(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】安全継手
(51)【国際特許分類】
F16L 37/38 20060101AFI20230110BHJP
F16L 29/02 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F16L37/38
F16L29/02
(21)【出願番号】P 2020194101
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 正浩
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-062521(JP,U)
【文献】特開2019-015390(JP,A)
【文献】特開2006-097874(JP,A)
【文献】特開2019-015387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/38
F16L 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成され、充填装置側部材と接続されている状態では遮断弁が開放している筒状のノズル側部材と、
ノズル側部材と接続している状態でノズル側部材の流路と連通している流路が形成され、遮断弁が開放している筒状の充填装置側部材から構成され、
ノズル側部材が充填装置側部材から離脱するとノズル側部材の遮断弁及び充填装置側部材の遮断弁が閉じる管継手において、
前記流路の中心軸が同一直線状に配置されておらず、且つ、前記流路の中心軸は交差せずにオフセットされて
おり、
前記充填装置側部材は、遮断弁の弁体からノズル側部材側に延在する充填装置側棒状部材を有しており、
ノズル側部材が充填装置側部材から離脱する際にノズル側部材が移動する動きを充填装置側棒状部材の回転に変換する第1の変換機構と、
充填装置側棒状部材の回転を、当該棒状部材の中心軸方向におけるノズル側部材側への移動に変換する第2の変換機構を備えていることを特徴とする安全継手。
【請求項2】
前記第1の変換機構は、
ノズル側部材と充填装置側部材が接続されている状態で充填装置側部材に形成された貫通孔に挿入されているノズル側部材の突出部分に形成された凹部と、
当該凹部に挿入可能であり、前記充填装置側棒状部材に形成された第1の突起を含んでいる請求項
1の安全装置。
【請求項3】
前記第2の変換機構は、
前記充填装置側棒状部材における充填装置側遮断弁の弁体よりも離隔した側の端部に設けられた第2の突起と、
上縁部が前記第2の突起を載置可能な中空形状部材を有し、当該中空形状部材の上縁部は、ノズル側部材が充填装置側部材と接続されている状態では前記第2の突起を載置するが、充填装置側棒状部材が回転すると前記第2の突起が上縁部から外れて中空の内部空間内を移動する形状である請求項
1の安全装置。
【請求項4】
前記第2の突起は矩形状であり、
前記中空状部材の上縁部は、中空状部材の中心軸に対して対称な位置に半径方向内方に突出した凸部を有する形状であり、
ノズル側部材が充填装置側部材と接続されている状態では前記第2の突起の長手方向両端が中空状部材の上縁部における凸部に載置される位置であり、充填装置側棒状部材が回転すると前記第2の突起の長手方向両端が上縁部の凸部から外れる位置となる様に、前記第2の突起と前記中空状部材の上縁部の凸部が配置されている請求項
3の安全継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料として用いられる水素ガス等の気体を充填するための充填装置に関する。より詳細には、本発明は当該充填装置で気体を充填している際に緊急事態が生じた時に、充填装置と気体充填用ノズルとを分離する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素を燃料として走行する車両Aでは、
図15で示す様に、水素充填施設に設けられた水素充填装置200の充填ホース201先端に設けた充填ノズル202と車両側充填口203とを接続して水素ガスを充填する。この充填は、車両Aに搭載された水素タンク204の最高使用圧力に応じて制御しながら行われる。
ここで、例えば充填中に車両Aが移動する等により充填ホース201が引っ張られると、充填ノズル202及び充填ホース201等の機器が破損して水素ガスが噴出し、危険な状態になる。そこで、緊急離脱用の管継手300を水素充填装置200と充填ホース201の途中に設け、一定以上の引張荷重が掛かると緊急離脱用の管継手300を分離して、充填ノズル202及び充填ホース201等の機器が破損する事態を防止している。
【0003】
