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特許7206184発泡剤としての機能化粒状重炭酸塩、それを含有する発泡性ポリマー組成物、および熱可塑性発泡ポリマーの製造におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】発泡剤としての機能化粒状重炭酸塩、それを含有する発泡性ポリマー組成物、および熱可塑性発泡ポリマーの製造におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/08 20060101AFI20230110BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230110BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20230110BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230110BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20230110BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20230110BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C08J9/08 CER
C08J9/08 CEZ
C09K3/00 111A
C09K3/00 111B
C08L27/06
C08L75/04
C08L23/00
C08L77/00
C08L71/02
C08L33/06
C08L29/04 A
C08K5/17
C08K3/26
C08L91/00
C08K5/103
C08L93/04
C08K5/09
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019502666
(86)(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2017068399
(87)【国際公開番号】W WO2018015506
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】62/364,843
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カヴァリエール, カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カッバベ マラヴェ, ホルヘ アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル, ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デュトワシアン, ティボー ルイ アルフレッド
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-048557(JP,A)
【文献】特開昭64-062334(JP,A)
【文献】特表平04-506677(JP,A)
【文献】特開2002-234962(JP,A)
【文献】特開2007-217662(JP,A)
【文献】特表平04-500833(JP,A)
【文献】特開2004-099701(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103694611(CN,A)
【文献】特開2015-021066(JP,A)
【文献】特開2001-270956(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102471514(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105558744(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/08
C09K 3/00
C08L 27/06
C08L 75/04
C08L 23/00
C08L 77/00
C08L 71/02
C08L 33/06
C08L 29/04
C08K 5/17
C08K 3/26
C08L 91/00
C08K 5/103
C08L 93/04
C08K 5/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマー前駆体を発泡させるための化学発泡剤であって、
前記化学発泡剤が、機能化粒状重炭酸塩を含み、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩が重炭酸塩成分及び少なくとも1つの添加物を含有し、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、少なくとも1つの以下の化合物:
- ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、マルトデキストリン、アラビアゴムおよびそれらの組み合わせから選択される多糖類およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩
エポキシ化大豆油
1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- ラウリン酸および/またはリノール酸;
- 蜜ろう、カルナバ・ワックスおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
であり、
前記機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも65重量%、100重量%未満の前記重炭酸塩成分と、0.02重量%~35重量%以下の少なくとも1つの前記添加物とを含
前記機能化粒状重炭酸塩が重炭酸ナトリウムを含む、
化学発泡剤。
【請求項2】
前記化学発泡剤が、発熱性発泡剤であるいかなるさらなる発泡剤をも含有しない、請求項1に記載の化学発泡剤。
【請求項3】
前記化学発泡剤が、加熱中に窒素ガスを遊離させる化合物を含有しない、請求項1または2に記載の化学発泡剤。
【請求項4】
前記化学発泡剤が、加熱中にアンモニアガスを遊離させる化合物を含有しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項5】
前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、アミノ酸、その誘導体、またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項6】
前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、ガゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項5に記載の化学発泡剤。
【請求項7】
前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、少なくとも1つの樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項8】
前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、ロジン酸である、請求項7に記載の化学発泡剤。
【請求項9】
前記機能化粒状重炭酸塩の粒子が、1μm超および最大でも250μmのD50の粒度分布を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項10】
前記機能化粒状重炭酸塩の前記粒子が、最大でも1μmのD50の粒度分布を有する、請求項に記載の化学発泡剤。
【請求項11】
前記機能化粒状重炭酸塩が、以下の方法の少なくとも1つによって:
- 前記添加物が重炭酸塩含有溶液に溶かされている、噴霧乾燥(噴霧化としても知られる)によって、
- エマルジョンもしくは粉体形態での前記添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリングもしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
- 流動床内での噴霧集塊によって、
- スプレーチリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- ローラー圧縮によって、および/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
得られる、請求項1~10のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項12】
前記機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも1つの前記方法によって得られ、その平均粒径を低減するためにミリングにさらにかけられる、請求項11に記載の化学発泡剤。
【請求項13】
加熱時にCOを遊離させる第2化合物であって、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩からなる群から選択される第2化合物をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化学発泡剤。
【請求項14】
前記第2化合物が、機能化粒状重炭酸塩中のものと異なるもしくは同じものである少なくとも1つの添加物で機能化されている、請求項13に記載の化学発泡剤。
【請求項15】
前記第2化合物が、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル;またはそれらの組み合わせ
の少なくとも1つである、請求項13または14に記載の化学発泡剤。
【請求項16】
ポリマーと、任意選択的に発泡安定剤と、請求項1~15のいずれか一項に記載の化学発泡剤とを含む、発泡性ポリマー組成物。
【請求項17】
前記ポリマーが、PVC、ポリウレタン、ポリオレフィン、またはポリアミドである、請求項16に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項18】
PVC樹脂と、任意選択的に発泡安定剤と、熱可塑性ポリマー前駆体を発泡させるための化学発泡剤とを含む、発泡性PVCプラスチゾル組成物であって、
前記化学発泡剤が機能化粒状重炭酸塩を含み、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩が重炭酸塩成分及び少なくとも1つの添加物を含有し、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、少なくとも1つの以下の化合物:
ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、マルトデキストリン、アラビアゴムおよびそれらの組み合わせから選択される多糖類およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩
1つ以上の油
1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ、
であ
前記機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも65重量%、100重量%未満の前記重炭酸塩成分と、0.02重量%~35重量%以下の少なくとも1つの前記添加物とを含み、
前記機能化粒状重炭酸塩が重炭酸ナトリウムを含む、
発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【請求項19】
アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、および/またはp-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない、請求項18に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【請求項20】
前記機能化粒状重炭酸塩を含む請求項16または17に記載の発泡性ポリマー組成物を、COガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、130秒未満であるゲル化時間中に前記ポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度で前記ポリマーを溶融させる工程を含む、ポリマーの製造方法。
【請求項21】
前記機能化粒状重炭酸塩と前記PVC樹脂とを含む請求項18または19に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物を、発泡PVCポリマーを提供するために、COガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、190~210℃の温度で90秒~120秒のゲル化時間中に前記PVC樹脂を溶融させる工程を含む、PVCポリマーの製造方法。
【請求項22】
前記発泡性PVCプラスチゾル組成物が、加熱および溶融前に表面上に散布コートされ、前記発泡PVCポリマーが、少なくとも270の膨張比を有するおよび/または0.6g/cm未満の密度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記機能化粒状重炭酸塩を含む請求項18または19に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物を、COガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、ゲル化時間中に前記PVC樹脂を溶融させる工程であって、機能化微粒子を含む前記化学発泡剤での前記ゲル化時間が、Nを遊離させる化学発泡剤で得られるであろうゲル化時間よりも短く、前記発泡性PVCプラスチゾル組成物中の全ての他の成分が同じものである工程を含む、ポリマーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月20日出願の、米国仮特許出願第62/364843号に対する優先権を主張するものであり、その全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦支援研究または開発に関する声明
適用されない。
【0003】
本発明は、添加物を含有する機能化粒状重炭酸塩に関する。本発明はまた、PVCプラスチゾルなどの、それを含有する発泡性組成物に、および熱可塑性発泡ポリマー、特に発泡PVCを製造するためのその使用/方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ポリマーフォームは、我々の現代世界において実質的に至る所で見いだされ、ファストフードの使い捨て可能なパッケージング、家具のクッション材および絶縁材などの多種多様な用途に使用されている。
【0005】
ポリマーフォームは、フォームを形成するために一緒に混合された固相と気相とから構成される。2つの相をしっかりと組み合わせることによって、発泡と、クローズドセルまたはオープンセル構造のいずれかとして知られる、気泡またはガストンネルのいずれかがその中に組み込まれたポリマーマトリックスの形成とをもたらす。クローズドセル気泡は一般により柔軟性に欠け、一方、オープンセル気泡は通常柔軟性がある。
【0006】
フォームに使用されるガスは、発泡剤と称され、化学的かまたは物理的かのどちらかであり得る。化学発泡剤は、プロセスにおいて反応に関与するかまたは分解して、ガスを発する化学物質である。物理発泡剤は、発泡プロセスにおいて化学的に反応せず、それ故マトリックスを形成するポリマーに不活性であるガスである。
【0007】
ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリオレフィン(PO、PE、PP)、スチレン系(PS、ABS、ASA、SAN)ならびに天然ゴムおよび合成ゴム、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)またはクロロプレンゴム(CR)などの、熱可塑性材料の加工のためには、化学発泡剤が数十年間使用されている。化学発泡剤は、発泡熱可塑性ポリマーの製造における添加物である。化学発泡剤は、室温で安定であるが、ポリマーの加工中の高温ではガスを発生させながら分解する。このガスは、熱可塑性ポリマーにフォーム構造を生み出す。化学発泡剤は、発泡壁紙、人造皮革、床敷物および壁紙、カーペット裏地、断熱材、絶縁シーラント、履物、自動車構成部品、ケーブル絶縁、および包装材料などの製造を含む多種多様な用途に使用されている。
【0008】
確立された発泡剤は、アゾジカルボン酸ジアミド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)およびp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤、ならびに重炭酸ナトリウム(SBC、NaHCO、CAS No.144-55-8)のような、炭酸塩、およびクエン酸およびそのエステルなどの吸熱性発泡剤である。
【0009】
長年来、アゾジカルボンアミド(ADC)が、セル状熱可塑性樹脂およびゴム用途に使用するための最も有効な、かつ、幅広く使用される化学発泡剤の1つである(例えばDE-AS第1 037 700号明細書を参照されたい)。アゾジカルボンアミドは、加熱時に分解して、窒素および一酸化炭素から主としてなる、大量のガスを与える。これらの分解生成物は、収縮の少ない、可塑化PVC(P-PVC)またはゴムフォームなどのソフトフォームの生成において基本的である特性を持った細かい、一様なセル構造のフォームを生み出すのに好適である。アゾジカルボンアミドの分解温度は、好適な活性剤(分解促進剤)の添加によって200~220℃から125℃ほどに低いまで下げることができるが、有用な分解速度は通常、140℃以上で達成されるにすぎない。活性剤または分解促進剤は、発泡剤の分解温度およびガス放出の速度に影響を及ぼすために使用される、当技術分野で公知の添加剤である。
【0010】
アゾジカルボンアミドは、熱可塑性材料の加工挙動を改善するために、および最終製品を最適化するために他の化学発泡剤と組み合わせられてもよい。例えば、発泡異形材またはシートなどのセル状硬質PVC(U-PVC;可塑剤を添加することによるポリマーの軟質化なしの)用途において、ADCは、許容できる技術的性能のフォーム構造を生成するために重炭酸ナトリウムと組み合わせて使用されてもよい(英国特許第2314841号明細書)。フォーム構造に関するメルトレオロジー、加工および要求の差のために、この技術は、可塑化された、軟質PVCおよびPVCプラスチゾル加工に移転することができない。
【0011】
しかしながら、プラスチックにおける発泡剤としてのアゾジカルボンアミドは、食品と直接接触することを意図されるプラスチック物品の製造については2005年8月以降欧州連合において禁止されている(発泡剤としてのアゾジカルボンアミドの使用の一時停止」に関する指令(Directive)2002/72/ECを改正する2004年1月6日の委員会指令(COMMISSION DIRECTIVE)2004/1/EC,欧州連合の官報(Official Journal of the European Union).2004-01-13)。
【0012】
さらに、2012年12月に、欧州化学物質庁(European Chemicals Agency)(ECHA)は、アゾジカルボンアミドが、ADCの将来使用を限定するまたは制限するであろう、リーチ規制(Reach Regulation)の条項57および59の下で、同庁の高懸念物質の候補リスト(Candidates List of Substances of Very High Concern)(SVHC)に含められるべきであると公表した。それ故、とりわけ発泡PVCでの用途向けの、同じ有益な性能を有するADCの代用品が必要とされている。
【0013】
可能な代わりの解決策は、スルホニルヒドラジドおよび炭酸塩のクラスによって提供されるが、これらの物質は、とりわけ、可塑化された、軟質PVCでの用途向けに使用される場合、発泡剤として使用される場合にいくつかの不利点を示す。
【0014】
p-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)は、硬質および可塑化PVCの加工にとって余りにも低いと考えられる、約105℃の温度で分解し始める。4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)もまた、分解時に窒素を放出するが、ガス発生特性は、アゾジカルボンアミドのそれとは異なる。OBSHの分解点よりも上の温度で、窒素放出は速いが、アゾジカルボンアミドと比べて異なる温度で起こる。約155℃の完全製品分解温度よりも下では、分解、したがってガス放出は遅い。その上、OBSHは、分解生成物および製造される発泡最終物品が、180℃よりも高い、典型的なP-PVC加工温度で意図されない褐色変色を有するという不利点を有する。
【0015】
重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩は、分解時に窒素を遊離させないが、二酸化炭素および場合により水を遊離させる。二酸化炭素についてポリマーへのその高い溶解性は典型的であるが、それは、窒素よりも速く、ポリマーマトリックスから浸みだし、とりわけ可塑化PVC用途において、それを発泡剤としてあまり有効でないものにする。炭酸塩は一般に、収縮の少ない、細かい、一様なセル構造の軟質フォームの製造には有用ではない。重炭酸ナトリウム、化学発泡剤として使用される炭酸塩の最も一般的な代表物は、ADCおよびOBSHの両方と比較してより幅広い温度範囲にわたって起こる、遅い分解およびガスの放出を有する。重炭酸ナトリウムの分解温度は、クエン酸によって影響され得る。
【0016】
重炭酸ナトリウム粒子および重炭酸カリウム粒子などの、アルカリ金属重炭酸塩粒子は、当技術分野で公知である。これらの製品は、それらを興味深いものにする数多くの特性を有しており、製薬工業、飼料および食品工業などの、幾つかの技術分野において、洗剤において、ならびに非鉄金属の処理において広く使用されている。
【0017】
重炭酸塩粒子を製造するための最も一般的な方法は、対応するアルカリ金属(例えば炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム)の溶液、または対応するアルカリ金属の水酸化物の溶液の二酸化炭素での炭化による結晶化である。重炭酸塩溶液の制御された冷却によって、またはそのような溶液の溶媒を蒸発させることによって、重炭酸塩を結晶化させることもまた一般的である。
【0018】
アルカリ金属重炭酸塩粒子の工業的な使用のためには、粒子の特定の特性、例えば、それらのかさ密度(注入かさ密度)または安息角の制御が必要とされる。かさ密度などの、これらのパラメータを制御するためのいくつかの方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,411,750号明細書は、70~500kg/mのかさ密度を持った重炭酸ナトリウム粉末の製造方法を開示している。粒子は、添加物としてのアルカリ金属塩入りの重炭酸塩の希薄水溶液を噴霧乾燥することによって調製される。国際公開第2014/096457号パンフレットは、1~10重量%の重炭酸ナトリウムと、マグネシウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよび大豆レシチンからなる群から選択される添加物とを含む水溶液の噴霧乾燥による、重炭酸ナトリウム粒子の製造方法を開示している。
