(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
C07C 211/61 20060101AFI20230110BHJP
C07D 333/76 20060101ALI20230110BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230110BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230110BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C07C211/61 CSP
C07D333/76
H05B33/14 A
H05B33/22 D
C09K11/06 690
(21)【出願番号】P 2019572535
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2018005292
(87)【国際公開番号】W WO2019004587
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】10-2017-0083233
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0047294
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ、ホンセ
(72)【発明者】
【氏名】イー、テチン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンカン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヨンムク
(72)【発明者】
【氏名】ホン、チンリ
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-516058(JP,A)
【文献】特表2017-501566(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086629(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0052136(KR,A)
【文献】特開2016-153394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
H05B33/14
H05B33/22
C09K11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
【化1】
[式中、
Ar
1は
、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリールを表し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し;
R
3~R
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、-N(R
11)(R
12)、-Si(R
13)(R
14)(R
15)、-S(R
16)、-O(R
17)、シアノ、ニトロ、又はヒドロキシルを表し;
R
11~R
17は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し;
a及びeは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、b及びcは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、dは、1又は2の整数を表し、そこでa~eのそれぞれが2以上の整数である場合、R
3~R
7のそれぞれは同一であっても異なっていてもよい]
によって表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項2】
式1が、下記の式2又は3:
【化2】
(式中、Ar
1、R
1~R
7、及びa~eは、請求項1で定義した通りである)
によって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント化合物。
【請求項3】
Ar
1が、以下の構造:
【化3】
(式中、*はNとの結合部位を表し、芳香環の少なくとも1つの炭素原子は窒素原子で置換されていてもよい)から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項4】
Ar
1、R
1~R
7及びR
11~R
17における前記置換アルキル、前記置換アリール、前記置換ヘテロアリール、前記置換シクロアルキル、前記置換ヘテロシクロアルキル、前記置換アリールアルキル、又は前記置換単環式若しくは多環式の脂環式若しくは芳香族環、又はそれらの組み合わせの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、3~7員ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換の又は(C6~C30)アリールで置換された5~30員ヘテロアリール、非置換の又は5~30員ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
式1によって表される前記化合物が、
【化4】
【化5】
【化6】
からなる群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む、有機エレクトロルミネセント材料。
【請求項7】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物
であって、以下の化合物のいずれでもない有機エレクトロルミネセント化合物を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化7】
【請求項8】
以下の化合物のいずれでもない前記有機エレクトロルミネセント化合物が正孔輸送帯に含まれる、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【化8】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
低分子緑色有機エレクトロルミネセントデバイスは、発光層と電荷輸送層とからなるTPD/Alq3二層を使用することによって1987年にEastman KodakのTangらによって最初に開発された。その後、OLEDの開発は急速に行われ、OLEDは商業化されている。OLEDは、有機発光材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノードと、カソードと、2つの電極間の有機層とを含む。OLEDの効率及び安定性を高めるために、それは正孔輸送帯、発光層、電子輸送帯等を含む複数層構造を有する。
【0003】
OLEDにおいて、銅フタロアシアニン(CuPc)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等を正孔輸送帯に含有される化合物として使用した。しかしながら、これらの材料を使用するOLEDは、量子効率及び寿命を低下させるという点で問題が多い。それは、OLEDが高電流下で駆動されるとき、アノードと正孔注入層との間に熱応力が生じ、熱応力がデバイスの寿命を著しく低下させるからである。さらに、正孔輸送帯において使用される有機材料は非常に高い正孔移動度を有するので、正孔-電子電荷平衡が失われる場合があり、量子効率(cd/A)が減少する場合がある。
