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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ポリエステル組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20230110BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20230110BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C08L67/02
C08K3/01
C08K5/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019520776
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2017107111
(87)【国際公開番号】W WO2018072748
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】201610921310.6
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鄭萃
(72)【発明者】
【氏名】祝桂香
(72)【発明者】
【氏名】劉立志
(72)【発明者】
【氏名】張偉
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0281560(US,A1)
【文献】特開2014-156540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0329924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00- 67/08
C08K 3/00- 3/40
C08K 5/00- 5/59
C08J 3/00- 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいるポリエステル組成物であって、
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、式(I)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II)によって表される繰り返し単位B
【化1】

(ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの総モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は、20~40モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は、60~80モル%であり;mは2~の整数であり、nは2~の整数であり、pは2~の整数であり;m、nおよびpは同じであるかまたは異なる)
を含んでいる共重合体であり、
上記脂肪族ポリエステルは、式(I'')によって表される繰り返し単位C
【化2】

(ここで、m2は2~の整数であり、n2は2~の整数であり、m2およびn2は同じであるかまたは異なる)
を含み、
上記脂肪族ポリエステルおよび上記脂肪族-芳香族コポリエステルの総重量に基づいて、上記脂肪族ポリエステルの含有量は5重量%以上、30重量%未満であり、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は70重量%より高く、95重量%以下であることを特徴とする、ポリエステル組成物。
【請求項2】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、脂肪族-芳香族コポリエステルが式(I’)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II-1)によって表される繰り返し単位B
【化3】

(ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの合計モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は20~40モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は60~80モル%であり;m1は2~の整数であり、n1は2~の整数であり、m1およびn1は同じであるかまたは異なる)
を含んでいる共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、GPCによって測定されるときに50,000~900,000の重量平均分子量を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、GPCによって測定されるときに100,000~500,000の重量平均分子量を有していることを特徴とする、請求項に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、GPCによって測定されるときに1.2~3の分子量分布を有していることを特徴とする、請求項に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
上記脂肪族ポリエステルは、GPCによって測定されるときに50,000~900,000の重量平均分子量を有していることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
上記脂肪族ポリエステルは、GPCによって測定されるときに100,000~500,000の重量平均分子量を有していることを特徴とする、請求項に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
上記ポリエステル組成物は、核剤をさらに含んでおり;当該核剤の含有量は、上記ポリエステル組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
上記核剤は、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料、カオリン、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、ならびにエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
