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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】感圧接着剤テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230110BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20230110BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20230110BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230110BHJP
   C09J 7/50 20180101ALI20230110BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/21
C09J133/08
C09J11/06
C09J7/50
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019009081
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019157115
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】PI2018700312
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(31)【優先権主張番号】PI2019000146
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517157190
【氏名又は名称】ニットウ デンコウ マテリアルズ (マレーシア) スンディリアン ブルハド
【氏名又は名称原語表記】NITTO DENKO MATERIALS(MALAYSIA)SDN.BHD.
【住所又は居所原語表記】No. 2,Persiaran Budiman,Seksyen 23,40300 Shah Alam,Selangor Darul Ehsan,Malaysia
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,リー リー
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-052054(JP,A)
【文献】特開2005-220295(JP,A)
【文献】特開2014-177573(JP,A)
【文献】特開2017-019920(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0213526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および第2の表面を有するバッキング層(101)と、
前記第1の表面に付着された第1の感圧接着剤層(102)と、
前記第2の表面に付着された第2の感圧接着剤層(104)と、
前記バッキング層(101)と前記第1の感圧接着剤層(102)との間に挟持されたプライマー層(103)と、
を含む感圧接着剤テープ(100)であって、
前記バッキング層(101)が、50重量%~100重量%の紙材料を含み、
前記紙材料が、40g/m ~75g/m の坪量を有し、かつ、少なくとも1つの表面に縮みまたはしわのある組織を有し、
前記紙材料が、クレープ紙又は和紙であり、
前記第1の感圧接着剤層(102)および前記第2の感圧接着剤層(104)が、アクリルポリマー、ロジンエステル系粘着付与剤、及び、シランカップリング剤を含み、
前記アクリルポリマーが、70重量%~100重量%のアクリル酸2-エチルヘキシルをモノマー単位として含み、
前記第1の感圧接着剤層(102)が、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有し、
前記第2の感圧接着剤層(104)が、前記溶媒の非存在下で2.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度を有し、
前記感圧接着剤テープ(100)が、溶媒の非存在下で23N/19mm×19mm~76N/19mm×19mmのせん断接着強度を有し、
前記感圧接着剤テープ(100)が、45N/15mm~80N/15mmの長手方向の引張強度を有する、
感圧接着剤テープ(100)。
【請求項2】
前記第1の感圧接着剤層(102)または前記第2の感圧接着剤層(104)に付着された剥離ライナー(105)を更に含む、
請求項1に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項3】
前記プライマー層(103)が、ポリオレフィンポリマー、ポリオレフィンエラストマーポリマー、アクリルポリマーまたはこれらの任意の組合せを含む、
請求項1または2に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項4】
前記バッキング層(101)にラテックスが含浸された、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項5】
前記第1の感圧接着剤層(102)および前記第2の感圧接着剤層(104)が65重量%~100重量%のアクリルポリマーを含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項6】
前記第1の感圧接着剤層(102)が、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~5.0N/10mm、2.0N/10mm~6.0N/10mm、2.0N/10mm~7.0N/10mm、または3.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項7】
前記第2の感圧接着剤層(104)が、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~7.0N/10mm、または3.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項8】
前記感圧接着剤テープ(100)が、6%/15mm~20%/15mmの長手方向の伸長比を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項9】
前記感圧接着剤テープ(100)が、50N/15mm~70N/15mmの長手方向の引張強度を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項10】
前記バッキング層(101)が、40N/15mm~65N/15mmの長手方向の引張強度を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項11】
前記バッキング層(101)が、5%/15mm~12%/15mmの長手方向の伸長比を有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項12】
前記第1の感圧接着剤層(102)が、12.0N/20mm~28.0N/20mmの固着強度を有する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【請求項13】
