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特許7206270ピストンシステム及びピストンシステムを使用する高圧ホモジナイザー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ピストンシステム及びピストンシステムを使用する高圧ホモジナイザー
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/02 20060101AFI20230110BHJP
   B01F 23/50 20220101ALI20230110BHJP
   B01F 25/44 20220101ALI20230110BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20230110BHJP
   F04B 15/02 20060101ALI20230110BHJP
   F16N 13/02 20060101ALI20230110BHJP
   F16N 39/02 20060101ALI20230110BHJP
   C08C 1/065 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
C08J3/02 D
B01F23/50
B01F25/44
B01F35/71
F04B15/02 Z
F16N13/02
F16N39/02
C08C1/065
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020523688
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018080476
(87)【国際公開番号】W WO2019092020
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】17200372.5
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリス,デイン
(72)【発明者】
【氏名】レッグ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ユセフ,アハメド アブエルフェトー
(72)【発明者】
【氏名】ローリー,ヴァーン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014104050(DE,A1)
【文献】特表2009-532616(JP,A)
【文献】特開昭60-250057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0244576(US,A1)
【文献】実開昭53-103902(JP,U)
【文献】特開2005-131568(JP,A)
【文献】特表2017-509758(JP,A)
【文献】米国特許第03573246(US,A)
【文献】実開昭51-136503(JP,U)
【文献】特開2015-081549(JP,A)
【文献】特表2020-500991(JP,A)
【文献】特表2020-537000(JP,A)
【文献】特表2020-537001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00 - 3/28
C08F 6/00 - 6/28
C08C 1/065
B01F 23/00 -23/80
B01F 25/00 -25/90
B01F 35/00 -35/95
F04B 9/00 -15/08
F61N 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー凝集体組成物を形成するのに使用するためのピストンシステムであって、
前記ピストンシステムの使用中に往復運動を生じるように構成及び配置されたピストンと、
前記ピストンの少なくとも第1の部分を受け取りかつガイドするように構成及び配置されたシリンダーと、
使用中に前記シリンダー内部に配置される前記ピストンの第1の部分の一部に潤滑媒体を供給するように構成及び配置された第1の供給チャネルと、
使用中に前記ピストンの第2の部分が前記シリンダーの外部にあるときに前記ピストンの第2の部分に冷却媒体を供給するように構成及び配置された第2の供給チャネルと、
エラストマー粒子を含むスラリーが供給されるスラリーチャンバーと
を備え、使用中に前記スラリーチャンバー内への前記ピストンの動きが前記スラリーチャンバーからスラリーを押し出す、ピストンシステム。
【請求項2】
前記スラリーチャンバーにエラストマー粒子を含むスラリーを供給するように構成及び配置された供給部をさらに備え、請求項1に記載のピストンシステム。
【請求項3】
前記エラストマー粒子が、ポリブタジエン粒子、ポリ(スチレンブタジエン)粒子、ポリ(アクリロニトリルブタジエン)粒子、及びポリブチルアクリレート粒子、並びにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1又は2に記載のピストンシステム。
【請求項4】
前記スラリーが、前記スラリーの全重量に基づき、少なくとも20重量%のエラストマー粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のピストンシステム。
【請求項5】
前記エラストマー粒子が、最大150nmのISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のピストンシステム。
【請求項6】
