(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】貼り付け装置および貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/48 20060101AFI20230110BHJP
B29C 65/20 20060101ALI20230110BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230110BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B29C65/48
B29C65/20
H05K1/02 D
H05K3/00 Z
(21)【出願番号】P 2019095646
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503210810
【氏名又は名称】株式会社 ベアック
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】河東 和彦
(72)【発明者】
【氏名】仲里 竜貴
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-138128(JP,A)
【文献】特開2012-099588(JP,A)
【文献】特開2013-089906(JP,A)
【文献】国際公開第2007/060855(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/099645(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/80
H05K 1/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付部材を基板の所定の位置に貼り付ける貼り付け装置であって、
前記貼付部材が貼り付けられる予定の前記基板を保持する基板保持テーブルと、
前記基板保持テーブルの上側に配置され、透明フィルムの下面に前記貼付部材が仮接合された仮接合フィルムを所定位置に搬送する搬送装置と、
前記仮接合フィルムの上側に配置され、前記基板における前記貼付部材の貼り付け予定位置と前記貼付部材とを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された前記貼り付け予定位置と前記貼付部材の位置との位置ズレの情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の位置を補正し、前記撮像装置によって撮像された前記貼り付け予定位置に対する前記貼付部材の姿勢の情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の姿勢を補正する補正装置と、
前記仮接合フィルムまたは前記基板を上下方向に移動させて前記貼付部材を前記基板に圧着する圧着装置と、
を備えることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貼り付け装置において、
前記圧着装置は、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って、前記仮接合フィルムが前記基板に対して昇降可能に構成されることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の貼り付け装置において、
前記圧着装置は、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記透明フィルム側から加圧する加圧ヘッドを備えることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載の貼り付け装置において、
前記加圧ヘッドは、少なくとも前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って昇降可能に構成されることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の貼り付け装置において、
前記加圧ヘッドは、前記仮接合フィルムと前記基板とが所定距離離間した状態から、少なくとも前記先端部を前記Z軸に沿って移動させ、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加圧することを特徴とする貼り付け装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の貼り付け装置において、
前記加圧ヘッドは、前記Y軸に沿って伸縮可能に構成され、前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が、前記仮接合フィルムの上方の圧着位置と、前記仮接合フィルムの上方から退避した退避位置との間を移動可能に構成されることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加熱するヒーターが配設されていることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項8】
請求項7に記載の貼り付け装置において、
前記加圧ヘッドは、前記仮接合フィルムの表面に接触する部分の面積が、前記貼付部材と同じ大きさまたは前記貼付部材の大きさより小さく形成されていることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の貼り付け装置において、
前記透明フィルムは、所定温度以上の加熱により粘着力が低下するフィルムであり、
前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に前記貼付部材が接合されており、
前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記ヒーターで前記所定温度以上に加熱し、当該貼付部材に対する前記透明フィルムの粘着力を低下させることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記貼付部材は、加熱により、前記透明フィルムに接合される面と反対側の面の接着力が高くなる部材であることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記補正装置は、前記基板保持テーブルおよび前記搬送装置のうち少なくとも一方を、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、前記X軸および前記Y軸に垂直なZ軸の周りに回転させることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記搬送装置は、
ロール状に巻かれた長尺の前記仮接合フィルムを所定方向に沿ってシート状に繰り出す繰り出し装置と、
前記仮接合フィルムから前記貼付部材が剥離された前記透明フィルムをロール状に巻き取る巻き取り装置と、
を備え、
前記搬送装置は、前記繰り出し装置から繰り出された前記仮接合フィルムを前記所定方向に沿って間欠的に搬送することを特徴とする貼り付け装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に複数の前記貼付部材が仮接合されていることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記貼付部材は、前記基板を補強する補強板であることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の貼り付け装置において、
前記貼り付け装置は、前記貼付部材を前記基板の所定の位置に仮圧着する仮圧着装置であることを特徴とする貼り付け装置。
【請求項16】
貼付部材を基板の所定の位置に貼り付ける貼り付け装置を用いた貼り付け方法であって、
透明フィルムの下面に前記貼付部材が仮接合された仮接合フィルムを、前記貼付部材が貼り付けられる予定の前記基板を保持する基板保持テーブルの上方の所定位置に搬送する搬送工程と、
前記仮接合フィルムの上側に配置された撮像装置により、前記基板における前記貼付部材の貼り付け予定位置と前記貼付部材とを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により撮像された前記貼り付け予定位置と前記貼付部材の位置との位置ズレの情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の位置を補正し、前記撮像工程により撮像された前記貼り付け予定位置に対する前記貼付部材の姿勢の情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の姿勢を補正する補正工程と、
前記仮接合フィルムまたは前記基板を上下方向に移動させて前記貼付部材を前記基板に圧着する圧着工程と、
を含むことを特徴とする貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貼り付け装置および貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フレキシブル配線基板等(以下、「基板」とも称する)を形成する工程においては、基板の強度を高めるために、補強板等の貼付部材を基板に貼り付ける貼り付け工程が行われている。このような貼り付け工程を行う貼り付け装置としては、貼付部材を吸着部により吸着した状態で基板の貼り付け位置まで移動させ、貼付部材を基板に貼り付ける装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図18は、従来の貼り付け装置を説明するための図である。
【0004】
特許文献1には、補強板903を上方から吸着する吸着部924と、この吸着部924を水平移動させて補強板903をフレキシブル配線基板ストック部902の上方まで搬送する搬送機構925と、吸着部924を下降させて補強板903をフレキシブル配線基板901に張り合わせる昇降機構926と、から構成される装置が開示されている。このように従来の装置によれば、基板に対して補強板を自動的に貼り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された装置は、補強板を吸着部に吸着させる吸着動作が必要となるため、吸着動作の際に補強板の姿勢がずれる虞があった。このため、必要に応じて、作業者が吸着部に吸着された補強板の姿勢を確認する作業が発生し、生産性を高める上での障害となってしまうという問題がある。また、特許文献1に記載された装置においては、補強板1つずつに対して吸着動作が必要となるため、貼り付け工程に要する時間が長くなるという問題がある。
【0007】
