(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】セラミック中のボールクレイを完全にまたは部分的に置換する組成物、製造方法およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C04B 33/24 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
C04B33/24
(21)【出願番号】P 2020511738
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(86)【国際出願番号】 US2018030856
(87)【国際公開番号】W WO2018204620
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-22
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519390014
【氏名又は名称】アクティブ・ミネラルズ・インターナショナル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACTIVE MINERALS INTERNATIONAL, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【氏名又は名称】大釜 典子
(72)【発明者】
【氏名】デニス・クレイ・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・パーセル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・ライマン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・キース・ミルズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダブリュー・キッチンズ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ペティット
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・カットライト
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102153329(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105884332(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
少なくとも1種の第四級アミンと、
固形重量分率(SWF)で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、
固形重量分率(SWF)で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと、
長石及び/又は霞石閃長岩と、
固形重量分率(SWF)で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の石英及び/又は少なくとも1種の分散剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の石英を含み、前記石英は75μm未満のD90を有する結晶性シリカである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の分散剤を含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の分散剤は、ポリアクリレート、アクリル誘導体、ポリカーボネート、ケイ酸ナトリウム、リン酸塩、ポリリン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、0.5%~4.0%の範囲のSWFの量で存在する請求項1
~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、スメクタイト中の少ないアタパルジャイトから選択される請求項1
~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、精製したアタパルジャイトおよび乾燥処理したアタパルジャイトから選択される請求項1
~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、アタパルジャイトのスラリーまたは未処理の粗製アタパルジャイトから選択される請求項1
~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記カオリンは、35%~45%の範囲のSWFの量で存在する請求項1
~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の全固形重量(w/w%)の量は、60%~90%の範囲である請求項1
~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
SWFで0.25%~4%の範囲の量で存在する、少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトをさらに含む請求項1
~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは精製したアタパルジャイトから選択され、前記少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトは乾燥処理したアタパルジャイト、未処理の粗製アタパルジャイトまたはアタパルジャイトのスラリーから選択される、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、60%~74%の範囲の全固形重量(w/w%)の量を有する水性懸濁液から選択される形態を有する、請求項1
~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、
水と、少なくとも1種の第四級アミンと、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、
長石及び/又は霞石閃長岩と、任意でボールクレイと、を混合する工程を含む組成物の製造方
法。
【請求項16】
前記混合する工程は、先に、水と、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、任意でボールクレイと、を混合
することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、少なくとも1種の石英及び/又は少なくとも1種の分散剤をさらに含み、
前記混合する工程は、さらに前記少なくとも1種の石英及び/又は少なくとも1種の分散剤を混合することを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
混合物はスラリーまたは懸濁液を形成するように攪拌され、前記組成物は水性スラリーまたは懸濁液の形態である、請求項
15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を用いてセラミック片を製造する方法であって、
水と、少なくとも1種の第四級アミンと、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、
