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  • 特許-チェーンの取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】チェーンの取付構造
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/14 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A47K1/14 C
A47K1/14 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018198847
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020065618
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笹川 知久
(72)【発明者】
【氏名】坂 那木沙
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-325245(JP,A)
【文献】特開2013-099427(JP,A)
【文献】実開平03-125483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/14
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を閉塞する栓体と固定部材とを繋ぐチェーンの取付構造であって、
前記チェーン端部に形成された係合部と、
前記栓体又は前記固定部材に形成された取付部を備え、
前記取付部は前記係合部と係合する弾性爪と、
前記栓体又は前記固定部材から前記チェーンを離間する方向に力を加えた際に、前記係合部の抜脱を防ぐ抜け止め構造とを有し、
前記抜け止め構造は、前記係合部を前記弾性爪の根元側に案内するガイド部から成ることを特徴とするチェーンの取付構造。
【請求項2】
排水口を閉塞する栓体と固定部材とを繋ぐチェーンの取付構造であって、
前記チェーン端部に形成された係合部と、
前記栓体又は前記固定部材に形成された取付部を備え、
前記取付部は前記係合部と係合する弾性爪を有し、
前記取付部は前記弾性爪と対向する位置において、前記弾性爪を根元側に押圧し、前記弾性爪と前記係合部との係合を解除するための操作口が形成されていることを特徴とするチェーンの取付構造。
【請求項3】
前記取付部は、
前記係合部が挿通可能な溝部を有し、
前記溝部内に前記弾性爪が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチェーンの取付構造。
【請求項4】
前記取付部は、
前記排水口を閉塞する前記栓体に備えられるとともに、前記栓体は前記排水口に載置されるゴム栓であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のチェーンの取付構造。
【請求項5】
前記取付部は、
前記固定部材に備えられているとともに、前記固定部材は前記排水口近傍に配置されるヒートンであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のチェーンの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口を閉塞する栓体と固定部材とを繋ぐチェーンの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗面台や浴槽等の槽体は底部に排水口が形成されており、当該排水口は栓体が着脱されることによって、湯水の貯留や排出を行うことが可能となる。
栓体はゴム等の弾性部材から成る本体部と、PPやPOM等の樹脂材から成る取付部を有している。尚、取付部は栓体の上方に向けて突出するとともに、側面に貫通孔が形成されている。
チェーンはステンレス材から成る玉鎖であり、端部にダブルリングを備えている。ダブルリングはステンレス材からなる二重のリング体であり、チェーンの一端又は両端に設けられている。
【0003】
上記栓体とチェーンの取り付けを行う際には、ペンチや治具等を用いてダブルリングを拡開し、端部を取付部の貫通孔に挿通させるとともに、ダブルリングを回転させながら押し込むことで行う。
【0004】
尚、上記チェーンの取付構造は栓体とチェーンの取り付けに限るものではなく、栓体を保持する固定部材との取り付けにも使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-202089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のチェーンの取付構造は、ダブルリングを貫通孔に挿通可能な程度に拡開させつつ作業を行うため煩雑であり、作業者の習熟度によって作業速度に差が生じていた。又、作業者が取り付け作業中にダブルリングによって負傷する恐れがあった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、チェーンの取付構造に関し、作業効率の向上及び作業の安全性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、排水口を閉塞する栓体と固定部材とを繋ぐチェーンの取付構造であって、