【0004】
2015年6月16日に公開された韓国特許出願公開第2015-0066202号明細書及び2000年5月12日に公開された日本特許第3065125号公報には、フルオレン-アリールアミン誘導体化合物が正孔輸送材料として使用されるOLEDが開示されている。しかしながら、OLEDの性能を改良するための化合物がさらに開発される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、低駆動電圧、高発光効率、及び/又は長寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために有効に使用することができる有機エレクトロルミネセント化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
正孔輸送帯において、フルオレニルアミンがベンゾフルオレンの3位に結合している構造を有する特定の化合物を含むことによって、有機エレクトロルミネセントデバイスが低駆動電圧、高発光効率、及び/又は長寿命特性を示すことができることを本発明者は見出した。具体的には、上記の目的は、以下の式1:
【化1】
[式中、
Ar
1は、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリールを表し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し;
R
3~R
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、-N(R
11)(R
12)、-Si(R
13)(R
14)(R
15)、-S(R
16)、-O(R
17)、シアノ、ニトロ、又はヒドロキシルを表し;
R
11~R
17は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し;
a及びeは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、b及びcは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、dは、1又は2の整数を表し、そこでa~eのそれぞれが2以上の整数である場合、R
3~R
7のそれぞれは同一であっても異なっていてもよい]によって表される有機エレクトロルミネセント化合物によって達成することができる。
【0007】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を用いることにより、低駆動電圧、高発光効率、及び/又は長寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の有機エレクトロルミネセント化合物の代表的な式である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示が詳細に説明される。しかしながら、以下の説明は、本開示を説明することを意図し、決して本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0010】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と、第1の電極と対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の発光層と、第1の電極と発光層との間の正孔輸送帯と、発光層と第2の電極との間の電子輸送帯とを含む。第1及び第2電極のうちの1つはアノードであり得、他はカソードであり得る。
【0011】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用されることができ、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料の層に含まれ得る化合物を意味する。
【0012】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用されることができ、少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、又は電子注入材料であり得る。
【0013】
本開示における用語「正孔輸送帯」は、第1の電極と発光層との間で正孔が移動する領域を意味し、例えば正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層及び電子阻止層の少なくとも1つを含み得る。正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層及び電子阻止層は、それぞれ単層又は2つ以上の層が積層された複層であり得る。本開示の一実施形態によれば、正孔輸送帯は、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光補助物層のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0014】
正孔輸送層は、アノード(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、アノードから移動した正孔がスムーズに発光層に移動することを可能にし、電子を発光層内に閉じ込めるために、カソードから移動した電子を阻止し得る。発光補助層は、アノードと発光層との間又はカソードと発光層との間に配置することができる。発光補助層をアノードと発光層との間に配置する場合、それは、正孔注入及び/又は正孔輸送を促進するか又は電子のオーバーフローを防止するために用いられ得る。発光補助層をカソードと発光層との間に配置する場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために用いられ得る。また、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効であり得、それにより電荷のバランスを制御することができる。更に、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層の間に配置されることができ、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用することができる。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有し得る。
【0015】
「電子輸送帯」は、第2の電極と発光層との間で正孔が移動する領域であることを意図し、例えば、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層のうちの少なくとも1つ、好ましくは、電子緩衝層、電子輸送層及び電子注入層のうちの少なくとも1つを含み得る。電子緩衝層は、パネル製造プロセスにおいて高温に曝されるとデバイス内の電流特性が変化して発光輝度が歪むという問題を改善することができる層であり、電荷の流れを制御することができる。
