(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2018162766
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】森 圭史
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-295565(JP,A)
【文献】特開2011-024668(JP,A)
【文献】特開2010-104471(JP,A)
【文献】特開2012-110377(JP,A)
【文献】特開2011-092281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、前記ベース部材に対して第1方向に移動可能に支持された移動部材と、を有する遊技機であって、
前記移動部材には、前記第1方向に移動可能な第1可動部と、前記第1可動部に連結されて前記第1方向とは異なる第2方向に移動可能であると共に前記第1可動部に対して互いに反対側に配置される1対の第2可動部と、が備えられ、
前記第2可動部には、前記ベース部材側へ突出する係合突部が設けられ、
前記ベース部材には、前記第1可動部の移動に伴って前記第2方向に前記係合突部を移動させることで前記第1可動部に対して前記1対の第2可動部をそれぞれ移動させる1対の係合突部ガイドが設けられ、
前記1対の係合突部ガイドは、一方の前記第2可動部を前記第1可動部から離れるように移動させるときには、他方の前記第2可動部も前記第1可動部から離れるように移動させ、一方の前記第2可動部を前記第1可動部に近づくように移動させるときには、他方の前記第2可動部も前記第1可動部に近づくように移動させるように構成され
、
前記第2可動部を前記第2方向で付勢する付勢手段を備える遊技機。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記第2可動部を前記第1可動部から離れる側に付勢する請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の遊技機には、上下方向に移動する移動部材を備えた遊技機が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-229055号(段落[0033]、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遊技機では、移動部材の動きが単調であるという問題があり、移動部材の興趣の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ベース部材と、前記ベース部材に対して第1方向に移動可能に支持された移動部材と、を有する遊技機であって、前記移動部材には、前記第1方向に移動可能な第1可動部と、前記第1可動部に連結されて前記第1方向とは異なる第2方向に移動可能であると共に前記第1可動部に対して互いに反対側に配置される1対の第2可動部と、が備えられ、前記第2可動部には、前記ベース部材側へ突出する係合突部が設けられ、前記ベース部材には、前記第1可動部の移動に伴って前記第2方向に前記係合突部を移動させることで前記第1可動部に対して前記1対の第2可動部をそれぞれ移動させる1対の係合突部ガイドが設けられ、前記1対の係合突部ガイドは、一方の前記第2可動部を前記第1可動部から離れるように移動させるときには、他方の前記第2可動部も前記第1可動部から離れるように移動させ、一方の前記第2可動部を前記第1可動部に近づくように移動させるときには、他方の前記第2可動部も前記第1可動部に近づくように移動させるように構成され、前記第2可動部を前記第2方向で付勢する付勢手段を備える遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
移動部材の興趣の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図12】2つの係合ピンを横切る面で可動演出部材を切断して後側から見た断面図
【
図13】係合ピンとガイド突壁の配置を説明するための図
【
図15】第1可動部が可動ストロークの上端に配置されたときの(A)可動演出部材の正面図、(B)係合ピンとガイド突壁の配置を示す断面図
【
図16】第1可動部が移動しているときの(A)可動演出部材の正面図、(B)係合ピンとガイド突壁の配置を示す断面図
【
図17】第1可動部が移動しているときの(A)可動演出部材の正面図、(B)係合ピンとガイド突壁の配置を示す断面図
【
図18】第1可動部が可動ストロークの下端に配置されたときの(A)可動演出部材の正面図、(B)係合ピンとガイド突壁の配置を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10は、