エルシルアミドおよび/またはホワイト油をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
標準GB/T1040.2-2006に従う方法によって測定されるときに、680%まで、またはそれ以上の破断点伸びを有していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の調製のための方法であって、
上記ポリエステル組成物の調製のための、上記脂肪族ポリエステルおよび上記脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいる全成分を混合すること;得られた混合物を押出造粒して、ポリエステル組成物を得ることを、含んでいることを特徴とする、ポリエステル組成物の調製のための方法。
【請求項14】
上記混合することは6~60rpmの撹拌速度での撹拌下で2~30分間の撹拌時間の間行われ;上記押出造粒は二軸押出機中で、120~270℃の温度で、10~70rpmのスクリュー回転速度で、2~80N・mのトルクで行われることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
相溶化剤が、上記混合する工程の間に加えられないことを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリエステル組成物から調製されている、強化複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーの分野、特に、ポリエステル組成物、および当該ポリエステル組成物の調製方法、ならびにポリエステル組成物から調製される強化複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、5つの主要な工業技術プラスチックの1つである。PBTは、最初に、1942年にドイツの科学者PSchlackによって合成され、それから、米国のCelanex社(現在はTicona)によって工業的に開発され、Celanexの商品名で市販された。PBTは、良好な寸法安定性、高温耐性、優れた難燃性および断熱性、良好な流動性、小さい線熱膨張係数、良好な化学溶媒耐性等の特性を有している。PBTは、電気産業およびエレクトロニクス産業、自動車産業、およびオフィス機器の分野に、広範囲な用途を有している。しかし、PBTは、耐衝撃性に乏しく、特に欠損し易い。物品の表面における小さな切り欠きは、物品全体に破損を起こさせ得る。したがって、強化によってPBTを改善することが非常に必要とされている。
【0003】
PBTの強化改善は、主に混合による改善であり、当該改善は主に3つのカテゴリーに分けられる。第1のカテゴリーは、繊維(主にガラス繊維がPBTに加えられ、他の繊維(例えば、炭素繊維、竹繊維または亜麻繊維)も加えられ得る)による強化である。例えば、CN105086387Aでは、ガラス繊維は、PBTに、その量の約半分が加えられ、切り欠きありのその衝撃強度を大きく向上させ得る。繊維を加えることの主な欠点は、材料が従来の射出成形プロセスを用いて加工することができないが、多くの場合、余分な適合プロセスコストが必要とされ、特に特性を大きく改善させる長い繊維についてプロセスコストが大きい。第2のカテゴリーは、高衝撃性材料の添加である。PBTの相対的に高い加工温度のために、相対的に高い加工温度に耐え得る材料を加えることがしばしば必要である。非常に一般的な例は、PC(ポリカーボネート)の添加である。例えば、CN104693759Aでは、PBTの量に基づいて約100%~200%のPCをPBTに添加した後に、靭性が改善される。高衝撃性材料を加えることの欠点は、現在の高衝撃性材料のほぼすべてがPBTと不適合であり、それらは分子レベルで互いに反発し、それらは非常に強いブレンド条件の後にさえ、完全に均一に混合され難い。多量の相溶化剤を加えることは、この問題を部分的に解決し得るが、同時に、材料特性の低下をもたらす。第3のカテゴリーは、PBT分子構造に非常に類似する、PBTより強靭な他の材料を加えて、PBTの靭性をわずかに改善することである。典型的な例は、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。例えば、CN104419125Aでは、PBTおよびPETがほぼ等量に混合されており、得られた材料がPBTより強い靭性を有している。このカテゴリーの欠点は、分子構造がPBTに類似する材料がPBTより良好な靭性を有してさえも、それは大きなマージンにしたがって良好ではなく、得られる複合材料の靭性が大して改善されないことが、最終的な結果である。
【0004】
PBTの強化改善のための別の有効な方法は、PBTを共重合によって改善することである。しかし、現在、PBT構造を含む多くの共重合体(例えば、米国会社のBASFの商品名「ecoflex」という製品(しかし、工業技術プラスチックのその性能はPBTよりはるかに悪く、実際に可撓性材料として使用されている))があるが、種々の理由(例えば材料特性および原価管理)のために、PBTを強化するための共重合によって改善された実際の製品は依然として市場にない。したがって、現在、靭性について改善されているPBT製品を見出すことの、差し迫った必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、既存のPBT製品の上記欠陥を克服するために、ポリエステル組成物およびその調製方法、ならびに当該ポリエステル組成物から調製される強化複合材料を提供することである。PBTと比較して、本発明のポリエステル組成物および複合材料の靭性は、大きく改善されるはずである。
【0006】
本発明の別の目的は、調製の間に相溶化剤をさらに加える必要がない、改良されたポリエステル組成物を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、その調製の間に加工設備に付加的な変更を必要とせずに、PBT用と同じ設備を用いて加工可能な改良されたポリエステル組成物を提供することである。
【0008】
本発明によれば、上記目的は、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいるポリエステル組成物によって達成される。
【0009】
したがって、本発明は、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいるポリエステル組成物を提供する。上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、式(I)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II)によって表される繰り返し単位B
