(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】局所用抗炎症組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230110BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20230110BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230110BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230110BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20230110BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20230110BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230110BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230110BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230110BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230110BHJP
A61K 31/4402 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/196
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/20
A61P29/00
A61K45/00
A61K31/4402
(21)【出願番号】P 2019536470
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 US2017051560
(87)【国際公開番号】W WO2018053128
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519092406
【氏名又は名称】アケリオス・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブユックティムキン,セルベット
(72)【発明者】
【氏名】ブユックティムキン,ナーディル
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ジェームズ・エル
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/077111(WO,A1)
【文献】特表2001-521887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/08
A61K 47/12
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/36
A61K 47/20
A61K 31/196
A61K 31/192
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3~5.5の範囲のpHを有する水性の局所用抗炎症性ゲル組成物であって、
アリールアルカン酸である非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、C
2~C
16飽和脂肪族アルコールの乳酸エステル、
3.8~5の範囲のpKa値を有する一塩基性有機酸、C
2~C
8飽和脂肪族アルコール、
モノグリセリド溶解促進剤、及びカチオン性
グアーガムを含
み、
前記C
2
~C
16
飽和脂肪族アルコールの乳酸エステルが、乳酸ラウリルであり、及び前記C
2
~C
8
飽和脂肪族アルコールが、一価アルコールであり;
前記アリールアルカン酸が、前記組成物の0.5~7重量パーセントの範囲の量で存在し、並びに
前記カチオン性グアーガムが、前記組成物の1~5重量パーセントの範囲の量で存在する、
抗炎症性組成物。
【請求項2】
アリールアルカン酸が、アリールエタン酸である、請求項1に記載の抗炎症性組成物。
【請求項3】
アリールエタン酸が、ジクロフェナクである、請求項2に記載の抗炎症性組成物。
【請求項4】
アリールエタン酸が、ジクロフェナクナトリウムである、請求項2に記載の抗炎症性組成物。
【請求項5】
アリールエタン酸が、ジクロフェナクジエチルアミンである、請求項2に記載の抗炎症性組成物。
【請求項6】
アリールアルカン酸が、アリールプロパン酸である、請求項1に記載の抗炎症性組成物。
【請求項7】
アリールプロパン酸が、ナプロキセンである、請求項6に記載の抗炎症性組成物。
【請求項8】
アリールプロパン酸が、ナプロキセンナトリウムである、請求項6に記載の抗炎症性組成物。
【請求項9】
アリールプロパン酸が、イブプロフェンである、請求項6に記載の抗炎症性組成物。
【請求項10】
アリールプロパン酸が、ケトプロフェンである、請求項6に記載の抗炎症性組成物。
【請求項11】
カチオン性
グアーガムが、ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウム基を有す
る、請求項1に記載の抗炎症性組成物。
【請求項12】
カチオン性グアーガムが、2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリドのグアーガムである、請求項11に記載の抗炎症性組成物。
【請求項13】
光安定剤をさらに含む、請求項1に記載の抗炎症性組成物。
【請求項14】
光安定剤が、スリソベンゾンである、請求項