その様な緊急離脱用の管継手の従来技術として、出願人は先に、内部に流路が形成された筒状のプラグ(充填ノズル側部材)と、当該プラグが挿入されると遮断弁が開いてプラグ内流路と連続するソケット内流路が形成された筒状のソケット(充填装置側部材)から構成され、ソケットからプラグが離脱すると遮断弁が閉じる緊急離脱用の管継手において、プラグ内流路中心軸とソケット内流路の中心軸が同一直線状に配置されておらず、ソケットにプラグが挿入されている場合には、ソケット側弁棹の端部(弁体の反対側端部)はプラグ側ロッド収納ケースに当接し、ソケット側弁棹の他端側に設けられた弁体はソケット側の弾性体の弾性反撥力に抗してソケット側弁座から離隔した位置に保持され、プラグ側ロッド収納ケースに保持された係止部材はソケット本体側の開口部分の内壁面により半径方向外方の移動が抑制され、プラグ側弁棹が係止部材に当接してソケット側に移動せず、プラグ側弁棹に設けられた弁体はプラグ側の弾性体の弾性反撥力に抗してプラグ側弁座から離隔した位置に保持される管継手(緊急離脱用の管継手)を提案している(特許文献1参照)。
この管継手(特許文献1の管継手)は大変に有用である。
【0004】
しかし係る管継手100(特許文献1の管継手)において、充填ホース201(
図15)に大きな引張力が作用した場合に、プラグ10がソケット20から抜け出す初期の段階(抜け出し始めの段階)では、
図16で示す様に、ソケット20側の弁体25に接続したソケット側ロッド22が、プラグ側弁棹2或いは当該弁棹のカバー部材3に載置してしまう。
ソケット側ロッド22が、プラグ側弁棹2或いは当該弁棹のカバー部材3に載置した状態(
図16で示す状態)では、ソケット側弁体25はソケット20側のスプリング23の弾性反発力に抗してソケット側弁座21Eから離隔した位置となり、ソケット側遮断弁24は開放された状態に保持されてしまう。
図16で示す段階、すなわちプラグ10がソケット20から抜け出す初期段階(抜け出し始めの段階)では、ソケット20側の開口部21Cを介して、充填装置200(
図15)から供給された高圧の水素ガスが、いわゆる「アウトガス」(
図16における矢印OG)として管継手100の外部に流出してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ノズル側部材であるプラグが充填装置側部材であるソケットから抜け出す初期の段階で直ちに水素ガス流路を遮断して、アウトガスの放出を防止することが出来る安全継手の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の安全継手(100)は、
内部に流路(1A:プラグ内流路)が形成され、充填装置側部材(20:ソケット)と接続されている状態では遮断弁(5:プラグ側遮断弁)が開放している筒状のノズル側部材(10:プラグ)と、
ノズル側部材(10)と接続している状態でノズル側部材(10)の流路(1A:プラグ内流路)と連通している流路(21A:ソケット内流路)が形成され、遮断弁(24:ソケット側遮断弁)が開放している筒状の充填装置側部材(20:ソケット)から構成され、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱するとノズル側部材(10)の遮断弁(プラグ側遮断弁5)及び充填装置側部材(20)の遮断弁(ソケット側遮断弁24)が閉じる(緊急離脱用の)管継手(100)において、
前記流路(プラグ内流路1A及びソケット内流路21A)の中心軸が同一直線状に配置されておらず(例えば、直交して配置されており)、且つ、前記流路(プラグ内流路1A及びソケット内流路21A)の中心軸は交差せずにオフセットされており、
前記充填装置側部材(20)は、遮断弁(24:ソケット側遮断弁)の弁体(25)からノズル側部材(10)側に延在する充填装置側棒状部材(22:ソケット側ロッド)を有しており、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱する際にノズル側部材(10)が移動する動きを充填装置側棒状部材(22)の回転に変換する第1の変換機構(26)と、
充填装置側棒状部材(22)の回転を、当該棒状部材(22)の中心軸方向におけるノズル側部材(10)側への移動に変換する第2の変換機構(27)を備えていることを特徴としている。
【0009】
ここで、前記第1の変換機構(26)は、
ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている状態で充填装置側部材(20)に形成された貫通孔(21C:ソケット貫通口)に挿入されているノズル側部材(10)の突出部分(3:プラグ側突出部材)に形成された凹部(3A:例えば溝或いは孔)と、
当該凹部(3A)に挿入可能であり、前記充填装置側棒状部材(22)に形成された第1の突起(22A)を含んでいるのが好ましい。
【0010】
また、前記第2の変換機構(27)は、
前記充填装置側棒状部材(22)における充填装置側遮断弁(24)の弁体(25)よりも離隔した側の端部(ソケット側ロッド22の先端部)に設けられた第2の突起(22B)と、
上縁部が前記第2の突起(22B)を載置可能な中空形状部材(28:第1の円筒状部材)を有し、当該中空形状部材(28)の上縁部(28A)は、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)と接続されている状態では前記第2の突起(22B)を載置するが、充填装置側棒状部材(22)が回転すると前記第2の突起(22B)が上縁部(28A)から外れて中空の内部空間(28B)内を移動する形状であるのが好ましい。