前記第2の感圧接着剤層(104)が、11.0N/20mm~23.0N/20mmの固着強度を有する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の感圧接着剤テープ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、特に感圧接着剤テープの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤は、基材を互いに結合および保持するために人々が使用している有益な道具である。昔の人々は、結合および積層のために動物および植物に由来する接着剤を使用した。1750年にイングランドにおいて、接着剤、特に魚膠についての全く初めての特許が発行された。接着剤は、材料を互いに保持するために非常に有用である。しかしながら、接着剤は、特に家庭用途において、使用するのが煩わしいこともある。例えば、膠は、適用中に散らかった状態を引き起こすことがあり、乾燥するのに長い時間がかかる可能性がある。その上、膠は通常基材との永久的な結合を築き、結合された基材から膠を除去するのは困難である可能性がある。
【0003】
接着剤テープは除去可能なタイプの接着剤であり、通常、接着剤で被覆されたバッキング材料を含有する。接着剤テープは、1845年にHorace Day博士という名前の外科医により最初に導入された。接着剤テープはサージカルテープと呼ばれ、ゴム接着剤が上に適用された一片の布地を包含した。接着剤テープの開発は20世紀に更に進んだ。例えば、Johnson and Johnsonは、1921年にバンドエイド(Band-Aid)と呼ばれるサージカルテープの改良型を、そして1942年にダクトテープ(Duct Tape)を開発した。最初のマスキングテープは、1925年に3M社からRichard Drewにより考案された。(特許文献1)は1930年に、クレープ紙バッキングと、接着剤テープの一方の面の感圧接着剤コーティングとを含む除去可能な接着剤テープに関する彼の発明に対して発行された。
【0004】
市場で入手可能な接着剤テープには、感圧接着剤テープ、水活性化テープ、感熱テープ、およびドライウォールテープを含むいくつかのタイプがある。より具体的には、感圧接着剤テープは、バッキング材料の上に感圧接着剤が被覆された接着剤テープである。感圧接着剤テープは室内条件下で粘着性であり、軽い圧力で、そして活性化のために熱や溶媒を用いずに基材に接着させることができる。
【0005】
感圧接着剤テープは一般的に使いやすいが、感圧接着剤テープを使用する際には多くの失敗の可能性がある。感圧接着剤テープの1つの可能性のある失敗は、基材の表面に見られる汚染物質と接触したときの接着強度の減少である。表面のグリース、油または他の不純物はどれも潜在的に接着剤テープの接着性の低下を引き起こし得る。感圧接着剤テープの別の可能性のある失敗は、接着剤テープが表面から除去されるときの基材表面の接着剤残渣の存在である。基材表面に残った接着剤残渣の除去は困難なことがあり、基材表面への損傷を引き起こす可能性がある。
【0006】
ゴルフ用品産業では、感圧接着剤テープが予め適用されたゴルフクラブシャフトに、ぴったり合ったゴルフグリップを挿入しやすくするために潤滑剤が広く使用されている。潤滑剤は、多くの場合、感圧接着剤テープの接着性を低下させて、ゴルフグリップをゴルフクラブシャフトに容易に適合させるようにする。感圧接着剤テープ上の潤滑剤は、それが完全に乾くまで、ゴルフグリップとゴルフクラブシャフトとの間の有効な結合を阻害する。潤滑剤が完全に乾いていない場合、ゴルフグリップは、ゴルフクラブシャフトの周りで、またはゴルフクラブシャフトに沿って滑る可能性があり、接着剤テープはグリップをシャフト上の適切な位置に保持することができない。さらに、接着剤テープを除去した後にゴルフクラブシャフトに残った接着剤残渣は、新しい接着剤テープがシャフトに適用され得る前に接着剤残渣をきれいにするためにより多くに時間が必要とされるので、ゴルフグリップの交換プロセスを長引かせるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第1760820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主要な目的は、溶媒に曝されているときでも比較的安定した接着強度を有する感圧接着剤テープを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、剥がしたときに被着体上に残渣が全くまたは最少量しか残らない感圧接着剤テープを提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、比較的高い接着強度を有するが、テープ構造の層間剥離を伴わずに被着体から容易に剥がされる感圧接着剤テープを提供することである。
【0011】
本発明のなお更に別の目的は、被着体から剥がしているときに容易に破損しない感圧接着剤テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的の少なくとも1つは本発明によって全体的または部分的に達成され、本発明の実施形態には、第1および第2の表面を有するバッキング層と、バッキング層の第1の表面に付着された第1の感圧接着剤層とを含む感圧接着剤テープが記載されており、第1の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有し、感圧接着剤テープは、45N/15mm~80N/15mmの長手方向の引張強度を有する。
【0013】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、更に、バッキング層と第1の感圧接着剤層との間に挟持されたプライマー層を含む。
【0014】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、更に、バッキング層の第2の表面に付着された第2の感圧接着剤層を含む。
【0015】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、更に、バッキング層と第1の感圧接着剤層との間に挟持されたプライマー層と、第2の表面に付着された第2の感圧接着剤層とを含む。
【0016】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、更に、第1の感圧接着剤層または第2の感圧接着剤層に付着された剥離ライナーを含む。
【0017】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、更に、バッキング層と第1の感圧接着剤層との間に挟持されたプライマー層と、第2の表面に付着された第2の感圧接着剤層と、第1の感圧接着剤層または第2の感圧接着剤層に付着された剥離ライナーとを含む。
【0018】
一実施形態では、バッキング層は、50~100重量%の紙材料を含む。
【0019】
一実施形態では、バッキング層にラテックスが含浸される。
【0020】
一実施形態では、バッキング層は、40N/15mm~65N/15mmの長手方向の引張強度を有する。
【0021】
一実施形態では、バッキング層は、5%/15mm~12%/15mmの長手方向の伸長比を有する。
【0022】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層は、65重量%~100重量%のアクリルポリマーを含む。アクリルポリマーはモノマー単位を含み、モノマー単位の70重量%~100重量%は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来する。
【0023】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層は、65重量%~100重量%のアクリルポリマーを含む。アクリルポリマーはモノマー単位を含み、モノマー単位の70重量%~100重量%は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来する。
