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特許7206259無水物中間体を介して作製されたマルチアミンポリエステル分散剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】無水物中間体を介して作製されたマルチアミンポリエステル分散剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/00 20060101AFI20230110BHJP
   C08G 69/44 20060101ALI20230110BHJP
   C09K 23/16 20220101ALI20230110BHJP
【FI】
C08G81/00
C08G69/44
C09K23/16
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020516438
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 US2018051449
(87)【国際公開番号】W WO2019060278
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】62/560,317
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コールベック, エリオット
(72)【発明者】
【氏名】セトフォード, ディーン
【審査官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-174939(JP,A)
【文献】特表2001-510392(JP,A)
【文献】特表2009-531490(JP,A)
【文献】特表2008-536664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00-69/50,81/00-81/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の分散剤であって、
【化1】
式中、
MAはマルチアミン種であり
PE1は、アミド結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
カルボニル基は、前記PE1の末端基に由来し、窒素は前記MAに由来し、
PE2は、塩結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
脱プロトン化カルボン酸基は、前記PE2の末端基に由来し、プロトン化窒素は前記MAに由来し、
A1は、アミド結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合したC2~5カルボン酸残基であり、カルボニル基は、前記A1の末端基に由来し、窒素は前記MAに由来し、
A2は、塩結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合したC2~5カルボン酸残基であり、脱プロトン化カルボン酸基は、前記A2の末端基に由来し、プロトン化窒素は前記MAに由来し、
pおよびp’で表されるアミド結合対qおよびq’で表される塩結合の相対モル比が、5:95~50:50であり、
p+p’は、q+q’より大きいことはあり得ず、
pは常に1または1よりも大きく、p’は1または1よりも大きく、
qは常に1または1よりも大きく、q’は1または1よりも大きく、
p+p’+q+q’が4~2000である、分散剤。
【請求項2】
MAが、個またはそれより多くの窒素原子を有する非ポリマー性アルキルアミン、ポリビニルアミン、またはポリアリルアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の分散剤組成物。
【請求項3】
MAが、ポリエチレンイミンまたは修飾されたポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の分散剤組成物。
【請求項4】
p+qが平均で4~36である、請求項1、2または3に記載の分散剤。
【請求項5】
前記PE1が、式R-[OR-C(=O)]-のものであり、前記PE2が、式R-[OR-C(=O)]-Oのものであり、
式中、
は、H-またはRC(=O)-であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
は、1~25個の炭素原子を含む分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R-OC(=O)R-であ
は、2~30個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり
は、1~20個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
nは、3~43である、求項1~4のいずれかに記載の分散剤組成物。
【請求項6】
少なくとも10モル%前記R単位が、1~5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、グリコール酸、乳酸、カプロラクトンおよびバレロラクトンの組み合わせである)、請求項5に記載の分散剤組成物。
【請求項7】
少なくとも5モル%前記R単位が、4および/または5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、カプロラクトンまたはカプロラクトンバレロラクトンである)、請求項5または6に記載の分散剤組成物。
【請求項8】
少なくとも10モル%前記R単位が、6~17個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは親油性である)、請求項5~7のいずれか1項に記載の分散剤組成物。
【請求項9】
少なくとも5モル%前記R単位が、1または2個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、ラクチドまたはグリコール酸である)、請求項5~8のいずれか1項に記載の分散剤組成物。
【請求項10】
散剤調製する方法であって、
a)各鎖に単一のカルボン酸末端基および(平均して)3~43個のエステル繰り返し単位を有するポリエステルを調製するステップと、
b)2~5個の炭素原子の2つのカルボン酸分子の無水物である脱水剤と反応させることにより、前記ポリエステル上の少なくとも10モル%カルボン酸末端基を無水物官能基に変換するステップと、
c)前記ステップb)の反応生成物を100℃またはそれより低い温度マルチアミン種と反応させて、ンダントポリエステル鎖を有するマルチアミンを含む分散剤を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記カルボン酸基を無水物基に変換する前記ステップb)が、前記ポリエステルを100℃~199℃の温度無水酢酸、無水プロピオン酸、および無水酪酸の群から選択される脱水剤と反応させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
単一のカルボン酸末端基を有する前記ポリエステルが式
-[OR-C(=O)]-OH
のものであり、
式中、
は、H-またはRC(=O)-であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
は、1~25個の炭素原子を含む分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R-OC(=O)R-であ
は、2~30個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり
は、1~20個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
nは3~43である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも10モル%前記R単位が、1~5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、グリコール酸、乳酸、カプロラクトンおよびバレロラクトンの組み合わせである)、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも5モル%前記R単位が、4および/または5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、カプロラクトンまたはカプロラクトンバレロラクトンである)、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも10モル%前記R単位が、6~17個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは親油性である)、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも5モル%前記R単位が、1または2個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、ラクチドまたはグリコール酸である)、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
i)前記マルチアミン種またはマルチアミン種を含む前記分散剤の一級または第二級アミン基を(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、および/または第一級もしくは第二級アミンと反応して塩または共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換できる酸化種、ならびに/または(c)塩化剤(salification agent)と反応させるステップ、またはii)前記マルチアミン種または前記マルチアミン種を含む前記分散剤の第三級アミン基を四級化剤と反応させて、四級化アミン基を形成するステップをさらに含む、請求項12~1のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
i)前記マルチアミン種のアミン基上の基であって、ここで、前記基は、前記マルチアミン種の一級または第二級アミン基と(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応による(メタ)アクリレート、または第一級もしくは第二級アミンと反応して塩または共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換できる酸化種、もしくは(c)塩化剤との反応生成物である、基、または
ii)前記マルチアミン種のアミン基上の四級化アミン基
さらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の分散剤。
【請求項19】
粒子状固体を極性または非極性連続媒体中に分散させるために使用される、請求項1~9または18のいずれかに記載の分散剤。
【請求項20】
分散された粒子状固体、連続媒体、および前記粒子上の分散剤化合物を含むコーティング、塗料、インク、または配合ゴムもしくはプラスチックであって、前記分散剤が請求項1~9もしくは18のいずれかに記載の分散剤である、コーティング、塗料、インク、または配合ゴムもしくはプラスチック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水物中間体を介して複数のポリエステル鎖と反応したマルチアミン種(ポリエチレンイミンなどのポリアミン)の分散剤に関する。ポリエステルのカルボン酸鎖末端は、脱水により無水物基に変換された後、マルチアミン含有種と反応する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミン誘導分散剤はよく知られており、一般に非常に効果的な顔料分散剤である。これらの分散剤の立体安定化鎖の組成および分子量は、分散剤の溶解度とその物理的形態との両方にとって非常に重要である。ポリエステルコポリマーに基づく分散剤は、極性の異なる様々な非水性媒体に流動性およびより幅広い溶解性を提供できることがよく知られている。
【0003】
EP208041では、単酸官能ポリエステルをポリアミン、この場合はポリエチレンイミン(PEI)と120°Cで数時間加熱して、水の損失およびいくつかのアミド結合の形成を可能にする方法を開示しているが、全てのポリエステル鎖が、PEIに結合しているとは限らないため、塩結合/結合として残っているものもある。
【0004】
ポリエステルも含むポリエチレンイミンに基づく分散剤が、よく知られている。例としては、US6,197,877の100℃超でカルボン酸末端ポリエステルとPEIを反応させて、いくつかの塩結合を残しながら、いくつかのアミド結合を形成する「従来の」カップリングアプローチが挙げられる。
【0005】
US2010/0174046では、開始時の反応液中にポリアミン(この場合はPEI)を有し、開始剤としてアミン基を使用してラクトンを開環させることにより、ポリエステル鎖をその場で作製する方法を開示しており、これにより、主にアミド結合でポリアミンに結合したポリエステル鎖を有する分散剤が得られる。この反応は通常、125°Cを超える温度で実行され、ヒドロキシルカルボン酸がコモノマーとして使用されている場合、再び水の除去を伴い得る。
【0006】
US9,039,822では、乳酸(ラクチドではない)を使用して、最初にポリエステルを合成し、その後カップリングする「伝統的な」アプローチである。これらの薬剤は、セラミックインクジェット顔料に使用される。ポリエステルは、一端がカルボン酸で、他端が主に-OHであることに留意されたい。リシノール酸は、多くの場合、オレイン酸の含有率が低いため、例AおよびBで-H末端であるポリマーの割合は、おそらくわずかである。しかしながら、乳酸とのコモノマーとしてラクトンを含む例は、純粋に-OH末端である。
【0007】