【0019】
上述の非アゾジカルボンアミド発泡剤は、良好な発泡剤の予期される要件プロフィールを満たすことができず、この点において改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
本発明の態様は、ポリマー製造における、特に、発泡PVC、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィンなどの発泡熱可塑性材料の調製用の非アゾジカルボンアミド発泡剤として有利に使用することができる、機能化粒状重炭酸塩を提供する。
【0021】
本発明の一態様は、機能化粒状重炭酸塩および、押出プロセスにおいて、
- 熱可塑性ポリマー、または
- ポリマー樹脂
を発泡させるための化学発泡剤としてのその使用に関する。
【0022】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、非限定的な例として、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0023】
機能化粒状重炭酸塩は、前記添加物の存在下での噴霧乾燥重炭酸塩粒子、または前記添加物の存在下での共ミリングされた、もしくは流動床において添加物でコートされた、もしくは流動床において添加物と一緒に造粒された、もしくは押出装置において添加物でコートされた重炭酸塩粒子であってもよい。
【0024】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、機能化粒状重炭酸塩が噴霧乾燥させられる場合、より好ましくはロイシンである。
【0025】
機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも50重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、50重量%~0.02重量%の前記添加物の少なくとも1つとを含んでもよい。機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも65重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、35重量%~0.02重量%の前記添加物の少なくとも1つとを含んでもよい。機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも75重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、25重量%~0.02重量%の前記添加物の少なくとも1つとを含んでもよい。機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも90重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、10重量%~0.02重量%の前記添加物の少なくとも1つとを含んでもよい。
【0026】
本発明の別の態様は、押出プロセスにおいて熱可塑性ポリマー、例えばPVCプラスチゾルまたはポリマー樹脂を発泡させるための化学発泡剤であって、前記化学発泡剤が、機能化粒状重炭酸塩を含み、ここで、前記機能化粒状重炭酸塩が少なくとも1つの添加物を含む化学発泡剤に関する。
【0027】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は吸熱性である。
【0028】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、発熱性である発泡剤を含有しない。
【0029】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、発泡ポリマーがそのような化学発泡剤を使用して製造される場合に加熱中に窒素ガスおよび/またはアンモニアを遊離させるであろう発泡剤を含有しない。
【0030】
最も好ましい実施形態において、化学発泡剤は、機能化粒状重炭酸ナトリウムを含むか、またはそれからなる。
【0031】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱時にCO2を遊離させる第2化合物であって、前記第2化合物が、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩からなる群から選択される第2化合物をさらに含む。第2化合物は、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル;または
- それらの組み合わせ
の少なくとも1つを含んでもよいし、または少なくとも1つであってもよい。
【0032】
第2化合物は、機能化粒状重炭酸塩に使用されるものと異なるまたは同じものである少なくとも1つの添加物で機能化されてもよい。
【0033】
本発明の別の態様は、発泡剤としての機能化粒状重炭酸塩を含む発泡性ポリマー組成物であって、前記機能化粒状重炭酸塩が少なくとも1つの添加物を含有する、組成物に関する。
【0034】
いくつかの実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、第1吸熱性発泡剤としての機能化粒状重炭酸塩と、第2吸熱性発泡剤としての、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、それのエステル、もしくはその塩とを含む。カルボン酸もしくはポリカルボン酸、それのエステル、もしくはその塩もまた、機能化されてもよい。機能化粒状重炭酸塩および機能化カルボン酸もしくはポリカルボン酸、それのエステル、もしくはその塩は、一緒にまたは別々に機能化されてもよい。
【0035】
特定の実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、発泡ポリマーがそのような発泡性組成物から製造される場合に、加熱中に窒素ガスおよび/またはアンモニアを遊離させるであろう発泡剤を含有しない。
【0036】
いくつかの実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、発熱性発泡剤を含有しない。
【0037】
非機能化重炭酸ナトリウムの粒子が発泡剤として使用される場合にポリマー樹脂の発泡(プラスチゾルまたは押出プロセス)中に、重炭酸塩の迅速な分解のために、期待されるよりも早期にガス放出が起こることが観察された。コーティングによって、造粒によって、および/または特有の添加物での封入によって重炭酸塩粒子を機能化すると、様々な重炭酸塩粒径、小さい(あるものはナノサイズであってもよい)および大きい(あるものはミクロンサイズであってもよい)を有する場合に、熱分解を遅らせる、不活性バリアでの重炭酸塩粒子の保護を高めることが見いだされた。
【0038】
本発明のこの態様による機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、少なくとも1つの添加物で機能化されている粒状重炭酸ナトリウムである。この機能化粒状重炭酸ナトリウムは、同等サイズの非機能化粒状重炭酸ナトリウムと比べると膨張の改善された特性を示す。「非機能化粒状重炭酸ナトリウム」は、機能化粒状重炭酸ナトリウムの製造に使用される添加物なしで製造される粒状重炭酸ナトリウムと定義される。発泡性ポリマー組成物中の機能化粒状重炭酸ナトリウムは、ポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でのゲル化の時間を短くし得る。例えば、PVCプラスチゾルについて、このポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でのゲル化時間は、90秒未満、好ましくは80秒以下、または70秒以下、またはより好ましくは60秒以下であり得る。
【0039】
ポリマーの製造方法は、機能化粒状重炭酸塩を含む発泡性ポリマー組成物を、CO2を遊離させるのに好適な温度で加熱し、130秒未満であるゲル化時間中にこのポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でポリマーを溶融させる工程を含んでもよい。
【0040】
PVCポリマーの製造方法のいくつかの実施形態について、発泡性ポリマー組成物が加熱される場合に、機能化粒状重炭酸ナトリウムからCO2ガスを遊離させるのに、およびPVCポリマーを溶融させるのに好適な温度は、発泡PVCポリマーを提供するために90秒~120秒のゲル化時間中、190~210℃。好ましくは200~210℃であってもよい。
【0041】
発泡性ポリマー組成物が、加熱およびポリマー溶融前に表面上に散布コートされる場合、発泡ポリマーは、少なくとも270、好ましくは少なくとも280、より好ましくは少なくとも300の膨張比を有してもよい、および/または少なくとも0.6g/cm未満、好ましくは0.55g/cm未満、より好ましくは最大でも0.5g/cmの密度を有する。膨張比は、その層がオーブン中でのゲル化中に加熱される時の発泡性ポリマー組成物の散布コートされた層の初期厚さで割った、最終厚さの比に基づいて計算される。
【0042】
機能化重炭酸ナトリウム粒子は、重炭酸ナトリウムを含有する溶液から、または固体の重炭酸ナトリウム粒子から直接に少なくとも1つの添加物の存在下で製造される。機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、非限定的な例として、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの2つ以上の任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、添加物は、ポリビニルアルコール、ポリグリコール、多糖、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸コ-マレイン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、N-2(-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、添加物は、加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびその塩、アラビアゴム、カラギーナン;グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンゴムならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される多糖を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、添加物は、カゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸、その誘導体、またはその塩を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、添加物は、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)、NaCl、KCl、MgCl2、リン酸ナトリウム、ホウ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態において、添加物は、
- アミノ酸、その誘導体、もしくはその塩、
- 多糖(加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロースなど)、
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩、
- 樹脂酸、その誘導体、もしくはその塩;
- 脂肪酸、その誘導体、もしくはそれ塩;または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、添加物は、
- ポリマー(ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、ポリビニルアルコールおよび、変性デンプン、特に加水分解デンプン、マルトデキストリンおよびアラビアゴムを含む、多糖類などの)、
- アミノ酸、その誘導体もしくはその塩(ロイシンなど)、
- 油(エポキシ化大豆油など)、
- 樹脂酸、その誘導体、もしくはその塩(ロジン酸など)、
- 脂肪酸、その誘導体、もしくはその塩(ステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸およびグリセロールモノステアレートなどの)、
- ワックス(蜜ろうおよびカルナバ・ワックスなどの)、または、
- それらの2つ以上の任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、添加物は、
- アミノ酸、その誘導体、もしくはその塩、
- 多糖(加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロースなどの)、
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩、
- 樹脂酸、その誘導体、もしくはその塩、
- 脂肪酸、その誘導体、もしくはその塩、または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0050】
より好ましい実施形態において、添加物は、
- ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンもしくはその誘導体、
- ポリ(メタ)アクリレートもしくはその誘導体、
- ポリビニルアルコール、
- デンプン、マルトデキストリンもしくはアラビアゴム、
- ロイシン、
- エポキシ化大豆油、
- ロジン酸もしくはその誘導体、
- ステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、もしくはグリセロールモノステアレート、
- 蜜ろうもしくはカルナバ・ワックス、または、
- それらの2つ以上の任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0051】
これらのリストからの1つ以上の要素が除外されてもよいことは理解されるべきである。
【0052】
機能化粒状重炭酸塩は、以下の方法の少なくとも1つによって:
- 添加物が重炭酸塩含有溶液に溶かされている、噴霧乾燥(噴霧化としても知られる)によって、
- エマルジョンもしくは粉体形態での添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリングもしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
- 流動床内での噴霧集塊によって、
- スプレーチリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- ローラー圧縮によって、
ならびに/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
得ることができる。
【0053】
このリストからの1つ以上の方法が除外されてもよいことは理解されるべきでる。
【0054】
好ましい実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、以下の方法の少なくとも1つによって:
- エマルジョンもしくは粉体形態での添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリングもしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
および/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
得ることができる。
【0055】
少なくとも1つの前記方法によって得られる機能化粒状重炭酸塩は、その平均粒径を低減するためにミリングにさらにかけられてもよい。
【0056】
機能化粒状重炭酸塩は、優れたCO放出特性を示す。TGA分析によって測定されるように、機能化粒状重炭酸塩の最大損失温度は好ましくは、添加物なしの非機能化重炭酸塩よりも高い。機能化粒状重炭酸塩のCO放出は典型的には、少なくとも130℃の温度で、好ましくは少なくとも135℃の温度で、より好ましくは少なくとも140℃の温度で、さらにより好ましくは少なくとも145℃の温度で、特に好ましくは少なくとも155℃の温度でその最大値を有する。
【0057】
DSC熱分析によって測定されるように、機能化粒状重炭酸塩の最大ピーク温度は好ましくは、添加物なしの非機能化重炭酸塩よりも高い。機能化粒状重炭酸塩のDSC最大ピーク温度は、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも145℃、より好ましくは少なくとも150℃、さらにより好ましくは少なくとも155℃の温度で、および特に好ましくは160℃であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0058】
定義
1つの要素または組成物が、列挙された要素もしくは構成要素のリストに含まれる、および/またはリストから選択されると記されている、本説明では、本明細書で明示的に企図される関連実施形態において、その要素もしくは構成要素はまた、個別の列挙された要素もしくは構成要素の任意の1つであり得るか、または明示的にリストアップされた要素もしくは構成要素の任意の2つ以上からなる群からまた選択され得ることが理解されるべきである。
【0059】
さらに、本明細書に記載されている装置、プロセスまたは方法の要素および/または特徴は、本明細書において明示的かまたは暗黙的かにかかわらず、本教示の範囲および開示から逸脱することなく様々な方法で組み合わせられ得ることが理解されるべきである。
【0060】
用語「熱可塑性材料」は、特定温度よりも上で柔軟になるかまたは成形可能になり、そのため熱分解温度よりも下の高温で流れることができ、冷えると固体状態に戻るポリマーを意味するものとする。ポリマーは、ホモポリマーおよびコポリマーを含む、同じもしくは異なるタイプのモノマーを反応させること(すなわち、重合させること、縮合)によって調製される高分子化合物である。熱可塑性材料は、連鎖重合、重付加および/または重縮合によって製造される。
【0061】
用語「機能化粒状重炭酸塩」は、好ましくは同じ粒子内に、重炭酸塩と添加物とを含む粒子を定義するものとして理解されるべきである。例えば、添加物が重炭酸塩上に層もしくはコーティングを形成してもよいし、または重炭酸塩が添加物上に層もしくはコーティングを形成してもよい。あるいはまたはその上、添加物は、重炭酸塩のマトリックス内に埋め込まれてもよいし、または逆もまた同様である。重炭酸塩と添加物とを含む粒子は、より小さい粒子の塊であってもよいし、または構成成分の1つの小さい粒子は、他の構成成分のより大きい粒子(もしくはより大きい複数粒子)に塊化されてもよい。好ましくは、用語「機能化粒状重炭酸塩」は、重炭酸塩粒子と、それが液体形態にまたは粒子の形態にあろうと少なくとも1つの添加物との単なる混合物を包含しない。
【0062】
用語「機能化添加物」は、本明細書で用いるところでは、この添加物が重炭酸ナトリウムと配合された場合に、重炭酸ナトリウム単独(添加物なし)と比べて、重炭酸ナトリウムの少なくとも1つのCO放出特性を改善することができる化合物を指す。例えば、機能化添加物は、本出願の実施例54に従って測定される、機能化粒状重炭酸塩のCO放出開始温度および/またはCO放出最大温度を上げることができる。
【0063】
用語「含む」は、「から本質的になる」および「からなる」を包含する。
【0064】
用語「熱可塑性材料」、「ポリマー」および「PVC」に関連して用語「発泡した」は、加工中の化学発泡剤の熱分解および/または化学反応からのガス発生によって形成されるセル状構造を持ったそのような材料、ポリマー、またはPVCを意味するものとする。
【0065】
用語「ppm」は、重量で表される、百万当たりの部(例えば、1ppm=1mg/kg)を意味する。
【0066】
用語「per」は、樹脂の重量部(例えば、80pcrの添加物=樹脂の100g当たり80g添加物)を意味する。
【0067】
記号「%」または「重量%」は、特に明記しない限り、「重量パーセント」を意味する。
【0068】
用語「粉末」は、ミルにかけられた(すり潰された)、押し出された、または噴霧乾燥された固体粒子からなるコンパウンドを意味するものとする。
【0069】
用語「発熱性発泡剤」は、その分解中に発熱する化学物質を定義する。発熱性発泡剤は典型的には、狭い温度範囲で速い分解を受ける。一般的に言えば、発熱性化学発泡剤は、主な発泡ガスとしてN(発生したガスの50容積%超がNである)を与えるそれらの化学物質として関連付けられる。他の少量ガスがそれでも、発熱性化学発泡剤の分解から生成してもよい。これらの他の少量ガスには、一酸化炭素、また少量(5容積%未満)のアンモニア、および/またはCOが挙げられ得る。
【0070】
用語「吸熱性発泡剤」は、その分解中に吸熱する化学物質を定義する。吸熱性発泡剤は典型的には、温度および時間の両方の観点からより幅広い分解範囲を有する。ほとんどの吸熱性化学発泡剤は、主な発泡ガスとしてCO(発生したガスの50容積%超がCOである)を発生させる。
【0071】
本発明の一態様による機能化粒状重炭酸塩のCO放出特性は、温度に依存する試料の重量減少を測定して、機能化粒状重炭酸塩試料の熱重量分析(TGA)を行うことによって求めることができる。CO放出特性は、温度に依存する重量減少についての微分値によって特徴付けられる。CO放出開始温度は、重量減少についての微分値が上昇し始める温度である。CO放出最大温度は、重量減少についての微分値が最大である温度である。典型的には、加熱は、10℃/分の速度で30℃~250℃で行われる。熱重量分析は、例えば、STD Q600 V20.9 Build 20熱重量分析機器(TA Instrumentsによって提供される)で行うことができる。
【0072】
複数の要素には、2つ以上の要素が含まれる。
【0073】
語句「Aおよび/またはB」は、以下の選択:要素A;または要素B;または要素AとBとの組み合わせ(A+B)を指す。語句「Aおよび/またはB」は、AおよびBのうちの少なくとも1つと同等である。語句「Aおよび/またはB」は、AおよびBのうちの少なくとも1つに等しい。
【0074】
語句「A1、A2、…および/またはn≧3のAn」には、以下の選択:任意の単一要素Ai(i=1、2、…n);またはA1、A2、…、Anから選択される2~(n-1)要素の任意の副次的組み合わせ;または全ての要素Ai(i=1、2、...n)の組み合わせが含まれる。例えば、語句「A1、A2、および/またはA3」は、以下の選択:A1;A2;A3;A1+A2;A1+A3;A2+A3;またはA1+A2+A3を指す。
【0075】
本明細書において、最小限度、もしくは最大限度によって、または最小限度および最大限度によって規定される、変数についての数値範囲の記載はまた、さらにその中で、最小限度を除いて、もしくは最大限度を除いて、または最小限度および最大限度を除いて;数値範囲内で、それぞれ、その変数が選択される実施形態をも含む。
【0076】
