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特許7206210制限流路内でのカーボンナノチューブの整列
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】制限流路内でのカーボンナノチューブの整列
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/168 20170101AFI20230110BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20230110BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230110BHJP
   C01B 32/172 20170101ALI20230110BHJP
   C01B 32/174 20170101ALI20230110BHJP
   D02G 3/16 20060101ALI20230110BHJP
   D02G 3/36 20060101ALI20230110BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C01B32/168
B82Y30/00
B82Y40/00
C01B32/172
C01B32/174
D02G3/16
D02G3/36
H01L21/28 301B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019548552
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018012480
(87)【国際公開番号】W WO2018164764
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】15/455,587
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506097988
【氏名又は名称】ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】マイケル スコット アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ローズ ジンキンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド ジョーセフ ブレイディ
(72)【発明者】
【氏名】パドマ ゴパラン
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530591(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103342351(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246408(US,A1)
【文献】米国特許第09327979(US,B1)
【文献】特開2008-037919(JP,A)
【文献】特開2001-093404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0026408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/168
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C01B 32/172
C01B 32/174
D02G 3/16
D02G 3/36
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブアレイを形成する方法であって、
第1の材料を含む堆積基材と第2の材料を含む制限壁とによって規定された流路を通る、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程であって、流動する前記流体サスペンションに速度勾配が形成される工程と、
有機材料で被覆されたカーボンナノチューブを前記流体サスペンションから前記堆積基材上に堆積させる工程であって、堆積された前記有機材料で被覆されたカーボンナノチューブがせん断流の方向に沿って整列される工程と、
を含み、
前記流路を通る、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程が、前記流体サスペンションと不混和性である液体を、前記流体サスペンションと一緒に前記流路を通して流すことをさらに含み、前記流体サスペンションと前記液体とが並んで流れ、前記有機材料で被覆されたカーボンナノチューブが、前記流体サスペンションと前記液体との間の界面で、前記流体サスペンションのバルク中での前記有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの濃度に比べて濃縮され
カーボンナノチューブアレイを形成する方法。
【請求項2】
前記液体が水である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記流体サスペンションと前記液体との間の界面を前記堆積基材にわたって平行移動させる工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記流体サスペンション及び前記液体と共に前記流路を通して溶媒を流す工程であって、前記流体サスペンションが前記液体と前記溶媒との間を流れる工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
カーボンナノチューブアレイを形成する方法であって、
第1の材料を含む堆積基材と第2の材料を含む制限壁とによって規定された流路を通る、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程であって、流動する前記流体サスペンションに速度勾配が形成される工程と、
有機材料で被覆されたカーボンナノチューブを前記流体サスペンションから前記堆積基材上に堆積させる工程であって、堆積された前記有機材料で被覆されたカーボンナノチューブがせん断流の方向に沿って整列される工程と、
を含み、
前記流路が、前記堆積基材と、前記堆積基材に対向して配置された制限壁と、前記堆積基材と前記制限壁との間に配置された、前記流体サスペンションに不混和性である液体の層を含む床とによって規定される、
カーボンナノチューブアレイを形成する方法。
【請求項6】
前記流路を通る、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程が、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションを前記液体の層上に流すことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記流体サスペンションと不混和性である液体が水である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションが前記流路を通って流れる際に、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションを前記堆積基材にわたって平行移動させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記流路を通る、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程が、有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションと同じ方向に前記液体の層を流すことをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体の層と前記流体サスペンションとによって形成された界面が前記堆積基材に沿って平行移動するように前記液体の層の体積流量に対して有機材料で被覆されたカーボンナノチューブの前記流体サスペンションの体積流量を変化させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年3月10日に出願された米国特許出願第15/455,587号の優先権を主張する。米国特許出願第15/455,587号の全内容を、参照により本明細書に援用する。
