(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A47C 19/00 20060101AFI20230110BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A47C19/00 B
A47C27/00 C
(21)【出願番号】P 2019232397
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟生 康輝
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-337227(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198768(JP,U)
【文献】実開昭60-101963(JP,U)
【文献】実開平06-050552(JP,U)
【文献】特開2001-197964(JP,A)
【文献】実開昭57-027965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/00-19/22,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレーム部、及び前記本体フレーム部よりも長さ寸法が短く形成されていて、前記本体フレーム部の長手方向一端に前記本体フレーム部の下面側に折り畳み可能に連結された折り畳みフレーム部を有するベッドフレームと、
前記折り畳みフレーム部を、前記本体フレーム部に対して水平になるように展開させた状態で前記本体フレーム部に対して回動不能に保持する保持手段と、
前記ベッドフレームの全長よりも短く、前記本体フレーム部の長さよりも長く設定されたマットレス本体部、このマットレス本体部の一端に前記マットレス本体部の下面に接するよう折り畳み可能に連結され前記マットレス本体部に対して水平に展開させたときに前記マットレス本体部との長さの和を前記ベッドフレームの長さとほぼ同じにする増長マットレス部とを有するマットレスと、
前記本体フレーム部の長手方向の他端に設けられ
前記ベッドフレームを立位状態にしたときに、前記ベッドフレームを走行可能に支持する支持手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記本体フレーム部の長さは、
前記折り畳みフレーム部を折り畳んだときに、
前記増長マットレス部を前記マットレス本体部の一端部の下面側に折り畳むことができる長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記本体フレーム部の長手方向の他端に設けられ、前記本体フレーム部を立位状態で支持する固定脚と、前記固定脚に設けられ、前記固定脚には、前記本体フレーム部を立位状態にしたときに前記本体フレーム部を走行可能に支持するキャスタによって構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記固定脚にはヘッドボードが着脱可能に係合保持されることを特徴とする
請求項3に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記折り畳みフレーム部を
前記本体フレーム部に対して水平に展開させた前記ベッドフレームは、前記固定脚と、前記本体フレーム部の下面に折り畳み可能に設けられた第1の脚体と、前記折り畳みフレーム部の下面に折り畳み可能に設けられた第2の脚体とによって支持されることを特徴とする請求項4記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は背の高い利用者であっても利用することができるようにした長尺なベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルでは、泊まり客の増減数に応じて客室内に設置するベッド装置の数を変えるようにすることがある。たとえば1つの客室に宿泊する客数が増加した場合、その部屋に設置するベッド数を増加させ、逆に減少した場合には、不使用となるベッドをその客室から運び出して所定の格納部屋などに格納しておくようにしている。
【0003】
そのため、そのような用途に用いられるベッド装置は、不使用時の片付けを簡単かつ迅速に行うことができる構造であることが望まれる。
【0004】
一方、最近では宿泊客として背の高い外国人が多くなってきている。したがって、そのような外国人が宿泊する際、足部がマットレスの長手方向の末端からはみ出し、寝心地が損なわれるということがないよう、通常のベッド装置よりも長さの長いベッド装置を用意する必要が生じている。
【0005】