図2に示される遊技盤11を前面枠10Zで覆ってなり、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、遊技盤11の前面側に形成された遊技領域R1の全体が視認可能となっている。遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出した略円形のガイドレール12に囲まれている(
図2参照)。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0009】
図1に示されるように、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射用ハンドル28が備えられている。そして、発射用ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が発射装置(図示せず)によって1球ずつ遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
図2に示されるように、遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成されていて、その表示開口11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、遊技に関する演出を行う表示画面13Gを前面に有する。
【0011】
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれると共に、遊技盤11の前面より前側に突出している。これにより、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23を乗り越えて表示装飾枠23の内側に進入することが規制されている。
【0012】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右側部分には、始動ゲート18が設けられている。始動ゲート18は、遊技領域R1を流下する遊技球が潜って通過可能な門形状に形成されている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。
【0013】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下側部分における横方向の中央部には、第1始動入賞口14Aが設けられている。第1始動入賞口14Aは、遊技球が1つずつ入球可能な大きさの開口を上部に有するポケット構造をなして、常時開放している。
【0014】
第1始動入賞口14Aの下方には、第2始動入賞口14Bが設けられている。第2始動入賞口14Bは、前側に開放し、回動扉14Tによって開閉される。具体的には、回動扉14Tは、通常は、鉛直に起立した閉位置に配置され、上述の普通図柄当否判定で当りになると、下端部を中心に回動し、前倒しとなった開位置に配置される。開位置に配置された回動扉14Tは、上方から流下する遊技球を受け止めて第2の始動入賞口14Bへと案内する。
【0015】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26(
図1参照)に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。特別図柄当否判定の結果は、表示画面13Gに表示される。特別図柄当否判定で当りになると、遊技状態が大当り遊技状態になって、大当り遊技が実行される。
【0016】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右下部分には、可動扉15ATによって開閉される第1大入賞口15Aが設けられている。また、表示装飾枠23の右側部には、可動翼片15BHによって開閉される第2大入賞口15Bが設けられている。第1大入賞口15A又は第2大入賞口15Bは、大当り遊技中に開放される。第1大入賞口15A又は第2大入賞口15Bに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26(
図1参照)に払い出される。大当り遊技では、予め設定された回数だけ第1大入賞口15A又は第2大入賞口15Bが開放されるラウンド遊技が、大当り遊技の種類に応じた回数だけ実行される。1回のラウンド遊技は、予め定められた上限数の遊技球が第1大入賞口15A又は第2大入賞口15Bに入球するか又は予め設定されたラウンド遊技時間が経過すると、終了する。
【0017】