前記第1の供給チャネルが、少なくとも2つの入口分岐を含み、前記少なくとも2つの入口分岐の第1の入口分岐が、前記潤滑媒体の手動供給を可能にするように構成及び配置された第1の潤滑剤供給システムに接続する、請求項1~5のいずれか一項に記載のピストンシステム。
【請求項7】
前記少なくとも2つの入口分岐の第2の入口分岐が、前記潤滑媒体の自動供給を可能にするように構成及び配置された第2の潤滑剤供給システムに接続する、請求項6に記載のピストンシステム。
【請求項8】
前記潤滑剤がグリースを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のピストンシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのピストンシステムを含む高圧ホモジナイザー。
【請求項10】
前記ホモジナイザーがエラストマー粒子の平均粒径を増大させるように構成される、請求項9に記載の高圧ホモジナイザー。
【請求項11】
エラストマー凝集体組成物の製造方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のピストンシステムにおいて、エラストマー粒子を含むスラリーをスラリーチャンバーに導入するステップ、及び
開口部に前記スラリーを押し通して、エラストマー凝集体組成物を得るステップ
を含む、製造方法。
【請求項12】
連続プロセスである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エラストマー粒子が、ISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有し、前記エラストマー凝集体組成物が、前記エラストマー粒子の平均粒径より大きい平均粒径を有する凝集体を有する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーが、該スラリーの全重量に基づき、少なくとも20重量%のエラストマー粒子を含み、前記エラストマー粒子が、最大150nmのISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有する、請求項1113のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンシステムに関する。本発明は、さらに、そのようなピストンシステムを使用するエラストマー凝集体組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性コポリマーの分野において、1つ又は複数のエラストマー相及び1つ又は複数の熱可塑性相を含む特定のコポリマーは、有意な商業的及び技術的価値を有することが知られている。そのような複数相の存在によって、それぞれの相に存在する所望の特性の材料を単一ポリマー系に導入する手段が提供される。そのようなコポリマーは、非常に望ましい特性バランスを有することができ、それらは多種多様な用途に変換するために有用となる。例えば、そのようなコポリマーは、所望の衝撃強さ、引張強さ及び曲げ弾性率を含む機械的特性;加熱撓み温度などの熱的特性;射出成形による成形性などの加工特性;並びに表面光沢及び引掻抵抗などの光学的特性などの材料特性の望ましいバランスを示し得る。
【0003】
1つ又は複数のエラストマー相及び1つ又は複数の熱可塑性相を含むそのようなコポリマーは、例えば、コア-シェルコポリマーであり得る。本発明に関して、コア-シェルコポリマーは、熱可塑性材料のマトリックス中に分散されたエラストマー粒子を含むコポリマー、特に、熱可塑性材料のマトリックス中に分散されたエラストマー粒子を含み、熱可塑性材料の特定の部分がエラストマー粒子の表面と化学的に結合しているコポリマーとして理解されてよい。
【0004】
そのようなコア-シェルコポリマーは、例えば、特定のエラストマー粒子と特定のモノマーとを反応させることによって製造することができ、モノマーは、反応して熱可塑性材料を形成し、またエラストマー粒子と反応して、エラストマー粒子と化学的に結合した熱可塑性材料のポリマー構造を形成する。これによって、熱可塑性相を形成する熱可塑性材料がエラストマー相と適合性を有することが確実となる。そのような適合性は、エラストマー相と熱可塑性相との相分離が生じない溶融プロセスを可能にするものとして理解され得る。
【0005】
本発明に従ってエラストマー粒子を使用して製造され得るコア-シェルコポリマーの周知の種類は、ABSコポリマーとも呼ばれるアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーである。そのようなABSコポリマーは、例えば、ポリブタジエン粒子がエラストマー粒子として作用し、それがスチレン及びアクリロニトリルを含むモノマーを含む混合物と反応してABSコポリマーを形成し得る、乳化重合プロセスによって製造され得る。
【0006】
そのようなコア-シェルコポリマーの他の例としては、メタクリレートブタジエンスチレンコポリマー、アクリロニトリルスチレンブチルアクリレートコポリマー及びスチレンブチルアクリレートコポリマーが含まれる。
【0007】
そのようなコア-シェルコポリマーの材料特性の所望のバランスを達成するために、コア-シェルコポリマーの製造方法において使用されるエラストマー粒子が特定の平均粒径を有することが望ましい。しかしながら、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリルブタジエン)及びポリ(アクリル酸ブチル)などのエラストマーの製造方法は、一般に、そのような望ましい平均粒径未満である平均粒径を有するエラストマー粒子をもたらす。
【0008】