【0016】
発光層は、光を放出する層であり、単層であり得、又は2つ以上の層が積層される複数の層であり得る。発光層におけるホスト化合物に対するドーパント化合物のドープ濃度は、20重量%未満であることが好ましい。
【0017】
以下、式1で表される化合物について詳細に説明する。
【0018】
上記の式1において、Ar1は、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール;好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは非置換5~25員ヘテロアリール;及びより好ましくは、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール、又は置換若しくは非置換5~18員ヘテロアリールを表し、そこで置換アリール又は置換ヘテロアリールの置換基は、(C1~C30)アルキル、(C6~C30)アリール、及び5~30員ヘテロアリールのうちの少なくとも1つであり得る。本開示の一実施形態によれば、Ar1は、非置換の又は少なくとも1つのメチル、フェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、若しくはイソキノリルで置換されたフェニル;ビフェニル;ナフチルフェニル;フェニルナフチル;フルオレニル;ジメチルフルオレニル;トリフェニレニル;テルフェニル;非置換の又は少なくとも1つフェニル、ナフチル、若しくはイソキノリニルで置換されたピリジル;ジベンゾチオフェニル;ジベンゾフラニル;又はフェニルで置換されたカルバゾリルを表し得る。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、Ar
1は、以下の構造:
【化2】
(式中、*はNとの結合部位を表す)から選択され得る。
【0020】
上記の構造において、芳香環の少なくとも1つの炭素原子は窒素原子で置換されていてもよい。さらに、上記の構造において、芳香環の少なくとも1つの炭素原子は、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、3~7員ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、5~30員ヘテロアリール、(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0021】
上記の式1において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、そこで、形成された環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子;好ましくは、置換若しくは非置換(C1~C20)アルキル、又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリール;及びより好ましくは、非置換(C1~C10)アルキル、又は非置換(C6~C18)アリールを含有してもよい。本開示の一実施形態によれば、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル又はフェニルを表す。R1及びR2は互いに同じであるか又は異なっていてもよい。本開示の一実施形態によれば、R1及びR2は互いに同じであってもよい。
【0022】
上記の式1において、R3~R7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、-N(R11)(R12)、-Si(R13)(R14)(R15)、-S(R16)、-O(R17)、シアノ、ニトロ、又はヒドロキシルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、そこで、形成された環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができ;及びR11~R17は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、そこで、形成された環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができる。
【0023】
好ましくは、R3~R7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、置換若しくは非置換5~25員ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C25)シクロアルキル、又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリール(C1~C20)アルキル;及びより好ましくは水素、重水素、ハロゲン、非置換(C1~C10)アルキル、非置換(C6~C18)アリール、非置換5~18員ヘテロアリール、非置換(C3~C18)シクロアルキル、又は非置換(C6~C18)アリール(C1~C10)アルキルを表す。本開示の一実施形態によれば、R3~R7は水素を表し得る。
【0024】
上記の式1において、a及びeは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、b及びcは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、dは、1又は2の整数を表し、そこでa~eのそれぞれが2以上の整数である場合、R3~R7のそれぞれは同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、a~eは、それぞれ独立して、1又は2の整数を表す。本開示の一実施形態によれば、a~eは1を表し得る。
【0025】
本開示の式において、いくつかの置換基が隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成する場合、形成された環は窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができる。
【0026】
本開示の式において、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくは、N、O、及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができる。ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換5~30員ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つ置換基と結合していてもよい。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、上記の式1において、ベンゾフルオレニルアミンはフルオレンの2位又は3位に結合することができる。具体的には、式1によって表される化合物は、以下の式2又は3:
【化3】
(式中、Ar
1、R
1~R
7、及びa~eは式1において定義された通りである)によって表されてもよい。
【0028】