遊技領域R1には、第1始動入賞口14A、第2始動入賞口14B、第1大入賞口15A及び第2大入賞口15Bのほか複数の一般入賞口20が設けられている。一般入賞口20は、第1始動入賞口14Aと同様のポケット構造をなして、常時開放している。一般入賞口20に遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26(
図1参照)に払い出される。また、遊技領域R1には、何れの入賞口14A,14B,15A,15B,20にも入球しなかった遊技球を外部に排出するためのアウト口16が備えられている。
【0018】
図2、
図3及び
図4に示されるように、遊技機10では、表示装飾枠23の上辺部に可動役物装置100が組み付けられている。可動役物装置100は、表示装飾枠23に一体形成された支持ベース101と、支持ベース101に支持されて遊技盤11の前面と平行な方向に沿って移動可能な可動演出部材150と、可動演出部材150を駆動するための駆動機構170(
図4参照)と、を備えている。具体的には、支持ベース101は、表示装飾枠23の上辺部から表示装飾枠23の内側に張り出していて、可動演出部材150は、表示画面13Gの前側を移動するようになっている。
【0019】
図5に示されるように、支持ベース101は、ベース本体102と、カバー120と、からなる。なお、カバー120を前側から見た外形形状は、ベース本体102を前側から見た外形形状とほぼ同じになっていて、カバー120は、ベース本体102の前面のほぼ全域を覆うようになっている。
【0020】
図6に示されるように、ベース本体102は、前側に開放したケース部103と、ケース部103を前側から覆う蓋部104と、で構成されている。蓋部104を前側から見た形状は、ケース部103を前側から見た形状よりも横長になっていて、蓋部104には、ケース部103から横方向一方側に飛び出す突片部104Tが備えられている。なお、突片部104Tは、蓋部104のうちケース部103と重なる部分との間に切欠部104Kを形成する鉤状に形成されている。
【0021】
ケース部103の中には、駆動機構170に含まれる複数のギヤ172と、中継基板92と、が収容されている。なお、複数のギヤ172は、ケース部103の横方向一方側の部分(具体的には、左側部分)に収容され、中継基板92は、ケース部103の横方向他方側の部分(具体的には、右側部分)に収容されている。
【0022】
蓋部104の横方向の中央寄り部分には、ガイド孔105と円弧孔106が形成されている。ガイド孔105は、ケース部103の横方向一方側の端部(具体的には、左側の端部)に重ねられて、上下方向に沿って直線状に延在している。円弧孔106は、ガイド孔105に対して横方向他方側に配置され、ガイド孔105に向かって膨出する半円状をなしている。なお、ガイド孔105の開口縁は、前側に迫り出したガイド孔膨出部105Aとなっている、また、円弧孔106の開口縁は、前側に迫り出した円弧孔膨出部106Aとなっている。
【0023】
蓋部104の前面には、ガイド孔105と同様に上下方向に沿って延在するガイド突壁107が突設されている。本実施形態では、ガイド突壁107は、ガイド孔105及び円弧孔106を横方向に挟むように対をなして備えられている。詳細には、ガイド孔105及び円弧孔106に対して横方向一方側(具体的には、左側)に配置されるガイド突壁107は、蓋部104における横方向一方側の端縁に配置されている。ガイド孔105及び円弧孔106に対して横方向他方側(具体的には、右側)に配置されるガイド突壁107は、蓋部104における横方向の中央寄り部分に配置されている。
【0024】
ガイド突壁107は、ガイド孔105から離れる方向に円弧状に膨出する湾曲部107Aを上下方向に複数連ねて備える波状に形成されている。そして、1対のガイド突壁107,107は、左右対称となるように配置されている。
【0025】
図6に示されるように、蓋部104の前面の下端部には、陥没部108が形成されている。陥没部108は、ガイド孔105に対して横方向他方側(具体的には、右側)に配置されて、前方と下方とに開放している。本実施形態では、陥没部108は、円弧孔106の下方に配置されている。
【0026】
図5に示されるように、カバー120は、ベース本体102の前面に重ねられる主板120Aと、主板120Aの外縁部から後側に突出した囲壁120Hと、を備えている。
【0027】
カバー120の主板120Aには、ガイド孔膨出部105Aと共にガイド孔105を受容するガイド孔受容切欠部121と、円弧孔膨出部106Aと共に円弧孔106を受容する円弧孔受容開口部122と、が形成されている。なお、ガイド孔受容開口部121は、ガイド孔膨出部105Aに外側から嵌合可能な直線状に形成され、円弧孔受容開口部122は、円弧孔膨出部106Aに外側から嵌合可能な円弧状に形成されている。
【0028】
