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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/26 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A01D45/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022102715
(22)【出願日】2022-06-27
【審査請求日】2022-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504352788
【氏名又は名称】オサダ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】長田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】猫山 敏男
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特許第3632784(JP,B2)
【文献】特開2014-187925(JP,A)
【文献】特許第3675384(JP,B2)
【文献】特開2001-258354(JP,A)
【文献】実開平03-065494(JP,U)
【文献】特開平11-075800(JP,A)
【文献】実開昭62-104696(JP,U)
【文献】特開平07-143814(JP,A)
【文献】米国特許第05560190(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 45/00 - 45/30
A23N 7/00 - 7/10
A23N 15/00 - 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外葉を有する結球野菜を圃場から収穫する野菜収穫機であって、
収穫された前記結球野菜を切断して結球部と根茎部に分離する野菜切断手段と、
前記野菜切断手段により根茎部が切り離された前記結球野菜の結球部が載置され、その載置される前記結球野菜の結球部を回転させる1つ以上のローラを有する野菜回転手段と、
気流を発生させる気流発生手段とを備えており、
前記1つ以上のローラ上における前記結球野菜の結球部の下部にある外葉を、前記野菜回転手段がその結球野菜の結球部を回転させることで変位させながら、その結球野菜に向けて前記気流発生手段が発生させた気流によって除去することを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
前記1つ以上のローラの少なくともいずれかである搬送ローラに、当該搬送ローラの回転に伴って変位し、前記1つ以上のローラ上の結球野菜を押し出すことでその結球野菜を搬送する突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記突起が、前記搬送ローラを周回するように延びる螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記1つ以上のローラ上の結球野菜にその側方から気流が当たるように前記気流発生手段が気流を発生させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の野菜収穫機。
【請求項5】
前記1つ以上のローラが、前記1つ以上のローラ上の結球野菜の一側方に配置された第1ローラ、前記1つ以上のローラ上の結球野菜の反対側の一側方に配置された第2ローラ及び前記1つ以上のローラ上の結球野菜の下方に配置された第3ローラを含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結球野菜を収穫する野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