なお、このような問題は、基板に補強板を貼り付ける装置だけに起こり得る問題ではなく、補強板以外の貼付部材を基板に貼り付ける貼り付け装置にも同様に起こり得る問題である。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、貼り付け工程に要する時間が短く、生産性の高い貼り付け装置および貼り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の貼り付け装置は、貼付部材を基板の所定の位置に貼り付ける貼り付け装置であって、前記貼付部材が貼り付けられる予定の前記基板を保持する基板保持テーブルと、前記基板保持テーブルの上側に配置され、透明フィルムの下面に前記貼付部材が仮接合された仮接合フィルムを所定位置に搬送する搬送装置と、前記仮接合フィルムの上側に配置され、前記基板における前記貼付部材の貼り付け予定位置と前記貼付部材とを撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された前記貼り付け予定位置と前記貼付部材の位置との位置ズレの情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の位置を補正し、前記撮像装置によって撮像された前記貼り付け予定位置に対する前記貼付部材の姿勢の情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の姿勢を補正する補正装置と、前記仮接合フィルムまたは前記基板を上下方向に移動させて前記貼付部材を前記基板に圧着する圧着装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の貼り付け装置は、仮接合フィルムを所定位置に搬送する搬送装置と、撮像装置によって撮像された貼り付け予定位置と貼付部材との位置および姿勢の情報に基づいて、基板または貼付部材の位置および姿勢を補正する補正装置と、仮接合フィルムまたは基板を上下方向に移動させて貼付部材を基板に圧着する圧着装置と、を備える。このため、本発明の貼付け装置によれば、従来のように貼付部材を吸着させる吸着動作が不要となり、仮接合フィルムを移動させて貼付部材の位置および姿勢を補正することができる。よって、貼り付け工程に要する時間が短くなり、生産性を高めることができる。
【0011】
なお、本明細書において、「基板」とは、貼付部材が貼り付けられる部材のことをいい、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板、ガラス基板等の基板材料としてのベースフィルムが挙げられる。また、本明細書において、「貼付部材」とは、基板に貼り付けられる部材のことをいい、例えば、補強板、放熱板、保護フィルム、カバーレイフィルム等が挙げられる。また、本明細書において、「貼り付け予定位置」とは、基板における位置の基準として用いるもののことをいい、例えば、基板に形成されている回路パターン、デバイスホール、スルーホール、アライメントマーク等が挙げられる。また、本明細書において、「貼り付け工程」とは、本発明の貼り付け装置を用いた貼り付け方法により、基板に貼付部材を貼り付ける1つの製造過程のことをいう。
【0012】
[2]本発明の貼り付け装置においては、前記圧着装置は、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って、前記仮接合フィルムが前記基板に対して昇降可能に構成されることが好ましい。
【0013】
このように、圧着装置は、基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って、仮接合フィルムが基板に対して昇降可能に構成されるため、仮接合フィルムをX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って移動させることにより、貼付部材を基板に対して適切な位置に配置した状態で圧着させることができる。
【0014】
[3]本発明の貼り付け装置においては、前記圧着装置は、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記透明フィルム側から加圧する加圧ヘッドを備えることが好ましい。
【0015】
このように、圧着装置は、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面を透明フィルム側から加圧する加圧ヘッドを備えるため、貼付部材を基板に容易に圧着することができ、生産性をより高めることができる。
【0016】
[4]本発明の貼り付け装置においては、前記加圧ヘッドは、少なくとも前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って昇降可能に構成されることが好ましい。
【0017】
このように、加圧ヘッドは、少なくとも前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が、基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って昇降可能に構成されるため、貼り付け予定の貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面に容易に接触し、当該表面を加圧することができる。
【0018】
[5]本発明の貼り付け装置においては、前記加圧ヘッドは、前記仮接合フィルムと前記基板とが所定距離離間した状態から、少なくとも前記先端部を前記Z軸に沿って移動させ、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加圧することが好ましい。
【0019】
このように、加圧ヘッドは、仮接合フィルムと基板とが所定距離離間した状態から、少なくとも仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部を移動させて、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面を加圧する。例えば、仮接合フィルムと基板とを接触させた状態で、貼り付け予定の貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面を加圧する場合、仮接合フィルムが基板に接触することにより、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面以外の部分が基板に接合したり、貼り付け予定ではない他の貼付部材が仮接合フィルムから脱落する虞がある。しかしながら、本発明によれば、仮接合フィルムのうち、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面以外の部分は、基板から離間した状態が保たれるため、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面以外の部分が基板に接合する事態を抑制することができるとともに、当該他の貼付部材が仮接合フィルムから脱落する事態を抑制することができる。
【0020】
[6]本発明の貼り付け装置においては、前記加圧ヘッドは、前記Y軸に沿って伸縮可能に構成され、前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が、前記仮接合フィルムの上方の圧着位置と、前記仮接合フィルムの上方から退避した退避位置との間を移動可能に構成されることが好ましい。
【0021】
このように、加圧ヘッドは、仮接合フィルムの表面に接触可能な加圧ヘッドの先端部が、仮接合フィルムの上方の圧着位置と、仮接合フィルムの上方から退避した退避位置との間を移動可能に構成される。例えば、仮接合フィルムの表面に接触する部分の面積が貼付部材より大きい場合には、加圧ヘッドの先端部により貼付部材が隠れてしまうため、撮像装置による貼付部材の撮像が難しい。このような場合であっても、本発明によれば、撮像装置による撮像の際に、加圧ヘッドの先端部を退避位置へ移動することができるため、貼り付け予定位置と貼付部材の位置との位置ズレの情報および貼り付け予定位置に対する貼付部材の姿勢の情報を適切に取得することができる。
【0022】
[7]本発明の貼り付け装置においては、前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加熱するヒーターが配設されていることが好ましい。
【0023】
貼付部材の貼り付けにおいては、熱硬化型の接着剤が用いられる場合がある。この場合、例えば、貼り付け予定の貼付部材における基板への接触面に予め当該接着剤を塗布しておくことにより、貼付部材が基板に接触した状態で当該貼付部材を加熱すると、接着剤が軟化または溶融し、貼付部材を基板に貼り付けることができる。本発明によれば、加圧ヘッドは、貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面を加熱するヒーターが配設されているため、仮接合フィルムの表面に接触する部分にヒーターからの熱を伝導させて加熱することができる。このため、加圧ヘッドが十分に加熱された状態で、加圧ヘッドを仮接合フィルムの表面に接触させることができるため、接着剤を容易に軟化または溶融させることができ、貼付部材を基板に確実に貼り付けるとともに、貼り付け工程に要する時間を短縮することができる。
【0024】
[8]本発明の貼り付け装置においては、前記加圧ヘッドは、前記仮接合フィルムの表面に接触する部分の面積が、前記貼付部材と同じ大きさまたは前記貼付部材の大きさより小さく形成されていることが好ましい。
【0025】
このように、加圧ヘッドは、仮接合フィルムの表面に接触する部分の面積が、貼付部材と同じ大きさまたは貼付部材の大きさより小さく形成されているため、同時に複数の貼付部材を加圧する事態が抑制され、貼り付け予定の貼付部材を基板における貼り付け予定位置へ確実に貼り付けることができる。特に、本発明の貼り付け装置が仮圧着装置である場合には、仮圧着として、加圧ヘッドにより貼付部材の少なくとも一部が基板に確実に圧着すればよいので、加圧ヘッドを上述のように形成することが好適である。
【0026】
[9]本発明の貼り付け装置においては、前記透明フィルムは、所定温度以上の加熱により粘着力が低下するフィルムであり、前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に前記貼付部材が接合されており、前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記ヒーターで前記所定温度以上に加熱し、当該貼付部材に対する前記透明フィルムの粘着力を低下させることが好ましい。
【0027】
このように、仮接合フィルムは、所定温度以上の加熱により粘着力が低下する透明フィルムの下面に貼付部材が接合されたフィルムであるため、ヒーターで所定温度以上に加熱された加圧ヘッドが、貼り付け予定の貼付部材の平面位置に対応する仮接合フィルムの表面を加圧することにより、貼り付け予定の貼付部材に対する透明フィルムの粘着力を低下させることができる。よって、貼り付け装置は、仮接合フィルムのうち、貼り付け予定の貼付部材を透明フィルムから容易に剥離させることができる。また、加圧ヘッドにより貼付部材を基板に圧着する工程の中で、透明フィルムから貼付部材を剥離させることができるため、別途、透明フィルムから貼付部材を剥離させるための工程を設ける必要がなく、貼り付け工程に要する時間を短縮することができる。
【0028】
[10]本発明の貼り付け装置においては、前記貼付部材は、加熱により、前記透明フィルムに接合される面と反対側の面の接着力が高くなる部材であることが好ましい。
【0029】
