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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
A63F7/02 304D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019137486
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021019767
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直彦
【審査官】下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164707(JP,A)
【文献】特開2015-156908(JP,A)
【文献】特開2017-012668(JP,A)
【文献】特開2016-165419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技状態として通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定された遊技機であって、
現在設定されている遊技状態が前記通常遊技状態であるか前記特別遊技状態であるかを遊技者に対して明示しない不確定モードにおいて、音出力手段より出力される背景楽曲の種類により、現在設定されている遊技状態が前記特別遊技状態である蓋然性である特別遊技期待度を示唆するものであり、
遊技者が操作可能な操作手段を備え、
遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出が実行され、当該操作演出における前記操作手段の操作を契機として前記音出力手段より出力される前記背景楽曲の種類が変化しうることを特徴とする遊技機。
ただし、前記不確定モードにおいて出力される前記背景楽曲の種類は、遊技者が選択することができないものとする。
【請求項2】
前記不確定モードは、所定回数連続して当否判定結果がはずれとなったときに終了するものであり、
前記操作演出が発生するタイミングが前記不確定モードの終了時点に近づくほど、前記背景楽曲の種類が前記特別遊技期待度の高いものに変化する結果となりやすいことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技状態として通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定され、現在設定されている遊技状態が通常遊技状態であるか特別遊技状態であるかが分からないモード(以下、不確定モードと称する)が搭載された遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-69396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不確定モードが搭載された遊技機の趣向性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技状態として通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定された遊技機であって、現在設定されている遊技状態が前記通常遊技状態であるか前記特別遊技状態であるかを遊技者に対して明示しない不確定モードにおいて、音出力手段より出力される背景楽曲の種類により、現在設定されている遊技状態が前記特別遊技状態である蓋然性である特別遊技期待度を示唆することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、不確定モードが搭載された遊技機の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】遊技状態を説明するための図である。
図4】確定モード・不確定モードを説明するための図である。
図5】不確定モード中に出力される背景楽曲の種類、および出力される背景楽曲の種類と特別遊技期待度の関係を説明するための図である。
図6】第二具体例を説明するための図(その一)である。
図7】第二具体例を説明するための図(その二)である。
図8】第三具体例を説明するための図である。
図9】第四具体例を説明するための図である。
図10】第五具体例を説明するための図である。
図11】第七具体例を説明するための図である。
図12】第九具体例を説明するための図である。
図13】第十具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘10Kが複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘10Kに衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄71が表示されない構成としてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
