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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/08 20060101AFI20230110BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F24C15/08 F
F24C3/00 L
F24C3/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018221943
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020085369
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小澤 耕平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-033045(JP,A)
【文献】特開2014-240737(JP,A)
【文献】特開2014-229369(JP,A)
【文献】特開平03-008396(JP,A)
【文献】特開2002-061850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0334113(US,A1)
【文献】実開昭54-119859(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/08
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、
前記筐体は、
底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、
前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材と
を備え、
前記パネル固定部材は、
前記底壁部の上面に配置される底板部と、
前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部と
を備え、
前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ
前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、内側に向けて凹む絞り部が形成され、
前記第一スリットは、前記絞り部の前側部に形成されたこと
を特徴とするコンロ。
【請求項2】
筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、
前記筐体は、
底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、
前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材と
を備え、
前記パネル固定部材は、
前記底壁部の上面に配置される底板部と、
前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部と
を備え、
前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ
前記舌片部には、前記舌片部が前記第一スリットに差し込まれたときに、前記第一スリットの縁部に係止する係止部が設けられたこと
を特徴とするコンロ。
【請求項3】
筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、
前記筐体は、
底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、
前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材と
を備え、
前記パネル固定部材は、
前記底壁部の上面に配置される底板部と、
前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部と
を備え、
前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ
前記筐体は、前記前面側で、且つ前記左壁部及び前記右壁部よりも内側寄りに配置され、前記パネル部を固定する為の固定柱を更に備え、
前記パネル固定部材の前記底板部において前記固定柱を配置する箇所には、第二スリットと第二固定穴を備えた柱固定部が形成され、
前記固定柱の下部には、前記柱固定部の上側に重合される重合板が設けられ、
前記重合板には、
前記重合板から下方に突出し、前記第二スリットに上方から差し込まれる柱側差込片と、
前記重合板に設けられ、前記第二固定穴と相対し、且つネジ止め固定される柱側固定穴と
が設けられたこと
を特徴とするコンロ。
【請求項4】
前記固定柱は、左右方向に面を向けて配置される板状に形成され、
前記重合板は、前記固定柱の前記下部を側方に屈曲して形成され、
前記柱側差込片は、前記重合板を下方に切り起して形成されたこと