13に記載の抗炎症性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体を参照により本明細書に組み込む、2016年9月16日出願の米国仮出願第62/395,804号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、局所組成物に関する。より具体的には、本発明は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を含有する局所用抗炎症組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
抗炎症薬は、筋痛、捻挫、筋挫傷、並びに関節炎痛を改善するために使用される医薬品である。これらの薬物は、経口投与され(例えば、錠剤、液剤、カプセル剤)、注射され、又は皮膚に適用され得る。このような医薬品は、皮膚に適用される場合、局所用抗炎症鎮痛薬と呼ばれる。このような一群の医薬品は、それらの化学的構造により、通常、局所用非ステロイド系抗炎症薬又は局所用NSAIDと呼ばれる。
【0004】
NSAIDは、経口摂取される場合、損傷を受けた身体部位に疼痛及び炎症を引き起こすプロスタグランジンを生成するシクロオキシゲナーゼ(cyclo-oxygenate)(cox)酵素を阻害することによって作用する。プロスタグランジンが減少すると、次に疼痛が低減される。局所用NSAIDは、同じ方式で機能するが、その疼痛緩和は、全身作用ではなく、局所用調製物が適用された領域又はエリアにもたらされる。NSAIDは、局所適用されると、まず皮膚に吸収され、次に身体の炎症領域のより深部に移動し、罹患している関節及び組織の疼痛を軽減し、腫れを低減する。局所適用されたNSAIDは、任意の全身投与経路と比較して、身体に比較的少量の薬物を導入し、したがって有害な副作用が生じる可能性を低減する。さらに、現在利用可能な局所用NSAID調製物は、薬物を罹患エリアに比較的ゆっくり放出する。
【0005】
しかしここで、局所用ゲルからのNSAIDの放出速度は、NSAIDのための特定の水性担体系を使用することによって促進され得ることが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
<発明の要旨>
カチオン性ガラクトマンナンガム系を含む水性担体におけるアリールアルカン酸非ステロイド系の抗炎症薬(NSAID)は、NSAIDの皮膚浸透を促進し、炎症、軽度から中等度の疼痛、及び発熱を処置するのに適した局所組成物を提供する。
【0007】
アリールアルカン酸は、アリールエタン酸若しくはその薬学的に許容される塩の形態、例えば、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム等、又はアリールプロパン酸若しくはその薬学的に許容される塩の形態、例えば、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ケトプロフェン等であり得る。
【0008】
水性担体系は、水に加えて、C2~C16飽和脂肪族アルコールの乳酸エステル、約3.8~約5の範囲のpKa値を有する一塩基性有機酸、C2~C8飽和脂肪族アルコール、溶解促進剤、及びカチオン性ガラクトマンナンガムを含む。
【0009】
局所組成物は、組成物の総重量に対して約0.5~約7重量パーセント、好ましくは約0.75~約5重量パーセントの範囲の量のアリールアルカン酸を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】6時間にわたる、局所組成物からのナプロキセンの皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図2】6時間にわたる、局所組成物からのジクロフェナクの皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図3】6時間にわたる、局所組成物からのイブプロフェンの皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図4】6時間にわたる、局所用ナプロキセン塩組成物の皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図5】6時間にわたる、局所用ナプロキセン遊離酸組成物の皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図6】6時間にわたる、様々な量の乳酸を有する局所用ナプロキセン塩組成物の皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図7】6時間にわたる、様々な量の乳酸を有する局所用ナプロキセン遊離酸組成物の皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図8】光安定剤を含有する局所組成物のナプロキセンの皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【
図9】光安定剤を含有する局所組成物のジクロフェナクの皮膚浸透を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体化する局所組成物は、約3~約5.5の範囲のpH値を有する、比較的低粘度のゲルである。これらのゲルは、処置される身体領域に、刺激を引き起こさない有効量で、容易に分散させ適用し、炎症及び疼痛の処置のための罹患領域へのNSAIDの送達を促進することができる。
【0012】
