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特許7206198表面が粗化された粒子を有するパッケージングされた半導体デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】表面が粗化された粒子を有するパッケージングされた半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20230110BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230110BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L21/60 311Q
H01L23/50 H
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019536063
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2017068761
(87)【国際公開番号】W WO2018126038
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】62/440,950
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/842,608
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴィカス グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヨン リン
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-289040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0334671(US,A1)
【文献】特開2010-177481(JP,A)
【文献】特開平06-204362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048504(US,A1)
【文献】国際公開第2013/124940(WO,A1)
【文献】特開2000-332184(JP,A)
【文献】特開2010-135723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 21/60
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージングされた半導体デバイスであって、
リードフレームと、
半導体デバイスと、
前記リードフレームと前記半導体デバイス上の端子との間に結合されるはんだ接合と、
前記リードフレームの表面の一部上にあり、第1の粒子を含む第1のポリマーで構成される、粒子粗面化表面と、
前記半導体デバイスと前記リードフレームと前記粒子粗面化表面との一部を覆うモールディング化合物と、
を含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1のポリマーが、ポリイミドとエポキシとポリエステルポリマーとで構成される群から選択される、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1の粒子が非金属粒子である、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記粒子粗面化表面が、前記はんだ接合に隣接する前記リードフレームの表面の一部を覆う、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
はんだ接合を囲むリフロー壁であって、ポリイミドとエポキシとポリエステルとで構成される群から選択される第2のポリマーで構成される、前記リフロー壁を更に含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記リフロー壁が、前記はんだ接合の少なくとも対向する2つの側部上の前記はんだ接合を囲む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記リフロー壁が前記はんだ接合を完全に囲む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項8】
請求項5に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第2のポリマーが第2の粒子を含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項9】
請求項5に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記はんだ接合の高さが、前記リフロー壁の高さと少なくとも同じ程度の高さである、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
パッケージングされた半導体デバイスの底部上の印刷回路基板はんだパッドを更に含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記印刷回路基板はんだパッドがはんだペーストである、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記印刷回路基板はんだパッドが、銀と銅とニッケルとパラジウムと白金とスズと金とそれらの合金とで構成される群から選択される金属で形成されるはんだ付け可能な粒子を含むはんだペーストである、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記はんだ接合と前記端子との間に結合される金属性ポストを更に含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項14】