このように、貼付部材は、加熱により、透明フィルムに接合される面と反対側の面の接着力が高くなる部材であるため、加圧ヘッドがヒーターにより十分に加熱された状態で、加圧ヘッドを仮接合フィルムの表面に接触させることにより、貼付部材の透明フィルムに接合される面と反対側の面の接着力を高めることができる。よって、貼り付け装置は、加圧ヘッドにより加圧および加熱を同時に施すことができるため、貼付部材を基板に確実に貼り付けるとともに、貼り付け工程に要する時間を短縮することができる。
【0030】
[11]本発明の貼り付け装置においては、前記補正装置は、前記基板保持テーブルおよび前記搬送装置のうち少なくとも一方を、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、前記X軸および前記Y軸に垂直なZ軸の周りに回転させることが好ましい。
【0031】
このように、補正装置は、基板保持テーブルおよび搬送装置のうち少なくとも一方を、基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、X軸およびY軸に垂直なZ軸の周りに回転させるため、仮接合フィルムまたは基板を、X軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、Z軸の周りに回転させることができる。よって、貼り付け装置は、撮像装置によって撮像された基板における貼付部材の貼り付け予定位置と貼付部材との位置および姿勢の情報に基づいて、基板または貼付部材の位置および姿勢を容易且つ適切に補正することができる。
【0032】
[12]本発明の貼り付け装置においては、前記搬送装置は、ロール状に巻かれた長尺の前記仮接合フィルムを所定方向に沿ってシート状に繰り出す繰り出し装置と、前記仮接合フィルムから前記貼付部材が剥離された前記透明フィルムをロール状に巻き取る巻き取り装置と、を備え、前記搬送装置は、前記繰り出し装置から繰り出された前記仮接合フィルムを前記所定方向に沿って間欠的に搬送することが好ましい。
【0033】
このように、搬送装置は、ロール状に巻かれた長尺の仮接合フィルムをシート状に繰り出す繰り出し装置と、仮接合フィルムから貼付部材が剥離された透明フィルムをロール状に巻き取る巻き取り装置と、を備え、繰り出し装置から繰り出された仮接合フィルムを間欠的に搬送する。このため、貼り付け装置は、ロール状に巻かれた長尺の仮接合フィルムを間欠的に搬送しながら、順次、基板へ貼付部材を貼り付けることができるため、生産性を高めることができる。
【0034】
[13]本発明の貼り付け装置においては、前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に複数の前記貼付部材が仮接合されていることが好ましい。
【0035】
このように、仮接合フィルムは、透明フィルムの下面に複数の貼付部材が仮接合されているため、例えば、基板に対する1の貼付部材の貼り付けが完了した後に、仮接合フィルムを、新たな貼付部材が仮接合された仮接合フィルムに取り替える等の作業が不要となる。よって、貼り付け装置は、次の貼り付け予定の貼付部材が基板における貼り付け予定位置に適切に配置されるように、適宜、搬送装置および補正装置により仮接合フィルムを移動させるだけで、当該貼付部材を基板における貼り付け予定位置に適切に貼り付けることができ、生産性を高めることができる。
【0036】
[14]本発明の貼り付け装置においては、前記貼付部材は、前記基板を補強する補強板であることが好ましい。
【0037】
このように、貼付部材は基板を補強する補強板であるため、貼り付け装置は、精度良く適切な位置に補強板が貼り付けられた基板を生成することができる。
【0038】
[15]本発明の貼り付け装置は、前記貼付部材を前記基板の所定の位置に仮圧着する仮圧着装置であることが好ましい。
【0039】
このように、貼り付け装置は、貼付部材を基板の所定の位置に仮圧着する仮圧着装置であるため、適切な位置に補強板が仮圧着された基板を精度良く生成することができる。
【0040】
[16]本発明の貼り付け方法は、貼付部材を基板の所定の位置に貼り付ける貼り付け装置を用いた貼り付け方法であって、透明フィルムの下面に前記貼付部材が仮接合された仮接合フィルムを、前記貼付部材が貼り付けられる予定の前記基板を保持する基板保持テーブルの上方の所定位置に搬送する搬送工程と、前記仮接合フィルムの上側に配置された撮像装置により、前記基板における前記貼付部材の貼り付け予定位置と前記貼付部材とを撮像する撮像工程と、前記撮像工程により撮像された前記貼り付け予定位置と前記貼付部材の位置との位置ズレの情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の位置を補正し、前記撮像工程により撮像された前記貼り付け予定位置に対する前記貼付部材の姿勢の情報に基づいて、前記基板または前記貼付部材の姿勢を補正する補正工程と、前記仮接合フィルムまたは前記基板を上下方向に移動させて前記貼付部材を前記基板に圧着する圧着工程と、を含むことを特徴とする。
【0041】
本発明の貼り付け方法は、仮接合フィルムを基板保持テーブルの上方の所定位置に搬送する搬送工程と、基板における貼付部材の貼り付け予定位置と貼付部材とを撮像する撮像工程と、撮像工程により撮像された情報に基づいて、基板または貼付部材の位置および姿勢を補正する補正工程と、仮接合フィルムまたは基板を上下方向に移動させて貼付部材を基板に圧着する圧着工程と、を含む。このため、本発明の貼り付け方法によれば、従来のように貼付部材を吸着させる吸着動作が不要となり、仮接合フィルムを移動させて貼付部材の位置および姿勢を補正することができる。よって、貼り付け工程に要する時間が短くなり、生産性を高めることができる。
【0042】
本発明の貼り付け方法においては、前記圧着工程は、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って、前記仮接合フィルムを前記基板に対して昇降させることが好ましい。
【0043】
本発明の貼り付け方法においては、前記圧着工程は、加圧ヘッドにより、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記透明フィルム側から加圧することが好ましい。
【0044】
本発明の貼り付け方法においては、前記圧着工程は、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って少なくとも前記仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部が昇降可能な加圧ヘッドにより、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加圧することが好ましい。
【0045】
本発明の貼り付け方法においては、前記圧着工程は、前記仮接合フィルムと前記基板とが所定距離離間した状態から、前記加圧ヘッドのうち少なくとも前記先端部を前記Z軸に沿って移動させ、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加圧することが好ましい。
【0046】
本発明の貼り付け方法においては、前記撮像工程は、前記Y軸に沿って伸縮可能な加圧ヘッドの先端部を、前記仮接合フィルムの表面に接触可能な前記仮接合フィルムの上方の圧着位置から、前記仮接合フィルムの上方から退避した退避位置へ移動させることが好ましい。
【0047】
本発明の貼り付け方法においては、前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を加熱するヒーターが配設されていることが好ましい。
【0048】
本発明の貼り付け方法においては、前記加圧ヘッドは、前記仮接合フィルムの表面に接触する部分の面積が、前記貼付部材と同じ大きさまたは前記貼付部材の大きさより小さく形成されていることが好ましい。
【0049】
本発明の貼り付け方法においては、前記透明フィルムは、所定温度以上の加熱により粘着力が低下するフィルムであり、前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に前記貼付部材が接合されており、前記加圧ヘッドは、前記貼付部材の平面位置に対応する前記仮接合フィルムの表面を前記ヒーターで前記所定温度以上に加熱し、当該貼付部材に対する前記透明フィルムの粘着力を低下させることが好ましい。
【0050】
本発明の貼り付け方法においては、前記貼付部材は、加熱により、前記透明フィルムに接合される面と反対側の面の接着力が高くなる部材であることが好ましい。
【0051】
本発明の貼り付け方法においては、前記補正工程は、前記基板保持テーブルおよび前記搬送装置のうち少なくとも一方を、前記基板保持テーブルの上面に平行なX軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、前記X軸および前記Y軸に垂直なZ軸の周りに回転させることが好ましい。
【0052】
本発明の貼り付け方法においては、前記搬送工程は、ロール状に巻かれた長尺の前記仮接合フィルムを所定方向に沿ってシート状に繰り出す繰り出し工程と、前記仮接合フィルムから前記貼付部材が剥離された前記透明フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程と、を含み、前記搬送工程は、前記繰り出し工程により繰り出された前記仮接合フィルムを前記所定方向に沿って間欠的に搬送することが好ましい。
【0053】
本発明の貼り付け方法においては、前記仮接合フィルムは、前記透明フィルムの下面に複数の前記貼付部材が仮接合されていることが好ましい。
【0054】
本発明の貼り付け方法においては、前記貼付部材は、前記基板を補強する補強板であることが好ましい。
【0055】
本発明の貼り付け方法は、前記貼付部材を前記基板の所定の位置に仮圧着する方法であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】補強板Wsが貼り付けられた基板Wbを説明するための図である。
【
図2】仮接合フィルムWfを説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る貼り付け装置1の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る貼り付け装置1の正面図である。
【
図5】
図4に示す貼り付け装置1の正面図中の領域Aの拡大図である。
【
図6】本実施形態に係る貼り付け装置1が備える加圧ヘッド50の斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る貼り付け方法の主なステップを含むフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部上面図である。
【
図9】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部上面図である。
【
図10】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部上面図である。
【
図11】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部上面図である。
【