2)遊技状態
本実施形態では、当否抽選(判定)確率に関する遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている(図3参照)。通常遊技状態は、大当たりの当選確率が低い低確率遊技状態である。特別遊技状態は、大当たりの当選確率が高い(通常遊技状態よりも高い)高確率遊技状態(いわゆる確率変動(確変)状態)である。大当たりの当選確率が高いという点において、特別遊技状態は、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態であるということができる。
【0018】
本実施形態では、始動領域904への遊技球の入賞しやすさに関し、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(時短無状態)と、始動領域904に遊技球が入賞しやすい(低ベース状態よりも入賞しやすい)高ベース状態(時短有状態)が設定されている(図3参照)。始動領域904に遊技球が入賞することで賞球が得られることになるため、低ベース状態よりも、高ベース状態の方が、遊技球の数をあまり減らさずに遊技することが可能となる。低ベース状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる(本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う)べき状態である。高ベース状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる(本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う)べき状態である。高ベース状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態である(頻繁に第二始動領域904bが開放される状態である)ため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
遊技者は、まず、基本の状態である通常遊技状態かつ低ベース状態(以下、当該状態を基本状態と称することもある)にて大当たり当選を目指して遊技する。本実施形態にかかる遊技機1では、大当たりとして、通常大当たりおよび特別大当たりが設定されている。
【0020】
通常大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態かつ高ベース状態(低確・時短有)(以下、当該状態を「時短状態」と称することもある)に移行するものである(図3参照)。当該時短状態は、所定回数連続して当否判定結果がはずれとなるまで継続する。本実施形態では、100回連続して当否判定結果がはずれとなることをもって基本状態に戻る(時短「100回」の設定である)。100回連続して当否判定結果がはずれとなる前に大当たりに当選した場合には、いわゆる「連チャン」となる。
【0021】
特別大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態かつ高ベース状態(高確・時短有)(以下、当該状態を「確変状態」と称することもある)に移行するものである(図3参照)。当該確変状態は、次回大当たりまで継続する。したがって、当該確変状態に移行した場合には、持ち球をあまり減らさずに次回大当たりに当選する「連チャン」の発生が確定することになる。
【0022】
本実施形態では、「7」の識別図柄80の三つ揃いにより大当たり当選が報知された場合には、当該大当たりは特別大当たりであることが確定する。当該大当たり遊技終了後は確変状態が確定するモード(以下、「確定モード」と称する)に移行する(図4(a)参照)。確定モード中において、確変状態であることが遊技者に報知(明示)されるようにしてもよい。
【0023】
一方、「7」以外の識別図柄80の三つ揃いにより大当たり当選が報知された場合には、当該大当たりは通常大当たりおよび特別大当たりのいずれの可能性もある設定とされている。したがって、当該大当たり遊技終了後は、時短状態である可能性もあるし、確変状態である可能性もあるということである。本実施形態では、当該大当たり遊技終了後は、時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)であるかを遊技者が把握することが困難または不可能なモード(以下、「不確定モード」と称する)に移行する(図4(b)参照)。図示しない複数の発光部の点灯パターン(大当たりの種類に応じた点灯パターン)等を解析することにより大当たりの種類を判別することで、内部的に時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれが設定されているのかを遊技者が把握することは可能であるが、このような解析を行わない遊技者は、不確定モードにていずれの状態が設定されているのかを見出すことはできない(見出すことが困難である)。当然、不確定モード中において、現在設定されている遊技状態が、時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれであるのかは明示されない(確変状態が確定するような演出が発生することは「明示」には該当しないものとする)。