したがって、ABSコポリマーなどのコア-シェルコポリマーの製造において使用するのに望ましい平均粒径を有するエラストマー粒子を得るために、そのようなエラストマー粒子の製造方法から得られたエラストマー粒子を、平均粒径が増大するように修飾することが必要である。
【0009】
特許文献1は、粒径を縮小することに関する。少なくとも1つの均質化ユニットを有する流体物質のための均質化デバイスが開示され、均質化ユニットに配置されたピストンポンプデバイスは、デバイスの特に信頼性が高い運転を可能にすることを目的とする。均質化(ホモジナイズ)された生産物の粒子は、出発物の粒子よりも小さい。均質化された生産物は冷却のために使用される。
【0010】
そのようなエラストマー粒子の平均粒径を増大させるためのいくつかの既知の方法がある。例えば、最初のエラストマー粒子を形成するのに使用されたモノマーを使用して、そのエラストマー粒子にさらなる重合ステップを受けさせてもよい。これは、直接成長アプローチ(direct-growth approach)として知られている。この方法の不都合な点は、本発明によるコア-シェルコポリマーの製造において使用される所望の平均粒径を有するエラストマー粒子を製造するのに必要とされる重合時間が有意に長くなるということである。
【0011】
さらなる方法は、最初のエラストマー粒子を、例えばアクリル酸などの化学物質と反応させて化学的に凝集したエラストマー粒子を製造することによるなどの、化学的凝集である。しかしながら、この方法の不利益は、それがコア-シェルコポリマーの最終特性に影響し得る不純物を導入し得ることである。
【0012】
所望の平均粒径を有するエラストマー粒子を達成するための第3の方法は、最初のエラストマー粒子に、粒子が融合してエラストマー凝集体組成物を形成するような性質の圧力をかける、圧力凝集(pressure agglomeration)によるものである。そのような方法は、比較的高速にすることができ、かつエラストマー粒子中にいずれのさらなる不純物も導入しない。したがって、特に、ABSコポリマーなどの本発明によるコア-シェルコポリマーの製造における使用に適したエラストマー粒子を提供する目的のために、エラストマー粒子の平均粒径を増大させるのに望ましい方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】独国特許出願公開第102014104050号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
圧力凝集法は、エラストマーの粒子を含むコロイド分散液(スラリーとも呼ばれる)を、開口部に押し通すことを伴う。開口部にスラリーを押し通すために、典型的にはピストンシステムが使用される。ピストンシステムのピストンの往復運動は、ピストンシステムの構成部品、例えばパッキングナット、パッキングリング、及び例えば圧縮リングなどの弾性要素の摩耗につながる摩擦を引き起こし、周期的にこれら構成部品を交換することが必要となる。上記構成部品の交換頻度を減らすために、既存のピストンシステムは、ピストンシステムの使用中にピストンを冷却するために、ピストンにいずれかの適切な冷却媒体、例えば水を供給するための供給チャネルを有する。そのようなピストンシステムは、一部の状況では満足のいくものであるが、当該技術において、頻繁なメンテナンスを必要としないピストンシステムがなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書において、ホモジナイザー(例えば、高圧ホモジナイザー)での使用のためのピストンシステムであって、
-ピストンシステムの使用中に往復運動を生じるように構成及び配置されたピストンと、
-ピストンの少なくとも第1の部分を受け取りかつガイドするように構成及び配置されたシリンダーと、
-使用中にシリンダー内部に配置されるピストンの第1の部分の一部に潤滑媒体を供給するように構成及び配置された第1の供給チャネルと、
-使用中に、シリンダーの外部にあるピストンの第2の部分に冷却媒体を供給するように構成及び配置された第2の供給チャネルと
を備えたピストンシステムを開示する。
【0016】
また、ピストンシステム又は高圧ホモジナイザーを使用して、(好ましくは水中の)エラストマー粒子を含むスラリーを開口部に押し通して、エラストマー凝集体組成物を得るステップを含む、エラストマー凝集体組成物の製造方法も開示する。好ましくは、この方法は連続プロセスである。
【0017】
ピストンシステムは、使用中にシリンダー内部に配置されるピストンの第1の部分の一部に潤滑媒体、例えばグリースを供給するように構成及び配置された第1の供給チャネルを備えていてよい。ピストンシステムは、ピストンの第2の部分がシリンダーの外部にあるときに、使用中にピストンの第2の部分に冷却媒体、例えば水を供給するように構成及び配置された第2の供給チャネルも備える。
【0018】
このピストンシステム及び方法は、エラストマー凝集体組成物の製造の分野における特に厳しい問題を解決する。エラストマー凝集体組成物の製造方法において、運転中に少量のスラリーがピストンと圧縮リングとの間の小さな隙間に入る。ピストンによって動かされるスラリーは、例えば乳などとは異なって粘着性である(例えば、それは凝固する)。スラリーの粘着性の性質のため、それは隙間に残ってしまう。これは、ピストンシステムの構成部品、特に圧縮リングなどの弾性要素の摩擦及びより急速な劣化を引き起こす。さらに、システムの目詰まり及び粘着性スラリーの蓄積により、生産率の低下が引き起こされる。この方法が水中にエラストマー粒子を含むスラリーが連続的に開口部に押し通される連続プロセスである場合、これは特に重大な問題である。この方法は中断を必要とする可能性があり、かつ長い中断時間を引き起こす可能性がある。したがって、本明細書に開示されるピストンシステムは、特にエラストマー凝集体組成物、例えば粘着性スラリーの製造に有用である。