長石及び/又は霞石閃長岩と、任意でボールクレイと、を混合して、第1の組成物を形成する混合工程であって、前記第1の組成物は、
水と、
少なくとも1種の第四級アミンと、
固形重量分率(SWF)で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、
固形重量分率(SWF)で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと、
長石及び/又は霞石閃長岩と、
固形重量分率(SWF)で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む、混合工程と、
前記組成物を、所定形状を有する湿潤セラミック片に形成する工程と、
乾燥セラミック片を形成するために前記所定形状を有する湿潤セラミック片を乾燥する工程と、
前記乾燥セラミック片を焼結する工程と、を含む、セラミック片の製造方法。
【請求項20】
その後に、焼結されたセラミック片を
ラップ仕上げ、研削、研磨および/またはグレージングによって仕上げる工程をさらに含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は、少なくとも1種の石英及び/又は少なくとも1種の分散剤を含み、
前記混合工程は、さらに前記少なくとも1種の石英及び/又は少なくとも1種の分散剤を混合することを含む、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
固形重量分率(solid weight fraction)で0.25%から5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと;固形重量分率で17%から50%の範囲の量で存在するカオリンと;任意で、固形重量分率で0%から25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む組成物である。他の方法によっても製造可能であるが、いくつかの実施形態では、組成物は構成成分(component ingredients)を混合することにより製造可能である。他の目的にも使用できるが、いくつかの実施形態では、組成物は、特にセラミック形成が、乾燥前、焼結前および任意で仕上げ前の成形に適した、固体、化学構造(chemistry)および粘度を有するとき、例えば鋳造、プレス、ろくろ成形(jiggering)またはジョリー(jollying)を介してセラミック片を製造するために使用される。
【0002】
粉末、顆粒(granules)もしくは小粒(prills)の形態の組成物;またはスラリーの形態の組成物;または、懸濁液、泥しょう(又はスリップ:slip)もしくはパグ(又はこね土:pug)を調製するために使用できるペーストまたは濾過ケークの形態の組成物であって、鋳造、プレス、ろくろ成形またはジョリー(jollying)でセラミック片にでき、低濃度のボールクレイを、少なくとも1つのカオリンと、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと;粉砕石英と;粉砕長石とともに、分散剤およびその他の添加物の添加とともに含み、またはボールクレイを含まない、組成物である。他の目的にも使用できるが、組成物は、泥しょうまたはパグを調製して、セラミック片を鋳造、プレス、ろくろ成形またはジョリーする(jolly)のに使用できる。他の方法でも製造可能であるが、組成物は、カオリン、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、および粗粘土、乾燥粘土もしくはスラリー粘土の形態のボールクレイ、またはこれらの任意の組み合わせを、石英、長石、分散剤およびその他の添加物の添加とともに混合することによって製造可能である。
【0003】
記載された発明を使用してセラミック片を形成するために鋳造、プレス、ろくろ成形またはジョリーされた、仕上げありまたは仕上げなしのセラミック本体の形態の組成物である。
【背景技術】
【0004】
ボールクレイは、20%~80%のカオリナイト、10%~25%のマイカ、6%~65%の石英およびより低い比率の様々な他の鉱物および炭質材料(亜炭(又は褐炭:lignite)など)からなる一群の粘土である。それらは時間の経過とともに層状に堆積したため、単一の堆積物内で鉱物組成および化学組成が大きく異なることがある。
【0005】
ボールクレイは、それらの可塑性のためにセラミック中で使用される。
【0006】
ボールクレイは、スラリーおよび泥しょう中に高密度の鉱物を懸濁するそれらの能力のため、泥しょう中で使用される。
【0007】
ボールクレイは希少であり(rare)、主にケンタッキー州、テネシー州、ミシシッピ州およびイングランドの一部で採掘されている。
【0008】
ボールクレイの1つの欠点は、完全な泥しょうを作製する前に1~7日間ボールクレイスラリーをエージング(又は時効処理:aging)することなく、安定した粘度を達成するのが難しいことである。
【0009】
ボールクレイの1つの欠点は、泥しょうの鋳造速度を制御して迅速な鋳造を達成することが難しいことである。
【0010】
ボールクレイの1つの欠点は、世界の多くの地域で地域資源を入手するのが難しいことであり、ボールクレイで作製されるセラミックのコストが上昇する。
【0011】
ボールクレイを使用する1つの欠点は、3~4の異なるボールクレイを2~3の異なるカオリンクレイとともに使用して、本体形成のプラスチック部分に必要なすべての特性のバランスを取る必要があることである。
【0012】
ボールクレイを置換する1つの難しさは、特に鋳造片および乾燥片の、可塑性(グリーン強度(又は成形体強度:green strength))を、粘度上昇および泥しょうの鋳造速度に影響を与えることなしに維持することである。
【0013】
ボールクレイを置換する1つの難しさは、可塑性(グリーン強度)を失わずにまたは焼成片の収縮率を変更せずに、焼成強度(fired strength)を維持することである。
【0014】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の両方は、代表的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0015】
本明細書に組み込まれ、および本明細書の一部を構成する図面に添付の表は、本発明の実施形態を示し、記載とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0016】
本明細書に組み込まれ、および本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、記載とともに、本明細書に記載の実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、成分のキー(component key)を示す。
【
図3】
図3は、観測量(observables)の理論値と測定値との比較を示す。
【
図4】
図4は、ボールクレイなしで製造された泥しょうの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
固形重量(又は固形重量パーセント濃度:percent solids by weight)(w/w%)は、組成物の所定の体積中の乾燥固形物の重量を、組成物の総重量で除して、100%を掛けたものである。w/w%は、次の式を使用して計算される。