図12】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部正面図である。
【
図13】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部正面図である。
【
図14】本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部正面図である。
【
図15】補強板Ws1が貼り付けられた基板Wb1の変形例を説明するための図である。
【
図16】加圧ヘッドの変形例を説明するための図である。
【
図17】加圧ヘッドの変形例を説明するための図である。
【
図18】従来の貼り付け装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の貼り付け装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の構造、外観等を厳密に反映したものではない。
【0058】
1.基板および貼付部材の構成
本発明の貼り付け装置1の取り扱い対象である基板および貼付部材について説明する。
【0059】
図1は、補強板Wsが貼り付けられた基板Wbを説明するための図である。
図2は、仮接合フィルムWfを説明するための図である。
【0060】
基板Wbは、後述の貼付部材Wsが貼り付けられる部材であり、好ましくは、補強を要する部材である。また、基板Wbは、貼付部材Wsが貼り付けられる部材であれば如何なる形状の部材であっても良く、好ましくは、平板状を成した部材である。また、基板Wbは、後述の基板保持テーブル11の上面に載置されるものである。本実施形態においては、基板Wbとして、フレキシブル基板材料としてのベースフィルムであって、回路パターン110がマトリクス状に形成された部材を例に挙げて説明する(
図1参照)。なお、基板Wbの大きさおよび形状は、基板Wbの種類や用途等に応じて適宜設計変更することができるが、例えば、平面視にて250mm×250mm程度の矩形状に構成されている。また、基板Wbは、貼付部材Wsが貼り付け可能な部材であれば、補強を要する部材でなくても良い。また、基板Wbは、フレキシブル基板材料としてのベースフィルムに限定されず、例えば、リジッド基板、ガラス基板等の基板であっても良い。
【0061】
貼付部材Wsは、基板Wbに貼り付けられる部材であり、好ましくは、基板Wbの機械的補強、放熱、電磁シールド等の目的のために当該基板Wbを補強する部材である。貼付部材Wsは、好ましくは、ステンレスやアルミニウム等の金属製または樹脂製の平板で形成され、より好ましくは、金属製の平板で形成される。なお、貼付部材Wsは、基板Wbを補強する補強板に限定されず、例えば、放熱板等の金属製の部材、保護フィルムやカバーレイフィルム等の樹脂製の部材等、基板Wbに貼り付けられる部材であれば如何なる部材であっても良い。また、貼付部材Wsの形状および大きさは、貼付部材Wsを貼り付ける目的や基板の貼り付け位置の形状等に応じて適宜設計変更することができるが、当該大きさは、例えば、平面視にて横方向の長さSxが5mm、縦方向の長さSyが5mm程度である(
図2参照)。本実施形態においては、貼付部材Wsとして、基板Wbに形成された回路パターン110において補強が必要な部分に貼り付けられる補強板を例に挙げて説明する(
図1参照)。なお、以下の説明においては、「貼付部材Wsとしての補強板」のことを、単に「補強板Ws」とも称する。
【0062】
図1においては、基板Wbに対して、補強が必要な部分に補強板Wsの貼り付けが行われたフィルムを、補強板貼付済み基板100としている。
図1に示すような補強板貼付済み基板100から各々の回路パターン110fの部分を切り取ることにより、補強板Wsfで補強された当該回路パターン110fに対するフレキシブル基板FPC(
図1の破線円内参照)を得ることができる。なお、本実施形態においては、基板Wbは、
図1に示すように、1のフレキシブル基板FPCが有する回路パターン110fが2つ連なった状態の回路パターン110がマトリクス状に形成されている。また、本実施形態において、貼り付け装置1は、
図1に示すように、1のフレキシブル基板FPCが有する補強板Wsfが2つ連なった状態の補強板Wsを、基板Wbに貼り付けて補強板貼付済み基板100を生成する。フレキシブル基板FPCは、このような補強板貼付済み基板100から、1の補強板Wsfが貼り付けられた1の回路パターン110fの部分を切り取ることにより生成される。本実施形態に係る貼り付け装置1においては、基板Wbに形成されている回路パターン110を、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置の基準として用いることができる。すなわち、本実施形態においては、回路パターン110が本発明の貼付部材の貼り付け予定位置に相当する。なお、回路パターン110の形状は、
図1に示す形状に限定されず、基板Wbの種類や用途等に応じて適宜設計変更することができる。また、補強板貼付済み基板100は、1のフレキシブル基板FPCを形成する回路パターン110fおよび補強板Wsfがそれぞれ2つずつ連なった回路パターン110fおよび補強板Wsfを有しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、回路パターン110fおよび補強板Wsfが複数連なることなく基板Wbに配置されていても良い。
【0063】
貼付部材Wsは、基板Wbに貼り付けられる前の状態において、透明フィルム200の下面に仮接合された仮接合フィルムWfとして保持されている(
図2参照)。
図2に示すように、仮接合フィルムWfは、透明フィルム200の下面に、複数の補強板Wsが整列して仮接合された長尺のフィルムであり、後述の繰り出し装置22にロール状に巻かれて保持されている。なお、仮接合フィルムWfにおける補強板Wsの配置は、特に限定されず、例えば、整列せずに不規則に配置されていても良いし、1列に整列して配置されていても良い。また、仮接合フィルムWfにおける補強板Wsの個数は、特に限定されず、1個でも良いし、複数個であっても良い。また、仮接合フィルムWfは、
図2に示すように、複数の同一形状の補強板Wsが仮接合されたフィルムであることに限定されず、例えば、複数種類の形状の補強板Wsが仮接合されたフィルムであっても良い。
【0064】
透明フィルム200は、所定の粘着力を有する樹脂等で構成されたフィルムであって、所定温度、例えば、100℃以上の加熱により粘着力が低下する熱剥離フィルムである。すなわち、仮接合フィルムWfは、所定温度以上に加熱されることにより、接合されている補強板Wsが透明フィルム200から剥離される。補強板Wsは、透明フィルム200に接合される面と反対側の面が、基板Wbに貼り付けられる。補強板Wsは、好ましくは、透明フィルム200に接合される面と反対側の面(すなわち、基板Wbに貼り付けられる面)の接着力が高くなるよう構成されている。より具体的には、補強板Wsは、基板Wbに貼り付けられる面に、接着層が形成されている。この接着層は、熱可塑性樹脂成分を含有する固形接着剤から構成され、室温では固まっているが所定の温度、例えば、80℃以上に加熱されると溶融または軟化するものである。
【0065】
貼り付け装置1は、貼り付け予定の補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を少なくとも温度Tまで加熱することにより、透明フィルム200から当該補強板Wsを剥離させ、且つ、当該補強板Wsの接着層を溶融または軟化させた状態で、基板Wbに当該補強板Wsを圧着する。そして、このように補強板Wsが圧着された基板Wbを室温まで冷却することにより、接着層が硬化して、補強板Wsが貼り付けられた補強板貼付済み基板100が形成される。なお、温度Tとは、透明フィルム200の粘着力が低下する温度および接着層が溶融または軟化する温度より高く、且つ、透明フィルム200が溶融する温度より低い温度であれば特に制約はなく、好ましくは、100℃~120℃である。補強板Wsを基板Wbに貼り付ける方法の詳細については、後述する。
【0066】
2.貼り付け装置1の構成
本発明の貼り付け装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0067】
図3は、本実施形態に係る貼り付け装置1の斜視図である。
図4は、本実施形態に係る貼り付け装置1の正面図である。
図5は、
図4に示す貼り付け装置1の正面図中の領域Aの拡大図である。
図6は、本実施形態に係る貼り付け装置1が備える加圧ヘッド50の斜視図である。
【0068】
2-1. 貼り付け装置1の構成の概略
貼り付け装置1は、基板Wbに補強板Wsを仮圧着する仮圧着装置である。貼り付け装置1により生成された補強板貼付済み基板100は、貼り付け装置1により実施される工程の後に本圧着装置(例えば、真空プレス機等)により実施される本圧着工程により、当該補強板貼付済み基板100に仮圧着されている補強板Wsが本圧着される。このように補強板Wsが本圧着された状態で各々の回路パターン110fの部分が切り取られることにより、補強板Wsfで補強された当該回路パターン110fに対するフレキシブル基板FPC(
図1の破線円内参照)が生成される。なお、本圧着装置および本圧着工程については、詳細な説明を省略する。また、本明細書においては、特に言及しない限り、基板Wbに補強板Wsを「貼り付ける」ことを、基板Wbに補強板Wsを「仮圧着する」ことと同義として説明する。
【0069】
貼り付け装置1は、基台10と、基板保持テーブル11と、搬送装置20と、撮像装置30と、補正装置70と、圧着装置40と、を備える(
図3~
図5参照)。基台10は、その上面に各種の装置を搭載および固定するための部材であり、金属製の台であっても良いし、大理石等の自然物を用いた台であっても良い。また、基台10は、地面そのものであっても良い(すなわち、基板保持テーブル11、補正装置70等を工場の床面に直接設置することとしても良い)。基台10は、その上面に基板保持テーブル11が配設されており、後述のXY平面およびZ軸の基準となる台である。
【0070】
なお、以下の説明においては、基板保持テーブル11の上面に平行な面を、互いに直交するX軸およびY軸を含むXY平面とし、XY平面に垂直な軸をZ軸として定義する(
図3および
図4参照)。また、
図4に示すように、貼り付け装置1を正面視したときに、右に向かう方向を+X方向、+X方向と垂直な方向であって上に向かう方向を+Z方向、+X方向および+Z方向に垂直な方向であって手前に向かう方向を+Y方向、+Z軸に沿って見たときに時計回りとなる方向を+θ方向として定義する。また、各方向の反対側の方向は、それぞれに符号-を付けた呼び名とする(例えば、-X方向)。
【0071】
2-2. 基板保持テーブル11
基板保持テーブル11は、補強板Wsが貼り付けられる予定の基板Wbを保持する部材である。貼り付け装置1は、基板保持テーブル11の軌道となるX軸方向に沿って延在する1対のレール12と、基板保持テーブル11をX軸方向に沿って駆動する保持テーブル駆動装置(不図示)と、を備える(
図3参照)。基板保持テーブル11は、保持テーブル駆動装置により、X軸方向に沿って、搬送装置20の下側の所定の位置まで移動することができる(