を特徴とする請求項に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の前面に樹脂製のフロントパネルが固定され、さらにそのフロントパネルの表側に化粧パネルを組み付けたコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のコンロにおいては、例えば、筐体の左側板及び右側板の前端部に、前方向に開口するネジ穴付きの固定部が設けられる。フロントパネルを筐体の前面に固定する際、フロントパネルを筐体の前面に仮組みした状態で、筐体側の固定部のネジ穴と、フロントパネル側のネジ穴とを前後方向に重合させ、ネジで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-52840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンロの軽量化の為、筐体の板厚は薄く設定されていることが多いことから、曲げ加工等により、筐体の左側板及び右側板の前端部に固定部を形成することができない。このため、固定部を備えるパネル固定部材を筐体に固定する必要があるが、筐体の左側板及び右側板に対して、横方向からのネジ止めが必要となる。その場合、筐体を動かしたり、ネジ止めの際にパネル固定部材を押さえたりする必要があるので、作業性が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、パネル固定部材を筐体本体部に容易に組み付けることができるコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のコンロは、筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、前記筐体は、底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材とを備え、前記パネル固定部材は、前記底壁部の上面に配置される底板部と、前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部とを備え、前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ、前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、内側に向けて凹む絞り部が形成され、前記第一スリットは、前記絞り部の前側部に形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のコンロは、筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、前記筐体は、底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材とを備え、前記パネル固定部材は、前記底壁部の上面に配置される底板部と、前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部とを備え、前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ、前記舌片部には、前記舌片部が前記第一スリットに差し込まれたときに、前記第一スリットの縁部に係止する係止部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3のコンロは、筐体の前面にパネル部が固定されるコンロにおいて、前記筐体は、底壁部と、前記底壁部の左右両端部に立設された左壁部及び右壁部とを備える筐体本体部と、前記筐体本体部に固定され、前記パネル部を固定する為のパネル固定部材とを備え、前記パネル固定部材は、前記底壁部の上面に配置される底板部と、前記底板部の左右両端部に立設され、前記パネル部を固定する為の第一固定穴を前記前面に向けて支持する固定部と、後方に向けて突出する舌片部とを備える左板部及び右板部とを備え、前記筐体本体部の前記左壁部及び前記右壁部には、前記舌片部が前方から後方に向けて差し込み可能な第一スリットが設けられ、前記筐体は、前記前面側で、且つ前記左壁部及び前記右壁部よりも内側寄りに配置され、前記パネル部を固定する為の固定柱を更に備え、前記パネル固定部材の前記底板部において前記固定柱を配置する箇所には、第二スリットと第二固定穴を備えた柱固定部が形成され、前記固定柱の下部には、前記柱固定部の上側に重合される重合板が設けられ、前記重合板には、前記重合板から下方に突出し、前記第二スリットに上方から差し込まれる柱側差込片と、前記重合板に設けられ、前記第二固定穴と相対し、且つネジ止め固定される柱側固定穴とが設けられたことを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項のコンロの前記固定柱は、左右方向に面を向けて配置される板状に形成され、前記重合板は、前記固定柱の前記下部を側方に屈曲して形成され、前記柱側差込片は、前記重合板を下方に切り起して形成されるとよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のコンロによれば、パネル固定部材の左板部及び右板部に設けられた舌片部を、第一スリットに対して前方から差し込むことによって、パネル固定部材は、筐体本体部の前側において内側に重なるように配置される。このように、パネル固定部材を前方から差し込むだけで、パネル固定部材を筐体本体部に容易且つ速やかに組み付けることができるので、コンロの生産効率を向上できる。
【0012】
さらに、第一スリットは、絞り部の前側部に形成されているので、第一スリットに差し込まれた舌片部は、絞り部の内側に配置される。これにより、舌片部が筐体本体部の左壁部及び右壁部の外方に突出しない。また、左壁部及び右壁部に絞り部を設けることで、絞り部を設けた部分の剛性を向上できる。なお、絞り部は、左壁部及び右壁部の夫々の前端側に設けるとよい。その場合、左壁部及び右壁部の夫々の前端側部分の剛性を向上できる。
【0013】