しかしながら、これらの先行技術のプロセスは、いくつかの固有の欠陥を有し、反応容器からの水の除去は、効率的でなければならず、そうでなければ、反応は非常に遅くなり、次に、副反応が生じる可能性がある。これらの副反応には、ポリエステル鎖のエステル基の加水分解(ポリエステルを2つのより小さなポリエステル鎖に開裂すること)、またはポリアミンの第1級もしくは第2級アミン基と、ポリエステルのエステル官能基との反応(ポリエステルを2つのより小さなポリエステル鎖に開裂して、開裂したポリエステル部分のうちの1つをアミド結合を介してポリアミンに結合すること)が挙げられる。
【0008】
次に、先行技術の反応は、システムから水を最良に除去できるようにするために、100°C超、好ましくはより高い温度(140°C超など)で実行する必要がある(上記参照)が、この時点では、ポリアミンの遊離アミン基が、反応混合物内に存在し、そのため、こうした高温にさらされる。特にこれらの反応時間が長い場合、多くのポリアミンが高温になるとすぐに黒ずむので、白色塗料配合物のようないくつかの応用分野では、マイナスの結果をもたらす可能性がある。
【0009】
グラフト化コポリマーの合成中にポリアミンの劣化および黄変が少なくなるように、ポリエステルをより低い温度またはより温和な条件下でポリアミンにグラフト化できれば望ましいだろう。
インク、塗料、練り顔料、およびプラスチック材料などの多くの配合物には、粒子状固体を極性有機媒体または非極性有機媒体中に均一に分散させるための効果的な分散剤が必要である。顔料分散液は、様々なインクまたはコーティング配合物と相容性がなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第208041号明細書
【文献】米国特許第6,197,877号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0174046号明細書
【文献】米国特許第9,039,822明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの目的は、複数のポリエステル鎖と反応したポリアミン種に基づいて改良された新しい分散剤を作製することだった。US2010/0174046およびUS2014/0012036に記載されているように、従来のアプローチ(ポリアミンと反応したカルボン酸末端ポリエステル)と高温反応条件が使用されたグラフト化アプローチ(ラクトンのポリアミン開始重合)との両方によるポリエステルポリアミン分散剤の黄変についての懸念があった。
【0012】
別の目的は、望ましくない副反応を最小限に抑えることができ、ポリエステルポリアミン分散剤の分子量および構造をよりよく制御して、製品の一貫性を高め、分子量および微細構造の変動による製品のばらつきを少なくすることができるように、先行技術よりも制御された反応条件下でポリアミンにグラフト化されたポリエステル鎖を含むグラフト化コポリマーを調製することである。
【0013】
末端カルボン酸基を有するポリエステルをそれらのポリエステル酸無水物(無水酢酸などの低分子量モノカルボン酸無水物との脱水反応による)に変換すると、より低い温度(100°C未満など)でポリエステル無水物中間体を、ポリアミンの第1級および/または第2級アミン基と反応させて、ポリエステルのカルボキシル官能基とポリアミンのアミン官能基との間にアミドおよび塩結合を形成することができる。これにより、先行技術と比較して黄変が少ないポリエステルポリアミン分散剤が形成された。また、これらのより低い温度により、アミン原子とポリエステル鎖のエステル結合との間の反応がより少なくなり(ポリエステル鎖の切断がより少なくなり)、これは、ポリエステルが、ラクチドなどの非常に不安定なモノマーで構成される場合に最も顕著である。また、このプロセスにより、分散剤の形成時に水の存在が排除され、エステル加水分解(ポリエステル鎖の鎖の切断)およびより小さなポリエステル鎖の形成が最小化または排除される。
【0014】
本発明者らは、ポリアミンを非常に短い反応時間で、より低い温度、例えば、<100°Cなどにさらすだけの新しい方法を開発しており、その方法とは、アミン基とカルボン酸との反応からアミド結合を作製することにより、潜在的な水の形成を除去し、ポリエステルポリアミン分散剤を作製する反応条件が、大量の水の除去にあまり左右されないため、ポリエステルとポリアミンとの完全またはほぼ完全な反応を達成するための反応条件は、反応容器の寸法および形状にあまり左右されない。
【0015】
鎖切断の問題は、文献に開示されている場合でさえも、乳酸、ラクチド、グリコール酸、グリコリドモノマーを含む具体例が不足していることから明らかである。これらのモノマーは、不安定なカルボニル基を含むため、カプロラクトンおよび12-ヒドロキシステリン酸などの他のモノマーと比較して、鎖が切断しやすい傾向がある。
【0016】
一実施形態では、ラクチドがポリエステルに組み込まれ、その後、ポリエステルが、100°Cを超える温度(120°Cなど)でポリアミン種(PEIなど)と反応すると、ポリエステル鎖のエステル基で明らかな鎖の切断があり、これにより、分散剤が分散剤として良好に機能しなかったことがわかった。理論に拘束されることを望むものではないが、使用される反応条件下では、アミン基は、ポリエステル鎖のエステル結合とかなりの速度で反応して、鎖の切断を引き起こしたと予想される。また、ランダムな低分子量ポリエステル鎖を有する分散剤は、制御された分子量ポリエステル鎖を有する分散剤(特定の顔料を含む特定の溶媒で効率を最適化できる)と同様に機能しないことも予想された。
【0017】
一実施形態では、ラクチドなどの上記の不安定なモノマーがポリエステルに組み込まれると、それらを最初にポリエステル無水物に変換し、次に100°C未満の温度で短時間、ポリアミン種(PEIなど)と反応させることにより、ポリアミン種に結合できるということが見出された。この方法を使用すると、ポリアミン種に結合した所要長さのポリエステル鎖に及ぶ、鎖の切断が大幅に削減される。
【0018】
これらの反応から生じる分散剤は、様々な顔料および様々な媒体中の他の微粒子に良好な分散能力を示した。分散剤は、低レベルのヒドロキシル末端基(脱水剤との反応でヒドロキシル基が消費される傾向があったため)が特徴であり、アミンとの反応中に新しいヒドロキシル基を生成するための鎖切断が減少した。
【0019】
一実施形態では、カルボン酸末端ポリエステルの脱水によりポリエステル無水物を形成するために使用される反応物を、ポリエステル無水物中間体から除去してから、マルチアミン種と反応させることができる。
【0020】
一実施形態では、ポリアミン種への添加が行われ、それにより、より少ないまたはより大きな程度にそれを修飾するとき、ポリエステル無水物を形成するために使用される反応物が依然として存在し得る。2つのカルボン酸の揮発性無水物を使用してポリエステルの無水物を形成した場合、かつ揮発性カルボン酸またはカルボン酸の無水物が、マルチアミン種との反応の前に除去されない場合、それらはマルチアミン種と反応して、アミドまたは塩結合を形成することができる。好ましいカルボン酸または無水物は、揮発性で低分子量である傾向があり、分散剤の親水性/親油性を実質的に変化させないため、これは最終的な分散剤に有害であるとは予想されない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
簡潔にするために、発明の言語の説明の概要は、ここでは繰り返さない。分散剤の構造、実行可能と考えられる分散剤の変更、分散剤の作製方法、分散剤への反応前または後の修飾などについて記載していく。
【0022】
これらのポリエステルマルチアミン分散剤の黄変を減らす方法を発見しており、これらの興味深いラクチド(2つの乳酸単位の環化ダイマー)または乳酸含有ポリエステルコポリマーを鎖の切断を発生させずにPEIに結合させて、予想通りの性能レベルを有する分散剤に至った第2の実施形態である。
【0023】
ヒドロカルビルという用語は、一価の炭化水素基を指し、基内の炭素原子2個ごとまたは10個ごとに1個の酸素およびまたは窒素など、従来または特定の量で他のヘテロ原子(OおよびNなど)を必要に応じて含み得るが、好ましくは炭素および水素のみを含む。ヒドロカルビレンという用語は、二価の炭化水素基を指し、ヒドロカルビルで定義したようにOおよびNなどの他のヘテロ原子を必要に応じて含むことができる。
【0024】
以下の構造の分散剤であって、
【化1】

式中、
MAはマルチアミン種であり、望ましくは300~100,000g/モル、好ましくは600~50,000g/モルの数平均分子量(MW)を有し、
PE1は、アミド結合を介してマルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
カルボニル基はPE1の末端基に由来し、窒素はMAに由来し、
PE2は、塩結合を介してマルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
脱プロトン化カルボン酸基は、PE2の末端基に由来し、プロトン化窒素はMAに由来し、PE1およびPE2は、組成的に異なるポリエステル鎖の混合物であり得るが、一般にPE1およびPE2は類似のポリエステル鎖であるが、異なる方法で結合し(一方はアミド結合を介し、他方はカルボン酸基を有するアミンの塩を介して)、
A1は、アミド結合を介してマルチアミン種(MA)に結合したC2~5カルボン酸(好ましくはC2~3)の残基であり、カルボニル基は、A1の末端基に由来し、窒素はMAに由来し、
A2は、塩結合を介してマルチアミン種(MA)に結合したC2~5カルボン酸(好ましくはC2~3)の残基であり、脱プロトン化カルボン酸基は、A2の末端基に由来し、プロトン化窒素はMAに由来する、分散剤。
【0025】
pおよびp’で表されるアミド結合対qおよびq’で表される塩結合の相対モル比が、5:95~50:50であり、
p+p’は、q+q’より大きいことはあり得ず、
pは常に1または1よりも大きく、p’は1または1よりも大きく、
qは常に1または1よりも大きく、q’は1または1よりも大きく、
p+p’+q+q’は4~2000であり、より望ましくは、p+qは4~36であり、
p’+q’は少なくとも2または少なくとも4である。
【0026】
また、ポリエステル(PE1とPE2との組み合わせ)対マルチアミン種(MA)の重量比は、望ましくは2:1~26:1、より望ましくは2:1~25:1、好ましくは3:1~20:1であり、式1は、5重量%以下のA1とA2との組み合わせを含む。分散剤の数平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,500以上、特に3,000以上が好ましい。また、分散剤の数平均分子量が1,000,000g/モル未満であることが好ましく、より好ましくは500,000g/モル未満、および最も好ましくは250,000g/モル未満である。
【0027】
この分散剤は、3ステップのプロセスで作製されるのが望ましい。本発明により、カルボン酸末端ポリエステル鎖の無水物中間体を介して、複数のポリエステル鎖とポリアミンとのグラフト化コポリマーを形成するための方法がある。カルボン酸末端ポリエステルの無水物中間体を形成する反応は高温で生じ、酢酸、プロピオン酸、および酪酸からなる群から選択される低分子量C2~5カルボン酸の無水物を添加することにより促進され得る。
【0028】
ステップ1は、以下のように記載できる単官能酸ポリエステルの合成であり、
-[OR-C(=O)]-OH
式中、
は、H-またはRC(=O)-であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R-OC(=O)R-であり、必要に応じて最大50モル%、より望ましくは最大30モル%、好ましくは最大20モル%の単官能酸ポリエステル中のR単位(Rの全単位に基づく)が、ヒドロキシペンダント基または構造R-[OR-C(=O)]ポリエステル鎖とのエステル結合の酸素原子(ヒドロキシル基から誘導)を含み、(これは実施例の分散剤20に示されるため、ポリエステルは主に、分岐が、(O-R)のヒドロキシ分岐または置換型から誘導される、特定のエステルタイプの分岐エステル単位である数パーセント(最大20モル%、30モル%、または50モル%)の選択で示される単位であり)、
は、2~30個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、必要に応じて1つまたはそれより多くのエーテル結合を含んでもよく、
は、1~20個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
nは3~43である。
したがって、R-[OR-C(=O)]-OHは、500~4000のMWを有する単酸官能ホモまたはコポリエステルを表す。
【0029】
この単酸官能ポリエステルは、当業者に既知の任意の方法、特に、a)ポリエステル鎖延長を開始するために、必要に応じてモノカルボン酸の存在下で、ラクトンおよび/もしくはラクチドならびに/またはヒドロキシカルボン酸の重合か、b)分子量を制御し、ジヒドロキシポリエステルの形成を抑制するために、化学量論量のモノカルボン酸の存在下で、ジオールと二塩基酸または酸塩化物、無水物もしくはジアルキルエステルなどの、これらの誘導体との重合反応か、のどちらかを介する方法によって合成され得る。
【0030】
ポリエステル鎖を調製するために使用される好適なヒドロキシルカルボン酸ならびにラクトンおよびラクチドの例には、ヒドロキシ置換C2~30アルキレンカルボン酸、ヒドロキシ置換C4~30アルケニレンカルボン酸、ラクトンまたはこれらの混合物が挙げられる。好適なヒドロキシカルボン酸の具体例は、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、5-ヒドロキシバレリアン酸、12-ヒドロキシドデカン酸、5-ヒドロキシドデカン酸、5-ヒドロキシデカン酸、4-ヒドロキシデカン酸、10-ヒドロキシウンデカン酸、ラクチド、グリコリド、グリコール酸および乳酸である。ラクトンの例は、好ましくは、必要に応じてC1~4アルキル置換ε-カプロラクトン、必要に応じて置換されたC1~4アルキルδ-バレロラクトンおよびβ-プロピオラクトンである。また、ヒドロキシカルボン酸およびラクトンは、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などの同じ炭素範囲および置換のジヒドロキシ化合物、および特定された炭素範囲の同様のジヒドロキシカルボン酸を含むことができる。これらは、ポリエステル当たり1つのカルボン酸末端基を依然として有する分岐ポリエステルを形成し、本開示で教示されるように、カルボン酸基は無水物に変換され得る。