【0010】
【化1】
【0011】
(ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの総モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は、1~60モル%、好ましくは20~40モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は、40~99モル%、好ましくは60~80モル%であり;mは2~10の整数であり、nは2~8の整数であり、pは2~10の整数であり、好ましくは、mは2~6の整数であり、nは2~4の整数であり、pは2~6の整数であり;m、nおよびpは同じであるかまたは異なる)
を含んでいる共重合体である。
【0012】
好ましくは、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、脂肪族-芳香族コポリエステルが式(I’)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II-1)によって表される繰り返し単位B
【0013】
【化2】
【0014】
(ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの合計モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は1~60モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は40~99モル%であり;m1は2~10の整数であり、n1は2~8の整数であり、m1およびn1は同じであるかまたは異なる)
を含んでいる共重合体である。より好ましくは、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの総モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は20~40モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は60~80モル%であり;m1は2~6の整数であり、n1は2~4の整数であり、m1およびn1は同じであるかまたは異なる。
【0015】
本発明によれば、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、GPCによって測定されるときに50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000の重量平均分子量を有し得;より好ましくは、分子量分布は、GPCによって測定したときに1.2~3である。
【0016】
上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0017】
本発明に係るポリエステル組成物において、上記脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルの総重量に基づいて、上記脂肪族ポリエステルの含有量は1~50重量%であり得、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は50~99重量%であり得;好ましくは上記脂肪族ポリエステルの含有量は5~30重量%であり得、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は70~95重量%であり得る。
【0018】
本発明によれば、上記脂肪族ポリエステルは、式(I'')によって表される繰り返し単位C
【0019】
【化3】
【0020】
(ここで、m2は2~10の整数であり、n2は2~8の整数であり、m2およびn2は同じであるかまたは異なり;
好ましくは、m2は2~6の整数であり、n2は2~4の整数であり、m2およびn2は同じであるかまたは異なる)
を含んでいる。
【0021】
上記脂肪族ポリエステルは、GPCによって測定されるときに50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000の重量平均分子量を有し得る。
【0022】
本発明に係る上記ポリエステル組成物は、核剤をさらに含み得;当該核剤の含有量は、上記ポリエステル組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.2~5重量%である。
【0023】
例えば、上記核剤は、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料、カオリン、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、ならびにエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される1つ以上;好ましくは、炭酸カルシウム、低密度ポリエチレン、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ならびに高分岐ポリアミドからなる群から選択される1つ以上であり得る。
【0024】
本発明によるポリエステル組成物は、他の添加剤(例えばエルシルアミドおよび/またはホワイト油)をさらに含み得る。
【0025】
本発明に係るポリエステル組成物は、標準GB/T1040.2-2006に従う方法によって測定されるときに、好ましくは680%以上の破断点伸びを有している。
【0026】
別の態様では、本発明は、ポリエステル組成物の調製のための方法を提供する。当該方法は、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいる全成分を混合すること;得られた混合物を押出造粒して、ポリエステル組成物を得ることを、含んでいる。
【0027】
上記混合することは撹拌下で行われ得;撹拌速度は6~60rpmであり得、撹拌時間は2~30分間であり得る。有利に、上記押出造粒は二軸押出機中で行われ;好ましくは、上記押出造粒の条件は、120~270℃の温度、10~70rpmのスクリュー回転速度、2~80N・mのトルクを含んでいる。
【0028】
好ましくは、相溶化剤が、上記混合する工程の間に加えられない。
【0029】
さらに、本発明は、本発明に係る上記ポリエステル組成物から調製される強化複合材料をさらに提供する。
【0030】