パッケージングされた半導体デバイスであって、
リードフレームと、
半導体デバイスと、
前記リードフレームと前記半導体デバイス上の端子との間に結合されるはんだ接合と、
前記リードフレームの表面の一部上にあり、第1の粒子を含む第1のポリマーで構成される、粒子粗面化表面と、
前記はんだ接合を囲み、第2の粒子を含む第2のポリマーで構成されるリフロー壁と、
前記半導体デバイスと前記リードフレームと前記リフロー壁と前記粒子粗面化表面との一部を覆うモールディング化合物と、
を含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが、ポリイミドとエポキシとポリエステルポリマーとで構成される群から選択される、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項16】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが、ポリイミドとエポキシとポリエステルポリマーとで構成される群から選択され、前記第1及び第2の粒子が非金属粒子である、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項17】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが同一のポリマーであり、前記第1の粒子と前記第2の粒子とが同一の非金属粒子である、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項18】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが、ポリイミドとエポキシとポリエステルポリマーとで構成される群から選択され、前記第1の粒子が非金属粒子であり、前記第2の粒子が、銀と銅とニッケルとパラジウムと白金とスズと金とそれらの合金とで構成される群から選択されるはんだ付け可能な金属で構成される金属粒子である、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項19】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
前記リフロー壁が、前記はんだ接合の少なくとも2つの対向する側部を囲む、パッケージングされた半導体デバイス。
【請求項20】
請求項14に記載のパッケージングされた半導体デバイスであって、
パッケージングされた半導体デバイスの底部上のはんだペーストで構成される印刷回路基板はんだパッドを更に含む、パッケージングされた半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パッケージングされた半導体デバイスの分野に関する。より詳細には、本開示は、モールディング化合物とリードフレームとの間の改善された接着性を有するパッケージングされた半導体デバイスに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下は、本開示の一つ又は複数の態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概観ではなく、本開示の主要な要素又は重要な要素を特定することを意図するものでもなく、その範囲を線引きすることも意図していない。むしろ、要約の主な目的は、後に提示される詳細な説明の前置きとして、簡略化された形で開示の幾つかの概念を提示することである。
【0003】
パッケージングされた半導体デバイスが、モールディング化合物を用いてリードフレームの一部の上に粒子粗面化表面を有する。パッケージングされた半導体デバイスが、モールディング化合物を用いてリードフレームの一部の上に粒子粗面化表面を備え、半導体デバイスをリードフレームに接続するはんだ接合の一部を囲むリフロー壁を備える。粒子粗面化表面は、モールディング化合物とリードフレームとの間の接着を助けることができる。
【0004】
パッケージングされた半導体デバイスが、リードフレーム及び半導体デバイスを備える。はんだ接合が、リードフレームと半導体デバイス上の端子との間に結合される。リフロー壁が、リードフレームの一部の上にあり、はんだ接合と接している。モールディング化合物は、半導体デバイス、リードフレーム、はんだ接合、及びリフロー壁の一部を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】パッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
【0006】
図1B図1Aのパッケージングされた半導体デバイスにおけるリードフレームの上面図である。
【0007】
図2A】リフロー壁と粒子粗面化表面エリアとを有するリードフレームを備えるパッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
図2B】リフロー壁と粒子粗面化表面エリアとを有するリードフレームを備えるパッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
【0008】
図3A】リフロー壁の図である。
図3B】リフロー壁の図である。
【0009】
図4】リフロー壁と粒子粗面化表面とを有するリードフレームの上面図である。