ここで、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキルであることを意味し、炭素原子の数は1~20が好ましく、1~10がより好ましく、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を含む。「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する2~30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルケニルであることを意味し、炭素原子の数は2~20が好ましく、2~10がより好ましく、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブト-2-エニル等を含む。「(C2~C30)アルキニル」は、鎖を構成する2~30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキニルであることを意味し、炭素原子の数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましく、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニル等を含む。「(C3~C30)シクロアルキル」は、3~30の環主鎖炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であることを意味し、炭素原子の数は、3~20が好ましく、3~7がより好ましく、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。「3~7員ヘテロシクロアルキル」は、B、N、O、S、Si、及びPからなる群から選択される、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子と、3~7の環主鎖原子、好ましくは5~7の環主鎖原子とを有するシクロアルキルであることを意味し、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等を含む。「(C6~C30)アリール」は、6~30の環主鎖炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導され、部分的に飽和されていてもよくスピロ構造を有していてもよい単環式又は縮合環基であることを意味し、環主鎖炭素原子の数は、6~25が好ましく、6~18がより好ましく、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フェニルテルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル等を含む。「3~30員ヘテロアリール」は、B、N、O、S、Si、及びPからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4のヘテロ原子と、3~30の環主鎖原子とを有するアリール基であることを意味し、単環式環、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり、部分的に飽和されていることができ、単結合を介してヘテロアリール基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を結合することにより形成されるものであり得、スピロ構造を有することができ、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等を含む単環式ヘテロアリールを含み、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロアクリジニル等を含む縮合環式ヘテロアリールを含む。「ハロゲン」は、F、Cl、Br、及びIを含む。
【0029】
ここで、「置換若しくは非置換」という表現における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。式1~3のAr1、R1~R7、及びR11~R17における置換アルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリールアルキル、又は置換単環式若しくは多環式の、脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、3~7員ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換の又は(C6~C30)アリールで置換された5~30員ヘテロアリール、非置換の又は5~30員ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つ;好ましくは(C1~C20)アルキル、(C6~C25)アリール、及び5~25員ヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1つ;より好ましくは(C1~C10)アルキル、(C6~C18)アリール、及び5~18員ヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1つ;並びに例えば、メチル、フェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0030】
式1で表される化合物は、以下の化合物を含むが、これらに限定されない。
【化4】
【化5】
【化6】
【0031】
本開示による式1の化合物は、当業者に公知の合成方法によって調製することができる。例えば、それは以下の反応スキーム1:
[反応スキーム1]
【化7】
(式中、Ar
1、R
1~R
7、及びa~eは式1において定義された通りである)によって調製することができるが、それに限定されない。
【0032】
本開示は、式1によって表される少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。本開示の一実施形態によれば、式1によって表される少なくとも1つ化合物を含む正孔輸送材料が提供されてもよい。
【0033】
有機エレクトロルミネセント材料は、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物だけを含有してもよく、又は有機エレクトロルミネセント材料において使用される従来の材料をさらに含有してもよい。
【0034】
本開示は、式1によって表される少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。本開示の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネセントデバイスは、正孔輸送帯において、又は複数の正孔輸送層の少なくとも1つの層において式1によって表される少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0035】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができるホスト化合物は、以下の式11~13:
【化8】
[式中、
Maは、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