【0011】
前記第2の突起(22B)は矩形状であり、
前記中空状部材(28)の上縁部(28A)は、中空状部材(28)の中心軸に対して対称な位置(直径方向について向かい合った位置)に半径方向内方に突出した凸部(28C)を有する形状であり、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)と接続されている状態では前記第2の突起(22B)の長手方向両端が中空状部材(28)の上縁部(28A)における凸部(28C)に載置される位置であり、充填装置側棒状部材(22)が回転すると前記第2の突起(22B)の長手方向両端が上縁部(28A)の凸部(28C)から外れる位置となる様に、前記第2の突起(22B)と前記中空状部材(28)の上縁部(28A)の凸部(28C)が配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成を具備する本発明の安全継手(100)によれば、前記流路(プラグ内流路1A及びソケット内流路21A)の中心軸が同一直線状に配置されておらず(例えば、直交して配置されており)、且つ、前記流路(プラグ内流路1A及びソケット内流路21A)の中心軸とは交差せずにオフセットされているので、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱する際にノズル側部材(10)が移動する動きを充填装置側棒状部材(22)の回転に変換することが容易に行われる。
そして、充填装置側棒状部材(22)が回転すれば、迅速且つ確実に、充填装置側棒状部材(22)の中心軸方向におけるノズル側部材(10)側への移動に変換することが出来る。そして、充填装置側棒状部材(22)をノズル側部材(10)側へ移動することにより、充填装置側遮断弁(24:ソケット側遮断弁)の弁体(25:ソケット側弁体)は、例えば充填装置側部材(20)に弾性体(23:ソケット側スプリング)を設けることにより、当該弾性体(23)の弾性反発力で弁座(21E:ソケット側弁座)に押圧されて、充填装置側遮断弁(24:ソケット側遮断弁)が迅速かつ確実に閉鎖する。
そのため本発明では、
図16を参照して説明した従来技術とは異なり、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱する初期の段階で、直ちに充填装置側弁体(25)が充填装置側弁座(21E)に座着して、充填装置側(20)の遮断弁(24)が閉鎖される。換言すれば、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱する際には、充填装置側(20)の遮断弁(24)は開放した状態から閉鎖した状態へ瞬時に移動するので、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱しているのに充填装置側(20)の遮断弁(24)は開放している状態(
図16の状態)になってしまうことが防止される、
従って、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱する際に、安全継手(100)からアウトガスとして排出されてしまう高圧ガス(アウトガス)の流量は極めて少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る安全継手の斜視図である。
【
図2】
図1の安全継手において、ソケット側のケーシングを省略して示す斜視図である。
【
図4】プラグがソケットから外れていない状態でソケット側ロッドを垂直方向に支持する第1の円筒状部材を示す図である。
【
図5】ソケット側ロッドの垂直方向の移動を許容しつつ水平方向に支持する第2の円筒状部材を示す図である。
【
図6】プラグがソケットから外れていない状態を示す断面図である。
【
図7】
図6におけるA-A断面を示す断面図である。
【
図8】ソケット側ロッドの第2の突起と第1の円筒状部材の上縁部との相対的な位置及び大きさを説明する平面説明図である。
【
図9】プラグがソケットから抜け出す初期の段階を示す断面図である。
【
図10】
図9におけるA-A断面を示す断面図である。
【
図11】プラグがソケットから抜け出す初期の段階を、ソケット側のケーシングを省略して示す斜視図である。
【
図12】プラグがソケットから抜け出た状態を示す断面図である。
【
図15】水素充填施設の概要を示すブロック図である。
【
図16】従来技術に係る安全継手において、プラグがソケットから抜き出る初期の段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図示の実施形態において、
図16(従来技術)で示すのと同一部材には、同様な符号を付している。
図1、
図2において、全体を符号100で示す安全継手は、充填装置側部材であるソケット20と、ノズル側部材であるプラグ10とを有している。ここで、
図1と
図2では、プラグの長手方向が異なっている。全体的な構成を見易くするためである。また、ソケット20の内部構造を明確に示すため、