【0010】
図5A】リードフレーム、及び半導体デバイスのリードフレームへの取り付けを例示する半導体デバイスの断面図である。
図5B】リードフレーム、及び半導体デバイスのリードフレームへの取り付けを例示する半導体デバイスの断面図である。
【0011】
図6】粒子粗面化表面を有するリードフレームの断面図である。
【0012】
図7A】リードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを有するリードフレームの断面図である。
図7B】リードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを有するリードフレームの断面図である。
【0013】
図8A】実施形態に従って形成されたリフロー壁を有するリードフレームの断面図である。
図8B】実施形態に従って形成されたリフロー壁を有するリードフレームの断面図である。
図8C】実施形態に従って形成されたリフロー壁を有するリードフレームの断面図である。
【0014】
図9A】粒子粗面化表面と、リフロー壁と、底部側に形成された印刷回路基板のはんだパッドとを備える、パッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
図9B】粒子粗面化表面と、リフロー壁と、底部側に形成された印刷回路基板のはんだパッドとを備える、パッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
図9C】粒子粗面化表面と、リフロー壁と、底部側に形成された印刷回路基板のはんだパッドとを備える、パッケージングされた半導体デバイスの断面図である。
【0015】
図10】リードフレームの頂部側に、粒子粗面化表面とはんだパッドとを備えるパッケージングされた半導体デバイスを図示する断面図であり、パッケージングされた半導体デバイスの底部側に印刷回路基板のはんだパッドを備える。
【0016】
図11A】インクジェット印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の、主要な製造工程を図示する断面図である。
図11B】インクジェット印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の、主要な製造工程を図示する断面図である。
図11C】インクジェット印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の、主要な製造工程を図示する断面図である。
【0017】
図12A】インクジェット印刷を用いてリードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
図12B】インクジェット印刷を用いてリードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
【0018】
図13A】スクリーン印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
図13B】スクリーン印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
図13C】スクリーン印刷を用いて、粒子粗面化表面及びリフロー壁を形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
【0019】
図14A】スクリーン印刷を用いてリードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
図14B】スクリーン印刷を用いてリードフレームの底部側に印刷回路基板はんだパッドを形成する際の主要な製造工程を図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して説明される。図面は縮尺どおりに描かれておらず、それらは単に開示を説明するために提供されている。実施形態の幾つかの態様を、例示のための応用例を参照して以下に説明する。本開示の理解を提供するために、多数の特定の詳細、関係、及び方法が記載されることが理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示が、特定の詳細のうちの一つ又は複数を伴わずに、又は他の方法によって実施され得ることを容易に認識するであろう。他の例において、開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造又は動作は詳細には示されていない。実施形態は、行為又は事象の図示された順によって限定されず、幾つかの動作は、異なる順で、及び/又は他の行為又は事象と同時に行われ得る。また、方法を実装するために、すべての図示された行為又は事象が必要とされるわけではない。
【0021】
パッケージングされた半導体デバイス100が、図1Aに断面で示されている。半導体デバイス110は、例えば、集積回路、トランジスタ、又はダイオードなど、任意の半導体デバイスであり得る。半導体デバイス110は、リードフレーム105に取り付けられ、モールディング化合物112で覆われて、パッケージングされた半導体デバイス100を形成する。半導体デバイスパッケージは、例えば、デュアルインラインパッケージ(DIP)、クワッドフラットノーリード(QFN)パッケージ、又はフリップチップスモールアウトライントランジスタ(FCSOT)パッケージ、又はラジアルパッケージなど、任意のパッケージ形態であり得る。パッケージングされた半導体デバイス100におけるリードフレーム105の上面図が図1Bに示されている。リードフレーム105は、上にはんだパッド104が形成される複数のリード102で構成される。半導体デバイス110は、半導体デバイス110上の入力/出力パッドに接続される金属ポスト108とはんだパッド104との間に形成されるはんだ接合107によってリードフレーム105に接合される。リードフレーム105におけるはんだパッド104を有するリード102の数は、半導体デバイス110を搭載するために必要とされるはんだ接合107の数に応じて異なる。