【0002】
政府の権利への言及
本発明は、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)により与えられた1462771の下での政府支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotubes)(SWCNTs)は、それらの興味深い物理的及び化学的特性のために、ナノスケール科学技術の重要な構成要素である。SWCNTsは、高速で低消費電力の半導体エレクトロニクスに特に有望である。しかしながら、組織化されたアセンブリへの、そして最終的には有用なデバイスへのこれらのビルディングブロックの階層的な組織化は難題である。ランダムネットワークSWCNT薄膜はチャネル伝導度と移動度の低下を含む、サブオプティマルな電子特性をもたらすため、秩序構造が必要である。この欠点を解決し、より高い伝導度及び移動度を達成するために、SWCNTsを整列させるための数多くの手法が検討されてきた。これらのアプローチは、(a)化学蒸着とアーク放電による直接成長、及び(b)合成後アセンブリ(post synthetic assembly)という2つの主なカテゴリに分類できる。直接成長の場合、金属性SWCNTs及び半導体性SWCNTsの両方が生成される。この場合、チャネル層にSWCNTsを含むSWCNT電界効果トランジスタ(FETs)の性能は金属性SWCNTs(m-SWCNTs)によって制限され、そのため、均一な電子的特性を有する半導体性SWCNT(s-SWCNT)サンプルを精製することを動機付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
m-SWCNTsとs-SWCNTsとをそれらの特定の物理的及び電子的構造に応じて分離するために、さまざまな合成後選別方法(post-synthetic sorting methods)が開発されており、これらは、通常、水溶液又は有機溶液中で実施される。これらの溶液に基づく選別アプローチによって製造できる高純度のs-SWCNTsを半導体電子デバイスにおいて活用するために、s-SWCNTsを集積させ整列させるための溶液に基づく方法、例えば、蒸発駆動自己集積法(evaporation-driven self-assembly)、ブローンバブル集積法(blown-bubble assembly)、ガスフロー自己集積法(gas flow self-assembly)、スピンコーティング、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)法及びラングミュア-シェーファー(Langmuir-Shafer)法、接触印刷集積法(contact printing assembly)、AC電気泳動法などが開発されてきた。これらの方法にはそれぞれ長所があるが、s-SWCNTに基づく実用的な電子デバイスの製造を可能にするために、s-SWCNTの集積及び整列(又はアラインメント)の忠実度を向上させる新しい方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
整列したカーボンナノチューブのアレイを形成する方法が提供される。当該方法によって形成されたアレイも提供される。
【0006】
本方法の一実施形態は、堆積基材(deposition substrate)及び制限壁(confining wall)によって規定された流路を通る有機材料被覆カーボンナノチューブの流体サスペンション(fluid suspension)のせん断流を生じさせる工程であって、流動する流体サスペンションに速度勾配が形成される工程と、有機材料被覆カーボンナノチューブを流体サスペンションから堆積基材上に堆積させる工程であって、堆積された有機材料被覆カーボンナノチューブがせん断流の方向に沿って整列される工程とを含む。流路は、閉じた流路又は開いた流路であることができる。
【0007】
本方法のいくつかの実施形態では、有機材料被覆カーボンナノチューブの流体サスペンションは、当該流体サスペンション中のカーボンナノチューブの回転拡散係数を超える速度で堆積基材上を流れる。
【0008】
本方法のいくつかの実施形態では、流体サスペンションは、開いた流路内を当該流体サスペンションと不混和性である液体の上を流れる。あるいは、流体サスペンションと不混和性である液体を、流体サスペンションと不混和性の液体とが並んで流れるように、流体サスペンションと一緒に閉じた流路を通して流すことができる。これによって、流体サスペンションと不混和性液体との間に界面が生じ、その界面において、カーボンナノチューブは、整列され、流体サスペンションのバルク中でのカーボンナノチューブの濃度と比べて濃縮される。堆積基材にわたって界面を平行移動させることにより、整列したカーボンナノチューブのアレイを大きな表面積にわたって堆積させることができる。
【0009】
本発明の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態を添付の図面を参照して説明するが、同じ数字は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、閉じた制限流路内で堆積されている整列カーボンナノチューブアレイの概略図である。
【0012】
図1B図1Bは、別の実施形態の閉じた制限流路内で堆積されている整列カーボンナノチューブアレイの概略図である。
【0013】
図1C図1Cは、図1Bの堆積システムを使用して堆積基材にわたって平行移動している液体/流体サスペンション界面の平行移動を示す概略図である。
【0014】
図1D図1Dは、さらに別の実施形態の閉じた制限流路内で堆積されている整列カーボンナノチューブアレイの概略図である。
【0015】
図1E図1Eは、図1Dの堆積システムを使用して堆積基材にわたって平行移動している液体/流体サスペンション界面の平行移動を示す概略図である。
【0016】
図2図2は、定置液体床を備えた、開いた制限流路内で堆積されている整列カーボンナノチューブアレイの概略図である。
【0017】
図3図3は、流動液体床を備えた、開いた制限流路内で堆積されている整列カーボンナノチューブアレイの概略図である。
【0018】
図4図4は、実施例1の閉じた制限流路の上面図(左側のパネル)及び断面側面図(右側のパネル)を示す概略図である。
【0019】
図5図5のパネル(a)~(d)は、実施例1に従って、異なるせん断速度で堆積された整列カーボンナノチューブアレイのSEM画像を示す。
【0020】
図6図6は、実施例2に従って、クロロホルムベースの流体サスペンションから形成された整列カーボンナノチューブアレイのSEM画像である。
【0021】
図7図7は、実施例2に従って、トルエンベースの流体サスペンションから形成された整列カーボンナノチューブアレイのSEM画像である。
【0022】
図8図8は、実施例2に従って、1,2-ジクロロベンゼンベースの流体サスペンションから形成された整列カーボンナノチューブアレイのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
整列したカーボンナノチューブのアレイを形成する方法。また、当該方法によって形成されたアレイ、及び当該アレイを活性層として組み込んだ電子デバイスも提供される。
【0024】