【0024】
不確定モードにて時短状態および確変状態のいずれが設定されている場合であっても「高ベース状態」であることは共通する。上述した通り、時短状態は100回連続して当否判定結果がはずれとなるまで継続し、確変状態は次回大当たりとなるまで継続するのであるから、少なくとも100回連続して当否判定結果がはずれとなるまでは高ベース状態が継続することになる。これを踏まえ、不確定モードは、100回連続して当否判定結果がはずれとなるまで継続する。すなわち、100回連続して当否判定結果がはずれとなるまでは、時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれが設定されているのか遊技者は把握することが困難または不可能であるということである。
【0025】
不確定モードにて100回連続して当否判定結果がはずれとなったとき、内部的に時短状態であった場合には基準状態に戻ることになる。一方、内部的に確変状態であった場合には確定モードに移行することになる。つまり、100回連続して当否判定結果がはずれとなったときには、内部的に時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれが設定されていたのかを把握することができる。このように、不確定モードは、時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれが設定されているのかが明示されないようにして、遊技者に内部的に設定されている状態を予測させつつ楽しませるためのものである。
【0026】
3)楽曲示唆演出
上記不確定モードにおいて、時短状態(通常遊技状態)および確変状態(特別遊技状態)のいずれが設定されているのかを、背景楽曲を用いて示唆する演出(以下、楽曲示唆演出と称することもある)が発生する。以下、楽曲示唆演出について説明する。
【0027】
不確定モード中にスピーカ60(音出力手段)(図1等参照)から出力されることがある背景楽曲(BGM)として、複数種の楽曲(候補楽曲)が設定されている。本実施形態では、楽曲A~Eの五種類が候補楽曲とされ、当該楽曲A~Eのうちのいずれか一つが実際に不確定モード中に出力されることになる(図5(a)参照)。なお、背景楽曲は、不確定モード中に常時出力されていなければならないわけではない。例えば、特定の演出(リーチ演出等)が発生した場合には、背景楽曲に代えて、当該特定の演出に対応した楽曲が出力されることになる。背景楽曲に重ねて別の楽曲が出力されることがあってもよい。本実施形態では、識別図柄80の変動開始から少なくとも所定時間が経過するまでの間は、背景楽曲(楽曲A~Eのうちのいずれか)が出力される(変動開始時には楽曲A~Eのいずれかが出力されている)。
【0028】
出力される楽曲の種類により、現在設定されている遊技状態が特別遊技状態(確変状態)である蓋然性(以下、特別遊技期待度と称する)が示唆される。本実施形態では、楽曲Aが出力される場合は特別遊技期待度が10%であり、楽曲Bが出力される場合は特別遊技期待度が30%であり、楽曲Cが出力される場合は特別遊技期待度が50%であり、楽曲Dが出力される場合は特別遊技期待度が70%であり、楽曲Eが出力される場合は特別遊技期待度が100%である設定とされている(図5(b)参照)。楽曲Eは、出力された時点で現在設定されている遊技状態が特別遊技状態(確変状態)であることが確定する特別楽曲であるということができる。
【0029】
このようにすることで、遊技者は、出力される背景楽曲の種類から、現在設定されている遊技状態が特別遊技状態(確変状態)である蓋然性を予測しつつ楽しむことができる。すなわち、不確定モードが搭載された遊技機の趣向性を向上させることが可能である。
【0030】
また、本実施形態では、出力された時点で特別遊技状態であることが確定する特別楽曲も設定されている。このようにすることで、背景楽曲の種類により注目する遊技性を実現することが可能である。
【0031】
4)上記不確定モードや楽曲示唆演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0032】
〇第一具体例