また、カバー120の主板120Aには、横方向他方側(具体的には、右側)のガイド突壁107を受容するガイド突壁受容開口部123が形成されている。ガイド突壁受容開口部123は、略縦長矩形状に形成されていて、ガイド突壁受容開口部123の開口縁には、ガイド突壁107と同様に、ガイド孔受容切欠部121から離れる方向に円弧状に膨出する湾曲部124Aを複数連ねて備える波状に形成された波状縁部124が設けられている。ガイド突壁受容開口部123に受容されたガイド突壁107は、波状縁部124に密接配置され、ガイド突壁107の各湾曲部107Aは、ガイド突壁受容開口部123の波状縁部124の各湾曲部124Aの内側に収まる。
【0029】
囲壁120Hのうち主板120Aの下端から突出する部分には、ベース本体102の陥没部108に対向配置される対向切欠部125が形成されている。
図10に示されるように、カバー部材120がベース本体102の前面に取り付けられると、陥没部108と対向切欠部125によって、突片受容孔109が形成される。
【0030】
図6及び
図7に示されるように、駆動機構170は、駆動源としてのモータ171と、モータ171からの動力を伝達するための複数のギヤ172と、を有している。複数のギヤ172のうち動力伝達経路の最上流に配置されたギヤ172Jは、モータ171の回転出力軸に固定されている。複数のギヤ172のうち動力伝達経路の最下流に配置されるギヤ172Kには、そのギヤ172Kと一体に回転する駆動ピン172Pが備えられている。
【0031】
図3に示されるように、可動演出部材150は、第1可動部151と第2可動部161とを有する。第1可動部151は、支持ベース101に直動可能に支持され、第2可動部161は、第1可動部151に回動可能に支持されている。なお、第1可動部151は、正面視略円形状をなし、第2可動部161は、第1可動部151の両側部に組み付けられている。
【0032】
図8に示されるように、第1可動部151は、前後に重なる装飾プレート152とケース153の間に、第1可動部151(詳細には、装飾プレート152)を発光させるための可動発光基板94を備えてなる。具体的には、ケース153は、前側に開放し、装飾プレート152は、ケース153を前側から覆う。可動発光基板94は、ケース153内に収容されている。
【0033】
ケース153の後面には、上下方向に延在するガイド溝153Mが形成されている。ガイド溝153Mは、支持ベース101においてカバー120のガイド孔切欠部121に受容されたガイド孔膨出部105Aを受容する(
図14参照)。
【0034】
図8及び
図14に示されるように、ガイド溝153Mの溝底面からは、ガイド突部155が突出している。ガイド突部155は、ガイド溝153Mに受容されたガイド孔105と係合する。これにより、第1可動部151は、支持ベース101に直動可能に支持される。なお、ガイド突部155は、ガイド溝153Mの延在方向に複数設けられている(
図8参照)。また、ガイド突部155の突出方向の先端部には、ガイド突部155をガイド孔105から抜け止めするための鍔部155Tが備えられている。
【0035】
図8に示されるように、ケース153の後面には、横方向に延在する係合長孔153Nが形成されている。係合長孔153Nには、円形キャップ173が係入される。円形キャップ173は、駆動機構170のギヤ172(詳細には、動力伝達経路の最下流のギヤ172K)に形成された駆動ピン172P(
図7参照)に取り付けられている。
【0036】
ケース153の下端部には、後側に突出する下端突部156が設けられている。下端突部156は、ケース153の後面から後側に張り出した後方張出部156Hと、後方張出部156Hの後端から上側に突出する突片部156Tと、からなる鉤状に形成されている。
図10に示されるように、突片部156Tは、支持ベース101の陥没部108とカバー120の対向切欠部125によって形成された突片受容孔109に受容される。
【0037】
また、
図9及び
図11に示されるように、ケース153には、可動発光基板94に接続されたケーブル90を後側に引き出すためのケーブル挿通孔91が設けられている。ケーブル挿通孔91から引き出されたケーブル90は、支持ベース101のケース部103に収容された中継基板92へ取り回される(
図7参照)。
【0038】
詳細には、
図8及び
図11に示されるように、ケーブル挿通孔91は、ケース153の後面から突出する箱形突壁157の内側部分によって形成される。箱形突壁157は、後側から見て略縦長矩形状に形成され、箱形突壁157の上部からは、ケーブル挿通孔91から引き出されたケーブル90を中継基板92に誘導するための誘導突片158が張り出している。箱形突壁157は、支持ベース101のベース本体102の蓋部104に形成された切欠部104K(