図4参照)。なお、保持テーブル駆動装置は、例えば、サーボモータ、エア式のシリンダ、カム等、基板保持テーブル11をX軸方向に沿って駆動可能な装置であれば、特に制約されない。
【0072】
2-3. 搬送装置20
搬送装置20は、基板保持テーブル11の上側に配置され、仮接合フィルムWfを所定位置に搬送する装置である(
図4および
図5参照)。搬送装置20は、好ましくは、ロール状に巻かれた長尺の仮接合フィルムWfを所定方向に沿ってシート状に繰り出す繰り出し装置22と、仮接合フィルムWfから補強板Wsが剥離された透明フィルム200をロール状に巻き取る巻き取り装置24と、仮接合フィルムWfを搬送するガイドローラ26,27,28,29と、を備える。
【0073】
繰り出し装置22は、
図5に示すように、繰り出しローラ23を有している。繰り出しローラ23は、トルクモータ(不図示)の駆動による回転(
図5に示す破線矢印方向の回転)によって、ロール状の仮接合フィルムWfをシート状に繰り出すように構成されている。巻き取り装置24は、
図5に示すように、巻き取りローラ25を有している。巻き取りローラ25は、トルクモータ(不図示)の駆動による回転(
図5に示す破線矢印方向の回転)によって、仮接合フィルムWfから補強板Wsが剥離された透明フィルム200を巻き取るように構成されている。搬送装置20は、好ましくは、繰り出し装置22から繰り出された仮接合フィルムWfを、ガイドローラ26,27,28,29に沿って所定方向(
図5に示す破線矢印方向)に間欠的に搬送する。なお、搬送装置20による仮接合フィルムWfの搬送方向は、
図5に示す破線矢印方向に限定されず、例えば、当該破線矢印方向と反対方向であっても良い。搬送装置20は、補正装置70のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に沿った移動に伴って、移動可能に構成されている。
【0074】
2-4. 撮像装置30
撮像装置30は、仮接合フィルムWfの上側に配置され、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置と補強板Wsとを撮像する装置である(
図5参照)。より具体的には、撮像装置30は、透明フィルム200側から、補強板Wsと基板Wbに形成された回路パターン110とを撮像する(
図8参照)。なお、撮像装置30が撮像する撮像範囲は、貼り付け予定の補強板Ws(
図8に示す補強板Wsa)と、当該補強板Wsの貼り付け予定位置である基板Wb上の回路パターン110(
図8に示す回路パターン110a)と、を少なくとも含む撮像範囲であれば、特に制約されない。撮像装置30は、補正装置70のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に沿った移動に伴って、移動可能に構成されている。
【0075】
2-5. 補正装置70
補正装置70は、撮像装置30によって撮像された貼り付け予定位置である回路パターン110(
図8に示す回路パターン110a)と補強板Ws(
図8に示す補強板Wsa)の位置との位置ズレの情報に基づいて、補強板Wsの位置を補正する装置である(
図2参照)。また、補正装置70は、撮像装置30によって撮像された回路パターン110に対する補強板Wsの姿勢の情報に基づいて、補強板Wsの姿勢を補正する装置である(
図2参照)。補正装置70は、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40の上方(+Z方向側)に配設され、好ましくは、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動する。より具体的には、補正装置70は、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40をY軸方向に往復移動させるY軸駆動部72と、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40をX軸方向に往復移動させるX軸駆動部74と、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40をZ軸方向に往復移動させるZ軸駆動部76と、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40をθ軸方向に回転移動させるθ軸駆動部78と、を備える。なお、Y軸駆動部72、X軸駆動部74、Z軸駆動部76、およびθ軸駆動部78は、例えば、サーボモータ、エア式のシリンダ、カム等、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40を、それぞれY軸方向、X軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動可能な装置であれば、特に制約されない。
【0076】
貼り付け装置1は、撮像装置30によって撮像された対象物の画像データ(回路パターン110および補強板Wsに相当する画像データ)の画像処理を行う。より具体的には、貼り付け装置1は、2値化等の処理を施して対象物の輪郭を抽出する。そして、貼り付け装置1は、このような画像処理に基づき、回路パターン110に対する補強板Wsの位置および姿勢に関する情報を算出する。より具体的には、例えば、補強板Wsが回路パターン110に対して、どの程度位置がずれているか、どの程度姿勢がずれているかというズレ量を算出する。補正装置70は、このように算出されたズレ量に基づき、当該ズレ量が小さくなるように、補強板Wsの位置および姿勢を補正する。なお、貼り付け予定位置である回路パターン110(
図8に示す回路パターン110a)と補強板Ws(
図8に示す補強板Wsa)の位置との位置ズレの情報、および、当該回路パターン110に対する当該補強板Wsの姿勢の情報は、上述のズレ量(相対量)に限定されるものではなく、例えば、当該補強板Wsの絶対的な位置(X軸およびY軸の座標)および姿勢(θ軸の座標)を算出しても良い。
【0077】
2-6. 圧着装置40
圧着装置40は、仮接合フィルムWfを上下方向(Z軸方向)に移動させ、補強板Wsを基板Wbに圧着する装置である(
図5参照)。圧着装置40は、基部42と、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を透明フィルム200側から加圧する加圧ヘッド50と、を備える(
図5および
図6参照)。圧着装置40は、好ましくは、補正装置70により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動可能に構成されている。加圧ヘッド50は、補正装置70による圧着装置40(基部42)の移動に伴って、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動可能に構成されている。
【0078】
加圧ヘッド50は、仮接合フィルムWfの表面に接触可能な先端部(+Y方向先端部)に、略L字状の金属片で構成された加圧コテ52を備える(
図6参照)。加圧コテ52は、略L字状の短辺の端部が仮接合フィルムWfの表面に接触するように構成されている。加圧ヘッド50は、好ましくは、昇降機構(不図示)により、加圧ヘッド基体54に対して、Z軸方向に往復移動可能に構成されている。加圧ヘッド50は、好ましくは、加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面(略L字状の短辺の端面)の面積が、補強板Wsの大きさ(補強板WsのXY平面における面積)以下となるよう形成されており、より好ましくは、当該補強板Wsの大きさより小さくなるよう形成されている。より具体的には、例えば、補強板Wsの大きさが平面視にて横方向の長さSxが5mm、縦方向の長さSyが5mmである場合、加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面の大きさは、横方向の長さPxが2~3mm、縦方向の長さPyが2~4mmであることが好ましい(
図10参照)。
【0079】
加圧ヘッド50は、好ましくは、その内部に、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加熱するヒーター53が配設されている(
図12参照)。ヒーター53と加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面との間の経路は、例えば金属製の材料で構成されており、熱が伝導するように構成されている。これにより、加圧ヘッド50に配設されたヒーター53からの熱を加圧コテ52に伝導させて、加圧コテ52を少なくとも温度Tまで加熱することができる。温度Tは、例えば、100~120℃等、透明フィルム200の粘着力が低下する温度および接着層が溶融する温度より高く、且つ、透明フィルム200が溶融する温度より低い温度とすることが好ましい。このように温度Tまで加熱された加圧コテ52が仮接合フィルムWfの表面に接触することにより、貼り付け装置1は、補強板Wsに対する透明フィルム200の粘着力を低下させ、且つ、当該補強板Wsの接着層を溶融させることができる。よって、貼り付け装置1は、補強板Wsを透明フィルム200から剥離することができる。また、接着層が溶融された状態で加圧コテ52が補強板Wsを加圧するため、貼り付け装置1は、基板Wbに補強板Wsを圧着させることができる。なお、ヒーター53は、常時オンとしている。ヒーター53は、
図12に示すように、加圧ヘッド50の内部に配設されているが、これに限定されず、その他の構成要素の内部またはその周辺に配設されていても良い。
【0080】
3.貼り付け装置1の動作および貼り付け方法
次に、本発明の貼り付け装置1の動作および貼り付け方法について、図面を参照して説明する。
【0081】
図7は、本実施形態に係る貼り付け方法の主なステップを含むフローチャートである。
図8~
図11は、本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部上面図である。
図12~
図14は、本実施形態に係る貼り付け方法を説明するための要部正面図である。
【0082】
本実施形態に係る貼り付け方法は、基板配置工程(S100)と、搬送工程(S110)と、撮像工程(S120)と、補正工程(S130)と、圧着工程(S140)と、を含む。以下、各工程について説明する。
【0083】
3-1. 基板配置工程(S100)
基板配置工程は、補強板Wsが貼り付けられる予定の基板Wbを保持する基板保持テーブル11を、搬送装置20の下側の所定の位置に配置する工程である。より具体的には、基板配置工程は、保持テーブル駆動装置(不図示)により、基板保持テーブル11をレール12に沿って移動させ、搬送装置20の下側の所定の位置に配置する工程である。基板配置工程により配置される所定の位置とは、少なくとも搬送装置20の下側であれば特に制約されないが、搬送装置20により搬送される仮接合フィルムWfの直下に配置されることが好ましい(
図8および
図12参照)。
【0084】
3-2. 搬送工程(S110)
搬送工程は、仮接合フィルムWfを、基板Wbを保持する基板保持テーブル11の上方の所定位置に搬送する工程である(
図8および