【0019】
潤滑媒体により摩擦が低減される。ピストンの往復運動は、それがシリンダーから出るときに潤滑媒体を引き戻し、ピストンの長さにわたり(第1の部分、第2の部分及び第3の部分にわたり)潤滑媒体を適用する。潤滑媒体をピストンに適用することができる。ピストンの第2の部分がシリンダーから出てスラリーチャンバーから離れて移動するとき(図3~4参照)、潤滑媒体はスラリーチャンバーから引き離される。ピストンがチャンバーに再び入るとき、潤滑媒体はピストンの第2の部分に適用される。
【0020】
冷却媒体、例えば水は、往復運動の摩擦から生じた熱を得たピストンを冷却する。冷却媒体はピストンの第2の部分にのみ適用されるため、適用可能な冷却媒体の量は制限されない。使用中、ピストンシステムの第2の部分はシリンダーから延出し、そして再びシリンダーに入る。
【0021】
冷却媒体は、ピストンから所定の距離離れた第2の供給チャネルの出口から適用される。第2の供給チャネルの出口は、シリンダーの外部に位置し、したがって、冷却媒体は、シリンダーの外部の第2の供給チャネルを出る。したがって、冷却媒体は、シリンダーの外部にあるピストンの部分に適用される。これは、熱放散を改善し、ピストンが、往復運動のたびにピストンシステムのシリンダーに再び入るときに常に冷却されることを確実にする。
【0022】
潤滑媒体の供給は、連続的であっても又は断続的であってもよい。一部の実施形態において、第1の供給チャネルは、少なくとも2つの入口分岐を含む。少なくとも2つの入口分岐の第1の入口分岐は、潤滑媒体の手動供給を可能にするように構成及び配置された第1の潤滑剤供給システムに接続可能である。潤滑媒体の手動供給を用いて、ピストンの往復運動の開始前に十分な量の潤滑媒体が利用可能となることを確実にすることができる。少なくとも2つの入口分岐の第2の入口分岐は、潤滑媒体の自動供給を可能にするように構成及び配置された第2の潤滑剤供給システムに接続可能である。
【0023】
高圧が利用されるが、潤滑媒体が生産物中に入らないことが保証される。潤滑媒体が反対方向に押し込まれるため、生産物の汚染が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、冷却剤及び潤滑剤の両方として水が使用される圧力凝集のためのピストンシステムの一例の概略図である。
図2図2は、圧力凝集のためのピストンシステムの別の例の概略図である。
図3図3は、ピストンの往復運動を開始する前の図2のピストンシステムの概略図である。
図4図4は、ピストンの往復運動が開始され、かつ冷却媒体が適用された場合の図2のピストンシステムの概略図である。
図5図5は、開口部にスラリーを押し通す、ピストンストロークによる運転中の図2のピストンシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を、図2~5に例示される実施形態を参照することによってさらに説明する。図2~5は、ピストンシステム1の例示的かつ非制限的な実施形態の断面図を示す。ピストンシステム1は、ピストン2の少なくとも第1の部分15を受け取りかつガイドするように構成及び配置されたシリンダー3内に、ピストンシステム1の使用中に往復運動を生じるように構成及び配置されたピストン2を含む。シリンダー3には、ピストン2の第1の部分15をぴったりと収容するように構成及び配置されたパッキングナット4が設けられている。さらに、シリンダー3には、ピストン2の第1の部分15及び第3の部分17をぴったりと収容するように構成及び配置された2つ(又はそれ以上)のパッキングリング5、6が設けられている。圧縮リングとして作用する弾性要素7は、2つのパッキングリング5、6の間に配置される。
【0026】
図2~5に示されるピストンシステム1は、使用中にシリンダー3内部に配置されるピストン2の第1の部分15の一部10に潤滑媒体9、例えばグリースを供給するように構成及び配置された第1の供給チャネル8も備える。第1の供給チャネル8は、2つの入口分岐11、12を含む。第1の入口分岐11は、潤滑媒体9の手動供給を可能にするように構成及び配置された第1の潤滑剤供給システム(図示されず)に接続される。第2の入口分岐12は、潤滑媒体9の自動供給を可能にするように構成及び配置された第2の潤滑剤供給システム(図示されず)に接続される。
【0027】
図2~5に示されるピストンシステム1は、ピストンシステムの使用中にシリンダー3から出てそして再び入るピストン2の第2の部分16に、冷却媒体14、例えば水を供給するように構成及び配置された第2の供給チャネル13をさらに備える。すなわち、シリンダーはブロック全体の外に出て、そして冷却媒体がピストン2の上に適用される(例えば噴霧される)。好ましくは、冷却媒体は、閉鎖システムの一部、例えば冷却ブロックの一部ではない。スラリーは冷却媒体として使用されない。冷却媒体及びスラリーは異なる。
【0028】
図2は、使用中ではないピストンシステム1の断面図を示す。
【0029】
図3は、ピストン2の往復運動の開始前のピストンシステム1の断面図を示す。潤滑媒体9は、第1の供給チャネル8の第1の入口分岐11を介して手動で供給可能である。このようにして、ピストン2の往復運動の開始前に、潤滑媒体9の十分量が利用可能であることが保証される。潤滑媒体9は、シリンダー3内部に配置されたピストン2の第1の部分の一部10に提供される。
【0030】
さらに、冷却媒体14は、例えば、ピストン2の第2の部分16がシリンダー3の外部にあるときにピストン2の第2の部分16に供給される。これは手動又は自動で行うことができる。
【0031】