【0024】
一実施形態では、プライマー層は、ポリオレフィンポリマー、ポリオレフィンエラストマーポリマー、アクリルポリマーまたはこれらの任意の組合せを含む。
【0025】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~5.0N/10mmの接着強度を有する。
【0026】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~6.0N/10mmの接着強度を有する。
【0027】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~7.0N/10mmの接着強度を有する。
【0028】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で3.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有する。
【0029】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度を有する。
【0030】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~7.0N/10mmの接着強度を有する。
【0031】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層は、溶媒の非存在下で3.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度を有する。
【0032】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、6%/15mm~20%/15mmの長手方向の伸長比を有する。
【0033】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、6%/15mm~14%/15mmの長手方向の伸長比を有する。
【0034】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、7%/15mm~15%/15mmの長手方向の伸長比を有する。
【0035】
一実施形態では、感圧接着剤テープは、50N/幅15mm~70N/幅15mmの長手方向の引張強度を有する。
【0036】
一実施形態では、バッキング層は、40N/15mm~65N/15mmの長手方向の引張強度を有する。
【0037】
一実施形態では、バッキング層は、5%/15mm~12%/15mmの長手方向の伸長比を有する。
【0038】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層の溶媒の存在下での接着強度は、第1の感圧接着剤層の溶媒の非存在下での接着強度との1%~20%の差異を有する。溶媒は水系溶媒またはエマルション系溶媒である。
【0039】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層の溶媒の存在下での接着強度は、第2の感圧接着剤層の溶媒の非存在下での接着強度との1%~20%の差異を有する。溶媒は水系溶媒またはエマルション系溶媒である。
【0040】
一実施形態では、第1の感圧接着剤層(102)は、12.0N/20mm~28.0N/20mmの固着強度を有する。
【0041】
一実施形態では、第2の感圧接着剤層(104)は、11.0N/20mm~23.0N/20mmの固着強度を有する。
【0042】
一実施形態では、感圧接着剤テープ(100)は、溶媒の非存在下で23N/19mm×19mm~76N/19mm×19mmのせん断接着強度を有する。溶媒は水系溶媒またはエマルション系溶媒である。
【0043】
本発明は、好ましい実施形態のうちの4つ、すなわち、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態を開示しており、4つの実施形態は全て同じバッキング層および第1の感圧接着剤層を含むが、いくつかは更に、プライマー層、第2の感圧接着剤層および/または剥離ライナーを有し得る。第1の実施形態では、感圧接着剤層は、バッキング層および第1の感圧接着剤層を含む。第2の実施形態では、感圧接着剤層は、バッキング層、第1の感圧接着剤層およびプライマー層を含む。第3の実施形態では、感圧接着剤層は、バッキング層、第1の感圧接着剤層および第2の感圧接着剤層を含む。第4の実施形態では、感圧接着剤層は、バッキング層、第1の感圧接着剤層、プライマー層および第2の感圧接着剤層を含む。
【0044】
本発明は、いくつかの効果を提供する。特に、本発明の感圧接着剤テープの感圧接着剤層は、溶媒と接触したときにその接着強度が実質的に変化しないように比較的安定した接着強度を有する。これは、感圧接着剤層またはテープが溶媒で湿潤され、完全に乾燥していないとしても、依然として基材に結合可能であることを意味する。さらに、本明細書で開示される感圧接着剤テープは比較的高い接着強度を有するが、テープの層間剥離または凝集破壊を伴わずに被着体から容易に剥がされる。加えて、被着体から剥がしているときに容易に破損しない。その上、剥がしたときに被着体上に最少量の残渣が残される。
【0045】
本発明の理解を容易にする目的で、添付図面には好ましい実施形態が示されており、それらを調査して、以下の記載に関連して考慮されると、本発明、その構成および操作、ならびにその利点の多くは、容易に理解および認識され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の第1の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープの略断面図である。
図2】本発明の第2の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープの略断面図である。
図3】本発明の第3の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープの略断面図である。
図4】本発明の第4の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープの略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及された結果および利点、ならびにその中で固有の結果および利点を得るのに十分に適合していることを容易に認識するであろう。本明細書に記載される実施形態は、本発明の範囲に対する限定を意図しない。
【0048】
本明細書で使用される「バッキング」という用語は、他に言及されない限り、「担体」という用語と互換的に使用することができる。
【0049】
本明細書で使用される「被着体」および「基材」という用語は、感圧接着剤層が接着する表面を指す。
【0050】
本明細書で使用される「接着強度」という用語は、室温および大気圧下で2時間までエイジングさせた後のステンレス鋼板(すなわち、SUS304BA)に関する感圧接着剤層の接着強度を指す。
【0051】
本明細書で使用される「N/10mm」という接着強度の単位は、感圧接着剤テープの幅10mm当たりの力を指す。
【0052】
本明細書で使用される「N/15mm」という引張強度の単位は、感圧接着剤テープの幅15mm当たりの力を指す。
【0053】
本明細書で使用される「N/20mm」という固着強度の単位は、感圧接着剤テープの幅20mm当たりの力を指す。
【0054】