しかしながら、ベッド装置の長さを背の高い利用者に合わせて長尺にすると、1つの客室に泊まる客数が減少したとき、ベッド装置の数も減少させなければならなくなる。
【0006】
その場合、前記ベッド装置を、その長手方向一端側に取付けられたキャスタによって立位状態にし、走行させながら搬送して格納部屋に搬入しようとしても、高さ寸法が前記格納部屋の入口の高さよりも高くてその部屋への搬入を容易に行うことができないということがあったり、高さ寸法が高過ぎることで、取り扱い難いなどのことあった。
【0007】
そこで、従来は、上述したように長身の利用者であっても利用できるベッド装置として特許文献1に示されるようにベッド装置を構成するベッドフレームを長身者用に長尺にし、そのベッドフレームを長手方向の中央部分で2つに分割し、これらの分割されたフレームを回動可能に連結する。
【0008】
そして、ベッド装置として使用するときには、分割された2つのベッドフレームを水平に展開した状態で回動不能に保持し、不使用時には前記ベッドフレームを2つ折りにして、室内から格納室に搬送して格納するということが行われている。
【0009】
また、2つ折りにされたベッドフレームを搬送し易いようにするため、ベッドフレームの長手方向の一端には、前記ベッドフレームを2つに折り畳んで起立状態にしたとき、床面に設置するキャスタを設ける。そして、前記キャスタを転動させながら折り畳まれたベッドフレームを搬送するということが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、ベッド装置を構成するベッドフレームを、上述したように長手方向の中央部分で2つに分割し、分割された2つのベッドフレームを回動可能に連結し、不使用時には前記ベッドフレームを2つ折りにする構造の場合、前記ベッドフレームの上面に載置して使用されるマットレスも、ベッドフレームと同様、長手方向の中央部分で2つに分割し折り畳むことができる構造としている。
【0012】
しかしながら、マットレスを長手方向の中央部分で2つに分割すると、前記マットレスの分割箇所に、就寝時にマットレス上に仰臥した利用者の臀部や腰部の辺りが前記マットレスの分割箇所に位置することになるから、その分割箇所によって利用者に違和感を与え、寝心地の低下を招くということがある。
【0013】
一方、前記ベッドフレームと前記マットレスを、ともに2つに分割すると、不使用時には前記ベッドフレームと前記マットレスとがなす高さ寸法が約半分となるから、取り扱い易いという利点がある。
【0014】
しかしながら、前記ベッドフレームと前記マットレスをそれぞれ2つに折り畳んで格納するようにすると、格納時のベッド装置の厚さはマットレスの2倍の厚さと、2つに折り畳まれたベッドフレームの2倍の厚さをプラスした厚さになる。
【0015】
そのため、格納時のベッド装置の厚さ寸法が大きくなるから、格納室の空間を有効に利用することができないということになる。
【0016】
しかも、前記マットレスと前記ベッドフレームをそれぞれ2つに折り畳んで格納すると、これらの高さが半分となるから、前記格納室の高さ方向の空間の利用効率も低下するということになる。
【0017】
この発明は、ベッドフレーム及びマットレスを長身者が利用することができる長さにしても、マットレスを長手方向の中央部分で2つに分割しなくて済むようにするとともに、格納時のベッド装置全体の厚さ寸法を小さくすることで、格納空間を有効に利用できるようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、本体フレーム部、及び前記本体フレーム部よりも長さ寸法が短く形成されていて、前記本体フレーム部の長手方向一端に前記本体フレーム部の下面側に折り畳み可能に連結された折り畳みフレーム部を有するベッドフレームと、
前記折り畳みフレーム部を、前記本体フレーム部に対して水平になるように展開させた状態と、前記本体フレーム部の下面側に折り畳んだ状態とでそれぞれ前記本体フレーム部に対して回動不能に保持する保持手段と、
前記ベッドフレームの全長よりも短く、前記本体フレーム部の長さよりも長く設定されたマットレス本体部、このマットレス本体部の一端に前記マットレス本体部の下面に接するよう折り畳み可能に連結され前記マットレス本体部に対して水平に展開させたときに前記マットレス本体部との長さの和を前記ベッドフレームの長さとほぼ同じにする増長マットレス部とを有するマットレスと、
前記本体フレーム部の長手方向の他端に設けられ前記ベッドフレームを立位状態にしたときに、前記ベッドフレームを走行可能に支持するキャスタと
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【発明の効果】
【0019】