図5参照)に受容される。また、誘導突片158は、支持ベース101のベース本体102に後側から重ねられる(
図11参照)。
【0039】
箱形突壁157と誘導突片158には、配線カバー159が後側から取り付けられる。配線カバー159は、誘導突片158との間にケーブル90を挟む配線押さえになっている。なお、配線カバー159の側部(詳細には、ガイド溝153M(
図8参照)に臨む側部)は、誘導突片158との間に、ガイド溝153Mと略平行な線状の隙間(図示せず)を形成する。そして、配線カバー159と誘導突片158との間に挟まれたケーブル90は、この線状の隙間から外側に引き出される。
【0040】
図8に示されるように、配線カバー159のうちガイド溝153Mと反対側を向く側部には、係止フック159Fが形成されている。係止フック159Fには、
図9に示されるアシストバネ130の一端が取り付けられる。アシストバネ130の他端は、支持ベース101に形成されたフック部131に取り付けられる。
【0041】
ケース153の両側部には、上側に張り出す1対の支持突部162,162が設けられている。そして、1対の支持突部162,162のそれぞれに、第2可動部161が回転自在に取り付けられている。なお、1対の支持突部162,162は、上側へ向かうにつれて横方向で互いに離れるように傾斜している。
【0042】
詳細には、支持突部162には、図示しない貫通孔が形成され、第2可動部161に突設された回転軸部161Jが、当該貫通孔を挿通した状態で抜け止めされている。これにより、第2可動部161は、第1可動部151に回動可能に支持される。
【0043】
第2可動部161は、第1可動部151から離れる方向に付勢されている。具体的には、第2可動部161の後面には、係合ピン165が突設されている。また、
図12に示されるように、支持突部162は、中空構造になっていて、回転軸部161Jを中心に有するトーションバネ163を収容している。トーションバネ163の両端部は、互いに離れるように付勢され、支持突部162の内面と係合ピン165とに挟まれている。これにより、第2可動部161は、第1可動部151から離れるように付勢される。
【0044】
図8に示されるように、係合ピン165は、ローラ支軸166にローラ167が回転自在に支持されてなる。ローラ支軸166は、係合ピン165の基端部を構成し、ローラ167は、係合ピン165の先端部を構成する。なお、トーションバネ163の端部は、ローラ支軸166と当接する(
図12参照)。
【0045】
図15~
図18には、駆動機構170によって駆動される可動演出部材150が示されている。
図15(B)→
図16(B)→
図17(B)→
図18(B)の流れに示されるように、駆動源171が作動すると、最下流のギア172K(
図7参照)の駆動ピン172Pが円弧孔106に沿って回転する。駆動ピン172Pに取り付けられた円形キャップ173は、第1可動部151のケース153に形成された係合長孔153N(
図8参照)を移動しながら、第1可動部151を上下方向に押す。その結果、第1可動部151がガイド孔105に沿って上下に移動する。
【0046】
図15(A)→
図16(A)の流れに示されるように、第2可動部161は、第1可動部151の上下移動に伴って、回動軸部161Jを中心に回動する。具体的には、第2可動部161の係合ピン165は、支持ベース101に形成されたガイド突壁107に対して、横方向で第1可動部151に近い側から対向する。ここで、係合ピン165は、トーションバネ163によって第1可動部151から離れるように付勢されるので、ガイド突壁107に押し付けられる。第1可動部151が上下に移動すると、係合ピン165は、ガイド突壁107の側面(詳細には、第1可動部151に臨む面)を摺動し、湾曲部107Aによって第1可動部151に近づいたり離れたりする。これにより、第2可動部161が第1可動部151に対して回動する。本実施形態では、ガイド突壁107には、湾曲部107Aが複数備えられているので、
図15(A)→
図16(A)→
図17(A)→
図18(A)の流れに示されるように、第2可動部161が第1回動部151に近づいたり離れたりする動作が繰り返される。
【0047】
なお、本実施形態では、
図14に示されるように、係合ピン165は、ローラ支軸166にローラ167が回転自在に支持された構成になっていて、ローラ167がガイド突壁107と当接するようになっている。これにより、係合ピン165とガイド突壁107の摺動抵抗を低減することが可能となる。
【0048】
このように、本実施形態の遊技機10では、第1可動部151が上下に移動すると、その移動に伴って、第2可動部161が回動軸部161Jを中心に回動する。これにより、可動演出部材150が第1可動部151のみを備える場合と比較して、可動演出部材150の興趣の向上が図られる。なお、第2可動部161の係合ピン165と支持ベース101のガイド突壁107は、第1可動部151の移動に伴って第2可動部161を移動させる「連動機構」を構成している。