キャベツ等の結球野菜を圃場から収穫する特許文献1のような収穫機がある。この収穫機は、圃場から結球野菜を取り込み、機体後部の調製部へと搬送する。調製部においては、結球野菜の外葉の除去等の調製作業がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6860927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来の収穫機では手作業で外葉の除去がなされている。外葉の除去の自動化による収穫作業の省力化が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、結球野菜の外葉を自動で除去する野菜収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の野菜収穫機は、外葉を有する結球野菜を圃場から収穫する野菜収穫機であって、収穫された前記結球野菜を切断して結球部と根茎部に分離する野菜切断手段と、前記野菜切断手段により根茎部が切り離された前記結球野菜の結球部が載置され、その載置される前記結球野菜の結球部を回転させる1つ以上のローラを有する野菜回転手段と、気流を発生させる気流発生手段とを備えており、前記1つ以上のローラ上における前記結球野菜の結球部の下部にある外葉を、前記野菜回転手段がその結球野菜の結球部を回転させることで変位させながら、その結球野菜に向けて前記気流発生手段が発生させた気流によって除去する。
【0007】
これによると、気流発生手段が発生させる気流により、結球野菜から外葉が除去される。このため、手作業で外葉を除去する必要がない。また、野菜回転手段が結球野菜を回転させることで結球野菜の下部にある外葉が変位する。これにより、結球野菜の下部においてそのままでは気流で除去するのが難しい位置にある外葉も変位することで除去されやすくなる。したがって、結球野菜の位置を変えない場合と比べて結球野菜から適切に外葉が除去されやすい。
【0008】
本発明において、前記1つ以上のローラの少なくともいずれかである搬送ローラに、当該搬送ローラの回転に伴って変位し、前記1つ以上のローラ上の結球野菜を押し出すことでその結球野菜を搬送する突起が形成されていることが好ましい。これにより、搬送ローラに形成された突起が、搬送ローラの回転に伴って結球野菜を搬送する。このため、結球野菜から外葉を除去しつつ結球野菜を搬送する構成が実現する。
【0009】
また、本発明において、前記突起が、前記搬送ローラを周回するように延びる螺旋状に形成されていることが好ましい。これにより、螺旋状に形成された突起が結球野菜を適切に搬送する。
【0010】
また、本発明において、前記1つ以上のローラ上の結球野菜にその側方から気流が当たるように前記気流発生手段が気流を発生させることが好ましい。これにより、結球野菜の側方から気流を当てるので、結球野菜の下部の外葉もその気流によって除去しやすい。なお、本発明のおける「側方」とは、野菜収穫機の前進方向を向いた人から見た左方、左斜め前方、左斜め後方、右方、右斜め前方、右斜め後方を含み、さらに、これらに上下方向の成分を加えた方向も含む。
【0011】
また、本発明において、前記1つ以上のローラが、前記1つ以上のローラ上の結球野菜の一側方に配置された第1ローラ、前記1つ以上のローラ上の結球野菜の反対側の一側方に配置された第2ローラ及び前記1つ以上のローラ上の結球野菜の下方に配置された第3ローラを含んでいることが好ましい。これによると、第1ローラ及び第2ローラが結球野菜の両側方に配置されている。したがって、結球野菜がローラから両側方に飛び出そうとするのがこれらのローラによって抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るキャベツ収穫機の左側面図である。
図2図1に示す結球回転部を後方から見た斜視図である。
図3図1の調製部に係る概略左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0014】
本発明の一実施形態に係るキャベツ収穫機1(本発明でいう野菜収穫機)について図1図3を参照しつつ説明する。本実施形態においては、キャベツを収穫するためのキャベツ収穫機について述べるが、キャベツ以外の例えば、レタスや白菜などの結球野菜を収穫するための野菜収穫機であってもよい。
【0015】
キャベツ収穫機1は、圃場を走行しつつ、図1に示すように圃場に生えたキャベツVを収穫する機械である。本実施形態では、圃場に畝Uが形成されており、その畝U上にキャベツVが生えている。キャベツ収穫機1は、図1に示すように、走行機体2と、キャベツを収穫するための収穫作業装置5と、調製作業が行われる調製部90と、収穫されたキャベツを収容するコンテナが置かれるコンテナ台(不図示)とを含む。走行機体2は、エンジン3と、走行機体2の前部に設けられた運転席80と、クローラ方式の走行部85とを有している。これらの各部は、走行機体2の外枠を構成するフレーム2aに支持されている。
【0016】