請求項のコンロによれば、パネル固定部材の左板部及び右板部に設けられた舌片部を、第一スリットに対して前方から差し込むことによって、パネル固定部材は、筐体本体部の前側において内側に重なるように配置される。このように、パネル固定部材を前方から差し込むだけで、パネル固定部材を筐体本体部に容易且つ速やかに組み付けることができるので、コンロの生産効率を向上できる。さらに、舌片部が第一スリットに差し込まれたときに、舌片部に設けられた係止部が第一スリットの縁部に係止する。これにより、パネル固定部の左板部及び右板部を、筐体本体部の左壁部及び右壁部に固定できる。また、第一スリットから舌片部の抜けを防止できる。
【0014】
請求項のコンロによれば、パネル固定部材の左板部及び右板部に設けられた舌片部を、第一スリットに対して前方から差し込むことによって、パネル固定部材は、筐体本体部の前側において内側に重なるように配置される。このように、パネル固定部材を前方から差し込むだけで、パネル固定部材を筐体本体部に容易且つ速やかに組み付けることができるので、コンロの生産効率を向上できる。さらに、筐体本体部の中央側でパネル部を固定する為の固定柱を、パネル固定部材の底面部の上面に起立した状態で仮組みできる。これにより、起立した姿勢を保つ為に、固定柱をわざわざ手で押さえる必要がないので、作業性を向上できる。
【0015】
請求項のコンロによれば、固定柱の下部に、重合板と柱側差込片を一体形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】筐体2、右パネルユニット31、左パネルユニット32の分解斜視図である。
図3】筐体2の右側面図である。
図4】筐体2の分解斜視図である。
図5図4に示すW1領域の部分拡大図である。
図6】筐体本体部20の正面図である。
図7】筐体本体部20に対してパネル固定部材40を前方から組み付けるときの状態を示す図である。
図8】筐体本体部20に対してパネル固定部材40を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0018】
図1を参照し、コンロ1の外観構造を説明する。コンロ1はビルトインコンロである。コンロ1は、略直方体状の筐体2を備える。筐体2の開口する上部には、天板3が固定される。天板3の右手前には右バーナ5、左手前には左バーナ6、中央奥側には奥バーナ7が設けられる。天板3の後端側中央には、グリル用の排気口9が設けられる。筐体2の前面の中央には、グリル扉10が手前に引き出し可能に設けられる。グリル扉10は、筐体2内に設置されるグリル庫の開口(図示略)を開閉する。グリル扉10の右隣には、右パネルユニット31、左隣には、左パネルユニット32が設けられる。
【0019】
右パネルユニット31の高さ方向の略中央部には、右から順に、点火ボタン11、12が横並びに設けられる。点火ボタン11は、右バーナ5の点火/消火を行い、点火ボタン12は、グリル庫内のグリルバーナの点火/消火を行う。点火ボタン11、12の上側には、化粧板315が設けられ、下側には、前面パネル316が設けられる。前面パネル316を後方に押し込むと、操作部312(図2参照)が前方に引き出される。操作部312は、例えば、コンロ1のタイマ設定、モード設定等を行う。左パネルユニット32の高さ方向の略中央部には、右から順に、点火ボタン13、14が横並びに設けられる。点火ボタン13は、奥バーナ7の点火/消火を行い、点火ボタン14は左バーナ6の点火/消火を行う。点火ボタン13、14の上側には、化粧板325が設けられ、下側には、電池ケース322(図2参照)のカバー326が設けられる。電池ケース322は、乾電池(図示略)を収納可能である。
【0020】
図2を参照し、右パネルユニット31及び左パネルユニット32の構造を説明する。右パネルユニット31は、パネル部311、点火ボタン11、12、操作部312、化粧板315、前面パネル316等を備える。パネル部311は樹脂製であり、正面視略矩形板状に形成される。点火ボタン11、12は、パネル部311の高さ方向中央部において、横並びに押し込み可能に設けられる。パネル部311の右上角部には、固定穴31Aが設けられ、その下方で且つ点火ボタン11の右斜め上方には、固定穴31Bが設けられる。パネル部311の左上角部には、固定穴31Cが設けられ、その下方で且つ点火ボタン12の左斜め上方には、固定穴31Dが設けられる。これら固定穴31A~31Dは、パネル部311を前後方向に貫通する。固定穴31A~31Dは、パネル部311の前面に、右パネルユニット31を固定する為に用いられる。操作部312は、点火ボタン11、12の下方に設けられた開口部の内側に収納され、手前方向に引き出し可能に設けられる。化粧板315は、パネル部311の前面における上側領域に装着される。前面パネル316は、操作部312の前部に固定される。
【0021】
左パネルユニット32も、右パネルユニット31と同様に、パネル部321、点火ボタン13、14、電池ケース322、化粧板325、カバー326等を備える。パネル部321の左上角部には、固定穴32Aが設けられ、その下方で且つ点火ボタン14の左斜め上方には、固定穴32Bが設けられる。パネル部321の右上角部には、固定穴32Cが設けられ、その下方で且つ点火ボタン13の右斜め上方には、固定穴32Dが設けられる。これら固定穴32A~32Dも、パネル部321を前後方向に貫通する。固定穴32A~32Dは、パネル部321の前面に、左パネルユニット32を固定する為に用いられる。電池ケース322は、点火ボタン13、14の下方に設けられる。化粧板325は、パネル部321の前面における上側領域に装着される。カバー326は、電池ケース322の前側の開口を塞ぐようにして取り付けられる。