図12参照)。より具体的には、搬送工程は、仮接合フィルムWfの所定領域が、基板Wbを保持する基板保持テーブル11の上方の所定位置に配置されるように、仮接合フィルムWfを搬送する工程である。搬送工程においては、
図12に示すように、搬送装置20により、繰り出し装置22から繰り出された仮接合フィルムWfを間欠的に搬送し、仮接合フィルムWfに接合されている貼り付け予定の補強板Wsが基板Wbの上方に配置される位置まで搬送する。なお、
図8において、仮接合フィルムWfに接合されている9つの補強板Wsのうち、左上端の補強板Wsaを貼り付け予定の補強板Ws(以下、「貼り付け予定の補強板Wsa」または単に「補強板Wsa」とも称する)とする。
【0085】
3-3. 撮像工程(S120)
撮像工程は、仮接合フィルムWfの上側に配置された撮像装置30により、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置と補強板Wsとを撮像する工程である(
図8および
図12参照)。より具体的には、撮像工程は、
図8に示すように、撮像装置30により、透明フィルム200側から、基板Wbに形成された回路パターン110と補強板Wsとを撮像する工程である。なお、
図8において、基板Wbに形成されている回路パターン110のうち、左側の上から3段目に示す回路パターン110aを、補強板Wsaの貼り付け予定位置である回路パターン110(以下、「貼り付け予定位置である回路パターン110a」または単に「回路パターン110a」とも称する)とする。撮像工程において、撮像装置30は、貼り付け予定の補強板Wsaと、補強板Wsaの貼り付け予定位置である回路パターン110aと、を少なくとも含む所定範囲を撮像する。なお、搬送工程(S110)および撮像工程(S120)において、仮接合フィルムWfと基板Wbとの間隔Dz(Z軸方向における距離Dz)は、搬送工程において基板Wbに接触せずに仮接合フィルムWfを搬送可能であり、且つ、撮像工程において撮像装置30により回路パターン110および補強板Wsを撮像可能な間隔であれば、特に制約されないが、1~2mm程度であることが好ましい。
【0086】
3-4. 補正工程(S130)
補正工程は、撮像工程(S120)により撮像された回路パターン110と補強板Wsの位置との位置ズレの情報に基づいて補強板Wsの位置を補正し、撮像工程(S120)により撮像された回路パターン110に対する補強板Wsの姿勢の情報に基づいて補強板Wsの姿勢を補正する工程である(
図8および
図9参照)。より具体的には、補正工程において、補正装置70は、画像処理に基づいて算出された回路パターン110aに対する補強板Wsaの姿勢に関する情報(回路パターン110aに対する補強板Wsaの姿勢のズレ量)に基づいて、θ軸駆動部78を必要な量だけ駆動させて、回路パターン110aに対する補強板Wsaの姿勢のズレ量が小さくなるように搬送装置20をθ方向(+θ方向または-θ方向)に回動させ、補強板Wsaの姿勢を補正する(
図8および
図9参照)。このとき、補正装置70は、回路パターン110aに対する補強板Wsaの姿勢のズレ量がゼロになるように搬送装置20をθ方向に回動させることが好ましい。また、補正装置70は、画像処理に基づいて算出された回路パターン110aと補強板Wsaの位置との位置ズレに関する情報(回路パターン110aに対する補強板Wsaの位置のズレ量)に基づいて、X軸駆動部74およびY軸駆動部72を必要な量だけ駆動させて、回路パターン110aに対する補強板Wsaの位置のズレ量が小さくなるように搬送装置20をXY平面に沿って移動させ、補強板Wsaの位置を補正する(
図8および
図9参照)。このとき、補正装置70は、回路パターン110aに対する補強板Wsaの位置のズレ量がゼロになるように搬送装置20をXY平面に沿って移動させることが好ましい。このように補正工程を行うことにより、
図8に示すように、基板Wb上の回路パターン110aと補強板Wsaとがずれた状態から、
図9に示すように、当該ズレが無くなり、補強板Wsaが回路パターン110aの上方に正しく配置された状態となる。
【0087】
なお、補強板Wsの姿勢の補正および補強板Wsの位置の補正を実施する順番は、逆であっても良い。また、回路パターン110に対する補強板Wsの位置および姿勢のズレ量は、貼り付け予定位置である回路パターン110aに対する貼り付け予定の補強板Wsaの位置および姿勢のズレ量に限定されず、他の回路パターン110及び他の補強板Wsを用いてズレ量を算出しても良い。補正工程において、補正装置70は、撮像装置30および圧着装置40を伴って、搬送装置20を移動および回動させる。なお、本実施形態において、画像処理に基づいて算出された回路パターン110に対する補強板Wsの位置のズレ量がゼロであったとしても、補正工程を行ったこととする。また、本実施形態において、画像処理に基づいて算出された回路パターン110に対する補強板Wsの姿勢のズレ量がゼロであったとしても、補正工程を行ったこととする。
【0088】
3-5. 圧着工程(S140)
圧着工程は、仮接合フィルムWfを上下方向(Z方向)に移動させ、補強板Wsを基板Wbに圧着する工程である(
図10、
図13、および
図14参照)。また、圧着工程においては、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧する。より具体的には、まず、貼り付け装置1は、仮接合フィルムWfと基板Wbとが距離Dz離間した状態(
図12参照)から、加圧コテ52を、加圧ヘッド基体54に対して、Z軸に沿って-Z方向(
図13に示す破線矢印方向)に距離Dzだけ移動させる(
図13参照)。そして、貼り付け装置1は、
図13に示すように、加圧コテ52により仮接合フィルムWfの表面に適切な圧力を加える。このとき、貼り付け装置1は、
図10に示すように、貼り付け予定の補強板Wsaの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧コテ52で加圧する。より具体的には、貼り付け装置1は、仮接合フィルムWfにおいて補強板Wsaが裏側に接合されている位置を、表側から加圧コテ52で加圧する。なお、圧着工程において、貼り付け装置1は、仮接合フィルムWfと基板Wbとが距離Dzより大きくまたは小さく離間した状態から、加圧コテ52をZ軸に沿って移動させても良い。この場合、まず、貼り付け装置1は、補正装置70により圧着装置40をZ軸に沿って移動させることにより、仮接合フィルムWfと基板Wbとの距離を距離Dzより大きくまたは小さくする。そして、貼り付け装置1は、加圧コテ52を、加圧ヘッド基体54に対して、仮接合フィルムWfと基板Wbとの距離分だけ-Z方向に移動させれば良い。
【0089】
本実施形態においては、加圧コテ52は、加圧ヘッド50に配設されたヒーター53からの熱が伝導されて、温度Tまで加熱されている。温度Tは、例えば、100~120℃等、透明フィルム200の粘着力が低下する温度および接着層が溶融する温度より高く、且つ、透明フィルム200が溶融する温度より低い温度とすることが好ましい。このように温度Tまで加熱された加圧コテ52で補強板Wsaの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧することにより、補強板Wsaに対する透明フィルム200の粘着力が低下し、且つ、当該補強板Wsaの接着層が溶融される。よって、補強板Wsaは、透明フィルム200から剥離される。また、接着層が溶融された状態で加圧コテ52が補強板Wsaを加圧するため、補強板Wsaは、基板Wbの回路パターン110aの適切な位置に仮圧着することができる。
【0090】
このように、基板Wbに補強板Wsaが仮圧着すると、貼り付け装置1は、
図14に示すように、加圧コテ52を加圧ヘッド基体54に対して+Z方向(
図14に示す破線矢印方向)に移動させることにより、仮接合フィルムWfが基板Wbの表面から離間され、加圧コテ52による仮接合フィルムWfの表面への加圧を終了する。このようにして、貼り付け装置1は、貼り付け予定の補強板Wsaを基板Wbの回路パターン110aの適切な位置に仮圧着した補強板貼付済みベースフィルム100を生成することができる(
図11参照)。貼り付け装置1は、この貼り付け方法(S100~S140)を繰り返すことにより、複数の補強板Wsが基板Wbに貼り付けられた補強板貼付済みベースフィルム100を生成することができる(
図1参照)。
【0091】
本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、仮接合フィルムWfを所定位置に搬送する搬送装置20と、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置である回路パターン110(回路パターン110a)と補強板Ws(補強板Wsa)とを撮像する撮像装置30と、撮像装置30によって撮像された貼り付け予定位置と補強板Wsとの位置および姿勢の情報に基づいて、補強板Wsの位置および姿勢を補正する補正装置70と、仮接合フィルムWfを上下方向に移動させて補強板Wsを基板Wbに圧着する圧着装置40と、を備える。このように貼り付け装置1を構成することにより、従来のように補強板Wsを吸着部に吸着させる吸着動作が不要となるため、当該吸着動作の際に補強板Wsの姿勢がずれる事態が発生せず、作業者が吸着部に吸着された補強板Wsの姿勢を確認する作業が不要となる。よって、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、貼り付け工程に要する時間が短くなり、生産性を高めることができる。また、貼り付け装置1は、当該吸着動作が不要となるため、吸着部を備える必要がない。従来から、吸着部は、吸着対象である補強板Wsの形状に合わせて適宜作成する必要があり、吸着対象によっては吸着部の作成が困難になることもあった。しかしながら、本実施形態に係る貼り付け装置1は、当該吸着部を備える必要がないため、生産性をより高めることができる。なお、本明細書において、「貼り付け工程」とは、上述の貼り付け方法を用いて、基板Wbに補強板Wsを貼り付ける1つの製造過程のことをいう。より具体的には、「貼り付け工程」とは、フレキシブル基板FPCを製造する製造方法のうち、基板Wbに補強板Wsを貼り付ける(仮圧着する)という1つの製造過程を示すものである。
【0092】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、圧着装置40は、基板保持テーブル11の上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って、仮接合フィルムWfが基板Wbに対して昇降可能に構成されるため、仮接合フィルムWfをX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って移動させることにより、補強板Wsを基板Wbに対して適切な位置に配置した状態で圧着させることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、圧着装置40は、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を透明フィルム200側から加圧する加圧ヘッド50を備えるため、補強板Wsを基板Wbに容易に圧着することができ、生産性をより高めることができる。