w/w% = Ws/Wt×100% (1)
Wsは組成物中の乾燥固形物の重量であり、Wtは組成物の総重量である。例えば、組成物中の固形物の総重量(Ws)が75gで、組成物の総重量(Wt)が100gの場合、固形重量w/w%は75%である。
【0019】
組成物の成分の固形重量分率(SWFi%)は、組成物の所定の体積中の乾燥固形成分の重量を、組成物のその体積中の全固形物の総乾燥重量で除し、100%を掛けたものである。式は次のとおりである:
SWFi% = Ws,i/Ws×100% (2)
【0020】
Ws,iは、総重量Wsを有する組成物中の、乾燥固形成分の重量である。例えば、組成物中の固形物の総重量(Ws)が100gで、その2.0gがActiGel(登録商標)208(Ws,i)である場合、ActiGel(登録商標)208では、SMFActiGel(登録商標)208%=2.0%である。
【0021】
組成物は、固形重量分率で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと;固形重量分率で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと;任意で、固形重量分率で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ロシア、ペルミ、ポポフカ川近くのパリゴルスカヤ;ジョージア州、ディケーター郡、アタパルガス;モロッコのタフラウト;および、インド、アーンドラ・プラデーシュ州、ハイデラバード鉱床から選択された産地からの少なくとも1つの形態のアタパルジャイト。いくつかの実施形態では、アタパルジャイトは、ジョージア州ディケーター群のアタパルガスからのものである。いくつかの実施形態では、アタパルジャイトは、モンモリロナイト、ドロマイト、方解石、タルク、緑泥石、石英などの他の非アタパルジャイト鉱物と関連する。いくつかの実施形態では、アタパルジャイトは非アタパルジャイト鉱物を実質的に含まず、精製されたアルミノケイ酸マグネシウム水和物である。そのような精製されたアタパルジャイト(アルミノケイ酸マグネシウム水和物)は、いくつかの実施形態では、米国特許第6444601号および米国特許第6130179号の方法を使用することにより入手可能であり、これら特許の各々は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0023】
いくつかの実施形態では、アタパルジャイトは精製されたアルミノケイ酸マグネシウム水和物である。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、スメクタイト中の少ない(又は乏しい:impoverished)アタパルジャイトから選択される。そのような少ないもの(又は乏しいもの:impoverishment)は、いくつかの実施形態では、乾式処理によって得られる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、ジョージア州アタパルガス近くのミージス・クインシー地区のフラー土鉱床から選択された、乾式処理された、微粉砕の、ゲル化グレードのバルクMg-アルミノケイ酸塩粘土からのものである。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥処理されたアタパルジャイトは、スメクタイトの除去のために精製されていない。
【0025】
いくつかの実施形態では、乾燥処理されたアタパルジャイトは、MIN-U-GEL(登録商標)200、MIN-U-GEL(登録商標)400、MIN-U-GEL(登録商標G-35、MIN-U-GEL(登録商標)FG、FLORIGEL(登録商標)HY、およびMIN-U-GEL(登録商標)MBから選択される。各々がActive Minerals International社から入手できる。
【0026】
アタパルジャイトは、塩ゲルまたはフラー土と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、アタパルジャイトは、ゲルグレードおよび吸収グレードで作製されるケイ酸アルミニウムマグネシウム水和物である。
【0027】
いくつかの実施形態では、アタパルジャイトはMIN-U-GEL(登録商標)またはFlorigel(登録商標)である。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の形態のアタパルジャイトはMIN-U-GEL(登録商標)およびACTI-GEL(登録商標)208である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアタパルジャイトは、Liquid Acti-Gel(登録商標)208、またはジョージア州アタパルガス近くのミージス・クインシー地区のフラー土鉱床から選択されたアタパルジャイトのスラリーである。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアタパルジャイトは、Liquid Acti-Gel(登録商標)208、またはジョージア州アタパルガス近くのミージス・クインシー地区のフラー土鉱床から選択されたアタパルジャイトのスラリーである。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上の形態のアタパルジャイトは、アタパルジャイトの1つ以上の形態と水とからなるスラリーまたはプレゲル(pre-gel)の形態で加えられる。いくつかの実施形態では、プレゲルは、重量で18%~26%(w/w%)の1つ以上の形態のアタパルジャイトと残りの水とからなる。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアタパルジャイトは、ジョージア州アタパルガス近くのミージス・クインシー地区のフラー土鉱床から選択された未処理の粗粘土である。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、本明細書に記載のものなどの精製アタパルジャイト、および本明細書に記載のものなどの乾燥処理アタパルジャイトから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、SWFで1%~4.5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトをさらに含む。例えば、少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトの量は、1%~4%または0.5%~2%の範囲である。1つの第2の形態のアタパルジャイトが使用されるとき、そのSWFは少なくとも1つの形態のアタパルジャイトのSWFに追加される。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトは、本明細書に記載されるものなどの乾燥処理されたアタパルジャイトから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、SWFで1.0%~5.0%、または0.5%~4.0%、または0.25%~2.0%の範囲の量で存在する。