本発明は、PBTの共重合および混合によるPBTの強化改善の上記目的をを達成する。PBTと比較して、本発明によって提供される上記ポリエステル組成物は、大きく向上した靭性を有しており;さらに、上記ポリエステル組成物の調製において、相溶化剤を付加的に加える必要がない。さらに、本発明によって提供される上記ポリエステル組成物は、その調製の間に、加工設備に付加的な変更を必要とせずに、PBT用と同じ設備を用いて加工され得る。したがって、本発明によって提供される上記ポリエステル組成物は、産業応用の望ましい見通しを有している。
【0031】
本発明の他の特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明に基づいて、詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含んでいるポリエステル組成物を提供する。上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、式(I)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II)によって表される繰り返し単位B
【0033】
【化4】
【0034】
を含んでいる共重合体である。ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの総モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は、1~60モル%、好ましくは20~40モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は、40~99モル%、好ましくは60~80モル%であり;mは2~10の整数であり、nは2~8の整数であり、pは2~10の整数であり、好ましくは、mは2~6の整数であり、nは2~4の整数であり、pは2~6の整数であり;m、nおよびpは同じであるかまたは異なる。
【0035】
好ましい実施形態では、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、脂肪族-芳香族コポリエステルが式(I’)によって表される繰り返し単位Aおよび式(II-1)によって表される繰り返し単位B
【0036】
【化5】
【0037】
を含んでいる共重合体である。ここで、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの合計モル数に基づいて、上記繰り返し単位Aの含有量は1~60モル%であり、上記繰り返し単位Bの含有量は40~99モル%であり;m1は2~10の整数であり、n1は2~8の整数であり、m1およびn1は同じであるかまたは異なり、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、50,000~900,000の重量平均分子量を有している。
【0038】
好ましくは、上記脂肪族-芳香族コポリエステルにおける上記繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの合計モル数に基づいて、繰り返し単位Aの含有量は20~40モル%であり、繰り返し単位Bの含有量は60~80モル%であり;m1は2~6の整数であり、n1は2~4の整数であり、m1およびn1は同一であるかまたは異なり、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、100,000~500,000の重量平均分子量を有している。
【0039】
本発明において、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0040】
本発明において、上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであり得、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体である。本発明の上記脂肪族-芳香族コポリエステルの供給源は、特に限定されない。上記脂肪族-芳香族コポリエステルは、当該分野における従来の手段によって入手され得、例えば、商業的に入手され得る、またはCN100429256Cに開示されている方法によって調製され得る。
【0041】
より詳細には、上記脂肪族-芳香族コポリエステルを調整するための方法は、以下の工程:
(1)不活性雰囲気中で第1の触媒の存在下で単量体Aを単量体Bと反応させること;
(2)不活性雰囲気中で上記第1の触媒の存在下で単量体Cを単量体Dと反応させること;
(3)工程(1)で得られた反応生成物を、工程(2)で得られた反応生成物と、第2の触媒の存在下で反応させる工程を、含み得;
ここで、上記単量体Aは、ブタンジオールであり;上記単量体Bは、テレフタル酸および/またはそのエステルであり、好ましくは、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1つであり;上記単量体Cは、C2~C4ジオール(特に飽和直鎖ジオール)であり;上記単量体Dは、C4~C6二塩基性酸(特に飽和直鎖二塩基性酸)であり;上記第1の触媒は、チタン酸テトラブチル、二酸化チタン、ジエトキシチタンおよび酢酸亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくはチタン酸テトラブチルであり;上記第2の触媒は、アセチルアセトネートランタン、三塩化ランタン、トリフェノキシランタンおよびプロピオン酸ランタンからなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくはアセチルアセトネートランタンである。
【0042】
本発明では、工程(1)における、上記単量体Bの、上記第1触媒に対するモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0043】
本発明では、工程(2)における、上記単量体Dの、上記第1触媒に対するモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0044】
好ましくは、上記第1の触媒の総量(工程(1)における上記第1の触媒の量および工程(2)における上記第1の触媒の量の合計)の、上記第2の触媒の量に対するモル比は、1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0045】
本発明において、種々の反応性単量体の種類は、目的生成物の組成および分子量に応じて、相応に調整され得、生成物の分子量および生成物における各繰り返し単位の含有量はそれぞれ、供給量および供給比を調整することによって制御される。