Laは、単結合、置換若しくは非置換の(C6-C30)アリーレン、又は置換若しくは非置換の(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Aは、S、O、N(Re)、又はC(Rf)(Rg)を表し;
Ra~Rdは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルキニル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C60)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは隣接置換基と結合して置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、ここで、形成された環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができ;
Re~Rgは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;或いは、Rf及びRgが互いに結合して置換若しくは非置換の、単環式又は多環式の、3~30員脂環式環若しくは芳香環、又はそれらの組み合わせを形成し、そこで、形成された環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができ;
w~yは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、zは1~3の整数を表し;及び
ヘテロアリール(エン)は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む]のいずれか1つによって表される化合物を含有するが、それに限定されない。
【0036】
式11~13のいずれか1つによって表される化合物は、以下の化合物を含むが、それらに限定されない:
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
(式中、TPSはトリフェニルシリル基を表す)。
【0037】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができるドーパント化合物は、以下の式101:
【化15】
[式中、
Lは以下の構造
【化16】
から選択され、R
100~R
103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは非置換3~30員ヘテロアリール、又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR
100~R
103は、隣接するR
100~R
103と結合して、例えば置換若しくは非置換キノリン、置換若しくは非置換イソキノリン、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジン、置換若しくは非置換ベンゾチエノピリジン、置換若しくは非置換インデノピリジン、置換若しくは非置換ベンゾフロキノリン、置換若しくは非置換ベンゾチエノキノリン、又は置換若しくは非置換インデノキノリンなど、ピリジンとの置換若しくは非置換縮合環を形成することができ;
R
104~R
107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換3~30員ヘテロアリール、シアノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いはR
104~R
107は、隣接するR
104~R
107と結合して、例えば置換若しくは非置換ナフタレン、置換若しくは非置換フルオレン、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは非置換ジベンゾフラン、置換若しくは非置換インデノピリジン、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジン又は置換若しくは非置換ベンゾチエノピリジンなど、ベンゼンとの置換若しくは非置換縮合環を形成することができ;
R
201~R
211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又はハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表すか;或いはR
201~R
211は、隣接するR
201~R
211と結合して置換若しくは非置換縮合環を形成することができ、及び
nは1~3の整数を表す]によって表される化合物を含有するが、それに限定されない。
【0038】
具体的には、ドーパント化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化17】
【化18】
【化19】
【0039】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスを構成するそれぞれの層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング方法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング方法等などの湿式膜形成法を用いることができる。
【0040】
湿式膜形成法を用いる場合、薄膜は、それぞれの層を構成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの、好適な溶媒に溶解させる又は分散させることによって形成される。溶媒は、それぞれの層を構成する材料が溶媒に可溶である又は分散可能である限り、特に制限されず、層の形成においていかなる問題も引き起こさない。
【0041】
本開示は、式1によって表される少なくとも1つの有機エレクトロルミネセント化合物を含むディスプレイシステムを提供することができる。すなわち、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を使用することによって、ディスプレイシステム又は照明システムを製造することができる。詳細には、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を用いることによって、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV、又は車両用のディスプレイシステム、或いは例えば屋内又は屋外の照明システムなどの照明システムを製造することができる。
【0042】
以下、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物の調製方法、及びこの化合物の物理的特性が、本開示の代表的な化合物に関して詳細に説明される。しかしながら、以下の実施例は、本開示を説明することを意図しており、本開示はそれに限定されない。
【実施例】
【0043】
実施例1:化合物C-4の調製
【化20】