図4は、ピストン2の往復運動が開始して、ピストンを動かしてシリンダー3内に戻したときのピストンシステム1の断面図を示す。第2の供給チャネル13によって供給される冷却媒体14は、パッキングナット4を出るとき及び/又はパッキングナット4を通過してシリンダー3に再び入るときに、ピストン2の第2の部分16の上を流れる。このようにして、ピストン2は、運転中の摩擦から生じる熱から冷却される。冷却媒体14は、除去する必要がある熱の量に応じて、連続的又は断続的に供給することができる。
【0032】
さらに、潤滑媒体9は、第1の供給チャネル8の第2の入口分岐12を介して自動的に供給可能である。潤滑媒体9は、必要とされる潤滑の程度に応じて、連続的又は断続的に供給することができる。さらに、図3及び4は、ピストン2の第1の部分15の一部10に提供される潤滑媒体9が、パッキングナット4の方向に、すなわちエラストマー凝集体組成物から離れて、ピストン2の表面上に広がることを例示する。これは、矢印で示されるように、図3における潤滑媒体9を含む面積と図4における潤滑媒体9を含む領域の対比で示される。このようにして、潤滑媒体9によるエラストマー凝集体組成物の汚染を回避することができる。
【0033】
図5は、運転中のピストンシステム1の断面図を示す。冷却媒体14は、パッキングナット4を出るときにピストン2の第2の部分の上を流れ、運転中の摩擦から生じる熱が除去される。
【0034】
潤滑媒体9は、第1の供給チャネル8の第2の入口分岐12を介して自動的に供給される。潤滑媒体9は、必要とされる潤滑の程度に応じて、連続的又は断続的に供給することができる。さらに、図5は、潤滑媒体9がピストン2の表面全体に広がることを示す。しかしながら、第2のパッキングリング6からエラストマー凝集体組成物と接触するピストン2の終端部分へと延在するピストン2の表面は、実質的に潤滑媒体9が存在しないままである。したがって、潤滑媒体9によるエラストマー凝集体組成物の汚染を回避することができる。さらに、潤滑媒体がグリースである場合、それはピストンにかかり、汚染が抑制される。
【0035】
エラストマー粒子の粒径を増大させる方法は、(a)水中にエラストマー粒子を含むスラリーを提供するステップ、及び(b)開口部(aperture)にスラリーを押し通して、エラストマー凝集体組成物を得るステップを含む。すなわち、好ましくはピストンの第2の部分16がシリンダーを出るときに、スラリー供給部19がスラリー20をスラリーチャンバー18に供給する。ピストンが往復すると、ピストンの第2の部分16はシリンダーに再び入り、ピストンの第3の部分17はスラリーチャンバーに再び入り、スラリー20を加圧し、スラリーをスラリーチャンバーから押し出す(矢印21)。スラリー21は、ホモジナイザー23(例えば高圧ホモジナイザー)において開口部22に押し通され、スラリーチャンバーに入ったスラリー中のエラストマー粒子よりも大きい粒径を有するエラストマー凝集体組成物を形成することができる。
【0036】
スラリー(例えばコロイド分散液)
方法において使用されるエラストマー粒子は、ポリブタジエン粒子、ポリ(スチレンブタジエン)粒子、ポリ(アクリロニトリルブタジエン)粒子、ポリブチルアクリレート粒子及びそれらの組合せを含み得る(又はそれらからなり得る)。好ましくは、ポリ(スチレンブタジエン)粒子は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%のブタジエンに由来する単位を含む。
【0037】
好ましくは、エラストマー粒子は、ポリブタジエン粒子、少なくとも50重量%のブタジエンに由来する単位を含むポリ(スチレンブタジエン)粒子、ポリ(アクリロニトリルブタジエン)粒子、ポリブチルアクリレート粒子、並びにそれらの組合せを含む(又はからなる)。エラストマー粒子がポリ(スチレンブタジエン)粒子を含む場合、ポリ(スチレンブタジエン)粒子は、好ましくは、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%のブタジエンに由来する単位を含む。
【0038】
好ましくは、エラストマー粒子はポリブタジエン粒子である。
【0039】
ホモジナイズ処理前のエラストマー粒子は、好ましくは最大150nm、より好ましくは最大130nm、又はさらにより好ましくは最大120nm、例えば80~120nmの平均粒径を有する。そのようなエラストマー粒子の使用は、エラストマー粒子を得るための長期にわたるモノマーの重合の必要性が回避されるという利点を有する。本明細書において使用される場合、平均粒径は、ISO9276-2:2014に従って決定されるD50粒径であると理解される。
【0040】
エラストマー粒子の粒径分布は重要ではないが、典型的には、スラリー中における214nmより小さい粒径を有する粒子の体積分率は少なくとも90%である。
【0041】
スラリーは、スラリーの全重量に対して、少なくとも20重量%、好ましくは、少なくとも20重量%でかつ最大70重量%、より好ましくは、少なくとも30重量%でかつ最大60重量%、なおより好ましくは、少なくとも30重量%でかつ最大50重量%のエラストマー粒子を含み得る。
【0042】
好ましくは、スラリーは、スラリーの全重量に対して、少なくとも20重量%、好ましくは、少なくとも20重量%でかつ最大70重量%、より好ましくは、少なくとも30重量%でかつ最大60重量%、なおより好ましくは、少なくとも30重量%でかつ最大50重量%のエラストマー粒子を含み、エラストマー粒子はポリブタジエン粒子からなる。
【0043】
スラリーは好ましくは水性エマルジョンである。スラリーは、スラリーが水性エマルジョンの形態になることを確実にするために、乳化剤をさらに含んでいてよい。そのような水性エマルジョンは、ラテックスとも称される。疑義を避けるために、乳化剤は、本明細書において化学的凝集剤とはみなされない。