【0022】
別の実施形態では、リードフレームのはんだパッド104を、半導体デバイス上の入力/出力ページに直接接続する。
【0023】
図1Aのリードフレーム105の断面は、図1Bの上面図の破線に沿っている。
【0024】
図1Aのパッケージングされた半導体デバイス100の断面において、はんだパッド104は、はんだが容易に濡れる材料でつくられる。はんだ接合107が、はんだパッド104と半導体デバイス110の入力/出力(I/O)端子に接続される金属性ポスト108との間に形成される。金属性ポスト108は、典型的に、銅、金、又ははんだなどの導電性材料で形成される。このアッセンブリの一部は、パッケージングされた半導体デバイス100を形成するためにモールディング化合物112で覆われている。パッケージングされた半導体デバイス110の信頼性は、低接着性に起因してモールディング化合物112がリードフレーム105から剥離する際に生じる。接着性を改善するため、リードフレーム105の表面の一部が、例えば、ウェット化学エッチングを用いて粗化され得る。
【0025】
半導体デバイス110は、上述するようにリードフレーム105の第1の側(上面側)に搭載される。印刷回路基板(PCB)はんだパッド106が、パッケージングされた半導体デバイス100の、下にあるPCB上のリードへのはんだ付けを容易にするため、リードフレーム105の第2の側(底辺)に形成され得る。
【0026】
リードフレーム105の頂部側上のはんだパッド104、及びリードフレーム105の底部側のPCBはんだパッドは、典型的に、リードフレーム105の製造の間にマスキング工程を用いて、パラジウム被覆ニッケルなどのはんだ付け可能な金属を電気メッキすることにより、追加のコストで形成される。
【0027】
はんだ接合208を有するリードフレーム203に取り付けられる半導体デバイス110を有するパッケージングされた半導体デバイス200の断面を、図2A及び図2Bに示す。はんだ接合208を部分的又は完全に囲むリフロー壁210が、はんだ接合208の形成の間、はんだの横方向のリフローを制限し、その結果、より高いはんだ接合208を形成する。はんだ接合208は、リードフレーム203と、上にある半導体デバイス110上の入力/出力(I/O)端子に接続される銅ポスト108との間の電気的接続を形成する。リードフレーム203の表面上のリフロー壁210に隣接して形成された粒子粗面化表面202が、ポリマー材料を含む粒子をリードフレーム203の表面に結合させることによって形成される。リードフレーム203、リフロー壁210、はんだ接合208、銅ポスト108、粒子粗面化表面202、及び半導体デバイス110アセンブリが、モールディング化合物112で被覆されて、パッケージングされた半導体デバイス200を形成する。
【0028】
リードフレーム203の上面図が図4に示されている。リードフレーム203は、粒子粗面化表面202を有する複数のリード205で構成される。リフロー壁210は、粒子粗面化表面202に隣接してリード線205上にも形成され得る。
【0029】
粒子粗面化表面202は、はんだ接合208に隣接し、リードフレーム203の表面の一部の上にインクジェット印刷又はスクリーン印刷されたポリマー材料を含む粒子であり得る。ポリマー材料は、ポリイミド又はエポキシ樹脂であり得る。一例において、粒子粗面化表面202は、ポリマー材料を有するインク残留物を含む。インク残留物は、ポリマー材料を有するインク残留物を形成するためにその後硬化される、インクジェットプリンタからのポリマー材料を有する印刷インクに応答して形成される。粒子粗面化表面202を形成した粒子は、典型的に非金属であり、短絡を形成することを回避する。粒子サイズは、ナノメートルからミクロンまでの範囲であり得る。インクジェット印刷可能なインクに用いることができる粒子より大きなサイズの粒子をスクリーン印刷ペーストに用いることができる。粒子は、球体又は楕円などの規則的な形状であり得、又は不規則な形状を有していてもよい。
【0030】
粒子粗面化表面202は、モールディング化合物112とリードフレーム203との間の改善された接着を提供する。改善された接着は、リードフレーム203からのモールディング化合物112の剥離によるパッケージングされた半導体デバイス200欠陥を著しく低減するか又はなくす。
【0031】
図3A及び図3Bに示されるように、リフロー壁210は、はんだ接合208を完全に囲むか、又は少なくとも2つの側面上にはんだリフローを閉じ込め得る。はんだ壁210の内側表面214は、はんだ接合208が形成されるとき、はんだの横方向の流れを制限し、より高いはんだ接合208をもたらす。より高いはんだ接合208は、半導体デバイス210とリードフレーム203との間の距離215を増大させる。増大された距離は、半導体デバイス110とそれが取り付けられる下にあるリードフレーム203との間の熱膨張(熱膨張係数(CTE)のミスマッチ)の結果として、はんだ接合208に対する応力を低減する。幾つかの状況下では、特に温度が極端な場合、熱膨張におけるミスマッチは、はんだ接合欠陥を引き起こす恐れがある。
【0032】
