(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】トルク工具のためのリリース機構
(51)【国際特許分類】
B25B 23/157 20060101AFI20230110BHJP
B25B 23/14 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
B25B23/157 B
B25B23/14 610B
(21)【出願番号】P 2020538550
(86)(22)【出願日】2019-01-03
(86)【国際出願番号】 DE2019100000
(87)【国際公開番号】W WO2019137577
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】102018100665.9
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593087949
【氏名又は名称】シュタールヴィレ エドゥアルド ヴィレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】STAHLWILLE Eduard Wille GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Lindenallee 27, D-42349 Wuppertal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド ジェンキンズ
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-076298(JP,U)
【文献】特開平11-156741(JP,A)
【文献】米国特許第06119562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/157
B25B 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)であって、
a)トルクを伝達するために、1つの共通の軸線を中心として回転する駆動体(16,118,218,318,418)および基体(14,114,214,314,420)と、
b)トルクを伝達するために、前記駆動体(16,118,218,318,418)と前記基体(14,114,214,314,420)とを互いに連結させるロック機構(30,150,219,320,414)と、
c)伝達されたトルクを検出し、評価するための検出および評価手段と、
d)目標トルクに到達した際に、前記駆動体(16,118,218,318,418)を前記基体(14,114,214,314,420)から連結解除するために前記ロック機構(30,150,219,320,414)を作動させるシグナルトランスミッタと、
を有し、
e)前記ロック機構(30,150,219,320,414)は、ばね負荷されたレバー装置(28,134,232,328,422)を有し、前記レバー装置(28,134,232,328,422)は、トルクを伝達するために前記駆動体(16,118,218,318,418)を前記基体(14,114,214,314,420)に連結し、リリースの際には、自由に回転させるために、前記基体(14,114,214,314,420)をロック解除
し、
f)ロックのために前記駆動体(16,118,218,318,418)の凹部(54,146,242,338,450)内に係合し、ロック解除のために前記凹部(54,146,242,338,450)から前記レバー装置(28,134,232,328,422)によって離されるロックエレメント(50,124,238,334,444)に、前記ロック機構(30,150,219,320,414)の前記レバー装置(28,134,232,328,422)が作用する
ことを特徴とする、リリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項2】
目標トルクに到達した際に前記ロック機構(30,150,219,320,414)をロック解除する、電気的に作動するアクチュエータ(24,152,246,342,448)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項3】
前記レバー装置(28)がばね負荷されたトグルレバー装置(34)として形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項4】
前記ロックエレメント(50,124,238,334,444)は、前記基体(14,114,214,314,420)に設けられた変向管(438)内に設けられていることを特徴とする、請求項
1記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項5】
前記ロックエレメント(50,124,238,334,444)は、前記基体(14,114,214,314,420)に設けられた、軸方向(440)から半径方向(442)に移行する、90°に湾曲した変向管(438)内に設けられていることを特徴とする、請求項
1または
