2)のヒドロキシウレタン構造および下記式(3)のヒドロキシウレタン構造からなる群より選ばれた1種以上のヒドロキシウレタン構造である。)
【化2】
【化3】
【発明の効果】
【0012】
本発明の身体洗浄剤組成物を身体の洗浄時に用いると、泡立ちと泡の弾力(コシ)に優れ、更には良好な洗い心地を示す柔らかな泡を形成するという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の身体洗浄剤組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
〔成分(A)〕
成分(A)は、式(1)で示されるモノマー(a)のホモポリマーまたはモノマー(a)と共重合可能な他のモノマー(b)との共重合体からなる重合体である。
【0015】
成分(A)の重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算で求めることができ、10,000~1,000,000であり、好ましくは10,000~800,000、より好ましくは10,000~300,000である。
成分(A)の重合体の重量平均分子量が低すぎる場合、泡の弾力(コシ)に劣ることがあり、重量平均分子量が高すぎる場合、泡立ちに劣り、泡が硬くなることがある。
【0016】
成分(A)としては1種または2種以上を用いることができる。
本発明の洗浄剤組成物における成分(A)の含有量は、0.01質量%~3質量%であり、特に0.1質量%~1質量%であることが好ましい。成分(A)の含有量が少なすぎる場合、泡立ち、泡の弾力(コシ)に劣ることがあり、成分(A)の含有量が多すぎる場合、泡立ちに劣り、泡が硬くなることがある。
【0017】
〔モノマー(a)〕
成分(A)を構成するモノマー(a)は、下記式(1)で示される。
【化1】
【0018】
式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基であり、重合のしやすさの観点からメチル基が特に好ましい。
R2は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のアルケニル基、または炭素数1~24のヒドロキシアルキル基である。
炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、ウンデカニル基、オレイル基などが挙げられる。これらのアルキル基、アルケニル基の炭素数は、10~22が好ましく、16~22が更に好ましい。
【0019】
炭素数1~24のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシブチル基、8-ヒドロキシオクチル基、12-ヒドロキシドデシル基、12-ヒドロキシステアリル基などが挙げられる。このヒドロキシアルキル基の炭素数は、10~22が好ましく、16~22が更に好ましい。
R2としては、アルキル基であることが好ましい。
【0020】
Aは、炭素数1~10のアルキレン基であり、好ましくは炭素数6以下、より好ましくは炭素数4以下である。
Xは、0または1であり、泡の弾力(コシ)を示すためには、0が好ましい。
Yは、下記式(2)のヒドロキシウレタン構造および下記式(3)のヒドロキシウレタン構造からなる群より選ばれた1種以上のヒドロキシウレタン構造である。このうち、式(2)の構造が特に好ましい。
【化2】
【化3】
【0021】
モノマー(a)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
また、モノマー(a)としては、式(1)のYのヒドロキシウレタン構造に下記式(4)、式(5)で表されるモノマー(a)の異性体が混ざったものを用いてもよい。
【化4】
【化5】
【0023】
〔モノマー(b)〕
モノマー(b)は、モノマー(a)と共重合可能なビニル系モノマーであり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物や芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリルアミド化合物などを挙げることができる。
【0024】
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0025】
また、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸とポリオキシアルキレングリコール、またはグリセリンを縮合したものも挙げられ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0026】
芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレンなどを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
アクリルアミド化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどを挙げることができる。
【0027】
また、構造内にイオン性基を有するビニル系モノマーもモノマー(b)として挙げられ、例えば、アニオン性基としてカルボン酸またはその塩、スルホン酸またはその塩、リン酸またはその塩などを有するモノマーや、カチオン性基として4級アンモニウムまたはその塩、3級アンモニウム、アミノ基、アミジノ基、グアニジノ基などを有するモノマー、両性基としてカルボキシベタイン、スルホベタイン、リン酸ベタイン、ホスホリルコリンなどを有するモノマーを挙げることができる。
【0028】
モノマー(b)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
重合体(A)を構成するモノマー混合物においては、モノマー(a)とモノマー(b)の合計量を100モル%とする。
ここで、モノマー(a)のモル比が100モル%である場合には、成分(A)の重合体はホモポリマーとなる。モノマー(a)のモル比が100モル%未満である場合には、成分(A)の重合体は、モノマー(a)とモノマー(b)との共重合体となる。この場合には、モノマー(a)の比率は、0.1モル%以上が好ましい。また、モノマー(a)の比率は、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下が更に好ましい。
【0030】
〔成分(B)〕
成分(B)は、炭素数8~22の脂肪酸塩である。
脂肪酸の炭素数は10~20が好ましく、12~18が特に好ましい。また、炭素数8~22の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。また、脂肪酸の混合物である混合脂肪酸を用いることもでき、かかる混合脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸などが挙げられる。好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸であり、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸である。
【0031】
また、塩を形成する対イオンとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン塩が挙げられる。好ましくは、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンであり、より好ましくはカリウムである。
成分(B)としては、上記脂肪酸塩のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物における成分(B)の含有量は、1質量%~30質量%であり、5質量%~25質量%であることが好ましく、10質量%~20質量%であることがより好ましく、12質量%~20質量%であることが特に好ましい。
成分(B)の含有量が少なすぎる場合、泡立ち、泡の弾力(コシ)に劣ることがあり、成分(B)の含有量が多すぎる場合、泡が硬くなることがある。
【0033】
〔成分(C)〕
成分(C)は、両性界面活性剤であり、N-アシル基またはN-アルキル基と、カチオン性基とアニオン性基とを併せ持つ構造を有する界面活性剤である。例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドヒドロキシエチルアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジ酢酸塩などが挙げられる。
【0034】