適切なNSAIDは、アリールエタン(アリール酢)酸、アリールプロパン酸、及びそれらの塩のような、薬学的に許容されるその塩を含むアリールアルカン酸である。例示的なアリールエタン酸は、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクジエチルアミン、ジクロフェナクエポラミン、インドメタシンナトリウム、インドメタシンメグルミン、ケトロラクトロメタミン、トルメチンナトリウム、エトドラク、スリンダク、ナブメトン等である。例示的なアリールプロパン酸は、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキセンピペラジン、ケトプロフェン、ケトプロフェンナトリウム、ケトプロフェンリシン、イブプロフェン、イブプロフェンナトリウム、イブプロフェンリシン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン等である。
【0013】
局所組成物は、組成物の総重量に対して約0.5~約7重量パーセント、好ましくは約0.75~約5重量パーセントの範囲の量のアリールアルカン酸を含有する。
【0014】
好ましくは、本発明の局所用抗炎症組成物はまた、UVA及びUVB紫外線放射、すなわち、280~400ナノメートル波長領域の紫外線放射を吸収する光安定剤を含む。本発明の局所組成物に適した光安定剤は、オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3)、スリソベンゾン(ベンゾフェノン-4)等のようなベンゾフェノン、アボベンゾン[1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン)]等のようなジベンゾイルメタン誘導体、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソアミル等のようなケイ皮酸(cinnnamate)誘導体、オクトクリレン(2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート)等のようなアクリレート、並びに前述の混合物である。
【0015】
本発明の局所組成物において、光安定剤は、好ましくは、組成物の総重量に対して約0.5~約2.5重量パーセント、より好ましくは約0.75~約1.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0016】
光安定剤は、安息香酸フェネチル、ジプロピレングリコールジベンゾエート(DiPG-ジベンゾエート)、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(Transcutol)等のような溶解剤と併用してもよく、又は併用しなくてもよい。またレブリン酸は、存在する場合、オキシベンゾンのような光安定剤の溶解を助けることができる。
【0017】
本発明の局所用抗炎症組成物はまた、ポリマー沈殿阻害剤、例えば低分子量ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールポロキサマー等のような結晶化阻害剤、ポリソルベート界面活性剤、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート等、ソルビトール等のような糖アルコールを含有することができる。
【0018】
本発明の局所組成物において、光安定剤は、好ましくは、組成物の総重量に対して約0.25~約2重量パーセント、より好ましくは組成物の総重量に対して約0.5~約1.5重量パーセントの範囲の量で存在することができる。
【0019】
例示的なC2~C16飽和脂肪族アルコールの乳酸エステルは、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸イソアミル、乳酸1,2-エチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル等である。好ましい乳酸エステルは、乳酸ラウリルである。
【0020】
本発明の組成物の乳酸エステルの含量は、組成物の総重量に対して約0.5~約5重量パーセント、好ましくは約1~約3重量パーセントの範囲である。
【0021】
適切な一塩基性有機酸は、約3.8~約5、好ましくは約4.6~約4.8の範囲のpKa値を有する酸である。例示的なこのような酸は、乳酸(pKa3.9)、ヒドロキシメチル-酪酸(pKa4.55)、レブリン酸(pKa4.6)、酢酸(pKa4.8)、ヘキサン(カプロン)酸(pKa4.88)等である。
【0022】
本発明の組成物の一塩基性有機酸の含量は、組成物の総重量に対して約0.5~約5重量パーセント、好ましくは約0.75~約4重量パーセントの範囲である。
【0023】
適切なC2~C8飽和脂肪族アルコールは、一価であっても二価であってもよい。例示的なC2~C8一価飽和脂肪族アルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ヘキサノール等である。例示的なC2~C8二価飽和脂肪族アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール等である。
【0024】
本発明の組成物のC2~C8飽和脂肪族アルコールの含量は、組成物の総重量に対して約35~約60重量パーセント、好ましくは約40~約55重量パーセントの範囲である。本発明の組成物は、一価C2~C8飽和脂肪族アルコールのみ、二価C2~C8飽和脂肪族アルコールのみ、又は一価及び二価C2~C8飽和脂肪族アルコールの混合物を含有することができる。特に好ましいのは、それぞれの重量比が約3.5:1~約4.5:1の範囲のエタノール及びプロピレングリコールの混合物である。
【0025】
適切な溶解促進剤は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノリノレート、それらの混合物等のようなモノグリセリドである。好ましい溶解促進剤は、グリセロールモノラウレートである。本発明の組成物の溶解促進剤の含量は、組成物の総重量に対して約0.5~約5重量パーセント、好ましくは約2~約4重量パーセントの範囲である。
【0026】