なお、キャベツ収穫機1の構成の一部は、左右一対に設けられている。以下の符号において、Lが付くものは左右一対のうち左側の構成を、Rが付くものは左右一対のうち右側の構成を示すものとする。また、以下における明細書の前後左右の各方向は、キャベツ収穫機1の前進方向を向いた人から見た方向とする。キャベツVの搬送方向X及び左右方向の両方と直交する方向を図1に示すようにZ方向(直交方向)とする。そして、Z方向のうち、Z1は斜め前方且つ上方の向きに対応し、Z2は斜め後方且つ下方の向きに対応する。
【0017】
エンジン3は、走行機体2内における運転席80の下方の位置に設けられている。エンジン3の動力は、油圧ポンプ(不図示)に伝達される。そして、油圧ポンプから、後述の掻込ホイール対10、挟持搬送装置40、走行部85、切断装置50、結球回転部200、ブロアー300及び後部搬送部400の各油圧モータ(不図示)に油圧が供給される。これによって、掻込ホイール対10、挟持搬送装置40、走行部85、切断装置50、結球回転部200、ブロアー300及び後部搬送部400が駆動される。なお、エンジン3からの動力が、ベルト、プーリ、ギア、クラッチ、チェーン等から構成された伝達機構を通じて各部へと伝達されてもよい。
【0018】
収穫作業装置5は、圃場に生えたキャベツVをかき込む掻込ホイール対10と、掻込ホイール対10がかき込んだキャベツVを図1の搬送方向Xに沿って後方且つ上方へと搬送する挟持搬送装置40と、挟持搬送装置40によって搬送されるキャベツVの根茎部V1を切断するための切断装置50とを含む。
【0019】
掻込ホイール対10は、図1に示すように、キャベツ収穫機1の最前部の最下部に配置されている。掻込ホイール対10は、圃場のキャベツVをかき込んで引き抜く左右一対のホイールからなる。掻込ホイール対10は、搬送ベルトやプーリを含んだ連動機構を通じて後述の根茎搬送部20の従動プーリと連動することで動作する。挟持搬送装置40は、キャベツVの根茎部V1を挟持しつつ搬送する根茎搬送部20と、キャベツVの結球部V0を挟持しつつ搬送する結球搬送部30とを有している。
【0020】
根茎搬送部20は、図1に示すように、掻込ホイール対10の斜め上後方に配置されている。根茎搬送部20は、油圧モータ、駆動プーリ、従動プーリ及びこれらのプーリの周囲に巻き掛けられた搬送ベルトを左右一対に有している。搬送ベルトは搬送方向Xに沿って延びている。左右一対の搬送ベルトは、互いに向かって複数のプーリによって押圧されている。また、左右一対の搬送ベルトは、根茎部V1を挟持可能なように、左右方向に所定の間隔を保ちつつ配置されている。駆動プーリには、油圧ポンプから供給される油圧によって駆動される油圧モータからの動力が伝達される。これにより、搬送ベルトが搬送方向Xに沿って走行する。こうして、根茎搬送部20によって、キャベツVの根茎部V1が挟持されながら搬送方向Xに搬送される。
【0021】
結球搬送部30は、図1に示すように、根茎搬送部20の上方後部に配置され、根茎搬送部20からZ1方向に離隔している。結球搬送部30は、図2に示すように、根茎搬送部20と同様、油圧モータ、駆動プーリ31L及び31R、従動プーリ及びこれらのプーリの周囲に巻き掛けられた搬送ベルト30L及び30Rを左右一対に有している。各搬送ベルト30L及び30Rは搬送方向Xに沿って延びている。左右一対の搬送ベルト30L及び30Rは、互いの搬送ベルト30L及び30Rに向かって複数のプーリ32L及び32Rによって押圧されている。また、左右一対の搬送ベルト30L及び30Rは、結球部V0を挟持可能なように、左右方向に所定の間隔を保ちつつ配置されている。駆動プーリには、根茎搬送部20と同様に、油圧ポンプから供給される油圧によって駆動される油圧モータからの動力が伝達される。これにより、搬送ベルト30L及び30Rが搬送方向Xに沿って走行する。こうして、結球搬送部30によって、キャベツVの結球部V0が挟持されながら搬送方向Xに搬送される。
【0022】
切断装置50は、図1に示すように、根茎搬送部20と結球搬送部30との間に配置されている。切断装置50は、円盤状の回転刃及びこの回転刃を回転させる油圧モータを有している。油圧ポンプから油圧モータに油圧が供給されると、油圧モータが回転刃を回転させる。回転刃は、根茎搬送部20及び結球搬送部30が搬送しているキャベツVを切断し、結球部V0と根茎部V1を分離する。
【0023】
調製部90は、図3に示すように、結球回転部200(本発明でいう野菜回転手段)、ブロワ―300(本発明でいう気流発生手段)、及び後部搬送部400を有している。
【0024】