アレイは、カーボンナノチューブの流体サスペンションを、流動するサスペンションに速度勾配を生じる条件下で、制限流路(confined channel)を通して流すことにより形成される。本方法のいくつかの実施形態において、カーボンナノチューブの流体サスペンションは、別の液体にわたって流れて液体/流体サスペンション界面を提供し、当該界面においてカーボンナノチューブが濃縮される。液体/流体サスペンション界面でのカーボンナノチューブの蓄積/閉じ込め、カーボンナノチューブに作用するせん断力、又は両方の効果の組み合わせの結果として、カーボンナノチューブは、それらが堆積基材上を流れ、堆積基材上に堆積すると、流れ方向に沿って整列する。これらの方法は、大きな表面積にわたって整列したカーボンナノチューブの膜を形成する迅速でスケーラブルな手段を提供する。流量パラメータと流路の寸法及び設計を調整することによって、堆積されたアレイにおけるカーボンナノチューブの整列度(degree of alignment)及び線充填密度を制御することができる。
【0025】
カーボンナノチューブは、高圧一酸化炭素(HiPco)生成粉末から加工されたSWCNTsやアーク放電法により製造されたSWCNTsなどのSWCNTsであることができる。カーボンナノチューブは、非常に小さな直径、例えば、5nm未満、より一般的には2nm未満の直径によって特徴付けられる。本方法を使用して様々な長さのカーボンナノチューブを整列させることができる。これは、1μm以下、さらには0.5μm以下の長さを有する非常に短いカーボンナノチューブを含む。短いナノチューブは、長いナノチューブよりも整列させるのがかなり難しいため、これは重要である。個々のカーボンナノチューブの寸法が異なるカーボンナノチューブのサンプル(例えば、粉末)では、上記の寸法は、そのサンプルにおけるカーボンナノチューブの平均寸法を指す。しかしながら、サンプルにおけるカーボンナノチューブのいずれも上記の最大寸法を超えないようにサンプルを選択することができる。いくつかのデバイス用途では、カーボンナノチューブが半導体性SWCNTs(s-SWCNTs)であることが望ましい。したがって、この方法で使用されるカーボンナノチューブは、金属性SWCNTs(m-SWCNTs)の全て又は実質的に全て(例えば>90%)を除去するように事前に選別することができる。
【0026】
カーボンナノチューブの整列及び基材上への堆積を促進するため、及び、流体サスペンション中又は堆積したアレイにおける凝集を回避するために、個々のカーボンナノチューブを有機材料で被覆することができる。明確にするために、これらの被覆されたカーボンナノチューブは、それぞれ、それらの表面上に有機材料の部分的又は完全な膜を有し、それらはすべてが連続した有機(例えばポリマー)マトリックス中に分布しているわけではない。コーティングは、カーボンナノチューブの表面に共有結合されていてもよいが、そうである必要はない。コーティングを形成する有機材料としては、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。コーティングは、s-SWCNTsとm-SWCNTsとの混合物からs-SWCNTsを分離するために事前選別工程で使用されたコーティングであってもよい。本明細書では、これらのタイプのコーティングを半導体選択的コーティング(semiconductor-selective coatings)と呼ぶ。半導体選択的ポリマーコーティングを含む多くの半導体選択的コーティングが知られている。かかるポリマーについての説明は、例えば、Nish, A.; Hwang, J. Y.; Doig, J.; Nicholas, R. J. Highly selective dispersion of single-walled carbon nanotubes using aromatic polymers. Nat. Nanotechnol. 2007, 2, 640-6に見出すことができる。半導体選択的ポリマーは、典型的には、高度のπ共役を有する有機ポリマーであり、半導体選択的ポリマーとしては、例えばポリ(9,9-ジアルキル-フルオレン)誘導体などのポリフルオレン誘導体や、ポリ(フェニルビニレン)誘導体が挙げられる。半導体選択的コーティングは、導電性又は半導電性材料であることができるが、電気絶縁性でもあってもよい。任意選択的に、カーボンナノチューブアレイが堆積された後に、カーボンナノチューブからコーティングを除去することができる。例えば、コーティングを選択的に溶解又はエッチング除去することができる。あるいは、ビピリジン反復単位を有するポリマーの場合、米国特許第9,327,979号に記載されているように、例えば遷移金属(例えばレニウム)カルボニル塩などの遷移金属塩への曝露によってコーティングを除去することができる。
【0027】
カーボンナノチューブの流体サスペンションを提供するために、カーボンナノチューブは溶液中に分散される。溶媒がカーボンナノチューブを可溶化できるならば、溶液を形成するために多種多様な有機溶媒及び有機溶媒の混合物を使用することができる。開いた制限流路が使用される本方法の実施形態では、有機溶媒がゆっくりと蒸発するように、有機溶媒は、望ましくは、膜堆積温度及び圧力、典型的には周囲温度及び圧力で、比較的高い沸点を有する。比較的高い沸点を有する溶媒の例としては、トルエン及び1,2-ジクロロベンゼンが挙げられる。しかしながら、より低い沸点の有機溶媒、例えばクロロホルムなども使用できる。流体サスペンション中のカーボンナノチューブの濃度は、特に堆積時間又は堆積界面の面積が制限されている場合、堆積されたアレイ中のカーボンナノチューブの密度に影響を及ぼし得る。広範囲のカーボンナノチューブ濃度を使用できる。単なる例示として、当該方法のいくつかの実施形態では、流体サスペンションは、0.01μg/mL~250μg/mLの範囲内のカーボンナノチューブ濃度を有する。
【0028】
この方法は、制限流路を通るカーボンナノチューブを含む流体サスペンションの流れを生じさせ、それにより、流動するサスペンションに流速勾配が形成されることにより行われる。制限流路は、堆積基材と制限基材(confinement substrate)とによって規定される狭い導管である。堆積基材は、カーボンナノチューブアレイを形成するためにその上にカーボンナノチューブが堆積される基材である。したがって、この基材は、被覆されたSWCNTsを含むカーボンナノチューブが容易に付着する材料で構成されるべきである。種々のカーボンナノチューブコーティング材料及び/又は種々の流路形状に対して、種々の堆積基材材料が好ましい場合がある。本方法のいくつかの実施形態において、親水性基材、例えば酸化ケイ素(例えばSiO)などを使用することができる。他の実施形態において、非親水性基材又は親水性基材を使用することもできる。使用できる他の堆積基材材料としては、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化ハフニウム及び酸化ランタンなど、ただし、これらに限定されない)、例えばSiNなどの高k誘電性材料、例えばシリコンやゲルマニウムなどの一般的な半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。堆積基材は、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルスルホン、ポリ(エチレンテレフタレート)など(ただしこれらに限定されない)の、フレキシブルエレクトロニクス用途用のポリマー基材であることもできる。これらの材料は、堆積基材を構成することができ、あるいは、バルク基材ベース上にコーティングとして適用されることができる。
【0029】
制限基材は、堆積基材とともに、流路を規定する。制限基材材料は、カーボンナノチューブアレイ堆積プロセス中に、堆積基材よりも制限基材にカーボンナノチューブが付着しにくいように選択する必要がある。したがって、種々のカーボンナノチューブコーティング材料及び/又は種々の流路形状に対して、種々の制限基材材料が好ましい場合がある。単なる例示として、疎水性堆積基材によく付着する有機材料被覆カーボンナノチューブの場合、制限基材は、堆積基材を構成する材料よりも疎水性が低い材料で構成されてもよい。同様に、親水性堆積基材によく付着する有機材料被覆カーボンナノチューブの場合、制限基材は、堆積基材を構成する材料よりも親水性が低い材料で構成されてもよい。制限基材に適した材料の例としては、例えばポリテトラフルオロエチレン及びバイトン(Viton)などのフルオロポリマー、及び疎水性ポリマーで被覆されたガラス又は石英が挙げられるが、これらに限定されない。被覆されていないガラス及び石英も使用できる。制限基材上のカーボンナノチューブの堆積を排除する必要はない。しかしながら、もし制限基材上のカーボンナノチューブの堆積が著しい場合には、制限基材を定期的に交換するか、制限基材から堆積したカーボンナノチューブを取り除くことが望ましいであろう。
