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特許7206224回転運動を線形運動に変換するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】回転運動を線形運動に変換するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/02 20060101AFI20230110BHJP
   F16H 33/02 20060101ALI20230110BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F16H19/02 M
F16H33/02 A
H02K7/06 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019571322
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018039094
(87)【国際公開番号】W WO2018237321
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】62/524,409
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506128042
【氏名又は名称】クラウン パッケイジング テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ハウルシー ドナルド
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-038782(JP,B1)
【文献】特開2009-121540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/02
F16H 33/02
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動を線形運動に変換するシステムであって、
回転運動生成手段と、
線形運動受け取り手段と、
前記回転運動生成手段に結合された第1の歯車(9、112)と、
前記第1の歯車に結合され、前記回転運動生成手段によって前記第1の歯車が回転している間に静止したままである第2の歯車(10、126)と、
遊び歯車及び出力歯車を支持し、前記第1の歯車に結合されて該第1の歯車と共に回転する第1の保持装置と、
を備え、
前記遊び歯車は、前記第2の歯車及び前記出力歯車に結合され、前記第1の歯車が回転した時に、前記保持装置が前記遊び歯車を前記第2の歯車の周囲で並進させ、前記遊び歯車が前記第2の歯車の周囲を並進した時に、前記遊び歯車が前記出力歯車を回転させ、
前記システムは、
前記出力歯車に結合され、該出力歯車が回転した時に該出力歯車と共に回転し、リンクに結合された端部を有する第2の保持装置と、
前記線形運動を受け取り手段及び前記リンクに結合されたアームと、
をさらに備え、
前記第2の保持装置が前記出力歯車によって回転して前記第2の歯車の周囲を並進すると、前記第2の保持装置の前記端部が実質的に線形方向に移動し、前記端部が前記リンクを前記実質的に線形方向に移動させる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1の保持装置は、釣り合いおもりを含み、前記第1の保持装置は第1のシャフトに結合され、前記第2の歯車は前記第1のシャフトに結合され、前記第1の保持装置は前記第2の歯車とともに回転する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の保持装置は、釣り合いおもりを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の保持装置の前記端部は、ピンを含み、前記ピンは前記リンクに結合されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の歯車は回転可能であり、前記第1の歯車により駆動される、
請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の歯車及び第2の歯車は、シャフトに結合される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の歯車及び第2の歯車は、同じ幾何学的中心を共有し、前記第1の歯車は、前記幾何学的中心の周囲で回転し、前記第2の歯車は、前記幾何学的中心の周囲で静止したままである、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アームは、シャフトを含んで軸受に結合される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記リンクは、前記アームに結合されたピンを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
回転運動を線形運動に変換するシステムであって、
回転駆動装置と、
前記回転駆動装置に結合された第1の歯車と、
前記第1の歯車に結合され、前記回転駆動装置によって前記第1の歯車が回転している間に静止したままである第2の歯車と、
遊び歯車及び出力歯車を支持し、前記第1の歯車に結合されて該第1の歯車と共に回転する第1の保持装置と、
を備え、
前記遊び歯車は、前記第2の歯車及び前記出力歯車に結合され、前記第1の歯車が回転した時に、前記保持装置が前記遊び歯車を前記第2の歯車の周囲で並進させ、前記遊び歯車が前記第2の歯車の周囲を並進した時に、前記遊び歯車が前記出力歯車を回転させ、
前記システムは、
前記出力歯車に結合され、該出力歯車が回転した時に該出力歯車と共に回転し、リンクに結合された端部を有する第2の保持装置と、
前記リンクに結合されたアームと、
をさらに備え、
前記第2の保持装置が前記出力歯車によって回転して前記第2の歯車の周囲を並進すると、前記第2の保持装置の前記端部が実質的に線形方向に移動し、前記端部が前記リンク及びアームを前記実質的に線形方向に移動させる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記アームは、線形駆動装置の一部である、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の保持装置は、釣り合いおもりを含み、前記第1の保持装置は第1のシャフトに結合され、前記第2の歯車は前記第1のシャフトに結合され、前記第1の保持装置は前記第2の歯車とともに回転する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の保持装置は、釣り合いおもりを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の保持装置の前記端部は、ピンを含み、前記ピンは前記リンクに結合されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の歯車は回転可能であり、前記第1の歯車により駆動される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の歯車及び第2の歯車は、シャフトに結合される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の歯車及び第2の歯車は、同じ幾何学的中心を共有し、前記第1の歯車は、前記幾何学的中心の周囲で回転し、前記第2の歯車は、前記幾何学的中心の周囲で静止したままである、
請求項16載のシステム。
【請求項18】
前記アームは、シャフトを含んで軸受に結合される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記リンクは、前記アームに結合されたピンを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
前記回転駆動装置は、モータを含む、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高速製造技術では、しばしば1つの運動形態を別の運動形態に変換できる機械が必要である。例えば、高速製造技術では、しばしば回転運動を線形運動に、及び線形運動を回転運動に転換/変換/変形することが必要である。
【0002】