【0036】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、MBIが5未満(ASTM C-837-09を参照)で、グリット含有量(grit content)が1%未満の、不活性ケイ酸アルミニウム水和物粘土から選択される。いくつかの実施形態では、カオリンは、材料の0.25重量%以下が47μm超のサイズ、または材料の0.12重量%以下が47μm超のサイズであるものから選択される。いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、MBI7~15またはMBI12~25の不活性ケイ酸アルミニウム水和物粘土から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、低表面積の不活性ケイ酸アルミニウム水和物粘土から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、バロイド鋳造速度(Baroid casting rate)が200g超で、表面積が10m2/g未満の、不活性ケイ酸アルミニウム水和物粘土から選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、6%未満が47μm超のサイズである粗製の未処理のカオリンから選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、浮遊(air-floated)カオリン粘土のActive Minerals International社のActi-Min(登録商標)の品目(line)から得られるものなどの浮遊カオリン粘土から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、硬質粘土および軟質粘土から選択される。いくつかの実施形態では、軟質粘土は浮遊カオリンである。いくつかの実施形態では、硬質粘土は強化粘土である。
【0042】
いくつかの実施形態では、カオリン粘土は、ACTI-MIN(登録商標)SA-1、ACTI-MIN(登録商標)CR、ACTI-MIN(登録商標)WC-5、ACTI-CAST(登録商標)CM、ACTI-CAST(登録商標)Coarse、ACTI-CAST(登録商標)AF、ACTI-MIN(登録商標)RP-2、ACTI-MIN(登録商標)RP-80、ACTI-MIN(登録商標)S1-R、ACTI-MIN(登録商標)FE、CHAMPION(登録商標)およびCROWN(登録商標)から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、カオリンは、SWFで32%~38%、または35%~40%、または38%~48%の範囲の量で存在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ボールクレイは、ケンタッキー州、テネシー州およびミシシッピ州の1つ以上の産地(sources)から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、ボールクレイは、SWFで2%~17%、または1%~5.0%、または7%~15%の範囲の量で存在する。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1つの液体をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの液体は水である。いくつかの実施形態では、液体は水および少なくとも1つの他の液体を含む。いくつかの実施形態では、水は、水の総体積に少なくとも1つの他の液体の体積を加えたものに対して80%v/vを超える量で存在する。いくつかの実施形態では、その量は90%v/v超または95%v/v超または99%v/v超である。いくつかの実施形態では、その量は、85%~95%v/vまたは96%~99%v/vの範囲である。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の液体は有機液体である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の液体は、水と混和性であるか、または少なくとも部分的に水と混和性である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の液体はアルコールである。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物はさらに石英または長石を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、石英は、75μm未満または45μm未満のD90を有する結晶性シリカである。いくつかの実施形態では、シリカは、石英砂、砂岩またはフリントボール(flint pebbles)から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、長石は、75μm未満または45μm未満のD90を有するナトリウム長石である。いくつかの実施形態では、長石は、カリウム長石、霞石閃長岩またはアプライトで代用してもよい。いくつかの実施形態では、長石は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)および/またはカルシウム(Ca)を含むアルミノケイ酸塩から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は分散剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、ポリアクリレートおよびアクリル誘導体またはポリカーボネートなどの有機物である。いくつかの実施形態では、分散剤は、ケイ酸ナトリウム、リン酸塩およびポリリン酸塩、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、ならびに炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの無機物である。いくつかの実施形態では、分散剤は、ケイ酸ナトリウム、ピロリン酸トリポリリン酸塩、四リン酸塩およびエサメタリン酸塩(esametaphosphate)から選択される。いくつかの実施形態では、分散剤はピロリン酸四ナトリウムTSPPから選択される。いくつかの実施形態では、組成物は分散剤を含まない。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のもの以外の添加剤を含む。いくつかの実施形態では、これらの添加剤は、分散剤、界面活性剤、結合剤、凝固剤、凝集剤およびpH調整剤から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態では、組成物は、ケイ酸ナトリウム、ピロリン酸トリポリリン酸塩、四リン酸塩およびエサメタリン酸塩の分散剤から選択されるものなどの分散剤をさらに含む。分散剤は、高固形分で低粘度を維持するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、分散剤はピロリン酸四ナトリウムTSPPである。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の第四級アミンをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第四級アミンは、それが可塑性を維持し、鋳造速度を増加させること、または高分散剤濃度の効果を打ち消すことを可能にする。
【0055】
第四級アミンは、工業用および家庭用の消毒剤として、または界面活性剤、柔軟剤および帯電防止剤として、または化粧品およびシャンプーなどのパーソナルケア用品中で一般的に使用されている。それらは、セラミック業界では、鋳造速度および可塑性の制御に使用されていなかった。