【0030】
堆積基材及び制限基材は、それらが閉じた制限流路又は開いた制限流路を形成するように配置することができる。閉じた制限流路は、カーボンナノチューブの流動するサスペンションをその周囲で取り囲む導管であり、閉じた制限流路では、カーボンナノチューブの流動するサスペンションは、それが導管を流れるときにどの側でも空気に曝されない。閉じた流路のいくつかの実施形態では、堆積基材は平坦基材である。閉じた流路のカーボンナノチューブ堆積システムでは、実施例1で詳しく説明するように、カーボンナノチューブの流体サスペンションが堆積基材上を流動する際に、堆積基材が静止したままであることができる。
【0031】
閉じた制限流路の一部の一実施形態の概略図が図1Aに示されている。カーボンナノチューブのサスペンションが閉じた制限流路を流れる際に、流速勾配(せん断速度)により、カーボンナノチューブの長軸(長手方向)が流れの方向に沿う状態でカーボンナノチューブを整列させるせん断力が生じる。流体サスペンション中のカーボンナノチューブが堆積基材に接触すると、カーボンナノチューブの長軸が流れの方向に向いた状態でその基材の表面にカーボンナノチューブが堆積する。
【0032】
流路は、堆積基材102と制限基材104とによって規定される。(この図では、閉じた制限基材の上部(「天井」)のみが示されており、制限基材は、流体サスペンションを横方向に制限する側壁(すなわち、yz平面内の壁;図示せず)をさらに含む。側壁103は、挿入図に、流路の簡略化した正面図で示されている。)導管106は、堆積基材102と制限基材104とによって規定される。カーボンナノチューブの流体サスペンション108が導管106を通って流れるとき、堆積基材102と制限基材104との間の流体に速度勾配が形成される。(y方向に沿った速度勾配は矢印で示されており、速度勾配の大きさは流路のその部分における速度に対応している。)結果として、流体サスペンション108中のカーボンナノチューブ112は、流れ方向(図中のz軸)に沿って整列し、整列したカーボンナノチューブが堆積基材102上に堆積して、整列したカーボンナノチューブ114のアレイを形成する。制限基材104は、2種以上の材料で構成されていてもよい。例えば、ここに示される実施形態では、壁103は、堆積基材と制限基材104の上部との間に挟まれた1つのゴムスペーサ(又は複数のゴムスペーサ)によって提供されてもよく、上部はゴム以外の材料で構成されてもよい。
【0033】
閉じた制限流路の一部の別の実施形態が図1Bに示されている。この実施形態では、閉じた制限流路は、図1Aに示した実施形態と同じ構成を有するが、ただし、流体サスペンション108と別の液体118とが、堆積基材102と制限基材104との間で並んで流れるように、流体サスペンションは、別の液体118と共に流路を通って流される。液体118は、流体サスペンション108と不混和性であるように選択される。例えば、液体118は水であることができる。その結果、流体サスペンション/液体界面111が2つの層の間に形成される。流体サスペンション108及び液体118が流路を通って流れる際に、サスペンション中のカーボンナノチューブ112は、流れの方向に沿って整列し、界面111で濃縮される。これによって、濃縮されたカーボンナノチューブの細い接触線が生じ、そこから、整列したカーボンナノチューブ112が堆積基材102上に堆積され、整列したカーボンナノチューブ114のアレイが形成される。液体118の体積流量に対して流体サスペンション108の体積流量を変化させることによって、界面111を堆積表面102にわたって平行移動させて、大きな表面積にわたって連続アレイ114を形成することができる。この進行過程が図1Cに概略的に示されており、図1Cにおいて、パネル(a)は第1の相対体積流量における界面111の位置を示し、パネル(b)は流体サスペンション118の体積流量に対して液体118の体積流量を減少させた後、堆積基材102に沿ってさらに平行移動した界面111の位置を示す。あるいは、液体118及び流体サスペンション108の相対体積流量を一定に保つことができ、液体及び流体サスペンションが流路を流れる際に界面111に対して垂直な方向に堆積基材を平行移動させることにより、カーボンナノチューブ112のアレイ114を堆積基材102上に堆積させることができる。
【0034】
閉じた制限流路の一部の別の実施形態が図1Dに示されている。この実施形態では、閉じた制限流路は、図1Bに示した実施形態と同じ構成を有するが、ただし、カーボンナノチューブの流体サスペンション108は、片側で液体118と隣接し、反対側で溶媒115と隣接している。溶媒115は、流体サスペンションのカーボンナノチューブが懸濁しているのと同じ溶媒であるか、又は、流路内に第2の液体/液体界面117が形成されるようにカーボンナノチューブが可溶性又は分散性でない異なる溶媒であることができる。いくつかの実施形態において、溶媒115はフッ素化有機溶媒である。図1Bに示した実施形態のように、流体サスペンション108中のカーボンナノチューブ112は、流れの方向に沿って整列し、界面111で濃縮される。これによって、濃縮されたカーボンナノチューブの細い接触線が生じ、そこから、整列したカーボンナノチューブ112が堆積基材102上に堆積され、整列したカーボンナノチューブ114のアレイが形成される。
【0035】
液体118の体積流量に対して溶媒115の体積流量を変化させることによって、界面111を堆積表面102にわたって平行移動させて、大きな表面積にわたって連続アレイ114を形成することができる。この進行過程が図1Eに概略的に示されており、図1Eにおいて、パネル(a)は第1の相対体積流量における界面111の位置を示し、パネル(b)は溶媒115の体積流量に対して液体118の体積流量を減少させた後、堆積基材102に沿ってさらに平行移動した界面111の位置を示す。あるいは、液体118及び溶媒115の相対体積流量を一定に保つことができ、液体及び流体サスペンションが流路を流れる際に界面111に対して垂直な方向に堆積基材を平行移動させることにより、カーボンナノチューブ112のアレイ114を堆積基材102上に堆積させることができる。
【0036】
図1Bに示した実施形態と比較して、図1Dに示した構成は、カーボンナノチューブの流体サスペンションの体積がより少なくて済むため、より少ない量のカーボンナノチューブを使用する。さらに、カーボンナノチューブが溶媒115に可溶性又は分散性でない場合、制限基材上へのカーボンナノチューブの望ましくない堆積を低減するか又はなくすことができる。
【0037】
図1B~1Eに示したタイプの実施形態では、液体、流体サスペンション及び溶媒を、個別の入力装置を使用して流路に導入できる。入力装置は、液体、流体サスペンション及び溶媒が流路に入るように、例えば流れの方向に対して垂直又は平行に流路に入るように構成することができる。安定した、明確に規定される液体/流体サスペンション界面を確立するために、任意選択的に、フローセルに、初期体積の液体、流体サスペンション、溶媒又はそれらの2つ以上の組み合わせを前もって注入することができる。これは、空気/液体界面の存在下で生じ得るフローセル壁の制御不可能な表面濡れを防止するために行われる。
【0038】