【0022】
図4を参照し、筐体2の構造を説明する。筐体2は、筐体本体部20、背壁部24、上梁部25、パネル固定部材40、右固定柱70、左固定柱80等を備える。
【0023】
筐体本体部20は正面視略U字状に形成され、例えば板金を折り曲げることによって形成される。筐体本体部20は、右壁部21、左壁部22、底壁部23を備える。右壁部21は、右側面視略矩形状に形成され、その前端部の下側部分には、側面視略矩形状に前方に突出する前方突出部211が設けられる。右壁部21の上端部には、外方(右方)に折り曲げられた受け部212が設けられる。前方突出部211の後側で且つ上部には、絞り部214が設けられる。絞り部214は、筐体本体部20の内側に向けて凹み、例えば、絞り加工(プレス加工)で形成される。絞り部214は、前方突出部211の剛性を向上する。絞り部214は、後方に向かうに従って高さ方向の幅が狭くなる右側面視略台形状に形成される。絞り部214の外面側の後端部には、右壁部21の外面より内側に低くなった段部217が形成される。絞り部214の前端部は、右側面視上下方向に延びる直線状に形成される。絞り部214の前端部には、前後方向に貫通するスリット215(図6参照)が設けられる。スリット215は正面視上下方向に長く、且つ左右方向に短い幅を有する。
【0024】
左壁部22は、右壁部21と左右対称形状であり、左側面視略矩形状に形成される。左壁部22の前端部の下側部分には、側面視略矩形状に前方に突出する前方突出部221が設けられる。左壁部22の上端部には、外方(左方)に折り曲げられた受け部222が設けられる。図4に示すように、前方突出部221の後側で且つ上部には、絞り部224が設けられる。絞り部224は、前方突出部221の剛性を向上する。絞り部224の外面側の後端部には、左壁部22の外面より内側に低くなった段部227が形成される。絞り部224は、絞り部214と同様に形成され、その前端部には、前後方向に貫通するスリット225が設けられる。
【0025】
底壁部23は、右壁部21の下端部と左壁部22の下端部の間に設けられ、平面視略矩形状に形成される。底壁部23の前端側には、固定穴231、232が左右方向に離間して設けられる。固定穴231、232は、後述するパネル固定部材40を介して、右固定柱70の下端部と、左固定柱80の下端部とを夫々固定する為の穴である。
【0026】
背壁部24は、筐体本体部20の開口する背面側であって、右壁部21の後端部と左壁部22の後端部の間に固定される。背壁部24は、底壁部23の後端部から後方に向かうにつれて上り傾斜する。背壁部24の上端部には、外方(後方)に折り曲げられた受け部242が設けられる。
【0027】
上梁部25は、右壁部21の前方突出部211の上端部と、左壁部22の前方突出部221の上端部との間に略水平に掛け渡して固定される。上梁部25は、前板部251、受け部252、水平板部253を備える。前板部251は、正面視左右方向に延びる略矩形板状に形成される。受け部252は、前板部251の上端部に設けられ、外方(前方)に折り曲げて形成される。水平板部253は、前板部251の下端部から前方に向けて略水平に突出し、平面視左右方向に延びる略矩形板状に形成される。水平板部253の右端部には、固定穴26が設けられる。固定穴26よりも左側であって、グリル庫に対応する中央部分よりも右側部分には、一対の固定穴28A、28Bが設けられる。一方、水平板部253の左端部にも、固定穴27が設けられる。固定穴27よりも右側であって、グリル庫に対応する中央部分よりも左側部分には、一対の固定穴29A、29Bが設けられる。
【0028】
右壁部21の受け部212、左壁部22の受け部222、背壁部24の受け部242、上梁部25の受け部252は、筐体2の上部に鍔部200を形成する。鍔部200は上方向に突出する略四角筒状に形成され、その上端部は外方に向けて鍔状に張り出して形成される。鍔部200は、図示しないキッチンのキャビネット上面の開口の周縁上面に上方から係止する。これにより、筐体2がキャビネット内に支持される。鍔部200の上部には、天板3の縁部がネジ止め固定される。このようにして、筐体2の上部に天板3が固定される。
【0029】
図4図6を参照し、パネル固定部材40の構造を説明する。パネル固定部材40は、右パネルユニット31及び左パネルユニット32を筐体本体部20の前面に固定する為の部材である。パネル固定部材40は、正面視略U字状に形成され、例えば板金を折り曲げることによって形成される。パネル固定部材40は、底板部41、右板部42、左板部43を備える。
【0030】
底板部41は、平面視左右方向に延びる板状に形成され、筐体本体部20の底壁部23の上面の前側部分に重合して設置される。底板部41は、中央部411、右側部412、左側部413を備える。中央部411は、底板部41の中間部であって、グリル庫の底部の前側が設置される部位である。右側部412は、底板部41の右側部であって、右パネルユニット31が設置される部位である。右側部412は平面視略矩形状に形成され、中央部411の右端部と連結し、中央部411の前後方向の幅よりも広い幅を有する。左側部413は、底板部41の左側部であって、左パネルユニット32が設置される部位である。左側部413は、右側部412と左右対称形状であって、中央部411の左端部と連結し、中央部411の前後方向の幅よりも広い幅を有する。中央部411の上面は、プレス加工により、右側部412及び左側部413の上面よりも高くなるように形成される。
【0031】