【0046】
本発明では、工程(1)における反応温度は160~220℃であることが好ましく;本発明では、工程(2)における反応温度は160~220℃であることが好ましく;本発明では、工程(3)における反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、m1が4であるとき、上記脂肪族-芳香族コポリエステルを調製するための方法は、以下の工程:
(S1)不活性雰囲気中で第1の触媒の存在下でブタンジオールを単量体A’と反応させること;
(S2)第2の触媒の存在下で、工程(S1)で得られた反応生成物を単量体B’と反応させることを含んでおり;
ここで、A’は、テレフタル酸および/またはそのエステルであり、好ましくはテレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1つであり;上記単量体B’は、C4~C6二塩基性酸(特に飽和直鎖二塩基性酸)であり;上記第1の触媒および第2の触媒は上述の通りであり、ここにさらに説明しない。
【0048】
本発明では、工程(S1)における上記単量体A’の、上記第1触媒に対するモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0049】
好ましくは、上記第1の触媒の量の、上記第2の触媒の量に対するモル比は1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0050】
本発明では、種々の反応性単量体の種類は、目的生成物の組成および分子量に応じて、相応に調整され得、生成物の分子量および生成物における各繰り返し単位の含有量は、供給量および供給比を調整することによって制御される。
【0051】
本発明では、工程(S1)における反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明では、工程(S2)における反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0052】
より詳細には、上記脂肪族-芳香族コポリエステルを調製するための方法は、次の工程:US11312373に記載されているような1,4-ブタンジオール、安息香酸ジメチルおよび触媒を、反応器に加えること;透明な溶液が得られるまで窒素雰囲気下で加熱し、攪拌すること;続いて、反応のために160~220℃に温度を上昇させること;系内の蒸留メタノールの大部分が除去された後に、180~240℃に温度を上昇させること;蒸留によって水分の大部分を除去し、それから、徐々に減圧環境にすること;および系の温度を220~280℃に上昇させること;3~6時間後に反応を終えて生成物を得ること、を含んでいる。
【0053】
本発明によれば、上記脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルの総重量に基づいて、上記脂肪族ポリエステルの含有量は1~50重量%であり得、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は50~99重量%であり得;好ましくは、上記脂肪族ポリエステルの含有量は5~30重量%であり、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は70~95重量%であり;より好ましくは、上記脂肪族ポリエステルの含有量は10~20重量%であり、上記脂肪族-芳香族コポリエステルの含有量は80~90重量%である。
【0054】
本発明では、本発明者らは、PBTの共重合体を従来の脂肪族ポリエステルと混合することが、生成物の靭性を大きく上昇させ得ること;本発明で使用される上記脂肪族ポリエステル、およびPBTの上記共重合体は、良好な相溶性を有していること;上記PBT材料の強化改善の目的が、相溶化剤をさらに加える必要なしに、従来の混合条件で達成され得ることを、研究の間に予想外に見出している。このように、本発明における上記脂肪族ポリエステルは、その種類に特に限定されず、当該分野において従来から使用されている脂肪族ポリエステルであり得る。
【0055】
上記脂肪族ポリエステルは、式(I'')によって表される繰り返し単位C
【0056】
【化6】
【0057】
(ここで、m2は2~10の整数であり、n2は2~8の整数であり、m2およびn2は同じであるかまたは異なる)
を含んでおり、上記脂肪族ポリエステルは、50,000~900,000の重量平均分子量を有しており;より好ましくは、m2は2~6の整数であり、n2は2~4の整数であり、m2およびn2は同じであるかまたは異なり、上記脂肪族ポリエステルは、100,000~500,000の重量平均分子量を有している。
【0058】
本発明において、上記脂肪族ポリエステルは、従来の手段によって入手され得、例えば、商業的に入手され得(例えば、BASF社から入手可能、商品名「1111HTA4」)、またはCN104039865Bに開示された標準に従う方法により調製され得る(ここで、反応のための出発物質の種類は、目的生成物の組成および分子量に応じて相応に調整され得、生成物の分子量および精製物における各繰り返し単位の含有量は、それぞれ、供給量および供給比を調整することによって制御された)。
【0059】
本発明によれば、上記ポリエステル組成物は、核剤をさらに含み得、当該核剤の含有量は、上記ポリエステル組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは1~5重量%であり得る。
【0060】
本発明によれば、核剤は、当該分野における従来の選択であり得る。例えば、当該核剤は、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料(例えば、Guangzhou Yingyi Plastic Pigment Co、Ltd.から購入した黄色または緑色顔料)、カオリン、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、ならびにエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される1つ以上;好ましくは、炭酸カルシウム、低密度ポリエチレン、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ならびに高分岐ポリアミドからなる群から選択される1つ以上であり得;より好ましくは、炭酸カルシウムおよび/または低密度ポリエチレンである。