【0049】
また、本実施形態の遊技機10では、
図12に示されるように、第2可動部161は、トーションバネ163によって第1可動部151から離れる方向に付勢され、ガイド突壁107は、第1可動部151から離れた側から係合ピン165と当接するように配置されている。本実施形態によれば、回動軸部161Jを中心とする円周方向で係合ピン165を挟むようにガイド突壁107を1対設ける必要がなくなる。なお、第2可動部161は、第1可動部151に近づく方向に付勢され、ガイド突壁107は、第1可動部151に近い側から係合ピン165と当接するように配置されてもよい。
【0050】
ところで、本実施形態の遊技機10では、可動演出部材150が外力等を受けて支持ベース101から前側に離れた(浮き上がった)ときに、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えることが考えられる。係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えると、係合ピン165とガイド突壁107の係合が外れて、第1可動部151の移動に伴って第2可動部161を移動させることができなくなる、という問題が生じ得る。
【0051】
上記問題を防ぐべく、本実施形態の遊技機10では、以下の複数の構成が採用されている。なお、これら複数の構成が全て採用される必要はなく、何れか1つが採用されることで上記問題の発生を抑制することが可能となる。
【0052】
上記問題を防ぐための第1の構成は、
図14に示されるように、係合ピン165がガイド突壁受容開口部123に受容される構成である。この第1の構成によれば、カバー120にガイド突壁受容開口部123が形成されていない場合と比較して、係合ピン165の突出量を大きくすることが可能となり、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えにくくなる。
【0053】
なお、本実施形態の遊技機10では、第1の構成に加え、
図14に示されるように、ガイド突壁107がベース本体102から起立してカバー120のガイド突壁受容開口部123を貫通した構成が採用されている。この構成によれば、支持ベース101と可動演出部材150(詳細には、第2可動部161)との間隔を狭くしつつ、ガイド突壁107の突出高さを高くすることが可能となる。また、本実施形態では、ガイド突壁受容開口部123の開口縁の波状縁部124が、前側から見てガイド突壁107と略同じ形状に形成され、ガイド突壁107に密接配置されるので、ガイド突壁107とガイド突壁受容開口部123を目立たなくすることが可能となっている(
図13参照)。
【0054】
上記問題を防ぐための第2の構成は、第1可動部151が可動ストロークの上端に配置されたときに、
図10に示されるように、第1可動部151の下端突部156の突片部156Tが、支持ベース101の突片受容孔109に受容される構成である。この第2の構成によれば、ガイド突壁107の突出方向(即ち、前後方向)で第1可動部151が支持ベース101から離間することが抑制され、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えにくくなる。なお、第1可動部151が可動ストロークの中間より下方に配置されると、突片部156Tは、突片受容孔109から外れるので、突片部156Tが第1可動部151の移動の妨げになることが抑えられている。また、突片受容孔109を構成する陥没部108は、その幅方向の両端部に、幅方向中央へ向かうにつれて陥没量が大きくなる誘導部を備えているので、第1可動部151が可動ストロークの上端へ向かうときに、突片部156Tを受け入れやすくなっている。
【0055】
上記問題を防ぐための第3の構成は、第1可動部151が可動ストロークの上端に配置されたときに、
図11に示されるように、第1可動部151においてケーブル90を中継基板92(
図7参照)へ誘導するための誘導突片158が、支持ベース101に後側から重ねられる構成である。この第3の構成によれば、ガイド突壁107の突出方向(即ち、前後方向)で第1可動部151が支持ベース101から離間することが抑制され、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えにくくなる。
【0056】
なお、本実施形態の遊技機10では、
図8及び