すなわち、ベッドフレームを本体フレーム部と、前記本体フレーム部よりも短い折り畳みフレーム部とに分割してベッドフレームとする一方、マットレスは、前記ベッドフレームの全長よりも短く、前記本体フレーム部よりも長いマットレス本体部、このマットレス本体部の一端に回動可能に連結され前記本体フレーム部とで前記ベッドフレーム部とほぼ同じ長さになる増長マットレス部とによって構成した。
【0020】
そのため、前記マットレスは前記増長マットレス部によって通常よりも長くして長身者が利用し易い長さにでき、しかも前記マットレス本体部の長さは前記マットレスの全長の2分の1よりも長いから、前記増長マットレス部との連結部分は利用者の背面の臀部や腰部の部分の位置から足部側にずれるから、前記マットレス本体部と前記増長マットレス部との連結部分によって寝心地が低下するのを防止できる。
【0021】
また、格納時には、前記増長フレーム部を前記本体フレーム部の下面側に折り畳み、ついで前記増長マットレス部を前記本体マットレス部の下面に接合するよう折り畳み、前記ベッドフレームを立位状態にして前記本体フレーム部の他端に設けられた前記キャスタによって走行搬送させることができる。
【0022】
そのため、格納時の状態は高さ寸法が前記増長マットレス部の長さ分だけ低くなり、厚さ寸法は最大部分で前記マットレス本体部と前記増長マットレス部とが重合した部分の厚さである。
【0023】
その結果、格納時のベッド装置は、高さ寸法が通常のベッド装置とほとんど同じであって、厚さ寸法は最大で前記マットレス本体部と前記増長マットレス部とが重合した厚さであるから、格納空間の垂直方向に大きな無駄を生じることなく格納でき、水平方向は厚さを小さくできた分だけたくさん並べで格納することができる。つまり、格納空間を有効に利用することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の一実施の形態のベッド装置を示す斜視図。
【
図2】前記ベッド装置を格納するために立位状態にした状態の斜視図。
【
図4】
図3のベッド装置を長手方向一端側から見た図。
【
図5】マットレスを除去したベッドフレームの平面図。
【
図6】
図3のベッド装置を長手方向他端側から見た斜視図。
【
図7】
図3のベッド装置の長手方向他端側の側面図。
【
図8】ベッドフレームの本体フレーム部に対して折り畳みフレーム部を水平な状態及び折り畳んだ状態でそれぞれ回動不能に保持する保持機構を示す図。
【
図9】ベッドフレームと、このベッドフレームに折り畳み可能に取付けられた脚体との連結部分を示す図。
【
図10】本体フレーム部の他端に取付けられる固定脚の取付け状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1乃至
図10はこの発明の一実施の形態を示し、
図1はベッド装置Bを倒伏させて使用するときの状態を示す斜視図で、
図2は同じく格納するときに起立させた状態を示す斜視図である。前記ベッド装置Bはベッドフレーム1と、このベッドフレーム1の上面に載置されたマットレス2を有する。
【0027】
図3乃至
図5に示すように、前記ベッドフレーム1は本体フレーム部5と、この本体フレーム部5に比べて長さ寸法が約半分程度の短い長さに設定された折り畳みフレーム部6とに分割されている。
図2、
図5及び
図8に示すように、前記本体フレーム部5の一端の幅方向両端には前記折り畳みフレーム部6の一端の幅方向両端がそれぞれ保持手段7によって回動可能に連結されている。
【0028】
前記保持手段7は、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5に対して回動させるヒンジ機能と、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5に対して水平に展開した状態と、前記本体フレーム部5の下面側に折り曲げた状態とで保持する保持機能とを備えている。
【0029】
すなわち、前記保持手段7は詳細を
図8に示すように、前記本体フレーム部5と前記折り畳みフレーム部6との側辺の端部下面に一側を固着して設けられた一対の連結片8を有する。一対の連結片8は前記ベッドフレーム1の下面側に突出した互いの端部が支軸9によって回動可能に連結されている。
【0030】
一方の前記連結片8にはストッパ孔14が穿設されている。このストッパ孔14にはコ字状に曲成されたストッパハンドル12の一端に突設された突起13が嵌り込むようになっている。
【0031】
前記ストッパハンドル12の他端部は小径部15に形成されている。この小径部15は他方の前記連結片8に穿設された通孔16にスライド可能に挿通されている。前記小径部15の前記通孔16を突出した部分にはカラー17が装着されている。