図2では、ソケット20の角柱形状のケーシング21(ソケット本体:
図1)と、上端の蓋31(
図7)を省略して示している。
図1、
図2では、プラグ10とソケット20が接続された状態が示されている。全体が筒状のプラグ10は、プラグ本体1とソケット20側に突出するプラグ側突出部材3(
図2)を有している。
プラグ本体1の車両側(
図1、
図2で右側:ソケット20側から離隔した側)端部(
図1ではプラグ本体1の右端)には、充填ホース(図示せず)に接続される水素ガス供給口1B(
図1)が設けられている。
プラグ本体1及びプラグ側突出部材3の内部にはプラグ内流路(
図6、
図7等の符号1A)が形成されており、プラグ内流路1Aはプラグ10の軸方向(左右方向)に延在している。
【0015】
図2において、ソケット20はソケット側ロッド22(充填装置側棒状部材)、ソケット側ロッド22の水素充填装置側(
図2で上方)に一体的に接続されるソケット側弁体25、ソケット側弁体25の充填装置側(
図2で上方)に隣接するソケット側スプリング23、ソケット側ロッド22の充填装置側から離隔した側(
図2で下方)に配置される第1の円筒状部材28、第2の円筒状部材29を有している。ソケット側ロッド22、ソケット側弁体25、ソケット側スプリング23、第1の円筒状部材28、第2の円筒状部材29は、図示しないケーシング21(
図1)の内部空間であるソケット側弁体収容部21D(
図7)及びソケット側ロッド収容部21G(
図7)に収容されている。
第1及び第2の円筒状部材28、29はケーシング21に固定されており、ソケット側ロッド22は、第1及び第2の円筒状部材28、29の内部空間を軸方向に移動可能である。
図2及び
図3に示す様に、ソケット側ロッド22には、第1の突起22Aと、第1の突起22Aより充填装置側から離隔した側(
図2及び
図3の下側)であってソケット側ロッド22の下端部に位置する第2の突起22Bが形成されている。
【0016】
図2において、プラグ側突出部材3の側面には孔部3A(凹部)が形成され、プラグ10とソケット20が接続時、孔部3Aにはソケット側ロッド22の第1の突起22Aが挿入される。
孔部3Aとソケット側ロッド22の第1の突起22Aは第1の変換機構26を構成し、ソケット側ロッド22の第2の突起22Bと第1の円筒状部材28は第2の変換機構27を構成する。
なお、プラグ10とソケット20が接続されている状態において、プラグ側突出部材3は、ソケット20のケーシング21(
図2では図示せず)に形成された貫通孔21C(
図6)に挿入されている。
図2及び
図11で示す様に、図示の実施形態では、プラグ側ロッド2(
図6)及びプラグ突出部材3の長手方向に延在する中心軸は、ソケット側ロッド22の長手方向中心軸と同一直線状に配置されておらず概略直交している。そして、プラグ側ロッド2及びプラグ突出部材3の中心軸とソケット側ロッド22の中心軸とは交差しておらず、オフセット或いは離隔されている。
【0017】
図4には第1の円筒状部材28が示されており、第1の円筒状部材28を斜め上から見た状態が
図4(A)で示されており、平面が
図4(B)で示されており、
図4(B)のC-C断面が
図4(C)で示されている。
第1の円筒状部材28の上縁部28Aには、第1の円筒状部材28の中心軸に対して対称な位置(直径方向について向かい合った位置)に凸部28が形成され、凸部28は半径方向内方に突出している。そして第1の円筒状部材28は中空に構成されており、内部空間28Bを有している。
図8を参照して第2の変換機構27について後述するが、第1の円筒状部材28の上縁部28Aの凸部28Cは、プラグ10がソケット20と接続されている状態ではソケット側ロッド22の第2の突起22Bを載置するが、プラグ10とソケット20の接続が解除される際にソケット側ロッド22が回転すると、第2の突起22Bが凸部28Cから外れて、第2の突起22Bは落下して、第1の円筒状部材28の中空の内部空間28B内を下方(
図4(A)、
図2参照)に移動する。
【0018】
図2に示す様に、第1の円筒状部材28の下側に隣接して第2の円筒状部材29が配置されている。
図5には第2の円筒状部材29が示されており、第2の円筒状部材29を斜め上から見た状態が
図5(A)で示されており、平面が
図5(B)に示されており、
図5(B)のD-D断面が
図5(C)で示されている。
第2の円筒状部材29の上縁部29Aから下方(
図5(A)、
図2における下方)に向かってロッド挿入孔29Bが延在しており、ロッド挿入孔29Bにはソケット側用ロッド22を挿入することが出来る。
図5(C)において、ロッド挿入孔29Bは、中空の第2の円筒状部材29の内部空間29Cに連通している。
プラグ10とソケット20の接続が解除され、ソケット側ロッド22が(
図2の)下方に移動すると、第2の円筒状部材29の上縁部29Aは、ソケット側ロッド22の矩形状の第2の突起22Bの受け部或いはストッパとして機能する。ソケット側ロッド22の第2の突起22Bが第2の円筒状部材29の上縁部29Aに受け止められた際、ソケット側ロッド22における第2の突起22Bより先端側(