【0061】
本発明では、上記ポリエステル組成物は、他の添加剤(例えば、エルシルアミドおよび/またはホワイト油)をさらに含んでもよい。
【0062】
本発明は、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルを含むすべての成分を混合すること;得られた混合物を押出造粒してポリエステル組成物を得ることを含んでいる、本発明に係るポリエステル組成物の調製のための方法を、さらに提供する。
【0063】
本発明によれば、上記混合することは撹拌下で行われ得;撹拌速度は6~60rpmであり得、撹拌時間は2~30分間であり得る。
【0064】
本発明によれば、押出造粒プロセスは従来の押出造粒方法に従って行われ得、例えば、押出造粒は二軸押出機において行れ得、好ましくは押出造粒条件は、120~270℃の温度、10~70rpmの回転速度、2~80N・mのトルクを含んでおり、より好ましくは、上記二軸押出機は6つの温度部を備えており、供給口から押出口までの、種々の部分の温度は、段階的に190~240℃、200~250℃、210~260℃、220~260℃、220~265℃、210~260℃である。
【0065】
本発明では、本発明者らは、PBTの共重合体を従来の脂肪族ポリエステルと混合することが、生成物の靭性を大きく上昇させ得ること;本発明で使用される上記脂肪族ポリエステル、およびPBTの上記共重合体は、良好な相溶性を有していること;上記PBT材料の強化改善の目的が、相溶化剤をさらに加える必要なしに、従来の混合条件で達成され得ることを、研究の間に予想外に見出している。このように、本発明では、上記混合する工程は、相溶化剤を加えることなく、行われ得る。
【0066】
本発明では、上記相溶化剤は当該分野における従来の選択であり得;例えば、Pe-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-gMAHからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0067】
好ましくは、本発明に係るポリエステル組成物は、680%まで、またはそれ以上の破断点伸びを有し得、大きく改善された靭性を有している。
【0068】
強化複合材料は、従来の成形プロセスによって本発明のポリエステル組成物から調製され得る。本発明に係る強化複合材料は、標準GB/T1040.2-2006に従う方法によって測定されるときに、680%まで、またはそれ以上の破断点伸びを有し得る。
【実施例
【0069】
本発明は、実施例によって、以下に詳細に説明される。ここに説明されている複数の実施例は、本発明を説明し、例示するためにのみ使用されており、本発明を限定することを意図されていないことを理解されたい。
【0070】
以下の実施例および比較例では、重合体の重量平均分子量を、Waters-208(Waters 2410 RI検出器、流速1.5mL/分、30℃)機器による、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン標準によって校正した;
脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルの微細構造を、スイスのBruker社のAVANCE DRX400MHz NMR分光計によって、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、測定した;
ポリエステル組成物の組成を、出発物質の供給によって決定した;
ポリエステル組成物の機械的特性を、標準GB/T1040.2-2006に従う方法によって試験し、5Bのゲージ寸法を選択した;
特に断りがない限り、本発明において用いられる脂肪族-芳香族コポリエステルは、CN100429256Cの実施例B13~B21に開示されている方法に従って自作した。当該方法において、反応のための出発物質の種類は、目的生成物の組成および分子量に応じて相応に調整され得、目的生成物の分子量および目的生成物における各繰り返し単位の含有量はそれぞれ、供給量および供給比を調整することによって制御され得る。
【0071】
〔実施例1〕
20gのコハク酸ポリブチレン(BASF社から入手可能、商品名「名称1111HTA4」、以下同じ)、180gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は、80モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A1を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機の種々の部分の温度を段階的に240℃、250℃、260℃、260℃、265℃、260℃とした)を介して押出造粒した。
【0072】
〔比較例1〕
ポリエステル組成物D1を得るために、実施例1で使用したブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステルではなく、同じ重量のポリブチレンテレフタレート(DuPont社から入手可能、商品名「Crastin SC164 NC010」)を使用したことを除いて、実施例1の方法に従ってポリエステル組成物を調製した。
【0073】
〔比較例2〕
ポリエステル組成物D2を得るために、実施例1で使用したポリブチレンテレフタレートを加えなかったことを除いて、実施例1の方法に従ってポリエステル組成物を調製した。
【0074】
〔比較例3〕
ポリエステル組成物D3を得るために、ブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は25モル%である)を同じ重量で用いたことを除いて、実施例1の方法に従ってポリエステル組成物を調製した。
【0075】
〔実施例2〕
20gのコハク酸ポリブチレン、180gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は、60モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A2を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmで制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出造粒した。
【0076】
〔実施例3〕