4記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項6】
前記基体(114)内に軸方向の通路(120)が設けられており、前記通路内には、ばね負荷された可動のプランジャ(130)が設けられており、前記プランジャは、ロックのためにレバー装置(134)に作用し、リリースの際にはロック解除のために、前記通路(120)内に、ロックエレメント(124)のための退避スペース(156)を形成するために、前記電気的に作動するアクチュエータ(152)によって動かされることを特徴とする、請求項
2記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項7】
前記基体(214)の通路(220)内にばね負荷されたピストン(222)が設けられており、前記ピストンには、前記ロック機構(219)のロックのためにまたはロック解除のために、ヒンジ(236)を備えたレバー装置(232)が設けられていることを特徴とする、請求項1
または2記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【請求項8】
前記基体(314)は軸方向の軸(324)を含み、前記軸上には、ばね負荷されたリング体(326)が設けられており、前記ロックエレメント(334)を操作するための前記レバー装置(328)は、前記リング体(326)に配置されていることを特徴とする、請求項
1記載の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリースされる電子リリース式トルク工具(12,112,212,312,412)のためのリリース機構(10,110,210,310,410)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ等を締め付けるための、目標トルクでリリース(ausloest)される電子リリース式トルク工具のためのリリース機構であって、
a)トルクを伝達するために、1つの共通の軸線を中心として回転する駆動体および基体、
b)トルクを伝達するために、駆動体と基体とを互いに連結させるロック機構、
c)伝達されたトルクを検出し、評価するための検出および評価手段、
d)目標トルクに到達した際に、駆動体を基体から連結解除するためにロック機構を作動させるシグナルトランスミッタ、
を有している、リリース機構に関する。
【0002】
詳細な説明
ねじ固定は、機械製作において、最も頻繁に利用される接続である。このような接続エレメントは、適切な組付け工具の使用によってのみ効果的となる。このために適切な組付け工具には、トルクドライバのようなトルク工具が挙げられる。
【0003】
トルク工具は、ワークピースに所定のトルクを加えるために必要となる。トルク工具としては、例えばトルクレンチまたはトルクドライバが公知である。機械的かつ電子的なトルク工具がある。特に、表示式のトルク工具およびリリース式のトルク工具がある。表示式のトルク工具は、その都度実際に加えられているトルクを常に表示する。リリース式のトルク工具では、目標トルクが設定される。ねじを締め付ける際にこのトルクに到達するとすぐに、このトルク工具は目標トルクに到達したことを使用者に報知する。これは例えば、聞こえるクリック音または感じられる屈曲により報知することができる。リリース機構はこれとは全く異なる構成である。すなわち、例えば目標トルクに到達した場合に、設定された目標トルクよりも大きなトルクがワークピースに伝達されるのを阻止することができる。
【0004】
手動操作される工具を使用する場合に伝達されるトルクは、この場合、使用者の身体的な状態、および力に対する主観的な感覚に依存している。トルク工具は、ねじの弾性範囲内にある高い締付け力によりねじを締め付けるために、またはねじを僅かな締付け力のみで締め付けるために使用される。とりわけ自動車または航空機産業における軽量構造のために、例えば、マグネシウム、アルミニウム、またはプラスチックのような新しい構造材料を使用するために、トルク工具に対する要件および要求が高まっている。すなわち、このような新しい材料により、繊細なねじ接続部の数が増えている。鋼材料に比べて、これらの軽量構造材料の引っ張り強度が低いことにより、ねじ接続部の過剰な負荷は、ねじ山の損傷をまねき、これにより、これら高価な構成部品が役立たなくなってしまう。
【0005】
公知の報知式のトルク工具には、特に、目標トルクを表示するだけだという欠点がある。ワークピースへのトルクの伝達の中断は行われない。このような中断を行わせるトルク工具は、通常、製造に手間がかかり、構造が複雑であり、ひいては極めてコストがかかる。
【0006】
背景技術
独国実用新案第202007015971号明細書により、多機能型ニューマチック工具が公知である。この多機能型ニューマチック工具はベースボディを有していて、このベースボディには、操作レバー、入口接続部、およびシリンダが配置されている。シリンダの内部には、ブレードを備えたロータが配置されている。シリンダは、入口スイッチを介して入口接続部に接続されている。入口スイッチは操作レバーによって制御可能である。この場合、ロータの回転軸は、シリンダを通ってガイドされている。工具は付加的に、異なる機能を有する少なくとも2つの工具ヘッドを含む。接続エレメントは、各工具ヘッドの後端部に配置されていて、接続装置は、ベースボディの前端部に配置されている。任意の1つの工具ヘッドの接続エレメントは、ベースボディの前端部の接続装置に取り外し可能に配置されている。接続エレメントの後端部は、ロータの前端部に取り外し可能に接続されている。工具ヘッドの後端部に配置された接続エレメントと、ロータの前端部との取り外し可能な接続により、ブレードの回転の際のトルクが、個々の工具ヘッドに伝達されることが保証されている。