中央部411と右側部412は連結部415において連結する。連結部415の上面は、中央部411の上面と同一高さである。連結部415の上面には、スリット46A、固定穴45、スリット46Bが前後方向に並んで設けられる。スリット46Aは連結部415の後部に設けられ、スリット46Bは連結部415の前部に設けられる。スリット46A、46Bは上下方向に貫通し、且つ平面視左右方向に長い略矩形状の細穴である。固定穴45は、スリット46Aと46Bの間に設けられる。固定穴45は上下方向に貫通する平面視円形状の穴である。一方、中央部411と左側部413は連結部416において連結する。連結部416は、連結部415と左右対称形状であるので、連結部416の上面には、連結部415と同様に、スリット48A、固定穴47、スリット48Bが前後方向に並んで設けられる。
【0032】
右板部42は、底板部41の右端部に略直角に立設され、右側面視後方に向けて開口する略コの字型に形成される。右板部42は、前側固定部51、上側固定部52、舌片部53、絞り部421を備える。前側固定部51は、右板部42の前端部の上側部分から左方に板状に突出して設けられ、その上部には固定穴511、下部には固定穴512を備える。固定穴511、512は、前側固定部51を前後方向に貫通する。上側固定部52は、右板部42の上端部から左方に板状に突出して設けられる。上側固定部52の前端部は、前側固定部51の上端部と連結する。上側固定部52の前端部近傍には、固定穴521が設けられる。固定穴521は上側固定部52を上下方向に貫通する。
【0033】
舌片部53は、右板部42の後端部のうち前方に凹んだ部分の上部に設けられる。舌片部53は、右板部42の後端部から後方に向けて板状に突出し、その後方に突出する先端部の上下の両角部は、テーパ状に形成される。よって、舌片部53の先端部は後方に向けて先細り状に形成される。舌片部53の略中央部には、右側面視前方に向かって開口する略コの字状に切断した切断部54が設けられる。その切断部54の内側には、略矩形状の板バネ部55が設けられる。板バネ部55は、前端部を基点に後端側を左右方向に撓ませることができる。
【0034】
板バネ部55の外面(右面)の先端部には、外方(右方)に向けて突出する係止部56が設けられる。係止部56は、例えばプレス加工で形成するとよい。さらに、舌片部53の内面(左面)において、板バネ部55を上下方向から挟み込む位置には、内方に向けて突出する一対の凸部57が設けられる。一対の凸部57は、例えばプレス加工で形成するとよい。舌片部53において、一対の凸部57と係止部56は、前後方向において略同一位置に夫々配置される。絞り部421は、内側に向けて凹んだ部分であって、右板部42の上端部と前端部に沿うようにして右側面視略逆L字状に形成される。絞り部421は、プレス加工で形成するとよい。絞り部421は、右板部42の剛性、特に舌片部53周囲の剛性を向上できる。
【0035】
左板部43は、底板部41の左端部に略直角に立設され、左側面視後方に向けて開口する略コの字型に形成され、右板部42と左右対称形状である。左板部43も、右板部42と同様に、前側固定部61、上側固定部62、舌片部63、絞り部431を備える。前側固定部61は、その上部に固定穴611、下部に固定穴612を備える。上側固定部62の前端部近傍には、固定穴621が設けられる。舌片部63にも切断部64が設けられ、その内側には、板バネ部65が形成される。
【0036】
板バネ部65の外面(左面)の先端部には、外方(左方)に向けて突出する係止部66が設けられる。舌片部63の内面(右面)において、板バネ部65を上下方向から挟み込む位置には、内方に向けて突出する一対の凸部67が設けられる。舌片部63において、一対の凸部67と係止部66は、前後方向において略同一位置に夫々配置される。絞り部431は、内側に向けて凹んだ部分であって、左板部43の上端部と前端部に沿うようにして左側面視略逆L字状に形成される。絞り部431は、左板部43の前方突出部221の剛性、特に舌片部63周囲の剛性を向上できる。
【0037】
図4を参照し、右固定柱70と左固定柱80の形状を説明する。なお、右固定柱70と左固定柱80は左右対称形状であるので、右固定柱70の構造を具体的に説明し、左固定柱80の構造については簡単に説明する。右固定柱70及び左固定柱80は、パネル固定部材40と共に、右パネルユニット31及び左パネルユニット32を、筐体2の前面に固定する為の部材であり、板金を屈曲することで形成される。
【0038】
右固定柱70は、側面視上下方向に長い板状に形成され、左右方向に両面を向けた状態で連結部415上に配置される。右固定柱70は、上側固定部71、前側固定部72、下側固定部73を備える。上側固定部71は、右固定柱70の上端部から右方に突出して設けられ、平面視略矩形板状に形成される。上側固定部71の左端部近傍には固定穴711が設けられ、右端部近傍には固定穴712が設けられる。前側固定部72は、右固定柱70の前端部のうち上半分の部分から左方に板状に突出して設けられる。前側固定部72の上部には固定穴721が設けられ、下部には固定穴722が設けられる。固定穴721、722は、前側固定部72を前後方向に貫通する。
【0039】