20gのコハク酸ポリヘキシレン(重量平均分子量100,000を有しており、CN104039865Bに開示された方法に従って調製した)、180gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は80モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A3を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に240℃、250℃、260℃、260℃、265℃、260℃とした)を介して押出造粒した。
【0077】
〔実施例4〕
20gのコハク酸ポリブチレン、180gのブチレンテレフタレート-ブチレンアジペートのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、ブチレンアジペートの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は60モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A4を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmで制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出造粒した。
【0078】
〔実施例5〕
40gのコハク酸ポリブチレン、160gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は60モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A5を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出造粒した。
【0079】
〔実施例6〕
40gのコハク酸ポリブチレン、160gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は60モル%である)、および10gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A6を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出造粒した。
【0080】
〔実施例7〕
40gのコハク酸ポリブチレン、160gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量100,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は60モル%である)、および2gの低密度ポリエチレン(SINOPEC Yanshan Petrochemical社から入手可能、商品名「LD607」)を、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成物A7を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出造粒した。
【0081】
〔実施例8〕
20gのコハク酸ポリブチレン、180gのブチレンテレフタレート-コハク酸ブチレンのコポリエステル(重量平均分子量500,000であり、コハク酸ブチレンの繰り返し単位およびブチレンテレフタレートの繰り返し単位の合計モル数に基づいて、ブチレンテレフタレートの繰り返し単位の含有量は80モル%である)、および2gの炭酸カルシウムを、撹拌速度10rpmで10分間混合した。ポリエステル組成部A8を調製するために、得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、スクリュートルクを20N・mとし、供給入口から押出出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を段階的に240℃、250℃、260℃、260℃、265℃、260℃とした)を介して押出造粒した。
【0082】
〔実施例9〕
実施例1で使用した炭酸カルシウムを加えなかったことを除いて、実施例1の方法に従ってポリエステル組成物を調製して、ポリエステル組成物A9を得た。
【0083】
〔試験例〕
実施例1~9および比較例1~3で調製したポリエステル組成物をそれぞれ試料にした。当該試料を、機械的特性試験(例えば、引張降伏強さ(MPa)および破断点伸び(%))の対象とした。結果は以下の表1に示されている。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例1~9および比較例1~3で調製した、以上のポリエステル組成物から作製した試料の機械的特性試験の結果の比較から、本発明によって提供されるポリエステル組成物は680%まで、またはそれ以上の破断点伸びを有しており、大きく改善された靭性を有していることが分かる。さらに、ポリエステル組成物の調製の間に相溶化剤をさらに加える必要がない。その上、本発明によって提供されるポリエステル組成物は、その調製の間に加工設備に付加的な変更を必要とせずに、PBT用と同じ設備を用いて加工可能である。したがって、本発明によって提供されるポリエステル組成物は、産業応用の望ましい見通しを有している。
【0086】
本明細書に開示される範囲および任意の値の端点は、厳密な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値は、範囲または値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲について、組み合わせが、種々の範囲の端点と端点との間、種々の範囲の端点と個々の1点値との間、および個々の1点値と個々の1点値との間でなされて、1つ以上の新しい数値範囲を得ることができる。これらの数値範囲は、本明細書に具体的に開示されるものとみなされるべきである。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態が、以上に詳細に説明されているが、本発明は、以上の実施形態の具体的な詳細に限定されない。本発明の技術的概念の範囲内で、種々の単純な変更は、本発明の技術的解決策に対してなされ得る。これらの単純な変形はすべて、本発明の保護範囲内にある。
【0088】
さらに、以上の特定の実施形態に説明されている種々の技術的特徴は、矛盾することなく任意の適切な方法で組み合され得ることに留意されたい。不要な繰り返しを避けるために、本発明は、種々の可能な組み合わせをさらに説明しない。
【0089】
さらに、本発明の異なる種々の実施形態は、ランダムに組み合わせることができる。このような組み合わせが本発明の思想から逸脱しない限り、本発明の開示ともみなされる。