結球回転部200には、結球搬送部30から搬送された結球部V0が載置される。結球回転部200は、図2に示すように、ローラ部210と、螺旋部材220a及び220b(本発明でいう突起)と、油圧ポンプから油圧が供給される油圧シリンダ230と、油圧ポンプから油圧が供給される油圧モータとを有している。後述の通り、結球回転部200は傾きを調整可能に構成されているが、以下の説明は特に断りのない限り、ローラ部210が水平方向に沿っている状態を前提とする。
【0025】
ローラ部210は、前後方向に沿って延びたローラ211L(本発明でいう第1ローラ)と、ローラ211R(本発明でいう第2ローラ)と、ローラ212Lと、ローラ212R(ローラ212L及び212Rは本発明でいう第3のローラ、ローラ212R及び211Rは本発明でいう搬送ローラ)と、支持部材215とを有している。
【0026】
ローラ211L、211R、212L及び212Rは、結球搬送部30の後端部の下端部付近から、後方の後部搬送部400の前端付近まで延びた円柱状の部材である。左方から右方に向かってローラ211L、212L、212R、211Rの順にこれらのローラが並んでいる。これらのローラは互いに等間隔で配置されている。ローラ同士の左右方向の間隔は、結球部V0がローラ上に載置された際に互いのローラの間から落下しないように十分小さく調整されている。ローラ211L及び211Rは互いに同じ高さに配置されている。ローラ212L及び212Rは、ローラ211L及び211Rより若干下方に配置されている。結球搬送部30によって搬送された結球部V0はローラ212L及び212Rの上面に移送される。ローラ212L及び212R上の結球部V0はローラ211L及び211Rに左右から挟まれる。つまり、ローラ211Lが結球部V0の左方に、ローラ211Rは結球部V0の右方に、ローラ212L及び212Rは結球部V0の下方に位置するようにそれぞれ配置されている。ローラ部210には、プーリ、チェーン等からなる伝達機構を通じて油圧モータから動力が伝達される。この動力により、ローラ211L、212L、212R及び211Rがいずれも後方から見て時計回りに回転する。
【0027】
ローラ212R及び211Rの外表面には、それぞれ螺旋部材220a及び220bが固定されている。螺旋部材220a及び220bは、ローラ212R及び211Rの外表面から外側に向かって突出する突起を形成している。螺旋部材220a及び220bは、管状の弾性部材によって構成されている。螺旋部材220a及び220bは、ローラ212R及び211Rの前端部から後端部に向かって、後方から見て反時計回りに一周分、ローラを周回するようにローラ212R及び211Rのそれぞれの外表面に巻き付いている。なお、螺旋部材220a及び220bがそれぞれローラ212R及び211Rに巻き付いている方向は、ローラ212R及び211Rの回転方向と反対方向である。これにより、結球部V0が螺旋部材220a及び220bによって押し出され、後方に搬送される。
【0028】
支持部材215は、図3に示すように、ローラ211L、212L、212R及び211Rを支持する部材である。支持部材215は、前固定部215aと、後固定部215bと、左フレーム215c及び右フレーム(図示なし)とを有している。前固定部215aは前後方向と直交する方向に沿った平板状の部材であり、支持部材215の前部を構成している。前固定部215aは、ローラ211L、212L、212R及び211Rの前端部を、これらのローラが回転可能となるように支持している。後固定部215bは前後方向と直交する方向に沿った平板状の部材であり、支持部材215の後部を構成している。左フレーム215c及び右フレームは棒状の部材である。左フレーム215cは前後方向に延びて支持部材215の左側壁を構成している。左フレーム215cの前端及び後端は前固定部215a及び後固定部215bに固定されている。右フレームは前後方向に延びて支持部材215の右側壁を構成している。右フレームの前端及び後端は前固定部215a及び後固定部215bに固定されている。支持部材215は、後固定部215bの下端部の接続箇所Rにおいて走行機体2のフレーム2aに回転可能に支持されている。これにより、結球回転部200は接続箇所Rを中心に時計回りのR1又は反時計回りのR2方向に回転可能である。
【0029】
油圧シリンダ230は、図2及び図3に示すように、油圧ポンプから油圧が供給されるシリンダ230a及びシリンダ230aに挿入されたロッド230bを有している。シリンダ230aの後端部は走行機体2のフレーム2aに支持されている。ロッド230bの先端部は前固定部215aの下端部の中央付近に接続されている。油圧シリンダ230は油圧ポンプから供給される油圧によって作動する。これにより、ロッド230bがシリンダ230aから突出したり、シリンダ230a内に引き込まれたりする。シリンダ230a内にロッド230bが引き込まれると、結球回転部200が接続箇所Rを中心にR2方向に回転し、結球回転部200の前部が下降する。シリンダ230aからロッド230bが突出すると、結球回転部200が接続箇所Rを中心にR1方向に回転し、結球回転部200の前部が上昇する。