本明細書で使用される「%/15mm」という伸長比の単位は、感圧接着剤テープの幅15mm当たりのテープ伸長パーセントを指す。
【0055】
本明細書で使用される「N/19mm×19mm」というせん断接着強度の単位は、感圧接着剤テープの幅19mmおよび長さ19mm当たりの力を指す。
【0056】
本発明は、第1および第2の表面を有するバッキング層(101)と、バッキング層(101)の第1の表面に付着された第1の感圧接着剤層(102)とを含む感圧接着剤テープ(100)に関し、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有し、感圧テープ(100)は、45N/15mm~80N/15mmの長手方向の引張強度を有する。本発明の感圧接着剤テープ(100)は更に、プライマー層(103)、第2の感圧接着剤層(104)、剥離ライナー(105)またはこれらの任意の組合せを含み得る。感圧接着剤テープ(100)および第1の感圧接着剤テープ(100)がそれぞれ好ましい引張強度および好ましい接着強度を達成する限り、本発明の効果を損なわないような範囲内で本発明の感圧接着剤テープ(100)のために任意の適切な配置が使用され得る。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、バッキング層(101)は、40N/15mm~65N/15mmの長手方向の引張強度を有する。また、バッキング層(101)は、5%/15mm~12%/15mmの長手方向の伸長比を有することも好ましい。長手方向に好ましい引張強度および/または伸長比を有するバッキング層(101)は、感圧接着剤テープ(100)が、剥がしている間に途中で破損することなく、被着体からより容易に剥がされることを可能にする。
【0058】
バッキング層(101)は、1つまたは複数の層から形成され得る。その長手方向の引張強度および/または伸長比が好ましい範囲と一致する限り、バッキング層(101)として任意の適切な材料が使用され得る。本発明においてバッキング層(101)として使用するのに適した材料の例としては、紙材料またはプラスチックフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、手で引き裂くことができるバッキング層(101)を与える材料が好ましい。好ましくは、バッキング層(101)は、バッキング層(101)の50重量%~100重量%の範囲の量の紙材料を含む。紙材料の例としては、クレープ紙、和紙、クラフト紙、フラットバック紙、ティッシュペーパー、フィッシュペーパー、およびクレーコート紙が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、バッキング層(101)は、少なくとも1つの表面に縮みまたはしわのある組織を有することが好ましい。またバッキング層(101)は、引張強度を増強するためにラテックスが含浸されていてもいい。一実施形態では、バッキング層(101)は防水性である。
【0059】
前述の記載において示されるように、第1の感圧接着剤層(102)は、バッキング層(101)の表面に付着される。第1の感圧接着剤層(102)は、アクリルポリマーおよびゴムポリマーなどのベースポリマーを含む感圧接着剤組成物から形成される。それでも、アクリルポリマーが好ましい。ベースポリマーは、感圧接着剤組成物全体の約65重量%~100重量%を構成し得る。第1の感圧接着剤層(102)のベースポリマーとしてアクリルポリマーが使用される場合、そのモノマー単位の70重量%~100重量%は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来するのが好ましい。感圧接着剤組成物は更に粘着付与剤を含み得る。適切な粘着付与剤の例としては、ロジンエステル、酸変性樹脂、水素化ロジンエステル、重合ロジン、ロジンフェノールおよびテルペンフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、粘着付与剤としてロジンエステルが使用される。また感圧接着剤組成物は更にカップリング剤も含み得る。本発明の効果を損なわない限り、任意の既知のカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤は、好ましいカップリング剤の1つである。
【0060】
本発明の第1の感圧接着剤層(102)は、徐々に被着体上を滑ることのないように適切な接着強度で被着体に接着することができる。好ましくは、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有する。本発明の一実施形態では、溶媒の非存在下での第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は、2.0N/10mm~7.0N/10mm、またはより好ましくは2.0N/10mm~6.0N/10mm、またはより好ましくは2.0N/10mm~5.0N/10mmの範囲である。本発明の別の実施形態では、溶媒の非存在下での第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は、3.0N/10mm~9.0N/10mmの範囲である。第1の感圧接着剤層(102)が水系またはエマルション系溶媒などの溶媒と接触する一実施形態では、第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は約1%~20%変化する。言い換えると、第1の感圧接着剤層(102)の溶媒の存在下での接着強度は、第1の感圧接着剤層zの溶媒の非存在下での接着強度との差異が約1%~20%である。
【0061】
バッキング層(101)および第1の感圧接着剤層(102)に加えて、本明細書に開示される感圧接着剤テープ(100)は更に、第2の感圧接着剤層(104)を含み得る。第2の感圧接着剤層(104)は、第1の感圧接着剤層(102)の感圧接着剤組成物と同一でも異なっていてもよい感圧接着剤組成物から形成される。本発明の一実施形態では、第2の感圧接着剤層(104)の感圧接着剤組成物は、アクリルポリマーおよびゴムポリマーなどのベースポリマーを含む。それでも、アクリルポリマーが好ましい。ベースポリマーは、感圧接着剤組成物全体の約65重量%~100重量%を構成し得る。感圧接着剤層のベースポリマーとしてアクリルポリマーが使用される場合、そのモノマー単位の70重量%~100重量%は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来するのが好ましい。感圧接着剤組成物は更に、粘着付与剤、好ましくはロジンエステルを含み得る。また感圧接着剤組成物は更に、カップリング剤、好ましくはシランカップリング剤も含み得る。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、第2の感圧接着剤層(104)は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~8.0N/10mmの範囲の接着強度を有する。より好ましくは、溶媒の非存在下での第2の感圧接着剤層(104)の接着強度は、2.0N/10mm~7N/10mmの範囲である。別の実施形態では、溶媒の非存在下での第2の感圧接着剤層(104)の接着強度は、3.0N/10mm~8.0N/10mmの範囲である。第2の感圧接着剤層(104)が水系またはエマルション系溶媒などの溶媒と接触する一実施形態では、第2の感圧接着剤層(104)の接着強度は5%~40%変化する。言い換えると、第2の感圧接着剤層(104)の溶媒の存在下での接着強度は、第2の感圧接着剤層(104)の溶媒の非存在下での接着強度との差異が約5%~40%である。
【0063】