不確定モード中に、背景楽曲の種類が変化しうる構成とする。すなわち、不確定モード中の背景楽曲が一定であるとは限られず、特別遊技期待度が変化する場合がある構成とする。背景楽曲の変化は、特別遊技期待度が高まる方向への変化に限られていることが好ましい。例えば、楽曲Cが背景楽曲として出力されている状態においては、楽曲Aや楽曲Bへの変化は生じず、楽曲Dや楽曲Eへの変化が生じうるものとされる。このようにすることで、背景楽曲の種類が変化することによる特別遊技期待度の上昇に期待する遊技性を実現することが可能である。なお、背景楽曲の種類が変化する場合、変化後の背景楽曲の出力開始箇所は一定であることが好ましい(例えば、必ず楽曲の「冒頭」から出力されるようにする)。このようにすることで、背景楽曲の種類が変化したということに気付きやすくなる。
【0033】
本例のような構成とする場合、遊技状態が確変状態(特別遊技状態)であるかどうかを踏まえ、内部的に背景楽曲の上限が決定された上で実際に出力される背景楽曲の制御がなされるようにするとよい。例えば、楽曲Cが背景楽曲の上限とされた場合には、楽曲A~Cが出力される可能性はあるものの、楽曲D、Eが出力される可能性はないように制御される。ある時点において出力される背景楽曲が「上限」の楽曲でない場合には、所定の楽曲変化条件が成立することに基づき、背景楽曲の種類が変化するようにする。なお、「上限」の楽曲が背景楽曲として実際に出力されることなく、不確定モードが終了することがあってもよい。
【0034】
〇第二具体例(第一具体例をさらに具体化した例)
背景楽曲が変化するタイミングが、ある当否判定結果の報知演出が開始される時点(当該ある当否判定結果を報知する識別図柄80の変動が開始される時点)に限られた設定とすることが考えられる(図6参照)。なお、ある当否判定結果の報知演出が開始される時点は、その一つ前の当否判定結果の報知が完了する(報知演出が終了する)時点とみることもできる。すなわち、いわゆる変動間に背景楽曲が変化する場合がある構成とする。このようにすることで、背景楽曲の変化が分かりやすくなる。
【0035】
一または複数種の所定のリーチ演出(スーパーリーチ演出)を経て当否判定結果がはずれであることが報知された場合に限り、背景楽曲の変化が生じうる(楽曲変化条件が成立しうる)設定とすることも考えられる。いわゆるリーチ演出として、当否判定結果が大当たりとなる場合には成功結果となり、はずれとなる場合には失敗結果となるものが知られている。リーチ演出としては、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが勝利することが成功結果である(遊技者側のキャラクタが敗北することが失敗結果である)バトル演出を例示することができる。この種のリーチ演出が発生した場合、遊技者は大当たり当選に期待するところ、それが失敗結果(はずれ)となった場合に限り、特別遊技期待度が上昇する方向に背景楽曲の変化が生じうるものとする(図7参照)。このようにすることで、失敗結果となったリーチ演出に接した遊技者の落胆が和らげられる。なお、リーチ演出中は、背景楽曲(楽曲A~Eのいずれか)が出力されてもよいし、出力されなくても(リーチ演出用の楽曲が出力されるようにしても)よい。
【0036】
〇第三具体例(第一具体例をさらに具体化した例)
ある当否判定結果を報知する報知演出の最中(すなわち、少なくともいずれかの識別図柄80が変動している最中;いわゆる「変動中」)において、脈絡なく背景楽曲が変化する場合がある構成とする(図8参照)。具体的には、表示領域911に変動する識別図柄80(識別図柄群80g)および当該識別図柄80の背景画像50(静止画だけでなく、動画を含む)が表示されている状態において、当該識別図柄80の変動および背景画像50の連続性が保たれている最中に突然背景楽曲が変化する場合があるものとする(なお、背景画像50については、図8以外の図面においては図示を省略する)。背景画像50が静止画であれば当該静止画の態様が維持された状態で背景楽曲が変化するということである。背景画像50が動画であれば、当該動画が表す内容の連続性が保たれている状態(場面切替等が発生しない状態)で背景楽曲が変化するということである。遊技者の視点で言えば、背景楽曲が変化する明確な区切となる時点が存在しないようにするということである。
【0037】
本例のようにすれば、遊技者が予期しないようなタイミングで突発的に背景楽曲の種類が変化することになるから、遊技者に驚きを与えることができる。また、「変動中」に背景楽曲が変化することは通常は考えづらいため、(背景楽曲の種類が特別遊技期待度を示唆していることを知らない遊技者であっても)背景楽曲の変化が何らかの示唆を行っているのではないかと考えるきっかけになる。
【0038】
〇第四具体例(第一具体例をさらに具体化した例)