10gの化合物a-1(31mmol)、11.2gの化合物b-1(31mmol)、1.42gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.6mmol)、1.6mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(3.1mmol、50%トルエン溶液)、5.9gのナトリウムtert-ブトキシド(62mmol)、及び154mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を4時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して8.3gの化合物C-4(収率:44%)を得た。
【0044】
実施例2:化合物C-5の調製
【化21】
7.0gの化合物a-1(22mmol)、8.6gの化合物b-2(24mmol)、0.60gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.66mmol)、0.6mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(1.32mmol、50%トルエン溶液)、3.1gのナトリウムtert-ブトキシド(32mmol)、及び110mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を2時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して0.9gの化合物C-5(収率:7%)を得た。
【0045】
実施例3:化合物C-6の調製
【化22】
7.4gの化合物a-1(23mmol)、10.0gの化合物b-3(23mmol)、1.0gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.2mmol)、1.1mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.3mmol、50%トルエン溶液)、4.4gのナトリウムtert-ブトキシド(46mmol)、及び114mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を5時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して4.9gの化合物C-6(収率:31%)を得た。
【0046】
実施例4:化合物C-7の調製
【化23】
7.0gの化合物a-1(22mmol)、9.8gの化合物b-4(24mmol)、0.6gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.66mmol)、0.6mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(1.32mmol、50%トルエン溶液)、3.1gのナトリウムtert-ブトキシド(32mmol)、及び110mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.8gの化合物C-7(収率:20%)を得た。
【0047】
実施例5:化合物C-8の調製
【化24】
10.0gの化合物a-1(31mmol)、12.7gの化合物b-5(24mmol)、1.42gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.6mmol)、1.6mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(3.1mmol、50%トルエン溶液)、5.9gのナトリウムtert-ブトキシド(62mmol)、及び154mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を2時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して2gの化合物C-8(収率:10%)を得た。
【0048】
実施例6:化合物C-24の調製
【化25】
13gの化合物a-1(40mmol)、19.5gの化合物b-6(40mmol)、1.11gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.2mmol)、1.2mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.4mmol、50%トルエン溶液)、5.8gのナトリウムtert-ブトキシド(60mmol)、及び223mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を4時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して15gの化合物C-24(収率:51%)を得た。
【0049】
実施例7:化合物C-2の調製
【化26】
10gの化合物a-1(31mmol)、12.3gの化合物b-7(34mmol)、1.42gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.6mmol)、1.6mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(3.1mmol、50%トルエン溶液)、4.5gのナトリウムtert-ブトキシド(46mmol)、及び160mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を2時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して6.3gの化合物C-2(収率:34%)を得た。
【0050】
実施例8:化合物C-25の調製
【化27】
6gの化合物a-1(19mmol)、9.9gの化合物b-8(20mmol)、0.85gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.93mmol)、0.75mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(0.19mmol、50%o-キシレン溶液)、2.7gのナトリウムtert-ブトキシド(28mmol)、及び93mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1.5時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.6gの化合物C-25(収率:19%)を得た。
【0051】
実施例9:化合物C-66の調製
【化28】
8gの化合物a-1(25mmol)、9.9gの化合物b-9(25mmol)、1.13gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.25mmol)、1mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.5mmol、50%o-キシレン溶液)、5.9gのナトリウムtert-ブトキシド(62mmol)、及び125mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を2時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して11gの化合物C-66(収率:69%)を得た。
【0052】
実施例10:化合物C-62の調製
【化29】