前述の記載に従って、本発明の感圧接着剤テープ(100)は更にプライマー層(103)を含み得る。プライマー層(103)は、バッキング層(101)と第1の感圧接着剤層(102)との間、またはバッキング層(101)と第2の感圧接着剤層(104)との間に挟持され得る。プライマー層(103)は、バッキング層(101)と感圧接着剤層(102、104)との間の結合を強化するのに役立つベースポリマーを含み、それにより、感圧接着剤層(102、104)の固着強度、および感圧接着剤組成物の凝集性を改善する。プライマー層(103)を製造するためのベースポリマーとして、バッキング層(101)と感圧接着剤層(102、104)との間の結合を増強することができる任意の材料を使用することができる。好ましくは、プライマー層(103)のベースポリマーは、ポリオレフィンポリマー、ポリオレフィンエラストマーポリマー、アクリルポリマーまたはこれらの任意の組合せを含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、第1の感圧接着剤層(102)および第2の感圧接着剤層(104)は、バッキング層(101)またはプライマー層(103)への適切な固着を示す。特に、第1の感圧接着剤層(102)または第2の感圧接着剤層(104)とバッキング層(101)またはプライマー層(103)との間の結合は十分に強力なので、第1の感圧接着剤層(102)または第2の感圧接着剤層(104)と、バッキング層(101)またはプライマー層(103)とは、感圧接着剤テープ(100)を被着体から剥がしているときに一体化された単位として保持されるようになり、感圧接着剤が被着体上に全くまたは微量しか残らない。第1の感圧接着剤層(102)は、好ましくは12.0N/20mm~28.0N/20mm、より好ましくは16.5N/20mm~25.0N/20mmの固着強度を有する。第2の感圧接着剤層(104)は、好ましくは11.0N/20mm~23.0N/20mm、より好ましくは15.5N/20mm~19.0N/20mmの固着強度を有する。
【0065】
剥離ライナーは、感圧接着剤テープ(100)が未使用であるときに、感圧接着剤層の露出または裸の表面を損傷または汚染物質から保護するために、第1の感圧接着剤層(102)または第2の感圧接着剤層(104)の露出または裸の表面に付着され得る。剥離ライナーは、材料または構成に関して特に限定されない。本発明の効果を損なわないという条件で、任意の既知の剥離ライナーを本発明で使用することができる。好ましい剥離ライナーは、剥離剤で作られた剥離層が設けられた少なくとも1つの表面を有する。剥離ライナーを構成する基材は、紙材料、プラスチックフィルム、布地、ゴムシート、発泡シート、金属箔、およびこれらの任意の複合体からなる群から選択することができる。剥離層を形成する剥離剤は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、または長鎖アルキル型剥離剤でよい。
【0066】
本明細書で開示される感圧接着剤テープ(100)は十分に高いせん断接着強度を示すので、感圧接着剤テープ(100)を被着体から剥がしている間に、感圧接着剤テープ(100)の層間剥離が起こる可能性は低い。従って、感圧接着剤テープ(100)は、全体として被着体から剥がすことができる。好ましくは、感圧接着剤テープ(100)は、あらゆる溶媒の非存在下で23.0N/19mm×19mm~76.0N/19mm×19mmの範囲内のせん断接着強度を有する。他方で、水系またはエマルション系溶媒などの溶媒の存在下では、感圧接着剤テープ(100)のせん断接着強度は、1.0N/19mm×19mm~20.0N/19mm×19mmの範囲内に含まれる。
【0067】
本発明は、好ましい実施形態のうちの4つ、すなわち、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態を開示しており、4つの実施形態は全て同じバッキング層(101)および第1の感圧接着剤層(102)を含むが、いくつかは更に、プライマー層(103)、第2の感圧接着剤層(104)および/または剥離ライナー(105)を有し得る。本発明の効果が達成可能であるという条件で、これらの実施形態に包含されない感圧接着剤テープ(100)の可能性のある他の配置も使用することができる。これらの実施形態に記載される感圧接着剤テープ(100)の全厚さは、110μm~230μmの範囲である。それでも、本発明の効果が達成可能である限り、感圧接着剤テープ(100)の全厚さは220μmを超えてもよい。
【0068】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープ(100)の略断面図である。図1に示されるように、感圧接着剤テープ(100)は、バッキング層(101)と、その上に付着された第1の感圧接着剤層(102)とを含む。第1の感圧接着剤層(102)は、バッキング層(101)の第1の表面または第2の表面のいずれかの上に形成され得る。好ましくは、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~5.0N/10mmの接着強度を有する。第1の感圧接着剤層(102)の固着強度は、14.0N/20mm~24.0N/20mmの範囲内に含まれる。第1の好ましい実施形態の感圧接着剤テープ(100)は、50N/15mm~70N/15mmの長手方向の引張強度と、6%/15mmと14%/15mmの伸長比とを有する。
【0069】
図2は、本発明の第2の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープ(100)の略断面図である。図2に示されるように、感圧接着剤テープ(100)は、バッキング層(101)と、バッキング層(101)の表面に付着された第1の感圧接着剤層(102)と、プライマー層(103)とを含む。第1の感圧接着剤層(102)は、バッキング層(101)の第1の表面または第2の表面のいずれかの上に形成され得る。プライマー層(103)は、バッキング層(101)と第1の感圧接着剤層(102)との間に挟持される。好ましくは、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下で2.0N/10mm~6.0N/10mmの接着強度を有する。第1の感圧接着剤層(102)の固着強度は、12.0N/20mm~23.0N/20mmの範囲内に含まれる。第2の好ましい実施形態の感圧接着剤テープ(100)は、50N/15mm~70N/15mmの長手方向の引張強度と、6%/15mmと14%/15mmの伸長比とを有する。
【0070】
図3は、本発明の第3の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープ(100)の略断面図である。図3に示されるように、感圧接着剤テープ(100)は、バッキング層(101)、第1の感圧接着剤層(102)、第2の感圧接着剤層(104)および剥離ライナー(105)を含む。第1の感圧接着剤層(102)および第2の感圧接着剤層(104)は、バッキング層(101)の反対の表面に形成される。剥離ライナー(105)は、第2の感圧接着剤層(104)の露出または裸の表面に付着される。好ましくは、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下での2.0N/10mm~7.0N/10mmの接着強度と、12.0N/20mm~30.0N/20mmの固着強度とを有する。第2の感圧接着剤層(104)は、溶媒の非存在下での2.0N/10mm~7.0N/10mmの接着強度と、11.0N/20mm~24.0N/20mmの固着強度とを有する。第2の好ましい実施形態の感圧接着剤テープ(100)は、50N/15mm~70N/15mmの長手方向の引張強度と、7%/15mmと15%/15mmの伸長比とを有する。これは、溶媒の非存在下での24N/19mm×19mm~74N/19mm×19mmのせん断接着強度と、水系またはエマルション系溶媒の存在下での1N/19mm×19mm~20N/19mm×19mmのせん断接着強度とを有する。