図13に示されるように、第1可動部151において第2可動部161を支持する支持突部162に、ガイド孔105から離れた側から係合ピン165(詳細には、ローラ支軸166)に当接可能なストッパ片164が設けられている。これにより、万が一、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えても、係合ピン165を支持突部162のストッパ片164に当接させて、第2可動部161が第1可動部151から離れることを規制することが可能となる。この構成によれば、係合ピン165がガイド突壁107を乗り越えた場合に、第2可動部161が可動演出部材150の周辺の部材と干渉することが抑制される。
【0057】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、第1可動部151に支持される第2可動部161は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第2可動部161は、第1可動部151に対して回動する構成であったが、第1可動部151の移動方向(上下方向)に対して交差する方向に直動する構成であってもよい。
【0058】
(2)上記実施形態において、トーションバネ163を備えずに、係合ピン165を横方向に挟むようにガイド突壁107を横並びに備えて、それら2つのガイド突壁に107によって係合ピン165を移動させる構成としてもよい。
【0059】
(3)上記実施形態において、支持ベース101がベース本体102のみで構成され、ベース本体102の前面に、ガイド突壁107に隣接して係合ピン165を受容する窪みが形成されてもよい。
【0060】
(4)ガイド突壁107は、ガイド突壁受容開口部123の中央部を貫通してもよい。なお、この場合、ガイド突壁受容開口部123とガイド突壁107とで、1つの意匠を構成してもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、第1可動部151は、上下方向に延びる直線に沿って移動する構成であったが、遊技盤11の前面に沿って移動すればよく、例えば、曲線や円に沿って移動してもよい
【0062】
(6)上記実施形態では、第2可動部161は、第1可動部151の移動方向(上下方向)と直交する軸を中心に回動する構成であったが、第1可動部151の移動方向と異なる方向に移動すればよく、例えば、第1可動部151の移動方向と交差する方向に直動する構成であってもよい。
【0063】
(7)上記実施形態において、ガイド突壁107の突出量が第2可動部161とカバー120との間の距離と略同じであれば、ガイド突壁107はガイド突壁受容開口部123に受容されなくてもよい。ここで、ガイド突壁受容開口部123が形成されていない場合、ガイド突壁107の突出量は、カバー120との干渉を避けるために、第2可動部161とカバー120との間の距離よりも小さくする必要がある。ガイド突壁受容開口部123が形成されていると、ガイド突壁107の突出量を当該距離と同じにしても、ガイド突壁107とカバー120の干渉が避けられる。
【0064】
以下、上述した各実施の形態から抽出される特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0065】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、遊技機に関し、「特許文献A(特開2008-229055号公報(段落[0033]、
図3))には、上下方向に移動する移動部材を備えた遊技機が示されている。」という背景技術について、「特許文献Aの遊技機では、移動部材の動きが単調であるという問題があり、移動部材の興趣の向上が求められている。」という課題をもってなされたものである。
【0066】
[特徴A1]
支持部材(支持ベース101)と、
前記支持部材に支持され、前記支持部材に対して第1方向(上下方向)に移動可能な移動部材(可動演出部材150)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記移動部材には、前記第1方向に移動可能な第1可動部(第1可動部151)と、前記第1可動部に支持されて前記第1可動部に対して前記第1方向とは異なる第2方向(回動軸部161Jを中心とする円周方向)に移動可能な第2可動部(第2可動部161)と、が備えられ、
前記第2可動部には、前記支持部材へ向かって突出する係合突部(係合ピン165)が設けられ、
前記支持部材には、前記第1可動部の移動に伴って前記第2方向に前記係合突部を移動させることで前記第1可動部に対して前記第2可動部を移動させる係合突部ガイド(ガイド突壁107)が設けられている、遊技機。
【0067】
本特徴に示される構成では、第1可動部の第1方向の移動に伴って第2可動部を第2方向に移動させることが可能となるので、移動部材の興趣の向上が図られる。
