(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2019137484
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 崇雅
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 海
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅博
(72)【発明者】
【氏名】山田 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】平口 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】河邉 法広
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
【審査官】下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-346952(JP,A)
【文献】特開2014-135972(JP,A)
【文献】特開2015-208572(JP,A)
【文献】特開2003-093653(JP,A)
【文献】特開2015-136430(JP,A)
【文献】特開2017-093969(JP,A)
【文献】特開2017-064353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置に表示される当否判定結果を示す識別図柄の変動開始から停止までの報知演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記報知演出は、複数の段階に区分けされた特定部を含むものであり、
前記報知演出中に所定条件を満たすことで、前記表示装置に前記特定部の流れを示す特定フローが表示されるものであり、
前記特定フローは、現在実行されている前記報知演出の前記特定部において、
これまでに実行された演出に対応する画像、現在実行されている演出に対応する画像、および、これから実行される可能性がある演出に対応する画像を含み、
これまでに実行された演出ではなく既に実行される可能性が無くなった演出に対応する画像を含まない
ものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否判定結果を報知する報知演出は、リーチ演出等が実行されることにより当たりに近づいていることが遊技者に示唆される(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、当否判定結果を報知する報知演出を分かりやすくすることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示装置と、前記表示装置に表示される当否判定結果を示す識別図柄の変動開始から停止までの報知演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記報知演出は、複数の段階に区分けされた特定部を含むものであり、前記報知演出中に所定条件を満たすことで、前記表示装置に前記特定部の流れを示す特定フローが表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、当否判定結果を報知する報知演出を分かりやすくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図5】フロー表示機能に関する第一具体例を説明するための図である。
【
図6】フロー表示機能に関する第二具体例を説明するための図である。
【
図7】フロー表示機能に関する第三具体例を説明するための図である。
【
図8】フロー表示機能に関する第五具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(
図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
【0018】
2)フロー表示機能
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能なフロー表示機能について説明する。報知演出の少なくとも一部を特定部とする。
図3に示すように、報知演出は、大まかに見てリーチ状態が構築された後(リーチ成立前)とリーチ状態が構築された後(リーチ成立後)に区分けされるところ、本実施形態における特定部はリーチ成立後の少なくとも一部である。なお、リーチ状態は、三つの識別図柄群80gのうちの二つから選択されて示された識別図柄80が同じ種類の識別図柄80となる状態をいう。当否判定結果が当たりとなるときには、リーチ状態が成立することになる。当然ではあるが、リーチ状態が成立せずに報知演出(はずれを報知する報知演出)が終了することもある。つまり、特定部に移行せずに報知演出が終了することもある。
【0019】
特定部は、複数の段階に区分けされた部分である。本実施形態では、第一段階、第二段階、第三段階の三つに区分けされている(
図3参照)。第一段階は「ノーマルリーチ」の状態であり、第二段階は「弱SP(スペシャル)リーチ」の状態であり、第三段階は「強SPリーチ」の状態である。報知演出が第一段階にあるときよりも第二段階にあるときの方が、第二段階にあるときよりも第三段階にあるときの方が、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高い。