【0071】
図4は、本発明の第4の好ましい実施形態に従う感圧接着剤テープ(100)の略断面図である。図4に示されるように、感圧接着剤テープ(100)は、バッキング層(101)と、バッキング層(101)の表面に付着された第1の感圧接着剤層(102)と、プライマー層(103)と、第2の感圧接着剤層(104)と、剥離ライナー(105)とを含む。第1の感圧接着剤層(102)および第2の感圧接着剤層(104)は、バッキング層(101)の反対の表面に形成される。プライマー層(103)は、バッキング層(101)と第1の感圧接着剤層(102)との間に挟持される。剥離ライナー(105)は、第2の感圧接着剤層(104)の露出または裸の表面に形成される。好ましくは、第1の感圧接着剤層(102)は、溶媒の非存在下での3.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度と、18.0N/20mm~36.0N/20mmの固着強度とを有する。第2の感圧接着剤層(104)は、溶媒の非存在下での3.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度と、17.0N/20mm~26.0N/20mmの固着強度とを有する。第2の好ましい実施形態の感圧接着剤テープ(100)は、50N/15mm~70N/15mmの長手方向の引張強度と、7%/15mmと15%/15mmの伸長比とを有する。これはまた、溶媒の非存在下での32N/19mm×19mm~75N/19mm×19mmのせん断接着強度と、水系またはエマルション系溶媒の存在下での1.0N/19mm×19mm~20.0N/19mm×19mmのせん断接着強度とを有する。
【0072】
1つの例示的な実施形態では、バッキング層(101)、第1の感圧接着剤層(102)、第2の感圧接着剤層(104)、プライマー層(103)および剥離ライナー(105)を含む感圧接着剤テープ(100)は、ゴルフグリップをゴルフクラブシャフトに装着するために使用することができる。特に、プライマー層(103)は、バッキング層(101)と、クラブシャフトに接着されることになる感圧接着剤層(第1の感圧接着剤層(102)または第2の感圧接着剤層(104)のいずれか)との間に挟持される。このような配置により、感圧接着剤テープ(100)は、テープの除去の間にシャフト表面に最少量または微量の接着剤を残すことが可能になる。好ましくは、ゴルフクラブシャフトに接着するための感圧接着剤層は溶媒の非存在下で3.0N/10mm~9.0N/10mmの接着強度を有し、その感圧接着剤層が水系潤滑溶媒またはエマルション系潤滑溶媒などの潤滑溶媒と接触すると、その感圧接着剤層の接着強度は1%~20%変化する。また、ゴルフグリップに接着するための感圧接着剤層は溶媒の非存在下で3.0N/10mm~8.0N/10mmの接着強度を有し、その感圧接着剤層が水系潤滑溶媒またはエマルション系潤滑溶媒などの潤滑溶媒と接触すると、その感圧接着剤層の接着強度は5%~40%変化することが好ましい。さらに、感圧接着剤層の固着強度は、好ましくは、17.0N/20mm~28.0N/20mmである。感圧接着剤テープのせん断強度は、好ましくは、任意の潤滑溶媒の非存在下で32.0N/19mm×19mm~76.0N/19mm×19mmであり、水系またはエマルション系潤滑溶媒の存在下で2.0N/19mm×19mm~20.0N/19mm×19mmである。
【実施例
【0073】
本発明の種々の態様および実施形態を説明するために実施例が以下に提供される。実施例は、開示される本発明を限定することは決して意図されず、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0074】
実施例1:感圧接着剤組成物の調製
100部のイオン交換水に、モノマー混合物、第3級メルカプタン(連鎖移動剤)および乳化剤を100.02/0.048/2.0の比率で混合し、乳化させて、モノマー混合物の水性エマルション(モノマーエマルション)を調製する。初期モノマー混合物は、アクリル酸2-エチルメチル(2EHA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)および3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含有する。乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムを使用する。
【0075】
凝縮器、窒素入口、温度計および攪拌器を備えた反応容器にモノマーエマルションを添加し、窒素流の下、室温で少なくとも1時間攪拌させる。続いて、系を60℃に加熱する。0.1部の2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物(重合開始剤)を反応容器に添加する。系を60℃に保持しながら、モノマーエマルションを6時間反応させる。系を室温まで冷却してから、10%のアンモニア水を添加して、アクリルポリマーの水分散体が得られる。
【0076】
100部のアクリルポリマー(ベースポリマー)に対して、不揮発性物質を基準として、30部のロジンエステル系粘着付与剤(125℃の軟化点を有する)および0.067部のケイ素化合物のn-デシルトリメトキシシランをアクリルポリマーの水分散体に添加する。次に、pH調整剤として10%のアンモニア水、そして増粘剤としてポリアクリル酸(水性の36%の不揮発性溶液)を用いることにより、混合物のpHおよび粘度を調整する。
【0077】
実施例2:感圧接着剤テープ(1)の調製
40g/m~75g/mの坪量および85~150μmの厚さを有するクレープ紙をテープのバッキング層(101)として使用する。クレープ紙にはラテックスが含浸されている。実施例1で調製した感圧接着剤組成物をバッキング層(101)の第1の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、30μmの厚さを有する第1の感圧接着剤層(PSA1)(102)を形成する。「クレープ紙/PSA1」構成を有する積層体を、80℃のロール温度、0.3MPaの圧力および0.5m/分の速度で1回ラミネーターを通過させるまたはラミネーターにより加圧する。そして、第1の好ましい実施形態に記載される配置を有する感圧接着剤テープ(100)が得られる。
【0078】
実施例3:感圧接着剤テープ(2)の調製
40g/m~75g/mの坪量および85~150μmの厚さを有するクレープ紙をテープのバッキング層(101)として使用する。クレープ紙にはラテックスが含浸されている。ゴムエマルションをプライマー層(103)としてバッキング層の第1の表面に適用する。実施例1で調製した感圧接着剤組成物をプライマー層(103)の第1の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、30μmの厚さを有する第1の感圧接着剤層(PSA1)(102)を形成する。「クレープ紙/プライマー層/PSA1」構成を有する積層体を、80℃のロール温度、0.3MPaの圧力および0.5m/分の速度で1回ラミネーターを通過させるまたはラミネーターにより加圧する。そして、第2の好ましい実施形態に記載される配置を有する感圧接着剤テープ(100)が得られる。
【0079】
実施例4:感圧接着剤テープ(3)の調製