これまで、回転運動から線形運動への変換は、カルダン歯車(cardan-gear)を用いて可能であった。カルダン歯車は、16世紀にGirolamo Cardanoによって発明された。この歯車は、リンク機構(linkages)又は滑り面(slideways)を使用せずに回転運動を往復線形運動に変換するために使用される。
【0003】
カルダン歯車は、その当時はいくつかの利点をもたらしたものの、その歯車装置は、高速、大量生産環境にはそれほど適していない。カルダン歯車の歯車装置が高速製造環境にそれほど適していない理由は、その2つの回転歯車が約500RPM又はそれ以上などの高毎分回転数(RPM)において安定しないことが多いからである。これらの2つの回転歯車は、大量生産環境において1日24時間/週7日使用していると急激にすり減ってしまうことが多い。
【0004】
製品の生産に正確な材料寸法/サイズが求められて通常1日24時間の生産を必要とする例示的な生産環境として、アルミ缶製造が挙げられる。通常、アルミ缶は、その壁厚の変動がほとんどない状態で生産しなければならない。
【0005】
通常、アルミ缶は、その柱強度をもたらすために、缶の下側3分の2の壁の変動が0.0002”未満でなければならない。通常、缶の上側3分の1の壁の変動は、ネッキング作業(金属節約のために開口径サイズを抑えること)の失敗又は視覚的欠陥の発生を確実に防ぐために0.0004”未満でなければならない。従って、缶を生産するための成形パンチは、成形金型を通じて非常に正確に、すなわち一直線又は水平に駆動されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アルミ缶を形成してパンチから取り外した後には、パンチ及びラムが成形金型を通じて正確に後退しなければならない。パンチが後退ストローク中に金型に接触した場合、金型及びパンチに損傷が発生する恐れがある。この工具損傷は、成形中に壁の変動、壁面仕上げの乱れ、又は容器強度の悪化を引き起こし、これによって成形作業が上手くいかずに缶の金属が破れてしまうようになる。
【0007】
通常、この缶生産の失敗は「ティアオフ」と呼ばれる。通常、ティアオフ率が10,000缶当たり1缶であると、缶メーカーは生産ラインを停止することが必要になるので、非常に厳しいと考えられる。通常、缶メーカーの1つの目標は、100,000缶当たり1ティアオフである。工具損傷を最小限に抑え、従って容認可能な缶生産のティアオフ率を維持するには、正確/精密な直線運動が極めて重要である。
【0008】
本出願の執筆時点では、米国における缶製造市場は年間約900億缶である。従って、市場の需要を満たすには高速の機械速度が必要である。通常、缶体メーカー(can bodymaker)は、缶サイズに応じて毎分300~400ストロークを実行する。これらの速度には、頑丈で軽量な駆動システムが必要である。往復質量が高いと、機械速度の低下と共に信頼性も低下する。
【0009】
当業では、従来の機械よりも質量が低いアルミ缶生産方法及びシステムが必要とされている。当業では、従来のシステムで使用されているリンク及び軸受の使用を約2分の1などに抑えた、往復運動から線形運動を発生させるための方法及びシステムがさらに必要とされている。従って、信頼性の維持又は向上を図りながら缶の生産速度を毎分400~500ストロークの範囲まで増加させる技術的基礎をもたらす方法及びシステムが必要である。
【0010】
さらに広く言えば、当業では、高RPMにおいて安定するとともに従来のカルダン歯車に比べて機械的摩耗を生じにくい、回転運動を線形運動に(及び/又は線形運動を回転運動に)変換する方法及び/又はシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
回転運動を線形運動に変換する方法及びシステムが、回転運動生成手段と、線形運動受け取り手段とを含むことができる。回転運動生成手段には、第1の歯車を結合することができ、第1の歯車には、回転運動生成手段によって第1の歯車が回転している間に静止したままである第2の歯車が結合される。
【0012】
方法及びシステムは、遊び歯車及び出力歯車を支持する第1の保持装置をさらに含むことができる。保持装置は、第1の歯車に結合して第1の歯車と共に回転することができる。遊び歯車は、第2の歯車及び出力歯車に結合することができる。保持装置は、第1の歯車が回転した時に、第2の歯車の周囲で遊び歯車を並進させることができる。遊び歯車は、第2の歯車の周囲を並進する際に、出力歯車を回転させることができる。
【0013】
システムは、出力歯車に結合されて、出力歯車が回転した時に出力歯車と共に回転する第2の保持装置を含むこともできる。第2の保持装置は、リンクに結合された端部を有することができる。線形運動受け取り手段及びリンクには、アームを結合することができる。第2の保持装置の端部は、第2の保持装置が出力歯車によって回転して第2の歯車の周囲を並進する際に、実質的に線形方向に移動することができる。端部は、リンクを実質的に線形方向に移動させることができる。
【0014】
1つの例示的な実施形態によれば、第1の保持装置及び第2の保持装置は、釣り合いおもりを含むことができる。第2の保持装置の端部は、リンクに結合されたピンを含むこともできる。
【0015】
第1の歯車及び第2の歯車は、シャフトに結合することができる。第1の歯車及び第2の歯車は、同じ幾何学的中心を共有し、第1の歯車は、幾何学的中心の周囲で回転し、第2の歯車は、幾何学的中心の周囲で静止したままである。
【0016】
アームは、シャフトを含んで軸受に結合することができる。リンクは、アームに結合されたピンを含むこともできる。
【0017】
別の例示的な実施形態によれば、回転運動を線形運動に変形するシステム及び方法が、回転駆動装置に結合された第1の歯車を含むことができる。第1の歯車には、第1の歯車が回転駆動装置によって回転している間に静止したままである第2の歯車を結合することができる。
【0018】
第1の保持装置は、遊び歯車及び出力歯車を支持することができる。保持装置は、第1の歯車に結合して第1の歯車と共に回転することができる。遊び歯車は、第2の歯車及び出力歯車に結合することができる。保持装置は、第1の歯車が回転した時に、第2の歯車の周囲で遊び歯車を並進させることができる。遊び歯車は、第2の歯車の周囲を並進する際に、出力歯車を回転させることができる。
【0019】
第2の保持装置は、出力歯車に結合して、出力歯車が回転した時に出力歯車と共に回転することができる。第2の保持装置は、リンク及びアームに結合された端部を有することができる。
【0020】
第2の保持装置の端部は、第2の保持装置が出力歯車によって回転して第2の歯車の周囲を並進する際に、実質的に線形方向に移動することができる。端部は、リンク及びアームを実質的に線形方向に移動させることができる。
【0021】
1つの例示的な実施形態によれば、アームは線形駆動装置の一部である。さらに、第1の保持装置及び第2の保持装置は、釣り合いおもりを含むことができる。
【0022】
別の例示的な実施形態によれば、回転運動を線形運動に変換するシステム及び方法が、一方が線形駆動装置のためのものであり、一方が回転駆動装置のためのものである2つの保持システムを形成するステップを含むことができる。回転駆動装置に結合できる第1の保持システムでは、入力駆動歯車と同じシャフトに太陽歯車を結合することができる。入力駆動歯車は、回転駆動装置によって回転することができ、太陽歯車は静止したままである。
【0023】
遊び歯車及び出力歯車は、第1の釣り合いおもりに結合することができる。第1の釣り合いおもりは、入力駆動歯車に結合することができる。
【0024】
次に、線形駆動装置のための第2の保持システムでは、二次釣り合いおもりのサイズ/寸法を、二次釣り合いおもりが回転して太陽歯車の周囲を並進した時に一方の端部が一直線に移動するように指定することができる。
【0025】
二次釣り合いおもりは、出力歯車に結合することができる。二次釣り合いおもりの端部及びリンクには、ピンを結合することができる。
【0026】
リンクは、アームに結合することができ、アームは、線形駆動装置に結合される。回転駆動装置は、第1の保持システムの入力駆動歯車に結合することができる。回転駆動装置は、初期化することができる(すなわち、動力を有することができる)。二次釣り合いおもりの端部に結合されたピン及びリンクは、実質的に線形方向に移動する。
【0027】