前記チェーン端部に形成された係合部と、
前記栓体又は前記固定部材に形成された取付部を備え、
前記取付部は前記係合部と係合する弾性爪と、
前記栓体又は前記固定部材から前記チェーンを離間する方向に力を加えた際に、前記係合部の抜脱を防ぐ抜け止め構造とを有し、
前記抜け止め構造は、前記係合部を前記弾性爪の根元側に案内するガイド部から成ることを特徴とするチェーンの取付構造である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、排水口を閉塞する栓体と固定部材とを繋ぐチェーンの取付構造であって、
前記チェーン端部に形成された係合部と、
前記栓体又は前記固定部材に形成された取付部を備え、
前記取付部は前記係合部と係合する弾性爪を有し、
前記取付部は前記弾性爪と対向する位置において、前記弾性爪を根元側に押圧し、前記弾性爪と前記係合部との係合を解除するための操作口が形成されていることを特徴とするチェーンの取付構造である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記取付部は、
前記係合部が挿通可能な溝部を有し、
前記溝部内に前記弾性爪が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチェーンの取付構造である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記取付部は、
前記排水口を閉塞する前記栓体に備えられるとともに、前記栓体は前記排水口に載置されるゴム栓であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のチェーンの取付構造である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、前記取付部は、
前記固定部材に備えられているとともに、前記固定部材は前記排水口近傍に配置されるヒートンであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のチェーンの取付構造である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チェーンの取付構造を簡素化することが可能となるとともに、作業者の習熟度に関わらず作業速度を安定させることが可能となる。又、作業者が安全に作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のチェーンの取付構造を示す断面図である。
図2】本発明のチェーンの取付構造を示す斜視図である。
図3】栓体を示す分解断面図である。
図4】取付部を示す(a)断面図(b)平面図である。
図5】チェーンの取り付け工程を示す断面図である。
図6】取り付け完了状態からチェーンを引っ張った状態を示す断面図である。
図7】第二実施形態に係るチェーンの取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明のチェーンの取付構造を説明する。尚、以下に記載する発明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明は洗面台の槽体100に取り付けられるチェーンの取付構造に関するものである。尚、槽体100は上方が開放された箱状であり、底部に形成された排水口に栓体1が着脱されることによって槽体100は内部に湯水を貯留、又は排出することが可能となる。又、槽体100の縁部101には水栓(図示せず)及び固定部材5が配置されているとともに栓体1と固定部材5はチェーン4によって接続されている。
【0019】
図3に示すように、栓体1は本体部2と取付部3から構成されるゴム栓である。
【0020】
本体部2はゴム等の弾性素材から成り、下方に向けて縮径する円錐状且つ断面視略台形状であって、その中央には上下方向に向けて本体部2を貫通する円筒状の開口21が形成されている。
開口21は上端において内鍔部22が形成されているとともに、下方より取付部3が挿入されている。尚、取付部3が挿入された状態において、取付部3の外面と開口21の内面は水密に当接された状態となっており、取付部3と本体部2の間を湯水が通過することはない。又、挿入された取付部3は内鍔部22によって抜け止めがなされている。
【0021】
図4に示すように、取付部3は円筒状の筒状部31を有するとともに、上端より下方に向けて、チェーン4の係合部42が挿通可能な程度の幅を有する溝部32が形成されている。尚、図4(b)に示すように、当該溝部32によって、平面視において筒状部31は2つの半円柱である筒状部31aと筒状部31bに分断されている。又、筒状部31aは溝部32内において、弾性爪33が形成されているとともに、筒状部31bの側面には操作口35が開口している。
弾性爪33は筒状部31aから筒状部31bに向かうように、斜め下方に向けて突設されているとともに、その端部は側面視において操作口35から露出している。又、弾性爪33は下面において抜け止め構造としてのガイド部34が形成されている。ガイド部34は弾性爪33端部から根元側に向けて形成された傾斜面であり、取り付けられたチェーン4を取付部3から離間する方向に力を加えた際にチェーン4の係合部42を弾性爪33の根元側に案内する。