40g/m~75g/mの坪量および85~150μmの厚さを有するクレープ紙をテープのバッキング層(101)として使用する。クレープ紙にはラテックスが含浸されている。実施例1で調製した感圧接着剤組成物をバッキング層(101)の第1の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、30μmの厚さを有する第1の感圧接着剤層(PSA1)(102)を形成する。次に、実施例1で調製した感圧接着剤組成物をバッキング層(101)の第2の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、40μmの厚さを有する第2の感圧接着剤層(PSA2)(104)を形成する。形成された第2の感圧接着剤層(104)の感圧接着剤表面に、シリコン系剥離剤でその両方の表面が処理されたクレープ紙を付着する。「PSA2/クレープ紙/PSA1」構成を有する積層体を、80℃のロール温度、0.3MPaの圧力および0.5m/分の速度で1回ラミネーターを通過させるまたはラミネーターにより加圧する。そして、第3の好ましい実施形態に記載される配置を有する感圧接着剤テープ(100)が得られる。
【0080】
実施例5:感圧接着剤テープ(4)の調製
40g/m~75g/mの坪量および85~150μmの厚さを有するクレープ紙をテープのバッキング層(101)として使用する。クレープ紙にはラテックスが含浸されている。ゴムエマルションをプライマー層(103)としてバッキング層の第1の表面に適用する。実施例1で調製した感圧接着剤組成物をプライマー層(103)の第1の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、30μmの厚さを有する第1の感圧接着剤層(PSA1)(102)を形成する。次に、実施例1で調製した感圧接着剤組成物をバッキング層(101)の第2の表面に適用し、100℃で2分間乾燥させて、40μmの厚さを有する第2の感圧接着剤層(PSA2)(104)を形成する。形成された第2の感圧接着剤層(104)の感圧接着剤表面に、シリコン系剥離剤でその両方の表面が処理されたクレープ紙を付着する。「PSA2/クレープ紙/プライマー層/PSA1」構成を有する積層体を、80℃のロール温度、0.3MPaの圧力および0.5m/分の速度で1回ラミネーターを通過させるまたはラミネーターにより加圧する。そして、第4の好ましい実施形態に記載される配置を有する感圧接着剤テープ(100)が得られる。
【0081】
実施例6:感圧接着剤テープ(5)の調製
バッキング層(101)としてクレープ紙の代わりに和紙を使用することを除いて、実施例2に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0082】
実施例7:感圧接着剤テープ(6)の調製
バッキング層(101)としてクレープ紙の代わりに和紙を使用することを除いて、実施例3に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0083】
実施例8:感圧接着剤テープ(7)の調製
バッキング層(101)としてクレープ紙の代わりに和紙を使用することを除いて、実施例4に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0084】
実施例9:感圧接着剤テープ(8)の調製
バッキング層(101)としてクレープ紙の代わりに和紙を使用することを除いて、実施例5に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0085】
実施例10:感圧接着剤テープ(9)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例2に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0086】
実施例11:感圧接着剤テープ(10)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例3に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0087】
実施例12:感圧接着剤テープ(11)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例4に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0088】
実施例13:感圧接着剤テープ(12)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例5に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0089】
実施例14:感圧接着剤テープ(13)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例6に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0090】
実施例15:感圧接着剤テープ(14)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例7に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0091】
実施例16:感圧接着剤テープ(15)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例8に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0092】
実施例17:感圧接着剤テープ(16)の調製
実施例1で調製したアクリル系感圧接着剤組成物の代わりにゴム系感圧接着剤組成物を使用することを除いて、実施例9に従って感圧接着剤テープ(100)を調製する。
【0093】
実施例18:厚さの測定
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)の全厚さおよび各層の厚さは、1/1000mmダイヤルゲージ(DG-205、Peacock)で測定される。結果は表1に示される。
【0094】
実施例19:接着強度の測定(1)
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)を幅10mmおよび長さ80mmのサンプルに切断する。各サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は、大気圧下、23℃の温度および50%相対湿度(RH)の湿度において、サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の露出表面をステンレス鋼上に接着させ、感圧接着剤テープ上で2.0kgのローラーを転がすことによって測定される。その結果得られたものを大気圧下、23℃の温度および50%RHの湿度で30分間エイジングする。その後、万能引張試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-50N、島津製作所)の使用により、感圧接着剤層(102)を180°の剥離角および300mm/分の引張速度で剥がして、第1の感圧接着剤層の感圧接着強度を測定する。2時間のエイジング後の第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は、同じ種類の別のサンプルを用いて測定される。
【0095】