【0031】
上記の成分を使用して分散剤のポリエステル部分を作製すると、様々なR基が得られる。一実施形態では、Rは、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R-OC(=O)R-であり、Rは、2~30個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、必要に応じて1つまたはそれより多くのエーテル結合を含んでもよく、Rは、1~20個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、nは3~43である。
【0032】
別の実施形態にでは、少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)のR単位が、1~5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これらのRの割り当ては、グリコール酸、乳酸、カプロラクトン、およびバレロラクトンの組み合わせを表す)。別の実施形態では、少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)のR単位が、4および/または5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、カプロラクトンまたはカプロラクトンバレロラクトンを表す)。別の実施形態では、少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)のR単位が、6~17個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、親油性ヒドロキシカルボン酸を表す)。さらに別の実施形態では、少なくとも5モル%(より望ましくは少なくとも10モル%または20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)のR単位が、1または2個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、ラクチドまたはグリコール酸からの繰り返し単位を表す)。別の実施形態では、少なくとも前の4つの文の量の組み合わせを組み合わせて、分散剤の好ましいポリエステル部分を得ることができる。
【0033】
好適なジオールの具体例には、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シスおよびトランス1,2-および1,4-シクロヘキサンジメタノールなど、エーテル結合を有するジオール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールなど、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1000未満の分子量を有する、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの混合ブロックおよびランダムコポリマー(Pluronic(商標)およびリバースPluronic(商標)元BASF製)などが挙げられる。
【0034】
二塩基酸、ジエステルおよび無水物の具体例には、無水マレイン酸、無水コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸、ピメリン酸、ダイマー脂肪酸およびそれらの水素化型、ならびにシクロヘキサンジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0035】
a)ラクトンおよび/もしくはヒドロキシカルボン酸の重合、またはb)ジオールとジカルボン酸、または無水物、ジエステルおよび酸塩化物などのエステル形成性誘導体との縮合を開始するために使用されるモノカルボン酸の例には、C1~25カルボン酸が挙げられ、それは、飽和、不飽和、分岐、アルキルまたはアリールであり得、C1~4アルコキシまたはハロゲンで置換され得る。特定の例には、プロピオン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ラウリン酸、2-エチルヘキサン酸、9,11-および9,12-リノール酸、9,12,15-リノレン酸、アビエチン酸、メトキシ酢酸、2,2-ジメチルブタン酸およびカプロン酸が挙げられる。
【0036】
一実施形態におけるモノカルボン酸末端ポリエステルは、50~250℃の温度で、必要に応じてモノカルボン酸の存在下、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、ラクトンおよび/もしくはラクチドならびに/またはヒドロキシカルボン酸から調製される。一実施形態では、温度は、100℃以上または150℃以上である。最終生成物のいかなる炭化も最小限に抑えるため、温度は一般に200°C以下である。一実施形態では、最大20モル%、30モル%または50モル%のラクトン、ラクチド、およびヒドロキシカルボン酸の組み合わせの反応物が、ジヒドロキシカルボン酸である。
【0037】
不活性雰囲気は、周期表の任意の不活性ガスによって提供され得るが、一般的には窒素である。一実施形態では、反応は、金属アルコキシド、例えば、ジルコニウムブトキシド、テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートなど、有機酸の亜鉛塩、例えば酢酸亜鉛など、スズ触媒、例えば、塩化第一スズ、オクチル酸第一スズ、ジラウリン酸ジブチルスズもしくはモノブチルスズオキシド、または酸触媒、例えば、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などのエステル化触媒の存在下で実行される。
【0038】
ジオールおよび二酸を使用したポリエステル鎖の形成のための反応条件およびプロセスステップ。US5,760,257、カラム5を参照されたい。
【0039】
ステップ2は、以下の様式での低沸点無水物との反応を介した上記モノカルボン酸官能ポリエステルの無水物への転化であり、
2×R-[OR-C(=O)]-OH+RC(=O)OC(=O)R→R-[OR-C(=O)]-O-[C(=O)-RO]+2×RC(=O)OH、および/または
-[OR-C(=O)]-OH+RC(=O)OC(=O)R→R-[OR-C(=O)]-O-C(=O)R+RC(=O)OHであり、
、R、R、およびnは上記の通りである。
は、1~4個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素を含む、分岐鎖または直鎖炭化水素鎖である。
は、RC(=O)-またはRC(=O)-である。
【0040】
任意の単酸官能ポリエステルは、RがHであり、末端ヒドロキシル基がエステル基に変換され、RC(=O)-として記述され、それゆえに、ポリエステルの末端R基がR変化する理由であるという点に留意すべきである。
【0041】
このプロセスは、高温でモル過剰の低沸点無水物の存在下で単官能酸ポリエステルを混合することにより実行される。この温度は、例えばトラップまたはオープンポートを使用して、反応容器が揮発性物質を除去できる装置を備えている場合、低沸点無水物の沸点よりも最大15℃低くできるか、または装置が、例えば冷却器を使用して、あらゆる揮発性物質が戻されるようなものである場合、最大で低沸点無水物の沸点の温度であり得る。好ましい低温沸点無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、および無水酪酸からなる群から便利に選択される。
【0042】
1~24時間の混合後、残りの過剰な低沸点無水物およびあらゆるその関連する酸(反応容器からまだ除去されていない)を、例えばトラップまたはオープンポートの使用、および低沸点無水物の沸点よりも上昇させた温度により、反応装置が揮発性物質を逃がすことができるようにすることで除去できる。
【0043】
US,2411,567は、非ポリマー酸を別にして、無水酢酸を使用した酸の接合無水物の合成について教示している。
【0044】
ステップ3では、上記の合成された単官能酸ポリエステルの無水物をポリアミンと反応させて、以下の構造に示すように、ポリエステルとポリアミンとの間のアミドおよび塩結合の混合物を得る。
-[OR-C(=O)]-O-[C(=O)-RO]+(H-)N-MA’-N(-H)→R-[OR-C(=O)]-N(-H)m-1-MA’-N(-H)m+1-O-[C(=O)-RO]であり、mは1または2であり、かつ/または
2xR-[OR-C(=O)]-OC(=O)R+2x(H-)N-MA’-N(-H)→R-[OR-C(=O)]-N(-H)m-1-MA’-N(-H)m+1 OC(=O)R+R-[OR-C(=O)]-O-+N(-H)m+1-MA’-N(-H)m-1-C(=O)Rであり、
、R、R、およびnは、上記で定義され、(H-)N-MA’-N(-H)を使用して、MAマルチアミン種と、6~1500のN(-H)基を含む、図示される2つのN(-H)基のみとで表し、必要に応じて追加の無水物および/またはカルボン酸種と反応し得、mは、窒素原子、Nが第一級アミン基であるか第二級アミン基であるかによって、1または2である。
【0045】
この、アミンと末端無水物基との反応により、アミド結合またはカルボン酸-アミン塩の形成を、100°Cより低い反応温度で、10分のような短い反応時間で実行することができ、ポリアミンのアミンが、無水物と容易に反応するため、これは、IRおよび約1820cm-1での無水物ピークの消失によって確認できる。この反応温度および時間を制限する要因は、2つのポリマー(ポリエステルおよびポリアミン)の物理的形態であり、その後にそれらを効率的かつ完全に混合して均一な反応生成物を得る性能であり、必要に応じて反応が、好適な溶媒中で実行され得る。これらのより低い温度により、アミン原子とエステル結合との間の反応がより小さくなった(ポリエステル鎖の切断がより少なくなった)。
【0046】
MAはポリアミンであり、望ましくは300~100,000gモルの数平均分子量を有し、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、修飾ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、修飾ポリビニルアミンまたはこれらの混合物から選択される。一実施形態では、マルチアミン種の少なくとも70重量パーセント、80重量パーセント、90重量パーセントまたは95重量パーセントが、ポリエチレンイミンであることが好ましい。マルチアミン種は、500~600,000g/モル、より望ましくは約1000~200,000g/モル、好ましくは約1000~100,000g/モルまたは8000~100,000g/モルの、沸点上昇法分析による数平均分子量を有することが望ましい。
【0047】
一実施形態におけるポリアミンMAは、ポリ(C2-6-アルキレンイミン)および/またはポリエチレンイミンである。ポリアミンは、直鎖でも分岐していてもよい。直鎖ポリエチレンイミンは、例えば、Takeo SaegusaらによるMacromolecules,1972,Vol.5,page4470に記載のポリ(N-アシル)アルキレンイミンの加水分解により調製され得る。異なる分子量の分岐ポリエチレンイミンは、BASFおよび日本触媒から市販されている。異なる分子量のポリアリルアミンおよびポリ-(N-アルキル)アリルアミンは、日東紡績から市販されている。異なる分子量のポリビニルアミンは、三菱化成から入手可能である。ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから市販されており、ポリ(アミドアミン)デンドリマーは、Aldrich Chemical Co.から「Starburst」デンドリマーとして入手可能である。
【0048】
一実施形態では、ポリアミンMAは、その第一級および/または第二級アミノ基の一部と、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル、フェニルイソシアネートなどのイソシアネート、カプロラクトンおよびバレロラクトンなどのラクトン、無水コハク酸もしくは無水マレイン酸または無水フタル酸などの無水物、エチレンカーボネートなどの環状カーボネート、またはエチルアクリレートもしくは2-ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリレートと反応させることによって修飾させ得、一方、修飾ポリアミンの第一級および/または第二級アミノ基は、未修飾で依然としてアミンの形態であることを確保されている。
【0049】
一実施形態において、ポリアミンMAは、ポリエチレンイミンであり得、これは、NH単位のうちの1つまたはそれより多くのプロトンをC2~4アルキレンオキシ単位で置換することにより修飾され得る。ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物などのC2~4アルキレンオキシドを使用したアルコキシル化により修飾され得る。アルコキシル化ポリエチレンイミンの例は、BASFおよび日本触媒から市販されている。
【0050】
一実施形態において、式1の分散剤を特定の要求にその特性および適用性能を適応するためにさらに官能化することができる。以下のこれらの修飾反応は、以下に列挙する様々な試薬と、上記のステップ3でポリエステル無水物とまだ反応していないポリアミン種のアミンとの間で行われる。任意の残りのアミノ基の修飾は、当業者に既知の方法で起こり得る。このような修飾は、例えば、アミノ基が、顔料ペーストが組み込まれ、凝集を引き起こす結合剤系と反応する場合に好ましい。
【0051】