【0056】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第四級アミンは、以下の式のものから選択される:
【0057】
[N-R1R2R3R4]+X-
【0058】
Nは窒素であり、
【0059】
R1-R4は、C1-C50のアルキル基(C1(メチル)、C2(エチル)、C3(i-プロピルまたはn-プロピル)、C4、C5、C6、C8、C10、C12、C14、C16およびC18ならびに最大50炭素までの長いアルキル鎖)または6~14炭素原子を有し、C1-C18のアルキルスペーサーと任意に結合したアリール基(フェニル、ベンジル、エチルフェニル、C3-C18フェニルなど))から独立して選択され、
【0060】
X-は、塩化物、臭化物、酢酸塩、サッカリン酸塩などのアニオンである。
【0061】
いくつかの実施形態では、R1-R4は同じものである。いくつかの実施形態では、R1-R4は異なる。いくつかの実施形態では、R1-R4のいくつかは同じであり、他は異なる。
【0062】
いくつかの実施形態では、第四級アミンは、R1がベンジルであり、R2およびR3がメチルであり、R4がC8-C18であり、任意でさらにX-が塩化物である上記式のものから選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、第四級アミンは、塩化ベンザルコニウム、または塩化ジステアリルジメチルアンモニウムもしくは塩化n-アルキルジメチルベンジルである。
【0064】
いくつかの実施形態では、第四級アミンは、ババスアミドプロパルコニウムクロニド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザトニウム、グレープフルーツ種子抽出物、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、植物油第四級、クオタニウム-15、ステアルアルコニウム塩化物、ポリクアテルニウム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロニド、ベヘントリモニウムクロニド、メヘン硫酸ベヘントリモニウムから選択される。
【0065】
第四級アミンは、いくつかの実施形態では、それが組成物の鋳造速度を50%から150%まで増加させることを可能にする。
【0066】
第四級アミンは、いくつかの実施形態では、それが有機分散剤もしくは無機分散剤、または両方のタイプの分散剤を使用して組成物を低粘度に完全に分散させ、その後、許容できる鋳造速度と高い可塑性まで回復させることを可能にする。
【0067】
第四級アミンは、いくつかの実施形態では、それが物体の切断の容易さによって決定される可塑性の尺度を、従来のボールクレイ泥しょうを切断するときに観測されるのと同じ範囲にすることを可能にする。
【0068】
組成物は、いくつかの実施形態では、高圧で鋳造されるとき、十分に固まって、金型から取り外して数分以内に切断される。
【0069】
1つ以上の第四級アミンは、存在するとき、固形重量分率(SWF)で0.005~0.025%、または0.01~0.04%、または0.02~0.5%の範囲の量で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、無機凝固剤もしくは有機凝固剤、または無機凝固剤と有機凝固剤の両方の組み合わせなどの、1つ以上の凝固剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、有機凝固剤は、ポリアミン、ポリDADMAC、メラミンホルムアルデヒドおよびタンニンから選択される。いくつかの実施形態では、無機凝固剤は、硫酸アルミニウム(ミョウバン)、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PACl)、アルミニウムクロロハイドレート(ACH)、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄および塩化第二鉄から選択される。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、カチオン性凝集剤またはアニオン性凝集剤などの1つ以上の凝集剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、カチオン性凝集剤は、AETAC(N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド四級)またはMETAC(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド四級)およびアクリルアミドのコポリマーなどの、ポリマーおよびコポリマーから選択される。いくつかの実施形態では、アニオン性凝集剤は、アクリルアミドおよびアクリル酸のコポリマーなどの、ポリマーおよびコポリマーから選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上のpH調整剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、石膏、消石灰、硝酸アンモニウムおよび硫酸アルミニウムから選択される。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、水酸化ナトリウム、苛性ソーダ、消石灰、貝殻粉末(shell meal)、石灰石、焼石灰、ドロマイト、シュガービート石灰(sugar beet lime)およびケイ酸カルシウムから選択される。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、エプソム塩、塩化カルシウム、石灰硫黄、硫酸第二鉄、硫酸、酢酸、塩酸、硫黄および石膏から選択される。いくつかの実施形態では、中和剤は、石膏、消石灰、硝酸アンモニウムおよび硫酸アルミニウムから選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物は、水性懸濁液またはスラリー、パグ、ペースト、ケーク、粉末、顆粒、ペレットおよび小粒から選択される形態である。
【0074】
本明細書で使用されるように、懸濁液またはスラリーは、固体粒子が部分的または完全に分散しているペーストまたは液体である。
【0075】
本明細書で使用されるように、懸濁液は、固体粒子が分散している液体である。スラリーは流動性の懸濁液である。
【0076】
本明細書で使用されるように、泥しょうは、セラミック体の実質的にすべての成分が混合された液体である。泥しょうまたは懸濁液の固体粒子は、固体微粒子である。
【0077】
水性懸濁液のいくつかの実施形態では、液体は水である。いくつかの実施形態では、液体は水および少なくとも1つの他の液体を含む。水性懸濁液の実施形態では、水は、水の総体積に少なくとも1つの他の液体の体積を加えたものに対して80%v/v超の量で存在する。いくつかの実施形態では、その量は90%v/v超または95%v/v超または99%v/v超である。いくつかの実施形態では、その量は、85%~95%v/vまたは96%~99%v/vの範囲である。
【0078】
いくつかの実施形態では、水性懸濁液はスラリー、すなわち流動性である。
【0079】
本明細書で使用されるように、泥しょうは、セラミック体の実質的にすべての成分が混合された液体である。泥しょうまたは懸濁液の固体粒子は、固体微粒子である。