本明細書において、同じ変数についての数値の幾つかの移動範囲の記載はまた、その移動範囲中に含まれる任意の他の中間範囲から、その変数が選択される実施形態の記載をも含む。したがって、例示目的のために、「要素Xは一般に少なくとも10、有利には少なくとも15である」と記載されている場合、本説明はまた、新たな最小値が10~15の間で選択され得る、例えば:「要素Xが少なくとも11である」、またはまた、「要素Xが少なくとも13.74である」別の実施形態をも含み;11または13.74は、10~15の間に含まれる値である。また、例示目的のために、「要素Xは一般に最大でも15、有利には最大でも10である」と示されている場合、本説明はまた、新たな最大値が10~15の間で選択され得る別の実施形態をも含む。
【0077】
1つの要素または組成物が、列挙された要素もしくは構成要素のリストに含まれる、および/またはリストから選択されると記されている、本説明では、本明細書で明示的に企図される関連実施形態において、その要素もしくは構成要素は、個別の列挙された要素もしくは構成要素の任意の1つであり得るか、または明示的にリストアップされた要素もしくは構成要素の任意の2つ以上からなる群からまた選択され得ることが理解されるべきである。
【0078】
例えば、ある実施形態において、要素の群からの1つの要素の選択が記載される場合、以下の実施形態:
- その群からの2つ以上の要素の選択、
- 1つ以上の要素が除去されている要素の群からなる要素の部分群からの1つの要素の選択
もまた明示的に記載される。
【0079】
単数形「1つ(a)」または「1つ(one)」の使用は本明細書では、特に明記しない限り複数形を包含する。
【0080】
加えて、用語「約(about)」または「およそ(ca.)」が定量的値の前に用いられる場合、本教示はまた、特に明記しない限り、その具体的な定量的値それ自体をも包含する。本明細書で用いるところでは、用語「約」または「およそ」は、特に明記しない限り、その公称値から±10%の変動を意味する。
【0081】
機能化粒状重炭酸塩
本発明の一態様は、機能化粒状重炭酸塩に関する。
【0082】
機能化粒状重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムなどの、好ましくはアルカリもしくはアンモニウム塩である重炭酸塩成分を含む。重炭酸ナトリウムおよびカリウム、特に重炭酸ナトリウムが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%、または実に少なくとも65重量%の、しかし100重量%未満の重炭酸塩成分(例えば、重炭酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも90重量%、または少なくとも93重量%、または少なくとも94重量%、または実に少なくとも95重量%の、しかし100重量%未満の重炭酸塩成分(例えば、重炭酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム)を含んでもよい。
【0085】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、少なくとも90重量%、しかし100重量%未満のアルカリ金属重炭酸塩を含む。機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、少なくとも92重量%のアルカリ金属重炭酸塩、少なくとも93重量%、より好ましくは少なくとも94重量%、特に少なくとも95重量%のアルカリ金属重炭酸塩、特に重炭酸ナトリウムを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、50重量%以下、または45重量%以下、または40重量%以下、または実に35重量%以下の少なくとも1つの添加物を有してもよい。
【0087】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、10重量%以下、または7重量%以下、または5重量%以下、または3重量%以下の添加物を含有する。
【0088】
添加物は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。機能化粒状重炭酸塩中の添加物の重量%が高ければ高いほど、それはコスト理由でより不利になる。好ましくは、重炭酸塩成分と比べてより高価な添加物のコストを削減するために、最大でも8重量%、より好ましくは最大でも6重量%、特に最大でも5重量%の添加物を機能化粒状重炭酸塩中に使用することが望ましい。
【0089】
しかしながら、添加物が比較的高価ではない(例えば、そのコストが重炭酸塩成分のそれの2倍以下である場合)実施形態において、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%、特に少なくとも10重量%の添加物および/または最大でも50重量%、より好ましくは最大でも40重量%、その上より好ましくは最大でも35重量%を機能化粒状重炭酸塩に使用することが望ましい場合がある。
【0090】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、0.02~50重量%、または0.02~45重量%、または0.02~40重量%、または0.02~35重量%の少なくとも1つの添加物を含んでもよい。
【0091】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、10重量%超および50重量%以下の少なくとも1つの添加物を含んでもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、コスト有効性のために、機能化粒状重炭酸塩は、0.02重量%~10重量%の添加物を含んでもよい。
【0093】
特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、少なくとも65重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、35重量%~0.02重量%の少なくとも1つの添加物とを含んでもよいし;または少なくとも75重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、25重量%~0.02重量%の少なくとも1つの添加物とを含んでもよい。
【0094】
機能化粒状重炭酸塩は、発泡したまたは押し出されたポリマー(発泡したPVCまたはポリウレタン;押し出されたPVC、ポリオレフィン、ポリアミドなど)用の発泡剤として好ましくは使用され、吸熱性発泡剤として好ましくは使用される。ポリマーの非限定的な例は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリオレフィン(PO、PE、PP)、スチレン系(PS、ABS、ASA、SAN)ならびに天然ゴムおよび合成ゴム、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)またはクロロプレンゴム(CR)など、ポリアミド、ポリイミドである。
【0095】
機能化粒状重炭酸塩は、CO2を遊離させることができ、粒状重炭酸塩を機能化するためにも使用される添加物をさらに含有してもよい。この添加物は、機能化粒状重炭酸塩中の第2発泡剤と見なされ得る。この添加物は、機能化粒状重炭酸塩が吸熱性発泡剤として使用される場合にCO2発生の増加を提供するであろうのみならず、この添加物はまた、その表面(またはそれの一部)を保護することによって重炭酸塩コアを時期尚早のCO2放出から守るであろう。このCO2遊離性添加物は、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩であってもよい。
【0096】
好適なカルボン酸には、式:HOOC-R-COOH(式中、Rは、1個以上のヒドロキシ基またはケト基で置換されていてもよい、また不飽和を含有してもよい1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩および半塩もまた含まれる。
【0097】
好ましいCO2遊離性添加物には、
- フマル酸、
- 酒石酸、または
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが含まれてもよい、
【0098】
クエン酸のエステルには、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ-C12~13アルキル、クエン酸トリ-C14~15アルキル、クエン酸トリカプリリル、クエン酸トリエチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシルおよびクエン酸トリイソステアリル、クエン酸イソデシルおよびクエン酸ステアリル、クエン酸ジラウリル、ならびに/またはクエン酸エチル(トリ-、ジ-およびモノエステルの混合物)、好ましくはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸イソデシル、またはクエン酸トリエチルヘキシルが挙げられ得る。
【0099】
より好ましいCO2遊離性添加物は、クエン酸、それのエステル、もしくはその塩を含むか、またはそれからなる。
【0100】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、クエン酸、それのエステル、もしくはその塩を含有しない。
【0101】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、発熱性発泡剤を含有しない。
【0102】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、アンモニアを遊離させる発泡剤として使用される化合物を含有しない。
【0103】
いくつかの特定の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、窒素ガスを遊離させる発泡剤として使用される化合物を含有しない。窒素ガスを遊離させる発泡剤の例は、アゾジカルボン酸ジアミド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)およびp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤である。
【0104】
好ましい実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、アゾジカルボンアミドを含有しない。
【0105】
代わりのまたは追加の好ましい実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、ベンゼンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0106】
代わりのまたは追加の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、p-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0107】
本発明の好ましい実施形態において、機能化粒状重炭酸塩は、重炭酸塩成分と、粉体形態での少なくとも1つの添加物とを含む。
【0108】
ある種の用途向けには、本発明の機能化粒状重炭酸塩は、添加物のコーティングでコートされている粒子として重炭酸ナトリウムを含有することが好ましい。そのようなコーティングは、機能化粒状重炭酸塩のいくつかの特性を改善することができる。そのような場合の添加物は、「コーティング剤」と称されてもよい。コーティング剤としての添加物は、この添加物が、重炭酸塩の粒子の表面を、部分的にまたは完全に、覆うことができることを意味するものとする。「コーティング剤」は、粒子のコアがそれからできている重炭酸塩成分と異なる化合物である。
【0109】
ある種の用途向けには、本発明の機能化粒状重炭酸塩は、1つの添加物と共ミリングされた重炭酸ナトリウムを含有することが想定される。添加物とのそのような共ミリングは、機能化粒状重炭酸塩のいくつかの特性を改善することができる。
【0110】
ある種の用途向けには、本発明の機能化粒状重炭酸塩は、2つ以上の添加物で機能化されている粒子として重炭酸ナトリウムを含有する。重炭酸ナトリウム粒子の機能性付与は、1つの機能性付与方法を用いて複数の添加物で同時に実施されてもよいし、または1つの機能性付与方法を使って1つの添加物を使用し、次に同じもしくは異なる機能性付与方法を使って別の添加物を順次使用して実施されてもよい。例えば、重炭酸ナトリウム粒子が先ず、第1添加物で機能化され、次にこれらの第1機能化粒子が、第2添加物(第2添加物は、第1添加物と同じ組成または異なる組成を有する、好ましくは異なる組成を有する)で再び機能化される。後の機能性付与のために用いられる方法は、同じものであってもよいが、好ましくは異なる。(第1および第2)機能性付与方法は好ましくは、押出、共すり潰し、およびスプレーコーティングからなる群から選択される。例えば、第1機能性付与方法は、共すり潰しまたは押出を含んでもよいし、またはそれらからなってもよく、第2機能性付与方法は、押出、共すり潰し、またはスプレーコーティングを含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。好ましくは、第1機能性付与方法は、共すり潰しを含んでもよいし、またはそれからなってもよく、第2機能性付与方法は、押出を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0111】
ある種の用途向けには、本発明の機能化粒状重炭酸塩は、1つの添加物で機能化されている粒子として重炭酸ナトリウムを含有するが、添加物は、一気に添加されず、幾つかの部分で順次添加される。例えば、重炭酸塩粒子が、先ず添加物の第1部分で機能化され、次にこれらの第1機能化重炭酸塩粒子が、同じ添加物の第2部分で再び機能化される。機能性付与のために用いられる方法は、同じものであってもよいし、または異なってもよい。例えば、(第1および第2)機能性付与方法は好ましくは、押出、共すり潰し、およびスプレーコーティングからなる群から選択される。好ましくは、第1機能性付与方法は、共すり潰しを含んでもよいし、またはそれからなってもよく、第2機能性付与方法は、押出を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0112】
ある種の用途向けには、本発明の機能化粒状重炭酸塩は、第1添加物のコーティングでコートされ、次にこれらのコートされた粒子が第2添加物(第2添加物は、第1添加物と同じ組成または異なる組成を有する)と共ミリングされている粒子として重炭酸ナトリウムを含有することが好ましい場合がある。
【0113】
ある種の用途向けには、一定の少量のガスを1つの場所で生成するように、細かいセル状フォームの生成が望ましい場合がある。セル状フォーム構造を改善するために、機能化粒状重炭酸塩が特有の粒径および粒度分布を有することが好適であり得る。用語D50は、50重量%の粒子がD50以下の直径を有する、その直径(重量平均径)を意味する。用語D10は、10重量%の粒子がD10以下の直径を有する、その直径を意味する。用語D90は、90重量%の粒子がD90以下の直径を有する、その直径を意味する。
【0114】
機能化粒状重炭酸塩は、好ましくは小さいスパンの小さい粒径などの、有利な特性を有し得る。粒度分布のスパンは、当技術分野で公知のように、比率(D90-D10)/D50として定義される。スパンは、約1~約3などの、約1~約6の範囲であってもよい。一実施形態において、スパンは、6より小さくても、好ましくは4より小さくても、より好ましくは3より小さくてもよい。一実施形態において、スパンは、1より大きくても、好ましくは2より大きくてもよい。別の実施形態において、スパンは1.8より小さくても、より好ましくは最大でも1.7、特に最大でも1.6、例えば最大でも1.5であってもよい。
【0115】
好ましくは、機能化粒状重炭酸塩の粒子は、最大でも250μm、好ましくは最大でも100μm、より好ましくは最大でも60μm、その上より好ましくは最大でも40μm、または最大でも30μm、または最大でも25μmのD50の粒度分布を有する。
【0116】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩の粒子は、1μm超、好ましくは2μm超、より好ましくは5μm超、その上より好ましくは少なくとも8μmのD50の粒度分布を有する。機能化粒状重炭酸塩は、「機能化ミクロンサイズ重炭酸塩」と称される。
【0117】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩の粒子は、1μm~160μmの範囲の、好ましくは1μm~10μmの範囲の、より好ましくは2μm~10μmの範囲の、その上より好ましくは4μm~8μmの範囲の、特に5μm~6μmのD10を有する。
【0118】
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩の粒子は、20μm~450μm、好ましくは30μm~200μm、より好ましくは30μm~165μm、特に30μm~100μmの範囲のD90を有する。
【0119】
重量平均径D50、ならびにD10およびD90値は、632.8nmの波長および18mmの直径を有するHe-Neレーザー源と、後方散乱300mmレンズ(300RF)、およびMS17液体調製ユニットを備えた測定セルと、自動溶媒濾過キット(「エタノールキット」)とを用いるMalvern Mastersizer S粒度分析計で、重炭酸塩で飽和されたエタノール溶液を使用するレーザー回折および散乱により測定することができる(湿式法)。
【0120】
機能化粒状重炭酸塩は、優れたCO放出特性を示す。TGA分析によって測定されるように、機能化粒状重炭酸塩の最大損失温度は好ましくは、添加物なしの非官能化重炭酸塩よりも高い。機能化粒状重炭酸塩のCO放出は典型的には、少なくとも130℃の温度で、好ましくは少なくとも135℃の温度で、より好ましくは少なくとも140℃の温度で、さらにより好ましくは少なくとも145℃の温度で、特に好ましくは少なくとも155℃の温度でその最大値を有する。
【0121】
示差走査熱量測定(DSC)熱分析によって測定されるように、機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、添加物なしの非機能化重炭酸塩よりも高い最大ピーク温度を有する。機能化粒状重炭酸塩のDSC最大ピーク温度は、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも145℃、より好ましくは少なくとも150℃、さらにより好ましくは少なくとも155℃の温度に、特に好ましくは少なくとも160℃の温度にあってもよい。
【0122】
機能化ナノサイズ重炭酸塩
いくつかの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩の粒子は、最大でも1μm、好ましくは1μm未満のD50の粒度分布を有する。この機能化粒状重炭酸塩は、「機能化ナノサイズ重炭酸塩」と称される。
【0123】
機能化粒状重炭酸塩がナノサイズ重炭酸塩粒子に基づく場合、重炭酸塩ナノサイズ粒子は、機能性付与前に形成されることが好ましい。溶媒を使った湿式すり潰し、ミクロン化および乾式ナノすり潰しなどの技術が有効であろう。転動ボールミル、遊星ボールミル(例えば、Retchから入手可能な)またはジェットミル(例えば、Alpineから入手可能な)などのミルの使用が、ナノサイズ重炭酸塩粒子を製造するのに好適である。ボールミリングは、機械力を用いるナノスケール体制へのバルク固体材料の分解を伴う。高エネルギーボールミリングによる粒径の低減は、メカニカルミリングと称される。ナノサイズレベルへの重炭酸塩粉末のミリングは、かなり多くの熱を発生させるので、ミリング中に冷却することが推奨される。その上、ナノサイズレベルへのミリングを容易にするために、滑剤を使用することが推奨されてもよい。
【0124】
その上、ミリング中にまたはミルを出た後に粒子が再び塊になるのを防ぐために、界面活性剤を使用することが推奨されてもよい。これらのナノサイズ粒子は、大きい比表面積を有するために、塊になる強い傾向を有する。界面活性剤は、立体障害を提供し、表面張力を減らすことによって、ナノサイズ粒子のこの密接な接触を防ぐのに重要な役割を果たし得る。界面活性剤分子は、新たに形成される表面を囲んで薄い有機層を形成して、露出表面がミリングプロセス中に別の表面と接触するときに、またはそれらがミルを出るときに低温振り回しから露出表面を守る。好適な界面活性剤には、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)などのポリマー、またはオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸もしくはオレイルアミン、パルミチン酸、ミリスチン酸、ウンデカン酸、オクタン酸、および/または吉草酸などの、脂肪酸またはそれのエステルが挙げられ得る。
【0125】
機能性付与は、別の化合物(添加物)をナノサイズ重炭酸塩コア粒子に添加するので、当初の重炭酸塩コア粒子のサイズを有意に増加させないであろう添加物堆積/組み込みのための技術(技術は、下により詳細に記載される)を選択することが推奨される。例えば機能性付与前に1μm以下のD50を当初は有する粒状重炭酸塩が機能性付与後に、依然として最大でも1μm以下のD50のナノサイズ範囲にある機能化粒状重炭酸塩を生み出すことが好ましいであろう。ナノサイズ重炭酸塩コア粒子から出発する機能化粒状重炭酸塩が機能性付与後に2μm以下のD50に達し得ることは、いくつかの場合にはそれでも許容される。
【0126】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物
機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、非限定的な例として、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0127】
いくつかの実施形態において、添加物は、ポリビニルアルコール、ポリグリコール、多糖、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸コ-マレイン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、N-2(-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0128】
いくつかの実施形態において、添加物は、加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびその塩、アラビアゴム、カラギーナン;グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンゴム、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される多糖を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態において、添加物は、カゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸、その誘導体またはその塩を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0130】
いくつかの実施形態において、添加物は、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)、NaCl、KCl、MgCl2、リン酸ナトリウム、ホウ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、添加物は、
- アミノ酸、その誘導体、もしくはその塩、