前述の修飾は、本発明の有利な実施形態であり、
a)ポリアミン種の残りの遊離第一級および第二級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くと、イソシアネート、ラクトン、無水物、エポキシド、環状カーボネート、または(メタ)アクリレートとの反応によって実現することができる。好適なイソシアネートの具体例には、フェニルイソシアネートが挙げられる。好適なラクトンの具体例には、カプロラクトンおよびバレロラクトンが挙げられる。ポリアミン種の残りの遊離第一級および第二級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くと無水物との反応が、US6,878,799および7,767,750に開示されている。好適な無水物の具体例には、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,8-ナフタル酸無水物、必要に応じてニトロまたはClおよびBrなどのハロゲン置換基で置換された、イサト酸無水物、トリメリット酸無水物、C1~20アルケニルおよびアルキルコハク酸無水物が挙げられる。ポリアミン種の残りの遊離第一級および第二級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くとエポキシドとの反応が、JP4031471に開示されている。好適なエポキシドの具体例には、スチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが挙げられる。好適な環状カーボネートの具体例には、エチレンカーボネートおよび2,2-ジメチルトリメチレンカーボネートが挙げられる。好適な(メタ)アクリレートの具体例には、エチルアクリレートおよび2-ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる;
b)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級または第三級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くと、モノもしくはポリカルボン酸、鉱酸、リンおよびポリオキソメタレート含有酸または強酸との塩化および/または反応。この目的に好適な試薬には、塩酸、酢酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸水素塩またはアリールスルホン酸が挙げられる。アミン系ポリアミン種の残りの遊離アミノ基のうちの1つまたはそれより多くと、モノもしくはポリカルボン酸またはリン含有酸との塩化および/または反応は、JP9157374、US2010/0017973およびUS2013/0126804に開示されている。好適なモノカルボン酸の具体例には、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、アラキジン酸、エルカ酸、ベヘン酸、メトキシ酢酸などの必要に応じて置換されたC1~50脂肪族モノカルボン酸、ヒマワリ油、菜種油、ヒマシ油およびオリーブ油などの天然源からの油に由来する脂肪酸の混合物、Baker Hughesから市販されている直鎖C25~50合成第一級酸である商標Isocarb(商標)(元Sasol製)、Unicid(商標)酸の入手可能な分岐アルキルカルボン酸、ならびに安息香酸、サリチル酸、およびナフトエ酸などの芳香族カルボン酸が挙げられる。好適なポリカルボン酸の具体例には、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸および酒石酸が挙げられる。好適なリン含有酸の具体例には、リン酸および亜リン酸が挙げられる。好適なポリオキソメタレート含有酸の具体例には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸およびケイモリブデン酸が挙げられる;
c)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級または第三級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くの酸化窒素への酸化;
d)ポリアミン種の残りの遊離第三級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くの四級化。これは、アルキル硫酸塩、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アラルキル、ハロカルボン酸エステル、シュウ酸アルキルまたはエポキシドを使用して達成できる。この目的に好適な試薬には、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、塩素、臭素、およびヨウ素などのハロゲン化メチル、シュウ酸ジメチル、酸存在下でのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、ならびにプロパン(またはブタン)スルトンが挙げられる;および
e)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級、または第三級アミノ基のうちの1つまたはそれより多くとMW150~3000の1つまたはそれより多くのモノアミノ反応性基末端ポリマー(複数可)との反応。カルボン酸末端ポリエステル、ポリエステルアミドおよびポリアミドポリマーの好適な例は、US4,224,212、4,861,380、5,700,395、5,760,257、6,197,877、8,202,935、JP4866255、JP8010601、JP9157361、WO2006/113258およびWO2007/039605に開示されている。カルボン酸末端ポリエーテルポリマーの好適な例は、JP4248207、US7,767,750、7,671,119、7,872,070、8,076,409および8,168,713に開示されている。リン酸、硫酸およびスルホン酸末端ポリエステルポリマーの好適な例は、US4,861,380および6,197,877に開示されている。(メタ)アクリレート末端ポリエステル、ポリエステルアミドおよびポリアミドポリマーの好適な例は、EP713894、JP3488001、JP2010-222522およびUS8,202,935に開示されている。(メタ)アクリレート末端ポリエーテルポリマーの好適な例は、US7,923,474およびJP2010-222522に開示されている。リン酸、硫酸およびスルホン酸末端ポリエーテル、ポリエーテル/ポリエステル、ポリエーテル/ポリウレタンおよびポリエーテル/ポリエステル/ポリウレタンポリマーの好適な例は、US5,130,463、5,151,218、6,111,054、6,310,123、7,595,416および8,202,935に開示されている。イソシアネート末端ポリエステルおよびポリエーテルポリマーの好適な例は、JP4031471、JP7149855およびWO2007/039605に開示されている。エポキシドまたはアセトアセトキシまたはシクロカーボネート末端ポリアクリレートポリマーの好適な例は、US5,100,969に開示されている。
【0052】
本発明の1つの目的は、最終組成物の改善された輝度を有する、色の濃さまたは他の着色特性を改善し、粒子状固体負荷を増加させ、かつ/または改善された分散体を形成できる化合物を提供することである。これは、粘度の低下、良好な分散安定性、粒径の減少および粒径分布の低下、ヘイズの低下、光沢の向上、および漆黒度の向上(特に組成物が黒の場合)した組成物を製造する間にも達成される。本発明の組成物(複数可)はまた、常温保存、および最終コーティングの変色/黄変の低減を提供する高温保存条件下で安定であり得る。
【0053】
本明細書の本発明のポリマーは、様々な極性および非極性媒体中の懸濁可能な顔料および微粒子などの様々な小粒子分散液用の分散剤として有用である。様々な微粒子、分散剤、および連続相の組成物は、インク、コーティング、塗料、ならびに着色インク、コーティング、および塗料用の練り顔料として有用である。
【0054】
したがって、分散剤を非極性媒体中で粒子状固体を分散させるために使用する場合、好ましくは、C7~17-アルカ(エン)イレン基を含有するヒドロキシカルボン酸のうちの1つまたはそれより多くが使用される。分散剤が、極性媒体中の粒子状固体を分散させるために使用することが望まれる場合、ヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンのうちの1つまたはそれより多く、および特に全てが、C1~6アルキレン基を含有することが好ましい。
【0055】
産業用途
組成物中に存在する粒子状固体は、関係する温度で有機媒体中に実質的に不溶性であり、その中で微粉化する形で安定化することが望ましい任意の無機または有機固体材料であり得る。粒子状固体は、粒状材料、繊維、小板の形態、または粉末の形態、多くの場合、吹き付けられた粉末の形態であり得る。一実施形態では、粒子状固体は顔料である。
【0056】
粒子状固体(通常、顔料または充填剤)は、直径が10ナノメートル~10ミクロン、または10ナノメートル~1ミクロン、2ミクロン、3ミクロンもしくは5ミクロン、または20ナノメートル~1ミクロン、2ミクロン、3ミクロンもしくは5ミクロンの光散乱測定により測定される平均粒径を有し得る。
【0057】
好適な固体の例は、溶剤インク用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤、充填剤、発泡剤および難燃剤;染料、特に分散染料;溶媒染浴用の蛍光増白剤および繊維助剤;インク、トナー、およびその他の溶媒塗布システム用の顔料;油性および逆エマルション掘削泥水用の固体;ドライクリーニング液中の汚れおよび固体粒子;金属;セラミック、圧電セラミック印刷、耐火物、研磨剤、鋳物、コンデンサ、燃料電池、フェロ流体、導電性インク、磁気記録媒体、水処理および炭化水素土壌修復用の粒状セラミック材料および磁性材料;有機および無機単分散固体;電池の電極用の金属、金属酸化物、および炭素、複合材料用の木材、紙、ガラス、鋼、炭素およびホウ素などの繊維;ならびに有機媒体中の分散液として適用される、殺虫剤、農薬、および薬剤である。
【0058】
一実施形態では、固体は、例えば、the Third Edition of the Colour Index(1971)および「Pigments」と題された章の、後続の改訂版およびその補足に記載された顔料の広く認識された部類のうちの顔料のいずれかの有機顔料である。有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントアントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、ベンゾイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド顔料、インダントロン、イソジベンゾアントロン、イソインダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キナクリドン、キノフタロン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテンおよびフタロシアニン系、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびにまた、酸性、塩基性および媒染染料のレーキの顔料である。カーボンブラックは、厳密には無機だが、その分散特性においてより有機顔料のように振る舞う。一実施形態では、有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジアゾ、インダントロン、アンタントロン(anthranthrones)、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレンおよびカーボンブラックである。
【0059】
無機顔料の例には、二酸化チタン、ルチル二酸化チタン、および表面被覆二酸化チタンなどの金属酸化物、黄色および黒などの異なる色の酸化チタン、黄色、赤、茶色および黒などの異なる色の酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、クロム酸亜鉛、およびマンガン、ニッケル、チタン、クロム、アンチモン、マグネシウム、プラセオジム、コバルト、鉄またはアルミニウム、プルシアンブルー、硫化水銀、ウルトラマリン、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、カルシウムと亜鉛とのモリブデン酸塩およびクロム酸塩のうちの2つまたはそれより多くの混合金属酸化物などのオキシ金属化合物、アルミニウムフレーク、銅、および銅/亜鉛合金などの金属エフェクト顔料、炭酸鉛およびオキシ塩化ビスマスなどの真珠光沢フレークが挙げられる。
【0060】