【0007】
独国実用新案第202006008056号明細書には、設定可能な値よりも小さいトルクを伝達するための力伝達装置が記載されている。ここに記載された力伝達装置は、この場合、ソケットレンチとして使用される。
【0008】
台湾登録実用新案第2789822号明細書には、設定可能なトルクを有する力伝達装置が開示されている。この力伝達装置は、駆動手段、スリーブまたはフランジ、楔エレメント、およびばねを含む。駆動手段はスリーブに、互いに移動可能および互いに回転可能であるように接続されている。駆動手段とスリーブとの間の相対的な軸方向の位置を調節することにより、ばねに加えられる力が調節され、これにより、楔エレメントとスリーブとの間で伝達可能な最大のトルクが調節される。
【0009】
独国実用新案第202011050280号明細書には、工具駆動部材を備えた調節可能なトルクレンチが記載されている。この場合、このトルク工具は、長手方向に延在する管状の工具軸を有している。この工具の第1の端部区分には、長手方向軸線を中心として回転可能に工具軸に支持されている把持部が配置されている。把持部は、把持部および/または工具軸の内部における緊締ユニットに直接または間接に連結されている。把持部の回転により、その都度加えるべき締付けモーメントをプリセットするコイルばねが緊縮または弛緩される。把持部はさらに、休止位置で把持部に当接している折り畳みレバーを有している。工具軸と把持部との間の移行領域には、その都度実際に調節される締付けモーメントについての数値表記を示すことができる目盛りが配置されている。この移行領域は、工具軸とは反対側で先細りしており、横断面は減少している。工具軸の第1の端部区分とは反対側の第2の端部区分は、工具駆動部材との連結のために用いられ、この工具駆動部材は、通常は差込み工具である工具を収容するためにも役立つ。このために、それ以外は横断面が円形の工具軸は、端部側で長方形の開口を形成するように、第2の端部区分で平坦にされている。
【0010】
独国特許出願公開第10051011号明細書により、トルクを電子的に検出する、リリース式のトルクレンチが公知である。ひずみゲージによって、機械的なトルクが電子的な信号に変換される。このように検出したトルクを目標値と比較する。測定されたトルクが、調節されたまたはプリセットされたトルク目標値に達すると、電子的な評価により、トルクレンチは機械的に、少なくとも短時間解放される。この解放は、この場合、例えば、レンチ把持部とレンチヘッドとの連結解除により行われる。
【0011】
独国実用新案第202014000041号明細書は、リリース式トルク工具に関し、このトルク工具は、把持領域とヘッド領域とを備えた軸状のケーシングを有している。ケーシング内には、トルクを伝達するための伝達装置が設けられている。トルク工具はさらに、所望のトルクを設定するための作動ボタンを備えた作動装置を有しており、このトルクに到達したことが報知される。表示装置は、トルク工具がリリースされるべきトルク値を表示する。さらに、このトルク工具は、設定されたトルクでトルク工具をリリースするリリース機構を備える。
【0012】
独国特許出願公開第102006013147号明細書により、ワークピースにおけるトルクを測定するための、かつ/またはトルクの締付けをリリースするためのトルク工具が公知である。このトルク工具は、把持部と、トルクを伝達するためのバーとを備えるケーシングを有している。測定エレメントは、トルクを電子的に検出するために用いられ、この検出されたトルクは、測定および制御電子機器によって処理される。電子的な測定および制御電子機器によって制御されるリリーススイッチは、目標値で、トルク工具をリリースする。この明細書に記載されたトルクレンチは、リリーススイッチによって作動される少なくとも1つの作動部材を有した減速機構を有している。この場合、減速機構は、トルクを伝達するためのバーと、トルク工具をリリースするための電子制御されるリリーススイッチとの間に配置されている。この文献には、減速機構が、電子制御されるリリーススイッチによって駆動制御される、切換え縁部を備えた切換えレバーを有していることが記載されている。
【0013】
発明の開示
そこで本発明の課題は、従来技術の欠点を解消し、簡単に構成され、製造コストが安価である、電子リリース式トルク工具のためのリリース機構を提供することである。この場合、効果は、特に、モータ駆動されるトルク工具でも、リリースの際に高い有効性が得られるのが望ましい。
【0014】
本発明によればこの課題は、冒頭で述べた形式の、ねじ等を締め付けるための、目標トルクを有する電子リリース式トルク工具のためのリリース機構において、
e)ロック機構は、ばね負荷されたレバー装置を有しており、このレバー装置は、トルクを伝達するために駆動体を基体に連結し、リリースの際には、自由に回転させるために、基体をロック解除することにより解決される。