- 多糖(加水分解デンプン、ガム、カルボキシメチルセルロースなどの)、
- 樹脂酸、その誘導体、もしくはその塩、
- 脂肪酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩、
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、添加物は、
- ポリマー(ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、ポリビニルアルコールおよび、変性デンプン、特に加水分解デンプン、マルトデキストリンおよびアラビアゴムを含む、多糖類などの)、
- アミノ酸、その誘導体、もしくはその塩(ロイシンなどの)、
- 油(エポキシ化大豆油など)、
- 樹脂酸、その誘導体、もしくはその塩(ロジン酸など)、
- 脂肪酸、その誘導体、もしくはその塩(ステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸およびグリセロールモノステアレートなどの)、
- ワックス(蜜ろうおよびカルナバ・ワックスなどの)、または、
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、添加物は、CO2を遊離させることができ、粒状重炭酸塩を機能化するためにまた使用される化合物を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。この添加物は、機能化粒状重炭酸塩中の第2発泡剤と見なされ得る。この添加物は、機能化粒状重炭酸塩が吸熱性発泡剤として使用される場合にCO2発生の増加を提供するであろうのみならず、この添加物はまた、その表面(またはそれの一部)を保護することによって重炭酸塩コアを時期尚早のCO2放出から守るであろう。このCO2遊離性添加物は、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩であってもよい。
【0134】
好適なカルボン酸には、式:HOOC-R-COOH(式中、Rは、1個以上のヒドロキシ基またはケト基で置換されていてもよい、また不飽和を含有してもよい1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩および半塩もまた含まれる。
【0135】
好ましいCO2遊離性添加物には、
- フマル酸、
- 酒石酸、または
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが挙げられ得る。
【0136】
クエン酸のエステルには、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ-C12~13アルキル、クエン酸トリ-C14~15アルキル、クエン酸トリカプリリル、クエン酸トリエチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシルおよびクエン酸トリイソステアリル、クエン酸イソデシルおよびクエン酸ステアリル、クエン酸ジラウリル、ならびに/またはクエン酸エチル(トリ-、ジ-およびモノエステルの混合物)、好ましくはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸イソデシル、またはクエン酸トリエチルヘキシルが挙げられ得る。
【0137】
より好ましいCO2遊離性添加物は、クエン酸、それの任意のエステル、またはそれの任意の塩を含むか、またはそれからなる。
【0138】
いくつかの実施形態において、添加物は、クエン酸、それのエステル、またはその塩を除外する。
【0139】
いくつかの実施形態において、添加物は、アミノ酸、その誘導体、またはその塩を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0140】
一般に、アミノ酸は、アミノ基とカルボン酸官能基とからなる、当技術分野で公知の化合物である。アミノ基は、IUPAC命名法に従って、ヒドロカルビル基で1個、2個、または3個の水素原子を置き替えることによってアンモニア(NH)から形式的に誘導され、一般構造RNH(一級アミン)、RNH(二級アミン)またはRN(三級アミン)を有する化合物である。IUPAC命名法に従って、窒素に結合している水素の全て4個がヒドロカルビル基で置き替えられているアンモニウム化合物(NH )Yの誘導体は、アミンではない四級アンモニウム化合物と見なされる。つまり、本発明に従って使用されるようなアミノ酸において、アミン基、好ましくはα-アミン基は、RNH、RNH、またはRN残基であり、NR 残基ではない。好ましくは、カルボン酸基を含む四級アンモニウム化合物は、本発明に従ってアミノ酸添加物として使用されない。
【0141】
本発明の好ましい実施形態において、添加物として使用されるアミノ酸は、β-アミノ酸またはα-アミノ酸であり、最も好ましくはα-アミノ酸である。α-アミノ酸は一般に、式(I):
またはその塩に従った化学構造を有する。残基Rは、水素、またはアルキル、または任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール基であってもよい。好ましくは、残基RはC~C10アルキル基、特にC~Cアルキル基である。最も好ましくはRは、メチル、プロパン-2-イル(イソプロピル)、ブタン-2-イル、または2-メチル-プロパン-1-イルである。
【0142】
好ましい実施形態において、α-アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、およびリシンなどの、正に帯電したアミノ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などの負に帯電したアミノ酸、セリン、スレオニン、アスパラギンもしくはグルタミン、またはシステイン、セレノシステイン、グリシンおよびプロリンなどの極性の非荷電アミノ酸からなる群から選択される。特に好ましいのは、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンなどの、疎水性側鎖を持ったアミノ酸である。添加物として使用される最も好ましいアミノ酸は、バリン、イソロイシンおよびロイシンであり、ロイシンが最も好ましい。
【0143】
α-アミノ酸はキラル化合物である。一般に、両エナンチオマーの両ラセミ混合物、ならびに1つのエナンチオマー、例えばD-もしくはL-エナンチオマーに富む組成物を使用することができる。好ましくは、アミノ酸のラセミ混合物が、本発明の一実施形態に従って使用されてもよい。
【0144】
アミノ酸の好適な誘導体は、例えば、ヒドロキシアルキル残基、特にヒドロキシC1~20アルキル残基を含むエステルなどの、エステルである。あるいはまたはその上、アミノ酸誘導体は、アミドであってもよい。好適な塩は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、または無機酸もしくはカルボン酸などの、酸と、アミノ酸のアミノ基との間で形成される塩である。
【0145】
アミノ酸は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。機能化粒状重炭酸塩中の10重量%超のアミノ酸は、コスト理由で不利である。好ましくは、最大でも8重量%、より好ましくは最大でも6重量%、特に最大でも5重量%のアミノ酸が、本発明の一実施形態に従って機能化粒状重炭酸塩中に存在する。
【0146】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物として使用される好ましいアミノ酸はロイシンである。ロイシンは、例えば、0.02重量%~5重量%の量で、好ましくは0.05重量%~2重量%の量で、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で機能化粒状重炭酸塩中に存在してもよい。
【0147】
一実施形態において、アミノ酸、特にロイシンで機能化される粒状重炭酸塩は、噴霧乾燥によって調製される。
【0148】
追加のまたは代わりの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、樹脂酸、その誘導体、またはその塩を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0149】
一般に、機能化粒状重炭酸塩に添加物として使用される樹脂酸は、当技術分野で公知のような樹脂酸の1つである。樹脂酸は、木樹脂に見いだされる、関連カルボン酸、好ましくはアビエチン酸の混合物を意味する。典型的には、樹脂酸は、経験式C1929COOHを持った3つの縮合環の基本骨格を有する。好ましい樹脂酸は、三環式ジテルペンカルボン酸であり、より好ましいものはアビエタンジテルペン群に属する。好ましい樹脂酸は、例えば、アビエチン酸(アビエタ-7,13-ジエン-18-オイック酸)、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、およびパルストリン酸からなる群から選択されるアビエチン酸型酸である。ピマール酸(ピマラ-8(14),15-ジエン-18-オイック酸)、レボピマール酸、またはイソピマール酸からなる群から選択される、ピマール酸型酸もまた好適である。そのような酸は、天然源から、または例えば、米国特許出願公開第2014/0148572A1号明細書から公知のような化学合成によって入手可能である。本発明との関連で、「アビエチン酸」はまた「ロジン酸」とも言われる。
【0150】
本発明に従って使用され得る樹脂酸を含有する誘導体はトール油である。トール油(液体ロジンとも呼ばれる)は、木材パルプ製造のクラフト法の副産物として得られる。粗トール油は、ロジン、樹脂酸(主としてアビエチン酸およびその異性体)、脂肪酸(主としてパルミチン酸、およびオレイン酸)、脂肪族アルコール、ステロールならびにアルキル炭化水素誘導体を含有する。最も好ましいアビエチン酸、ピマール酸およびその塩、特にナトリウム塩は、それぞれ本発明に従って添加物として使用される。
【0151】
樹脂酸、その誘導体、またはその塩は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で、本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。ロジン酸などの、樹脂酸、その誘導体、またはその塩は、例えば、0.5重量%~10重量%などの、0.02重量%~25重量%、好ましくは0.02重量%~20重量%または0.1重量%~11重量%の量で存在してもよい。
【0152】
機能化粒状重炭酸塩中に添加物として使用される好ましい樹脂酸は、ロジン酸、その誘導体、またはその塩である。ロジン酸、その誘導体、またはその塩は、例えば、機能化重炭酸塩中に1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%の量で存在してもよい。
【0153】
その上追加のまたは代わりの実施形態において、機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、脂肪酸、その誘導体(エステルなどの)、またはその塩を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0154】
本発明において添加物として使用されるような脂肪酸は、当技術分野で公知のような脂肪酸、すなわち、飽和かまたは不飽和かのどちらかである、脂肪族残基を持ったカルボン酸である。好ましくは、脂肪酸は、式(II)
R-COOH (II)
(式中、Rは、飽和もしくは不飽和のC~C18アルキル基、好ましくはC12~C16アルキル基などの、C12~C18基である)
に従った化合物である。脂肪酸は、その塩、特にナトリウム塩またはカリウム塩、最も好ましくはナトリウム塩の形態で使用され得る。さらにより好ましい残基Rは、C16~C18アルキル基であり、最も好ましい脂肪酸は、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸またはステアリン酸であり、後者が最も好ましい。
【0155】
脂肪酸誘導体の例はグリセリドである。グリセリドは、グリセロールと脂肪酸とから形成されるエステル、特にグリセロールモノ、ジおよびトリ脂肪酸エステルである。
【0156】
機能化粒状重炭酸塩に添加物として使用される好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、それのエステル、またはその塩である。機能化粒状重炭酸塩に添加物として使用されるより好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、またはステアリン酸のエステル、例えば、ステアリン酸の3ユニットに由来するトリグリセリドである、トリステアリン、つまりグリセリルトリステラレートなどの、グリセロールとのそのエステルである。別の好ましい添加物は、グリセロールモノステアレートである。
【0157】
脂肪酸、その誘導体、またはその塩は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。ある種の実施形態において、脂肪酸、その誘導体、またはその塩は、0.02重量%~30重量%、好ましくは0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.5重量%~7重量%の量で機能化粒状重炭酸塩中に存在してもよい。
【0158】
いくつかの実施形態において、添加物は、ステアリン酸、それのエステル、またはその塩を除外してもよい。
【0159】
その上さらに追加のまたは代わりの実施形態において、添加物は、ポリビニルアルコール、ポリグリコール、多糖、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸コ-マレイン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、N-2(-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーなどの、ポリマーを含んでもよいし、またはそれからなってもよい。
【0160】
ポリマーは、天然もしくは合成ポリマーであってもよい。天然ポリマーは、デンプンおよびアラビアゴムなどの、天然源からのポリマーである。天然ポリマーはまた、加水分解デンプンのように、変性されていてもよい。
【0161】
合成ポリマーは、例えば、ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ならびにポリビニルアルコールである。好ましいポリオキシアルキレン誘導体は、例えば、BYK-Chemie GmbHによって商品名BYK 3155で提供されるポリマーである。メタ/アクリルポリマーは、例えば、商品名Eudragit(登録商標)でEvonikから入手可能である、官能基としてメタクリル酸を持ったアニオンポリマー、官能基としてメチルアミノエチルメタクリレートを持ったカチオンポリマー、官能基としてトリメチル-アミノエチル-メタクリレートを持ったメタ/アクリレートコポリマー、およびメタ/アクリレートの中性ポリマーであってもよい。好適なEudragit(登録商標)銘柄は、例えば、銘柄L、S、FS、E、RL、RS、NEおよびNMである。銘柄RLのEudragits(登録商標)、特にEudragit(登録商標)RL 30Dが好ましい。
【0162】
ポリエチレングリコールは、広範囲の異なる分子量で入手可能である。本発明の一実施形態において、1000g/モルよりも下の分子量を有する低分子量ポリエチレングリコール、好ましくは、300~500g/モルの範囲などの、200~600g/モルの範囲の分子量を有するポリエチレングリコール、好ましくはPEG400を使用することができる。本発明の別の実施形態において、1000g/モル以上の分子量を有する高分子量ポリエチレングリコールが用いられてもよい。好ましくは、高分子量ポリエチレングリコールは、PEG4000などの、1000~10000g/モル、より好ましくは、2000~8000g/モルの分子量を有する。
【0163】
いくつかの実施形態において、多糖が機能化粒状重炭酸塩に添加物として使用される場合、多糖添加物は、加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびその塩、アラビアゴム、カラギーナン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンゴム、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの多糖であってもよい。
【0164】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、
- グアーガムおよびその誘導体、特にヒドロキシプロピルグアー(Jaguar HP-105など);
- アルギン酸およびナトリウム、カルシウムもしくは銅などの、その塩(例えば、Kaltostat、Calginat、Landalgine、Kalrostat、Kelacid、Vocoloid、Xantalgin);ならびに
- カルボキシメチルセルロース(例えば、Aquaplast、Carmethose、CELLOFAS、Cellpro、Cellugel、Collowel、Ethoxose、Orabase、Lovosa)
からなる群から選択される多糖を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0165】
別の実施形態において、機能化粒状重炭酸塩の添加物は、変性デンプン、特に加水分解デンプンまたはそのようなデンプンを含む化合物を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。このクラスの特に好ましい添加物は、加水分解デンプン、アラビアゴムおよびマルトデキストリンであり、マルトデキストリンが特に好ましい。ポリマーは、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。特に、加水分解デンプン、アラビアゴム、マルトデキストリン、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレン誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、およびポリビニルアルコールは、例えば、0.02重量%~40重量%、より好ましくは0.1重量%~35重量%、さらにより好ましくは、2重量%~10重量%などの、1重量%~20重量%の量で存在してもよい。
【0166】
本発明において添加物として使用される油は、動物、植物、または石油化学起源のものであってもよい有機油または無機油であってもよい。好適な油は、例えば、オリーブオイル、トウモロコシ油、ヒマワリ油および大豆油である。
【0167】
油は、エポキシ化などの、化学変性されていてもよい。好ましい油は、エポキシ化大豆油である。油は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。好ましい実施形態において、油は、0.1重量%~10重量%、より好ましくは1重量%~7重量%の量で機能化粒状重炭酸塩中に存在することができる。
【0168】
さらなる実施形態において、機能化粒状重炭酸塩中の添加剤は、蜜ろうまたはカルナバ・ワックスなどの、ワックスである。
【0169】
ワックスは、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に少なくとも0.1重量%の量で本発明による機能化粒状重炭酸塩中に存在するべきである。ワックスは、例えば、1重量%~30重量%、好ましくは5重量%~25重量%の量で存在することができる。
【0170】
機能化粒状重炭酸塩の特定の特性に関する追加情報は、添加物がアミノ酸またはその塩を含むか、またはそれからなる場合、SOLVAY SAによる国際公開第2016/102591A1号パンフレットに;添加物が添加物として樹脂酸または脂肪酸を含むか、またはそれからなる場合、SOLVAY SAによる欧州特許出願公開第3037388A1号明細書に見いだすことができる。
【0171】
機能化粒状重炭酸塩の製造方法
本発明はさらに、機能化粒状重炭酸塩の製造方法に関する。
【0172】
機能化粒状重炭酸塩は、重炭酸塩成分を含有する溶液から、または既に形成された粒状重炭酸塩から直接調製され得る。
【0173】
重炭酸塩成分または粒状重炭酸塩は、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、またはそれらの混合物を含んでもよいし、またはそれらから本質的になってもよく、特に、重炭酸塩成分または粒状重炭酸塩は、重炭酸ナトリウムを含むか、またはそれから本質的になる。重炭酸塩成分または粒状重炭酸塩は好ましくは、少なくとも80重量%の重炭酸ナトリウムを含む。
【0174】
本発明の一態様による機能化粒状重炭酸塩は、封入またはコーティングプロセスによって得られてもよい。
【0175】
特に、本発明の別の態様は、以下の方法の少なくとも1つによって:
- 添加物が重炭酸塩含有溶液に溶かされている、噴霧乾燥(噴霧化としても知られる)によって、
- エマルジョンもしくは粉体形態での添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリングもしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
- 流動床内での噴霧集塊によって、
- スプレーチリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- ローラー圧縮によって、および/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
機能化粒状重炭酸塩、好ましくは本発明による上に記載されるような機能化粒状重炭酸塩の調製方法に関する。
【0176】
噴霧乾燥または噴霧化による乾燥は、乾燥技術である。この方法は、数秒またはほんのわずかな秒で粉末を得るように、溶液(または懸濁液)の形態にある、乾燥させられる生成物を高温ガス流中に噴霧することを含む。微細な液滴への溶液の分割は、大きな物質移動表面を生み出し、それは使用された溶液の溶媒の迅速な蒸発をもたらす。
【0177】
噴霧乾燥のための好適な装置は、当技術分野で公知であり、一般に幾つかのモジュール、すなわち、溶液を噴霧化するまたは噴霧するための装置を含む、溶液を貯蔵するおよび噴霧化するための回路を含むモジュールと、高温ガスの調製、およびそれが噴霧された溶液と接触する乾燥チャンバー(そこで、噴霧溶液は蒸発し、粒子が形成される乾燥チャンバー)へのその移送のためのモジュールと、一般にサイクロンおよび/または好適なフィルターを含む、粒子を集めるためのモジュールとを含む。
【0178】
一般に、溶液を噴霧化するまたは噴霧するための装置は、圧縮ガス噴霧器または分散タービンである。超音波ノズルをまた、溶液を噴霧するために使用することができる。
【0179】
本発明の噴霧乾燥プロセスにおいて、一般に重炭酸塩の水溶液が使用される。添加物がそれに可溶性である、他の極性溶媒または極性溶媒の混合物、例えば水とエタノールとの混合物が使用されてもよいが、水が好ましい溶媒である。
【0180】