下側固定部73は、右固定柱70の下端部から右方に屈曲して設けられ、平面視略矩形板状に形成される。下側固定部73には、差込片76A、固定穴74、開口75、差込片76Bが設けられる。差込片76Aは、下側固定部73の後端部から下方に突出して設けられる。固定穴74は、下側固定部73の後端部であって、差込片76A近傍に設けられる。固定穴74は、下側固定部73を上下方向に貫通する平面視円形状である。開口75は、固定穴74よりも前方に設けられ、平面視略矩形状に形成される。差込片76Bは、開口75の後縁部から下方に突出して設けられ、下側固定部73を下方に切り起こすことによって形成される。このように、本実施形態では、右固定柱70の下部に、下側固定部73、差込片76A、76Bを一体形成できる。下側固定部73の差込片76A、固定穴74、差込片76Bの夫々の位置は、パネル固定部材40の連結部415のスリット46A、固定穴45、スリット46Bの夫々の位置に対応する。
【0040】
左固定柱80は、右固定柱70と左右対称形状であり、左右方向に両面を向けた状態で連結部416上に配置される。左固定柱80も、右固定柱70と同様に、上側固定部81、前側固定部82、下側固定部83を備える。上側固定部81には、固定穴711、712が設けられる。前側固定部82の上部には固定穴821が設けられ、下部には固定穴822が設けられる。下側固定部83には、図示しない二つの差込片、固定穴、開口が設けられる。二つの差込片、固定穴の夫々の位置は、連結部416のスリット48A、48B、固定穴47の夫々の位置に対応する。
【0041】
図7図8を参照し、筐体本体部20へのパネル固定部材40の組み付け方法の一例を説明する。図7に示すように、作業者は、先ず、パネル固定部材40の前面に対し、右板部42及び左板部43の舌片部53、63の各先端部を前方から向けた状態で、パネル固定部材40を配置する。次いで、右板部42の舌片部53を、筐体本体部20の右壁部21に設けられたスリット215に差し込むと共に、左板部43の舌片部63を、左壁部22に設けられたスリット225に差し込む。作業者は、パネル固定部材40を、筐体本体部20の前縁部側から内側に滑り込ませ、後方に移動させる。これにより、パネル固定部材40は、筐体本体部20の前縁部の内側に重なるように配置される。
【0042】
ここで、舌片部53、63の夫々の先端側の両角部はテーパ状になっているので、仮にスリット215、225に対して、高さ方向の位置がずれた状態で舌片部53、63を差し込んだ場合、スリット215、225の上縁部又は下縁部に対して、舌片部53、63の先端部のテーパ部分が摺動する。これにより、舌片部53、63は、スリット215、225の位置に合うように高さ方向の位置が補正される。
【0043】
そして、筐体本体部20の右壁部21において、舌片部53がスリット215に差し込まれると、舌片部53の内面に設けられた一対の凸部57は、絞り部214の外面(右面)に接触する。一方、板バネ部55の外面の先端側に設けられた係止部56は、右壁部21の内面に接触する。これにより、板バネ部55の先端側は、前端部を基点に右壁部21の内面から離間する方向に撓む。
【0044】
さらに、舌片部53をスリット215の奥側に向けて更に差し込むと、舌片部53の先端部は、絞り部214の段部217に当接するので、舌片部53は停止する。舌片部53が停止する位置は、舌片部53がスリット215に対する差し込みが完了する差込完了位置である。このとき、板バネ部55の係止部56は、スリット215に到達するので、板バネ部55は弾性復帰力によって元の形状に戻り、係止部56はスリット215の縁部216に係止する。これにより、舌片部53の前後方向の位置が決まると共に、スリット215から舌片部53が前方に抜けるのを防止できる。また、一対の凸部57は、絞り部214の外面と接触した状態であるので、舌片部53は外方(右方)に押され、右板部42は、筐体本体部20の右壁部21の内面に押し当てられる。よって、スリット215内における舌片部53の左右方向の位置も決まるので、スリット215に対して位置ずれを起こすことなく、舌片部53を固定できる。
【0045】
なお、詳述しないが、図8に示すように、筐体本体部20の左壁部22においても、右壁部21側と同様に、スリット225に対して、左板部43の舌片部63が差し込まれる。そして、舌片部63の先端部は、絞り部224の段部227に当接すると、舌片部63は停止する。舌片部63が停止する位置は、舌片部63がスリット225に対する差し込みが完了する差込完了位置である。このとき、板バネ部65の係止部66は、スリット225の縁部(図示略)に係止する。これにより、スリット225に対して位置ずれを起こすことなく、左板部43の舌片部63を固定できる。このように、筐体本体部20に対して、パネル固定部材40を前側から差し込むだけで、筐体本体部20に対してパネル固定部材40を簡単且つ速やかに組み付けることができる。
【0046】
そして、筐体本体部20に対してパネル固定部材40が組み付けられた状態では、筐体本体部20の底壁部23の前端側に設けられた一対の固定穴231、232(図4参照)に対し、パネル固定部材40の連結部415、416に設けられた固定穴45、47が上方から重合して位置決めされる。
【0047】
本実施形態においては、スリット215、225は、絞り部214、224の前側部に形成されるので、スリット215、225に差し込まれた舌片部53、63は、絞り部214、224の内側に配置される。これにより、舌片部53、63は、右壁部21及び左壁部22の外方に突出しないので、筐体2をコンパクトにできる。また、舌片部53、63が外方に突出しないので、舌片部53、63に対して外側からキャビネット内の他部材や、運搬等の際に手指等が引っかかるのを防止できる。
【0048】