【0015】
本発明の根底を成す原則は、機械式であっても、手動式であっても、駆動装置は、目標トルクに達した際に、それ以上、ねじ締めに対して影響を与えない、というものである。トルクを伝達するための駆動装置はこのために、例えばアダプタによってワークピースにトルクを伝達する基体を、駆動装置から分離することにより、連結解除される。このために基体は、駆動装置に対して回転可能に支持されており、したがってロック解除状態では自由に回転することができる。ロックされて初めて、基体は駆動装置に連結され、これにより、駆動装置と基体とを介して目標トルクまでのトルクを伝達することができる。ロック機構のロックもしくはロック解除は、レバー装置によって特に簡単に実現できる。そしてこの場合、リリース機構の操作時の力は、簡単に変向することができる。ロック機構の操作の際に使用される力は、場合によっては、レバーの使用に応じて分割するもしくは増幅することができる。到達したい目標トルクはこの場合、適切な手段によってプリセット可能である。
【0016】
目標トルクに到達した際にロック機構をロック解除する、電気的に作動するアクチュエータが設けられているならば、本発明によるリリース機構の有利な構成として実証されている。このような電気的に作動するアクチュエータは、例えば電気的に制御されるソレノイドである。ソレノイドは、簡単に製作できる公知の構成部品である。さらにこのようにして、ロック機構は、ソレノイドによって簡単に電子的に駆動制御され、用いられる。ソレノイドを作動させるためには、このために適切な電気信号で十分である。
【0017】
本発明によるリリース機構の別の好適な構成は、ロックのために駆動体の凹部内に係合し、ロック解除のために凹部からレバー装置によって離されるロックエレメントに、ロック機構のレバー装置が作用することにより得られる。ロックエレメントは、基体を駆動体に連結する。レバー装置がこのようなロックエレメントに作用することができると、トルク工具のどこにでも、力を、実際にレバー装置を介してロックエレメントに伝達することができる。これにより、信頼性の高い確実なロックが達成され得る。ロックエレメントは、必要であれば、特に硬化されてもよく、論理的には任意のいかなる形状、例えば球のような形状をとることができる。収容部もしくは凹部の形状は、この場合、好適にはロックエレメントに適合させるべきである。
【0018】
さらに、レバー装置がばね負荷されたトグルレバー装置として設けられていることにより、本発明によるリリース機構の好適かつ有利な構成が得られる。トグルレバー装置によって、レバー装置は、リリース機構のために特に良好に実現することができる。ロック解除の際にリリースのために必要な力は、トグルレバーによって簡単に伝達される。
【0019】
本発明によるリリース機構の好適かつ有利な変化態様では、ロックエレメントは、基体に設けられた変向管内に設けられている。この変化態様では、ロックエレメントを基体によって最適に、拘束もしくはロックのために移動させることができる。さらに、ロックエレメントが、基体に設けられた、軸方向から半径方向に移行する、90°に湾曲した変向管(Umlenkrohr)内に設けられているならば有利であることが実証されている。
【0020】
本発明によるリリース機構の別の好適な構成では、基体内に軸方向の通路が設けられており、通路内には、ばね負荷された可動のプランジャが配置されており、プランジャは、ロックのためにレバー装置に作用し、リリースの際にはロック解除のために、通路内に、ロックエレメントのための退避スペースを形成するために、電気的に作動するアクチュエータ、例えばソレノイドによって動かされる。
【0021】
本発明によるリリース機構の別の好適な構成は、基体の通路内にばね負荷されたピストンが設けられており、ピストンには、ロック機構のロックのためにまたはロック解除のために、ヒンジを備えたレバー装置が設けられていることにより得られる。
【0022】
本発明によるリリース機構の別の有利かつ好適な構成では、基体が軸方向の軸を含み、軸上には、ばね負荷されたリング体が設けられており、ロックエレメントを操作するためのレバー装置は、リング体に配置されている。
【0023】
別の構成および利点は、従属請求項の対象ならびに対応する説明を伴う図面により明らかである。
【0024】
次に実施例を、添付の図面につき詳しく説明する。本発明は、説明されたこの実施例のみに限定されるべきではない。実施例は、本発明を詳しく説明するためだけに用いられる。本発明は、現在かつ将来的に、当業者が本発明を実現するために自明であると考える全ての対象物に関連するとされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ロック状態にある、トルク工具のための本発明によるリリース機構を軸方向縦断面図で概略的に示す原理図である。
【
図2】ロック状態にある、トルク工具のための本発明による
図1のリリース機構を概略的に示す横断面図である。
【
図3】ロック解除状態にある、トルク工具のための本発明による
図1および
図2のリリース機構を軸方向縦断面図で概略的に示す原理図である。
【
図4】ロック解除状態にある、トルク工具のための本発明による