本発明の噴霧乾燥方法において、噴霧乾燥される水溶液は、1~10重量%の重炭酸塩成分を含む。溶液中の重炭酸塩成分は好ましくは、アルカリ金属重炭酸塩である。噴霧乾燥される溶液は、1~10,000ppmの添加物またはその塩をさらに含む。使用される添加物は好ましくは、本発明の粒状重炭酸塩について上に記載されたようなものの1つである。好ましい実施形態において、噴霧乾燥される溶液中の添加物の含量は、噴霧乾燥される溶液の1kg当たり1~5,000ppm、より好ましくは1~3,000ppm、特に10~2,000ppm、例えば50~1,000ppmの添加剤である。一般に、水溶液は、水溶液の1kg当たり、少なくとも1mg、好ましくは少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、さらに好ましくは少なくとも100mgの添加剤を含む。一般に、水溶液は、水溶液の1kg当たり、最大でも2,000mg、好ましくは最大でも1,500mg、より好ましくは最大でも1,200mgの添加剤を含む。塩の場合、重量百分率は、遊離の塩基/酸に基づいて示される。
【0181】
一般に、機能化粒状重炭酸塩の製造方法における噴霧乾燥プロセスにおいて、水溶液は、1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは4重量%以上、特に5重量%以上の金属重炭酸塩成分を含む。好ましくは、重炭酸塩成分は、重炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸カリウムを含むか、またはそれらから本質的になり、特に重炭酸ナトリウムを含むか、またはそれから本質的になる。水溶液中の重炭酸ナトリウム成分の高濃度は、噴霧または噴霧化装置の高速閉塞をもたらすので有害である。それ故、水溶液が10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下の重炭酸塩成分、特に重炭酸ナトリウムを含むことが一般に推奨される。好ましくは、重炭酸塩含有溶液は、1重量%~10重量%、有利には3重量%~8重量%、より有利には、4重量~6重量%などの、4重量%~8重量%の重炭酸塩成分、特に重炭酸ナトリウムを含む水溶液である。
【0182】
高温ガスでの乾燥は、アルカリ金属重炭酸塩の一部を炭酸ナトリウム、COおよび水の形態へ分解させる。本発明の1つの有利な実施形態において、噴霧乾燥は、乾燥ガス基準で少なくとも5容積%、有利には少なくとも10容積%、より有利には少なくとも20容積%、さらに有利には少なくとも30容積%のCOを含むガス中で実施される。これは、炭酸塩固体およびCOガスおよび水蒸気への重炭酸塩分解を制限することを可能にする。一般に、噴霧乾燥は、40~220℃に予熱されたガスを使って実施される。有利には噴霧乾燥は、噴霧乾燥チャンバー中で実施され、ここで、ガスは予熱された後に、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、さらに好ましくは少なくとも70℃で噴霧乾燥チャンバーへ導入される。また有利には、ガスは予熱された後に、最大でも220℃、好ましくは最大でも200℃、より好ましくは最大でも180℃、さらに好ましくは最大でも130℃で噴霧乾燥チャンバーへ導入される。
【0183】
噴霧乾燥操作後のガスの温度が最大でも80℃、有利には最大でも70℃、より有利には最大でも60℃であることが好ましい。
【0184】
機能化粒状重炭酸塩の製造方法における一実施形態において、水溶液は、噴霧乾燥操作中に噴霧される前に、少なくとも20℃、好ましくは最大でも80℃の温度に予熱される。特定の一実施形態において、水溶液は、噴霧乾燥操作中に噴霧される前に、少なくとも20℃および最大でも25℃の温度に予熱される。
【0185】
本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、共すり潰しを受けている物質の100重量部当たり0.02~10重量部の添加物の存在下でなどの、添加物の存在下で重炭酸塩成分の共すり潰しを含んでもよい。重炭酸塩成分および添加物は好ましくは、上に定義されたとおりである。
【0186】
共すり潰しによる機能化粒状重炭酸塩の調製方法において、当技術分野で公知であるような全ての好適なすり潰し手順を用いることができる。
【0187】
典型的な装置には、その中で材料が可動機械部品の衝撃を受けるにつれてミリングされ、材料の粒子を粉々にする効果を有するミルである、インパクトミルが含まれる。インパクトミルは、微細ミリング技術分野において周知である。そのようなミルには、ハンマーミル、スピンドルミル、摩砕機ミル、ジェットミル、遊星ボールミルなどの、ボールミル、およびケージミルが含まれる。そのようなミルは、例えばGrinding Technologies and System SRLによってまたはHosokawa Alpine AGによって製造され、入手可能である。最も好ましくは、Alpine LGM 3が使用される。アルカリ金属重炭酸塩粒子の調製方法において、アルカリ金属重炭酸塩は、添加剤、すなわち上で定義されたようなアミノ酸の存在下ですり潰される。重炭酸塩および添加物の全量が一度にミルへ添加され、引き続きミリングされるか、または好ましくは重炭酸塩および添加剤が一定の速度でミリング装置に供給されるかのどちらかである。重炭酸塩についての好適な速度は、50kg/h~500kg/h、好ましくは100kg/h~400kg/h、例えば約150kg/hである。添加物の量は、使用される重炭酸塩成分と添加物との重量比に対応する。例えば、重炭酸塩成分が、共すり潰しを受けている物質の100重量部当たり1重量部の添加物の存在下で共すり潰しされる場合、添加物の供給速度は、重炭酸塩成分の供給速度の1%にすぎない。
【0188】
共すり潰しによる機能化粒状重炭酸塩の調製方法における添加物(例えば、ポリマー、樹脂酸、脂肪酸、カルボン酸、アミノ酸、それらの誘導体、もしくはそれらの塩、またはそれらの組み合わせ)の量は、共すり潰しを受けている物質の100重量部当たり0.02~10重量部である。0.02重量部よりも下であり、添加物は低い効能しかない。10重量部より多い量の添加物を使用すると、コスト理由で不利である。好ましい量は、共すり潰しを受けている物質(典型的には重炭酸塩成分および少なくとも1つの添加物)の100重量部当たりそれぞれ、0.2~8重量部の添加物、より好ましくは0.5~5重量部の添加物、さらにより好ましくは0.8~2重量部の添加物、特に約1重量部の添加物である。
【0189】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での、スプレーコーティングを含んでもよい。流動床内でのスプレーコーティングは、粉末(重炭酸塩成分の固体粒子)が流動化チャンバーへ供給される技術である。ガスは、グリッドを通してチャンバー底部からの粉末を流動化させる。溶解形態で、および/または分散した固体形態で添加物を含む液体(例えば溶液、エマルジョン、懸濁液、溶融液、メルトエマルジョンまたは溶融懸濁液)が、粒子上へ層またはコーティングを塗布するために流動化粉末中へ噴霧される。
【0190】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での、噴霧造粒を含んでもよい。流動床噴霧造粒は、液体からの自由流動性顆粒の製造方法である。水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶融液、メルトエマルジョンまたは溶融懸濁液などの、固形分を含有する液体が、流動床システム中へ噴霧される。固形分は、好ましくは重炭酸塩粒子である。高い熱交換のために、液体中の水性または有機溶媒は直ちに蒸発し、固形分は、スターターコアとして小さい粒子を形成する。これらは、添加物を含有する別の液体(溶液/懸濁液)と一緒に噴霧される。ガスは、チャンバー中へ噴霧された添加物溶液/懸濁液を流動化させる。流動床における蒸発および乾燥後に、乾燥添加物は、スターターコアの周りにハードコーティングを形成する。この工程は、顆粒が成長してタマネギ状またはブラックベリー状構造を形成するように、流動床において連続的に繰り返される。タマネギ状構造は、層ごとのコーティングから得られる。あるいは、好適なスターターコアの規定容積を提供することができる。この選択肢において、液体は、適用されつつある固形分のための媒体として役立つにすぎない。
【0191】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での、噴霧集塊を含んでもよい。流動床内での噴霧集塊は、粉末または顆粒が流動化チャンバー中へ供給される技術である。ガスは、グリッドを通してチャンバー底部からの粉末を流動化させる。バインダーとして働く、液体(溶液、エマルジョン、懸濁液、溶融液、メルトエマルジョンまたは溶融懸濁液のいずれか)が、流動化粉末上に噴霧される。集塊を粒子から形成する液体ブリッジが生み出される。噴霧は、所望のサイズの集塊に達するまで続く。
【0192】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、スプレーチリング(または噴霧冷却、噴霧凍結)を含んでもよい。スプレーチリングは、溶融液、メルトエマルジョンまたは溶融懸濁液が流動化チャンバー中へ噴霧される技術である。低温ガスが流動化チャンバー中に注入される。固体粒子の固化は、溶融液液滴が流動床において低温空気に熱を失うことによって達成される。
【0193】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、ローラー圧縮を含んでもよい。ローラー圧縮は、力を粉末上へ加えることによって粉末粒子が互いに付着させられ、かなりのサイズ拡大を引き起こす技術である。粉末は、力を加えるために2つの反転ロール間で圧縮される。得られたブリケット、フレークまたはリボンは、所望の粒径に達するようにロールから破砕される。
【0194】
ある実施形態において、本発明による機能化粒状重炭酸塩の製造方法は、押出(または混合押出)を含んでもよい。押出(または混合押出)は、粉末または別の材料が、一定横断面のダイを通して押し進められる技術である。1つのスクリュー、2つのスクリューまたは一連のパドルが、混合、脱気および均質化段階を通して材料を押し進めることを支援し得る。距離に沿った温度制御は、材料の相変化、溶融、結晶化、化学反応、コーティングまたは造粒を可能にする。
【0195】
機能化粒状重炭酸塩の使用
本発明はさらに、
- 熱可塑性ポリマー、例えばPVCプラスチゾル;または
- 押出プロセスにおけるポリマー樹脂
を発泡させるための化学発泡剤としての、本明細書に記載される機能化粒状重炭酸塩の使用に関する。
【0196】
化学発泡剤
本発明はさらに、
- 熱可塑性ポリマー;または
- 押出プロセスにおけるポリマー樹脂
を発泡させるための化学発泡剤に関する。
【0197】
したがって、本発明の別の態様は、本明細書での様々な実施形態において記載されるような機能性粒状重炭酸塩を含む、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤であって、機能化粒状重炭酸塩が本明細書での様々な実施形態において記載されるような少なくとも1つの添加物を含む化学発泡剤を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1000nm以下の粒径D50を有する機能化粒状重炭酸塩を含む。
【0199】
代わりの実施形態において、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1ミクロン超および250μm以下、好ましくは30μm以下、または25μm以下の粒径D50を有する機能化粒状重炭酸塩を含む。
【0200】
機能化粒状重炭酸塩中の添加物は、非限定的な例として、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
を含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
【0201】
機能化粒状重炭酸塩と、本明細書に記載されるその機能性付与のために使用される添加物とについての任意の特定の実施形態が、ここで適用できる。
【0202】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱中に窒素ガスを遊離させる化合物を含有しない。
【0203】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱中にアンモニアを遊離させる化合物を含有しない。
【0204】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、本明細書での様々な実施形態において記載されるような機能化粒状重炭酸塩を含む吸熱性化学発泡剤である。
【0205】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、発熱性発泡剤を含有しない。
【0206】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、機能化粒状重炭酸塩を含み、別の発泡剤としての第2化合物をさらに含む。
【0207】
第2化合物は好ましくは、吸熱性発泡剤である。
【0208】
第2化合物は好ましくは、加熱時にCO2を遊離させることができる。この第2化合物は好ましくは、加熱時に機能化粒状重炭酸塩の分解によって既に形成されているCO2発生を増加させる。
【0209】
発泡剤として働くこのCO2遊離性第2化合物は、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなどの)、もしくはその塩であってもよい。
【0210】
好適なカルボン酸には、式:HOOC-R-COOH(式中、Rは、1個以上のヒドロキシ基またはケト基で置換されていてもよい、また不飽和を含有してもよい1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩および半塩もまた含まれる。
【0211】
発泡剤として働く好ましいCO2遊離性第2化合物には、
- フマル酸、
- 酒石酸、または
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが挙げられ得る。
【0212】
クエン酸のエステルには、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ-C12~13アルキル、クエン酸トリ-C14~15アルキル、クエン酸トリカプリリル、クエン酸トリエチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシルおよびクエン酸トリイソステアリル、クエン酸イソデシルおよびクエン酸ステアリル、クエン酸ジラウリル、ならびに/またはクエン酸エチル(トリ-、ジ-およびモノエステルの混合物)、好ましくはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸イソデシル、またはクエン酸トリエチルヘキシルが挙げられ得る。
【0213】
吸熱性発泡剤として働くより好ましいCO2遊離性第2化合物は、クエン酸、それのエステル、またはその塩を含むか、またはそれからなる。
【0214】
発泡剤組成物中の機能化第2化合物
CO2発生を補完する発泡剤組成物中のCO2遊離性第2化合物はまた機能化粒状形態にあってもよいことが想定される。この機能化粒状第2化合物は、機能化粒状重炭酸塩との関連で本明細書に記載されたような添加物を含むであろう。粒状第2化合物のこの機能性付与はまた、機能化粒状重炭酸塩の製造との関連で上に記載されたような1つ以上の技術を用いてもよい。
【0215】
いくつかの実施形態において、吸熱性発泡剤は、
- 様々な実施形態において本明細書に記載されたような、機能化粒状重炭酸塩;ならびに
- 機能化粒状カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなどの)、もしくはその塩
を含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0216】
特定の実施形態において、吸熱性発泡剤は、
- 様々な実施形態において本明細書に記載されたような、機能化粒状重炭酸塩;ならびに
- フマル酸、酒石酸、クエン酸、その塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、それらのエステル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、機能化粒状カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなどの)、もしくはその塩
を含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0217】
いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、両方とも、1000nm以下の粒径D50を有する、機能化粒状重炭酸塩と、機能化粒状第2化合物(例えば、機能化カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体、もしくは塩)とを含む。
【0218】
代わりの実施形態において、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、両方とも、1ミクロン超および250ミクロン以下、好ましくは30ミクロン以下の粒径D50を有する、機能化粒状重炭酸塩と、機能化粒状第2化合物(例えば、機能化カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体、もしくは塩)とを含む。
【0219】
その上代わりの実施形態において、熱可塑性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1000nm以下の粒径D50を有する機能化粒状重炭酸塩と、1ミクロン超および250ミクロン以下、好ましくは30ミクロン以下の粒径D50を有する機能化粒状第2化合物(例えば、機能化カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体、もしくは塩)とを含む。
【0220】
吸熱性発泡剤が機能化粒状重炭酸塩と、機能化粒状第2化合物(例えば、機能化カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体、もしくは塩)とを含む実施形態において、そのような発泡剤の製造方法は、以下の工程:
-A/ 第1添加物(ここで、第1添加物は、本明細書に定義されるものから選択される)を使用して機能化粒状重炭酸塩を製造し;別々に、第2添加物(ここで、第2添加物は、本明細書に定義されるものから選択される)を使用して機能化粒状第2化合物を製造し;機能化粒状重炭酸塩と機能化粒状第2化合物とを混合して吸熱性発泡剤を製造する工程;または
-B/ 粒状重炭酸塩と粒状第2化合物とを機能性付与前に混合して非機能化粒状混合物を製造し、少なくとも1つの添加物(本明細書で上に定義されるような)を使用して非機能化粒状混合物を機能化して吸熱性発泡剤を製造する工程
を含有してもよい。
【0221】
方法A/において、第1および第2添加物は、同じものであってもよいし、または異なってもよい。機能化粒状重炭酸塩および機能化粒状第2化合物を製造するための技術は、同じものであってもよいし、または異なってもよい。
【0222】
方法B/において、添加物ならびに粒状重炭酸塩および粒状第2化合物の機能性付与技術は一般に、同じものであり、したがって吸熱性発泡剤の製造におけるより少ない柔軟性をもたらす。しかしながら、この方法は、よりコスト効果的であろう。
【0223】
発泡性ポリマー組成物
本発明の別の態様は、
a)ポリマーと;
b)発泡のための化学発泡剤として使用される機能化粒状重炭酸塩と;
c)少なくとも1つのポリマー添加剤と
を含む発泡性ポリマー組成物に関する。
【0224】
発泡性ポリマー組成物は、発泡するための補完化学発泡剤として使用される機能化粒状第2化合物(本明細書に記載されるような)を任意選択的に含んでもよい。
【0225】
発泡性ポリマー組成物は、シリコーンベースのフォーム安定剤などの、フォーム安定剤を任意選択的に含んでもよい。
【0226】
発泡性ポリマー組成物中のポリマーの量は典型的には、発泡性ポリマー組成物の総重量を基準として約10重量%(または20重量%)~約90重量%の範囲である。ポリマーの量は、発泡性ポリマー組成物の所望の最終特性に合わせて選択することができる。
【0227】
本発明による1つの好ましい実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、プラスチゾルの形態にある。用語「プラスチゾル」は、液体可塑剤中のポリマー粒子の懸濁液に関する。
【0228】
好ましくは、プラスチゾルは、液体可塑剤中のポリ塩化ビニル粒子の懸濁液である。可塑剤の選択は、特に制限されず、それ故、ジオクチルフタレートまたは1,2-シクロヘキシルジカルボン酸ジイソノニルエステルなどの、一般に用いられる可塑剤を、この目的のために使用することができる。
【0229】
用語「ポリ塩化ビニル」は、塩化ビニルホモポリマーならびに塩化ビニルと、ハロゲン化モノマー(塩化ビニリデンのようなクロロオレフィン;クロロアクリレート;塩素化ビニルエーテル)かまたは非ハロゲン化モノマー(エチレンおよびプロピレンのようなオレフィン;スチレン;酢酸ビニルのようなビニルエーテル)かのどちらかである他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマー;ならびにアクリル酸およびメタクリル酸;エステル、ニトリルおよびアミドとの塩化ビニルコポリマーを示すことを意図する。塩化ビニルホモポリマーと、50~99重量%、好ましくは60~85重量%の塩化ビニルを含有する塩化ビニルコポリマーとが好ましい。
【0230】
発泡性ポリマー組成物中のプラスチゾルの量は典型的には、発泡性ポリマー組成物の総重量を基準として約20重量%~約90重量%の範囲である。プラスチゾルの量は、発泡性ポリマー組成物の所望の最終特性に合わせて選択することができる。
【0231】
発泡性ポリマー組成物中の機能化粒状重炭酸塩の量は典型的には、ポリマーの100重量部当たり5~15部の範囲である。例えば、発泡性PVCポリマー組成物について、発泡性PVCポリマー組成物中の機能化粒状重炭酸塩の量は典型的には、PVC樹脂の100重量部当たり5~15部、好ましくはPVC樹脂の100重量部当たり6~12部;より好ましくはPVC樹脂の100重量部当たり7~11部またはPVC樹脂の100重量部当たり8~10部の範囲である。
【0232】
本発明の発泡性ポリマー組成物は、さらなる成分、例えば、フォーム安定剤;脱泡剤;カーボンブラックなどの、充填材または増量剤(例えば、充填材としてのCaCO);他のポリマーおよび油;硫黄化合物などの、硬化剤および酸化亜鉛などの、硬化系の一部として働く様々な化学物質;帯電防止剤;殺生物剤;着色剤;カップリング剤;繊維強化材;難燃剤;殺真菌剤;熱安定剤;滑剤;離型剤;可塑剤(例えば、DINP=ジ-イソノニルフタレート);防腐剤;加工助剤;スリップ剤;紫外線安定剤;粘度降下剤;ならびに結果として生じる発泡ポリマーの望ましい成分であり得る任意の他の成分を含有してもよい。
【0233】
好ましいフォーム安定剤には、PVCプラスチゾル用のBYK 8020などの、シリコーンベースのフォーム安定剤が挙げられ得る。
【0234】
いくつかの実施形態において、発泡性組成物は、機能化粒状重炭酸塩以外の別の発泡剤を含有しない。
【0235】
他の実施形態において、発泡性組成物は、発熱性であるいかなる発泡剤をも含有しない。特定の実施形態において、発泡性組成物は、窒素ガスおよび/またはアンモニアを遊離させる発泡剤を含有しない。窒素ガスを遊離させる発泡剤の例は、アゾジカルボン酸ジアド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド 4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)およびp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤である。