【0032】
前記小径部15の前記カラー17から突出した部分には前記カラー17よりも小径な圧縮ばね18が装着されている。前記小径部15の先端部には、前記圧縮ばね18を前記小径部15から抜出するのを防止して保持するEリング19が取着されている。
【0033】
図3に示すように、前記ベッドフレーム1の前記折り畳みフレーム部6が前記本体フレーム部5に対して水平な状態にあるとき、
図8に示すように前記ストッパハンドル12の一端に設けられた前記突起13は前記圧縮ばね18の復元力によって前記ストッパ孔14に係合している。それによって、前記折り畳みフレーム部6は前記本体フレーム部5に対して回動不能に保持される。
【0034】
前記ストッパハンドル12を、前記圧縮ばね18を圧縮させながら
図8に矢印Yで示す方向に引くと、前記突起13が前記ストッパ孔14から外れるから、前記折り畳みフレーム部6を
図3に鎖線で示すように前記本体フレーム部5の下面側に回動させる、つまり折り畳むことができる。
【0035】
前記ストッパハンドル12を、前記圧縮ばね18を圧縮させながら矢印Y方向に引いた状態で、前記折り畳みフレーム部6を約180度回転させた後、前記ストッパハンドル12をその一端の突起13が前記折り畳みフレーム部6に設けられた前記連結片8の前記ストッパ孔14に対向する位置まで、前記通孔16に支持された前記小径部15を支点として回転させる。
【0036】
ついで、前記ストッパハンドル12を前記圧縮ばね18の復元力によって矢印Y方向と逆方向に戻し、前記突起13を
図3に実線で示す状態から、鎖線で示すように約180度回転させられた前記折り畳みフレーム部6の前記連結片8のストッパ孔14に嵌合させる。
【0037】
それによって、前記折り畳みフレーム部6は約180度回転させられた状態で、前記突起13によって回転不能に保持されることになる。
【0038】
上述した操作は、片方の手で前記ストッパハンドル12を引いて、他方の手で前記折り畳みフレーム部6を回転させて行う。そのとき、前記折り畳みフレーム部6の回転は、前記折り畳みフレーム部6の端部に設けられた回転用ハンドル20(
図3に示す。)を把持して行うようにする。
【0039】
前記保持手段7は、前記ベッドフレーム1を起立させ、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5の下面側に折り畳んだときにも回動不能に保持できるようにしたが、前記ベッドフレーム1を垂直に起立させたときには、前記本体フレーム部5の下面側に折り畳んだ前記折り畳みフレーム部6は自重によってその状態が保持される。
【0040】
したがって、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5の下面側に折り畳んだときには前記折り畳みフレーム部6は前記保持手段7によって保持しなくともよい。
【0041】
なお、
図5に示すように、前記ベッドフレーム1の前記本体フレーム部5と前記折り畳みフレーム部6の枠内には、それぞれ線材を格子状に編んだネット10が張設されている。
【0042】
図3に示すように、前記本体フレーム部5の下面の長手方向の一端部と他端部とにはそれぞれパイプ材をU字状に曲成した一対の第1の脚体21aの端部が、
図9に示すように前記本体フレーム部5の幅方向両端部の下面に設けられたコ字状のブラケット22にピン23によって枢着されて倒伏可能に設けられている。
【0043】
同様に、前記折り畳みフレーム部6の一端部には第2の脚体21bの端部が前記折り畳みフレーム部6の幅方向両端部の下面に設けられたコ字状のブラケット22に、ピン23によって倒伏可能に枢着されている。
【0044】
前記第1、第2の脚体21a,21bは
図3に示すように所定角で傾斜した起立状態で保持されるとともに、その状態から
図3或いは
図5に鎖線で示すように前記本体フレーム部5の下面及び前記折り畳みフレーム部6の下面にそれぞれ接合する状態に倒伏させることができる。
【0045】
前記ベッドフレーム1の長手方向の他端、つまり前記ベッドフレーム1の前記折り畳みフレーム部6と反対側の端部には固定脚25が設けられている。この固定脚25は
図3、
図4及び
図6に示すようにパイプ材を逆U字状に曲成してなり、その両脚部を前記本体フレーム部5の端面に取付け板25aを介して固定されている。
【0046】
前記固定脚25の両脚部にはそれぞれ一対のキャスタ26が設けられている。詳細は図示しないが、前記キャスタ26にはストッパが設けられ、このストッパを足で踏んで操作することで、前記キャスタ26を走行不能に保持することができるようになっている。
【0047】