ガラクトマンナンガムは、コロハガム(マンノース:ガラクトース約1:1)、グアーガム(マンノース:ガラクトース約2:1)、タラガム(マンノース:ガラクトース約3:1)及びローカストビーンガム(マンノース:ガラクトース約4:1)のような、マンノース骨格及びガラクトース側基を有する多糖類である。本発明の組成物における使用に適しているのは、カチオン性ガラクトマンナンガム、すなわち、カチオン基及び/又はカチオン基にイオン化され得る基を含有するガラクトマンナンガムである。好ましいカチオン基は、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基である。
【0027】
特に好ましいのは、フランス、Aubervilliers Cedex 93306のRhodia Operations、米国ニュージャージー州、CranburyのSolvay USA Inc.のような様々な供給源から名称Jaguar C162で市販されている、2-ヒドロキシ-3-(トリメチル-アンモニウム)プロピルエーテルクロリドのグアーガム等のような、ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウム基及びその塩を有するカチオン性グアーガムである。
【0028】
適切なカチオン性グアーガムは、DeMartinoら米国特許第4,031,307号、Yehら米国特許第5,536,825号、及びBaldaroら米国特許第8,501,932号にも記載されている。
【0029】
本発明の組成物におけるカチオン性ガラクトマンナンガムの含量は、組成物の総重量に対して約1~約5重量パーセント、好ましくは約1.5~約4重量パーセントの範囲である。
【0030】
本明細書に記載される局所組成物は、以下の方式で調製され得る。
【0031】
カチオン性グアーガムを、室温でかき混ぜながら水に分散させる。別個の容器内で、NSAIDを、乳酸エステル、一塩基性有機酸、C2~C8飽和脂肪族アルコール、及び溶解促進剤と合わせる。一塩基性有機酸が溶解した後、アリコートの水を添加し、得られた溶液を十分にかき混ぜる。所望に応じて、光安定剤を同時に添加する。
【0032】
その後、溶液を、実質的に均質なゲルが得られるまで少なくとも2時間にわたって激しくかき混ぜながら、カチオン性グアーガムの水性分散液に定量的に移す。次に、得られたゲルを、混入した気泡が分散するのに十分な時間にわたって静置した後、パッケージングする。
【実施例】
【0033】
本発明を具体化する例示的な局所組成物の皮膚浸透研究を、ヒト男性屍体のデルマトームした背中の皮膚片(Science Care、コロラド州、Aurora;厚さ250マイクロメートル)、フランツセル(体積3.65ml、表面積0.55cm2)を使用し、加熱/撹拌ブロックを使用して35℃で実施した。受容体区画は、ナトリウムアジドを含む生理食塩水を含有していた(pH5.5)。
【0034】
試料ごとに4つ又は5つの複製物(25ml及び25mgの対照)を調製した。サンプリング体積は300mlであった。各試料を取り出した後、新しい緩衝液で置き替えた。試料は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してアッセイした。
【0035】
ナプロキセンについては、対照は、メキシコ、LermaのBayer de Mexico S.A.製のApronax(登録商標)ゲル(5.5%ナプロキセンナトリウム)又はFlanax(登録商標)ゲル(5.5%ナプロキセンナトリウム)であった。
【0036】
ジクロフェナクについては、対照は、ドイツ、WehrのNovartis Pharma Productions GmbH製のVoltaren(登録商標)ゲル(1%ジクロフェナクナトリウム)であった。
【0037】
イブプロフェンについては、対照は、ドイツ、FriedrichsdorfのAxicorp Pharma GmbH製のIbutop(商標)Schmerzgelゲル(5%イブプロフェン)又は英国、Herts、Watford、94 Rickmansworth RoadのDDD Limited製のIbuleve(商標)であった。
【0038】
皮膚浸透研究の結果を、以下に提示する。
【0039】
以下の表1に示されている、約2.5重量パーセントのナプロキセン又はナプロキセンのナトリウム塩を含有する局所組成物を、約5.5重量パーセントのナプロキセンナトリウムを含有するApronax(登録商標)ゲルと比較した。皮膚浸透の結果は、以下の表2及び
図1に提示されている。
【0040】
【0041】
【0042】
上の皮膚浸透データは、比較的より低濃度のナプロキセンを含有する本発明の組成物によって、比較的より高いナプロキセン濃度を有する市販のナプロキセンナトリウムゲルよりも大きなナプロキセンの皮膚浸透がもたらされたことを示している。このデータはさらに、ナプロキセンナトリウム及びナプロキセンの皮膚浸透がおよそ同じであったことを示している。
【0043】
以下の表3に示されており、約1重量パーセントのジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、又はジクロフェナクジエチルアミンを含有する局所組成物を、皮膚浸透について評価し、Voltaren(登録商標)ゲルの性能と比較した。観察された結果は、以下の表4及び
図2に提示されている。
【0044】
【0045】
【0046】
上の皮膚浸透データは、カチオン性グアーガムを含有する局所組成物によって、およそ同量のジクロフェナクを含有する市販製品であるVoltaren(登録商標)ゲルと比較して、ジクロフェナクの送達が著しく促進されたことを示している。
【0047】
【0048】
表5に列挙されており、約5重量パーセントのイブプロフェンを含有する組成物を、皮膚浸透性能について評価し、Ibuleve(商標)ゲルと比較した。観察された結果は、以下の表6及び