【0236】
好ましい実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、アゾジカルボンアミドを含有しない。
【0237】
代わりのまたは追加の好ましい実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、ベンゼンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0238】
代わりのまたは追加の実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、p-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0239】
発泡性組成物の調製方法
本発明の別の態様は、上に記載されたような発泡性ポリマー組成物の調製方法であって、本方法が、
- 本明細書において提供されるような発泡性ポリマー組成物の成分(発泡性ポリマー組成物の1つの成分は機能化粒状重炭酸塩である)を混合する工程を含む方法に関する。
【0240】
発泡性ポリマー組成物の調製方法は、例えばAustenitic Stainless Steel(オーステナイト系ステンレス鋼)(304L-316Lなど)でできている、従来装置において実施することができる。本方法はまた、化学的使用のためのプラスチック、ガラスおよびセラミックスのような非金属材料で実施することができる。
【0241】
好ましくは、本方法における混合工程は、連続混合下で実施される。発泡性ポリマー組成物は比較的高い粘度を有するので、強力な混合が、均質な発泡性ポリマー組成物を得るために必要とされる。さらに、発泡影響が混合中に既に起こり始めているので、混合の速度は、短い期間内で良好な均質化を達成するために十分に高くあるべきである。好ましくは、均質化は、本方法の混合工程中に約20秒未満内で達成される。混合条件の選択は、装置の固有の特性に依存する。発泡性ポリマー組成物の調製方法の混合工程は、従来のフォーム製造におけるような任意の好適な温度で実施することができ、本プロセスは、約0℃~約30℃、例えば約20~25℃の範囲の比較的低い温度(周囲温度)で例えば実施することができる。
【0242】
例えば、PVCプラスチゾル組成物は、
- 本明細書に記載されるような粉体形態での機能化粒状重炭酸塩と、
- 少なくとも1つの可塑剤と、
- 少なくとも1つのポリ塩化ビニルポリマーと、
- 任意選択的にフォーム安定剤と;
- 任意選択的に、無機充填材などの1つ以上のポリマー添加剤と
を混合することによって調製され得る。
【0243】
好ましいフォーム安定剤には、PVCプラスチゾル用のBYK 8020などの、シリコーンベースのフォーム安定剤が挙げられ得る。
【0244】
PVCプラスチゾル組成物の成分は、高速ミキサーで分散させられ、次に真空下で脱気されてもよい。
【0245】
PVCプラスチゾル組成物は、発泡させるための補完化学発泡剤として使用される機能化粒状第2化合物(本明細書に記載されるような)を任意選択的に含んでもよい。機能化粒状第2化合物は、機能化粒状カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体、もしくは塩であってもよい。機能化粒状第2化合物は、フマル酸、酒石酸、クエン酸、その塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなどの)、それらエステル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0246】
発泡ポリマーの調製方法
本発明のさらなる態様は、発泡ポリマーの調製方法であって、上に記載された発泡性ポリマー組成物が加熱される方法に関する。したがって、発泡ポリマーの調製方法は、以下の工程:
- 本明細書に提供されるような発泡性ポリマー組成物の成分を混合する工程と;
- 混合から得られた発泡性ポリマー組成物を加熱する工程と
を含むことができる。
【0247】
好ましくは、加熱工程は、混合工程の完了後直ちに実施される。
【0248】
発泡ポリマーの調製方法は、押出または延展などの造形工程を含んでもよい。好ましくは、加熱工程は、混合工程および造形工程の完了後直ちに実施される。
【0249】
加熱工程は、樹脂およびプラスチゾルの組成次第で、約120℃から約220℃まで、または約120℃から約210℃まで、または約120℃から約200℃までの温度で実施することができる。
【0250】
加熱工程における加熱時間は、プラスチゾルの処方、材料の形状、温度などに依存する。上述の発泡性ポリマー組成物からの発泡ポリマーの調製方法において、発泡剤としての機能化粒状重炭酸塩の存在下での加熱期間中のゲル化時間は、(全ての他の成分は同じもののままであるが)発泡剤としてのアゾジカルボンアミドの存在下でのものよりも短い。
【0251】
発泡性ポリマー組成物が機能化粒状重炭酸塩を含む場合、ポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でのゲル化時間は好ましくは、125秒未満、特に90秒未満、好ましくは80秒以下、または70秒以下、またはより好ましくは60秒以下などの、180秒未満である。
【0252】
PVCプラスチゾルに関して、結果として生じた液体PVCペースト(プラスチゾル)は、表面(例えば、紙、特にシリコーンペーパー)上に一定厚さで散布コートし、120秒~30秒の時間、好ましくは120秒~60秒の時間、より好ましくは120秒~90秒の時間などの、130秒未満の時間、硬化(ゲル化)温度(一般に、180℃~210℃、または185℃~210℃、または190℃~210℃、または200℃~210℃などの、150℃~210℃または200℃)に設定されたオーブン(例えば、Thermosol Werner Mathis)中で加熱することができる。
【0253】
一般に、プラスチゾルがゲル化温度に保持される時間は、使用される発泡剤に依存する。良好な体験および膨張率のポリマーフォームが、100秒未満、特に、50~70秒の範囲のなどの、80秒未満のむしろ短いゲル化時間で得られる発泡剤としてのアミノ酸、特にロイシンについてなどの、いくつかの発泡剤については、より短いゲル化時間が有利であり得る。アミノ酸で機能化されている重炭酸塩粒子については、短い時間での良好な結果はまた、ゲル化温度が、特に175~195℃の範囲の、200℃よりも下などの、むしろ低い場合に特に達成される。ステアリン酸が本発明の機能化粒状重炭酸塩中の添加物として使用される場合、アミノ酸添加物についてと同じゲル化時間およびゲル化温度が好ましい。
【0254】
PVCポリマーの製造方法のいくつかの実施形態について、発泡性組成物が加熱される場合、機能化粒状重炭酸ナトリウムからCO2ガスを遊離させるのに、PVCポリマーを溶融させるのに好適な温度は、発泡PVCポリマーを提供するための温度で90秒~120秒のゲル化時間中に、190~210℃、好ましくは200~210℃であり得る。
【0255】
発泡性ポリマー組成物が、加熱およびポリマー溶融前に表面上に散布コートされる場合、発泡ポリマーは、少なくとも270、好ましくは少なくとも280、より好ましくは少なくとも300の膨張比を有してもよい、および/または0.6g/cm未満、好ましくは0.55g/cm未満、より好ましくは最大でも0.5g/cmの密度を有する。膨張比は、その層がオーブン中で加熱される時の発泡性ポリマー組成物の散布コートされた層の初期厚さで割った、最終厚さの比に基づいて計算される。
【0256】
発泡剤と、上で考察された発泡性ポリマー組成物とを使用して生み出される発泡ポリマー製品は、押出、カレンダーかけ、射出成形、コーティング、膨張キャスティングまたは回転成形を含む方法によって製造することができる。
【0257】
発泡ポリマー
本発明のさらなる態様は、上で記載されたような発泡性組成物から得られる、発泡ポリマーに関する。
【0258】
本発明の一実施形態において、発泡ポリマーは、可撓性発泡ポリマーである。この実施形態において、発泡または押出ポリマーは好ましくは、可撓性ポリ塩化ビニルであり、有利には、
- 床材用途向けに;
- ベースとする壁紙フォームの製造向けに;
- 人造皮革として;または
- 工業用フォームとして
使用することができる。
【0259】
機能化粒状重炭酸塩は好ましくは、発泡または押出ポリマー(発泡PVCまたはポリウレタン;押出PVC、ポリオレフィン、ポリアミドなど)用の発泡剤として使用され、好ましくは吸熱性発泡剤として使用される。ポリマーの非限定的な例は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリオレフィン(PO、PE、PP)、スチレン系(PS、ABS、ASA、SAN)、エンジニアリング樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリイミド、ならびに天然ゴムおよび合成ゴム、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)またはクロロプレンゴム(CR)などである。
【0260】
発泡性ポリマー組成物が、加熱およびポリマー溶融前に表面上に散布コートされる場合、発泡ポリマーは、少なくとも270、好ましくは少なくとも280、より好ましくは少なくとも300の膨張比を有し得る。膨張比は、その層がオーブン中で加熱される時の発泡性ポリマー組成物の散布コートされた層の初期厚さで割った、最終厚さの比に基づいて計算される。膨張比は、270から450まで、または280から445まで、または290から440まで、または300から440までであってもよい。
【0261】
いくつかの実施形態において、発泡ポリマーは、0.65g/cm未満のまたは0.6g/cm未満、好ましくは0.58g/cm未満、より好ましくは最大でも0.55g/cm、最も好ましくは最大でも0.5g/cmまたは最大でも0.45g/cmの密度のPVCフォームである。PVCフォームが、少なくとも1つの添加剤とともに機能化粒状殺生物剤を含有する発泡性PVC組成物でできているいくつかの実施形態において、PVCフォームは、0.3~0.65g/cmの密度、好ましくは0.33~0.58g/cmの密度、より好ましくは0.33~0.5g/cmの密度、または実に0.33~0.45g/cmの密度を有する。添加物は好ましくは、蜜ろう、カルナバ・ワックス、グリセロールモノステアレート、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ化大豆油、アラビアゴム、リノール酸、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ラウリン酸、ロジン酸、デンプン、ステアリン酸、ポリオキシエチレン化合物(BIK3155、ポリエチレングリコール、例えば、PGE400、PEG4000のような)、ロイシン、およびそれらの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0262】
本発明は、本明細書において述べられる添加物の効果の発見に基づくものであり、それについて本方法の異なる変形および/または本方法の前記変形によって得られる生成物の異なる変形が以下により詳細に記載される。
【0263】
項目1.押出プロセスにおいて熱可塑性ポリマー前駆体、例えばPVCプラスチゾルまたはポリマー樹脂を発泡させるための化学発泡剤であって、
前記化学発泡剤が、機能化粒状重炭酸塩を含み、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩が少なくとも1つの添加物を含有し、
ここで、化学発泡剤が、加熱中に窒素ガスを遊離させる化合物を含有せず;そして
ここで、機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
である化学発泡剤。
【0264】
項目2.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、アミノ酸、その誘導体、またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、好ましくはカゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、より好ましくはロイシンである、項目1に記載の化学発泡剤。
【0265】
項目3.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、脂肪酸、その誘導体(エステルなど)、またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、項目1に記載の化学発泡剤。
【0266】
項目4.官能化粒状重炭酸塩が重炭酸ナトリウムを含む、項目1~3のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0267】
項目5.機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも50重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、50重量%以下~0.02重量%の前記添加物とを含む、項目~4のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0268】
項目6.機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも90重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、10重量%以下~0.02重量%の前記添加物とを含む、項目1~5のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0269】
項目7.機能化粒状重炭酸塩の粒子が、1μm超および最大でも25μmのD50の粒度分布を有する、項目1~6のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0270】
項目8.機能化粒状重炭酸塩の粒子が、最大でも1μmのD50の粒度分布を有する、項目1~6のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0271】
項目9.機能化粒状重炭酸塩が、以下の方法の少なくとも1つによって:
- 添加物が重炭酸塩含有溶液に溶かされている、噴霧乾燥(噴霧化としても知られる)によって、
- エマルジョンもしくは粉体形態での添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリング、おしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
- 流動床内での噴霧集塊によって、
- スプレーチリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- ローラー圧縮によって、および/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
得られる、項目1~8のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0272】
項目10.加熱時にCO2を遊離させる第2化合物であって、前記第2化合物が、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩からなる群から選択される第2化合物をさらに含む、項目1~9のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0273】
項目11.前記第2化合物が、機能化粒状重炭酸塩中のものと異なるかもしくは同じものである少なくとも1つの添加物で機能化されている、項目10に記載の化学発泡剤。
【0274】
項目12.前記第2化合物が、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル;またはそれらの組み合わせ
の少なくとも1つである、項目10または11に記載の化学発泡剤。
【0275】
項目13.ポリマーと、任意選択的に発泡安定剤と、項目1~12に記載の化学発泡剤とを含む、発泡性ポリマー組成物。
【0276】
項目14.ポリマーが、PVC、ポリウレタン。ポリオレフィン、またはポリアミドである、項目13に記載の発泡性ポリマー組成物。
【0277】
項目15.PVC樹脂と、任意選択的に発泡安定剤と、項目1~12に記載の化学発泡剤とを含む、発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【0278】
項目16.アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、および/またはp-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない、項目15に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【0279】
項目17.機能化粒状重炭酸塩を含む項目13または14に記載の発泡性ポリマー組成物を、CO2ガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、90秒未満であるゲル化時間中にポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でポリマーを溶融させる工程を含む、ポリマーの製造方法。
【0280】
項目18.ポリマーが、PVC、ポリウレタン、ポリオレフィン、またはポリアミドである、項目17に記載の方法によって得られるポリマー。
【0281】
項目19.機能化粒状重炭酸塩を含む項目15または16に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物を、CO2ガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、ゲル化時間中にPVC樹脂を溶融させる工程であって、機能化微粒子を含む化学発泡剤での前記ゲル化時間が、N2を遊離させる化学発泡剤で得られるであろうゲル化時間よりも短く、発泡性PVCプラスチゾル組成物中の全ての他の成分が同じものである工程を含む、ポリマーの製造方法。
【0282】
項目20.項目19の方法によって得られる発泡PVC。
【0283】
項目21.押出プロセスにおいて熱可塑性ポリマー前駆体、例えばPVCプラスチゾルまたはポリマー樹脂を発泡させるための化学発泡剤であって、
前記化学発泡剤が、機能化粒状重炭酸塩を含み、
ここで、前記機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも1つの添加物を含有し、
ここで、機能化粒状重炭酸塩中の前記添加物が、少なくとも1つの以下の化合物:
- 1つ以上のポリマー;
- 1つ以上のアミノ酸、その誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の無機塩;
- 1つ以上の油;
- 1つ以上の脂肪;
- 1つ以上の樹脂酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- 1つ以上の脂肪酸、その任意の誘導体、およびその塩;
- カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩;
- 1つ以上の石鹸;
- 1つ以上のワックス;または
- それらの任意の組み合わせ
である化学発泡剤。
【0284】
項目22.発泡剤が、発熱性発泡剤であるいかなるさらなる発泡剤をも含有しない、項目21に記載の化学発泡剤。
【0285】
項目23.化学発泡剤が、加熱中に窒素ガスを遊離させる化合物を含有しない、項目21または22に記載の化学発泡剤。
【0286】
項目24.化学発泡剤が、加熱中にアンモニアガスを遊離させる化合物を含有しない、項目21~23のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0287】
項目25.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、アミノ酸、その誘導体、またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、好ましくはカゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、より好ましくはロイシンである、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0288】
項目26.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、脂肪酸、その誘導体(エステルなど)、またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、グリセロールモノステアレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、より好ましくはラウリン酸である、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0289】
項目27.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、ポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体、ポリ(メタ)アクリレートおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、多糖類およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、好ましくはポリビニルアルコール、ならびにポリエチレングリコールを含むポリオキシアルキレンおよびその誘導体からなる群から選択されるポリマーである、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0290】
項目28.多糖類が、変性デンプン、特に部分加水分解デンプン、マルトデキストリン、アラビアゴムおよびそれらの組み合わせからなる群、より好ましくはマルトデキストリンから選択される、項目27に記載の化学発泡剤。
【0291】
項目29.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、少なくとも1つの樹脂酸、それの任意の誘導体、およびその塩、より好ましくはロジン酸である、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0292】
項目30.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、少なくとも1つの油、好ましくは植物油もしくはそれの任意の誘導体、より好ましくはエポキシ化大豆油である、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0293】
項目31.機能化粒状重炭酸塩中の添加物が、蜜ろう、カルナバ・ワックスおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのワックスである、項目21~24のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0294】