なお、前記固定脚25と前記キャスタ26とは、前記ベッドフレーム1を長手方向の他端側、つまり前記固定脚25を下にして立位状態にしたとき、その状態で前記ベッドフレーム1を走行可能に支持する支持手段を構成している。
【0048】
前記支持手段は、前記固定脚25にキャスタ26を設けず、前記固定脚25だけで構成してもよい。その場合、立位状態の前記ベッドフレーム1を搬送するには、たとえば台車などに前記固定脚25を載せて搬送するようにすればよい。
【0049】
図6に示すように前記固定脚25の両脚部間には杆状の係合部材27が架設されている。前記係合部材27にはヘッドボード28の裏面に設けられた、断面クランク状の一対のフック29を係合させることができるようになっている。それによって、前記ヘッドボード28は前記固定脚25に着脱可能に保持される。
【0050】
このように構成された前記ベッドフレーム1の上面には、
図1と
図3に示すように前記マットレス2が載置される。前記マットレス2はマットレス本体部31と、前記マットレス本体部31の長手方向の一端部に厚さ方向の下端を回動可能に連結して設けられた増長マットレス部32とによって構成されている。前記マットレス本体部31と前記増長マットレス部32は同じ厚さに形成されている。
【0051】
前記マットレス本体部31と前記増長マットレス部32とは、厚さ方向の下端が連結されている。それによって、前記増長マットレス部32は、
図3に示すように前記マットレス本体部31と同一平面をなす水平状態から、同図に鎖線で示すように前記マットレス本体部31の下面側に対向する方向に回動させることができるようになっている。
【0052】
前記マットレス本体部31と前記増長マットレス部32の厚さ方向の上端縁にはファスナ33が設けられている。前記増長マットレス部32を前記マットレス本体部31と同一平面をなすよう水平に起こした状態で、前記ファスナ33を閉じることで、前記増長マットレス部32を前記マットレス本体部31に対して回動不能に保持でき、前記ファスナ33を外せば、前記増長マットレス部32を
図3に鎖線で示すように前記マットレス本体部31の他端部下面側に折り曲げることができるようになっている。
【0053】
前記折り畳みフレーム部6を
図3に鎖線で示すように約180度回転させて前記マットレス本体部31の他端部下面側に折り曲げたとき、その部分は前記マットレス2の約2倍の厚さになる。
【0054】
一方、上述したように前記折り畳みフレーム部6を
図3に実線で示す状態から、鎖線で示すように約180度回転させ手折り畳んだとき、その部分の前記ベッドフレーム1の厚さは厚くなるが、折り畳まれた前記折り畳みフレーム部6の部分の厚さ(2枚のマットレスの厚さ)よりも厚さ寸法が小さくなるように設定されている。
【0055】
前記マットレス本体部31は、シングルサイズのベッド装置に用いられる通常のマットレスと同じ長さ寸法と幅寸法を有し、前記増長マットレス部32が連結されることで、前記シングルサイズのベッド装置用のマットレスに比べてその分、長さ寸法が長くなる。
【0056】
つまり、この実施の形態の前記マットレス2は、長身者であっても、足部が前記マットレス2の前記増長マットレス部32からはみ出ることがないよう利用できるようになっている。
【0057】
この実施の形態では、前記マットレス本体部31に対して前記増長マットレス部32の長さ寸法は5~6分の1程度の長さ、つまり前記増長マットレス部32は前記マットレス本体部31に対して長さ寸法が十分に短く設定されている。
【0058】
前記ベッドフレーム1に載置された前記マットレス2は、
図2に示す一対のベルト34によって前記ベッドフレーム1の前記本体フレーム部5に保持できるようになっている。前記ベッドフレーム1を立位状態にして前記ベッド装置Bを走行させて格納室などに格納するとき、前記ベッドフレーム1から前記マットレス2がずれ落ちないよう、前記ベルト34によって前記マットレス2が保持されるようになっている。
【0059】
なお、前記ベルト34は2本に分割され、それぞれの部分の一端は前記ベッドフレーム1の下面に連結され、互いの他端が連結具で連結できるようになっている。それによって、就寝するために前記ベッド装置Bを使用する際には、前記連結具を外し、分割されたベルト34を前記ベッドフレーム1の下面側に導いて前記連結具を連結した状態で保持される。
【0060】
なお、前記マットレス2の幅寸法は、前記ベッドフレーム1の幅寸法よりもわずかに大きく設定されている。そうすることで、2つのベッド装置Bを並設してキングサイズとして利用する場合、隣り合うベッド装置Bの前記マットレス2の幅方向の側面を弾性変形させて圧接させることができる。それによって、2つのマットレス2の側面間に隙間ができ難くなるから、キングサイズのベッド装置としての性能を向上させることができる。
【0061】