図2で下側)の部分は、第2の円筒状部材29の中空の内部空間29Cに収容される。
換言すれば、第1の円筒状部材28及び第2の円筒状部材29は、ソケット側ロッド22を回転自在に支持する機能と、一定の距離(第1の円筒状部材28及び第2の円筒状部材29の内部空間の長手方向距離の和)だけソケット側ロッド22を長手方向に移動可能に支持する機能を発揮している。
【0019】
図6において、ソケット20のケーシング21には貫通孔21Cが形成され、貫通孔21Cにプラグ側突出部材3が挿入されている。
プラグ本体1の(
図6における)上下方向中央部にはプラグ内流路1Aが形成されており、プラグ内流路1Aは
図6では左右方向に延在している。プラグ内流路1Aには拡径された領域であるプラグ側弁体収容部1Cが設けられている。プラグ内流路1Aは、プラグ側突出部材3内の流路である内部空間3B及びプラグ側弁体収容部1C内の流路により構成されており、水素ガス供給口1Bに延在している。換言すれば、プラグ内流路1Aは、プラグ側突出部材3の内部空間3B、プラグ側弁体収容部1Cを含んでいる。
プラグ内流路1Aにはプラグ側ロッド2が収容されている。プラグ側ロッド2のソケット20から離隔した側(
図6で右側)の先端には、プラグ側弁体6が設けられている。プラグ側弁体6は、弁体収容部1Cに収容されている。
弁体収容部1C内において、プラグ側弁体6の車両側(ソケット20から離隔した側:
図6で右側)にはプラグ側スプリング4(弾性材)が配置されており、プラグ側スプリング4はプラグ側弁体6をソケット20側(
図6で左側)に付勢している。プラグ側弁体6と弁座1Fによりプラグ側遮断弁5が構成されており、弁座1Fは弁体収容部1Cの段部により構成されている。そしてプラグ側遮断弁5は、プラグ側流路1Aを遮断し或いは開放する機能を有している。
【0020】
図6において、プラグ側突出部材3のソケット20側(
図6で左側)の先端近傍に係止用ボール用の溝が形成されており、係止用ボール7が保持されている。ソケット20側(ソケット本体21)には、プラグ10とソケット20の接続が解除された時に係止用ボール7が収容される円環状のボール収容空間21Fが形成されている。
プラグ側弁体6に接続しているプラグ側ロッド2はソケット20側に延在しており、その先端には平板部材2Aが設けられている。プラグ10とソケット20が接続されている状態では、平板部材2Aはプラグ側突出部材3の内部空間3Bへ突出した係止用ボール7の一部に当接し、その結果、プラグ側ロッド2は、プラグ側スプリング4の弾性反発力に抗して、係止用ボール7と当接した個所よりもソケット20側(
図6では左側)には移動しない。そのため、
図6で示す様に、プラグ側弁体6はプラグ用弁座1Fから離隔した状態で保持され、プラグ10の遮断弁5は開放状態に保持される。
【0021】
図6において、係止用ボール7は、プラグ10とソケット20が接続されている状態では、ボール収容空間21Fに位置しておらず、ソケット20の貫通孔21Cの内壁部に押圧されて半径方向内方(
図6の矢印IR方向)に偏奇して、プラグ側突出部材3の内部空間3B内に突出する。係止用ボール7がプラグ側突出部材3の内部空間3B内に突出した状態では、係止用ボール7は、平板部材2Aに押圧され、半径方向外方(矢印IRの逆方向:
図9の矢印RO方向)に押圧される。
図7において、プラグ側突出部材3に形成されている孔部3A(凹部)には、プラグ10とソケット20が接続している場合に、ソケット側ロッド22の第1の突起22Aが挿入される。孔部3Aを介して、ソケット本体21のソケット側ロッド収容部21Gとプラグ側突出部3の内部空間3Bが連通し、以て、円環状のボール収容空間21Fと共に水素ガスの流路を構成する。
なお、符号SSは、シール部材(例えばOリング)である。
【0022】
図7において、ソケット本体21の水素充填装置側(
図7で上方側)端部には、水素充填機(図示せず)から供給される水素ガスを導入する水素ガス導入口21Bが設けられている。
図7では、水素ガス導入口21Bに蓋31を被せた状態が示されている。
ソケット本体21には、(
図7の)上下方向に延在するソケット内流路21Aが形成されている。ソケット内流路21Aには拡径された領域が形成されており、当該拡径された領域は、ソケット側弁体25を収容するソケット側弁体収容部21Dを構成している。ソケット側弁体収容部21Dの下方(
図7で)には中空のソケット側ロッド収容部21Gが形成されている。これにより、水素ガス導入口21Bは、ソケット側弁体収容部21D、ソケット側ロッド収容部21G(及びボール収容空間21F)を介して、ソケット本体21の開口部分21Cに連通する。
ソケット本体21の開口部分21Cは
図7の紙面に垂直な方向(
図6の左右方向)に延在しており、開口部分21Cのプラグ10から離隔する側(
図6では左側)の端部は開放されている。すなわち、
図6、
図7における開口部分21Cは貫通孔として構成されている。
図6、
図7において、プラグ10とソケット20を結合した状態では、開口部分21C内にはプラグ側突出部3が挿入される。
【0023】