堆積基材及び制限基材を、それらが開いた制限流路を形成するように配置することもできる。開いた制限流路は、カーボンナノチューブの流動するサスペンションの上方に開放空間を有するトラフ状の導管である。開いた流路のいくつかの実施形態では、堆積基材及び制限基材は、互いに対向して配置され、ギャップによって分離された平坦基材である。堆積基材及び制限基材の対向する表面は、平行な配列で配向できるが、そうである必要はない。これらの実施形態では、流路は、2つの基材間のギャップに広がって、流路床(channel floor)として機能する、例えば水などの液体の層によってさらに規定することができる。このタイプの開いた制限流路では、流体サスペンションは、液体の層の上方であって、堆積基材と制限基材との間を流される。カーボンナノチューブのアレイは、サスペンションが流路を流れる際に液体の表面に対して垂直な方向に堆積基材を移動させるか、又はサスペンションが流路を流れる際に流体サスペンションと液体との間の界面を堆積基材にわたって平行移動させることにより、堆積基材の領域にわたって堆積させることができる。
【0039】
開いた制限流路の一実施形態の概略図が図2に示されている。流路は、堆積基材202と制限基材204とによって規定される。流路は、流路に床を提供する例えば水などの液体の層203によってさらに規定される。カーボンナノチューブの流体サスペンション208は、入力口(ここでは単純化するためにニードル209で表されている)を介して流路206に導入される。液体層203と流体サスペンション208とは不混和性であり、したがって、流体サスペンション/液体界面211が2つの層の間に形成される(挿入図を参照)。流体サスペンション208が液体層203上を流れる際に、サスペンション中のカーボンナノチューブ212は流れ213の方向に沿って整列し、界面211で濃縮される。界面211から、整列したカーボンナノチューブ212が堆積基材202上に堆積され、整列したカーボンナノチューブ214の膜を形成する。流体サスペンション208が流動する際に界面211と交差して堆積基材202を移動させることによって、整列したカーボンナノチューブ214の膜を大きな表面積にわたって連続的に形成することができる。
【0040】
開いた制限流路の別の実施形態が図3に概略的に示されている。この流路のコンポーネントは、図2の実施形態のものと同じであるが、ただし、液体層203の上部は、流体サスペンション208と同じ方向315に流れる液膜303である。いくつかの実施形態では、液膜303は、流体サスペンション208よりも速い流量で流れる。(流体サスペンションと液膜の相対速度は矢印で表されており、その長さはそれぞれの層の速度に対応する。)図に示されているように、別の入力口(ここでは単純化するためにニードル309で表す)を介して液体を流路206に導入することによって、流体サスペンション208の下方に流動液膜303を提供することができ、流体サスペンション208と液膜303との間に界面311が形成される。流動液膜303を使用することの1つの利点は、流動液膜303が流体サスペンション208の抗力を低減すること、及び、流動液膜を利用して、せん断流を生じさせる高い速度及び速度勾配を達成することである。流体サスペンション208に対する抗力のこの低減は、より良好な層流をもたらすことができ、これは、堆積された膜中のカーボンナノチューブのより良好な整列をもたらすことができる。流体サスペンション208が流動している際に、堆積基材202を、界面311と交差して移動させることによって、整列したカーボンナノチューブ214のアレイを大きな表面積にわたって連続的に形成することができる。図3に示した方法の一変形態様では、液体の最上層の部分ではなく、液体208の層全体が流動している。
【0041】
この流路のコンポーネントは、図2の実施形態のものと同じであるが、ただし、液体層203の上部は、流体サスペンション208と同じ方向315に流れるが、流体サスペンション208よりも速い流速で流れる液膜303である。(流体サスペンションと液膜の相対速度は矢印で表されており、その長さはそれぞれの層の速度に対応している。)図に示されているように、別の入力口(ここでは単純化するためにニードル309で表す)を介して液体を流路206に導入することによって、流体サスペンション208の下方に流動液膜303を提供することができ、流体サスペンション208と液膜303との間に界面311が形成される。流動液膜303を使用することの1つの利点は、流動液膜が流体サスペンション208の抗力を低減すること、及び、流動液膜を利用して、せん断流を生じさせる高い速度及び速度勾配を達成することである。流体サスペンション208に対する抗力のこの低減は、より良好な層流をもたらすことでき、これは、堆積されたアレイ中のカーボンナノチューブのより良好な整列をもたらすことができる。流体サスペンション208が流動している際に、堆積基材202を界面311と交差して移動させることによって、整列したカーボンナノチューブ214のアレイを大きな表面積にわたって連続的に形成することができる。図3に示した方法の一変形態様では、液体の最上層の部分ではなく、液体208の層全体が流動している。
【0042】
制限流路の寸法は、カーボンナノチューブのサスペンションに流速勾配をもたらすように設計され、ここで、流速は、基材表面で最小(例えば、ゼロ)であり、流れの中心又はその近くで最高である。例として、流路のいくつかの実施形態は、堆積基材と制限基材との間の最大間隔が5mm以下であり、これは、3mm以下を含み、さらには1mm以下を含む。例えば、0.05mm~5mm及び0.1mm~3mmの範囲内の間隔を使用できる。流路は規則的又は対称的な断面を有していなくてもよいため、流路の堆積基材と制限基材との間の間隔は、堆積基材の表面法線に沿って測定した場合に、堆積基材と制限基材との間の最大間隔に対応する。したがって、もし、堆積基材と制限基材が、ギャップによって分離された平行な平坦基材である場合、間隔は、単純に、ギャップのサイズに対応する。長さ、及び、閉じた制限流路の場合に、流路の幅は、特に限定されず、所望の表面積にわたってカーボンナノチューブアレイを提供するように選択することができる。例として、流路のいくつかの実施形態は、少なくとも1mm、少なくとも10mm、少なくとも100mm、少なくとも1m、又はそれ以上の長さを有する。閉じた流路のいくつかの実施形態は、少なくとも500μm、少なくとも1mm、少なくとも10mm、少なくとも100mm、少なくとも1m、又はそれ以上の幅を有する。これは、500μm~500mmの範囲内の幅を有する閉じた流路を包含し、さらに、700μm~30mmの範囲内の幅を有する閉じた流路を包含し、さらに1mm~20mmの範囲内の幅を有する閉じた流路を包含する。
【0043】
流路内のカーボンナノチューブのサスペンションの流速は、流路のタイプ及び寸法に部分的に依存する。特に、カーボンナノチューブを濃縮及び整列させるために液体/流体サスペンションの界面を使用しない閉じた制限流路(すなわち、図1Aに示したタイプの閉じた制限流路)において堆積される短い又は小径のカーボンナノチューブの場合、流速は、サスペンション中のカーボンナノチューブの回転拡散係数よりも大きい流速勾配を生じるのに十分高くなければならない。このタイプの閉じた制限流路では、回転拡散係数は、Tirado, M. M., Martinez, C. L., de la Torre, J. G. Comparison of theories for the translational and rotational diffusion coefficients of rod-like macromolecules. Application to short DNA fragments. J. of Chem. Phys. 87, 4, 2047-52の式5を使用して計算することができる。流速勾配は、対称放物線速度プロファイルを有する平面ポアズイユ流(plane Poiseuille flow)を仮定して計算される。単純化するために、ここでは、この仮定を使用する。しかしながら、システムによっては、プロファイルが放物線状でない場合がある。この計算では、流路壁にスリップ条件がないと仮定して、流路に垂直な位置の関数としての速度は次のように与えられる。