図3に提示されている。
【0049】
【0050】
上の皮膚浸透データは、カチオン性グアーガムを含有する局所組成物によって、およそ同量のイブプロフェンを含有する市販生成物であるIbutop(商標)ゲルと比較して、イブプロフェンの送達が著しく促進されたことを示している。
【0051】
以下の表7及び8は、皮膚浸透に対するカチオン性グアーガムの効果を示している。
【0052】
【0053】
表7に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重170ポンドの68歳の男性屍体の背中皮膚に適用した。結果は、以下の表8に示されている。
【0054】
【0055】
先のデータは、カチオン性グアーガムの存在によって、ステインの浸透が促進されることを示している。
【0056】
本発明のナプロキセン組成物における結晶化阻害剤の使用は、以下の表9~12に示されている。
【0057】
【0058】
表9に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重250ポンドの64歳の男性屍体の背中皮膚に適用した。結果は、以下の表10及び
図4に示されている。
【0059】
【0060】
【0061】
表11に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重250ポンドの64歳の男性屍体の背中皮膚に適用した。結果は、以下の表12及び
図5に示されている。
【0062】
【0063】
ナプロキセン組成物の皮膚浸透性能に対する乳酸の効果は、以下の表13~16、並びに
図6及び7に示されている。
【0064】
【0065】
【0066】
表13に示されている結果は、乳酸を排除すると、組成物の皮膚浸透が低減したことを示している。
【0067】
【0068】
表15に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重150ポンドの65歳の男性屍体の背中皮膚に適用した。結果は、以下の表16に示されている。
【0069】
【0070】
表16のデータは、組成物から乳酸を排除すると、皮膚浸透が低減することを示している。
【0071】
オキシベンゾンを、ナプロキセン含有組成物に光安定剤として添加し、これらの組成物の皮膚浸透性能を評価した。
【0072】
【0073】
表17に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重150ポンドの67歳の男性屍体の背中皮膚に適用した。結果は、以下の表18及び
図8に示されている。
【0074】
【0075】
表18のデータは、光安定剤の存在が、ナプロキセン組成物の皮膚浸透に実質的に影響を及ぼさないことを示している。
【0076】
オキシベンゾンを、ジクロフェナク含有組成物に光安定剤として添加し、これらの組成物の皮膚浸透性能を評価した。
【0077】
【0078】
上の表19に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重108ポンドの72歳の女性屍体の大腿皮膚に適用した。結果は、以下の表20及び
図9に示されている。
【0079】
【0080】
表20のデータは、光安定剤の存在が、ジクロフェナク組成物の皮膚浸透に実質的に影響を及ぼさないことを示している。
【0081】
調製したジクロフェナク含有組成物の安定性及び光安定性を、25℃において、F6005電球を備えたフュージョンUVシステムを240ワット/cmで使用して5分間にわたってUV光に曝露した後に評価した。結果は、以下の表21に示されている。
【0082】
【0083】
上の表21のデータは、オキシベンゾンによって、ジクロフェナク含有組成物の光安定性が促進されることを実証している。
【0084】
オキシベンゾンを、イブプロフェン含有組成物に光安定剤として添加し、これらの組成物の皮膚浸透性能を評価した。組成は、以下の表22に示されている。
【0085】
【0086】
上の表22に示されている組成物を、フランツセル皮膚浸透研究において、体重170ポンドの61歳の男性屍体の大腿皮膚に適用した。観察された結果は、以下の表23に示されている。
【0087】
【0088】
上の表22に示されている、調製したイブプロフェン組成物の安定性及び光安定性を、25℃において、F6005電球を備えたフュージョンUV系を240ワット/cmで使用して10分間にわたってUV光に曝露した後に評価した。結果は、以下の表24に示されている。
【0089】
【0090】
以下の表25に示されている、ジクロフェナク及びオキシベンゾンを含有する局所組成物を、安定性試験のために調製した。
【0091】
【0092】
調製した組成物は、透明ゲルであり、それを25℃において、F6005電球を備えたフュージョンUV系を240ワット/cmで使用して5分間にわたってUV光に曝露した後に評価した。結果は、以下の表26に示されている。
【0093】
【0094】
以下の表27に示されている、ナプロキセン及びナプロキセンナトリウムを含有する局所組成物を、安定性試験のために調製した。
【0095】
【0096】
【0097】
スリソベンゾンを、イブプロフェン含有局所組成物に光安定剤として添加し、それらの組成物の皮膚浸透性能を評価した。組成は、以下の表29に示されている。
【0098】
【0099】
上の表29に示されている組成物AZ、BA及びBBを、フランツセル皮膚浸透研究において、体重170ポンドの61歳の男性屍体の大腿皮膚に適用した。観察された結果は、以下の表30に示されている。
【0100】
【0101】
上の表29に示されている、調製したイブプロフェン組成物の安定性及び光安定性を、25℃において、F6005電球を備えたフュージョンUV系を240ワット/cmで使用して5分間にわたってUV光に曝露した後に評価した。結果は、以下の表31に示されている。
【0102】