操作口35は筒状部31bの側面において、弾性爪33と対向する位置において形成された開口であり、弾性爪33が露出する位置に形成されている。
【0022】
チェーン4は複数の玉状部41が連結された玉鎖であり、その両端部には係合部42を有している。
係合部42は両端に開口が形成されているとともに、当該開口から軸方向にスリットが形成された薄板状の金属板であって、両端に形成された開口に玉状部41を挿通した状態で、当該両端の開口を当接させるように折り曲げられることで取り付けられている。
【0023】
固定部材5は槽体100の縁部101に配置された筒状の部材から成るヒートンであって、取付部3と、取付部3下方に形成された雄螺子部を有している。
取付部3は上記栓体1の取付部3と同一の形状を成し、筒状部31、溝部32、弾性爪33、操作口35を有している。
【0024】
上述の通り栓体1と固定部材5は同一形状の取付部3を有しており、当該取付部3を介してチェーン4が取り付けられる。従って、以下に記載するチェーン4の取り付けや取り外しに関する記載においては、栓体1と固定部材5を併せて説明する。
【0025】
チェーン4を取り付ける際には、チェーン4の係合部42を溝部32に挿入し、係合部42と弾性爪33を係合させる。当該係合について詳述すると、図5(b)に示すように、係合部42が溝部32に挿入されると、係合部42の端部が弾性爪33の上面と当接し、弾性爪33を下方に向けて押し動かす。そして、弾性爪33と筒状部31bとの間に係合部42が通過可能な程度の空間ができると、係合部42は弾性爪33を乗り越えて溝部32下端に配置される。尚、係合部42が溝部32の下端に配置されると、弾性爪33は自身の弾性力によって復元し、弾性爪33と筒状部31bとの間は係合部42が通過不可能となることで、チェーン4の取り付けが完了する。
【0026】
上記取り付け完了状態においてチェーン4を引っ張り、取付部3からチェーン4を離間する方向に力を加えると、係合部42が弾性爪33下面に形成されたガイド部34に当接する。この時、ガイド部34によって弾性爪33には係合部42との係合が解除される方向とは対向する方向に応力が加わるとともに、係合部42は弾性爪33の根元側に案内されるため、取付部3より係合部42が外れてしまうことはない。
【0027】
一方、取付部3とチェーン4を分離させる場合には、筒状部31bの操作口35より精密ドライバー等を用いて弾性爪33を筒状部31a側へと押圧し、弾性爪33を根元側に押し戻すことで筒状部31bと弾性爪33との間に係合部42が通過可能な空間を形成する。そして、当該空間を通じて係合部42を上方へと引き抜くことによって、取付部3とチェーン4を分離させることが可能となる。
【0028】
本発明のチェーンの取付構造においては、係合部42を栓体1又は固定部材5の溝部32に挿通するだけで取り付けを行うことが可能となる。従って、従来の取付構造のように、ペンチや治具等を使用してダブルリングを拡開させるといった煩雑な工程を必要とせず、生産性が向上するとともに、ダブルリングによる負傷を防ぐことができる。又、そもそもダブルリングが不要となることから、部材点数を削減することが可能となる。更に、栓体1又は固定部材5からチェーン4を離間する方向に力を加えたとしても、ガイド部34によって栓体1又は固定部材5からチェーン4の係合部42が分離してしまうことはない。一方、栓体1又は固定部材5とチェーン4を分離させる際には操作口35を利用することによって簡単に分離作業を行うことが可能となる。
【0029】
本発明は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形状変更を行っても良いものである。例えば、図7に示す第二実施形態の様に、チェーン4の玉状部41が係合部42を兼ねても良い。この場合、チェーン4に別途係合部42を備える必要がないため、更に部材点数を削減することができる。
【0030】
又、上記実施形態において、チェーンの取付構造は洗面台に使用される栓体又は固定部材とチェーンの取り付けに関するものであったが、浴槽やキッチンシンク等に使用される栓体又は固定部材とチェーンの取り付けに関するものであっても良い。
又、上記実施形態において、栓体は弾性部材から成る本体部を有するゴム栓であったが、樹脂部材から成る本体部に止水パッキンが嵌着されたもの等であっても良い。同様に、上記実施形態において固定部材はヒートンであったが、栓体を保持するための部材であれば良く、又、固定部材が配置される箇所については何ら限定されるものではない。
【0031】
又、取付部や係合部について、その材質を問うものではない。即ち、弾性爪が金属材から成るものやゴム等から成るものであっても良い。尚、材質について、弾性爪のみが別材質から成る等、複数の材質から成る構造であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 栓体
2 本体部
21 開口
22 内鍔部
3 取付部
31、31a、31b 筒状部
32 溝部
33 弾性爪
34 ガイド部
35 操作口
4 チェーン
41 玉状部
42 係合部
5 固定部材
100 槽体
101 縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7