無機固体には、重質および沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、ホスホン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、天然水酸化マグネシウムまたは水滑石、沈降水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムヒドロペルオキシドまたはベーマイト、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩含有ナノクレイ、カオリン、モンモリロナイト含有ベントナイト、ヘクトライトおよびサポナイト、ボールクレイ含有天然、合成および膨張性、雲母、タルク含有白雲母、金雲母、鱗雲母および緑泥石、チョーク、合成および沈降シリカ、ヒュームドシリカ、金属繊維および粉末、亜鉛、アルミニウム、ガラス繊維、耐火繊維、カーボンブラック含有単層および多層カーボンナノチューブ、強化および非強化カーボンブラック、グラファイト、バックミンスターフラーレン、アスファルテン、グラフェン、ダイヤモンド、アルミナ、石英、パーライト、ペグマタイト、シリカゲル、木粉、木フレーク含有軟材と硬材、おがくず、粉末紙/繊維などの増量剤および充填剤、ケナフ、麻、サイザル、亜麻、綿、綿リンター、ジュート、ラミー、もみ殻または外皮、ラフィア、ガマ、ココナッツ繊維、コイア、アブラヤシ繊維、カポック、バナナ葉、カロ、クラワ、ヘネケン葉、ハラケケ葉、アバカ、サトウキビバガス、わら、竹片、小麦粉、MDFおよび同類のもの、バーミキュライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、発電所からの飛散灰、焼却された下水スラッジ灰、ポゾラン、高炉スラグ、アスベスト、クリソタイル、アンソフィライト、クロシドライト、珪灰石、アタパルジャイトおよび同類のものなどのセルロース繊維、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ケイ素-窒化アルミニウムと金属チタン酸塩との混合物などの粒状セラミック材料;遷移金属、多くの場合、鉄およびクロムの磁性酸化物、例えばガンマ-Fe、Fe、およびコバルトドープ酸化鉄、フェライト、例えばバリウムフェライトなどの粒状磁性材料;ならびに金属粒子、例えば、金属アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、パラジウム、および白金ならびにこれらの合金が挙げられる。
【0061】
他の有用な固体材料には、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、メラミンシアヌレート、酸化アンチモンおよびホウ酸塩などの難燃剤;「Industrial Microbial Agents」Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.13,1981,3rdEditionと題された章の表2、3、4、5、6、7、8および9に記載されているもののような殺生物剤または産業用微生物剤、ならびに殺菌剤、flutriafen、カルベンダジム、クロロタロニルおよびマンコゼブなどの農薬が挙げられる。
【0062】
一実施形態では、本発明の組成物中に存在する有機媒体は、プラスチック材料であり、別の実施形態では有機液体である。有機液体は、非極性または極性有機液体であり得る。有機液体に関して「極性」という用語により、“A Three Dimensional Approach to Solubility”by Crowley et al in Journal of Paint Technology,Vol.38,1966,page 269と題された論文に記載のように、有機液体が中~強い結合を形成できることを意味する。そのような有機液体は、一般に、上記の論文で定義されているように5またはそれより多くの水素結合数を有する。
【0063】
好適な極性有機液体の例は、アミン、エーテル、特に低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、アルコールおよびアミドである。このような適度に強い水素結合性液体の多数の具体例は、“Compatibility and Solubility” by Ibert Mellan (published in 1968 by Noyes Development Corporation) in Table 2.14 on pages 39-40と題する文献にあり、これらの液体はすべて、本明細書で使用される極性有機液体という用語の範囲に含まれる。
【0064】
一実施形態では、極性有機液体は、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸およびアルカノールのアルキルエステル、特に合計で最大6個の炭素原子を含む液体である。極性有機液体の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn-アミルケトンおよびシクロヘキサノンなどのジアルキルおよびシクロアルキルケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピルおよび酪酸エチルなどのアルキルエステル;エチレングリコール、2-エトキシエタノール、3-メトキシプロピルプロパノール、3-エトキシプロピルプロパノール、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-エトキシプロピルアセテートおよび2-エトキシエチルアセテートなどのグリコールならびにグリコールエステルおよびエーテル;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールおよびイソブタノール(2-メチルプロパノールとしても知られる)などのアルカノール、テルピネオールならびにジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのジアルキルおよび環状エーテルなどが挙げられる。一実施形態では、溶媒は、アルカノール、アルカンカルボン酸、およびアルカンカルボン酸のエステルである。一実施形態では、本発明は、水性媒体中に実質的に不溶性の有機液体に好適である。その上に、当業者は、有機液体全体が水性媒体中に実質的に不溶性であるという条件で、少量の水性媒体(グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルおよびアルコールなど)が、有機液体中に存在し得ることを理解するであろう。
【0065】
極性有機液体として使用できる有機液体の例は、インク、塗料および塗料ならびにインクなどの様々な用途で使用するためのものの調製に好適であるような皮膜形成樹脂である。このような樹脂の例には、Versamid(商標)およびWolfamid(商標)などのポリアミド、ならびにエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースおよびセルロースアセテートブチレート樹脂など、これらの混合物を含むセルロースエーテルが挙げられる。塗料用樹脂の例には、短油アルキド/メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミンホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミンホルムアルデヒド、長油アルキド、中油アルキド、短油アルキド、ポリエーテルポリオール、ならびにアクリルおよび尿素/アルデヒドなどの複数媒体樹脂が挙げられる。
【0066】
有機液体は、ポリオール、すなわち、2つまたはそれより多くのヒドロキシル基を有する有機液体であり得る。一実施形態では、ポリオールには、アルファ-オメガジオールまたはアルファ-オメガジオールエトキシレートが含まれる。
【0067】
一実施形態では、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基またはこれらの混合物を含む化合物である。非極性有機液体には、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全および部分的に飽和した6個またはそれより多くの炭素原子を含む、直鎖および分岐脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)ならびに天然非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、菜種油、アマニ油、テルペンおよびグリセリド)が挙げられる。
【0068】
一実施形態では、有機液体は、全有機液体に基づく極性有機液体の少なくとも0.1重量%、または1重量%またはそれより多くを含む。一実施形態では、有機液体は水を含まない。
【0069】
プラスチック材料は、熱硬化性樹脂であってもよい。本発明に有用な熱硬化性樹脂には、加熱、触媒作用、または紫外線、レーザー光、赤外線、陽イオン、電子ビーム、もしくはマイクロ波照射を受けると化学反応を起こし、比較的不溶解性になる樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の典型的な反応には、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシルを伴う反応、エポキシと、ルイス酸またはルイス塩基、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分、遊離基反応またはポリアクリレートとの反応、エポキシ樹脂とビニルエーテルとのカチオン重合、およびシラノールの縮合が挙げられる。不飽和樹脂の例には、1つまたはそれより多くの二酸または無水物と1つまたはそれより多くのジオールとの反応により作製されたポリエステル樹脂が挙げられる。このような樹脂は通常、スチレンまたはビニルトルエンなどの反応性モノマーとの混合物として供給され、しばしばオルトフタル酸樹脂およびイソフタル酸樹脂と呼ばれる。さらなる例には、ポリエステル鎖の共反応物としてジシクロペンタジエン(DCPD)を使用する樹脂が挙げられる。さらなる例にはまた、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとメタクリル酸などの不飽和カルボン酸との反応生成物が挙げられ、これは通常ビニルエステル樹脂と呼ばれるスチレン溶液として供給される。
【0070】
一実施形態では、熱硬化性複合材料または熱硬化性プラスチックは、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、スチレン中のポリエステル樹脂、ポリスチレン、またはこれらの混合物であり得る。
【0071】
ヒドロキシ官能基を有するポリマー(しばしばポリオール)は、アミノ樹脂またはポリイソシアネートと架橋するために熱硬化システムで広く使用されている。ポリオールには、アクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリオールが含まれる。典型的なアミノ樹脂には、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂およびグリコールウリルホルムアルデヒド樹脂が含まれる。ポリイソシアネートは、モノマー脂肪族ジイソシアネート、モノマー芳香族ジイソシアネートおよびそれらのポリマーを含む、2つまたはそれより多くのイソシアネート基を有する樹脂である。典型的な脂肪族ジイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。典型的な芳香族イソシアネートには、トルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。
【0072】
所望であれば、本発明の組成物は、他の成分、例えば、樹脂(これらが有機媒体をまだ構成していない場合)、結合剤、共溶媒、架橋剤、流動化剤、湿潤剤、沈降防止剤、可塑剤、界面活性剤、本発明の化合物以外の分散剤、保湿剤、消泡剤、へこみ防止剤、レオロジー調整剤、熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、光沢調整剤、殺生物剤および防腐剤を含み得る。
【0073】
組成物は、典型的には1~95重量%の粒子状固体を含み、正確な量は固体の性質に依存し、量は、固体の性質ならびに固体および極性有機液体の相対密度に依存する。例えば、固体が有機顔料などの有機材料である組成物は、一実施形態では、固体の15~60重量%を含むのに対して、固体が無機顔料、充填剤または増量剤などの無機材料である組成物は、一実施形態では、組成物の総重量に基づいて固体の40~90重量%を含む。
【0074】
有機液体を含む組成物は、分散液を調製するために既知の従来の方法のうちのいずれかによって調製することができる。したがって、固体、有機媒体、および分散剤は、任意の順序で混合することができ、その後、混合物は、例えば高速混合、ボールミル粉砕、バスケット粉砕、ビーズ粉砕、グラベル粉砕、サンド粉砕、摩耗研削、2ロールまたは3ロール粉砕、プラスチック粉砕などによって、固体の粒子を好適な粒径まで小さくするための機械的処理にかけられ、分散液が形成され得る。あるいは、固体を処理して、独立して、または有機媒体もしくは分散剤と、他の成分もしくは添加された成分とのどちらかと、撹拌した混合物とを混合し、その粒径を小さくして、組成物を提供してもよい。組成物はまた、乾燥固体を分散剤と共に研磨または粉砕し、次いで液体媒体を添加するか、または顔料フラッシングプロセスで液体媒体中の分散剤と固体とを混合することにより作製することができる。
【0075】
本発明の組成物は、液体分散液に特に適している。一実施形態では、このような分散組成物は、
a)0.5~80部の粒子状固体と、
b)0.1~79.6部の式1のポリマー/分散剤と、
c)19.9~99.4部の有機液体と、を含み、
すべての相対部は重量当たりであり、量(a)+(b)+(c)=100である。
【0076】
一実施形態では、成分a)は、0.5~30部の顔料を含み、このような分散液は、(液体)インク、塗料、および練り顔料として有用である。
【0077】
組成物が、粒子状固体および乾燥形態の式1の分散剤を含む必要がある場合、有機液体は一般に揮発性であるため、蒸発などの単純な分離手段によって粒子状固体から容易に除去できる。一実施形態では、組成物は有機液体を含む。
【0078】
乾燥組成物が、本質的に式(1)の分散剤および粒子状固体からなる場合、典型的には粒子状固体の重量に基づいて、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%または少なくとも1.0%の式1の分散剤を含む。一実施形態では、乾燥組成物は、それは粒子状固体の重量に基づいて、100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下または10重量%以下の式1の分散剤を含む。
【0079】
本明細書に開示されるように、本発明の組成物は、式1の化合物の存在下で粒子状固体が有機液体中で粉砕される練り顔料の調製に好適である。
【0080】
したがって、本発明のさらに別の態様によれば、粒子状固体、有機液体および式(1)のポリマーを含む練り顔料が提供される。
【0081】