このように構成されたベッド装置Bは、通常、
図1に示すように前記ベッドフレーム1を水平に倒伏させて就寝用などとして使用される。使用時、上面に前記マットレス2が載置された前記ベッドフレーム1は、前記本体フレーム部5の長手方向一端部が前記固定脚25によって支持され、中途部及び他端部がそれぞれ前記第1の脚体21aによって支持される。さらに、前記本体フレーム部5に連結された前記折り畳みフレーム部6が前記第2の脚体21bによって支持される。
【0062】
このような状態で使用される前記ベッド装置Bを寝室から搬出して図示しない格納室に搬送して格納する場合、以下の手順で
図2に示すように搬送可能な格納状態に変換される。
【0063】
つぎに、ベッド装置Bを
図2に示す格納状態に変換する手順を説明する。
【0064】
第1の手順として、前記増長マットレス部32を前記マットレス本体部31に水平に保持した前記ファスナ33を外した後、第2の手順として、前記マットレス本体部31から外されて前記ベッドフレーム1の下面で保持されている前記ベルト34によって前記マットレス本体部31を前記ベッドフレーム1の前記本体フレーム部5に保持する。
【0065】
第3の手順として、前記固定脚25に係合保持された前記ヘッドボード28を取り外し、前記マットレス2を前記固定脚25側に押し付ける。
【0066】
第4の手順として、前記折り畳みフレーム部6に設けられた前記回転用ハンドル20を持ち、前記ベッドフレーム1を
図1に示す水平状態から、
図2に示す垂直状態に立ち上げる。それによって、前記固定脚25に設けられた前記キャスタ26が床面に接地することになる。
【0067】
なお、前記ベッドフレーム1を立ち上げる途中で、作業者は手を前記回転用ハンドル20から前記折り畳みフレーム部6側或いは前記本体フレーム部5側に持ち換えながら行うと、作業がし易くなる。
【0068】
第5の手順として、起立状態にある第1乃至第2の脚体21a,21bを前記ベッドフレーム1側に倒伏させる。つまり、
図3に実線で示す状態から鎖線で示すように倒伏させる。
【0069】
第6の手順として、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5に回動不能に保持した前記保持手段7による保持状態を解除するため、左右一対の前記ストッパハンドル12を前記圧縮ばね18の復元力に抗して引き、前記ストッパハンドル12の前記突起13を前記連結片8の前記ストッパ孔14から外す。
【0070】
第7の手順として前記折り畳みフレーム部6を先端に設けられた前記回転用ハンドル20を持って
図2に示すように前記本体フレーム部5の下面側に折り畳む。
【0071】
第8の手順として前記ストッパハンドル12の前記突起13を折り畳まれた前記折り畳みフレーム部6の前記ストッパ孔14に位置合わせした後、前記ストッパハンドル12を前記圧縮ばね18の復元力で戻すことで、前記ストッパ孔14に前記突起13を嵌合させ、折り曲げられた前記折り畳みフレーム部6を回動不能に保持する。
【0072】
第9の手順として、上述した第3の手順で前記固定脚25から取り外した前記ヘッドボード28のフック29を前記第2の脚体21bに引っ掛け、前記ヘッドボード28を保持する。
【0073】
第10の手順として床面に接地した前記キャスタ26のロック状態を解除し、格納状態に変換された前記ベッド装置Bを、走行させて格納室に搬入して格納する。
【0074】
上述した構成の前記ベッド装置Bによれば、前記マットレス2が通常のベッド装置に用いられる長さを有する前記マットレス本体部31と、このマットレス本体部31の長手方向の一端に折り畳み可能に連結された増長マットレス部32とによって構成されている。
【0075】
そのため、前記増長マットレス部32を前記マットレス本体部31と水平にして保持すると、これらがなす前記マットレス2の全長は、通常のベッドに用いられるマットレスよりも長くなる。
【0076】
一方、前記マットレス2が載置される前記ベッドフレーム1は、前記本体レーム部5と、この本体フレーム部5に対して折り畳み可能に連結された前記折り畳みフレーム部6とによって構成されている。
【0077】
そのため、前記マットレス2は、前記マットレス本体部31に対して前記増長マットレス部32を水平に展開した状態で、前記ベッドフレーム1によって確実に支持されるから、利用者が長身であっても、前記マットレス2によって全長を確実に支持することができる。
【0078】
前記増長マットレス部32は前記マットレス本体部31に対して長さ寸法が十分に短く設定されている。そのため、前記マットレス本体部31と前記増長マットレス部32との接続部分は前記マットレス2の一長手方向の一端部側(第2の脚体21b側)に大きく片寄った位置にある。
【0079】