【0094】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、加圧ヘッド50は、仮接合フィルムWfの表面に接触可能な先端部である加圧コテ52が、基板保持テーブル11の上面に平行なX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って昇降可能に構成されるため、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)の平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面に容易に接触し、当該表面を加圧することができる。特に、加圧ヘッド50は、昇降機構(不図示)により、加圧ヘッド基体54に対して、加圧コテ52がZ軸方向に往復移動可能に構成されているため、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)の平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面に接触するためにZ軸方向の移動を微調整することができ、加圧コテ52を仮接合フィルムWfの表面により適切に接触させることができる。
【0095】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、加圧ヘッド50は、仮接合フィルムWfと基板Wbとが距離Dz離間した状態(
図12参照)から、仮接合フィルムWfの表面に接触可能な先端部である加圧コテ52を移動させて、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧する(
図13参照)。例えば、仮接合フィルムWfと基板Wbとを接触させた状態で、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)の平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧する場合、仮接合フィルムWfが基板Wbに接触することにより、補強板Wsaの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面以外の部分が基板Wbに接合したり、貼り付け予定ではない他の補強板Wsが仮接合フィルムWfから脱落する虞がある。しかしながら、貼り付け装置1によれば、仮接合フィルムWfのうち、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)の平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面以外の部分は、基板Wbから離間した状態が保たれるため、補強板Wsaの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面以外の部分が基板Wbに接合する事態を抑制することができるとともに、当該他の補強板Wsが仮接合フィルムWfから脱落する事態を抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、加圧ヘッド50は、加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面(略L字状の短辺の端面)の面積が、補強板Wsの大きさ以下となるよう形成されているため(
図10参照)、同時に複数の補強板Wsが加圧される事態を抑制することができる。すなわち、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、補強板Wsが基板Wbにおける貼り付け予定位置と異なる位置に貼り付けられる事態を抑制することができるため、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)を基板Wbにおける貼り付け予定位置(回路パターン110a)へ確実に貼り付けることができる。特に、本実施形態に係る貼り付け装置1は仮圧着装置であるため、基板Wbへの補強板Wsの仮圧着としては、加圧ヘッド50により補強板Wsの少なくとも一部が基板Wbに確実に圧着できればよい。本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、加圧コテ52により補強板Wsの少なくとも一部を加圧することができるため、補強板Wsの少なくとも一部を基板Wbに確実に圧着することができる。
【0097】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、補強板Wsは、透明フィルム200に接合される面と反対側の面、すなわち、基板Wbに貼り付けられる面に、熱可塑性樹脂成分を含有する固形接着剤から構成される接着層が形成されている。また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、加圧ヘッド50は、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加熱するヒーター53が配設されている。このため、加圧ヘッド50がヒーター53により十分に加熱された状態で、加圧コテ52を仮接合フィルムWfの表面に接触させることにより、補強板Wsの基板Wbに貼り付けられる面の接着力を高めることができる。よって、貼り付け装置1は、加圧ヘッド50により加圧および加熱を同時に施すことができるため、補強板Wsを基板Wbに確実に貼り付けるとともに、貼り付け工程に要する時間を短縮することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、仮接合フィルムWfは、所定温度以上の加熱により粘着力が低下する透明フィルム200の下面に補強板Wsが接合されたフィルムであるため、ヒーター53で所定温度以上に加熱された加圧ヘッド50が、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)の平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧することにより、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)に対する透明フィルム200の粘着力を低下させることができる。よって、貼り付け装置1は、仮接合フィルムWfのうち、貼り付け予定の補強板Ws(補強板Wsa)を透明フィルム200から容易に剥離させることができる。また、加圧ヘッド50により補強板Wsを基板Wbに圧着する工程の中で、透明フィルム200から補強板Wsを剥離させることができるため、別途、透明フィルム200から補強板Wsを剥離させるための工程を設ける必要がなく、貼り付け工程に要する時間を短縮することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、補正装置70は、搬送装置20を、基板保持テーブル11の上面に平行なX軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、X軸およびY軸に垂直なZ軸の周りに回転させるため、仮接合フィルムWfを、X軸およびY軸に沿って移動させ、且つ、Z軸の周りに回転させることができる。よって、貼り付け装置1は、撮像装置30によって撮像された基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置(回路パターン110a)と補強板Wsaとの位置および姿勢の情報に基づいて、補強板Wsaの位置および姿勢を容易且つ適切に補正することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、搬送装置20は、ロール状に巻かれた長尺の仮接合フィルムWfをシート状に繰り出す繰り出し装置22と、仮接合フィルムWfから補強板Wsが剥離された透明フィルム200をロール状に巻き取る巻き取り装置24と、を備え、繰り出し装置22から繰り出された仮接合フィルムWfを間欠的に搬送する(
図5参照)。このため、貼り付け装置1は、ロール状に巻かれた長尺の仮接合フィルムWfを間欠的に搬送しながら、順次、基板Wbへ補強板Wsを貼り付けることができるため、生産性を高めることができる。
【0101】
また、本実施形態に係る貼り付け装置1によれば、仮接合フィルムWfは、透明フィルム200の下面に複数の補強板Wsが仮接合されているため、例えば、基板Wbに対する1の補強板Wsの貼り付けが完了した後に、当該仮接合フィルムWfを、次に貼り付け予定の補強板Wsが接合された仮接合フィルムWfに取り替える必要がない。よって、貼り付け装置1は、次の貼り付け予定の補強板Wsが基板Wbにおける貼り付け予定位置に適切に配置されるように、適宜、搬送装置20および補正装置70により仮接合フィルムWfを移動させるだけで、当該補強板Wsを基板Wbにおける貼り付け予定位置に適切に貼り付けることができ、生産性を高めることができる。
【0102】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能である。例えば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0103】
(1)上記の実施形態において、基板Wbとして、回路パターン110がマトリクス状に形成された部材(
図1参照)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の基板Wbとしては、アライメントマークがマトリクス状に形成された部材を採用しても良い(
図15参照)。
【0104】
図15は、補強板Ws1が貼り付けられた基板Wb1の変形例を説明するための図である。
【0105】
基板Wb1は、
図15に示すように、基板Wb1における位置の基準として、アライメントマーク150がマトリクス状に形成されている。この基板Wb1を用いる場合、貼り付け装置1は、当該アライメントマーク150各々を、基板Wb1における補強板Ws1の貼り付け予定位置の基準として用いることができる。よって、本変形例においては、アライメントマーク150が、本発明の「貼り付け予定位置」に相当する。貼り付け装置1は、基板Wb1のアライメントマーク150の位置にそれぞれ補強板Ws1を仮圧着し、補強板貼付済み基板101を生成することができる。
【0106】
本発明の貼付部材Wsの形状としては、
図1に示す補強板Wsの形状に限定されるものではなく、例えば、
図15に示す補強板Ws1のような正方形であっても良いし、長方形、多角形等であっても良い。また、本発明の「貼り付け予定位置」は、基板Wb,Wb1における位置の基準として用いるものであれば、回路パターン110やアライメントマーク150に限定されず、例えば、デバイスホール、スルーホール等であっても良い。
【0107】
(2)上記の実施形態において、加圧ヘッド50は、補正装置70による圧着装置40(基部42)の移動に伴って、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動可能に構成されているが、本発明はこれに限定されず、基部42の移動に伴う移動に加えて、加圧ヘッド50の先端部である加圧コテ52を含む加圧ヘッド可動部56が、加圧ヘッド基体54に対してY軸方向に往復移動可能に構成されていても良い。
【0108】