図2図4図5図8を参照し、筐体本体部20への右固定柱70、左固定柱80、上梁部25の固定方法の一例を説明する。上述のように、筐体本体部20の内側にパネル固定部材40を組み付けた状態(図8参照)で、作業者は、パネル固定部材40の底板部41に設けられた右側の連結部415の上面に対して、右固定柱70の下側固定部73の下面を重合して配置する(図4図5参照)。このとき、前側固定部72を前方に向けた状態で、下側固定部73の差込片76A、76Bを、連結部415のスリット46A、46Bに差し込み、下側固定部73の固定穴74を、連結部415の固定穴45に位置決めする。これにより、筐体本体部20の底壁部23の上面に対し、右固定柱70を起立した状態で仮組みできる(図2参照)。
【0049】
次いで、作業者は、下側固定部73の固定穴74に対し、ネジ(図示略)を上方から挿入し、連結部415の固定穴45を介して、筐体本体部20の固定穴231(図4参照)に締結する。これにより、筐体本体部20の底壁部23の上面に対し、パネル固定部材40の連結部415を介して、右固定柱70を起立した状態で容易に固定できる。
【0050】
また、パネル固定部材40の底板部41に設けられた左側の連結部416の上面に対しても同様に、左固定柱80の下側固定部(図示略)を重合して配置する(図4参照)。このとき、前側固定部82を前側に向けた状態で、下側固定部83に設けられた二つの差込片を、連結部416に設けられたスリット46A、46Bに差し込み、下側固定部83(図4参照)に設けられた固定穴を、連結部416に設けられた固定穴47に位置決めする。これにより、筐体本体部20の底壁部23の上面に対し、左固定柱80を起立した状態で仮組みできる。
【0051】
次いで、作業者は、左固定柱80の下側固定部83の固定穴に対し、ネジ(図示略)を上方から挿入し、連結部416の固定穴47を介して、筐体本体部20の固定穴233に締結する。これにより、筐体本体部20の底壁部23の上面に対し、パネル固定部材40の連結部416を介して、左固定柱80を起立した状態で容易に固定できる。
【0052】
次いで、図2に示すように、作業者は、上梁部25を、筐体本体部20の右壁部21の前方突出部211の上端部と、左壁部22の前方突出部221の上端部との間に略水平に掛け渡して固定する。このとき、上梁部25の水平板部253の右端側に設けられた固定穴26は、パネル固定部材40の右板部42の上側固定部52に設けられた固定穴521(図4参照)上に配置される。さらに、水平板部253の右側に設けられた一対の固定穴28A、28B(図2参照)は、右固定柱70の上側固定部71に設けられた固定穴711、712(図4参照)上に配置される。そして、上梁部25の水平板部253の固定穴26、28A、28Bに対して上方からネジを挿入し、固定穴521、711、712に夫々締結する。
【0053】
また、上梁部25の水平板部253の左端側に設けられた固定穴27は、パネル固定部材40の左板部43の上側固定部62に設けられた固定穴621(図4参照)上に配置される。さらに、水平板部253の左側に設けられた一対の固定穴29A、29B(図2参照)は、左固定柱80の上側固定部81に設けられた固定穴811、812(図4参照)上に配置される。そして、上梁部25の水平板部253の固定穴27、29A、29Bに対して上方からネジを挿入し、固定穴621、611、612に夫々締結する。このようにして、筐体本体部20に対して、右固定柱70、左固定柱80、上梁部25が固定される。
【0054】
図2に示すように、筐体2の前面は、右壁部21の前方突出部211、左壁部22の前方突出部221、上梁部25の水平板部253により、前方に突出する筒状に形成され、その内側は、右固定柱70と左固定柱80により、中央領域部101、右領域部102、左領域部103に夫々区画される。中央領域部101には、グリル庫(図示略)の前側部が配置される。右領域部102には、右パネルユニット31が前方から挿入して配置される。左領域部103には、左パネルユニット32が前方から挿入して配置される。
【0055】
右領域部102において、右壁部21の前側固定部51に設けられた固定穴511、512と、パネル固定部材40の前側固定部72に設けられた固定穴721、722とが前方に向けて配置される。右パネルユニット31のパネル部311に設けられた固定穴31A、31Bは、固定穴511、512と対向し、固定穴31C、31Dは、固定穴721、722と対向する。作業者は、固定穴511、512、721、722に対し、前方向からネジを挿入し、固定穴31A~31Dに締結することによって、右パネルユニット31が筐体2に固定される。
【0056】
左領域部103においても同様に、左壁部22の前側固定部61に設けられた固定穴611、612と、パネル固定部材40の前側固定部82に設けられた固定穴821、822とが前方に向けて配置される。左パネルユニット32のパネル部321に設けられた固定穴32A、32Bは、固定穴611、612と対向し、固定穴32C、32Dは、固定穴821、822と対向する。作業者は、固定穴611、612、821、822に対し、前方向からネジを挿入し、固定穴32A~32Dに締結することによって、左パネルユニット32が筐体2に固定される。
【0057】
そして、上梁部25の上面に対して、上カバー33(図1参照)を配置する。上カバー33には、左右に離間する位置に二つの固定穴(図示略)が設けられ、上梁部25の水平板部253の固定穴28B、29Bと重合する。上カバー33の二つの固定穴の夫々に対し、上方からネジ91を挿入し、固定穴28B、29Bに締結することによって、上カバー33が固定される。
【0058】
このように、本実施形態においては、筐体本体部20へのパネル固定部材40の組み付け作業、及び筐体2への右パネルユニット31と左パネルユニット32の固定作業について、何れも筐体本体部20又は筐体2の前方から行うことができる。これにより、作業途中で筐体2を動かしたり、ネジ止めの際、パネル固定部材40を手で押さえたりする必要もない。よって、コンロ1は、コンロ1の組立作業における作業性を向上できる。