3.9gの化合物a-1(12mmol)、5.3gの化合物b-10(12mmol)、0.56gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.6mmol)、0.5mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(1.2mmol、50%o-キシレン溶液)、2.3gのナトリウムtert-ブトキシド(24mmol)、及び61mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して5.3gの化合物C-62(収率:64%)を得た。
【0053】
実施例11:化合物C-61の調製
【化30】
7.9gの化合物a-1(24mmol)、8.0gの化合物b-11(22mmol)、1.0gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.1mmol)、1mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.2mmol、50%o-キシレン溶液)、3.2gのナトリウムtert-ブトキシド(33mmol)、及び110mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して8.5gの化合物C-61(収率:64%)を得た。
【0054】
実施例12:化合物C-63の調製
【化31】
8.6gの化合物a-1(26mmol)、12.0gの化合物b-12(29mmol)、1.2gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.3mmol)、1.3mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(2.6mmol、50%o-キシレン溶液)、3.8gのナトリウムtert-ブトキシド(40mmol)、及び133mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して11gの化合物C-63(収率:64%)を得た。
【0055】
実施例13:化合物C-67の調製
【化32】
14.1gの化合物a-1(44mmol)、18.0gの化合物b-13(44mmol)、0.49gの酢酸パラジウム(II)(2.2mmol)、1.8mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(4.4mmol、50%o-キシレン溶液)、9.2gのナトリウムtert-ブトキシド(96mmol)、及び200mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して3.5gの化合物C-67(収率:12%)を得た。
【0056】
実施例14:化合物C-68の調製
【化33】
4gの化合物a-1(12mmol)、5.1gの化合物b-14(12mmol)、0.57gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.6mmol)、0.51gのSPhos(1.2mmol)、3.0gのナトリウムtert-ブトキシド(3.1mmol)、及び60mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して6.1gの化合物C-68(収率:75%)を得た。
【0057】
実施例15:化合物C-69の調製
【化34】
44.6gの化合物a-1(138mmol)、34.7gの化合物b-15(166mmol)、1.55gの酢酸パラジウム(II)(6.9mmol)、6.8mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(13.8mmol、50%o-キシレン溶液)、26.5gのナトリウムtert-ブトキシド(276mmol)、及び690mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を8時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して12gの化合物a-2(収率:19%)を得た。その後、6gの化合物a-2(13mmol)、4.2gの化合物b-15a(16mmol)、0.61gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.65mmol)、0.66mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(1.3mmol、50%o-キシレン溶液)、1.9gのナトリウムtert-ブトキシド(1.95mmol)、及び66mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を0.5時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して6.8gの化合物C-69(収率:81%)を得た。
【0058】
実施例16:化合物C-70の調製
【化35】
21gの化合物a-2(46mmol)、11.4gの化合物b-16(46mmol)、0.52gの酢酸パラジウム(II)(2.3mmol)、1.9mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(4.6mmol、50%o-キシレン溶液)、9.8gのナトリウムtert-ブトキシド(102mmol)、及び230mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して2.5gの化合物C-70(収率: 8.7%)を得た。
【0059】
実施例17:化合物C-71の調製
【化36】
6gの化合物a-2(13mmol)、4.2gの化合物b-17(16mmol)、0.61gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.65mmol)、0.66mLのトリ-tert-ブチルホスフィン(1.3mmol、50%o-キシレン溶液)、1.9gのナトリウムtert-ブトキシド(1.95mmol)、及び66mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を0.5時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して4.5gの化合物C-71(収率:53%)を得た。
【0060】
実施例18:化合物C-10の調製
【化37】
5.1gの化合物a-1(16mmol)、6.9gの化合物b-18(16mmol)、0.72gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.80mmol)、0.65gのSPhos(1.6mmol)、3.8gのナトリウムtert-ブトキシド(3.9mmol)、及び72mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を0.5時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して6.9gの化合物C-10(収率:64%)を得た。
【0061】
実施例19:化合物C-72の調製
【化38】