図7において、ソケット側弁体収容部21Dに収容されたソケット側弁体25の水素ガス導入口21B側から離隔した側(
図7で下方)には、ソケット側ロッド22が接続している。
また、ソケット側弁体収容部21D内において、ソケット側弁体25の水素ガス導入口21B側(
図7で上方)の領域にはソケット側スプリング23(弾性材)が配置されており、ソケット側スプリング23はソケット側弁体25を弁座21E側(
図7では下方)に付勢している。弁座21Eは弁体収容部21Dの段部により構成されており、弁体25と弁座21Eによりソケット側遮断弁24が構成され、ソケット側遮断弁24はソケット側流路21Aを遮断或いは開放する機能を有している。
図7において、プラグ10とソケット20が接続されている状態においては、ソケット側ロッド22の第1の突起22Aは、プラグ側突出部材3の孔部3A(貫通孔)に挿入されている。また
図8を参照して後述する様に、ソケット側ロッド22の第2の突起22Bは、第1の円筒状部材28の上縁部28A(
図4、
図8)に載置されており、ソケット側ロッド22は、(プラグ10とソケット20が接続されている状態では)
図7で示す状態よりも下方には移動しない。
そのため、ソケット側ロッド22に接続したソケット側弁体25は、
図7で示す様に、ソケット側弁座21Eから
図7の上方に離隔した状態で保持され、ソケット側の遮断弁24は開放状態に保持される。
【0024】
プラグ10とソケット20が接続されている状態であれば、ソケット20の遮断弁24及びプラグ10の遮断弁5は開放状態に保持され、図示しない充填装置から車両への気体の充填が可能である。
換言すれば、
図6、
図7で示す様にプラグ10とソケット20を結合した状態では、ソケット側遮断弁24は開放しているので、開口部分21C内にはプラグ側突出部3が挿入され、水素ガス導入口21Bはソケット内流路21A(ソケット側弁体収容部21D及びソケット側ロッド収容部21G)、円環状のボール収容空間21F、プラグ側突出部材3に形成された孔部3A(貫通孔)を介して、プラグ内流路1A(プラグ側突出部3の内部空間3B)に連通している。そして、プラグ10の遮断弁5も開放されているので、プラグ側突出部3の内部空間3Bは弁体収容部1Cを介して水素ガス供給口1Bに連通する。すなわち、プラグ10とソケット20を結合した状態では、水素ガス導入口21Bから水素ガス供給口1Bに連通する水素ガス流路が構成される。
【0025】
一方、プラグ10がソケット20から抜けると(プラグ10とソケット20の接続が解除されると)、プラグ側突出部材3が長手方向(
図6で右方向)に移動し、当該移動する動きは、第1の変換機構26(プラグ側突出部材3の孔部3A、ソケット側ロッド22の第1の突起22A)により、ソケット側ロッド22の回転に変換される。そして、ソケット側ロッド22が回転すると、第1の円筒状部材28の上縁部28Aに対するソケット側ロッド22の第2の突起22Bの相対的位置は変動する。
図8において、第1の円筒状部材28(
図4参照)の上縁部28Aには、第1の円筒状部材28の中心軸に対して対称な位置(直径方向について向かい合った位置)に半径方向内方に突出した領域(凸部28C)が形成されている。第1の円筒状部材28は中空形状であり、内部空間28Bを有している。
図6、
図7で示す様にプラグ10とソケット20が接続されている状態では、ソケット側ロッド22の矩形状の第2の突起22Bは、
図8において実線で示す様に、第1の円筒状部材28の上縁部28Aにおいて、凸部28Cに長手方向両端部が載置される(位置A)。
図8では第2の突起22Bのみを図示し、ソケット側ロッド22全体の図示を省略している。
一方、プラグ10とソケット20の接続が解除されると、プラグ側突出部材3がソケット20から抜け出すことにより、プラグ側突出部材3の長手方向に孔部3Aも移動する。ソケット側ロッド22の第1の突起22Aがプラグ側突出部材3の孔部3Aに挿入されているため、プラグ側突出部材3の長手方向に孔部3Aが移動すると、その動きは第1の突起22Aに伝達され、ソケット側ロッド22は回転中心C(
図8)周りに回転し、ソケット側ロッド22の第2の突起22Bも回転して、例えば
図8において点線で示す位置(位置B)に移動し、第2の突起22Bの長手方向両端部は第1の円筒状部材28の凸部28Cから外れる。すなわち、第2の突起22Bは第1の円筒状部材28の上縁部28Aに載置されていない状態になる。
その結果、ソケット側ロッド22やソケット側弁体25その他の重量と、ソケット側スプリング23による弾性反発力により、ソケット側ロッド22は第1の円筒状部材28の内部空間28Bを
図7、
図10における下方(ソケット側スプリング23の弾性反発力により付勢される方向)へ移動(落下)する。
【0026】
上述した様に、第1の変換機構26(プラグ側突出部材3の孔部3A、ソケット側ロッド22の第1の突起22A)により、プラグ側突出部材3がソケット20から抜け出そうとする動きがソケット側ロッド22の回転に変換される。そして、第2の変換機構27(ソケット側ロッド22の第2の突起22B、第1の円筒状部材28)によりソケット側ロッド22の回転を、ソケット側ロッド22の(