図面では、様々な図全体を通じて、別途指示していない限り同じ部品を同じ参照番号によって示す。「102A」又は「102B」などの文字指定付きの参照番号では、同じ図に存在する2つの同様の部品又は要素を文字指定によって区別することができる。ある参照番号が図中の同じ参照番号を有する全ての部品を含むように意図されている場合には、参照番号の文字指定を省略していることもある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】回転運動を線形運動に変換するシステムの1つの例示的な実施形態の側面斜視図である。
図2図1に示す回転運動を線形運動に変換するシステムの例示的な実施形態の側面図である。
図3図1の回転運動を線形運動に変換するシステムの例示的な実施形態の別の斜視図である。
図4】回転運動を線形運動に変換するシステムにハウジングを設けた別の例示的な実施形態の平面図である。
図5A図4の切断線C-Cに沿って切り取った、図4に示すシステムの例示的な実施形態の断面図である。
図5B】1つの例示的な実施形態による、システムの1/4、1/2及びフル機械ストロークの相対距離を示す図である。
図6A図6B図6Hに示す位置に関連する第1の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6B図6A及び図6C図6Hに示す位置に関連する第2の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6C図6A図6B及び図6D図6Hに示す位置に関連する第3の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6D図6A図6C及び図6E図6Hに示す位置に関連する第4の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6E図6A図6D及び図6F図6Hに示す位置に関連する第5の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6F図6A図6E及び図6G図6Hに示す位置に関連する第6の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6G図6A図6F及び図6Hに示す位置に関連する第7の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図6H図6A図6Gに示す位置に関連する第8の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムを側面斜視図から示す図である。
図7図6Jに関連する、ただしラムが図6Fに示すような第2のエンドストロークにある位置に二次釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するシステムの別の側面図である。
図8図7の切断線A-Aに沿って切り取った、図7に示すシステムの例示的な実施形態の断面図である。
図9図7の切断線B-Bに沿って切り取った、図7に示すシステムの例示的な実施形態の断面図である。
図10】回転運動を線形運動に変換するシステム100’(ダッシュ記号)の別の例示的な実施形態の側面斜視図である。
図11】1つの例示的な実施形態による、回転運動を線形運動に変換するシステムの形成方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書における「例示的な(exemplary)」という用語の使用は、「実施例、実例又は例示としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書で「例示的」なものとして説明するあらゆる態様は、必ずしも排他的なもの、他の態様よりも好ましいもの又は有利なものとして解釈すべきではない。
【0030】
ここで図1を参照すると、この図は、回転運動を線形運動に変換するシステム100の1つの例示的な実施形態の側面斜視図である。システム100は、入力駆動歯車112と、入力被動歯車116と、遊び歯車136[図1では見えない、図3を参照]及び出力歯車124を保持する一次釣り合いおもり118とを含むことができる。一次釣り合いおもり118及び入力歯車116は、静止/固定シャフト114に回転可能に結合される。静止/固定シャフト114は、静止/固定太陽歯車126も支持する。太陽歯車126は、遊び歯車136[図1には図示せず、図3を参照]と噛合する。
【0031】
出力歯車124は、出力リンク/二次釣り合いおもり128に結合されて、出力歯車124が回転すると、二次釣り合いおもり128も回転する。二次釣り合いおもり128は、ラム接続リンク130にも結合される。
【0032】
ラム接続リンク130は、長手方向シャフトを含むことができるラム104に結合される。ラム104は、線形運動生成/受け取り手段/システム106の一部とすることができ、又は線形運動生成/受け取り手段/システム106に結合することができる。線形運動生成/受け取り手段/システム106は、さらなるロッド、シャフト、リンク機構などを含むことができる。ラム104は、軸受102によって適所に保持することができる。
【0033】
1つの例示的な実施形態によれば、軸受102は流体式軸受を含むことができるが、他のタイプの軸受も可能である。他の軸受としては、以下に限定するわけではないが、(ブッシング、ジャーナル軸受、スリーブ軸受、ライフル軸受及び複合軸受を含む)滑り軸受、宝石軸受、流体軸受、磁気軸受、及び撓み軸受(flexure bearings)などを挙げることができる。
【0034】
ラム104は、方向矢印Laによって示すような線形方向に前後移動することができる。以下に示す残りの図及び対応する詳細な説明から明らかになるように、本発明のシステム100の1つの重要な側面は、ラム接続リンク130、及びリンク130を二次釣り合いおもり128に結合するピン134[図2を参照]も、方向矢印Lbによって示すような線形方向に移動する点である。
【0035】
二次釣り合いおもり128は、回転及び太陽歯車126の周囲を出力歯車124と共に並進するにもかかわらずピン134が方向矢印Lbによって示すような線形方向のみに並進するように適切にサイズ指定される。一方で、シャフト108に結合された入力歯車112は、方向矢印Rによって示すような時計回り又は反時計回りに回転することができる。
【0036】
シャフト108及び/又は入力歯車112は、回転運動生成/受け取り手段110に結合することができる。回転運動生成/受け取り手段110は、回転運動を生成できるモータ又は他のいずれかのタイプの装置に結合された円形歯車又はシャフトを含むことができる。回転運動生成/受け取り手段110は、回転シャフト108及び入力駆動歯車112を含むことができる。
【0037】
[ラム104が入力駆動歯車112の右側に存在して被動歯車116が入力駆動歯車112の左側に存在するように図1の入力駆動歯車112を見た時に]シャフト108及び入力駆動歯車112が時計回り方向に回転すると、これによって入力被動歯車116が、方向矢印D2Bによって示すような反時計回り方向に回転するようになる。一次釣り合いおもり118も、入力被動歯車116と同じシャフト114に結合されているので、入力被動歯車116と同じ方向[この例では反時計回り]に回転する。
【0038】
一方で、静止/固定シャフト114には太陽歯車126も結合されているが、太陽歯車126は、その「太陽歯車」との指定を考慮すれば当業者には明らかなように、どの方向にも回転せず固定されたままである。一次釣り合いおもり118が反時計回り方向D2Bに回転すると、シャフト120によって支持された遊び歯車136[図1では見えない、図3を参照]、及びシャフト122によって支持された出力歯車124が、太陽歯車126に対して2つの「惑星」のように太陽歯車126の周囲を物理的に並進/移動するようになる。
【0039】
遊び歯車136及び出力歯車124は、太陽歯車126の周囲を一次釣り合いおもり118と共に並進する。遊び歯車136は、出力歯車124及び太陽歯車126と噛合する。遊び歯車136は、その太陽歯車112の周囲での並進中に太陽歯車126と係合/噛合する唯一の歯車であるため、遊び歯車136が太陽歯車126の周囲でやはり方向矢印D2Bによって示す[この場合も、ラム104が入力駆動歯車112の右側に存在して入力被動歯車116が入力駆動歯車112の左側に存在する図1のページを見た時に]反時計回りの移動/並進を行うと、これによって出力歯車124が時計回り方向に回転するようになる。
【0040】
出力歯車124は二次釣り合いおもり128に結合されているので、出力歯車124が[遊び歯車136によって]時計回りに回転すると、二次釣り合いおもり128が方向矢印D2Aによって示すような時計回り方向に回転するようになる。従って、一次釣り合いおもり118が方向矢印D2Bによって示すような反時計回り方向に回転すると、二次釣り合いおもり128は、方向矢印D2Aによって示すような時計回り方向に回転する。