5.0gの化合物a-1(15mmol)、6.8gの化合物b-19(15mmol)、0.17gの酢酸パラジウム(II)(0.75mmol)、0.64gのSPhos(1.5mmol)、3.7gのナトリウムtert-ブトキシド(3.9mmol)、及び77mLのトルエンを反応器内に導入し、混合物を1時間の間還流した。反応溶液を室温に冷却し、次に、溶媒を回転蒸発器によって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して1.5gの化合物C-72(収率:14%)を得た。
【0062】
実施例において調製される化合物の物理的性質が以下の表1に示される。
【0063】
【0064】
以下に、式1によって表される化合物を含むことによって有機発光ダイオードデバイス(OLEDデバイス)の駆動電圧、発光効率、及び寿命性質を改良することができるかどうか考察される。しかしながら、以下の実施例は、本開示の化合物を含むOLEDデバイスの特性を説明することを意図し、本開示は、それに限定されない。
【0065】
デバイスの実施例1~14:本開示によるOLEDデバイスの製造
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDデバイスを以下のように製造した。OLEDデバイス用のガラス基板(ジオマテック株式会社、日本国)上の透明電極酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコーンでの超音波洗浄にかけ、次いでイソプロパノール中に貯蔵した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を前記真空蒸着装置のセルに導入し、次に前記装置のチャンバー中の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して、上記導入された物質を蒸発させ、それによりITO基板上において、90nmの厚さを有する第1正孔注入層を形成した。化合物HI-2を次に前記真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それにより第1正孔注入層上において、5nmの厚さを有する第2正孔注入層を形成した。化合物HT-1を前記真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それにより第2正孔注入層上において、10nmの厚さを有する第1正孔輸送層を形成した。以下の表2に示される第2正孔輸送層(補助層)化合物を前記真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、それにより第1正孔輸送層上において、60nmの厚さを有する第2正孔輸送層(補助層)を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、次いで発光層を以下の通り蒸着した。化合物H-1をホストとして真空蒸着装置の1つのセルへ導入し、化合物D-39をドーパントとして別のセルへ導入した。2つの物質を蒸発させ、ドーパントとホストとの総量を基準として2重量%のドープ量(ドーパントの量)で蒸着させて、第2正孔輸送層上において、40nmの厚さを有する発光層を形成した。化合物ET-1及び化合物EI-1を次に別の2つのセルに導入し、1:1の速度で蒸発させ、蒸着させて、発光層上において、35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。次に、化合物EI-1を、電子輸送層上において、2nmの厚さを有する電子注入層として蒸着させた後、80nmの厚さを有するAlカソードを電子注入層上に別の真空蒸着装置によって蒸着させた。このようにして、OLEDデバイスを作製した。
【0066】
比較例1~比較例7:本開示によらないOLEDデバイスの製造
以下の表2に示される化合物を第2の正孔輸送層のために使用すること以外、デバイスの実施例1の場合と同じ方法でOLEDデバイスを製造した。
【0067】
デバイスの実施例1~14及び比較例1~7で使用した化合物は、以下の通りである。
【化39】
【0068】
さらに、駆動電圧、発光効率、及び1,000ニトの輝度におけるCIE色座標、並びにデバイスの実施例1~14及び比較例1~7において製造されるOLEDデバイスの5,000ニトの輝度及び定電流において輝度が100%から99%に減少するためにかかる時間(寿命;T99)が以下の表2において提供される。
【0069】
【0070】
デバイスの実施例1~14並びに比較例1~7の第2の正孔輸送層に含まれる化合物のLUMO、HOMO及び三重項エネルギー値を以下の表3に示す。本開示のHOMO及びLUMOエネルギー値はGaussian,Inc.のGaussian09のプログラムにおける密度汎関数理論(DFT)を使用することによって測定されたが、それに限定されない。本開示の三重項エネルギー値は、Gaussian09のプログラムにおいて時間依存密度汎関数理論(TD-DFT)を使用することによって最低エネルギーを有する異性体の構造において測定されたが、それに限定されない。具体的には、デバイスの実施例及び比較例においてHOMO及びLUMOエネルギー値は、全ての可能な配座異性体の構造をB3LYP/6-31g*のレベルに構造最適化した後に配座異性体の計算されたエネルギーのなかから最低エネルギーを有する構造から抽出された。
【0071】
【0072】
表2及び3のデバイスの実施例1~14及び比較例1~4から、フルオレニルアミンがベンゾフルオレンの3位に結合する本開示の化合物が、フルオレニルアミンがベンゾフルオレンの2位に結合する、比較例1~4の化合物よりも高い三重項エネルギー値を有し、本開示の化合物を含むOLEDデバイスが比較例1~4のOLEDデバイスよりも高い発光効率及びより長寿命特性を示すことを見ることができる。これは、フルオレニルアミンがベンゾフルオレンの3位に結合する本開示の化合物が、フルオレニルアミンがベンゾフルオレンの2位に結合する化合物と比較してベンゾフルオレンのHOMO軌道の広がりの減少があり、分子間のホッピング距離が増加し、それによって正孔移動度が減少するためであるということは理解されたい。すなわち、フルオレニルアミンベンゾフルオレンの3位に結合する本開示の化合物が正孔移動度の低下があり、発光層の電荷平衡が改良され、それによって本開示の化合物を含むOLEDデバイスの発光効率が増加するということは理解されたい。
【0073】
また、表2及び3のデバイスの実施例1~14及び比較例5から、ベンゾフルオレンがフルオレニルアミンに結合する本開示の化合物が、ベンゾフルオレンがフルオレンを含有しないアミンに結合する比較例5の化合物よりも高いHOMOエネルギー値を有し、本開示の化合物を含むOLEDデバイスが、同様な発光効率を有しながら比較例5のOLEDデバイスよりも低駆動電圧及びより長寿命特性を示すことを見ることができる。
【0074】
さらに、表2及び3のデバイスの実施例1~14及び比較例6及び7から、ベンゾフルオレニルアミンを含有する本開示の化合物が、フルオレニルアミンを含有する比較例6及び7の化合物よりも低いLUMOエネルギー値を有し、本開示の化合物を含むOLEDデバイスが、より低駆動電圧又はより高い発光効率を有しながら、比較例6及び7のOLEDデバイスよりも長寿命特性を示すことを見ることができる。