【0044】
乳化剤の量は、スラリーの全重量に対して、例えば0.05~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、0.2~5重量%、又は0.5~3重量%であってよい。
【0045】
可能な乳化剤の例は、当業者に既知の水性乳化重合に関連して分散剤として一般的に利用される乳化剤である;そのような乳化剤は、例えば、Houben-Weyl,Methoden der organischen Chemie,Volume XIV/1,Makromolekulare Stoffe[Macromolecular substances],Georg-Thieme-Verlag,Stuttgart,1961,pp.411-420に記載されている。アニオン性、カチオン性及び非イオン性乳化剤が可能である。アニオン性乳化剤、特に石けんを使用することが好ましい。アニオン性乳化剤Eの例は、例えば、Na及びKなどのアルカリ金属との、アンモニウムとの、トリエチルアミンエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリンなどの揮発性アミンとの、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの二価及び三価カチオンとの、C8~C18脂肪酸の塩である。さらなるアニオン性乳化剤の例は、アルキル硫酸(アルキル:C8~C22)の、エトキシル化アルカノール(EO単位:2~50、アルキル:C12~C18)及びエトキシル化アルキルフェノール(EO単位:3~50、アルキル:C4~C9)との硫酸モノエステルの、アルキルスルホン酸(アルキル:C12~C18)の、並びにアルキルアリールスルホン酸(アルキル:C9~C18)の、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。さらなる乳化剤は、Houben-Weyl,loc.cit.pp.192-208に示される。好ましい乳化剤は、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸などのナトリウム又はカリウム石けん、並びにリシノール酸、アビエチン酸及びピマル酸のナトリウム又はカリウム塩などの樹脂石けん(レジネート)を含む。獣脂脂肪酸のカリウム塩、又はオレイン酸カリウムが好ましく利用される乳化剤である。
【0046】
一部の実施形態において、スラリーは化学的凝集剤を含む。スラリー中の化学的凝集剤の存在は、より大きい凝集体を増進させる。
【0047】
一部の実施形態において、スラリーは、化学的凝集剤を実質的に含まない。これによって、エラストマー凝集体組成物から製造されるコア-シェルコポリマーの最終特性に影響を及ぼし得る不純物が回避される。これらの場合、好ましくは、化学的凝集剤の量は、スラリー中の固形分と任意の化学的凝集剤の合計に対して0.01重量%未満である。
【0048】
「化学的凝集剤」という用語は、本明細書中、一般的に、例えば、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、C1~C18カルボン酸のポリビニルエステル(例えば、ポリギ酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリn-酪酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル及びポリステアリン酸ビニル)、ポリエーテル(例えば、ポリアルキレングリコール)、及びそれらの組合せなどの、親水性モノマーをベースとする水溶性又は水分散性ポリマーを意味する。
【0049】
スラリー温度
ステップ(b)において開口部に押し通される、ステップ(a)において提供されるスラリーは、0℃より高くかつ100℃未満、典型的には10~90℃の温度を有し得る。
【0050】
好ましくは、ステップ(b)において開口部に押し通される、ステップ(a)において提供されるスラリーは、40~80℃、好ましくは45~80℃、より好ましくは50~70℃の温度を有する。
【0051】
そのような比較的高温のスラリーの使用によって、エラストマー凝集体組成物から製造されるコア-シェルコポリマーの最終特性に影響を及ぼし得る化学的凝集剤及び不純物の使用を回避する、所望の粒径分布での圧力凝集法が提供される。驚くべきことに、40~80℃の温度を有するスラリーの使用によって、所望の粒径分布を有するエラストマー凝集体組成物を得るための方法の広い操作ウインドウが可能となることが見出された。
【0052】
方法
ステップ(b)において、エラストマー粒子を含むスラリーを開口部に押し通す。開口部を通ることによって、エラストマー粒子は凝集化し、エラストマー凝集体を含むエラストマー凝集体組成物が提供される。
【0053】
開口部は、バルブアセンブリの相対向して配置されたバルブとシートとによって提供されるスラリーのためのフローチャネルに含まれる。開口部は、バルブアセンブリの断面においてバルブの軸中心線に対して鋭角に配置される。
【0054】
ある圧力でスラリーを開口部に押し通す。例えば、少なくとも400バール、例えば、少なくとも500バール、少なくとも600バール、少なくとも700バール、又は少なくとも800バールの圧力で、スラリーを開口部に押し通してよい。特に好ましくは、少なくとも850バール、例えば、400~1,500バール、又は700~1200バール、又は850~1000バールの圧力で、スラリーを開口部に押し通す。
【0055】
少なくとも3メートル毎秒(m/秒)、例えば、5~15m/秒の流速で、スラリーを開口部に押し通してよい。