【0041】
従って、[ラム104が入力駆動歯車112に対して右側に存在する図1のページを見た時に]入力駆動歯車112が反時計回り方向に回転した場合、入力被動歯車116は、方向矢印D1Bによって示すような時計回り方向に回転駆動される。この入力駆動歯車の時計回り方向の動きによって、一次釣り合いおもり118も、方向矢印D1Bによって示すような時計回り方向に回転するようになる。
【0042】
そして、釣り合いおもり118[並びに遊び歯車136及び出力歯車124]が太陽歯車126の周囲を方向矢印D1Bによって示すような時計回り方向に並進/移動すると、これによって遊び歯車136が出力歯車124を反時計回り方向に回転させ、これによって二次釣り合いおもり128も方向矢印D1Aによって示すような反時計回り方向に回転するようになる。従って、一次釣り合いおもり118が方向矢印D1Bによって示すような時計回り方向に回転すると、出力歯車124が方向矢印D1Aによって示すような反時計回り方向に回転するので、二次釣り合いおもり128も方向矢印D1Aによって示すような反時計回り方向に回転する。
【0043】
次に図2を参照すると、この図は、図1の回転運動を線形運動に変換するシステム100の例示的な実施形態の側面図である。この図2では、図1の図に比べてラム接続リンク130の詳細がよく見える。この図では、ラム接続リンク130を二次釣り合いおもり128に結合するピン又はシャフト134がよく見える。ピン134は、二次釣り合いおもり128が太陽歯車126の周囲を並進した時に二次釣り合いおもり128がラム104を「押す」こと又は「引く」ことを可能にする。
【0044】
図2に示す例示的な実施形態では、入力駆動歯車112が、システム100内に加わっている力/エネルギーを有していると仮定する。この力が入力駆動歯車112に加わって、一次釣り合いおもり118が方向矢印D2Bによって示すような[図示のような図/ページに対して]時計回り方向に回転していると仮定する。この一次釣り合いおもり118の時計回りの動きにより、遊び歯車136[図2では見えない、図3を参照]及び出力歯車124が、静止太陽歯車126の周囲を方向矢印D2Bと一致する時計回りに並進している。
【0045】
この太陽歯車126の周囲での遊び歯車136の時計回り方向の並進は、遊び歯車136を時計回りに回転させる。この遊び歯車136の時計回りの回転は、シャフト122によって保持された出力歯車124[見えない]の反時計回りの回転を引き起こす。また、出力歯車124の反時計回りの回転は、方向矢印D2Aによって示すような二次釣り合いおもり128の反時計回りの回転を引き起こす。
【0046】
この二次釣り合いおもり128の反時計回りの回転は、ピン/シャフト134に結合された二次釣り合いおもり128の一端を方向矢印L3によって示すような線形方向に移動させる。シャフト122の幾何学的中心とピン134の幾何学的中心との間の二次釣り合いおもり128の長さ寸法S1は、出力歯車124が太陽歯車126の周囲を移動して二次釣り合いおもり128を回転させた時にピン134が線形方向L3のみに移動/並進するように適切にサイズ指定される。
【0047】
出力歯車124の強度は、長さ寸法S1の最小サイズを決定する。パワーフォーミングプレス(power forming press)として使用するためには、S1の例示的な下限は、恐らく約5.0インチである。長さ寸法S1の上限は、約24.0インチ又はそれ以上とすることができる。当業者であれば、この例示的な範囲の上下の寸法も可能であり、本開示の範囲内に含まれると認識する。
【0048】
また、実質的に線形方向のみに移動しているピン134は、ラム接続リンク130をページの右に向かって方向矢印L2によって示すような線形方向に移動させ、そのシャフト/ピン132を介して方向矢印L1によって示すようにラム104を引っ張る。
【0049】
上述したように、システム100は、図2に関連して上述した方向[及び図1に関連して上述した方向]に対する逆方向に容易に回転することができる。図2に示す方向に対する逆方向は、駆動歯車112を説明した方向とは逆方向[すなわち、図2を正面から見ることに関連する時計回り方向]に駆動/回転できることを意味することもできる。
【0050】
同様に、上述したように、システム100は、線形運動を回転運動に変換することもできる。このことは、ラム104及び/又は線形運動生成手段106がシステム100内に力が加えた結果として得られる出力が歯車112の回転となるように、ラム104に力を加えるとシステム100が歯車112を回転させることができることを意味する。
【0051】
一次釣り合いおもり118は、アパーチャ145を含むことができる。このアパーチャ145は、一次釣り合いおもり118の質量を調整するように適切にサイズ指定することができ、当業者であれば理解するように、釣り合いおもりの慣性モーメント及びその回転軸に影響を与える。いくつかの例示的な実施形態では、一次釣り合いおもり118の質量が連続するようにアパーチャ145を排除することもできる。
【0052】
さらに、アパーチャ145の使用/質量の欠如は、釣り合いおもり118、128の質量及び質量中心を制御する唯一の方法ではない。当業者であれば理解するように、各釣り合いおもり118、128の断面全体を通じて不均衡な角度終端又は差厚を使用することなどの他の方法で釣り合いおもり118、128の形状を変化させることもできる。
【0053】
次に図3を参照すると、この図は、図1の回転運動を線形運動に変換するシステム100の例示的な実施形態の別の斜視図である。一次釣り合いおもり118の方向矢印D2B、二次釣り合いおもり128のD2A、シャフト134のL1、ラム104のL2及びL3は、図2に関連して上述した方向と一致する。
【0054】
このシステム100の図には、シャフト108及び入力駆動歯車112の方向矢印D2A1を示す。方向矢印D2A1は、ラム104が入力駆動歯車112の左側に存在して入力被動歯車116が入力駆動歯車112の右側に存在するように図3を見た時の反時計回りの回転を示す。同様に、二次釣り合いおもりの方向矢印D2A2は反時計回りの回転を示し、一次釣り合いおもりの方向矢印D2Bは時計回りの回転を示す。
【0055】
この図3のビューによれば、図1及び図2に比べて遊び歯車136のさらなる詳細がよく見える。遊び歯車136は、図1又は図2のいずれにおいても見えていなかった。上述したように、遊び歯車136は、出力歯車124及び静止太陽歯車126[図3では完全には見えない、図1~2を参照]と噛合する。遊び歯車136は、シャフト120に結合される。シャフト120は、一次釣り合いおもり118に結合され/一次釣り合いおもり118によって支持される。
【0056】
この図3のビューでは、歯車112、124及び136のうちのいくつかの幅寸法の相対的サイズが見える。また、各釣り合いおもり118、126の相対的な幅/厚みも見える。同様に、ラム104の直径に対するラム接続リンク130の厚み/幅も見える。
【0057】
上述したように、遊び歯車136、出力歯車124及び一次釣り合いおもり118が、静止太陽歯車126の周囲を方向矢印D2Bによって示すような時計回り方向に並進すると、これによって二次釣り合いおもり128が方向矢印D2A2によって示すような反時計回り方向に回転するようになる。この二次釣り合いおもり128の動きにより、そのラム接続ピン134を有する端部が方向矢印L3によって示す線形方向に移動する。
【0058】
ラム接続ピン134が線形方向L3に移動すると、これによってラム104が右向きの線形方向L2に引っ張られる。ラム接続リンク130も、方向矢印L3によって示すような右向きの線形方向に移動する。図2に関連して上述したように、シャフト134の幾何学的中心とピン134との間の二次釣り合いおもり128の長さは、二次釣り合いおもり128が静止太陽歯車126の周囲を並進した時[また同時にシャフト122の周囲で回転した時]に、ピン134が方向矢印L3によって示すような実質的に線形方向に並進/移動するようにサイズ指定される。
【0059】
次に図4を参照すると、この図は、回転運動を線形運動に変換するシステム100の複数の可動部品の周囲にハウジング404を設けた別の例示的な実施形態の平面図である。具体的には、入力被動歯車116、一次釣り合いおもり118、遊び歯車136及び出力歯車124が円筒形の静止ハウジング404内に収容される。