図3のリリース機構を概略的に示す横断面図である。
【
図5】別の実施例における、ロック状態にある、トルク工具のための本発明によるリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【
図6】ロック状態にある、トルク工具のための本発明による
図5のリリース機構を概略的に示す横断面図である。
【
図7】第3の実施例における、ロック状態にある、トルク工具のための本発明によるリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【
図8】ロック状態にある、トルク工具のための本発明による
図7のリリース機構を概略的に示す横断面図である。
【
図9】第4の実施例における、ロック状態にある、トルク工具のための本発明によるリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【
図10】ロック解除状態にある、トルク工具のための本発明による
図9のリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【
図11】第5の実施例における、ロック状態にある、トルク工具のための本発明によるリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【
図12】ロック解除状態にある、トルク工具のための本発明による
図11のリリース機構を示す軸方向縦断面図である。
【0026】
好適な実施例
図1には、符号10で、ねじ等を締め付けるための、目標トルクを有したトルク工具12のための、本発明によるリリース機構が示されている。トルク工具12は、
図1において部分的に軸方向縦断面図として示されている。トルク工具12は、ケーシング状の駆動体16を備えた円筒状の基体14を含む。駆動体16の領域18には、駆動軸20が固定されている。駆動軸20は、駆動体に不動に結合されている。駆動軸20は、例えばトーションバーとして形成されていてよく、このトーションバーには、伝達されるトルクを検出するためのひずみゲージが設けられている。
【0027】
駆動体16の中空室22内には、電気的に作動するアクチュエータとしてソレノイド(Hubmagnet)24が設けられている。ソレノイド24はピン26を有している。ピン26は、ソレノイド24の操作時に、基体14と駆動体16との間に設けられたロック機構30のレバー装置28に作用する。ロック機構30とソレノイド24とは、リリース機構10の構成部分である。
【0028】
基体14は、この実施例で、駆動体16に差し込まれて接続されている。この場合、基体14は、回転可能に駆動体16内に支持されているので、
図3および
図4に示したロック解除状態では、基体14は、共通の回転軸線32を中心として自由に回転することができる。
図1および
図2に示したロック状態では、駆動体16と基体14とは互いに連結されている。この状態では、駆動体16は、トルクをワークピースに伝達するために基体14を駆動する。
【0029】
レバー装置28は、コイルばね36によって予荷重をかけられているトグルレバー装置34から成る。トグルレバー装置34は、この実施例では、軸方向に配置された2つのレバー38から成っていて、これらのレバーは、半径方向に配置された2つのレバー40を介して、ヒンジ接続部42,44により互いに枢着的に接続されている。レバー装置28自体は、ヒンジ46によって基体14に、ヒンジプラットフォーム47を介して枢着されている。ヒンジプラットフォーム47は、この実施例では、基体14に堅固に設けられている一種のウェブとして形成されている。
【0030】
ソレノイド24のピン26は、この操作の際に、この場合中央のヒンジ接続部44に作用し、このヒンジ接続部は、半径方向レバー40を互いに接続している。軸方向レバー38の各外面48には、球52として形成されているロックエレメント50が位置している。ロックエレメント50は、駆動体16のロック凹部54内に係合する。ロック凹部54は、駆動体16の内面56に位置している。
【0031】
コイルばね36は、ピン26とは反対の側58で中央のヒンジ44に作用しており、これによりレバー装置28に予荷重をかけている。ロックエレメント50は、コイルばね36のばね力により、軸方向レバー38によって、ロック凹部54内に押し込まれる。これによりリリース機構10のロック機構30は、基体14が駆動体16に対して、共通の回転軸線32を中心として自由に回転することを阻止している。このようなロック状態では、トルクを駆動体16から基体14を介してワークピースに伝達することができる。
【0032】
図2には、
図1に示したロック状態における、トルク工具12のための本発明によるリリース機構10の横断面図が示されている。この
図2が
図1に対応する限りは、同じ参照符号も使用される。この図により、基体14が、ロック機構30の領域で駆動体16によって取り囲まれている様子が明らかである。ロックエレメント50のためのロック凹部54は、内面56全周にわたって分配されている。ロック機構30のロックエレメント50は、軸方向レバー38によって、ロック凹部54内に押し込まれる。この実施例では、軸方向レバー38は、対向して配置されている。コイルばね36は、半径方向レバー40に対して押し付けられており、これにより、軸方向レバー38は、ロックエレメント50をロックするように操作する。