【0080】
いくつかの実施形態では、水性懸濁液は、60%~74%または65%~75%の範囲の全固形重量(w/w%)を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、組成物は、パグまたはペーストから選択される形態である。例えば、組成物を水(本明細書に記載するようなもの)および任意に少なくとも1つの他の液体(本明細書に記載するようなもの)と混合して、任意の押出の前に混和機(又はパグミル:pug mill)で加工可能なペーストを製造する。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、70%~90%または75%~85%の範囲の全固形重量(w/w%)の量であるパグ、ペーストまたはケークから選択される形態を有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、75%~90%(w/w%)の範囲の全固形重量(w/w%)の量であるパグの形態である。
【0084】
いくつかの実施形態では、組成物は、85~100%の範囲の全固形重量(w/w%)の量である粉末、顆粒、ペレットおよび小粒から選択される形態を有する。
【0085】
組成物は、混合することにより製造可能である。いくつかの実施形態では、組成物の成分が混合される。いくつかの実施形態では、混合は、リボンミキサー、セメントミキサー、ミューラーミキサーなどのドライミキサーなどのミキサーによって容易となる。
【0086】
いくつかの実施形態では、組成物の成分を撹拌して、水性スラリーまたは懸濁液の形態の組成物を形成する。
【0087】
いくつかの実施形態では、パグ、ケーク、粉末、顆粒、ペレットまたは小粒の形態の組成物は、最初に水中で混合され、その後、非プラスチック材料および必要に応じて他の材料が添加される;いくつかの実施形態では、パグ、ケーク、粉末、顆粒、ペレットまたは小粒の形態の組成物は2番目または最後に添加される。いくつかの実施形態では、組成物は、水またはスラリーへの添加後にエージングしない。添加順序は可変である。
【0088】
いくつかの実施形態では、スラリーの形態の組成物はエージングしない;いくつかの実施形態では、スラリーの形態の組成物は、他の材料の添加前に固形分濃度(w/w%)が低減される;いくつかの実施形態では、スラリーの形態の組成物は、他の材料のスラリーまたはペーストに添加される。添加順序は重要ではない。
【0089】
いくつかの実施形態では、組成物は、粉末粘土、液体もしくはスラリー、または未処理の粗粘土の形態の、1つ以上の形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを添加することにより調製される。いくつかの実施形態では、分散剤および他の材料は、液体またはスラリーの形態で添加される。
【0090】
いくつかの実施形態では、組成物はスラリーの形態である。例えば、スラリーの形態の組成物を製造する方法は、水、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリン、ボールクレイ、分散剤および他の材料を混合する工程を含み、混合する工程では、1500cP未満、または1600~2500cP、または1200~1800cPの粘度で均質な組成物を形成する。いくつかの実施形態では、混合する工程は、第2の形態のアタパルジャイトを混合することをさらに含み、スラリーの形態の組成物は、少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトを含む。
【0091】
これらは例示的な製造方法であり、本明細書に記載の任意の組成物は、本明細書に記載の成分を混合し撹拌することにより製造可能である。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は、パグミキサーに成分を添加してパグ、ペーストまたは顆粒を形成することにより調製される。
【0093】
いくつかの実施形態では、組成物は、スラリーを製造し、続いてフィルタープレスしてプレスケークを製造するか、または続いて噴霧乾燥して顆粒を製造するか、または続いてピン混合(pin mixing)して顆粒を製造することにより調製される。
【0094】
いくつかの実施形態では、スラリーの形態の組成物の保管は、8時間超の期間である。いくつかの実施形態では、保管は、8時間~7日の範囲の期間である。いくつかの実施形態では、保管は、3~6日または4~5日の範囲の期間である。いくつかの実施形態では、保管は輸送中の6~10週間である。
【0095】
いくつかの実施形態では、保管後に分散剤を添加することによりスラリー粘度が変化する。
【0096】
図1は表1を含み、それは表2~5の成分の略語のキー(Key)を与える。
【0097】
図2は表2を含み、それは、3つの処方の成分と、結果として生じるプラスチックおよび非プラスチック成分の比率とを示す。各成分は、主な酸化物の化学構造について蛍光X線(XRF)で測定された;LOIは1000°Cで決定され、可溶性SO
4はHachメーターを使用した光透過により決定された。
【0098】
個々の成分の化学構造を使用して完全な処方の化学構造を予測する独自のソフトウェアモデルを使用して、測定された酸化物の値と、予測された酸化物の値とを比較した。
【0099】
図3は表3を含み、それは、
図2の表2の3つの処方の、独自のソフトウェアによって予測された化学分析と、独立した実験(laboratory)により測定された化学分析(XRF)とを比較している。この比較に基づいて、独自のソフトウェアによって予測された酸化物の値は、測定値の妥当な代替と考えられる。
【0100】
図4は表4を含み、それは、表3の3つの処方で実証されるように、その全てが発明者らによって化学構造が互いに類似していると予測される様々な処方の泥しょうの特性を比較している。特性には、単一点のBETにより測定した乾燥混合物の表面積(m
2/g);10RPMで#2のブルックフィールドスピンドルで測定した固形分74%(w/w%)の泥しょうの粘度;試験された粘度での乾燥混合物のケイ酸ナトリウムの濃度(SWF);泥しょうを加圧ろ過した後のバロイドケーク(Baroid cake)のグラムでの重量(鋳造速度の尺度)が含まれる。
【0101】
例えば、対照Aと比較して、処方ATTA3およびY-1では同様の粘度が達成されたが、分散剤の必要性は大幅に低く、バロイドにより示される鋳造速度は大幅に高かった。
【0102】
組成物は、セラミック片の製造に使用できる。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物は、所定形状(又は輪郭が明確な形状:defined shapes)を有する湿潤セラミック片に形成される。例えば、ベース組成物は、所望のレベルの粘度、可塑性および成形性が得られるまで、水および任意に他の1つの液体に保存される(又は漬けられる:wet)(泥しょうまたはスラリーのオプションとして、例えば分散剤を含み得る)。いくつかの実施形態では、所定形状を有する湿潤セラミック片は、組成物を押し出すことにより形成される。いくつかの実施形態では、所定形状を有する湿潤セラミック片は、組成物をプレスすることにより形成される。いくつかの実施形態では、所定形状を有する湿潤セラミック片は、組成物をろくろ成形および/またはジョリーすることにより形成される。いくつかの実施形態では、所定形状を有する湿潤セラミック片は、組成物を鋳造することにより形成される。
【0104】