リフロー壁210は、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシなどのポリマー材料で形成され得、又は非金属又は金属粒子を含むポリマー材料で形成され得る。ポリマーに埋め込まれた粒子は、リフロー壁210を強化する。粒子がはんだ付け可能な金属で形成される場合、はんだ接合208内のはんだは、粒子に結合し得、はんだ接合208の強度を高めることができる。より強いはんだ接合208は、機械的又は熱的応力によるはんだ接合208の欠陥率を低減し得る。はんだ付け可能な金属は、銅、銀、金、白金、ニッケル、パラジウム、真鍮、又はそれらの合金などの金属であり得、リフローの間、溶融はんだによって容易に濡らされる。
【0033】
例示的なリフロー壁210の斜視図が、図3A及び図3Bに示されている。リフロー壁210は厚み219を有する。円形及び長方形のリフロー壁210が図3A及び図3Bに示されているが、楕円、八面体、正方形、及び他の形状などの他の形状を用いることができる。リフロー壁210は、図3Aに円形状に示すように、はんだ接合を完全に囲むようにしてもよいし、図3Bに示すように、はんだ接合208を矩形の4辺に制限してもよい。図2A及び図2Bのリフロー壁210の断面は、図3A及び図3Bにおいて、破線2A及び2Bに沿って取られている。
【0034】
図5A及び図5Bは、半導体デバイス110とリードフレーム203との間のはんだ接合の形成を図示する断面図である。図5Aに図示されるように、半導体デバイス110上のI/Oから下方に突出する銅ポスト108の頂部上のはんだキャップ111が、はんだをリフローする前にリフロー壁210の内部に配置され得、銅ポスト108とリードフレーム203の表面との間にはんだ接合208を形成する。図5Bにおいて図示されるような第1の代替プロセスにおいて、リフロー壁210の間のキャビティは、まずはんだペーストで充填され得、はんだペースト113をリフローする前に銅ポスト108の頂部を、はんだペースト113に接触させて、はんだ接合208を形成する。第2の代替方法において、リフロー壁210の間のキャビティは、はんだペースト113で充填され得、はんだキャップ111を備える銅ポスト108が、はんだペースト113をリフローする前にはんだペースト113に接触され得、はんだ接合208を形成する。
【0035】
はんだキャップ111内のはんだの体積、又はリフロー壁210の間のキャビティ内のはんだペースト113の体積は、はんだ接合208がはんだ壁210程度の高さになるように選択される。はんだ111、113は、はんだ接合の高さがはんだ壁の高さよりも高くなるように選択されることが好ましい。はんだ接合208の高さは、リフロー壁210の高さを増大させることによって増大され得る。はんだ接合208の高さを増大させることにより、はんだ接合208の信頼性を改善し得る。
【0036】
図6における粒子粗面化表面202は、リードフレーム603の表面上にインクを含む粒子をディスペンスするため、インクジェット印刷を用いて形成され得る。インクは、ポリイミド又はエポキシ樹脂などの樹脂604内に分散された粒子605で構成され得る。インクを表面にディスペンスした後、インクは、粒子粗面化表面202を形成する溶剤を駆動する(drive off)ため、約80℃~300℃の範囲の温度で熱的に硬化され得る。
【0037】
代替として、スクリーン印刷ペーストをリードフレーム603の表面に塗布するためにスクリーン印刷が用いられ得る。スクリーン印刷ペーストは、ポリイミド又はエポキシ樹脂などの樹脂604内に分散された粒子203でつくられ得る。スクリーン印刷ペーストが表面上にディスペンスされた後、粒子粗面化表面202を形成する溶剤を駆動するために、約180℃~300℃の範囲の温度で熱硬化され得る。
【0038】
図7A及び図7Bに示されるように、PCBはんだパッド702及び705が、リードフレーム703の底部側に形成され得る。図7Aは、はんだペースト704を用いて形成されるPCBはんだパッド702を示す。図9Aに示されるのは、はんだペースト704を用いるパッケージングされた半導体デバイス900の底面側にPCBはんだパッド702を備えるパッケージングされた半導体デバイス900である。図7Bは、はんだペースト704を用いて形成されるリードフレーム703の底面側のPCBはんだパッド705を示し、はんだ付け可能粒子708が分散されている。図9Bに示されるのは、はんだペースト704を用いて底部側に形成されるPCBはんだパッド705を備える、パッケージングされた半導体デバイス901であって、はんだ付け可能な粒子708が分散されている。はんだ付け可能な粒子708は、銀、金、白金、ニッケル、パラジウム、真鍮、又はそれらの合金などの金属で形成され得る。はんだ付け可能粒子708は、リードフレーム703の底部側のPCBはんだパッド705と印刷回路基板上の電気リードとの間に形成されるはんだ接合に補強を加える。インクジェット印刷又はスクリーン印刷を用いてリードフレーム903の底部側にPCBはんだパッド702及び705を形成することで、リードフレーム903製造の間、これらのパッドを電気めっきする高価な工程が排除される。
【0039】
図8A図8B、及び図8Cは、幾つかのリフロー側壁810オプションを図示する。図8Aは、ポリイミド、エポキシ、又はポリエステルなどのポリマー材料802で構成されるリフロー側壁810を示す。図9Aに示されるのは、ポリマー材料802で構成されるリフロー側壁810を有するパッケージングされた半導体デバイス900である。図8Bは、ポリマー材料802内に分散されたはんだ付け可能な粒子804で構成されるリフロー側壁810を示す。図9Bは、ポリマー材料802内に分散されたはんだ付け可能な粒子804で構成されるリフロー側壁810を示す。図8Cは、ポリマー材料802内に分散されたはんだ付け可能な粒子804で構成されるリフロー側壁810を示す。リフロー壁210の間のリードフレームの表面上に、はんだフラックス811内に分散されたはんだ付け可能な粒子809で構成されるはんだパッド806が形成される。図9Cは、ポリマー材料802内に分散されたはんだ付け可能な粒子804で構成されたリフロー側壁810と、リフロー壁810間のリードフレーム903の表面上のはんだフラックス811内に分散されたはんだ付け可能な粒子809で構成されるはんだパッド806とを備える、パッケージングされた半導体デバイス905を示す。一例において、はんだフラックス811内に分散されたはんだ付け可能な粒子804は、はんだ接合208を取り付ける前に表面上に堆積される。