典型的には、練り顔料は、練り顔料の総重量に基づいて、20~70重量%の粒子状固体を含む。一実施形態では、粒子状固体は、練り顔料の10重量%以上または20重量%以上である。このような練り顔料は、粉砕前または後に添加される結合剤を必要に応じて含んでもよい。
【0082】
一実施形態では、結合剤は、有機液体の揮発時に組成物を結合することができるポリマー材料である。
【0083】
結合剤は、天然および合成材料を含むポリマー材料である。一実施形態では、結合剤には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類、例えば、セルロース、ニトロセルロースなど、および天然タンパク質、例えば、カゼインなどが挙げられる。結合剤は、ニトロセルロースであってもよい。一実施形態では、結合剤は、粒子状固体の量に基づいて、100%超、200%超、300%超または400%超で組成物中に存在する。
【0084】
練り顔料中の任意の結合剤の量は、広い範囲にわたって変化し得るが、典型的には、練り顔料の連続/液相の10重量%以上、多くの場合20重量%以上である。一実施形態では、結合剤の量は、練り顔料の連続/液相の50重量%以下または40重量%以下である。
【0085】
練り顔料中の分散剤の量は、粒子状固体の量に依存するが、典型的には、練り顔料の0.5~5重量%である。
【0086】
本発明の組成物から作製された分散液および練り顔料は、エネルギー硬化性システム(紫外線、レーザー光、赤外線、陽イオン、電子ビーム、マイクロ波)が、モノマー、オリゴマーなど、または配合物に存在する組み合わせと用いられる非水性および無溶媒の配合物での使用に特に好適である。これらは、塗料、ワニス、インク、その他のコーティング材料およびプラスチックなどのコーティングでの使用に特に好適である。好適な例には、低、中、および高固体塗料、焼付けを含む一般的な工業用塗料、コイルおよび缶コーティング、粉末コーティング、UV硬化コーティング、木ワニスなどの2成分および金属コーティング塗料;フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版印刷もしくは凸版印刷、スクリーン印刷などのインク、および包装印刷用の印刷インク、コンティニュアスインクジェットと、サーマル、ピエゾおよび静電、相転移インクならびにホットメルトワックスインク、インクジェットプリンタ用インクを含むドロップ・オン・デマンドインクジェットと、を含むインクジェットなどのノンインパクト方式のインク、およびオーバープリントワニスなどの印刷ワニス;ポリオールおよびプラスチゾル分散液;非水性セラミックプロセス、特にテープキャスティング、ゲルキャスティング、ドクターブレード、押出および射出成形型プロセス、さらなる例としては、静水圧プレス成形用の乾燥セラミック粉末の調製時である場合もある;シート成形およびバルク成形コンパウンド、樹脂注入成形、引抜成形、ハンドレイアップおよびスプレーレイアッププロセス、マッチドダイ成形などの複合材料;注型用樹脂、化粧品、ネイルコーティングなどのパーソナルケア、日焼け止め、接着剤、液体トナーなどのトナー、プラスチック材料および有機発光ダイオード(OLED)デバイスを含むディスプレイ、液晶ディスプレイおよび電気泳動ディスプレイのカラーフィルターシステム用コーティング配合物剤などの電子材料、光ファイバーコーティング、反射コーティングまたは反射防止コーティングを含むガラスコーティング、導電性および磁気インクならびにコーティングなどの構成材料での使用が挙げられる。これらは、上記の用途で使用される乾燥粉末の分散性を改善するために、顔料および充填剤の表面改質に役立つ。コーティング材料のさらなる例は、Bodo Muller、Ulrich Poth、Lackformulierung und Lackrezeptur、Lehrbuch fr Ausbildung und Praxis、Vincentz Verlag、Hanover(2003)およびP.G.Garrat、Strahlenhartung、Vincentz Verlag、Hanover(1996)に記載されている。印刷インクの配合の例は、E.W.Flick,Printing Ink and Overprint Varnish Formulations-Recent Developments,Noyes Publications,Park Ridge NJ,(1990)および後続版に記載されている。
【0087】
一実施形態では、本発明の組成物は、1つまたはそれより多くの追加の既知の分散剤をさらに含む。
【0088】
以下の実施例は、本発明の例示を提供する。これらの実施例は網羅的ではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0089】
試薬
Sigma Aldrich製ラウリン酸
Sigma Aldrich製ε-カプロラクトン
Sigma Aldrich製δ-バレロラクトン
Sigma Aldrich製(L+D)-ラクチド
Sigma Aldrich製L-ラクチド
Jayant Agro Organics Limited India製リシノール酸
Sigma Aldrich製ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液、Sigma Aldrich製80重量%の1-ブタノール無水酢酸
日本触媒製Epomin SP018ポリエチレンイミン、MW1800
Sigma Aldrich製3-ジメチルアミノプロピルアミン
Sigma Aldrich製硫酸ジメチル
US6,197,877実施例198-これは、アミンジエタノールアミンを添加しないため、材料はその酸形態で存在することを除いて、米国特許第6,197,877号の実施例198に基づいて行われる。
Sigma Aldrich製オルトリン酸
Sigma Aldrich製3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート
Fisher Scientific製2-ブタノン
Fisher Scientific製無水酢酸
Sigma Aldrich製無水プロピオン酸
Sigma Aldrich製Dowanol MPA
Sigma Aldrich製無水フタル酸
Sigma Aldrich製硫酸ジメチル
Sigma Aldrich製アクリル酸エチル
日本触媒製Epomin SP012ポリエチレンイミン、MW1200
日本触媒製Epomin SP006ポリエチレンイミン、MW600
Sigma Aldrich製トリエチレンテトラミン
Sigma Aldrich製2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸
【0090】
ステップ1-ポリエステル1
ラウリン酸(696.64部)、ε-カプロラクトン(3562.51重量部)、およびラクチド(1747.09部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(41.80部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。7時間後、反応が停止して、34.05mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル1と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0091】
ステップ1-ポリエステル2
ラウリン酸(117.38部)、ε-カプロラクトン(281.24重量部)、バレロラクトン(246.72部)およびラクチド(352.82部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(7.01部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。7時間後、反応が停止して、36.97mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル2と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0092】
ステップ1-ポリエステル3
ラウリン酸(30.66部)、ε-カプロラクトン(314.28重量部)、およびラクチド(154.27部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(3.50部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。7時間後、反応が停止して、23.36mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル3と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0093】
ステップ1-ポリエステル4
ラウリン酸(130.24部)、ε-カプロラクトン(247.88重量部)、およびラクチド(121.72部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(3.50部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。7時間後、反応が停止して、76.32mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル4と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0094】
ステップ1-ポリエステル5
リシノール酸(252.28部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(0.76部)を投入し、温度を195°Cに上昇させた。14時間後、反応が停止して、33.64mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル5と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0095】
ステップ1-ポリエステル6
ラウリン酸(34.72部)、ε-カプロラクトン(178.1重量部)、およびL-ラクチド(87.3部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(2.10部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。7時間後、反応が停止して、30.21mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル6と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0096】
ステップ1-ポリエステル7
ラウリン酸(30.49部)、ε-カプロラクトン(171.1重量部)、およびL-ラクチド(57.03部)を反応容器に投入し、窒素下で100℃に加熱した。温度に達したら、ジルコニウムブトキシド溶液(0.78部)を投入し、温度を180°Cに上昇させた。18時間後、反応が停止して、37.49mgKOH/gの酸価を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、ポリエステル7と呼ぶカルボン酸末端ポリエステルである。
【0097】
ステップ1-ポリエステル8
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(7.76部)、ε-カプロラクトン(35.85部)、δ-バレロラクトン(31.45部)およびラウリン酸(10.49部)を反応容器に投入し、窒素下で120℃に加熱した。1時間後、ジルコニウムブトキシド溶液(0.26部)を投入し、温度を180℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、黄色の液体が得られたが、これは分岐ポリエステル2である。
【0098】
ステップ2-ポリエステル無水物1
ポリエステル1(250.02部)および無水酢酸(19.05部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物1と呼ぶ。
【0099】
ステップ2-ポリエステル無水物2
ポリエステル2(250.09部)および無水酢酸(20.15部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物2と呼ぶ。
【0100】
ステップ2-ポリエステル無水物3
ポリエステル3(85.75部)および無水酢酸(4.29部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物3と呼ぶ。
【0101】
ステップ2-ポリエステル無水物4
ポリエステル4(101.32部)および無水酢酸(16.91部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物4と呼ぶ。
【0102】
ステップ2-ポリエステル無水物5
ポリエステル5(144.5部)および無水酢酸(19.46部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物5と呼ぶ。
【0103】
ステップ2-ポリエステル無水物6
ポリエステル1(109.68部)および無水プロピオン酸(10.69部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で140℃に加熱した。さらに6時間後、温度を170℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物6と呼ぶ。
【0104】
ステップ2-ポリエステル無水物7
ポリエステル6(144.16部)および無水酢酸(9.50部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物7と呼ぶ。
【0105】
ステップ2-ポリエステル無水物8