【0056】
好ましくは少なくとも500m/秒、より好ましくは少なくとも600m/秒、より好ましくは少なくとも700m/秒、例えば、少なくとも500でかつ最大1,000m/秒、又は少なくとも700m/秒でかつ最大1,000m/秒の流速で、スラリーを開口部に押し通す。
【0057】
エラストマー凝集体組成物
最終コア-シェルコポリマーのバランスがとれた流動/衝撃特性及び他の特性を達成するために、エラストマー凝集体組成物が、比較的わずかな部分の非常に小さい粒子、及び比較的わずかな部分の非常に大きい粒子を有することが望ましい。
【0058】
例えば、エラストマー凝集体組成物中の214ナノメートル(nm)未満の粒径を有する粒子の体積分率は、好ましくは比較的小さい。例えば、エラストマー凝集体組成物中の214nm未満の粒径を有する粒子の体積分率は、最大50%、より好ましくは最大40%、なおより好ましくは最大30%、例えば、10~30%又は20~30%である。これによって、エラストマー凝集体組成物を使用して製造されるグラフトコポリマーのより良好な衝撃強さがもたらされる。これによって、グラフトコポリマーの加工安定性がさらに改善される。本明細書で使用される場合、粒径分布は、ISO13320によって、Beckman Coulter多波長レーザー回折粒径分析機器タイプLS13320によって決定される。
【0059】
例えば、エラストマー凝集体組成物中の868nmより大きい粒径を有する粒子の体積分率は、好ましくは比較的小さい。例えば、エラストマー凝集体組成物中の868nmより大きい粒径を有する粒子の体積分率は、最大15%、より好ましくは最大10%である。これによって、エラストマー凝集体を使用して製造されるグラフトコポリマーの所望のメルトフローがもたらされる。これによって、グラフトコポリマーの不透明性に対する有害作用も避けられる。
【0060】
好ましい実施形態において、エラストマー凝集体組成物中の214nm未満の粒径を有する粒子の体積分率は10~30%又は20~30%であり、かつエラストマー凝集体組成物中の868nmより大きい粒径を有する粒子の体積分率は最大10%である。そのような組成物は、エラストマー凝集体を使用して製造されるグラフトコポリマーに所望の材料特性を提供し、また所望の加工特性を提供するのに有利である、所望の狭い粒径分布を示す。
【0061】
好ましくは、エラストマー凝集体組成物中のエラストマー凝集体は、少なくとも150nm又は少なくとも250nm、例えば、少なくとも150nmでかつ最大1,000nm、又は少なくとも250nmでかつ最大1,000nmの平均粒径を有する。より好ましくは、エラストマー粒子は、少なくとも200nmでかつ最大500nm、又は少なくとも250nmでかつ最大400nmの平均粒径を有する。そのような組成物は、エラストマー凝集体を使用して製造されるグラフトコポリマーに所望の材料特性を提供するため、並びに所望の加工特性を提供するために有利である。
【0062】
図1のピストン及び図2~5のピストンを、ポリブタジエン粒子を含むスラリーを開口部に押し通すことによるエラストマー凝集体組成物の製造方法のために使用した。図1のピストンシステムのメンテナンスは、2~3日間の運転後に必要とされた。対照的に、図2~5のピストンシステムのメンテナンスは、14~21日間の運転後にのみ必要とされた。
【0063】
本発明は本明細書に記載の特徴の全ての可能な組合せに関し、特に請求項に示される特徴の組合せが好ましいことに留意されたい。したがって、本発明による組成物に関する特徴の全ての組合せ、本発明による方法に関する特徴の全ての組合せ、並びに本発明による組成物に関する特徴及び本発明による方法に関する特徴の全ての組合せが本明細書に記載されていることが認識されるであろう。さらに、「含む」という用語が他の要素の存在を除外しないことに留意されたい。しかしながら、特定の成分を含む製品/組成物に関する記載が、これらの成分からなる製品/組成物も開示することが理解される。これらの成分からなる製品/組成物は、それが製品/組成物の調製のためのより単純で、より経済的な方法を提供するという点で有利であり得る。同様に、特定のステップを含む方法に関する記載が、これらのステップからなる方法も開示することは理解される。これらのステップからなる方法は、それがより単純で、より経済的な方法を提供するという点で有利であり得る。
【0064】
値がパラメーターに関する下限及び上限で記載される場合、下限の値及び上限の値の組合せによって作成される範囲も開示されるものとして理解される。
【0065】
本明細書に開示されるピストンシステム、ホモジナイザー及び方法のいくつかの態様を以下に示す。
【0066】
態様1:ピストンシステムの使用中に往復運動を生じるように構成及び配置されたピストンと、ピストンの少なくとも第1の部分を受け取りかつガイドするように構成及び配置されたシリンダーと、使用中にシリンダー内部に配置されるピストンの第1の部分の一部に潤滑媒体を供給するように構成及び配置された第1の供給チャネルと、使用中に、ピストンの第2の部分がシリンダーの外部にあるときに、ピストンの第2の部分に冷却媒体を供給するように構成及び配置された第2の供給チャネルとを備えた、ホモジナイザー(好ましくは、高圧ホモジナイザー)での使用のためのピストンシステム。
【0067】
態様2:ピストンの第3の部分と連絡しているピストンシステムのチャンバーに、エラストマー粒子を供給するように構成及び配置された供給部をさらに備え、使用中にチャンバー内へのピストンの動きがチャンバーからスラリーを押し出す、態様1によるピストンシステム。
【0068】