【0020】
基本的には、リーチ成立後の報知演出は、第一段階、第二段階、第三段階の順で進行する。途中の段階(第一段階、第二段階)で当否判定結果が示され、報知演出が終了することもある。ただし、ある段階を飛ばして演出が進行することがあってもよい。例えば、第一段階から第三段階に移行するケースが発生しうるものとしてもよい。
【0021】
各段階のうちの少なくとも一部は、複数の候補演出のうちのいずれかから実行する演出が選択されるものである。本実施形態では、第二段階および第三段階について、複数の候補演出が設定されている。具体的には、第二段階として実行される候補演出として第二演出A、第二演出B、第二演出Cの三種類が設定され、第三段階として実行される候補演出として第三演出A、第二演出B、第三演出Cx、第三演出Cyの四種類が設定されている(
図3参照)。第二段階として実行される演出が、第二演出Aであるときよりも第二演出Bであるときの方が、第二演出Bであるときよりも第二演出Cであるときの方が、大当たり信頼度が高い設定とされている。また、第三段階として実行される演出が、第三演出Aであるときよりも第三演出Bであるときの方が、第三演出Bであるときよりも第三演出Cxであるときの方が、第三演出Cxであるときよりも第三演出Cyであるときの方が、大当たり信頼度が高い設定とされている。
【0022】
なお、第一段階は、第一演出としてノーマルリーチ演出が実行されるものである。当該第一段階の演出についても複数の候補演出が設定されていてもよい。
【0023】
フロー表示機能を利用した場合(フロー表示機能をアクティブな状態とした場合)は、特定部の流れを示す特定フロー10が表示領域911に表示される(
図4(b)参照)。特定フロー10は、特定部を構成する各段階(候補演出)に相当する部分を示す画像(以下、ブロック画像と称する)を複数含むものである。すなわち、ブロック画像として、第一段階(第一演出)に相当する第一画像11と、第二段階の第二演出A、第二演出B、第二演出Cのそれぞれに相当する第二画像A121、第二画像B122、第二画像C123(以下、これらをまとめて第二画像群と称することもある)と、第三段階の第三演出A、第二演出B、第三演出Cx、第三演出Cyのそれぞれに相当する第三画像A131、第三画像B132、第三画像Cx133、第三画像Cy134(以下、これらをまとめて第三画像群と称することもある)とが表示される。各画像は、各演出の名称を示す文字を含むものとされる。本実施形態では、第一演出は「ノーマルリーチ」であり、第二演出は「弱SPリーチ(A、B、C)」であり、第三演出は「強SPリーチ(A、B、Cx、Cy)」とされる。
【0024】
上述したように、各段階は、報知演出の進行の度合を示すものであるところ、特定フロー10は、当該進行の度合を表すように各段階(候補演出)に対応するブロック画像が表示領域911に配置されたものとされる。具体的には、左から、第一画像11、第二画像群、第三画像群が位置するような配置とされる。つまり、第二画像群や、第三画像群は、各群に含まれる複数のブロック画像が上下方向に並ぶように表示される。
【0025】
また、特定フロー10は、進行方向を示す画像(本実施形態では「矢印」の画像)がブロック画像同士を繋ぐように表示されたものとされる。本実施形態では、第一段階(ノーマルリーチ状態)からは、第二段階の候補演出(第二演出A、第二演出B、第二演出C)のいずれにも進行する可能性がある。よって、第一画像11から、第二画像A121、第二画像B122、第二画像C123のそれぞれに分岐して延びるような矢印の画像が表示される。
【0026】
また、本実施形態では、第二演出Aからは第三演出Aに進行する可能性があり、第二演出Bからは第三演出Bに進行する可能性があり、第二演出Cからは第三演出Cxまたは第三演出Cyに進行する可能性があるように設定されている。したがって、第二画像A121から第三画像A131に、第二画像B122から第三画像B132に延びるような矢印の画像が表示されるとともに、第二画像C123から第三画像Cx133および第三画像Cy134のそれぞれに分岐して延びるような矢印の画像が表示される。このようにすることで、第二演出Aからは第三演出Aに移行しうること(第二演出B、第三演出Cx、第三演出Cyには移行しないこと)、第二演出Bから第三演出Bに移行しうること(第二演出A、第三演出Cx、第三演出Cyには移行しないこと)を把握することが可能である。また、第三演出Cからは、第三演出Cxまたは第三演出Cyの一方に移行しうること(第二演出A、第二演出Bには移行しないこと)を把握することが可能である。ただし、いわゆるプレミア演出(大当たりが確定する事象)として、特定フロー10には表されないような進行態様が発生しうるようにしてもよい。このようにする場合、上記「矢印の画像」は、あくまで基本的な(通常の)進行方向を示すものであるということができる。
【0027】
このようなブロック画像の配置、矢印の画像を含む特定フロー10を見た遊技者は、報知演出における特定部のおおよその流れを把握することが可能となる。
【0028】