【0030】
結球回転部200のローラ部210には、上記の通り、油圧ポンプから供給される油圧によって駆動される油圧モータからの動力が伝達される。これにより、ローラ211L、211R、212L及び212Rが後方から見て時計回りに回転する。ローラ212R及び211Rに固定されている螺旋部材220a及び220bが、各ローラの回転によって変位する。結球回転部200に載置された結球部V0が、ローラ211L、212L、212R及び211Rの回転によって回転する。各ローラが結球部V0を回転させることで、結球部V0の下部にある外葉も変位する。
【0031】
また、ローラ212R及び211Rが後方から見て時計回りに回転することによって、螺旋部材220a及び220bが結球部V0を後方に向かって押し出して、後部搬送部400に結球部V0を搬送する。なお、ローラ211L、212L、212R及び211Rの回転速度は、結球部V0の搬送速度や、結球部V0が後述するブロワー300の気流を受ける時間の長さ等の調整のために適宜調整される。
【0032】
ブロワー300は気流を発生させる装置である。ブロワー300は、図2に示すように、本体部310、開口部320、及び油圧ポンプから油圧が供給される油圧モータを有している。本体部310はローラ211Lの左上方且つ前後方向の中央よりやや後方付近に配置されている。本体部310の内部には気流を発生させるファンが設置されている。本体部310の一部が外部に突出して開口部320が形成されている。開口部320の先端には、内部のファンが発生させた気流を噴射する噴射口が形成されている。噴射口は右斜め前方に向かって水平に開口している。ブロワー300には、根茎搬送部20と同様に、油圧ポンプから供給される油圧によって駆動される油圧モータからの動力が伝達される。これにより、本体部310内で発生した気流は、開口部320から右斜め前方に向かってローラ211Rの方向に放出される。開口部320から、ローラ部210上の結球部V0に向かって気流が放出されることで、結球部V0にその左斜め後方から気流が当たる。この気流によって結球部V0の外葉が吹き飛ばされ、結球部V0の本体から除去される。除去された外葉は、気流によりローラ部210からその右方へと放出される。なお、気流の大きさは、外葉の除去能力の調整のために適宜調整される。例えば、結球部V0が大きく、外葉が除去されにくい場合には、除去能力を向上するため、気流が強くなるように調整される。
【0033】
後部搬送部400は、図3に示すように、外葉が除去された結球部V0を後方へと搬送しつつ、調整作業の従業者に対して結球部V0に調製作業を施すスペースを提供する装置である。後部搬送部400は、油圧ポンプから油圧が供給される油圧モータ、当該油圧モータによって駆動される駆動プーリ、従属プーリ、及び2つのプーリに巻きかけられた無端の搬送ベルト410を有している。搬送ベルト410の前端は結球回転部200の後部に隣接し、上下方向の高さは、ローラ212L及び212Rの後端の高さとほぼ同じである。搬送ベルト410上には、外葉が除去された結球部V0がローラ部210から移送される。油圧モータの作動により搬送ベルト410が走行すると、搬送ベルト410によって後方に搬送される。調製部90の側方のコンテナ台上にはコンテナが載置される。このコンテナと調製部90の間に起立した作業者が搬送ベルト410上の結球部V0に適宜調製を施した上で結球部V0をコンテナへと移送する。
【0034】
以上の構成において、キャベツ収穫機1が作動し、エンジン3からの動力が油圧ポンプを介して各部に伝達されると、キャベツ収穫機1が以下のように畝U上のキャベツVを収穫していく。走行部85はキャベツ収穫機1を前進させる。これにより、図1に示すように、掻込ホイール対10が前方のキャベツVに接近し、キャベツVを取り込んでいく。掻込ホイール対10によって引き抜かれたキャベツVは、根茎部V1が根茎搬送部20によって支持されると共に結球部V0が結球搬送部30によって支持されつつ、搬送方向Xに沿って後方へと搬送される。
【0035】