【0068】
[特徴A2]
前記係合突部ガイドは、前記第2可動部へ向かって突出すると共に前記第1方向に沿って延在し、前記第2方向で前記係合突部と当接可能なガイド突壁(ガイド突壁107)によって構成されている、特徴A1に記載の遊技機。
【0069】
[特徴A3]
前記第2可動部を前記第2方向の一方側に付勢する付勢手段(トーションバネ163)を有し、
前記ガイド突壁は、前記第2方向の他方側から前記係合突部と当接するように配置されている、特徴A2に記載の遊技機。
【0070】
特徴A2に示される構成では、係合突部ガイドを簡易な構造にすることが可能となる。なお、ガイド突壁は、係合突部を第2方向で挟むように対をなして設けられてもよいし、特徴A3のように、第2可動部を第2方向の一方側に付勢する付勢手段を備える場合には、第2方向の他方側から当接するように設けられてもよい。特徴A3に示される構成では、1つの係合突部に対してガイド突壁を2つ備える必要がなくなり、1つのガイド突壁で係合突部を移動させることが可能となる。
【0071】
[特徴A4]
前記係合突部は、前記第1可動部へ向かって突出する支軸(ローラ支軸166)と、前記支軸を中心に回転可能なローラ(ローラ167)と、を有し、前記係合突部のうち前記ガイド突壁と当接する部分が前記ローラで構成されている、特徴A2又はA3に記載の遊技機。
【0072】
本特徴に示す構成では、係合突部とガイド突壁の摺動抵抗を低減することが可能となる。
【0073】
[特徴A5]
前記支持部材は、前記ガイド突壁に隣接した窪み(ガイド突壁受容開口部123)を有し、
前記係合突部は、前記窪みに受容される、特徴A2乃至A4のうち何れか1に記載の遊技機。
【0074】
本特徴に示される構成では、係合突部の突出量を大きくして、ガイド突壁と係合突部の係合を外れ難くすることが可能となる。
【0075】
[特徴A6]
前記支持部材は、前記第2可動部に重ねられるベース部(ベース本体102)と、前記ベース部のうち前記第2可動部と対向する面に重ねられるカバー部(カバー120)と、を有し、
前記窪みは、前記カバー部に形成された開口部(ガイド突壁受容開口部123)によって構成され、
前記係合突部は、前記開口部に受容される、特徴A5に記載の遊技機。
【0076】
本特徴に示される構成では、支持部材の窪みを簡単に形成することが可能となる。また、カバー部の開口部の形状やサイズを変更することで窪みの形状やサイズを容易に変更することが可能となる。
【0077】
[特徴A7]
前記ガイド突壁は、前記ベース部から起立して前記開口部を貫通している、特徴A6に記載の遊技機。
【0078】
本特徴に示される構成では、支持部材と第2可動部との間隔を狭くしつつ、ガイド突壁の突出高さを高くすることが可能となる。
【0079】
[特徴A8]
前記開口部の開口縁には、前記ベース部と前記カバー部の重なり方向から見た前記ガイド突壁の形状と同形状に形成されて、前記ガイド突壁に密接して配置される密接縁部(波状縁部124)が設けられている、特徴A6又はA7に記載の遊技機。
【0080】
本特徴に示される構成では、ガイド突壁と開口部を目立たなくすることが可能となる。
【0081】
[特徴A9]
前記ガイド突壁の突出方向で前記第1可動部が前記支持部材から離間することを抑制する離間抑制手段(下端突部156の突片部156T)が設けられている、特徴A2乃至A8のうち何れか1に記載の遊技機。
【0082】
本特徴に示される構成では、係合突部とガイド突壁の係合を外れ難くすることが可能となる。
【0083】
[特徴A10]
支持部材(支持ベース101)と、
前記支持部材に支持され、前記支持部材に対して第1方向に移動可能な移動部材(可動演出部材150)と、を有する遊技機において、
前記移動部材には、前記第1方向に移動可能な第1可動部(第1可動部151)と、前記第1可動部に支持されて前記第1可動部に対して前記第1方向とは異なる第2方向に移動可能な第2可動部(第2可動部152)と、が備えられ、
前記第1可動部の移動に伴って前記第2可動部を移動させる連動機構(第2可動部161の係合ピン165と支持ベース101のガイド突壁107)を有する、遊技機。
【0084】
本特徴に示される構成では、第1可動部の第1方向の移動に伴って第2可動部を第2方向に移動させることが可能となるので、移動部材の興趣の向上が図られる。
【0085】
なお、特徴A10に示される構成に、特徴A1~A9に示される構成が組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 遊技機
100 可動役物装置
101 支持ベース
102 ベース本体
120 カバー
107 ガイド突壁
150 可動演出部材
151 第1可動部
161 第2可動部
165 係合ピン