本実施形態における特定部は、報知演出において識別図柄80がリーチ状態を構築した後の少なくとも一部である。つまり、特定フロー10は、リーチ成立後の流れを示すものであるといえる。リーチ成立により当否判定結果が大当たりとなる可能性が生じるから(一般的には、リーチ成立前の状態においては当否判定結果が大当たりとなる蓋然性はそれほど高くはないから)、リーチ成立後の流れを特定フロー10で示せば十分であるといえる。
【0029】
このような特定フロー10は所定条件(以下、表示条件と称することもある)の成立を契機として表示領域911に表示される。特定フロー10は、表示領域911に表示される演出用の画像(識別図柄80を表す画像や、その背景の画像等)を覆うように表示される。すなわち、特定フロー10を表すレイヤは、演出用の画像を表す一または複数のレイヤの全てよりも手前に設定されている。よって、特定フロー10が表示されている際には、当該特定フロー10に覆われる範囲の画像は見えなくなる(
図4(b)参照)。
【0030】
上記表示条件は、遊技者の意思が反映されるものであればよい。端的に言えば、特定フロー10を表示させるかどうかは、遊技者が任意に決定することができるものとする。つまり、遊技者が特定フロー10の表示を希望しない場合には表示されないようにし、遊技者が意図せず特定フロー10によって演出用の画像が見えにくくなる状況が発生しないようにされる。本実施形態では、操作手段60の操作を契機として表示条件が成立したと判断する。また、本実施形態では、報知演出が実行されている最中(特定部中であるかどうかは問わない)であっても、報知演出が実行されていない最中(待機状態中)であっても、表示条件の成立を契機として特定フロー10が表示領域911に表示される。待機状態中においては、操作手段60の操作を契機として特定フロー10が表示されることが遊技者に示されるとよい。例えば、「〇〇を操作することで演出フローが表示されるよ」といった表示がなされるようにする。
【0031】
上記操作手段60はどのようなものであってもよいが、報知演出において遊技者に対し操作が促される操作演出が発生しないものであることが好ましい。本実施形態では、十字キーの操作を契機として特定フロー10が表示領域911に表示される(
図4(a)(b)参照)。このような十字キーの操作を促す操作演出は報知演出中には発生しない(押しボタン等の他の操作手段の操作を促す操作演出は発生する)。つまり、報知演出中において十字キーの操作が促される状況は発生しないから、報知演出にて遊技者が不意に十字キーを操作して特定フロー10が表示されてしまうといった状況の発生が抑制される。
【0032】
表示領域911に表示された特定フロー10が消去される条件(消去条件)はどのようなものであってもよい。一旦表示された特定フロー10が表示され続けてしまうことを防止するため、所定時間の経過が所定条件の一つとして設定されていることが好ましい。操作手段60の操作を消去条件の一つとして設定することも考えられる。特定フロー10を表示する際の操作と、特定フロー10を消去する際の操作は異なる態様であることが好ましい。例えば、十字キーの左を操作することで特定フロー10が表示され、十字キーの右を操作することで特定フロー10が消去される構成とすることが考えられる。
【0033】
特定フロー10は、表示領域911における保留図柄70が表示された箇所以外の箇所に表示されるようにする。つまり、特定フロー10により、保留図柄70が覆われない(特定フロー10と保留図柄70が重ならない)ようにされる(
図4(b)参照)。特定フロー10により保留図柄70が覆われてしまうと、現時点における保留数を把握することが困難になってしまう。例えば、変動前保留情報の数が記憶手段に記憶可能な最大の記憶数に到達していない場合には、遊技球を発射させ続けて新たな変動前保留情報を取得することを考える遊技者が一定程度存在すると思われるところ、特定フロー10によって変動前保留図柄72が覆われて現在の変動前保留情報の数を把握することができないとこのように考える遊技者には不都合になる。
【0034】
変動中保留図柄71および変動前保留図柄72の両方が表示される設定である場合には、変動中保留図柄71および変動前保留図柄72のいずれもが特定フロー10に覆われないようにされることが好ましいが、少なくとも変動前保留図柄72が特定フロー10に覆われないようにする。このようにすれば、変動前保留情報の数を把握することが可能であるからである。当然ではあるが、変動中保留図柄71が表示されず変動前保留図柄72が表示される設定である場合には、変動前保留図柄72が特定フロー10に覆われないようにすればよい。
【0035】
以下、上記フロー表示機能に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0036】
〇第一具体例
現在実行されている報知演出が特定部の最中であるときに特定フロー10が表示される場合、当該特定フロー10は現在実行されている報知演出の進行の程度を示す要素(進行表示要素)を含むものとする。本実施形態では、特定フロー10が含むいずれかのブロック画像を囲むカーソルPが進行表示要素とされる。例えば、第二演出Cが実行されている時点(
図5(a)参照)において操作手段60が操作されたときには、第二画像C123を囲むカーソルPが表示された特定フロー10が表示される(