挟持搬送装置40によってキャベツVが搬送される際に、切断装置50によってキャベツVが切断され、結球部V0及び根茎部V1に分離される。根茎部V1が切り離された結球部V0は結球搬送部30によって調製部90に搬送される。結球部V0から切り離された根茎部V1は、根茎搬送部20の上端から圃場へと落下する。
【0036】
調製部90では、結球搬送部30から搬送されてきた結球部V0が、結球回転部200に載置される。次に、ローラ211L、212L、212R及び211Rが後方から見て時計回りに回転することで結球部V0が回転する。これによって、結球部V0の下部にある外葉が変位する。また、ローラ212R及び211Rが回転することで、各ローラに固定された螺旋部材220a及び220bが回転する。回転した螺旋部材220a及び220bは、結球部V0を後部搬送部400へと後方に向かって押し出す。
【0037】
一方、ブロワー300は、本体部310内のファンが気流を発生させて、開口部320から右斜め前方に向かってその気流を放出させる。このとき、ローラ部210上を後方に搬送されていく結球部V0の左斜め後方から気流が当たり、結球部V0の外葉が気流によってローラ部210の右斜め前方に吹き飛ばされて除去される。
【0038】
なお、結球回転部200の傾きは、圃場の傾斜によって適宜変更される。例えば、圃場全体の傾斜が強いため、水平方向に対する結球回転部200の傾きが大きくなり過ぎたとする。この場合、例えば、前進方向に向かって圃場が上り傾斜であるときには、油圧シリンダ230においてシリンダ230a内にロッド230bを引き込み、結球回転部200を接続箇所Rを中心にR2方向に回転させて、結球回転部200の前部を下降させる。これによって結球回転部200の姿勢が水平に近づく。反対に、前進方向に向かって圃場が下り傾斜であるときには、油圧シリンダ230においてシリンダ230aからロッド230bを突出させ、結球回転部200を接続箇所Rを中心にR1方向に回転させて、結球回転部200の前部を上昇させる。これによって結球回転部200の姿勢が水平に近づく。このように、圃場全体が傾斜していても、結球回転部200が水平方向に対して適切な角度となるように結球回転部200の傾きを調整することができる。
【0039】
また、結球回転部200の傾きは、外葉の除去能力と結球部V0の搬送速度の調整のために適宜変更されてもよい。例えば、結球回転部200の前部を下降させると、結球部V0の搬送速度が低下する一方で、結球部V0が結球回転部200においてブロワー300からの気流を受ける期間が長くなり、外葉が除去されやすくなる。反対に、結球回転部200の前部を上昇させると、結球部V0が結球回転部200においてブロワー300からの気流を受ける期間が短くなるので、外葉が除去されにくくなる一方で、結球部V0の搬送速度が上昇する。
【0040】
以上に述べたように、ブロワー300が発生させる気流により、結球部V0から外葉が除去される。このため、手作業で外葉を除去する必要がない。また、結球回転部200が結球部V0を回転させることで結球部V0の下部にある外葉が変位する。これにより、結球部V0の下部においてそのままでは気流で除去するのが難しい位置にある外葉(例えば、結球搬送部30から移送された直後の状態では結球部V0の中心部分の下敷きになっている外葉)も変位することで除去されやすくなる。したがって、結球部V0の位置を変えない場合と比べて結球部V0から適切に外葉が除去されやすい。また、開口部320は結球部V0の左斜め後方から気流を当てるので、例えば結球部V0の上方から結球部V0に気流を当てる場合と比較して、結球部V0の下部の外葉もその気流によって除去しやすい。
【0041】
ローラ212R及び211Rに固定された螺旋部材220a及び220bが、ローラ212R及び211Rの回転に伴って結球部V0を適切に搬送する。このため、結球部V0から外葉を除去しつつ結球部V0を搬送する構成が実現する。
【0042】
ローラ211Lが結球部V0の左方に、ローラ211Rが結球部V0の右方に配置されている。また、ローラ212L及び212Rが、ローラ211L及び211Rの間であり、結球部V0の下方となるように配置されている。したがって、結球部V0がローラ部210の両側方に飛び出そうとするのをローラ211L及び211Rによって抑制する。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0044】