したがって、利用者が前記マットレス2上に仰臥したとき、前記マットレス本体部31と前記増長マットレス部32との連結部分が、利用者の臀部や腰部の辺りに位置することなく、足部側に大きくずれた位置になるから、前記連結部分によって利用者に不快感を与えるのを防止することができる。つまり、良好な寝心地を得ることができる。
【0080】
前記ベッド装置Bは、
図1に示す使用状態から
図2に示す格納状態にして格納室などの格納空間に格納される。
【0081】
前記ベッド装置Bを
図2に示す格納状態にした場合、前記折り畳みフレーム部6を前記本体フレーム部5に対向するよう折り畳み、前記保持手段7のストッパハンドル12によって回動不能に保持される。
【0082】
このように、前記折り畳みフレーム部6を折り畳むことで、前記折り畳みフレーム部6は前記マットレス本体部31の長手方向の一端部の下面から退避するから、前記折り畳みフレーム部6の一端部の下面を露出させることができる。
【0083】
ついで、前記マットレス本体部31の一端に前記ファスナ33によって回動不能に保持された前記増長マットレス部32の保持状態を、前記ファスナ33を外すことで解除したならば、前記増長マットレス部32を
図2に示すように前記マットレス本体部31の一端部下面に接合するよう折り曲げる。
【0084】
それによって、格納状態に変換された前記ベッド装置Bは、前記増長マットレス部32の長さ分だけ、高さ(長さ)寸法を小さくすることができるから、格納室へ格納する際、その格納室の高さ方向のスペースを有効に利用することができる。
【0085】
しかも、前記増長マットレス部32を有することで、使用時には長尺なベッド装置Bとして利用することができるが、格納時には前記増長マットレス部32を折り曲げて通常の長さ(高さ)を有するベッド装置Bとして取扱うことができるから、格納作業がし易いということもある。
【0086】
上述したごとく、格納状態に変換された前記ベッド装置Bの最大厚さ寸法は、前記増長マットレス部32が前記マットレス本体部31に折り重ねられた部分の、マットレス2枚分の厚さであって、
図3からも分かるように前記折り畳むフレーム6が折り畳まれた部分の厚さや、前記ヘッドボード28が保持された部分の厚さはマットレス2枚分の厚さに比べて小さくなっている。
【0087】
そのため、この実施の形態のベッド装置Bは、格納時にマットレス2とベッドフレーム1とを共に重なり合うように半分に折り畳むようにした従来のベッド装置に比べ、厚さ寸法を小さくすることができるから、その分、格納室に格納したときの水平方向のスペースを有効に、効率よく利用することができる。
【0088】
すなわち、この発明の実施の形態のベッド装置Bによれば、長身の利用者であっても快適に利用できるよう長さ寸法を長尺にしても、格納時にはその分、短くし、通常のベッド装置と同じ長さで取り扱いながら格納できるから、格納空間の垂直方向のスペースを有効に利用することができるばかりか、格納作業がし易いということがある。
【0089】
格納時に前記マットレス2の前記マットレス本体部31を折り畳むことなく格納するようにしているから、前記マットレス本体部31には従来のようにこのマットレス本体部31を折り畳み可能とする連結部分を形成する必要がない。
【0090】
そのため、従来のベッド装置のように、マットレスの連結部分が利用者の腰部や臀部の辺りに位置して利用者に不快感を与えるということがないから、寝心地の向上を図ることができることになる。
【0091】
また、格納時、ベッド装置Bを長身者が利用できる長さ寸法にし、格納時に前記マットレス2と前記ベッドフレーム1の一部を折り畳むようにしても、格納時の厚さ寸法は前記マットレス2の厚さの約2倍にすることできる。
【0092】
つまり、格納時には高さ寸法を大幅に低くせず、厚さ寸法を最大で前記マットレス2の約2倍に押させることができるから、格納空間の高さ方向と水平方向を有効に利用できることになる。
【0093】
この発明は上述した一実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。たとえばマットレスの厚さ寸法、マットレスのマットレス本体部と増長マットレスの長さ寸法の割合は変更可能であり、マットレスの長さ寸法の変更に応じてベッドフレームの長さ寸法も変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…ベッドフレーム、2…マットレス、5…本体フレーム部、6…折り畳みフレーム部、7…保持手段、12…ストッパハンドル、18…圧縮ばね、20…回転用ハンドル、21a,21b…第1、第2の脚体、25…固定脚、26…キャスタ、28…ヘッドボード、31…マットレス本体部、32…増長マットレス部。