【0059】
上記説明において、右パネルユニット31及び左パネルユニット32は、本発明の「パネル部」の一例である。パネル固定部材40の前側固定部51、61は、本発明の「固定部」の一例である。筐体本体部20の右壁部21及び左壁部22に設けられたスリット215、225は、本発明の「第一スリット」の一例である。右固定柱70の下側固定部73と、左固定柱80の下側固定部(図示略)は、本発明の「重合板」の一例である。下側固定部73に設けられた差込片76A、76Bは本発明の「柱側差込片」の一例である。下側固定部73に設けられた固定穴74は本発明の「柱側固定穴」の一例である。右固定柱70と左固定柱80は、本発明の「固定柱」の一例である。パネル固定部材40の連結部415、416は本発明の「柱固定部」の一例である。連結部415、416に設けられた固定穴45、47は本発明の「第二固定穴」の一例である。連結部415、416に設けられたスリット46A、46B、48A、48Bは本発明の「第二スリット」の一例である。
【0060】
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、筐体2の前面に、右パネルユニット31及び左パネルユニット32が固定される。筐体2は、筐体本体部20とパネル固定部材40を備える。筐体本体部20は、右壁部21、左壁部22、底壁部23を備える。パネル固定部材40は、底板部41、右板部42、左板部43を備える。底板部41は、筐体本体部20の底壁部23の上面に配置される。右板部42は、前側固定部51と舌片部53を備える。前側固定部51は、固定穴511と512を前面に支持する。舌片部53は後方に向けて突出する。左板部43は、前側固定部61と舌片部63を備える。前側固定部61は、固定穴611と612を前面に支持する。舌片部63は後方に向けて突出する。筐体本体部20の左壁部22及び右壁部21には、舌片部53、63が前方から後方に向けて差し込み可能なスリット215、225が設けられる。
【0061】
作業者は、パネル固定部材40の右板部42及び左板部43に設けられた舌片部53、63を、スリット215、225に対して前方から差し込むことによって、パネル固定部材40は、筐体本体部20の前側において内側に重なるように配置される。このように、パネル固定部材40を前方から差し入れるだけで、パネル固定部材40を筐体本体部20に容易に組み付けることができるので、コンロ1の生産効率を向上できる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1はビルトインコンロであるが、本発明はテーブルコンロにも適用可能である。
【0063】
パネル固定部材40の前側固定部51には、上下二つの固定穴511、512が設けられるが、固定穴の数は二つに限定されず、右パネルユニット31のパネル部311に設けられる対応する固定穴の数に対応させればよい。なお、前側固定部61においても同様である。また、右固定柱70の前側固定部72にも、上下二つの固定穴721、722が設けられるが、固定穴の数は二つに限定されず、右パネルユニット31のパネル部311に設けられる対応する固定穴の数に対応させればよい。なお、左固定柱80においても同様である。
【0064】
右固定柱70の下部に設けられた下側固定部73は、右固定柱70の下部を右方に屈曲させて形成するが、別体である板材を溶接等して形成してもよい。差込片76Bについても、下側固定部73を下方に切り起こして形成するが、別体である板材を溶接等して形成してもよい。なお、左固定柱80においても同様である。また、右固定柱70及び左固定柱80は省略してもよい。
【0065】
右固定柱70の下側固定部73には、二つの差込片76A、76Bが設けられるが、二つに限らず、例えば一つでもよい。なお、左固定柱80の下側固定部83においても同様である。
【0066】
舌片部53は、板バネ部55を備え、その板バネ部55の外面(右面)に係止部56を備えるが、例えば、板バネ部55を省略し、舌片部53の外面(右面)に係止部56を設けてもよい。係止部56を省略してもよい。舌片部53の内面(左面)には、一対の凸部57を設けるが、凸部57の数は一対に限らず、一つでも二以上であってもよく、省略してもよい。なお、舌片部63においても同様である。
【0067】
右壁部21において、絞り部214は、前方突出部211の後側に設けているが、右壁部21の前側部に位置する前方突出部211であれば、どこに設けてもよい。また、前方突出部211を備えない右壁部21においては、絞り部214は、右壁部21の前側部に設けるのがよい。なお、左壁部22における絞り部224においても同様である。
【符号の説明】
【0068】
1 コンロ
2 筐体
20 筐体本体部
21 右壁部
22 左壁部
23 底壁部
31 右パネルユニット
32 左パネルユニット
40 パネル固定部材
41 底板部
42 右板部
43 左板部
45、47 固定穴
46A、46B、48A、48B スリット
48B スリット
51、61 前側固定部
53、63 舌片部
56、66 係止部
70 右固定柱
73、83 下側固定部
74 固定穴
76A、76B 差込片
80 左固定柱
214、224 絞り部
215、225 スリット
216 縁部
511、512、611、612 固定穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8