いくつかの実施形態では、所定形状を有する湿潤セラミック片は、乾燥セラミック片を形成するために乾燥可能である。いくつかの実施形態では、トンネル乾燥(tunnel drying)または周期的乾燥(periodic drying)を使用した乾燥セラミック片を形成するために、所定形状を有する湿潤セラミック片を乾燥させる。
【0105】
いくつかの実施形態では、乾燥セラミック片は、セラミック片を形成するために、加熱熱により焼結可能である。焼結は高密度化をもたらす。いくつかの実施形態では、加熱による焼結は、加熱による焼結の前に乾燥セラミック片を圧縮することを伴う。
【0106】
セラミック片は仕上げ可能である。いくつかの実施形態では、セラミック片は、ラップ仕上げ、研削、研磨、および/またはグレージング(又は艶出し加工:glazing)によって仕上げられる。いくつかの実施形態では、セラミック片は、ラップ仕上げ、研削、および/または研磨によって仕上げられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、釉薬(glaze)は焼結前に適用され(又は塗布され:applied)、亀裂またはひび割れを防ぐために焼結プロセス中に本体の割合(又は速度:rate)と同様の割合で収縮しなければならない。
【0108】
図5は表5を含み、表5は、様々な処方の石膏の型で鋳造されたロッドの特性を比較しており、その処方の全ては、
図3の表3の3つの処方で実証されるものと同様の化学構造を有すると発明者によって予測されている。特性には、グリーンMOR(又は成形体のMOR:Green MOR)および焼成MOR(又は焼成体のMOR:Fired MOR)であって、どちらも硬化サイクルの段階のpsi強度の測定値と;グリーン収縮(又は成形体の収縮:green shrinkage)と、全収縮(グリーン収縮と焼成収縮の合計)とが含まれる。
【0109】
例えば、処方T-MおよびX-7は、わずかに収縮が高い標準に比べて、より高いグリーン強度および焼成強度を提供する。
【0110】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用の泥しょう中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できるスラリーを混合することにより製造可能である。
【0111】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリー用に適したセラミックパグ中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できるスラリーを混合することにより製造可能である。
【0112】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用泥しょう中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できるパグまたはケークを形成することによって製造可能である。
【0113】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリーに適したセラミックパグ中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できるパグまたはケークを形成することによって製造可能である。
【0114】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用泥しょう中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できる粉末、顆粒、ペレットまたは小粒を形成することによって製造可能である。
【0115】
カオリン、ボールクレイ、少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、石英および/または長石を含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリーに適したセラミックパグ中のプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換できる粉末、顆粒、ペレットまたは小粒を形成することによって製造可能である。
【0116】
90%~100%(w/w%)の固形分を有する粉末、顆粒または小粒の形態;または、60%~78%(w/w%)の固形分を有するスラリーの形態;または、75%~85%(w/w%)の固形分を有するパグの形態の組成物であって、泥しょうのプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換することにより、エージング要件の低減を示すことができる組成物である。
【0117】
90%~100%(w/w%)の固形分を有する粉末、顆粒または小粒の形態;または、60%~78%(w/w%)の固形分を有するスラリーの形態;または、75%~85%(w/w%)の固形分を有するパグの形態の組成物であって、泥しょうのプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換することにより、粘度とチキソトロピーのより大きな安定性を示すことができる組成物である。
【0118】
90%~100%(w/w%)の固形分を有する粉末、顆粒または小粒の形態;または、60%~78%(w/w%)の固形分を有するスラリーの形態;または、75%~85%(w/w%)の固形分を有するパグの形態の組成物であって、泥しょうのプラスチックおよび非プラスチック成分の一部または大部分を置換することにより、従来の泥しょうと比較して同等以上の鋳造速度を示すことができる組成物である。
【0119】
本発明者が知るように、従来の泥しょうおよびパグは、ボールクレイとカオリンを約2:1;例えば、30%:15%;または34%:16%;または37%:15%のSWFの比率で含むプラスチック部分を、その他の粘土鉱物および分散剤とともに含んでいる。
【0120】
本発明者が知るように、従来の泥しょうおよびパグは、約3:7;例えば11%:38%;または10%:40%;12%:42%のSWFの比率で粉砕シリカおよび粉砕長石を含む非プラスチック部分を、他の鉱物とおよび添加物とともに含んでいる。
【0121】
本発明者が知るように、従来の泥しょうおよびパグは、約1:1のプラスチック対非プラスチックの比率;例えば51%:49%;または50%:50%;または52%:48%;または48%:52%のSWFのプラスチック対非プラスチックの比率で、分散剤、添加剤および他のプラスチックまたは非プラスチック鉱物の少量の添加とともに含む。
【0122】
泥しょう中の全固形物は、約65%~75%(w/w%)の固形分で存在する。泥しょうの用途には、衛生用品、電気磁器および一定の種類の食器の鋳造が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
パグまたはケーク中の全固形物は、約75%~85%(w/w%)の固形分で存在する。用途には、プレスタイル(pressed tile)および工芸品が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
カオリン、ボールクレイおよび少なくとも1つの形態のアタパルジャイトを含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用泥しょう中のプラスチック成分の一部または全体を置換できる混合スラリーである。
【0125】