図7、
図2で下方への)移動に変換される。
図8には明示されていないが、ソケット側ロッド22が回転して(
図7、
図2で下方へ)移動した際に、ソケット側ロッド22の矩形状の第2の突起22Bは第2の円筒状部材29(
図5参照)の上縁部29Aに載置され、ソケット側ロッド22における第2の突起22Bより先端側(
図7、
図2で下方)の部分は、第2の円筒状部材29のロッド挿入孔29B、中空の内部空間29Cに収容される。
ソケット側ロッド22がプラグ10側に移動した状態(プラグ10とソケット20が分離された状態)を示す
図11と、プラグ10とソケット20が接続された状態と示す
図2を比較すれば明らかな様に、
図11に表されるソケット側ロッド22の長さは、
図2に表されるソケット側ロッド22の長さと比較して短い。ソケット側ロッド22の下端部近傍が、第1の円筒状部材28の内部空間28C(
図4、
図8)、及び第2の円筒状部材29の内部空間29C(
図5)に収容されるからである。
【0027】
安全継手100を構成するソケット20からプラグ10が抜ける初期段階におけるプラグ10の作動を、
図9を参照して説明する。
ソケット20からプラグ10が抜け始めると、プラグ突出部材3が長手方向(
図9の右側:矢印D方向)に移動する。そのため、プラグ10がソケット20からが抜け出す初期の段階において、
図9で示す様に係止用ボール7の長手方向位置が円環状のボール収容空間21Fの長手方向位置になるので、係止用ボール7は、プラグ側ロッド2の平板部材2Aに押圧され半径方向外方(
図9の矢印RO方向)に押圧されてボール収容空間21F側に移動する。そのため、プラグ突出部材3の内部空間3B内には係止用ボール7の部分は突出しない状態となる。
プラグ突出部材3の内部空間3B内に係止用ボール7が突出せず、プラグ側ロッド先端2の平板部材2Aと係止用ボール7は当接しないため、プラグ側スプリング4は弾性反発力により伸長し、プラグ側弁体6、プラグ側ロッド2、ロッド先端の平板部材2Aを
図9の左方(プラグ側スプリング4の伸長する側)に移動する。その結果、プラグ側弁体6はプラグ側弁座1Fに座着し、プラグ側遮断弁5が閉鎖され、プラグ内流路1Aが閉鎖される。
図9において、プラグ側ロッド2、ロッド先端の平板部材2Aがプラグ突出部材3の内部空間3Bの左端(ソケット側端部)まで移動しているのは、慣性による作用である。
【0028】
次に、ソケット20からプラグ10が抜ける初期の段階におけるソケット20側の作動を、
図10(及び
図9)を参照して説明する。
上述した様に、ソケット側ロッド22の第1の突起22Aはプラグ側突出部材3の孔部3A(凹部、
図7参照)に挿入されているため、プラグ側突出部材3がソケット20から抜け出す動き、すなわち長手方向(
図9の右方向:矢印D方向)の移動はソケット側ロッド22の軸回りの回転に変換される。そして、
図8を参照して説明した通り、ソケット側ロッド22が回転することにより、ソケット側ロッド22の第2の突起22Bが第1の円筒状部材28の上縁部28A(
図8)に載置される位置は、
図8における実線で示す位置から点線に示す位置に移動し、ソケット側ロッド22はソケット側スプリング23の伸長方向(
図10で下方)に移動する。
ソケット側ロッド22がソケット側スプリング23の伸長方向(
図10で下方)に移動する際、ソケット側弁体25等の重量とソケット側スプリング23が弾性反発力により伸長するため、ソケット側ロッド22は、第1の円筒状部材28の内部空間28B内をソケット側スプリング23の伸長方向(
図10で下方)に移動する。そして、ソケット側弁体25も直ちに下降して、ソケット側弁座21Eに座着し、ソケット側遮断弁24は閉鎖され、ソケット内流路21Aは閉鎖される。
【0029】
ここで、
図1~
図7を参照して上述した様に、ソケット20とプラグ10が接続されていればプラグ側突出部材3はソケット10に対して相対移動せず、プラグ側突出部材3の長手方向(
図9の右方向:矢印D方向)におけるソケット10との相対位置は変化しない。ソケット側ロッド22の第1の突起22Aはプラグ側突出部材3の孔部3A(凹部)に挿入されているので、プラグ側突出部材3が長手方向に移動しなければ、ソケット側ロッド22の第1の突起22Aも移動せず、ソケット側ロッド22も回転しない。
そのため、
図8において、ソケット側ロッド22の第2の突起22B(
図8では実線で示す)の長手方向両端部が、第1の円筒状部材28の上縁部28Aの半径方向内方に突出している領域28C(凸部)に載置している面積が僅かであっても、ソケット側ロッド22が回転しないため、ソケット側ロッド22の第2の突起22Bが
図8の実線で示す位置から回動(移動)して領域28Cから外れてしまうことは無い。
従って、ソケット側弁体25等の重量とソケット側スプリング23による弾性反発力がソケット側ロッド22に作用しても、ソケット側ロッド22は第1の円筒状部材28の内部空間28B内、第2の円筒状部材29の内部空間29C内を下降することはなく、ソケット側遮断弁24が開放している状態が維持される。
【0030】
図9、