図5(b)参照)。これを見た遊技者は、現在実行されている報知演出が特定部の第二段階まで進行していることや、第二段階の演出として三種類(第二演出A~C)のうちの一つが実行されていること等を把握することが可能となる。
【0037】
上述した表示条件の一つとして、現在実行されている報知演出が特定部の最中であることが設定された構成としてもよい。つまり、特定部の最中でなければ、特定フロー10が表示されることはない設定とする。このようにすれば、特定フロー10が表示されるということは特定部の最中であるということになるから、当該特定フロー10は必ず進行表示要素を含むものとなる。
【0038】
〇第二具体例
特定フロー10は、現在実行されている演出に対応する画像と、現在実行されている演出から進行しうる演出(現在の報知演出にて将来的に発生しうる演出)に対応する画像のみを含むものとする。換言すれば、特定部にて実行されうる演出のうち、現在の報知演出においては既に実行される可能性がない演出が排除されたものが特定フロー10として表示されるようにするということである。例えば、第二演出Cが実行されている最中にある(
図6(a)参照)のであれば、当該第二演出Cに対応する第二画像C123と、将来的に発生しうる演出である第三演出Cx、第三演出Cyに対応する第三画像Cx133、第三画像Cy134とが表示される態様とする。第一演出や、現在実行されている第二演出C以外の第二演出(第二演出A、第二演出B)、第二演出Cから移行することがない第三演出(第三演出A、第三演出B)は、既に実行される可能性がない演出であるから、特定フロー10はそれに対応する画像を含まない(
図6(b)参照)。このように、現在実行されている演出と将来的に発生しうる演出のみが表示されるようにし、特定フロー10をコンパクトな態様として分かりやすくすることが考えられる。
【0039】
現在実行されている演出に対応する画像が表示されず、現在実行されている演出から進行しうる演出に対応する画像のみが表示されるようにしてもよい。すなわち、特定部にて実行されうる演出のうち、現在の報知演出においては既に実行される可能性がない演出、および、現在実行されている演出が排除されたものが特定フロー10として表示されるようにする。例えば、第二演出Cが実行されているのであれば、第三画像Cx133、第三画像Cy134のみが表示されることになる。
【0040】
現在実行されている演出に対応する画像、および現在実行されている演出から進行しうる演出に対応する画像に加え、先に実行された演出に対応する画像が表示されるようにしてもよい。例えば、第二演出Cが実行されているのであれば、第二画像C123、第三画像Cx133、第三画像Cy134に加え、第一画像11が表示されるものとする。このようにすることで、どのような演出が実行された後、現在の演出に至ったのかを把握することが可能となる。
【0041】
〇第三具体例
特定フロー10は、複数の候補演出どうしの大当たり信頼度の高低を比較できる要素(大当たり信頼度が候補演出どうしで異なることを示唆する要素)(信頼度示唆要素)を含むものとする。例えば、
図7に示すように、第二画像A121は青、第二画像B122は緑、第二画像C123は赤を基調とした画像とされることで、第二演出A、第二演出B、第二演出Cの順で大当たり信頼度が高くなるということが示唆される。同様に、第三画像A131は青、第三画像B132は緑、第三画像Cx133は紫、第三画像Cy134は赤を基調とした画像とされことで、第三演出A、第二演出B、第三演出Cx、第三演出Cyの順で大当たり信頼度が高くなるということが示唆される。なお、信頼度示唆要素をこのような「色」とする手法はあくまで一例である。例えば、文字(「低」「中」「高」といった文字)や、数的要素(「数字」や何らかのマークの「数」)により信頼度の高低を表すものとすることが考えられる。
【0042】
このようにすることで、報知演出(特定部)がどのように進行することが自身にとって都合が良いのかを遊技者が特定フロー10から把握することが可能となる。
【0043】
また、移行しうる演出が複数に分かれる分岐が存在する演出(例えば、第二演出Cは、第三演出Cxおよび第三演出Cyの一方に移行しうるものであるから、「分岐が存在する演出」である)においては、その後いずれの演出に移行することが好ましいのかを把握することが可能である。
【0044】
〇第四具体例
特定フロー10は、特定部として実行されうる演出の全てを開示するものでなくてもよい。換言すれば、特定部に含まれる演出(リーチ後に発生しうる演出)ではあるものの、特定フロー10に表示されない演出が設定されていてもよい。
【0045】
例えば、最も大当たり信頼度が高い演出(スーパーリーチ演出)が特定フロー10に表示されないようにすることが考えられる。このような演出が発生した時点でそれ未満の大当たり信頼度の演出に移行することはないのである(一般的な遊技機において、あるリーチ演出から、それよりも大当たり信頼度が低いリーチ演出に移行することはないように設定される)から、特定フロー10により流れを把握する必要はないとして当該演出を特定フロー10に含めない構成とする。
【0046】
また、発生した時点で大当たりとなることが確定するいわゆるプレミア演出が特定フロー10に表示されないようにすることが考えられる。プレミア演出が発生した時点で大当たりが確定するのであるから、特定フロー10により流れを把握する必要はないとしてプレミア演出を特定フロー10に含めない構成とする。