【数1】
ここで、Vmaxは流路の中心での最大流速、μは流体の粘度、Lは流路の長さ、dは流路の直径、ΔPは流路の長さ方向の圧力差である。この圧力差は、
【数2】
として与えられる。ここで、Qは体積流速であり、hは流路の幅として定義され、他のすべての変数は前述のとおりである。壁における流速勾配は、流路の壁において評価された上のV(y)式の導関数から決定できる。
【数3】
液体(例えば水)/カーボンナノチューブサスペンション界面を使用しない閉じた制限流路の文脈において、実施例1に示すように(図5のパネル(a)を参照)、流速勾配がカーボンナノチューブの回転拡散係数よりも低い条件下での運転は、ランダムに配向した(すなわち、整列していない)カーボンナノチューブのアレイの堆積をもたらす。(ただし、カーボンナノチューブを整列させるために液体/流体サスペンション界面を利用する堆積システムの場合、カーボンナノチューブの回転拡散係数よりも低い流速勾配を包含する、より低い流速勾配を使用できることに注意されたい。)
【0044】
最適な体積流速は、少なくとも部分的に、堆積されるカーボンナノチューブの長さ及び直径に依存する。例えば、約500nmの長さ及び約1.5nmの直径を有するカーボンナノチューブの場合、少なくとも120mm/s/mmの速度勾配を提供するように体積流速を選択することができる。しかしながら、より大きな速度勾配ほど、より良好な整列をもたらすことができる。したがって、本方法のいくつかの実施形態において、カーボンナノチューブの流体サスペンションは、少なくとも900mm/s/mmの速度勾配を有する。これは、カーボンナノチューブの流体サスペンションが少なくとも1500mm/s/mmの速度勾配を有する方法の実施形態を包含し、さらに、カーボンナノチューブの流体サスペンションが少なくとも3000mm/s/mmの速度勾配を有する方法の実施形態を包含する。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブの流体サスペンションは、120mm/s/mm~66000mm/s/mm、900mm/s/mm~60000mm/s/mm、又は1500mm/s/mm~30000mm/s/mmの範囲内の速度勾配を有する。より長い及び/又はより太いカーボンナノチューブの場合、より低い速度勾配がより適切であることができるが、より短い及び/又はより細いカーボンナノチューブの場合、より高い速度勾配がより適切であることができる。
【0045】
本方法は、アレイ中のカーボンナノチューブの平均整列度が、ランダムに配向したカーボンナノチューブのアレイのものよりもかなり大きいというのであれば、堆積されたカーボンナノチューブのすべてが整列していることを必要としない。堆積されたカーボンナノチューブアレイの整列度は、流量と流路の形状及び寸法とに依存する。アレイ中のSWCNTsの整列度は、アレイ中のそれらの縦軸に沿った整列度を指し、これは、Joo et al., Langmuir, 2014, 30(12), pp. 3460-3466(“Joo et al.”)に記載されているように偏光ラマン分光法を使用して定量化できる。いくつかの実施形態では、堆積されたアレイは、±40°又はそれよりも良好な平均整列度のカーボンナノチューブを有する。(すなわち、アレイ中のカーボンナノチューブのミスアラインメントの大きさの平均は40°以下である。)これは、カーボンナノチューブが±20°又はそれよりも良好な平均整列度を有する実施形態を包含し、さらに、カーボンナノチューブが±4°又はそれよりも良好な平均整列度を有する実施形態を包含し、さらに、カーボンナノチューブが±1°又はそれよりも良好な平均整列度を有する実施形態を包含する。例えば薄膜トランジスタにおけるチャネル層などのいくつかの電子デバイスの用途では、カーボンナノチューブの長さを超える寸法を有する表面積にわたってカーボンナノチューブの連続的な相互接続性を確保するために、不完全な整列が好ましい場合がある。
【0046】
堆積されたアレイ中のカーボンナノチューブの密度は、流路の形状(例えば、開いた又は閉じた)、堆積方法が液体/流体サスペンション界面を利用するかどうか、堆積溶液中のカーボンナノチューブの濃度、及び/又は堆積プロセスの期間を含むさまざまな要因に依存する。アレイ中のカーボンナノチューブの密度は、それらの線充填密度を指し、これは1μmあたりのカーボンナノチューブの数に関して定量化でき、Joo et al.に記載されているように測定できる。いくつかの実施形態において、堆積されたアレイは、少なくとも5カーボンナノチューブ/μmのカーボンナノチューブ密度を有する。これは、アレイが少なくとも20カーボンナノチューブ/μm及び少なくとも30カーボンナノチューブ/μmのカーボンナノチューブ密度を有する実施形態を含む。
【0047】
大きな表面積にわたって非常に均一な膜としてアレイを堆積させることができる。ここで、均一な膜とは、カーボンナノチューブがランダムに配向したカーボンナノチューブのドメインなしに、実質的に真っすぐな経路に沿って整列した連続な膜である。カーボンナノチューブアレイを形成することができる面積は特に限定されず、半導体ウェハ全体を覆うのに十分に大きくすることができる。例として、少なくとも1mm、少なくとも10mm、又は少なくとも100mm、あるいは少なくとも1mの表面積にわたって均一なカーボンナノチューブアレイを堆積させることができる。
【0048】
カーボンナノチューブアレイの意図した用途に応じて、アレイにパターンを規定することが望ましい場合がある。例えば、アレイは、一連の線、アレイドットなどにパターン化することができる。パターンは、アレイを形成後に、そのアレイにおいて規定することができる。したがって、本方法のいくつかの実施形態は、アレイが、例えば、フォトリソグラフィー技術を使用してリソグラフィーによりパターン化される工程を含む。あるいは、カーボンナノチューブは2つの表面ドメインの一方に他方よりも容易に付着する少なくとも2つの表面ドメインを有するパターン化された堆積基材を使用することによってアレイが堆積される際に、アレイにおいてパターンを規定することができる。例えば、カーボンナノチューブが優先的に堆積され、より親水性の高いドメインに沿って整列するように、堆積基材の表面上の選択領域を親水性材料で被覆又は機能化することができ、及び/又は、表面堆積基材の選択領域を疎水性材料で被覆又は機能化することができる。
【0049】
パターンの性質は、アレイの意図した用途に依存する。例えば、整列したs-SWCNTsのアレイを電界効果トランジスタ(FET)におけるチャネル材料として使用する場合、そのアレイにおいて一連の平行ストライプを含むパターンを規定できる。チャネル材料として整列したs-SWCNTsのアレイを含むFETは、一般的に、チャネル材料と電気的に接触するソース電極及びチャネル材料と電気的に接触するドレイン電極、ゲート絶縁体によりチャネルから分離されたゲート電極、及び、任意選択的に、下方の支持基材を含む。FETのコンポーネントにはさまざまな材料を使用できる。例えば、FETは、整列したs-SWCNTsを含むアレイを含むチャネル、SiOゲート絶縁体、ゲート電極としてのドープされたSi層、並びにソース電極及びドレイン電極としての金属(Pd)膜を含むことができる。しかしながら、これらのコンポーネントの各々に対して他の材料を選択することもできる。
【実施例
【0050】
実施例1:閉じた制限流路を使用する、ポリマーでラップされたs-SWCNTs(Polymer-Wrapped s-SWCNTs)のせん断に基づく整列
【0051】
この例は、閉じた制限流路を使用してカーボンナノチューブを整列させる方法を例示する。この例に示されているように、アレイにおけるカーボンナノチューブ全体の整列度は、カーボンナノチューブサスペンションの流路寸法と流量を変えることにより制御できる。サスペンション中のナノチューブの濃度を変えることにより、アレイ中のカーボンナノチューブの充填密度を制御できる。
【0052】
方法:
【0053】