遊技者が操作可能な操作手段10(図1等参照)を備えるものとする。操作手段10の一例としては押しボタンを挙げることができる。遊技者の身体の一部(手等)を検出するセンサを設け、当該センサに身体の一部が検出されることを「操作手段の操作」と取り扱ってもよい。当該操作手段10の操作が促される操作演出が発生するものとし、当該操作演出における操作手段10の操作を契機としてスピーカ60より出力される背景楽曲の種類が変化する場合があるものとする。操作演出においては、所定の操作有効時間が設定され、当該操作有効時間中における操作手段10の操作が有効となる。操作有効時間の経過(残り)を示すメータが表示されるようにしてもよい(図9(a)参照)。
【0039】
本例においては、操作有効時間中に操作手段10が操作されても、背景楽曲の種類が変化しない場合がある(操作前に出力されていた背景楽曲が操作後もそのまま継続して(途切れることなく連続的に)出力される)ように設定される。すなわち、操作手段10の操作がなされることを契機として背景楽曲の種類が特別遊技期待度の高いものに変化するという結果(以下、変化結果と称することもある)に至ること(図9(b-1)参照)もあれば、背景楽曲の種類が変化しないという結果(以下、非変化結果と称することもある)に至ること(図9(b-2)参照)もあるように設定される。したがって、遊技者が操作手段10を操作する際には、背景楽曲の種類が変化することを願って操作することになる。
【0040】
なお、操作有効時間中に操作手段10が操作されたことを契機として背景楽曲の種類が変化することが予め決定されていた場合において、操作有効時間中に操作手段10が操作されなかった場合、背景楽曲の種類が変化しないようにしてもよいし、(操作有効時間の経過を契機として)背景楽曲の種類が変化するようにしてもよい。前者のようにする場合、操作手段10の操作がなされなければ背景楽曲の種類が変化しないのであるから操作手段10を操作することに意味をもたせることができる。一方、後者のようにする場合、操作手段10の操作の有無に拘わらず背景楽曲の種類は変化するのであるから、制御が容易であるという利点がある。
【0041】
本例のように操作演出の発生が背景楽曲変化の契機になるようにすれば、不確定モード中における操作演出の発生(操作手段10の操作が要求される状況の発生)を遊技者が願う遊技性を実現することができる。
【0042】
〇第五具体例(第四具体例をさらに具体化した例)
操作演出の結果が上述した「変化結果」に至る(「非変化結果」とならない)蓋然性が、操作演出が発生するタイミングに応じて異なるものとする。上述した通り、当否判定結果が大当たりとならない場合、不確定モードは、100回連続して当否判定結果がはずれとなるまで継続する。不確定モードが開始されてから実行された当否判定(はずれ)の回数を実行時短回数とする(不確定モードが終了するまでの残りの当否判定の回数を残り時短回数とする)と、実行時短回数が多い状態(残り時短回数が少ない状態)で発生した操作演出ほど、背景楽曲の種類が変化する「変化結果」となる蓋然性が高くなる設定とする。
【0043】
例えば、実行時短回数が1~50回の時点で発生した操作演出が変化結果となる確率は30%であり、51~75回の時点で発生した操作演出が変化結果となる確率は50%であり、76~90回の時点で発生した操作演出が変化結果となる確率は80%であり、91~100回の時点で発生した操作演出が変化結果となる確率は100%である、といったように、実行時短回数の範囲と変化結果となる確率が所定の関係にある設定とすることが考えられる(図10参照)。これとは異なり、一回の当否判定結果(はずれ)の報知が完了する度に(一変動毎に)、変化結果となる確率が高まるような設定としてもよい。
【0044】
このようにすることで、不確定モードの終了時点に近づくほど、操作演出が発生したときに背景楽曲が変化しやすいという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0045】
〇第六具体例(第五具体例をさらに具体化した例)
所定回数連続して当否判定結果がはずれとなることにより不確定モードが終了する場合には、当該不確定モードが設定されている期間中に少なくとも一回は操作演出が発生するものとする。上記実施形態に則していえば、内部的に時短状態である不確定モードは、100回連続してはずれとなることで終了するところ、当該不確定モードにて少なくとも一回の操作演出が発生するものとする。換言すれば、ある不確定モードが大当たりに当選せずに終了する場合において、当該不確定モードの開始から終了まで一度も操作演出が発生しないことはないように設定される。
【0046】
本例のようにすれば、操作演出が発生せずに不確定モードが終了することはないのであるから、実行時短回数が多くなるほど操作演出が発生したときに変化結果となる確率が高くなるように設定されていることを踏まえれば、操作演出が発生しない状況で不確定モードが進行することを遊技者が願うという面白みのある遊技性が実現される。
【0047】
〇第七具体例(第四具体例をさらに具体化した例)