ポリエステル7(209.17部)および無水酢酸(15.81部)を反応容器に投入し、反応容器にディーンおよびスタークトラップを備えて、窒素下で120℃に加熱した。さらに6時間後、温度を150℃に上昇させた。さらに17時間後、ディーンおよびスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。さらに1時間後、反応が停止して、注ぎ込まれて粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、上記のポリエステルの無水物末端型であり、ポリエステル無水物8と呼ぶ。
【0106】
ステップ2-ポリエステル無水物9
分岐ポリエステル8(60.86部)および無水酢酸(7.36部)を窒素下で反応容器に投入し、120℃に加熱し、4時間後に温度を150℃に上昇させて、反応液をさらに26時間撹拌して、黄色の液体の分岐ポリエステル無水物9を得た。
【0107】
ステップ3-分散剤1
ポリエステル無水物1(49.34部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(3.80部、70℃に予熱したもの)を投入した。1時間後、反応を停止し、25.2mgKOH/gの酸価および1489.15の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤1である。
【0108】
ステップ3-分散剤2
ポリエステル無水物1(37.50部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(12.50部、70℃に予熱したもの)を投入した。1時間後、反応を停止し、26.71mgKOH/gの酸価および413.96の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤2である。
【0109】
ステップ3-分散剤3
ポリエステル無水物1(30.72部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(1.50部、70℃に予熱したもの)を投入した。1時間後、反応を停止し、26.18mgKOH/gの酸価および2220.07の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤3である。
【0110】
ステップ3-分散剤4
ポリエステル無水物2(25.07部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(1.50部、70℃に予熱したもの)および2-ブタノン(53.58部)を投入した。1時間後、反応を停止し、9.51mgKOH/gの酸価および4412.13の塩基当量を有する低粘稠液体が得られたが、これは、分散剤4である。
【0111】
ステップ3-分散剤5
ポリエステル無水物3(35.57部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(2.74部、70℃に予熱したもの)を投入した。1時間後、反応を停止し、46.32mgKOH/gの酸価および1390.45の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤5である。
【0112】
ステップ3-分散剤6
ポリエステル無水物4(51.39部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次にEpomin SP018(3.95部、70℃に予熱したもの)を投入した。1時間後、反応を停止し、21.52mgKOH/gの酸価および1835.20の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤6である。
【0113】
ステップ3-分散剤7
ポリエステル無水物6(45.82部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したEpomin SP018(3.53部)を投入した。1時間後、反応を停止し、21.57mgKOH/gの酸価および1498.59の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤7である。
【0114】
ステップ3-分散剤8
ポリエステル無水物7(45.68部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したEpomin SP018(3.52部)を投入した。1時間後、反応を停止し、22.99mgKOH/gの酸価および4609.27の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤8である。
【0115】
ステップ3-分散剤9
分散剤1(97.49部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱したフタル酸無水物(1.95部)およびDowanol MPA(99.90部)を投入した。1時間後、反応を停止し、17.73mgKOH/gの酸価および3772.14の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤9である。
【0116】
ステップ3-分散剤10
分散剤1(101.78部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱した硫酸ジメチル(2.10部)Dowanol MPA(103.1部)を投入した。1時間後、反応を停止し、15.48mgKOH/gの酸価および4609.27の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤10である。
【0117】
ステップ3-分散剤11
分散剤1(98.72部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱したアクリル酸エチル(1.97部)を投入した。1時間後、反応を停止し、25.39mgKOH/gの酸価および1803.49の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤11である。
【0118】
ステップ3-分散剤12
分散剤1(98.03部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱したカプロラクトン(1.97部)およびDowanol MPA(99.92部)を投入した。1時間後、反応を停止し、13.95mgKOH/gの酸価および3647.37の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤12である。
【0119】
ステップ3分散剤13
分散剤1(92.54部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したUS6197877実施例198(1.95部)を投入した。1時間後、反応を停止し、27.87mgKOH/gの酸価および1727.16の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤13である。
【0120】
ステップ3-分散剤14
分散剤1(78.72部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱したオルトリン酸(85%w/w 1.55部)を投入した。1時間後、反応を停止し、30.25mgKOH/gの酸価および1818.48の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤14である。
【0121】
ステップ3-分散剤15
ポリエステル無水物5(49.17部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したEpomin SP018(3.78部)を投入した。1時間後、反応を停止し、16.96mgKOH/gの酸価および1181.82の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤15である。
【0122】
ステップ3-分散剤16
分散剤1(102.2部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルイソシアネート(2.04部)を投入した。1時間後、反応を停止し、23.39mgKOH/gの酸価および1868.63の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤16である。
【0123】
ステップ3-分散剤17
ポリエステル無水物2(40.02部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したEpomin SP012(3.10部)を投入した。1時間後、反応を停止し、33.39mgKOH/gの酸価および1388.84の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤17である。
【0124】
ステップ3-分散剤18
ポリエステル無水物8(39.32部)を反応容器に投入し、窒素下で70℃に加熱し、次に70℃に予熱したEpomin SP006(3.02部)を投入した。1時間後、反応を停止し、28.19mgKOH/gの酸価および1767.25の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤18である。
【0125】
ステップ3分散剤19
ポリエステル無水物8(33.00部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、次に70°Cに予熱したトリエチレンテトラミン(2.54部)を投入した。1時間後、反応を停止し、22.28mgKOH/gの酸価および1664.46の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、分散剤19である。
【0126】
ステップ3-分散剤20
分岐ポリエステル無水物9(40.84部)を反応容器に投入し、窒素下で70°Cに加熱し、その温度に達したら、Epomin SP-006(3.14部、70°Cに予熱したもの)を投入し、1時間撹拌した。この時間の後、生成物が注ぎ込まれて、27.75mgKOH/gの酸価および2307.36の無塩基当量を有する粘性黄色液体が得られたが、これは、分岐分散剤20である。
【0127】
比較例
比較例1
US6,197,877の実施例30の方法に基づいた。ポリエステル1(77.47部)を反応液に投入し、70°Cに加熱し、次にEpomin SP018(5.95部、70°Cに予熱したもの)を投入し、温度を120°Cに上昇させた。6時間後、反応が停止して、42.2mgKOH/gの酸価および2013.9の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、比較例1である。
【0128】
比較例2
ポリエステル5(15.28部)を反応液に投入し、70°Cに加熱し、次にEpomin SP018(1.18部、70°Cに予熱したもの)を投入し、温度を120°Cに上昇させた。6時間後、反応が停止して、20.00mgKOH/gの酸価および1338.14の塩基当量を有する粘稠液体/ペーストが得られたが、これは、比較例2である。
適用試験
適用試験試薬
Dowanol MPA-SigmaAldrich製
Regal Black 400R-Cabot製
3mmガラスビーズ-Sigmund Lindner製
トルエン-Fisher Scientific製
Photomer 4226-IGM resins製ジプロイレングリコールジアクリレート
Photomer 5429 - IGM resins製ポリエステルテトラアクリレート
Solsperse 22000-Lubrizol Ltd製黄色相乗剤
Irgalite Yellow D1115-BASF製Pigment yellow 13
Ebecryl EB 160Allnex製トリアクリレートモノマー
Ebecryl EB 657-Allnex製オリゴマー
光開始剤ブレンド-Speedcure EDB(5部)と、Speedcure ITX(3部)と、Ebecryl EB 160(8部)と、Ebecryl EB 40(0.5部)とDow Corning 57(0.5部)との混合物である。
Speedcure EDB-Lambson製
Speedcure ITX-Lambson製
Ebecryl EB 40-Allnex製
Dow Corning 57-Dow Corning製インク添加剤である
【0129】
適用結果
以下の表1に示す各分散剤(0.6部)を8ドラムのバイアルに添加して、Dowanol MPA(6.40部)を添加した。次いで、必要に応じて振とうおよび加熱することにより分散剤を溶解させた。分散剤が溶解したら、3mmガラスビーズ(17部)を添加し、続いてRegal Black 400R(3部)を添加した。次いで、バイアルを密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散液の流動性を、A~E(良好~不良)の任意の尺度を使用して評価した。
【表1】
【0130】
以下の表2に示す各分散剤(0.6部)を8ドラムのバイアルに添加して、トルエン(6.40部)を添加した。次いで、必要に応じて振とうおよび加熱することにより分散剤を溶解させた。分散剤が溶解したら、3mmガラスビーズ(17部)を添加し、続いてRegal Black 400R(3部)を添加した。次いで、バイアルを密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散液の流動性を、AからE(良好から不良)の任意のスケールを使用して評価した。
【表2】
【0131】
以下の表3に示す各分散剤(2.88部)を8オンスのジャーにPhotomer 4226(46.66部)とPhotomer 5429(15.56部)と共に添加した。次いで、必要に応じて振とうおよび加熱することにより分散剤を溶解させた。分散剤が溶解したら、Solsperse 22000(0.50部)をIrgalite Yellow D1115(14.40部)と併せて添加し、3mmガラスビーズ(250部)を添加した。次いで、ジャーを密封し、スカンデックス振とう機で4時間振とうして、練り顔料を得た。