【0047】
〇第五具体例
操作手段60の操作を契機とせずに特定フロー10が表示されることがある構成とする。具体的には、報知演出が所定時点に到達することを契機として自動的に特定フロー10が表示されるものとする。
【0048】
一例としては、報知演出が特定部に移行した時(上記実施形態に即していえば、第一段階に移行した時)に特定フロー10が自動的に表示されるようにすることが考えられる。報知演出が特定部に移行した時に特定フロー10を表示することで、これから開始される特定部がどのような流れで進行するのかを遊技者に示す。
【0049】
別例としては、特定部を構成する段階が進行する度に特定フロー10が自動的に表示されるようにすることが考えられる。特定部の段階が進行した時に特定フロー10を表示することで現在の状況と照らし合わせつつ今後の流れを把握することが容易になる(
図8参照)。
【0050】
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0051】
上記実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の事項を除き、その他の遊技機(例えば、回胴式遊技機)等に適用することも可能である。
【0052】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0053】
・手段1
表示装置と、前記表示装置に表示される当否判定結果を示す識別図柄の変動開始から停止までの報知演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記報知演出は、複数の段階に区分けされた特定部を含むものであり、前記報知演出中に所定条件を満たすことで、前記表示装置に前記特定部の流れを示す特定フローが表示されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定フローにより、当否判定結果を報知する報知演出(特定部)が分かりやすくなる。
【0054】
・手段2
現在実行されている報知演出が前記特定部の最中であるときに前記特定フローが表示される場合、当該特定フローは現在実行されている報知演出の進行の程度を示す要素を含むことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、現在実行されている報知演出の状況が分かりやすくなる。
【0055】
・手段3
前記特定部の複数の段階のうちの少なくとも一部は、複数の候補演出のうちのいずれかから実行する演出が選択されるものであって、当該複数の候補演出のうちのいずれが実行されるかにより当否判定結果が当たりとなる蓋然性である信頼度が異なるものであり、前記特定フローは、前記複数の候補演出どうしの前記信頼度の高低を比較できる要素を含むことを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、どのように進行することが遊技者にとって好ましい状況であるのか分かりやすくなる。
【0056】
・手段4
前記特定部は、前記報知演出において前記識別図柄がリーチ状態を構築した後の少なくとも一部であることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
リーチ状態が構築されてはじめて当否判定結果が当たりとなることに期待がもてるのであるから、リーチ状態が構築された後の少なくとも一部が特定フローにより表されていればよい。
【0057】
・手段5
遊技者が操作可能な操作手段を備え、前記所定条件の少なくとも一つとして、前記操作手段が操作されることが設定されていることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、特定フローを必要としない遊技者に対しては特定フローが示されることがない。
【0058】
・手段6
当否判定に用いられる情報であって、未だ対応する当否判定結果の報知が完了していない保留情報の存在が保留図柄として前記表示装置に表示されるものであり、前記特定フローは、前記表示装置における前記保留図柄が表示された箇所以外の箇所に表示されることを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、特定フローが表示されている状況にあっても、保留の状況を容易に把握することが可能である。
【0059】
・手段7
前記特定フローは、現在実行されている報知演出において実行される可能性がない演出に対応する画像を含まないものであることを特徴とする手段1から手段6のいずれか一項に記載の遊技機。
現在の報知演出において実行される可能性がない演出については敢えて表示する必要がないといえる。これを踏まえ、上記のようにすることで、特定フローがコンパクトになり分かりやすくなる。
【符号の説明】
【0060】
1 遊技機
10 特定フロー
11 第一画像
121 第二画像A
122 第二画像B
123 第二画像C
131 第三画像A
132 第三画像B
133 第三画像Cx
134 第三画像Cy
P カーソル
60 操作手段(十字キー)
70 保留図柄
71 変動中保留図柄
72 変動前保留図柄
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域