一般的な操作演出は、操作手段10の操作を契機として表示領域911に所定の画像(以下、演出画像20と称することもある。演出画像20は、動画、静止画の両方を含む)が新たに表示されるものであるといえる。例えば、操作手段10が操作されることを契機として、所定のキャラクタの「セリフ」が表示されるといった操作演出が知られている(当該「セリフ」が演出画像20である)(図11参照)。
【0048】
このような操作演出において、操作手段10の操作がなされた結果として背景楽曲の種類の変化が生じる場合がある(図11(b-1)参照)ものとする。つまり、背景楽曲の変化が生じる可能性がある操作演出は、背景楽曲の変化をもたらすだけの「専用の操作演出」ではない設定とする。一般的な操作演出のように、操作手段10の操作を契機として表示領域911に新たな演出画像20(操作された結果の画像)が表示されるとともに、背景楽曲の変化が生じるものとする。当然ではあるが、操作手段10の操作を契機として表示領域911に演出画像20が表示されるものの、背景楽曲の変化が生じない可能性もある。つまり、操作演出の結果として、演出画像20が表示されるとともに背景楽曲の変化が生じる結果(図11(b-1)参照)と、演出画像20が表示されるものの背景楽曲の変化が生じない結果(図11(b-2)参照)が設定されているものとする(同じ演出画像20が表示されるケースであっても、背景楽曲の変化が生じる場合もあれば生じない場合もある)。
【0049】
このようにすることで、一般的な操作演出であると思って操作したところ、新たな演出画像20が表示されるだけでなく、背景楽曲の変化が伴うことがあるという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0050】
〇第八具体例
上記実施形態では、不確定モード中の背景楽曲により示唆される対象は、確変状態である蓋然性、すなわち当否抽選に当選する確率が高い状態である蓋然性であることを説明したが、これに限られるものではない。すなわち、通常の状態(通常遊技状態)とそれよりも遊技者に有利な特別な状態(特別遊技状態)とが設定され、通常の状態であるか特別な状態であるかが遊技者には判別困難または不可能である不確定モードにおいて、特別な状態である蓋然性が背景楽曲により示唆されるものであればよく、通常の状態に比して特別な状態が「有利」である理由となる要素は当否抽選の確率に限られない。
【0051】
〇第九具体例
スピーカ60から出力される背景楽曲を、候補となる複数の楽曲(選択可能楽曲)のうちから遊技者が任意に選択することが可能な機能(楽曲選択機能)が知られている。不確定モード中にこのような楽曲選択機能が利用できる構成とする。本例においては、スピーカ60から実際に出力される背景楽曲の種類ではなく、選択可能楽曲として設定される選択可能楽曲の種類により、特別遊技期待度が示唆されるものとする。なお、遊技者が任意の楽曲を選択するための操作方法等はどのようなものであってもよいから説明を省略する。遊技機1に十字キーを設け、当該十字キーの操作により楽曲を切り替える方法が例示できる。
【0052】
例えば、上記実施形態にて説明した楽曲A~Eのそれぞれに特別遊技期待度が対応づけられた上で、当該楽曲A~Eのうちのいずれか一つが選択可能楽曲として設定されるものとする。例えば、楽曲Dが選択可能楽曲とされるのであれば、特別遊技期待度が70%であるものとする(図12参照)。なお、楽曲A~Eのうちの二以上が選択可能楽曲とされることはないものとされる。例えば、楽曲Dが選択可能楽曲とされるのであれば、楽曲A~C、Eは選択可能楽曲とされない(楽曲D以外の選択可能楽曲に楽曲A~C、Eのいずれも含まれない)。
【0053】
このようにすることで、楽曲を用いた特別遊技期待度の示唆機能を担保しつつ、不確定モード中に出力される背景楽曲を遊技者が任意に決定することも可能となる。すなわち、上記実施形態は実際に出力される背景楽曲の種類が特別遊技期待度を示唆するものであるから、楽曲選択機能を搭載することができないところ、本例のように選択可能楽曲の種類により特別遊技期待度が示唆されるようにすれば、楽曲選択機能を搭載しつつ、特別遊技期待度の示唆を行うことができるという利点がある。ただし、本例のような構成とすると、特別遊技期待度を示唆する背景楽曲が実際に出力されるわけではないため、遊技者が特別遊技期待度の示唆機能に気付かないというおそれが高くなる。
【0054】
〇第十具体例
上記第九具体例と同様に、選択可能楽曲として設定される楽曲により特別遊技期待度が示唆されるものとする。ただし、特別遊技期待度を示唆する複数の楽曲(楽曲A~E)のうち、二以上の楽曲が選択可能楽曲とされる場合がある設定とする。特別遊技期待度を示唆する複数の楽曲のうち、二以上の楽曲が選択可能楽曲とされている場合には、そのうち最も特別遊技期待度の高い楽曲による示唆が有効であるとする。例えば、楽曲Bと楽曲Cが選択可能楽曲とされている場合(図13(b)参照)は、楽曲Cによる示唆が有効である(特別遊技期待度は50%である)とする。
【0055】