項目32.機能化粒状重炭酸塩が重炭酸ナトリウムを含む、項目21~31のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0295】
項目33.機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも50重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、50重量%以下~0.02重量%の少なくとも1つの前記添加物とを含む、項目21~32のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0296】
項目34.機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも65重量%および100重量%未満の重炭酸塩成分と、35重量%以下~0.02重量%の少なくとも1つの前記添加物とを含む、項目21~33のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0297】
項目35.機能化粒状重炭酸塩の粒子が、1μm超および最大でも250μm、好ましくは最大でも100μm、より好ましくは最大でも60μm、その上より好ましくは最大でも40μm、その上最も好ましくは最大でも25μmのD50の粒度分布を有する、項目21~34のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0298】
項目36.機能化粒状重炭酸塩の粒子が、最大でも1μmのD50の粒度分布を有する、項目21~34のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0299】
項目37.機能化粒状重炭酸塩が、以下の方法の少なくとも1つによって:
- 添加物が重炭酸塩含有溶液に溶かされている、噴霧乾燥(噴霧化としても知られる)によって、
- エマルジョンもしくは粉体形態での添加物とのすり潰しもしくは共すり潰し(ミリングもしくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティングおよび造粒によって、
- 流動床内での噴霧集塊によって、
- スプレーチリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- ローラー圧縮によって、および/または
- 同時混合/押出を含む、押出によって
得られる、項目21~36のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0300】
項目38.機能化粒状重炭酸塩が、少なくとも1つの前記方法によって得られ、その平均粒径を低減するためにミリングにさらにかけられる、項目37に記載の化学発泡剤。
【0301】
項目39.加熱時にCO2を遊離させる第2化合物であって、前記第2化合物が、カルボン酸もしくはポリカルボン酸、その誘導体(エステルなど)、もしくはその塩からなる群から選択される第2化合物をさらに含む、項目21~38のいずれか一つに記載の化学発泡剤。
【0302】
項目40.前記第2化合物が、機能化粒状重炭酸塩中のものと異なるもしくは同じものである少なくとも1つの添加物、好ましくは同じ添加物で機能化されている、項目39に記載の化学発泡剤。
【0303】
項目41.前記第2化合物が、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、もしくはクエン酸のエステル;またはそれらの組み合わせ
の少なくとも1つである、項目39または40に記載の化学発泡剤。
【0304】
項目42.ポリマーと、任意選択的に発泡安定剤と、項目21~41のいずれか一つに記載の化学発泡剤とを含む、発泡性ポリマー組成物。
【0305】
項目43.ポリマーが、PVC、ポリウレタン、ポリオレフィン、またはポリアミドである、項目42に記載の発泡性ポリマー組成物。
【0306】
項目44.PVC樹脂と、任意選択的に発泡安定剤と、項目21~41のいずれか一つに記載の化学発泡剤とを含む、発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【0307】
項目45.アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、および/またはp-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない、項目44に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物。
【0308】
項目46.機能化粒状重炭酸塩を含む項目42または43に記載の発泡性ポリマー組成物を、CO2ガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、130秒未満であるゲル化時間中にポリマーのガラス転移温度Tgよりも上のおよび/または溶融温度Tmよりも上の温度でポリマーを溶融させる工程を含む、ポリマーの製造方法。
【0309】
項目47.ポリマーが、PVC、ポリウレタン、ポリオレフィン、またはポリアミドである、項目46に記載の方法によって得られる発泡ポリマー。
【0310】
項目48.機能化粒状重炭酸塩とPVC樹脂とを含む項目44または45に記載の発泡性PVCポリマー組成物を、発泡PVCポリマーを提供するために、CO2ガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、190~210℃、好ましくは200~210℃の温度で90秒~120秒のゲル化時間中にPVCポリマーを溶融させる工程を含む、PVCポリマーの製造方法。
【0311】
項目49.発泡性ポリマー組成物が、加熱および溶融前に表面上に散布コートされ、発泡ポリマーが、少なくとも270、好ましくは少なくとも280、より好ましくは少なくとも300の膨張比を有するおよび/または0.6g/cm未満、好ましくは0.55g/cm未満、より好ましくは最大でも0.5g/cmの密度を有する、項目48に記載の方法。
【0312】
項目50.機能化粒状重炭酸塩を含む項目44または45に記載の発泡性PVCプラスチゾル組成物を、CO2ガスを遊離させるのに好適な温度で加熱し、ゲル化時間中にPVC樹脂を溶融させる工程であって、機能化微粒子を含む化学発泡剤での前記ゲル化時間が、N2を遊離させる化学発泡剤で得られるであろうゲル化時間よりも短く、発泡性PVCプラスチゾル組成物中の全ての他の成分が同じものである工程を含む、ポリマーの製造方法。
【0313】
項目51.項目48、49または50のいずれか一つに記載の方法によって得られる発泡PVC。
【0314】
以下の実施例は、本発明、および当業者が容易に理解できるそれの変形の非限定的な例示の目的で示される。
【実施例
【0315】
共ミリング
ミリングは、分級器を備えた、Jaeckering製のUltraRotor III機器において連続的に行った。重炭酸ナトリウム粒子を、室温で空気注入下に10~300kg/hでミルの底部にロードした。混合物中の機能性付与添加物の所望の重量含量に達するために機能性付与添加物をミルの中間レベルに添加した。ミル回転速度および分級器回転速度は、所望の粒度分布に達するように選択した。
【0316】
押出-混合
押出-混合プロセスは、注入口ポイントおよびパドルを有するHASLER Group製のUCP25機器において連続的に行った。重炭酸ナトリウム粒子を、1~2kg/hでUCP25注入口ポイントにロードした。機能性付与添加物を、0.1~1kg/hで、主注入口ポイントの2、3センチメートル後にロードした。パドルの回転速度は50rpmであった。機器温度を室温に保った。
【0317】
押出-混合後のミリング
押出-混合プロセスを出る機能化重炭酸ナトリウム生成物を、0.5~10kg/hのローディング速度でHosokawa Alpine製のUPZ100ミルの最上部に連続的に注入した。ミルは、10,000~17,000rpmで選択されるローター回転速度を有し、ミルは室温で運転された。
【0318】
集塊(→FB集塊+ミリング)
流動床集塊プロセスからの生成物を、Hosokawa Alpine製のUPZ100ミルの最上部に注入した。配合重炭酸ナトリウムを0.5~10kg/hでロードし、ミルローター回転速度を10,000~17,000rpmで選択した。プロセス温度は室温であった。
【0319】
流動床スプレーコーティング(→FBコーティング+ミリング)
スプレーコーティングは、流動化チャンバー、粒子をロードするための手段、一般に液体形態の機能性付与添加物を注入するための手段、およびそのチャンバーの底部に流動化ガスを注入するための手段を含むDMR Prozesstechnologie製の回分流動床WFP-ミニ機器において行った。重炭酸ナトリウム粒子を最初に、流動化チャンバーに100g~1kgロードした。流動化空気を10℃から100℃に加熱し、その流量は、10~40m/hであった。機能性付与添加物を含有する液体を、20~90℃の温度でチャンバー底部から噴霧した。液体は一般に、溶媒中の機能性付与添加物の溶液、好ましくは1~80重量%の濃度の水溶液であった。溶媒(例えば、水)を蒸発させ、重炭酸ナトリウム粒子上へ(一般に結晶化によって)機能性付与添加物をコートするためにこの液体を20g/分以下の流量下で噴霧した。コートされた機能性付与添加物の含量は、1~70重量%であった。
【0320】
スプレーコーティング後に得られた生成物を一般にミルにかけた。流動床コーティングプロセスから出るスプレーコートされた粒子を、0.5~10kg/hのローディング速度でHosokawa Alpine製のUPZ100ミルの最上部に注入し、ミルは、10,000~17,000rpmで選択されるローター回転速度を有し、室温で運転された。
【0321】
PVCプラスチゾルの調製
PVCプラスチゾルの製造方法は一般に、以下の工程に従う:
- PVC樹脂の重量を、2リットルのステンレス鋼ポット中で測定し、処方の残りを別々に秤量する工程;
- ステンレス鋼ポットを、解膠シャーブレード(ローターブレード直径70mm)付きの水圧ミキサー(Pendraulik)下に置く工程
- 無機充填材、可塑剤および発泡剤の添加中250回転/分で攪拌する工程
- 粉末が懸濁するとすぐに、45秒間4200回転/分で攪拌する工程(温度 約40~50℃、より高いかき混ぜの場合、Tは60~70℃に上昇し得る)
- 気泡をつぶすための真空準備の工程。調製のレベルがビーカー中まで上昇した場合、気泡をより速く除去するためにビーカーを作業台上で軽くたたく工程。
- 調製のレベルが真空の存在下で安定している場合、真空を切る前に5分を数え、次に空気ストリッピングをやめる工程。
- 発泡を回避するために、フォーム安定剤(BYK供給業者製など)を任意選択的に添加する工程
- 事前設定温度、通常T=190、200または210℃でのWerner Mathisオーブンにおいて温度設定する工程
- 紙(実施例1~12においてはシリコーンペーパーおよび実施例13~51においては普通紙(Claire Fontaine製の))を設置し、10秒間加熱して紙から残留水を除去する工程
- プラスチゾル混合物を、750ミクロンの厚さに紙上に広げる工程、
- PVCプラスチゾルをゲル化のために2分以下(通常、60秒、90秒、120秒)加熱する工程、
- プラスチゾルを紙から取り外すためにプラスチゾルが冷えるまで待つ工程。
【0322】
次の化学物質を実施例に使用した:
【0323】
【0324】
実施例1(発明に従っていない)
実施例2~4
添加物=ロイシン(発明に従った)
機能化重炭酸ナトリウムは、1000ppmロイシン(アミノ酸添加物としての)と一緒に重炭酸ナトリウムを噴霧乾燥させることによって調製した。
【0325】
実施例2~4について、PVCプラスチゾル組成物は、粉体形態での機能化重炭酸ナトリウムを発泡剤として使用することによって調製した。粉体形態での機能化重炭酸ナトリウムを、少なくとも1つの可塑剤、少なくとも1つのポリ塩化ビニルポリマー、および任意選択的に、無機充填材などの1つ以上のポリマー添加剤の存在下で混合した。
【0326】
実施例1のPVCプラスチゾル組成物は、アゾジカルボンアミドを発泡剤として使用することによって調製した。実施例1のプラスチゾルの他の成分は、実施例2~4に使用されるものと同じものであった。
【0327】
表1に述べられるような具体的な成分および量を選択した。
【0328】
各実施例において、成分を高速ミキサーで分散させ、それらを混合し、真空下に脱気した。
【0329】
結果として生じた実施例1~4の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、シリコーンペーパー上に約0.75mmの厚さで散布コートし、それぞれ、実施例1(対照)については120秒間、または実施例2~4(発明)については60、80、120秒間、185℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱した。
【0330】
フォームの表面および構造を目視により評価した。膨張率は、初期厚さで割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の最終厚さと、それがWerner Mathisオーブン加熱を通る前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは約0.75mm)との間の差の比であった。膨張比は、散布コートされた層の厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、発泡生成物の最終厚さの比として計算した。結果を表1に提供し、表中、「PCR」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0331】
【0332】
実施例5~8(発明に従っていない)
実施例6~8について、PVCプラスチゾル組成物は、粉体形態での非機能化重炭酸ナトリウムを発泡剤として使用することによって調製した。粉体形態での非機能化重炭酸ナトリウムを、少なくとも1つの可塑剤、少なくとも1つのポリ塩化ビニルポリマー、および任意選択的に、無機充填材などの1つ以上のポリマー添加剤の存在下で混合した。実施例5のPVCプラスチゾル組成物は、アゾジカルボンアミドを発泡剤として使用することによって調製した。実施例5のプラスチゾルの他の成分は、実施例6~8に使用されるものと同じものであった。表2に述べられるような具体的な成分および量を選択した。表2中の「PCR」は、樹脂の重量部を意味する。各実施例5~8において、成分を高速ミキサーで分散させ、それらを混合し、真空下に脱気した。
【0333】
結果として生じた実施例5~8の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、シリコーンペーパー上に約0.75mmの厚さで散布コートし、120秒間、185℃で、ゲル化期間で設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱した。
【0334】
発泡剤として非機能化重炭酸塩を使った実施例6~8は、アゾジカルボンアミドを発泡剤として使用する実施例5と比べて不十分な膨張結果を与えた。ゲル化後に、実施例6~8のPVCプラスチゾル表面は、ポリマーメルト中の気泡の表面癒着のサインである非常にザラザラした外観を有した。
【0335】
【0336】
実施例9(発明に従っていない)
実施例10~12(発明に従った)
機能性付与添加物=ステアリン酸
機能化重炭酸ナトリウムは、2重量%ステアリン酸(脂肪酸添加物としての)と一緒に重炭酸ナトリウムを共すり潰しすることによって調製した。
【0337】
実施例10~12について、PVCプラスチゾル組成物は、粉体形態での機能化重炭酸ナトリウムを発泡剤として使用することによって調製した。粉体形態での機能化重炭酸ナトリウムを、少なくとも1つの可塑剤、少なくとも1つのポリ塩化ビニルポリマー、および任意選択的に、無機充填材などの1つ以上のポリマー添加剤の存在下で混合した。実施例9のPVCプラスチゾル組成物は、アゾジカルボンアミドを発泡剤として使用することによって調製した。実施例9のプラスチゾルの他の成分は、実施例10~12に使用されるものと同じものであった。表3に述べられるような具体的な成分および量を選択する。
【0338】
各実施例において、成分を高速ミキサーで分散させ、それらを混合し、真空下に脱気した。
【0339】
結果として生じた実施例9~12の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、シリコーンペーパー上に約0.75mmの厚さで散布コートし、それぞれ、実施例9(対照)については120秒間、または実施例10~12(発明)については60、80、120秒間、185℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱した。
【0340】
フォームの表面および構造を目視により評価した。膨張率は、初期厚さで割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の最終厚さと、それがWerner Mathisオーブン加熱を通る前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは約0.75mm)との間の差の比であった。膨張比は、散布コートされた層の厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、発泡生成物の最終厚さの比として計算した。結果を表3に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0341】
【0342】
より短いゲル化時間(190℃で1分)で試験された場合、重炭酸ナトリウムの存在下で得られた結果は、
・コーティング表面の得られた外観の、および
・ポリマー膨張率の
観点から、アゾジカルボンアミドを使った配合物で得られたものに匹敵する。
【0343】
1分よりも長いゲル化時間(80秒および120秒)まで実施された試験は、機能化重炭酸塩をベースとするプラスチゾルからザラザラした表面外観を有する表面を示し、気泡癒着が気泡構造中に起こっていることを意味する。
【0344】
実施例13(発明に従っていない)
発泡剤=アゾジカルボンアミド
実施例13のPVCプラスチゾル組成物は、アゾジカルボンアミドを発泡剤として使用することによってDispermat装置において調製した。使用されるアゾジカルボンアミド製品は、75重量%アゾジカルボンアミドと、25重量%分解促進剤(酸化亜鉛/ステアリン酸亜鉛)とからなるGenitron SCE(Lanxess)であった。プラスチゾルの成分を高速ミキサーで分散させ、次に混合し、真空下に脱気した。結果として生じた実施例13の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、紙(Claire Fontaine)の一片上に約0.75mmの厚さで散布コートし、90または120秒間、200または210℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱する。
【0345】
膨張率は、初期厚さで割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の最終厚さと、それがWerner Mathisオーブン加熱を通る前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは約0.75mm)との間の差の比であった。膨張比は、散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、発泡生成物の最終厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張率、膨張比、およびPVCフォームの密度を表4に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0346】
【0347】
実施例14(発明に従った)
機能性付与添加物=蜜ろうを使用
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子を蜜ろうで流動床においてスプレーコーティングし、次にミリングすることによって調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例14A(20重量%蜜ろう)と特定される。
【0348】
実施例14について、PVCプラスチゾル組成物は、Dispermat装置において調製した。各実施例において、プラスチゾルの成分を高速ミキサーで分散させ、次に混合し、真空下に脱気した。結果として生じた実施例14の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、紙(Claire Fontaine)の一片上に約0.75mmの厚さで散布コートし、90または120秒間、200または210℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱する。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算する。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表5に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0349】
【0350】
実施例15(発明に従った)
機能性付与添加物=カルナバ・ワックス
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子とカルナバ・ワックスとの押出、次にミリングによって調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例15A(10重量%カルナバ・ワックス)と特定される。
【0351】
実施例15について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算する。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表6に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0352】
【0353】
実施例16~17(発明に従った)
機能性付与添加物=グリセロールモノステアレート
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としてのグリセロールモノステアレート(GMS)との押出、次にミリングによって調製した。機能化重炭酸ナトリウムの別の例は、重炭酸ナトリウム粒子とGMSとの噴霧集塊、次にミリングによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例16A(25重量%GMSと噴霧集塊された)および実施例17A(10重量%GMSと押し出された)と特定される。
【0354】
実施例16~17について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表7に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0355】
【0356】
【0357】
実施例18(発明に従った)
機能性付与添加物=Eudragit RL 30D(ポリ(メタ)アクリレート)