【0132】
次いで、11.08部の各練り顔料を取り、バイアル中でEbecryl EB 160(4.72部)と、Ebecryl EB 657(0.80部)と、光開始剤ブレンド(3.40部)と共に混合して、インクを得た。次に、これらのインクを50℃のオーブンで1週間保存した後、オーブンから取り出し、その粘度をTA Instruments Discovery Hybrid HR-1レオメータによってせん断速度100/sで測定した。
【表3】
【0133】
ガードナー色試験
Lovibond Comparator 2000+を使用して、分散剤の色をガードナー色数に照らして測定し、結果を以下の表4に記録する。
【表4】
【0134】
適用結果 分散剤20
分散剤20(0.25重量部)をバイアルに添加して、Dowanol MPA(8.25部)を添加した。次いで、必要に応じて振とうおよび加熱することにより分散剤を溶解させた。分散剤が溶解したら、3mmのガラスビーズ(17部)を添加して、続いてHeligen Blue L7101F(1.5部)を添加した。次いで、バイアルを密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次いで、得られた分散液の流動性を評価し、Aと格付けした。
【0135】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「により特徴付けられる(characterized by)」と同義である移行性用語「含む(comprising)」は、包括的または無制限であり、追加の、列挙されていない要素、または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる(consisting of)」は、指定されていない任意の要素またはステップを除外し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、考慮されている組成物または方法の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の引用されていない要素またはステップを含めることを可能にする。
【0136】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明したが、本明細書を読めば、その様々な修正が当業者に明らかになることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るような修正を網羅することを意図していることを理解されたい。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
以下の構造の分散剤であって、
【化1】
式中、
MAはマルチアミン種であり、望ましくは300~100,000g/モル、好ましくは600~50,000g/モルの数平均分子量(MW)を有し、
PE1は、アミド結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
カルボニル基は、前記PE1の末端基に由来し、窒素は前記MAに由来し、
PE2は、塩結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合した500~4,000g/モルの数平均分子量(MW)のポリエステル鎖であり、
脱プロトン化カルボン酸基は、前記PE2の末端基に由来し、プロトン化窒素は前記MAに由来し、
A1は、アミド結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合したC 2~5 カルボン酸(好ましくはC 2~3 )の残基であり、カルボニル基は、前記A1の末端基に由来し、窒素は前記MAに由来し、
A2は、塩結合を介して前記マルチアミン種(MA)に結合したC 2~5 カルボン酸(好ましくはC 2~3 )の残基であり、脱プロトン化カルボン酸基は、前記A2の末端基に由来し、プロトン化窒素は前記MAに由来し、
pおよびp’で表されるアミド結合対qおよびq’で表される塩結合の相対モル比が、5:95~50:50であり、
p+p’は、q+q’より大きいことはあり得ず、
pは常に1または1よりも大きく、p’は1または1よりも大きく、
qは常に1または1よりも大きく、q’は1または1よりも大きく、
p+p’+q+q’が4~2000である、分散剤。
(項2)
MAが、3個またはそれより多くの窒素原子を有する非ポリマー性アルキルアミン、ポリビニルアミン、またはポリアリルアミンからなる群から選択される、上記項1に記載の分散剤組成物。
(項3)
MAが、ポリエチレンイミンまたは修飾されたポリエチレンイミンを含む、上記項1に記載の分散剤組成物。
(項4)
p+qが平均で4~36である、上記項1、2または3に記載の分散剤。
(項5)
前記PE1が、式R -[OR -C(=O)] -のものであり、前記PE2が、式R -[OR -C(=O)] -O のものであり、
式中、
は、H-またはR C(=O)-であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
は、1~25個の炭素原子を含む分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R -OC(=O)R -であるか、または最大50モル%の前記R 単位が、a)前記炭化水素鎖に共有結合した酸素原子のエステル結合を介して結合した前記構造R -[OR -C(=O)] -のエステル鎖、もしくはb)ヒドロキシル基をさらに含む、1~25個の炭素原子の炭化水素鎖を含むことができ、R 、R 、およびnは、前に定義した通りであり、
は、2~30個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、必要に応じて1つまたはそれより多くのエーテル基を含んでもよく、
は、1~20個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
nは、3~43である、先行する上記項のいずれかに記載の分散剤組成物。
(項6)
少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、1~5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、グリコール酸、乳酸、カプロラクトンおよびバレロラクトンの組み合わせである)、上記項5に記載の分散剤組成物。
(項7)
少なくとも5モル%(より望ましくは少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも20モル%または30モル%)の前記R 単位が、4および/または5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、カプロラクトンまたはカプロラクトンバレロラクトンである)、上記項5または6に記載の分散剤組成物。
(項8)
少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、6~17個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは親油性である)、上記項5~7に記載の分散剤組成物。
(項9)
少なくとも5モル%(より望ましくは少なくとも10モル%または20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、1または2個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、ラクチドまたはグリコール酸である)、上記項5~8に記載の分散剤組成物。
(項10)
事前に作製されたポリエステルをマルチアミン種と反応させることにより、分散剤を含むポリエステルを調製する方法であって、
a)各鎖に単一のカルボン酸末端基および(平均して)3~43個のエステル繰り返し単位を有するポリエステルを調製するステップと、
b)2~5個の炭素原子の2つのカルボン酸分子の無水物である脱水剤と反応させることにより、前記ポリエステル上の少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20%、30%、40%または50%)のカルボン酸末端基を無水物官能基に変換するステップと、
c)前記ステップb)の反応生成物を100℃またはそれより低い温度で(望ましくは30分~6時間)マルチアミン種と反応させて、その上にペンダントポリエステル鎖を有するマルチアミンを生成するステップと、を含む、方法。
(項11)
前記カルボン酸基を無水物基に変換する前記ステップb)が、前記ポリエステルを100℃~199℃の温度で(望ましくは2~18時間)無水酢酸、無水プロピオン酸、および無水酪酸の群から選択される脱水剤と反応させることを含む、上記項10に記載の方法。
(項12)
単一のカルボン酸末端基を有する前記ポリエステルが式
-[OR -C(=O)] -OH
のものであり、
式中、
は、H-またはR C(=O)-であり、
は、1~25個の炭素原子を含む、分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
は、1~25個の炭素原子を含む分岐鎖もしくは直鎖の、飽和もしくは不飽和炭化水素鎖または-R -OC(=O)R -であるか、または最大50モル%の前記R 単位が、a)前記炭化水素鎖に共有結合した酸素原子のエステル結合を介して結合した前記構造R -[OR -C(=O)] -のエステル鎖、もしくはb)ヒドロキシル基をさらに含む、1~25個の炭素原子の炭化水素鎖を含むことができ、R 、R 、およびnは、前に定義した通りであり、
は、2~30個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、必要に応じて1つまたはそれより多くのエーテル結合を含んでもよく、
は、1~20個の炭素原子を含む分岐鎖または直鎖の、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
nは3~43である、上記項10に記載の方法。
(項13)
少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、1~5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、グリコール酸、乳酸、カプロラクトンおよびバレロラクトンの組み合わせである)、上記項12に記載の方法。
(項14)
少なくとも5モル%(より望ましくは少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも20モル%または30モル%)の前記R 単位が、4および/または5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、カプロラクトンまたはカプロラクトンバレロラクトンである)、上記項12または13に記載の方法。
(項15)
少なくとも10モル%(より望ましくは少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、6~17個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは親油性である)、上記項12~14のいずれかに記載の方法。
(項16)
少なくとも5モル%(より望ましくは少なくとも10モル%または20モル%、好ましくは少なくとも30モル%)の前記R 単位が、1または2個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキル基である(これは、ラクチドまたはグリコール酸である)、上記項12~15のいずれかに記載の方法。
(項17)
i)前記マルチアミン種またはマルチアミン種を含む前記分散剤のもう1つの第一級または第二級アミン基を(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、および/または第一級もしくは第二級アミンと反応して塩または共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換できる酸化種、ならびに/または(c)塩化剤(salification agent)と反応させるステップ、またはii)前記マルチアミン種または前記マルチアミン種を含む前記分散剤の第三級アミン基を四級化剤と反応させて、四級化アミン基を形成するステップをさらに含む、上記項12~17のいずれかに記載の方法。
(項18)
分散剤として使用される上記項12~17のいずれかに記載の方法の反応生成物。
(項19)
コーティング、塗料、インクまたはプラスチック中の分散剤として使用される、上記項18に記載の反応生成物。
(項20)
i)前記マルチアミン種のもう1つの第一級または第二級アミン基と(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応による(メタ)アクリレート、または第一級もしくは第二級アミンと反応して塩または共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換できる酸化種、もしくは(c)塩化剤との反応生成物、またはii)四級化剤と反応して四級化アミン基を形成する第三級アミン基の反応生成物である、前記マルチアミン種のアミン基上にさらに含む、上記項1~9のいずれかに記載の分散剤。
(項21)
粒子状固体を極性または非極性連続媒体中に分散させるために使用される、上記項1~9または20のいずれかに記載の分散剤。
(項22)
分散された粒子状固体、連続媒体、および前記粒子上の分散剤化合物を含むコーティング、塗料、インク、または配合ゴムもしくはプラスチックであって、前記分散剤が、上記項12~17のいずれかに記載の方法によって入手される/入手可能であるか、または上記項1~9もしくは20に記載の分散剤である、コーティング、塗料、インク、または配合ゴムもしくはプラスチック。