図10を参照して上述した様に、図示の実施形態では、
図15で示す従来技術とは異なり、ソケット20からプラグ10が抜け始める初期の段階で、直ちにソケット側弁体25がソケット側弁座21Eに座着して、ソケット側遮断弁24が閉鎖され、ソケット内流路21Aは閉鎖される。
そのため、充填装置から供給された高圧の水素ガスがアウトガスとして安全継手100の外部に流出してしまう流量が極めて少なくなる。
【0031】
図12、
図13は、安全継手100を構成するソケット20からプラグ10が分離した状態を示している。
図12において、プラグ10のプラグ側突出部材3はソケット20(ソケット本体21)の開口部分21Cから外れている(開口部分21Cに挿入されていない)。そのため、プラグ側スプリング4による弾性反発力によりプラグ側弁体6は
図12の左方に押圧され、プラグ側弁座1Fに座着し、プラグ側遮断弁5は閉鎖される。
図13において、ソケット側ロッド22はスプリング23の伸長方向(
図13で下方)に移動しており、ソケット側スプリング23による弾性反発力によりソケット側弁体25は
図13の下方に移動し、ソケット側弁座21Eに座着し、ソケット側遮断弁24は閉鎖されている。
図12、
図13において、プラグ側遮断弁5及びソケット側遮断弁24が、それぞれプラグ内流路1A、ソケット内流路21Aを閉鎖しており、車両側からも充填装置側からも水素ガスが漏出することは無い。
【0032】
図1~
図13に示す実施形態の安全継手100によれば、プラグ内流路1A及びソケット内流路21Aの中心軸が直交して配置されており(すなわち、同一直線状に配置されていない)、且つ、プラグ内流路1Aとソケット内流路21Aの中心軸とは交差せずに、相互に離隔している。そのため、プラグ10がソケット20から離脱する際にプラグ10が移動する動きをソケット側ロッド22の回転に変換することが容易に行われ、さらにソケット側ロッド22の回転をソケット側ロッド22の中心軸方向におけるソケット側スプリング23の伸長方向(下方)への移動に変換出来る。
具体的には、プラグ10のプラグ側突出部材3に形成された孔部3A(凹部)と、ソケット側ロッド22に形成され且つ孔部3Aに挿入可能な第1の突起22Aで構成される第1の変換機構26により、プラグ10が移動する動きをソケット側ロッド22の回転に変換する。また、ソケット側ロッド22の先端部に設けられた第2の突起22Bと、第1の円筒状部材28で構成される第2の変換機構27により、ソケット側ロッド22の回転をソケット側ロッド22の中心軸方向におけるソケット側スプリング23の伸長方向(下方)への移動に変換している。
【0033】
プラグ10がソケット20から抜け始めてソケット側ロッド22が回転すれば、迅速且つ確実に、ソケット側ロッド22はソケット側スプリング23の伸長方向(下方)へ移動する。ソケット側ロッド22をソケット側スプリング23の伸長方向へ移動することにより、ソケット側弁体25は、ソケット側スプリング23の弾性反発力によりソケット側弁座21Eに押圧されて、ソケット側遮断弁24が迅速かつ確実に閉鎖する。
そのため図示の実施形態では、
図16を参照して説明した従来技術とは異なり、プラグ10がソケット20から離脱する初期の段階で、直ちにソケット側弁体25がソケット側弁座21Eに座着して、ソケット側遮断弁24が閉鎖される。
その結果、プラグ10がソケット20から離脱する際に、安全継手100からアウトガスとして排出されてしまう高圧ガスの流量を極めて少なくすることが出来る。
【0034】
図14は図示の実施形態の変形例を示している。
図1~
図13で示す実施形態では、ソケット20にプラグ10が接続されている状態において、例えば
図6で示す様に、ソケット本体21の開口部分21Cのプラグ10の反対側(
図6で左側)は開口されており、閉鎖されていない。
それに対して
図14では、ソケット20のソケット本体21の開口部分21C(貫通孔)のプラグ10が接続されているのとは反対側の開口(
図6の左側の開口)に消音器30(サイレンサー)を設置し、以て、気体を充填する際の騒音を抑制している。
図14の変形例におけるその他の構成と作用効果は、
図1~
図13の実施形態と同様である。
【0035】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0036】
1・・・プラグ本体
1A・・・プラグ内流路
2・・・プラグ側ロッド
3・・・プラグ側突出部材
3A・・・凹部(孔部)
5・・・プラグ側遮断弁
6・・・プラグ側弁体
10・・・プラグ(ノズル側部材)
20・・・ソケット(充填装置側部材)
21・・・ソケット本体
21A・・・ソケット内流路
21C・・・ソケット貫通口(開口部)
22・・・ソケット側ロッド(充填装置側棒状部材)
22A・・・第1の突起
22B・・・第2の突起
24・・・ソケット側遮断弁
25・・・ソケット側弁体
26・・・第1の変換機構
27・・・第2の変換機構
28・・・第1の円筒状部材(中空形状部材)
28A・・・上縁部
28B・・・内部空間
28C・・・凸部
29・・・第2の円筒状部材(中空形状部材)
100・・・安全継手