上述の実施形態では、ローラ212R及び211Rにのみ、螺旋部材220a及び220bが固定されている。しかし、螺旋部材は、全てのローラに固定されていてもよいし、少なくともいずれか一本のローラに固定されていてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、螺旋部材220a及び220bは、一周分、ローラを周回するようにローラ212R及び211Rのそれぞれの外表面に巻き付いている。しかし、螺旋部材が各ローラを二周以上周回していてもよいし、一周分より少なく各ローラに巻き付いていてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、螺旋部材220a及び220bは、管状の弾性部材によって構成され、ローラ212R及び211Rのそれぞれの外表面に巻き付いている。しかし、ローラ212R及び211Rの外表面が突出して螺旋状の凸部が形成されることにで、ローラ212R及び211Rと一体に突起が構成されていてもよい。また、螺旋部材220a及び220bの代わりに、点状又は線状の凸部の突起が、ローラ212R及び211Rの表面に複数形成されて螺旋状に配置されていてもよい。また、突起は螺旋状でなくてもよい。例えば、ローラの軸方向と直交する方向に対して若干傾斜した平面に沿ったローラ断面の楕円状の1つ以上の外縁に沿うように突起が形成されていてもよい。この場合、突起がローラ212R及び211Rの表面を周回していても、していなくともよい。
【0047】
上述の実施形態では、ローラ212R及び211Rが後方から見て時計回りに回転することによって、螺旋部材220a及び220bが結球部V0を後方に向かって押し出して、後部搬送部400に結球部V0を搬送する。しかし、これとは逆に、ローラ212R及び211Rが後方から見て反時計回りに回転してもよい。この場合、ローラ212R及び211Rの周囲に、螺旋部材220a及び220bを後方から見て時計回りに巻き付かせる。なお、ブロワー300の配置は、上述の実施形態とは左右対称とすることが好ましい。
【0048】
上述の実施形態では、ローラ211L及び211Rより若干下方に配置されているローラは、ローラ212L及び212Rの二本である。しかし、ローラ211L及び211Rより若干下方に配置されているローラはなくてもよいし、一本でもよいし、三本以上でもよく、ローラ211L及び211Rより若干下方に配置されているローラの本数は、結球部V0の搬送量、結球部V0の大きさ等によって適宜調整される。
【0049】
上述の実施形態では、結球部V0の左右にローラが位置するように、ローラ211L及び211Rが配置されている。しかし、左右それぞれのローラの本数は、二本以上でもよく、結球部V0の搬送量及び搬送速度、並びに結球部V0の大きさ等によって適宜調整される。また、ローラ211L及び/又は211Rがなくともよい。その場合、結球部V0の左右への飛び出しを防ぐため、結球回転部200に結球部V0の左及び/又は右に位置するような板状部材を配置させてもよい。
【0050】
上述の実施形態では、ブロワー300はローラ211Lの左上方且つ前後方向の中央よりやや後方付近に配置されている。しかし、ブロワーの配置はこれ以外であってもよい。各ローラの回転方向や、結球部V0の搬送速度、搬送量、大きさ等に合わせて、ブロワーの前後、左右、上下の各位置や傾きが調整されてよい。なお、ブロワーが複数台設けられていてもよい。
【0051】
また、ブロワー300の気流は、開口部320から右斜め前方に向かってローラ211Rの方向に放出される。しかし、左斜め前方、左又は右の斜め後方、左又は右上方、左又は右下方に向かって放出されてもよい。また、ブロワー300の気流は複数の方向から放出されてもよい。これらのようにブロワーの配置や気流の放出方向が調整されることで、結球部V0にその上方や後方、右側方等から気流が当たるように結球回転部200が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 キャベツ収穫機
200 結球回転部
211L、212L、211R、212R ローラ
220a、220b 螺旋部材
300 ブロワー
V0 結球部
【要約】
【課題】結球野菜の外葉を自動で除去するキャベツ収穫機を提供する。
【解決手段】キャベツ収穫機1は、結球回転部200とブロワー300とを含む。結球回転部200に結球部が載置される。次に、結球回転部200のローラ211L、212L、212R及び211Lが後方から見て反時計回りに回転することで結球部V0が回転し変位する。ブロワー300は、本体部310内のファンが気流を発生させて、開口部320から右斜め前方に向かってその気流を放出させる。このとき、ローラ部210上を後方に搬送されていく結球部の左斜め後方から気流が当たり、結球部V0の外葉が気流によってローラ部210の右方に吹き飛ばされて除去される。
【選択図】図2
図1
図2
図3