【0060】
一方で、出力歯車124[この図では見えない]のシャフト122は、回転可能な円形保持板402に結合される。出力歯車124が太陽歯車126の周囲を並進すると、円形保持板402は、この出力歯車124及びシャフト122の並進運動と共に回転する。
【0061】
第1の静止ハウジング404には、回転シャフト108及び対応する入力駆動歯車112[第2のハウジング408及び第1のハウジング404によって見えない]の構成要素を収容/内包する別のさらに小さな第2の静止ハウジング408が取り付けられる。また、静止ハウジング404には密封板406も結合される。
【0062】
次に図5Aを参照すると、この図は、図4の切断線C-Cに沿って切り取った、図4に示すシステム100の例示的な実施形態の断面図である。この断面図では、出力歯車124、一次釣り合いおもり118、遊び歯車136及び太陽歯車126が全て見える。これらの部品は、静止ハウジング404に収容/内包される。
【0063】
一次釣り合いおもり118の第1の端部501は、内側軸受ディスク502に結合される。内側軸受ディスク502は、第1の軸受リング504に結合される。一次釣り合いおもり118、内側軸受ディスク502及び第1の軸受リング504は、全てこれらの要素が互いに対して静止して保持されるようにしっかりと結合/締結される。一次釣り合いおもり118、内側軸受ディスク502及び第1の軸受リング504は、共に全て太陽歯車126の周囲を回転する。
【0064】
玉軸受508は、第1の軸受リング504を回転可能に支持する。玉軸受508は、第1の軸受リング504及び第2の軸受リング506によって誘導/内包される。第2の軸受リング506は、外側の静止ハウジング404にしっかりと締結/結合される。すなわち、玉軸受508及び第1の軸受リング504が太陽歯車126の周囲で自由に回転するのに対し、回転中にハウジング404及び第2の軸受リング506は固定/静止したままである。
【0065】
図4には玉軸受508を示しているが、当業者であれば理解するように他の軸受タイプも可能であり、これらも本開示の範囲に含まれる。他の軸受としては、以下に限定するわけではないが、(ブッシング、ジャーナル軸受、スリーブ軸受、ライフル軸受及び複合軸受を含む)滑り軸受、宝石軸受、流体軸受、磁気軸受、及び撓み軸受などを挙げることができる。
【0066】
一次釣り合いおもり118の第2の端部512は、出力歯車124及び遊び歯車136を支持することができる。一次釣り合いおもり118の第2の端部512は、遊び歯車136のシャフト120[この図では見えない]を保持するのに役立つ部分510を含むことができる。一次釣り合いおもり118の第2の端部512は、この部分510を含むことができるが、第2の端部512は、一次釣り合いおもり118の製造中に単体構造として形成することもできる。
【0067】
図5には、太陽歯車126の直径DR1、遊び歯車136の直径DR2及び出力歯車124の直径DR3の相対的寸法も示す。太陽歯車126の直径DR1は、約8.4インチの大きさ[及び約42個の歯]を有することができ、遊び歯車136の直径DR2は、約6.4インチの大きさ[及び約32個の歯]を有することができ、出力歯車124の直径DR3は、約4.2インチの大きさ[及び約21個の歯]を有することができる。しかしながら、これらの直径[及び歯]については、これよりも大きな又は小さい他の大きさも可能であり、これらも本開示の範囲に含まれる。
【0068】
出力歯車124は、その直径DR3の約3.0インチの下限と、約7.0インチの上限とを有することができる。通常、出力歯車124及び太陽歯車126は、これらのそれぞれの直径DR3、DR1に関して2:1の割合/関係を有していなければならず、すなわち太陽歯車126の直径DR1は、出力歯車124の直径DR3のサイズの概ね2倍である。遊び歯車136の直径DR2は、一般にほぼあらゆるサイズを有することができる。
【0069】
一方で、通常、出力歯車124の幾何学的中心と太陽歯車126との間の距離DGは、機械ストロークの約1/4[4分の1]を有する。出力歯車124の幾何学的中心とピン134との間の寸法又は距離S1[距離S1については図2を参照]は約7.0インチであり、従って機械的フルストロークは28.0インチになる。
【0070】
次に図5Bを参照すると、この図は、1つの例示的な実施形態による、システム100の4分の1、2分の1及びフル機械ストロークの相対距離を示す図である。当業者であれば理解するように、図5Bに示す相対的寸法は、システム100の直径D-sysを形成する要素(すなわち歯車114、124、126、136、及び釣り合いおもり118、128)と比較したラム104の相対的サイズに依存する。
【0071】
図5Bには、通常、距離S1が機械ストロークの約1/4[4分の1]を含み、上述した出力歯車124と太陽歯車126との間の中心距離DGにも実質的に等しいことをさらに示す。すなわち、通常、1つの完全な機械ストロークは、距離S1のサイズの4倍になる。通常、距離S1は、(DR1+DR2)/2よりも大きくなければならない。通常、(DR1+DR2)/2の値は、それぞれの歯車が互いに干渉しないことを確実にするようにS1よりも0.5インチ大きくなければならない。方向矢印Laによって示す直線移動をたどるには、二次釣り合いおもり128[及び結合リンク130]の端部におけるピン134についてこれらの幾何学的関係を維持しなければならない。
【0072】
また、静的及び動的バランスを得るために、通常、二次釣り合いおもり128の質量は、ラム104、ピン132、リンク130及びピン134を組み合わせた質量に等しくなければならない。また、通常、二次釣り合いおもり128の質量中心は、ピン122が付着するボアから機械ストローク又は距離S1の1/4[4分の1]でなければならない。また、通常、一次釣り合いおもり118と共に移動する要素[すなわち、ピン122、出力歯車124、遊び歯車136、ピン120]の質量と質量中心位置との組み合わせは、ラム104の質量に最大線形加速度を掛け合わせた質量からの求心力に等しい求心力を生じなければならない。
【0073】
次に図6A図6Hを参照すると、これらの図には、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を単一の斜視図から示しており、各図には、入力被動歯車116が回転した時の釣り合いおもり118、128及びラム104の異なる位置を示す。これらの図6A図6Hには、8つの異なる位置を通じた釣り合いおもり118、128の相対運動を示す。
【0074】
まず図6Aのみを参照すると、この図には、図6B図6Hに示す位置に関連する第1の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。この例示的な実施形態によれば、入力シャフト108及び入力駆動歯車112は、方向矢印R1によって示すような時計回り方向に回転する。この入力駆動歯車の時計回りの回転により、入力被動歯車116が反時計回り方向に回転するようになる。入力被動歯車116は一次釣り合いおもり118に結合されているので、一次釣り合いおもり118も、方向矢印PC1によって示すような反時計回り方向に回転する。この方向矢印の「PC1」という指定は、一次釣り合いおもり118が第1の位置に存在することも示す。
【0075】
この一次釣り合いおもり118及び入力被動歯車116の反時計回りの回転により、遊び歯車136及び出力歯車124が太陽歯車126[この図では見えない]の周囲を並進するようになる。遊び歯車136は、太陽歯車126[見えない]の周囲を反時計回り方向に並進すると、反時計回り方向に回転するようになる。
【0076】
この遊び歯車136の反時計回りの回転により、出力歯車124が方向矢印SC1によって示すような時計回り方向に回転する。出力歯車124が時計回りに回転すると、二次釣り合いおもりも方向矢印SC1によって示す時計回り方向に回転するようになる。この方向矢印の「SC1」という指定は、二次釣り合いおもり128が第1の位置に存在することも示す。この二次釣り合いおもり128の動きにより、方向矢印L1によって示すようなページに対する左方向にラム104が引っ張られる。
【0077】
次に図6Bを参照すると、この図には、図6A及び図6C図6Hに示す位置に関連する第2の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6B図6Aに類似しているので、以下では図6B図6Aとの間の相違点のみを説明する。