【0040】
図10に示すように、パッケージングされた半導体デバイス907を形成するために半導体デバイス110が搭載されるリードフレーム903の頂部側にはんだパッド910が形成され得る。これらの頂部側はんだパッド910は、リードフレーム903の底部側に、PCBはんだパッド702、705を形成するために用いられるのと同じ材料及びプロセスを用いて形成され得る。
【0041】
粒子粗面化表面エリア202及びリフロー壁810を形成するための主な工程は、図11A図11C及び図13A図13Cにおいて断面で記載されている。
【0042】
インクジェット印刷を用いて、リードフレーム903上にリフロー壁809及び粒子粗面化表面202を形成する第1の方法が、図11A図11Cに図示されている。
【0043】
図11Aにおいて、リフロー壁809は、インクジェットプリンタ174を用いてリードフレーム903の表面上に印刷される。
【0044】
図11Bは、インクジェットプリンタ176を用いたリードフレーム903上の粒子粗面化表面162の堆積を図示する。インクは、リフロー壁809を印刷するために用いられるものと同じインクであってもよく、異なるインクであってもよい。
【0045】
図11Cは、粒子粗面化表面202を形成し、リフロー壁809を形成するための、約80℃~約300℃の範囲の温度での焼結後の構造を示す。
【0046】
スクリーン印刷を用いて、リードフレーム903上に粒子粗面化表面202及びリフロー壁810を形成するための第2の方法が、図13A図13Cに図示されている。
【0047】
図13Aにおいて、リードフレーム903の表面上に第1のステンシル180が配置され、粒子粗面化表面202が形成されるべきエリアに第1のペースト182が塗布される。第1のステンシル180は、第1のペースト182が塗布された後に除去される。
【0048】
図13Bにおいて、第2のステンシル184が、リードフレーム903の表面上に配置され、リフロー壁810が形成されているエリアに第2のペースト186が塗布される。第2のステンシル184は、第2のペースト184が塗布された後に除去される。
【0049】
図13Cは、ペーストが約80℃~約300℃の範囲の温度で焼結されて、リフロー壁810及び粒子粗面化表面202が形成された後のリードフレーム903を示す。
【0050】
図13A図13Cに示す方法では、リフロー壁810と粒子粗面化表面202とが、異なる厚さで形成され得、異なるペーストを用いて形成され得る。あるいは、リフロー壁810及び粒子粗面化表面202の両方のための開口を有する1つのステンシルを利用してもよい。この場合、同一のペーストを用いて、リフロー壁810及び粒子粗面化表面202の両方が形成され得る。この方法を用いて、製造コストを低減することができる。
【0051】
リードフレーム903の裏側にPCBはんだパッド705を形成するための主な工程は、図12A及び図12B及び図14A及び図14Bにおいて断面で記載されている。
【0052】
図12A及び図12Bは、インクジェット印刷を用いてリードフレーム903の底部側にPCBはんだパッド705を形成する工程を図示する。図12Aに示されるように、PCBはんだパッド701は、インクジェットプリンタ178を用いて印刷される。図12Bは、溶剤を駆動し、インク樹脂を硬化させるため、インクが約80℃~約300℃の範囲の温度で焼結された後のPCBはんだパッド705を示す。
【0053】
図14A及び図14Bは、スクリーン印刷を用いるリードフレーム903の裏側へのPCBはんだパッド705の形成を図示する。
【0054】
図14Aにおいて、PCBはんだパッド705が形成されるべき個所に開口を備えるリードフレーム903の底部側にステンシル190が塗布される。ステンシル190はペースト704が塗布された後に除去される。
【0055】
図14Bは、ペースト192を約80℃~約300℃の範囲の温度で焼結して、リードフレーム903の底部側にPCBはんだパッド705を形成した後のリードフレーム903を示す。
【0056】
様々な例示的な実施形態において、頂部、底部などの用語は、様々な構成要素の位置関係を記述するための相対的な意味で用いられる。これらの用語は、図面に示される構成要素の位置を参照して用いられ、重力の分野を参照する絶対的な意味ではない。例えば、パッケージングされた半導体デバイスが図面に示される位置に対して反転した位置に配置されている場合であっても、リードフレーム105の頂部側をリードフレームの頂部側として適切に参照され得る。
【0057】
本開示の様々な実施形態を説明してきたが、それらは、限定ではなく例として提示されていることを理解すべきである。本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対する多くの変更が、本明細書の開示にしたがってなされ得る。したがって、本開示の幅及び範囲は、上記の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B