少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリーに適したセラミックパグ中のプラスチック成分の一部または全体を置換できる混合スラリーである。
【0126】
少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用泥しょう中のプラスチック成分の一部または全体を置換できるパグまたはケークある。
【0127】
少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリーに適したセラミックパグ中のプラスチック成分の一部または全体を置換できるパグまたはケークである。
【0128】
少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを含む組成物は、いくつかの実施形態では、鋳造用泥しょう中のプラスチック成分の一部または全てを置換できる粉末、顆粒、ペレットまたは小粒である。
【0129】
少なくとも1つの形態のアタパルジャイト、カオリンおよびボールクレイを含む組成物は、いくつかの実施形態では、プレス、ろくろ成形またはジョリーに適したセラミックパグ中のプラスチック成分の一部または全てを置換できる粉末、顆粒、ペレットまたは小粒である。
【0130】
90%~100%(w/w%)の固形物を有する粉末、顆粒および小粒から選択された形態;または、60%~78%(w/w%)の固形物を有するスラリーの形態;または、75%~85%(w/w%)の固形物を有するパグの形態の組成物は、泥しょうのプラスチック成分を置換することにより、(1)エージング要件を減らすことができ、(2)粘度およびチキソトロピーの安定性を高めることができ、および/または(3)従来の泥しょうと比較して同等以上の鋳造速度を示すことができる。
【0131】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示された実施形態の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は非限定的であるとみなされ、本発明の真の範囲および思想は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
固形重量分率(SWF)で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、
固形重量分率(SWF)で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと、
固形重量分率(SWF)で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む組成物。
(態様2)
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、0.5%~4.0%の範囲のSWFの量で存在する態様1に記載の組成物。
(態様3)
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、スメクタイト中の少ないアタパルジャイトから選択される態様1に記載の組成物。
(態様4)
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、精製したアタパルジャイトおよび乾燥処理したアタパルジャイトから選択される態様1に記載の組成物。
(態様5)
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは、アタパルジャイトのスラリーまたは未処理の粗製アタパルジャイトから選択される態様1に記載の組成物。
(態様6)
前記カオリンは、35%~45%の範囲のSWFの量で存在する態様1に記載の組成物。
(態様7)
前記組成物中の全固形重量(w/w%)の量は、60%~90%の範囲である態様1に記載の組成物。
(態様8)
SWFで0.25%~4%の範囲の量で存在する、少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトをさらに含む態様1に記載の組成物。
(態様9)
前記少なくとも1つの形態のアタパルジャイトは精製したアタパルジャイトから選択され、前記少なくとも1つの第2の形態のアタパルジャイトは乾燥処理したアタパルジャイト、未処理の粗製アタパルジャイトまたはアタパルジャイトのスラリーから選択される、態様8に記載の組成物。
(態様10)
前記組成物は、水性スラリー、懸濁液、パグ、ペースト、ケーク、粉末、顆粒、ペレットおよび小粒から選択される形態である、態様1に記載の組成物。
(態様11)
前記組成物は、60%~74%の範囲の全固形重量(w/w%)の量を有する水性懸濁液から選択される形態を有する、態様1に記載の組成物。
(態様12)
前記組成物は、70%~90%の範囲の全固形重量(w/w%)の量を有するパグ、ケークおよびペーストから選択される形態を有する、態様1に記載の組成物。
(態様13)
前記組成物は、85%~100%の範囲の全固形重量(w/w%)の量を有する粉末、顆粒、ペレットおよび小粒から選択される形態を有する、態様1に記載の組成物。
(態様14)
少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、任意でボールクレイと、を混合する工程を含む組成物の製造方法であって、前記組成物は、
固形重量分率(SWF)で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、
固形重量分率(SWF)で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと、
固形重量分率(SWF)で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む製造方法。
(態様15)
混合物を製造するように、液体と、少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、任意でボールクレイと、を混合する工程を含む、態様14に記載の方法。
(態様16)
前記液体は水を含む態様15に記載の方法。
(態様17)
前記混合物はスラリーまたは懸濁液を形成するように攪拌され、前記組成物は水性スラリーまたは懸濁液の形態である、態様16に記載の方法。
(態様18)
前記液体は少なくとも1つの有機液体をさらに含む、態様15に記載の方法。
(態様19)
前記混合物はスラリーまたは懸濁液を形成するように攪拌され、前記組成物はスラリーまたは懸濁液の形態である、態様18に記載の方法。
(態様20)
少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、カオリンと、任意でボールクレイと、を混合して、第1の組成物を形成する混合工程であって、前記第1の組成物は、
固形重量分率(SWF)で0.25%~5%の範囲の量で存在する少なくとも1つの形態のアタパルジャイトと、
固形重量分率(SWF)で17%~50%の範囲の量で存在するカオリンと、
固形重量分率(SWF)で0%~25%の範囲の量で存在するボールクレイと、を含む、混合工程と、
前記組成物を、所定形状を有する湿潤セラミック片に形成する工程と、
乾燥セラミック片を形成するために前記所定形状を有する湿潤セラミック片を乾燥する工程と、
前記乾燥セラミック片を焼結する工程と、を含むセラミック片の製造方法。
(態様21)
その後に、焼結されたセラミック片を仕上げる工程をさらに含む、態様20に記載の方法。