【0078】
方向矢印R2の「R2」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第2の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC2」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第2の位置に存在することも示す。この方向矢印の「SC2」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第2の位置に存在することも示す。
【0079】
図6Bでは、二次釣り合いおもり128が回転して、そのピン134を含む端部が太陽歯車126[この図では現在見えている]に対する第1の左方向最大変位にある。この太陽歯車126に対するピン134の第1の左方向最大変位により、ラム104がその太陽歯車126に対する最大左方向変位に到達するようになる。この図6Bでは、ラム104の位置をその第1のエンドストロークとして指定している。さらに、これと同時に、このラム104の「第1のエンドストローク」中には、各釣り合いおもり118、128が同様の配向で[平行に整列して]位置する。
【0080】
次に図6Cを参照すると、この図には、図6A図6B及び図6D図6Hに示す位置に関連する第3の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6C図6Bに類似しているので、以下では図6B図6Cとの間の相違点のみを説明する。
【0081】
方向矢印R3の「R3」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第3の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC3」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第3の位置に存在することも示す。
【0082】
この方向矢印の「SC3」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第3の位置に存在することも示す。図6Bに対し、この図6Cでは、ラム接続リンク130を支持するピン134が右方向に押され始め、これによってラム104も方向矢印L3によって示すような右方向に押されている。
【0083】
次に図6Dを参照すると、この図には、図6A図6C及び図6E図6Hに示す位置に関連する第4の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6D図6Cに類似しているので、以下では図6D図6Cとの間の相違点のみを説明する。
【0084】
方向矢印R4の「R4」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第4の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC4」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第4の位置に存在することも示す。
【0085】
この方向矢印の「SC4」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第4の位置に存在することも示す。図6Cに対し、この図6Dでは、ラム接続リンク130を支持するピン134が右方向に押され続け、これによってラム104も方向矢印L4によって示すような右方向に押されている。なお、方向矢印L4は、ラム104が図6Cに示すラム104の位置と比べて軸受104に対してさらに右方向に延びたことを示すように、図6Cの方向矢印L3の長さよりも長い。
【0086】
次に図6Eを参照すると、この図には、図6A~6D及び図6F~6Hに示す位置に関連する第5の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6E図6Dに類似しているので、以下では図6D図6Eとの間の相違点のみを説明する。
【0087】
方向矢印R5の「R5」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第5の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC5」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第5の位置に存在することも示す。
【0088】
この方向矢印の「SC5」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第5の位置に存在することも示す。図6Dに対し、この図6Eでは、ラム接続リンク130を支持するピン134[見えない]が右方向に押され続け、これによってラム104も方向矢印L5によって示すような右方向に押される。なお、方向矢印L5は、ラム104が図4に示すラム104の位置と比べて軸受104に対してさらに右方向に延びたことを示すように、図4の方向矢印L4の長さよりも長い。
【0089】
次に図6Fを参照すると、この図には、図6A~6E及び図6G~6Hに示す位置に関連する第6の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6F図6Eに類似しているので、以下では図6E図6Fとの間の相違点のみを説明する。
【0090】
方向矢印R6の「R6」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第6の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC6」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第6の位置に存在することも示す。この方向矢印の「SC6」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第6の位置に存在することも示す。
【0091】
図6Fでは、二次釣り合いおもり128が回転して、そのピン134を含む端部が太陽歯車126[この図では見えている]に対する第2の、ただし右方向の最大変位にある。この太陽歯車126に対するピン134の第2の右方向最大変位により、ラム104がその太陽歯車126に対する最大右方向変位に到達するようになる。この図6Fでは、ラム104の位置をその第2のエンドストロークとして指定している。さらに、これと同時に、このラム104の「第2のエンドストローク」中には、各釣り合いおもり118、128が同様の配向で[平行に整列して]位置する。
【0092】
次に図6Gを参照すると、この図には、図6A図6F及び図6Hに示す位置に関連する第7の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6G図6Hに類似しているので、以下では図6H図6Gとの間の相違点のみを説明する。
【0093】
方向矢印R5の「R7」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第7の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC7」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第7の位置に存在することも示す。
【0094】
この方向矢印の「SC7」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第7の位置に存在することも示す。図6Hに対し、この図6Gでは、ラム接続リンク130を支持するピン134[見えない]が左方向に引っ張られ、これによってラム104も方向矢印L7によって示すような左方向に引っ張られる。
【0095】
図6Hには、図6A図6Gに示す位置に関連する第8の位置に釣り合いおもりが存在する、回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を側面斜視図から示す。図6H図6Gに類似しているので、以下では図6G図6Hとの間の相違点のみを説明する。
【0096】
方向矢印R8の「R8」との指定は、入力シャフト108及び対応する入力駆動歯車112が前の図に対して第8の位置に回転したことを意味する。この方向矢印の「PC8」との指定は、一次釣り合いおもり118が前の図に対して第8の位置に存在することも示す。
【0097】