本例のような構成とする場合、所定条件成立時に新たに選択可能楽曲が追加されることで、特別遊技期待度が高まったことを示唆する演出を実行することができる。例えば、不特定モードが開始された当初は、楽曲A~Eのうち、楽曲Bのみが選択可能楽曲であったとする(図13(a)参照)。その後、所定条件成立時に楽曲Cが選択可能楽曲に追加される(図13(b)参照)ことで、楽曲Cによる示唆が有効な状態(特別遊技期待度が50%である状態)となるような演出を実行することもできる。上記実施形態のように、楽曲Eの特別遊技期待度が100%であれば、楽曲Eが選択可能楽曲に追加された時点で確変状態(特別遊技状態)であることが確定することになる。
【0056】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用したものを除き、回胴式遊技機等のその他の遊技機にも適用することが可能である。
【0058】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0059】
・手段1
遊技状態として通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定された遊技機であって、現在設定されている遊技状態が前記通常遊技状態であるか前記特別遊技状態であるかを遊技者に対して明示しない不確定モードにおいて、音出力手段より出力される背景楽曲の種類により、現在設定されている遊技状態が前記特別遊技状態である蓋然性である特別遊技期待度を示唆することを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、出力される背景楽曲の種類から、現在設定されている遊技状態が特別遊技状態である蓋然性を予測しつつ楽しむことができるものである。
【0060】
・手段2
遊技者が操作可能な操作手段を備え、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出が実行され、当該操作演出における前記操作手段の操作を契機として前記音出力手段より出力される前記背景楽曲の種類が変化しうることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
操作演出の発生が背景楽曲変化の契機になるようにすれば、不確定モード中における操作演出の発生(操作手段の操作が要求される状況の発生)を遊技者が願う遊技性を実現することができる。
【0061】
・手段3
前記不確定モードは、所定回数連続して当否判定結果がはずれとなったときに終了するものであり、前記操作演出が発生するタイミングが前記不確定モードの終了時点に近づくほど、前記背景楽曲の種類が前記特別遊技期待度の高いものに変化する結果となりやすいことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、不確定モードの終了時点に近づくほど、操作演出が発生したときに背景楽曲が変化しやすいという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0062】
・手段4
所定回数連続して当否判定結果がはずれとなることにより前記不確定モードが終了する場合には、当該不確定モードが設定されている期間中に少なくとも一回は前記操作演出が発生するように設定されていることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
このようにすることで、操作演出が発生しない状況で不確定モードが進行することを遊技者が願うという面白みのある遊技性が実現される。
【0063】
・手段5
当否判定結果を示す識別図柄および当該識別図柄の背景画像が表示される表示装置を備え、前記背景画像の連続性が保たれている最中に脈絡なく前記背景楽曲の種類が変化しうることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技者が予期しないようなタイミングで突発的に背景楽曲の種類が変化することになるから、遊技者に驚きを与えることができる。
【0064】
・手段6
前記音出力手段より出力される前記背景楽曲が特別楽曲である場合には、現在設定されている遊技状態が前記特別遊技状態であることが確定することを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、背景楽曲の種類により注目する遊技性を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 遊技機
10 操作手段
20 演出画像
50 背景画像
60 スピーカ
91 表示装置
911 表示領域
図1
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図10
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図12
図13