態様3:エラストマー粒子が、ポリブタジエン粒子、ポリ(スチレンブタジエン)粒子、ポリ(アクリロニトリルブタジエン)粒子、及びポリブチルアクリレート粒子、並びにそれらの組合せからなる群より選択され、好ましくはエラストマー粒子がポリブタジエン粒子を含む、態様2によるピストンシステム。
【0069】
態様4:スラリーが、スラリーの全重量に基づき、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも20重量%でかつ最大70重量%、より好ましくは少なくとも30重量%でかつ最大60重量%、なおより好ましくは少なくとも30重量%でかつ最大50重量%のエラストマー粒子を含む、態様2又は3のいずれか1つによるピストンシステム。
【0070】
態様5:エラストマー粒子が、最大150nm、好ましくは最大130nm、より好ましくは80~120nmである、ISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有する、態様2~4のいずれか1つによるピストンシステム。
【0071】
態様6:第1の供給チャネルが少なくとも2つの入口分岐を含み、少なくとも2つの入口分岐の第1の入口分岐が、潤滑媒体の手動供給を可能にするように構成及び配置された第1の潤滑剤供給システムに接続する、上記態様のいずれか1つによるピストンシステム。
【0072】
態様7:少なくとも2つの入口分岐の第2の入口分岐が、潤滑媒体の自動供給を可能にするように構成及び配置された第2の潤滑剤供給システムに接続する、態様6によるピストンシステム。
【0073】
態様8:潤滑剤がグリースを含む、上記態様のいずれか1つによるピストンシステム。
【0074】
態様9:上記態様のいずれか1つによる少なくとも1つのピストンシステムを含むホモジナイザー(好ましくは、高圧ホモジナイザー)。
【0075】
態様10:ホモジナイザーが平均粒径を増大させるように構成される、態様9の高圧ホモジナイザー。
【0076】
態様11:エラストマー凝集体組成物を形成するための態様1~8のいずれか1つによるピストンの使用。
【0077】
態様12:態様1~8のいずれか1つによるピストンシステムにおいて、エラストマー粒子を含むスラリーをスラリーチャンバーに導入するステップ、及び開口部にスラリーを押し通してエラストマー凝集体組成物を得るステップを含む、エラストマー凝集体組成物の製造方法
【0078】
態様13:連続プロセスである、態様12による方法
【0079】
態様14:エラストマー粒子が、ISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有し、エラストマー凝集体組成物が、エラストマー粒子の平均粒径より大きい平均粒径を有する凝集体を有する、態様12又は13による方法
【0080】
態様15:スラリーが、スラリーの全重量に基づき、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも20重量%でかつ最大70重量%、より好ましくは少なくとも30重量%でかつ最大60重量%、なおより好ましくは少なくとも30重量%でかつ最大50重量%のエラストマー粒子を含む、態様12~14のいずれか1つによる方法
【0081】
態様16:エラストマー粒子が、最大150nm、好ましくは最大130nm、より好ましくは80~120nmである、ISO9276-2:2014に従って決定される平均粒径D50を有する、態様12~15のいずれか1つによる方法
【0082】
態様17:シリンダー内にあるときに、潤滑媒体によってピストンを潤滑するステップ、およびシリンダーの外部に適用される冷却媒体によってシステムを冷却するステップをさらに含む、態様12~16のいずれか1つによる方法
【0083】
態様18:潤滑媒体が冷却媒体とは異なる、態様17による方法
【0084】
態様19:潤滑媒体がグリースであり、かつ冷却媒体が水を含む、態様17~18のいずれか1つによる方法
【0085】
「a」及び「an」及び「the」という用語は、量の制限を示さず、かつ本明細書中で他に明記されない限り、又は明らかに文脈から否定されない限り、単数及び複数の形両方を包含すると解釈されるべきである。明らかに文脈によって示されない限り、「又は」は「及び/又は」を意味する。他に定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、一般に本発明が属する当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生産物などを含む。「上記の1つ又は複数」とは、列挙される材料の少なくとも1つを意味する。全ての量は合計100重量%となる。本明細書に開示される全ての範囲は終点を含み、かつ終点は、互いに独立して組合せ可能である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「高圧」とは、4,500ポンド毎平方インチ(psi)(310バール)より高い圧力、例えば、4,500~10,500psi(310~724バール)を示す。
【0087】
本明細書中に別途指定されない限り、試験規格が表される場合、全ての試験規格は、本出願の出願日、又は優先権が主張される場合、最初の優先権出願の出願日の時点で有効である最新の規格である。
【0088】
全ての引用特許、(いずれの優先権出願も含む)特許出願及び他の参照文献は、本明細書中、参照によって、その全体が組み込まれる。しかしながら、本出願中の用語が、組み込まれる参照文献中の用語と反するか、又は矛盾する場合、本出願からの用語は、組み込まれた参照文献からの矛盾する用語よりも優先される。本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許出願第1720372号に基づく優先権を主張する。