この方向矢印の「SC8」との指定は、二次釣り合いおもり128が前の図に対して第8の位置に存在することも示す。図6Gに対し、この図6Hでは、ラム接続リンク130を支持するピン134[見えない]が左方向に引っ張られ、これによってラム104も方向矢印L8によって示すような左方向に引っ張られる。
【0098】
なお、方向矢印L8は、ラム104が図6Gに示すラム104の位置と比べて軸受104に対してさらに右方向に延びたことを示すように、図6Gの方向矢印L7の長さよりも長い。さらに、太陽歯車126に関するピン134[見えない]及び出力歯車124は、図6Bの第1のエンドストローク及び図6Fの第2のエンドストロークに対して中間点に存在する。このことは、図6Bに示す第1のエンドストローク位置及び図6Hに示す第2のエンドストローク位置に対して図6Hではラム104が中間点に存在することも意味する。
【0099】
次に図6Iを参照すると、この図には、釣り合いおもり118、128が第8の位置に存在する、回転運動を線形運動に変換するシステム100を、図6Hに関連する背面斜視図から示す。図6I図6Hに類似しているので、以下では図6H図6Iとの間の相違点のみを説明する。背面斜視図6Iからは、図6Hの図と比べて、太陽歯車126、ラム接続リンク130及びシャフト122が容易に見える。
【0100】
この図6Iでは、ラム104を、方向矢印L8aによって示すようなページに対する右向きの線形方向に移動しているように示す。方向矢印L8bは、ラム接続リンク130のピン134の右向きの線形方向を示す。上述したように、二次釣り合いおもり128は、その出力歯車124によって引き起こされる回転、及びその太陽歯車126の周囲における一次釣り合いおもり118からの並進運動にもかかわらず、ピン134を含む端部が方向矢印L8Bによって示すような実質的に線形方向に移動するように適切にサイズ指定される。
【0101】
次に図6Jを参照すると、この図には、釣り合いおもり128が第8の位置に存在し、軸受保持具402と、やはりハウジング404を有する図4に示す実施形態と同様のハウジング404とを有する回転運動を線形運動に変換するためのシステム100を、図6Iに関連する側面図から示す。この図6Jのビューでは、出力歯車124、遊び歯車136、太陽歯車126及び入力被動歯車116が、これらの要素を内包/包含する軸受保持具402及びハウジング404によって見えない。
【0102】
また、この二次釣り合いおもり128、及び出力歯車124[見えない]を支持するそのシャフト122の位置では、ラム108及びラム接続リンク130が、軸受102を貫通して行われるラム108の並進運動に関する中間点においてラム108が延びるような中間ストローク位置に存在する。この図6Jにおけるラム104の中間点位置は、図6Jに示すようなラム104の中間点位置と同一である。
【0103】
次に図7を参照すると、この図は、図6Jに関連する、ただしラム104が図6Fに示すようなその第2のエンドストロークにある位置に二次釣り合いおもり128が存在する、回転運動を線形運動に変換するシステム100の別の側面図である。図7には、以下でさらに詳細に説明する図8及び図9に示す断面図に対応する断面切断線A-A及び線Bも示す。
【0104】
次に図8を参照すると、この図は、図7の切断線A-Aに沿って切り取った、図7に示すシステム100の例示的な実施形態の断面図である。この図では、シャフト/ピン134の端部を覆うリンク軸受キャップ802が見える。また、太陽歯車軸受キャップ804も見える。
【0105】
ハウジング404の外縁部の近くには、第1の軸受保持具806を有する玉軸受508が存在する。第1の軸受保持具806に対する玉軸受508の反対側には、第2の軸受保持具808が位置する。第2の軸受保持具に隣接して、上側玉軸受508の近くの頂部において識別されるオイルシール810が存在する。
【0106】
次に、太陽歯車126及び入力被動歯車116に隣接する要素について説明する。テーパーローラ軸受812が、二次釣り合いおもり128の部分814を支持する。太陽歯車126の内側部分内には、回転ユニオン816が存在する。
【0107】
入力被動歯車116の中間には、テーパーローラ軸受826が設けられる。テーパーローラ軸受826に隣接して、軸受ロックワッシャ828が存在する。軸受ロックワッシャ828の隣には、軸受ロックナット830が存在する。軸受ロックナット830に隣接して、リングフェーダ832が位置する。また、リングフェーダ832に隣接して、ハウジング密封板834が存在する。ハウジング密封板824の反対側には、入力駆動シャフト108の密封板836が存在する。
【0108】
次に図9を参照すると、この図は、図7の切断線B-Bに沿って切り取った図7に示すシステム100の例示的な実施形態の断面図である。この図9では、ピン/シャフト132を支持する軸受902が見える。この軸受902は、複列玉軸受を含むことができるが、当業者であれば理解するように他の軸受を使用することもできる。
【0109】
図9では、シャフト122を回転可能に支持する軸受テーパーローラ906も見える。上述したように、シャフト122は、二次釣り合いおもり128を支持する。ローラ906に隣接して、ハウジング908が存在する。
【0110】
別の軸受テーパーローラ912は、入力駆動歯車112を回転可能に支持する。また、入力駆動歯車112に対するシャフト108のさらに上方には軸受ロックタン914が存在する。軸受ロックナットタン914に隣接して、軸受ロックワッシャ916が存在する。ロックワッシャ916の隣には、別の軸受テーパーローラ918が存在する。ハウジング920は、少なくともテーパーローラ912、軸受ロックタン914、ロックワッシャ916及びテーパーローラ918を内包/包含する。ハウジング920は、別の軸受ロックタン922及び軸受ロックワッシャ924も包含/保護する。入力被動歯車116のシャフト114は、軸受ロックナットタン930、軸受ロックワッシャ932及び軸受テーパーローラ934によって回転可能に支持される。
【0111】
上述したように、システム100では、当業者であれば理解するように本開示の範囲から逸脱することなく様々な異なる軸受を採用することができる。図8図9に示す軸受のうちのいくつかはローラ軸受を含むことができるが、他のタイプの軸受も可能である。他の軸受としては、以下に限定するわけではないが、(ブッシング、ジャーナル軸受、スリーブ軸受、ライフル軸受及び複合軸受を含む)滑り軸受、宝石軸受、流体軸受、磁気軸受、及び撓み軸受などを挙げることができる。
【0112】
次に図10を参照すると、この図は、回転運動を線形運動に変換するシステム100’(ダッシュ記号)の別の例示的な実施形態の側面斜視図である。図10は、図1に非常に類似しているので、以下では相違点のみを説明する。図10では、システム100’が、修正された一次釣り合いおもり118’と、修正された二次釣り合いおもり128’とを有する。
【0113】
具体的に言えば、一次釣り合いおもり118’は、図1図9に示す一次釣り合いおもり118と比べて底部[扇形部分]が大きくないように修正されている。同様に、二次釣り合いおもり128’も、図1図9の二次釣り合いおもり128と比べて底部[扇形部分]が大きくない。
【0114】
システム100’は、各釣り合いおもり118’、128’の扇形部分を伴わずに機能することもできる。一方で、この修正された釣り合いおもり118’、128’を有する代替システム100’では、高い基礎力及び振動力を生み出すことができる。図1図9の釣り合いおもり118、128に提供される追加重量は、より不変的なエネルギーを提供するのに役立つ。
【0115】
図1図9の釣り合いおもりの追加重量/質量は、静的及び動的にシステム100のバランスを取る。通常、他の回転運動を線形運動に変換するシステムは、毎分約400.0ストロークに制限される。一方で、図1図9に示すシステム100は、その一定のエネルギー及び重量バランスによって毎分約1000.0ストロークもの速さで動作することができる。従って、サイズを落とした釣り合いおもり118’、128’と共に示す代替システム100’は、機能することはできるものの、エネルギーと重量のバランスが取れた図1図9に示す例示的な実施形態ほどには効率的に機能しない場合もある。
【0116】
次に図11を参照すると、この図は、1つの例示的な実施形態による、回転運動を線形運動に変換するシステム100の形成方法1100のフローチャートである。この方法1100は、概ね図1~10に示す例示的な実施形態と対応する。当業者であれば理解するように、この方法1100は、いくつかのステップを修正及び/又は除去した場合、他のさらなる例示的な実施形態に適用することもできる。