図16および
図17は、加圧ヘッドの変形例を説明するための図である。
図16は、加圧ヘッドの先端部が圧着位置にある場合の仮接合フィルムおよび基板との位置関係を模式的に示す図である。
図17は、加圧ヘッドの先端部が退避位置にある場合の仮接合フィルムおよび基板との位置関係を模式的に示す図である。
【0109】
加圧ヘッド50は、
図16および
図17に示すように、加圧ヘッド可動部56が、加圧ヘッド基体54に対してY軸方向に往復移動可能に構成されている。より具体的には、加圧ヘッド50は、加圧ヘッド可動部56の移動に伴って、加圧ヘッド50の先端部である加圧コテ52が、仮接合フィルムWfの上方の圧着位置(
図16参照)と、仮接合フィルムWfの上方から退避した退避位置(
図17参照)との間を移動可能に構成される。圧着位置とは、
図16に示すように、加圧ヘッド可動部56に備えられる加圧コテ52が、仮接合フィルムWfの上方に配置される位置である。退避位置とは、
図17に示すように、加圧コテ52が仮接合フィルムWfの上方から-Y方向へ退避した位置であり、加圧コテ52の直下に仮接合フィルムWfが存在しない位置である。
【0110】
加圧コテ52が圧着位置に配置される状態において、撮像装置30は、加圧コテ52、補強板Ws、基板Wbにおける貼り付け予定位置を撮像できる。例えば、加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面の面積が補強板Wsより大きい場合においては、加圧コテ52により補強板Wsが隠れてしまうため、撮像装置30による補強板Wsの撮像が難しい。本変形例においては、撮像工程(S120)において、圧着位置に配置されている加圧コテ52を退避位置へ移動させ、透明フィルム200側から、基板Wbに形成された回路パターン110と補強板Wsとを撮像することが好ましい(
図16の破線矢印参照)。このように撮像工程を行うことにより、例えば、加圧コテ52の仮接合フィルムWfの表面への接触面の面積が補強板Wsより大きい場合であっても、貼り付け装置1は、撮像装置30による撮像の際に、加圧コテ52を退避位置へ移動することができるため、貼り付け予定位置と補強板Wsの位置との位置ズレの情報および貼り付け予定位置に対する補強板Wsの姿勢の情報を適切に取得することができる。
【0111】
(3)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、搬送装置20がX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向に沿って移動可能に構成されており、搬送装置20を移動させることにより、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置に対する補強板Wsの位置および姿勢を補正しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、貼り付け装置1は、基台10に備えられた補正装置(不図示)により、基板保持テーブル11がX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向に沿って移動可能に構成されていても良い。この場合、搬送装置20は、貼り付け装置1に固定され、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向に沿って移動不可能となるよう構成されていても良い。このように構成することにより、貼り付け装置1は、基板保持テーブル11を移動させることにより、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置に対する補強板Wsの位置および姿勢を補正できる。
【0112】
また、貼り付け装置1は、補正装置70と、基台10に備えられた補正装置(不図示)との両方を用いて、基板保持テーブル11、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40を移動可能に構成されていても良い。例えば、貼り付け装置1は、基台10に備えられた補正装置により、基板保持テーブル11をX軸方向およびY軸方向に沿って移動可能に構成されるとともに、補正装置70により、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40をZ軸方向およびθ軸方向に沿って移動可能に構成されていても良い。
【0113】
(4)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、補正装置70により、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40を一体的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向に沿って移動可能に構成されていたが、本発明はこれに限定されず、搬送装置20、撮像装置30、および圧着装置40は、それぞれ別の補正装置により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向に沿って移動可能に構成されていても良い。また、撮像装置30および圧着装置40は、θ軸方向に沿って回動可能に構成されていなくても良い。また、撮像装置30は、X軸方向およびY軸方向のみ移動可能に構成されていても良いし、貼り付け装置1に固定されていても良い。
【0114】
(5)上述の実施形態において、加圧ヘッド50は、昇降機構(不図示)により、加圧ヘッド基体54に対して、加圧コテ52がZ軸方向に往復移動可能に構成されているが、本発明はこれに限定されず、加圧コテ52が加圧ヘッド基体54に対してZ軸方向に往復移動可能に構成されていなくても良い。すなわち、加圧コテ52は、圧着装置40によるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ軸方向の移動に伴ってのみ移動可能に構成されていても良い。また、加圧ヘッド50は、昇降機構(不図示)により、圧着装置40の基部42に対して、Z軸方向に往復移動可能に構成されていても良い。
【0115】
(6)上述の実施形態において、基板Wbは、シート状の部材(
図1参照)であり、基板搬送工程(S100)により、基板保持テーブル11に保持された状態で、レール12に沿って移動し、搬送装置20の下側の所定の位置に配置されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、貼り付け装置1は、基板Wbとして、ロール状に巻かれた長尺のベースフィルムを採用しても良い。この場合、貼り付け装置1は、例えば、基板保持テーブル11より搬送方向(+X方向)の上流側に配置され、基板Wbを+X方向に繰り出す基板繰り出し装置(不図示)と、基板保持テーブル11より搬送方向の下流側に配置され、当該基板Wbに補強板Wsが貼り付けられた補強板貼付済み基板100を巻き取る基板巻き取り装置(不図示)と、を備えていれば良い。また、貼り付け装置1は、基板繰り出し装置から繰り出された基板Wbをレール12に沿って、基板保持テーブル11に搬送するよう構成されていれば良い。
【0116】
また、貼り付け装置1は、基板保持テーブル11をレール12に沿って移動可能に構成されていなくても良い。例えば、基板保持テーブル11は、搬送装置20の下側の所定の位置に固定されていても良い。この場合、作業者等が、当該基板保持テーブル11に基板Wbを載置すれば良い。
【0117】
(7)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、ヒーター53により加圧コテ52が加熱されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、基板保持テーブル11等に設けられたヒーター(不図示)により、基板Wbにおける補強板Wsの貼り付け予定位置を含む所定範囲を加熱しても良い。
【0118】
(8)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、ヒーター53により加熱された加圧コテ52により仮接合フィルムWfの表面を加圧および加熱していたが、本発明はこれに限定されず、加圧コテ52により、仮接合フィルムWfの表面を加熱することなく、加圧のみで補強板Wsを基板Wbに仮圧着しても良い。この場合、加圧ヘッド50は、ヒーター53を配設しなくても良い。
【0119】
(9)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、ヒーター53を常時オンとしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ヒーター53の出力、加圧コテの熱容量、設定温度等を適宜調整しながら、適宜オン/オフを切り替える制御を行っても良い。このように制御することにより、貼り付け装置1が消費する電力を節約することができる。
【0120】
(10)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、上述の貼り付け方法(S100~S140)により、補強板Wsを1つずつ基板Wbに貼り付けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の補強板Wsを同時に基板Wbに貼り付けても良い。この場合、例えば、貼り付け装置1は、複数の補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面に接触可能な接触面を有する加圧コテ52を備え、圧着工程(S140)において、仮接合フィルムWfにおいて当該複数の補強板Wsaが裏側に接合されている位置を、表側から当該加圧コテ52で加圧および加熱すれば良い。
【0121】
(11)上述の実施形態において、貼り付け装置1は、仮接合フィルムWfと基板Wbとが距離Dz離間した状態から、加圧コテ52をZ軸に沿って移動させ、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、貼り付け装置1は、圧着工程(S140)において、補強板Wsを基板Wbの表面に接触させた状態で、補強板Wsの平面位置に対応する仮接合フィルムWfの表面を加圧しても良い。より具体的には、まず、貼り付け装置1は、補強板Wsが基板Wbの表面に接触するように、補正装置70により、仮接合フィルムWfと基板Wbとの間隔Dzだけ、搬送装置20を-Z方向に移動させる。そして、貼り付け装置1は、加圧コテ52を加圧ヘッド基体54に対して-Z方向に移動させ、加圧コテ52により仮接合フィルムWfの表面に適切な圧力を加えるよう構成すれば良い。
【符号の説明】
【0122】
1…貼り付け装置(仮圧着装置)、11…基板保持テーブル、20…搬送装置、22…繰り出し装置、24…巻き取り装置、30…撮像装置、40…圧着装置、50…加圧ヘッド、52・・・加圧コテ(加圧ヘッドの仮接合フィルムの表面に接触可能な先端部)、53…ヒーター、70…補正装置、100,101…補強板貼付済み基板(基板)、110…回路パターン(貼り付け予定位置)、150…アライメントマーク(貼り付け予定位置)、200…透明フィルム、Wb,Wb1…補強板(貼付部材)、S110…搬送工程、S120…撮像工程、S130…補正工程、S140…圧着工程