実施例4、5、8、9、12、13、16および17に従って調製された感圧接着剤テープ(3)、(4)、(7)、(8)、(11)、(12)、(15)、および(16)のサンプルの、30分および2時間のエイジング後の第2の感圧接着剤層(104)の接着強度は、同じ方法を用いて測定される。
【0096】
結果は、表1に示される。
【0097】
実施例20:接着強度の測定(2)
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)を幅10mmおよび長さ80mmのサンプルに切断する。各サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の接着強度は、大気圧下、23℃の温度および50%相対湿度(RH)の湿度において、サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の露出表面をステンレス鋼上に接着させ、感圧接着剤テープ上で2.0kgのローラーを転がすことによって測定される。接着剤層の他方の表面に3滴の水系潤滑剤を適用する。その結果得られたものを大気圧下、23℃の温度および50%RHの湿度で30分間エイジングする。その後、万能引張試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-50N、島津製作所)の使用により、感圧接着剤層(102)を180°の剥離角および300mm/分の引張速度で剥がして、第1の感圧接着剤層(102)の感圧接着強度を測定する。実施例4、5、8、9、12、13、16および17に従って調製された感圧接着剤テープ(3)、(4)、(7)、(8)、(11)、(12)、(15)、および(16)のサンプルの、30分のエイジング後の第2の感圧接着剤層(104)の接着強度は、同じ方法を用いて測定される。
【0098】
水系潤滑剤の代わりにエマルション系潤滑剤を使用することを除いて、上記のステップを繰り返す。
【0099】
結果は、表2に示される。
【0100】
実施例21:引張強度の測定
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)を幅15mmおよび長さ100mmのサンプルに切断する。測定の前に、サンプルの全ての剥離ライナー(105)を除去する。万能引張圧縮試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-1kN、島津製作所)の使用により、大気圧下、23℃の温度および50%RHの湿度において、100mmのチャック距離、300mm/分の引張速度でサンプルを引っ張り、破砕時の応力を読み取る。測定を複数回繰り返し、平均読取値を感圧接着剤テープ(100)の引張強度として定義する。
【0101】
結果は、表1に示される。
【0102】
実施例22:伸長比の測定
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)を幅15mmおよび長さ100mmのサンプルに切断する。測定の前に、サンプルの全ての剥離ライナー(105)を除去する。万能引張圧縮試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-1kN、島津製作所)の使用により、大気圧下、23℃の温度および50%RHの湿度において、100mmのチャック距離、300mm/分の引張速度でサンプルを引っ張り、破砕時の長さを読み取る。測定を複数回繰り返し、平均読取値を感圧接着剤テープの伸長比の計算に使用する。伸長比は、式1を用いて計算することができる。
伸長比(%)=100×破砕時の長さ/チャック距離 [式1]
【0103】
結果は、表1に示される。
【0104】
実施例23:固着強度試験
実施例2~17に従って調製された感圧接着剤テープ(1)~(16)を幅20mmおよび長さ20mmのサンプルに切断する。測定の前に、サンプルの全ての剥離ライナー(105)を除去する。23℃および50%RHの環境で、日東電工株式会社の製品番号512などの市販の両面感圧接着剤テープにより、サンプルの第2の感圧接着剤層(104)(PSA2)をステンレス鋼板(すなわち、SUS板BA)上に適用および固定する。続いて、日東電工株式会社の製品番号315などの、幅20mmおよび長さ100mmの市販の片面感圧接着剤テープを、サンプルの第1の感圧接着剤層(102)(PSA1)の上に層にする。サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の接着剤表面を片面感圧接着剤テープの接着剤表面に対して加圧結合させるために、積層体上に2kgのローラーを置き、前後に1回動かす。加圧結合プロセスの間、サンプルの長さ方向の一方の端に、厚さ約90μm、幅20mmおよび長さ30mmの紙片を配設し、サンプルの第1の感圧接着剤層(102)の接着剤表面と、片面感圧接着剤テープの接着剤表面との間に挟持する。特に、紙片の長さ10mmの部分をその間に配設し、紙片の残りの長さ20mmの部分は、積層体の外側でサンプルの長さ方向に露出させる。次に、同じ環境で積層体を30分間エイジングさせる。続いて、紙片の露出部分をチャックで固定する。引張試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-1kN、島津製作所)を用いることにより、第1の感圧接着剤層(102)およびバッキング層(101)を180°の剥離角および300mm/分の引張速度で強制的に引き剥がす。剥離中の剥離強度(N/20mm)を記録する。測定を複数回繰り返し、平均読取値を第1の感圧接着剤層(102)(PSA1)の固着強度として定義する。
【0105】
第2の感圧接着剤層(104)(PSA2)の固着強度を測定するために、上記のステップを繰り返すが、今回は、第1の感圧接着剤層(102)(PSA1)を市販の両面感圧接着剤テープによりステンレス鋼板(すなわち、SUS板BA)上に固定し、市販の片面感圧接着剤テープを第2の感圧接着剤層(104)の接着剤表面の上に層にし、サンプルの第2の感圧接着剤層(104)の接着剤表面と、片面感圧接着剤テープの接着剤表面との間に紙片を配設および挟持する。
【0106】
結果は、表3に示される。
【0107】
実施例24:せん断接着強度試験
それぞれ実施例4、5、9および17に従って調製された感圧接着剤テープ(3)、(4)、(8)および(16)を幅19mmおよび長さ19mmのサンプルに切断する。測定の前に、サンプルの全ての剥離ライナーを除去する。各サンプルの第1の感圧接着剤層を一方の表面においてステンレス鋼板に接着させ、第2の感圧接着剤層をネオプレンシートに接着させる。23℃および50%RHの湿度において、サンドイッチ上で2kgのローラーを少なくとも2回転がす。サンプルを2時間エイジングする。その後、万能引張圧縮試験機(万能引張試験機AG-ISシリーズ、SLBL-1kN、島津製作所)の使用により、大気圧下、23℃の温度および50%RHの湿度において、100mmのチャック距離、300mm/分の引張速度で、ネオプレンシートおよびステンレス鋼板を引っ張り、せん断強度を記録する。測定を複数回繰り返し、平均読取値を感圧接着剤テープのせん断強度として定義する。24時間のエイジング後の感圧接着剤テープのせん断強度は、別のサンプルセットを用いて測定される。
【0108】
感圧接着剤テープをステンレス鋼板に適用した後に、規定量の潤滑溶媒を感圧接着剤テープの露出表面に添加することにより、上記のステップを繰り返す。
【0109】
結果は、表4に示される。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【符号の説明】
【0114】
100 感圧接着剤テープ
101 バッキング層
102 第1の感圧接着剤層
103 プライマー層
104 第2の感圧接着剤層
105 剥離ライナー
図1
図2
図3
図4