ポリマー被覆ナノチューブサスペンションを、最初に、アーク放電SWCNT粉末(2mg・mL-1)とPFO-BPy(American Dye Source, Inc.、カナダ国ケベック;#AD153-UV、2mg・mL-1)との混合物から抽出した。この混合物を、ホーンチップソニケーター(Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム、Sonic dismembrator 500)を用いて、トルエン(60mL)中で30分間超音波処理した。この溶液をスイングバケットローター(swing bucket rotor)で300000gで10分間遠心分離して非分散材料を除去した。次に、上澄みを遠心分離し、ホーンチップソニケーターによる3回の超音波処理によりトルエン中に分散させて、過剰なPFO-BPyをできるだけ多くすすぎ落した。すすいだSWCNTペレットのクロロホルム中でのホーンチップ超音波処理によって、最終的な溶液を調製した。クロロホルム中の最終ナノチューブ濃度としては20~250μg/mLが挙げられ、20~150μg/mLも挙げられる。
【0054】
さまざまな速度勾配を達成するために、さまざまな寸法の流路を有する装置を作製した。各装置について、Piranha法(HSO:Hの2:1混合物)を使用して、二酸化ケイ素基材(Addison Engineering、90nm酸化物)(すなわち、堆積基材)を1時間洗浄した。次に、その基材をヘキサメチルジシラザン(HMDS)により処理した。基材を締付装置の底板上にセットした。この締付装置は、アルミニウムの底部シートとアルミニウムの上部シートで構成され、両側に装置全体を貫通するネジ用の穴を有する。適切なシールを確保するために、ネジ上のナットを締めた。アルミニウムのトップシートは、その中央付近に穴を有し、流路へのチューブ入口を提供した。これが、カーボンナノチューブサスペンションの導入方法である。
【0055】
この例で使用した装置の概略図を図4に示す。ペルフルオロアルコキシ(PFA)で作られたマスク440が二酸化ケイ素基材402の上に形成されており、閉じた流路406の側壁を規定している。異なる装置において、0.127mm~1mmのPFA層の厚さを使用し、幅1~20mmの流路を形成した。流路の長さは5mm~50mmであった。アルミニウムの上部シートの穴と入力口とが一致するように、カーボンナノチューブの流体サスペンション用の入力口442を備えた上部ガラス板(すなわち、制限基材)404をPFAマスク上に配置した。次に、チューブ409をアルミニウムトップシートの穴及び入力口に挿入して、流体サスペンションを流路406に供給できるようにした。
【0056】
装置をセットアップしたら、シリンジポンプを使用してカーボンナノチューブの流体サスペンション408を装置に強制的に通し、それにより、整列したカーボンナノチューブのアレイを流路内の二酸化ケイ素基材上に堆積させた。堆積の典型的な持続時間は約20秒間であったが、より長い堆積時間はアラインメントのクオリティを犠牲にせずに線密度の増加を示すはずである。閉じた流路において120mm/s/mm~66000mm/s/mmの範囲内の速度勾配を生じさせるために、350μL/min~22000μL/minの範囲内の体積流量を使用した。
【0057】
各サスペンションを装置に通過させた後、膜が空気中で乾燥する際にランダムなチューブが「コーヒー汚れ」として基材に堆積するのを防ぐために、純粋なクロロホルムを使用して流路から残りのサスペンションを洗い流した。この基材もイソプロピルアルコールですすいだ。
【0058】
堆積後、整列したカーボンナノチューブアレイを走査電子顕微鏡(SEM)(Zeiss LEO 1530)で撮像し、そのアラインメントを評価した。アラインメントは、交差偏光反射型光学顕微鏡(Nikon Optiphot-2)を使用して評価した。各サンプルからの典型的な堆積領域からカーボンナノチューブ(約60カーボンナノチューブ)の角度を測定することにより整列度を推定した。次に、このデータをヒストグラムとしてプロットし、ヒストグラムはθ=0°を中心とするガウスピークでフィットした。次に、各分布に対してガウス分布のσを計算し、各サンプルのアラインメント範囲を表すために使用した。速度勾配が増加すると整列度は定性的に増加し、120mm/s/mmではアラインメントはランダムであり、28000mm/s/mmではアラインメントが増加して大部分のカーボンナノチューブが±10°以内に整列することが示された。120mm/s/mmの場合には、カーボンナノチューブはランダムであったため、カーボンナノチューブの密度を決定することは困難であったが、カーボンナノチューブの線密度は、900及び4000mm/s/mmのサンプルでは約30チューブ/μmであり、28000mm/s/mmのサンプルでは22チューブ/μmのわずかに低い密度であることが求められた。この低い密度は、堆積に低濃度の溶液が使用されたためである。
【0059】
考察:
【0060】
120mm/s/mm、900mm/s/mm、4000mm/s/mm、及び28000mm/s/mmの流速勾配で堆積した整列カーボンナノチューブのアレイのSEM画像が図5のパネル(a)、(b)、(c)及び(d)にそれぞれ示されている。これらのパネルに示されているように、120mm/s/mmの速度勾配の下で堆積したアレイ中のカーボンナノチューブは、効果的にランダムに分配されていた。ただし、速度勾配(せん断速度)を増加させると、カーボンナノチューブの整列度が増加した。
【0061】
実施例2:開いた制限流路を使用する、ポリマーでラップされたs-SWCNTsの整列
【0062】
この例は、開いた制限流路を使用してカーボンナノチューブを整列させる方法を例示する。この例に示されているように、アレイ中のカーボンナノチューブ全体の整列度は、カーボンナノチューブサスペンションの流路寸法と流量を変えることにより制御できる。
【0063】
方法:
【0064】
ポリマー被覆ナノチューブサスペンションを、最初に、アーク放電SWCNT粉末(2mg・mL-1)とPFO-BPy(American Dye Source, Inc.、カナダ国ケベック;#AD153-UV、2mg・mL-1)との混合物から抽出した。この混合物を、ホーンチップソニケーター(Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム、Sonic dismembrator 500)を用いて、トルエン(60mL)中で30分間超音波処理した。この溶液をスイングバケットローターで300000gで10分間遠心分離して非分散材料を除去した。次いで、上澄みを遠心分離し、ホーンチップソニケーターによる3回の超音波処理によりトルエン中に分散させて、できるだけ多くの過剰なPFO-BPyを洗い流した。すすいだSWCNTペレットのターゲット溶媒、すなわち、クロロホルム、トルエン又は1,2-ジクロロベンゼン中でのホーンチップ超音波処理によって、最終的な溶液を調製した。有機溶媒中のナノチューブの最終濃度としては、1~50μg/mLが挙げられ、5~20μg/mLも挙げられる。
【0065】
さまざまな速度勾配を実現するために、さまざまな寸法の流路を有する装置を作製した。各装置について、Piranha法(HSO:Hの2:1混合物)を使用して、二酸化ケイ素基材(Addison Engineering、90nm酸化物)(つまり、堆積基材)を1時間洗浄した。次に、その基材をヘキサメチルジシラザン(HMDS)により処理した。
【0066】
二酸化ケイ素基材とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材(すなわち、制限基材)との間に流路を作り出した。様々な装置において、二酸化ケイ素基材とPTFE基材との間のギャップ(流路の直径に対応する)は0.7mm~3mmの範囲内であった。堆積基材及び制限基材の一部が水の表面上に延在するように、流路を水槽中に入れ、その結果、水が流路の床を提供した。
【0067】