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としてのポリマーを表すEvonikから入手可能なEudragit(登録商標)RL 30Dの銘柄名でのポリ(メタ)アクリレートとの押出、次にミリングによって調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例18A(4重量%Eudragit(登録商標)RL 30D)と特定される。
【0358】
実施例18について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表8に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0359】
【0360】
実施例19~20(発明に従った)
機能性付与添加物=エポキシ化大豆油
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物を表すエポキシ化大豆油(Galata ChemicalsからHSE Drapex 39および392として販売される)との押出、次にミリングによって調製した。エポキシ化大豆油は、熱安定剤として使用することができるビニル添加物である。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例19A(2重量%HSE Drapex 392)および実施例20A(2重量%HSE Drapex 39)と特定される。
【0361】
実施例19~20について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表9に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0362】
【0363】
実施例21(発明に従った)
機能性付与添加物=アラビアゴム
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子を機能性付与添加物としてのアラビアゴムで流動床においてスプレーコーティングし、次にミリングすることによって調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例21A(20重量%アラビアゴム)と特定される。
【0364】
実施例21について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表10に提供する。表10中の「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0365】
【0366】
実施例22(発明に従った)
機能性付与添加物=リノール酸
機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としてのリノール酸との共ミリングによって調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例22A(0.8重量%リノール酸)と特定される。
【0367】
実施例22について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表11に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0368】
【0369】
実施例23~24(発明に従った)
機能性付与添加物=マルトデキストリン
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子を機能性付与添加物としてのマルトデキストリンで流動床においてスプレーコーティングし、次にミリングすることによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例23Aおよび実施例24A(20重量%マルトデキストリン)と特定される。
【0370】
実施例23~24について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表12に提供し、表中、「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0371】
【0372】
実施例25~26(発明に従った)
機能性付与添加物=ポリエチレングリコール(PEG400)
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としての低分子量(1000g/モル未満)のポリエチレングリコール:PEG400との押出によって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例25A(20重量%PEG400)および実施例26A(10重量%PEG400)と特定される。
【0373】
実施例25~26について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表13に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0374】
【0375】
実施例27~31(発明に従った)
機能性付与添加物=ポリエチレングリコール(PEG4000)
機能化重炭酸ナトリウムの3つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、高分子量(1000g/モル超)のポリエチレングリコール:PEG 4000との押出、次にミリングによって調製した。機能化重炭酸ナトリウムの2つの他の試料を、PEG4000での流動床における重炭酸ナトリウム粒子のスプレーコーティング、次にミリングによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例27A(7重量%PEG4000と押し出された)、実施例28A(10重量%PEG4000と押し出された)、実施例29A(3重量%PEG4000と押し出された)、実施例30A(10重量%PEG4000でスプレーコートされた)、および実施例31A(20重量%PEG4000でスプレーコートされた)と特定される。
【0376】
実施例27~31について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表14に提供する。表14中の「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0377】
【0378】
【0379】
【0380】
実施例32~34(発明に従った)
機能性付与添加物=ポリビニルアルコール(PVOH)
機能化重炭酸ナトリウムの3つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としてのポリビニルアルコール(PVOH)、有機ポリマーとの押出、次にミリングによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例32A(5重量%PVOHと押し出された)、実施例33A(10重量%PVOHと押し出された)、実施例34A(35重量%PVOHと押し出された)と特定される。
【0381】
実施例32~34について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表15に提供する。表15中の「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0382】
【0383】
【0384】
実施例35-36(発明に従った)
機能性付与添加物=ラウリン酸
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子とラウリン酸との押出、次にミリングによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例35Aおよび36A(10重量%ラウリン酸)と特定される。
【0385】
実施例35~36について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表16に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0386】
【0387】
実施例37~39(発明に従った)
機能性付与添加物=ロジン酸
機能化重炭酸ナトリウムの3つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子をロジン酸と共すり潰しする(共ミリングする)ことによって調製した。これらの試料は、実施例37A(1重量%ロジン酸)、38A(2重量%ロジン酸)、39A(10重量%ロジン酸)と特定される。
【0388】
実施例37~39について、PVCプラスチゾル組成物は、Dispermat装置において調製した。各実施例において、プラスチゾルの成分を高速ミキサーで分散させ、次に混合し、真空下に脱気した。結果として生じた実施例14の液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、紙(Claire Fontaine)の一片上に約0.75mmの厚さで散布コートし、90または120秒間、200または210℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱する。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表17に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0389】
【0390】
【0391】
【0392】
実施例40(発明に従った)
機能性付与添加物=デンプン
デンプンでの流動床における重炭酸ナトリウム粒子のスプレーコーティング、次にミリングによって、機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を調製した。この機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例40A(5重量%デンプン)と特定される。
【0393】
実施例40について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表18に提供する。表18中の「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0394】
【0395】
実施例41~42(発明に従った)
機能性付与添加物=ステアリン酸
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子とステアリン酸との押出、次にミリングによって調製した。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例41Aおよび42A(5重量%ステアリン酸)と特定される。
【0396】
実施例41~42について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表19に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0397】
【0398】
【0399】
実施例43~44(発明に従った)
機能性付与添加物=ポリアルキレン化合物(ポリマー)
機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を、重炭酸ナトリウム粒子と、機能性付与添加物としてのポリアルキレン化合物との押出によって調製した。ポリアルキレン化合物は、空気放出剤として使用され得る銘柄名BYK 3155でBYKによって販売される製品である。これらの機能化重炭酸ナトリウム試料は、実施例43A(10重量%BYK 3155)および実施例44A(20重量%BYK 3155)と特定される。
【0400】
実施例43~44について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表20に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0401】
【0402】
実施例45~46(発明に従った)
2つの機能性付与添加物=ロジン酸;PEG400を使用
2つの異なる機能性付与の方法(共すり潰し、押出)を順々に用いて、添加される2つの異なる機能性付与添加物(ロジン酸、PEG400)を適用することによって、機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を調製した。先ず重炭酸ナトリウム粒子を、第1機能性付与添加物としてのロジン酸と共すり潰しすることによって機能化し、次に第1機能化粒子を、第2機能性付与添加物としてのPEG400と押し出すことによって機能化して第2機能化粒子を形成した。これらの試料は、実施例45A(9重量%ロジン酸、10重量%PEG400)および実施例46A(8重量%ロジン酸、20重量%PEG400)と特定される。
【0403】
実施例45~46について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表21に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0404】
【0405】
実施例47~48(発明に従った)
2つの機能性付与添加物=ステアリン酸;PEG400を使用
2つの異なる機能化の方法(共すり潰し、押出)を順々に用いて、添加される2つの異なる機能性付与添加物(ステアリン酸、PEG400)を適用することによって、機能化重炭酸ナトリウムの2つの試料を調製した。先ず重炭酸ナトリウム粒子を、第1機能性付与添加物としてのステアリン酸と共すり潰しすることによって機能化し、次に第1機能化粒子を、第2機能性付与添加物としてのPEG400と押し出すことによって機能化して第2機能化粒子を形成した。これらの試料は、実施例47A(3.2重量%ステアリン酸、10重量%PEG400)および実施例48A(2.8重量%ステアリン酸、20重量%PEG400)と特定される。
【0406】
実施例47~48について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表22に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0407】
【0408】
【0409】
実施例49(発明に従った)
1つの機能性付与添加物=ラウリン酸を使用
加熱時にCO2を遊離させる第2化合物(第2発泡剤)=クエン酸を使用
重炭酸ナトリウム粒子と、クエン酸(加熱時にCO2を遊離させる第2化合物)の粉末との混合物に1つの機能性付与添加物(ラウリン酸)を適用して混合物を押し出し、引き続き押出物をミリングして、結果として生じた機能化重炭酸塩粒子の粒径を低減することによって機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を調製した(押出/ミリング)。先ず重炭酸ナトリウム粒子を80重炭酸ナトリウム対20クエン酸の重量比でクエン酸粉末とブレンドし、次にラウリン酸をこのブレンドに添加し、結果として生じた混合物を押出、次にミリングにかけた。この試料は、実施例49A(19重量%クエン酸、5重量%ラウリン酸)と特定される。
【0410】
実施例49について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表23に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0411】
【0412】
実施例50(発明に従った)
1つの機能性付与添加物=ラウリン酸を使用
加熱時にCO2を遊離させる第2化合物(第2発泡剤)=フマル酸を使用
重炭酸ナトリウム粒子と、フマル酸(加熱時にCO2を遊離させる第2化合物)との混合物に1つの機能性付与添加物(ラウリン酸)を適用して混合物を押し出し、引き続き押出物をミリングして、結果として生じた機能化重炭酸塩粒子の粒径を低減することによって機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を調製した(押出/ミリング)。先ず重炭酸ナトリウム粒子を80重炭酸ナトリウム対20フマル酸の重量比でフマル酸とブレンドし、次にラウリン酸をこのブレンドに添加し、結果として生じた混合物を押出、次にミリングにかけた。この試料は、実施例50A(19重量%フマル酸、5重量%ラウリン酸)と特定される。
【0413】
実施例50について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表24に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0414】
【0415】
実施例51(発明に従った)
1つの機能性付与添加物=マルトデキストリンを使用
第2発泡剤=クエン酸を使用
重炭酸ナトリウム粒子と、クエン酸(加熱時にCO2を遊離させる第2発泡剤化合物)の粉末との混合物に1つの機能性付与添加物(マルトデキストリン)を適用して混合物を押し出し、次にミルにかけることによって機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を調製した。先ず重炭酸ナトリウム粒子を80重炭酸ナトリウム対20クエン酸の重量比でクエン酸粉末とブレンドし、次にマルトデキストリンをこのブレンドに添加し、結果として生じた混合物を押出、次にミリングにかけた。この試料は、実施例48A(16重量%クエン酸、20重量%マルトデキストリン)と特定される。
【0416】
実施例51について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表25に提供し、表中、「per」は、樹脂の重量部を意味する。
【0417】
【0418】
実施例52(発明に従った)
1つの機能性付与添加物=エポキシ化大豆油を使用
第2発泡剤=クエン酸を使用
重炭酸ナトリウム粒子と、クエン酸(加熱時にCO2を遊離させる第2発泡剤化合物)の粉末との混合物に1つの機能性付与添加物(Galata ChemicalsからHSE Drapex 392として販売されるエポキシ化大豆油)を適用して混合物を押し出し、次にミルにかけることによって機能化重炭酸ナトリウムの1つの試料を調製した。先ず重炭酸ナトリウム粒子を80重炭酸ナトリウム対20クエン酸の重量比でクエン酸粉末とブレンドし、次にエポキシ化大豆油(HSE Drapex 392)をこのブレンドに添加し、結果として生じた混合物を押出、次にミリングにかけた。この試料は、実施例52A(19重量%クエン酸、5重量%マルトデキストリン酸)と特定される。
【0419】
実施例52について、実施例14について記載されたものと同じPVCプラスチゾル組成物の調製方法およびPVCフォームの調製方法を用いた。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表26に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0420】
【0421】
実施例53(発明に従っていない)
機能性付与添加物=なし
市販の重炭酸ナトリウム(Solvay製のSB/03)をミルにかけて粒径を低減した。この試料は、実施例53A(機能性付与添加物なし)と特定される。
【0422】
実施例53について、PVCプラスチゾル組成物は、Dispermat装置において調製した。各実施例において、プラスチゾルの成分を高速ミキサーで分散させ、次に混合し、真空下に脱気した。結果として生じた液体PVCペースト(プラスチゾル)を各場合に、紙(Claire Fontaine)の一片上に約0.75mmの厚さで散布コートし、90または120秒間、200または210℃に設定されたThermosol Werner Mathisオーブン中で加熱する。膨張比は、それがWerner Mathisオーブン加熱を通過する前の散布コートされた層の初期厚さ(ここでは、約0.75mm)で割った、Werner Mathisオーブン加熱後の発泡生成物の厚さの比として計算した。各プラスチゾル中の具体的な成分および量、オーブン温度、ゲル化のための時間、オーブン加熱後の発泡生成物の厚さ、膨張比、およびPVCフォームの密度を表27に提供し、表中、「per」は、PVC樹脂の重量部を意味する。
【0423】
【0424】
実施例54
D50、サイズスパン、TGAおよびDSC分析
熱重量分析(TGA;35から250℃まで/10℃/分)および示差走査熱量測定(DSC)熱分析を、機能化粒状重炭酸ナトリウムのいくつかの試料および非機能化重炭酸ナトリウム(実施例53A)に関して行った。結果を表28に提供する。これらの重炭酸ナトリウムのD50(μm)およびサイズスパン、ならびにこれらの重炭酸ナトリウムを使って得られたPVCフォームの対応するオーブン温度でのそれらの相当するゲル化時間とともに最低密度(ρ)および最大膨張比(%)を表28に提供する。
【0425】
【0426】
TGA結果は、CO放出開始温度およびCO放出最大温度が両方とも、添加物で機能化されなかった、ミルにかけられた市販の重炭酸ナトリウム製品SOLVAY SB/03(実施例53A)と比べて機能化添加物を含む機能化重炭酸塩試料において上昇したことを示す。
【0427】
DSC分析は、機能化添加物を含む機能化重炭酸ナトリウム試料についてのピーク温度が、添加物で機能化されなかった、ミルにかけられた市販の重炭酸ナトリウム製品SOLVAY SB/03(実施例53A)よりも高いことを示した。
【0428】
本明細書に引用される全ての特許出願、および刊行物は、それらが本明細書において説明されるものを補完する、模範的な、手順上のまたは他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書によって援用される。
【0429】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願および刊行物のいずれかの開示が、用語を不明確にさせ得る程度まで本明細書と矛盾する場合は、本明細書が優先するものとする。
【0430】
本出願において、1つの要素もしくは構成要素が、列挙された要素もしくは構成要素のリストの中に含まれるおよび/またはこのリストから選択されると記されている場合、本明細書に明示的に考えられている関連実施形態の中で、その要素もしくは構成要素はまた、個別の列挙された要素もしくは構成要素のいずれか1つでもあり得るか、または、明示的にリストアップされた要素もしくは構成要素のいずれか2つ以上からなる群からもまた選択され得ることが理解されるべきである。要素もしくは構成要素のリストに列挙されるいかなる要素もしくは構成要素も、そのようなリストから除外されてもよい。さらに、本明細書に記載されるプロセスまたは方法の要素、実施形態、および/または特徴は、本明細書において明示的であるか暗示的であるかにかかわらず、本教示の範囲および開示から逸脱することなく様々なやり方で組み合わせ得ることが理解されるべきである。
【0431】
従って、保護の範囲は、上に説明された記載によって限定されないが、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は、特許請求の範囲の主題の全ての等価物を包含する。それぞれのおよびあらゆる特許請求の範囲は、本発明の実施形態として、本明細書に組み込まれている。従って、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、本発明の好ましい実施形態への追加である。
【0432】
本発明の好ましい実施形態が示され、記載されてきたが、それらの変更は、本発明の趣旨または教示から逸脱することなく当業者によって行われ得る。本明細書に記載される実施形態は、単なる例示であり、限定的ではない。システムおよび方法の多くの変形および変更が可能であり、本発明の範囲内である。