【0117】
ステップ1105は、回転運動を線形運動に、及び線形運動を回転運動に変換する方法1100の第1のステップである。ステップ1105において、一方の駆動装置が線形駆動装置106であり一方の駆動装置が回転駆動装置110である2つの別個の駆動装置の各々のための2つの保持システムを形成することができる。次に、ステップ1110において、図1に示すような入力被動歯車116と同じシャフト114に太陽歯車126を結合して、入力被動歯車116がシャフトの周囲を回転する一方で太陽歯車126は静止状態を保つようにすることにより、回転駆動装置110のための第1の保持システムを形成することができる。
【0118】
その後、ブロック1115において、遊び歯車136及び出力歯車124を第1の釣り合いおもり118に結合することができる。次に、ステップ1120において、第1の釣り合いおもりを入力被動歯車116に結合することができる。
【0119】
次に、ステップ1125において、二次釣り合いおもりが回転して太陽歯車126の周囲を並進した時に釣り合いおもり128の一方の端部が実質的に一直線に動くように二次釣り合いおもり128を適切に(正しく)サイズ指定(寸法指定)することにより、線形駆動装置106のための第2の保持システムを形成することができる。
【0120】
その後、ステップ1130において、出力歯車124を二次釣り合いおもり128に結合することができる。また、二次釣り合いおもり128の端部及びラム接続リンク130にピン134を結合することもできる。次に、ステップ1135において、ラム接続リンク130をアーム104に結合することができる。ステップ1105~1135については、これらのステップが回転運動から線形運動への、及び線形運動から回転運動への変換ための2つの保持システムを形成することを示すように、参照文字1160で指定する。
【0121】
次にステップ1140を参照すると、このステップでは、線形駆動装置106又は線形運動受け取り手段106をアーム104に結合することができる。次に、ステップ1145において、回転駆動装置110又は線形運動生成手段110を入力被動歯車116に結合することができる。
【0122】
ステップ1150において、回転駆動装置110を初期化することができる。換言すれば、回転駆動装置110が回転運動を生成し始めることができる。しかしながら、当業者であれば、線形駆動装置106が[線形運動を回転運動に変換するために]モータ又は他の何らかの外力によって駆動される場合には、ステップ1150において、モータ(図示せず)によって駆動される線形駆動装置106が、回転駆動装置110、又はさらに適切には回転運動受け取り手段110に基づいて線形運動が最終的に回転運動に変換されるように動きを開始することもできると認識する。
【0123】
再びステップ1150を参照すると、このステップの後のステップ1155において、シャフト又はラム104を動かして、回転する二次釣り合いおもり128から力を伝えながら、ピン134及びリンク130を単一平面内に保持/維持することができる。
【0124】
当業者であれば、方法1100のステップは、図1図10のシステム100をどのように使用できるかについて説明するともに、システム100をいかにして形成できるかを提案するものであると認識する。一般に、方法1100は、システム100を組み立てた後のシステム100の動き及び力について説明するものである。システム100の部品及び要素は、方法1100に示すような提案するステップとは異なる一連のステップで組み立てることもできることが完全に明らかである。しかしながら、当業者であれば理解するように、システム100が形成されると、一般に方法1100において説明した一般的な動き及び力を付与することができる。
【0125】
図11のプロセス及びプロセスフロー、並びに本明細書の図1図10の機械製図によって例示/示唆するプロセス及びフローにおけるいくつかのステップは、本発明が説明通りに機能するように他のステップに先行することが当然である。しかしながら、説明したステップの順序又は順番によって本発明の機能が変化しない場合、本発明はこのような順序に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、いくつかのステップを他のステップの前に、後に、又は同時に(実質的に同時に)実行することもできると認識される。場合によっては、本発明から逸脱することなく、いくつかのステップを省略し、又は実行しないこともできる。
【0126】
いくつかの図に示す歯車、ロッド、アーム及びリンクなどの部品の材料は、鋼などの金属で形成することができる。本開示の範囲から逸脱することなく他の材料を採用することもできる。他の材料としては、以下に限定するわけではないが、アルミニウム、青銅、銅、スズ、鉛及びこれらの合金/組み合わせが挙げられる。さらに、金属以外の材料も可能であり、これらも本開示の範囲に含まれる。金属以外の材料としては、以下に限定するわけではないが、ポリマー(すなわち、プラスチック)、セラミックス、複合材料、及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0127】
背景技術の節で述べたように、本発明の方法及びシステムは、アルミ缶製造分野、又は一般に飲料/食品容器での応用に適する。しかしながら、他の使用分野も可能である。例えば、本発明の方法及びシステムの他の使用分野としては、以下に限定するわけではないが、電子装置製造、自動車製造、並びに金型及びダイ製造が挙げられる。電子装置製造では、システムの規模を、センチメートル台及びミリメートル台などの非常に小さなものにすることができる。さらに、回転駆動装置及び/又は線形駆動装置は、プリント基板(PCB)製造において使用されるロボット[すなわち、ピックアンドプレースロボットなど]に結合することもできる。
【0128】
以上、わずかな実施形態について詳細に説明したが、当業者であれば、本開示から実質的に逸脱することなく、実施形態の多くの修正が可能であると容易に理解するであろう。従って、このような修正は、以下の特許請求の範囲に定める本開示の範囲に含まれるように意図される。
【0129】
例えば、複数の図に複数の歯車を示したが、これらの要素の機能/動きをさらなる及び/又はさらに少ない構造に交換/置換することもできる。例えば、当業者であれば理解するように、複数の歯車の機能/動きをさらなる小型の歯車に置き換えることもできる。さらに、当業者であれば理解するように、複数の図に示した多くの構造の代わりに、ベルト、チェーン、スプロケット及び/又は滑車のような、図示の歯車及びリンク機構の機械的同等物を使用することもできる。このような機械的同等構造の置換も本開示の範囲に含まれる。
【0130】
同様に、特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションの条項は、本明細書において列挙した機能を実行するものとして説明した構造及び構造的同等物のみならず、同等の構造も対象とするように意図される。従って、くぎとねじを挙げれば、くぎは円筒形の表面を用いて木製部品を互いに固定するのに対し、ねじはらせん状の表面を使用するという点でこれらは構造的同等物でないかもしれないが、木製部品を固定する環境ではくぎとねじを同等の構造物とすることができる。請求項において「~のための手段」という用語を関連する機能と共に明確に使用している場合を除き、本明細書のあらゆる請求項のあらゆる限定について米国特許法第112条第6項を行使しないことが出願人の明確な意図である。
【0131】
従って、選択的態様について図示し詳細に説明したが、本明細書では、以下の特許請求の範囲に定めるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な置換及び変更を行うことができると理解されるであろう。
【符号の説明】
【0132】
100 回転運動を線形運動に変換するシステム
102 軸受
104 ラム
106 線形運動生成/受け取り手段
108 シャフト
110 回転運動生成/受け取り手段
112 入力駆動歯車
114 静止/固定シャフト
116 入力被動歯車
118 一次釣り合いおもり
120 シャフト
122 シャフト
124 出力歯車
126 太陽歯車
130 ラム接続リンク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7
図8
図9
図10
図11