カーボンナノチューブサスペンションを、流路に挿入されたニードルから、水の表面で小出しした。カーボンナノチューブのサスペンションが流路を通って流れる際に、二酸化ケイ素堆積基材を15mm/minの速度で垂直方向に平行移動させて水から出し、流体サスペンション/水界面を基材にわたって移動させた。これにより、二酸化ケイ素基材の表面にわたって整列したカーボンナノチューブアレイが堆積した。
【0068】
アレイ堆積後、走査型電子顕微鏡(Zeiss LEO 1530)及び交差偏光反射光学顕微鏡(Nikon Optiphot-2)を使用して、整列したカーボンナノチューブアレイを特性評価した。SWCNTsが様々な有機溶媒中に分散された場合に速度勾配がカーボンナノチューブ整列自己組織化を誘発することを確認するために、走査電子顕微鏡を使用してカーボンナノチューブの整列度を定性的に評価した。クロロホルムベースの堆積の1μmの局所領域は優れたアラインメントを示し、カーボンナノチューブの大部分が±3°以内に整列した(約30本のナノチューブを使用して、実施例1における上のプロセスに従って計算)。各サンプルについて線密度が次のように推定された:クロロホルム、トルエン及び1,2-ジクロロベンゼンベースのカーボンナノチューブサスペンションについて、それぞれ40、30及び22チューブ/μm。
【0069】
考察:
【0070】
クロロホルムベースのカーボンナノチューブサスペンションからおよそ5mm/s/mmの流速勾配で堆積された整列カーボンナノチューブのアレイのSEM画像が図6に示されている。トルエンベースのカーボンナノチューブサスペンションからおよそ1.7mm/s/mmの流速勾配で堆積された整列カーボンナノチューブのアレイのSEM画像が図7に示されている。1,2-ジクロロベンゼンベースのカーボンナノチューブサスペンションからおよそ0.8mm/s/mmの流速勾配で堆積された整列カーボンナノチューブのアレイのSEM画像が図8に示されている。速度勾配の増加に従って、アレイ中のカーボンナノチューブの整列が増加することが観察された。
【0071】
「例示的」という言葉は、本明細書では、例、事例、又は例示として役立つことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書で説明されるどの特徴又は設計も、必ずしも他の特徴又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈される必要はない。さらに、本開示の目的のため、及び特に明記しない限り、単数形(「a」又は「an」)は「1つ以上」を意味する。
【0072】
本発明の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。網羅的であること、又は、本発明を、開示した正確な形態に限定することは意図されておらず、改良及び変更が、上記の教示に照らして可能であるか、あるいは本発明の実施から得ることができる。実施形態は、本発明の原理を説明するために、また当業者が様々な実施形態で本発明を利用できるように本発明の実際の応用として選択及び説明した。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されることが意図されている。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
カーボンナノチューブアレイを形成する方法であって、
第1の材料を含む堆積基材と第2の材料を含む制限壁とによって規定された流路を通る有機材料被覆カーボンナノチューブの流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程であって、流動する前記流体サスペンションに速度勾配が形成される工程と、
有機材料被覆カーボンナノチューブを前記流体サスペンションから前記堆積基材上に堆積させる工程であって、堆積された前記有機材料被覆カーボンナノチューブがせん断流の方向に沿って整列される工程と、
を含む、カーボンナノチューブアレイを形成する方法。
[態様2]
前記ポリマー被覆カーボンナノチューブが半導体性単層ポリマー被覆カーボンナノチューブから実質的になる、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記速度勾配が少なくとも900mm/s/mmの大きさを有する、態様1に記載の方法。
[態様4]
前記有機材料被覆カーボンナノチューブが1μm以下の長さを有する、態様1に記載の方法。
[態様5]
堆積された前記有機材料被覆カーボンナノチューブから有機材料を除去する工程をさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様6]
前記流路が閉じた流路である、態様1に記載の方法。
[態様7]
有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションが、当該流体サスペンション中のカーボンナノチューブの回転拡散係数を超える速度で流れる、態様6に記載の方法。
[態様8]
有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションが、当該流体サスペンション中のカーボンナノチューブの回転拡散係数の少なくとも2倍の大きさの速度で流れる、態様6に記載の方法。
[態様9]
前記流体サスペンションと不混和性である液体を、前記流体サスペンションと一緒に前記流路を通して流し、前記流体サスペンションと前記液体とが並んで流れ、前記有機材料被覆カーボンナノチューブが、前記流体サスペンションと前記液体との間の界面で、前記流体サスペンションのバルク中での前記有機材料被覆カーボンナノチューブの濃度に比べて濃縮される、態様6に記載の方法。
[態様10]
前記液体が水である、態様9に記載の方法。
[態様11]
前記流体サスペンションと前記液体との間の界面を前記堆積基材にわたって平行移動させる工程をさらに含む、態様9に記載の方法。
[態様12]
前記流体サスペンション及び前記液体と共に前記流路を通して溶媒を流す工程であって、前記流体サスペンションが前記液体と前記溶媒との間を流れる工程をさらに含む、態様9に記載の方法。
[態様13]
前記流路が、前記堆積基材と、前記堆積基材に対向して配置された制限壁と、前記堆積基材と前記制限壁との間に配置された、前記流体サスペンションに不混和性である液体の層とによって規定される、態様1に記載の方法。
[態様14]
前記流路を通る有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程が、有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションを前記液体の層上に流すことを含む、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記流体サスペンションと不混和性である液体が水である、態様13に記載の方法。
[態様16]
有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションが前記流路を通って流れる際に、有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションを前記堆積基材にわたって平行移動させることをさらに含む、態様14に記載の方法。
[態様17]
前記流路を通る有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションのせん断流を生じさせる工程が、有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションと同じ方向に前記液体の層を流すことをさらに含む、態様14に記載の方法。
[態様18]
水の層と前記流体サスペンションとによって形成された界面が前記堆積基材に沿って平行移動するように前記水の層の体積流量に対して有機材料被覆カーボンナノチューブの前記流体サスペンションの体積流量を変化させることをさらに含む、態様17に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8