上記の両性界面活性剤に含まれるN-アシル基は、例えば、炭素数8~20の直鎖あるいは分岐の脂肪酸残基である。脂肪酸残基の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの飽和脂肪酸;パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸;およびこれらの混合物であるヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などが挙げられる。これらの中で、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸である。より好ましくは、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸である。
【0035】
上記の両性界面活性剤に含まれるアルキル基は、例えば、炭素数8~18の炭化水素基であり、混合脂肪酸由来の混合アルキル基も含まれる。例えば、カプリリル基、カプリル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基などのアルキル基;ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、牛脂アルキル基などの混合アルキル基が挙げられる。これらの中で、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基である。より好ましくはラウリル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基である。
【0036】
成分(C)の両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
成分(C)としては、上記両性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の含有量は、1質量%~30質量%であり、1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることが更に好ましい。
成分(C)の含有量が少なすぎる場合、泡の弾力(コシ)に劣ることがあり、成分(C)の含有量が多すぎる場合、泡立ちに劣り、泡が硬くなることがある。
【0038】
〔成分(D)〕
成分(D)は、成分(B)以外のアニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアミドエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルイセチオン酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルポリペプチド塩、アルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
【0039】
これらのアルキル基、またはアシル基の炭素数は10~18であることが好ましく、12~14であることがより好ましい。なお、アルキル基やアシル基は、飽和脂肪酸由来、不飽和脂肪酸由来、またはこれらの混合物である混合脂肪酸由来のもののいずれでもよい。混合脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などが挙げられる。
【0040】
これらの対イオンとしては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
成分(D)のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、PEG(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどが挙げられる。
【0041】
成分(D)としては、上記アニオン性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
本発明の洗浄剤組成物における成分(D)の含有量は、1質量%~20質量%であり、1質量%~15質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることが更に好ましい。成分(D)の含有量が少なすぎる場合、泡が硬くなることがあり、成分(D)の含有量が多すぎる場合、泡立ち、泡の弾力(コシ)に劣ることがある。
【0042】
〔成分(E)〕
成分(E)は水であり、蒸留水やイオン交換水などの精製水を好ましく用いることができる。
本発明における成分(E)は、成分(A)~成分(E)の合計が100質量%となるように、残部として含有させる。
【0043】
更に、本発明の洗浄剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を添加することができ、その他任意成分としては、例えば、植物油脂、動物油脂などの油脂類;スクワラン、流動パラフィン、水添ポリイソブテンなどの炭化水素油;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール類;環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサンなどのシリコーン類;パルミチン酸2-エチルヘキシル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ココイルアルギニンエチルPCAなどのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子;エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどの溶剤;クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩などのpH調整剤;トコフェロールなどの抗酸化剤;多糖類、アミノ酸、ペプチド、防腐剤、香料、着色料などを適宜配合することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0045】
<身体洗浄剤組成物の調製>
表1に示す成分(A)を表2に示す成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)と通常の方法に従って混合し、下記(1)~(3)の方法により評価を行った。なお、表2中の数字は質量%を示す。
【0046】
<身体洗浄剤組成物の評価>
実施例と比較例について、(1)泡立ちの評価はミルサーを用い、(2)泡の弾力(コシ)と(3)泡の柔らかさの評価は直径5cmのガラスシャーレを錘として用いて評価した。
【0047】
(1)泡立ち
各配合例の洗浄剤組成物を10mL採り、全量が75mLとなるように精製水で希釈したものを調製し、ミルサー(岩谷産業株式会社製「IFM-100」)を用いて5秒間泡立て、10秒間静置した後のミルサー容器内の泡高さを測定した。測定した泡高さから◎、○、△、×の4段階評価を行い、◎および○を合格とした。
<評価基準>
◎: 90mm以上
○: 85mm以上、90mm未満
△: 80mm以上、85mm未満
×: 80mm未満
【0048】
(2)泡の弾力(コシ)
各配合例の洗浄剤組成物を10mL採り、全量が75mLとなるように精製水で希釈したものを調製し、ボウルの中に入れ、ハンドミキサーで30秒間泡立てた。形成した泡を200mLビーカーいっぱいに入れ、30秒間静置した後、泡の上に直径5cmのガラスシャーレ(16g)を乗せて、1分後のシャーレ底面からビーカーの上までの高さを測定した。測定した高さから◎、○、△、×の4段階評価を行い、◎および○を合格とした。なお、ビーカー底面からビーカー上までは全高85mmである。
<評価基準>
◎: 10mm未満
○: 10mm以上、15mm未満
△: 15mm以上、20mm未満
×: 20mm以上
【0049】
(3)泡の柔らかさ
各配合例の洗浄剤組成物を10mL採り、全量が75mLとなるように精製水で希釈したものを調製し、ボウルの中に入れ、ハンドミキサーで30秒間泡立てた。形成した泡を200mLビーカーいっぱいに入れ、30秒間静置した後、泡の上に直径5cmのガラスシャーレ(16g)を乗せて、1分後のあふれた泡の頂点からビーカーの上までの高さを測定した。測定した高さから◎、○、△、×の4段階評価を行い、◎および○を合格とした。
<評価基準>
◎: 10mm以上、15mm未満
○: 5mm以上、10mm未満、または15mm以上、20mm未満
△: 2mm以上、5mm未満、または20mm以上、25mm未満
×: 2mm未満、または25mm以上
【0050】
【0051】
【0052】
実施例1~6は、いずれも泡立ち、泡の弾力(コシ)、泡の柔らかさが良好であった。
【0053】
一方、比較例1では、成分(A)が含まれていないため、泡の弾力(コシ)、泡の柔らかさにおいて不十分であった。
比較例2では、成分(B)によって泡の弾力(コシ)は向上するものの、成分(A)が含まれておらず、泡立ち、泡の柔らかさが不十分であった。