【0033】
図3では、トルク工具12のリリース機構10が、
図1に相当しているが、
図1および
図2とは異なりロック解除状態で示されている。この場合、トルク工具12は、部分的に軸方向縦断面図として示されている。トルク工具12は、ケーシング状の駆動体16を備えた円筒状の基体14を含む。駆動体16の領域18には、駆動軸20が固定されている。駆動軸20は、駆動体に不動に結合されている。
【0034】
駆動体16の中空室22には、ソレノイド24が配置されている。ソレノイド24からはピン26が突出している。ピン26は、ソレノイド24の操作時に、基体14と駆動体16との間に設けられたロック機構30のレバー装置28に作用する。
【0035】
基体14と駆動体16とは、その端部で差し込まれて接続されている。この場合、基体14は、回転可能に駆動体16内で支持されているので、ここに図示したようなこのロック解除状態では、基体14は、共通の回転軸線32を中心として自由に回転することができる。駆動体16は、基体14にトルクを伝達しない。したがって、トルク工具12のリリース状態で、ワークピースへのトルクの伝達は遮断される。
【0036】
レバー装置28は、上述したように、コイルばね36によって予荷重をかけられているトグルレバー装置34から成る。この場合、コイルばね36は、ヒンジプラットフォーム47に支持されている。トグルレバー装置34は、軸方向に配置された2つのレバー38を有していて、これらのレバーは、半径方向に配置された2つのレバー40を介して、互いに枢着的に接続されている。レバー装置28自体は、ヒンジ46によって基体のヒンジプラットフォーム47に枢着されている。
【0037】
この場合、ソレノイド24のピン26は、この操作の際に、中央のヒンジ接続部44に作用する。軸方向レバー38の各外面48には、ロックエレメント50が位置している。
【0038】
コイルばね36は、ピン26の反対の側58で中央のヒンジ44に作用しており、これによりレバー装置28に予荷重をかけている。
図3に示したようなロック解除状態で、ソレノイド24が操作されると、ソレノイドはピン26で、コイルばね36のばね力に抗して、中央のヒンジ44に作用する。これによりトグルレバー装置34が操作され、その結果、軸方向に延在する両レバー38は、中央のヒンジ44に対して傾斜して延びる。これにより、ロックエレメント50のためのそれぞれ1つの退避スペース59が生じる。ロックエレメント50は、この状態で、ロック凹部54からこの退避スペース59内へと移動する。これにより、ロック機構30はロック解除されて、基体14は駆動体16内で自由に回転することができる。トルクは、このようなリリース状態ではもはや伝達されない。すなわちロックエレメント50は、もはや、コイルばね36のばね力により、軸方向レバー38によって、ロック凹部54内に押し込まれない。基体14は、駆動体16から連結解除される。
【0039】
図4には、
図3に示したロック解除状態における、トルク工具12のための本発明によるリリース機構10の横断面図が示されている。この
図4が
図1~
図3に対応する限りは、この図でも同じ参照符号が使用される。図示したこの部分では、基体14が、ロック機構30の領域で駆動体16によって取り囲まれている。ロックエレメント50のためのロック凹部54は、内面56全周にわたって分配されている。ロック機構30のロックエレメント50は、退避スペース59内に位置している。基体14は、駆動体16内で自由に回転するようにロック解除されている。
【0040】
トルク工具12は、電子的に形成されていて、検出および評価手段を備えた適切な制御電子機器を有している。目標トルクが制御電子機器内に記憶され、その都度加えられるトルクと比較される。このために、加えられるトルクは、例えばトーションバーに設けられたひずみゲージによって検出される。検出および評価手段は、このために、加えられたトルク値を制御電子機器へと送り、制御電子機器は、シグナルトランスミッタとして目標トルクに到達した際に、ソレノイド24を、トルク工具12のリリースのために駆動制御するように操作する。
【0041】
図5には、トルク工具112のリリース機構110のための別の実施例が示されている。トルク工具112は、ロック状態で、リリース機構110の領域で概略的に一部のみが示されている。この図は、トルク工具112の軸方向縦断面図である。トルク工具112は、相応のケーシング116によって取り囲まれている円筒状の基体114を含む。ケーシング116はこの場合、基体114を介してトルクをワークピースに伝達するための駆動体118も成している。
【0042】
基体114内には、軸方向の通路120が設けられている。軸方向の通路120からは、ロックエレメント124のための半径方向の孔122が延びている。軸方向の通路120内には、ばね128を一方の側から支持するストッパ126が位置している。ばね128の他方の側には、円錐台形状の付加部132を備えた円筒状のプランジャ130が位置している。ばね128のばね力により、プランジャ130は、レバー装置134に向かって押される。レバー装置134は、2つのレバー136から成っていて、これらのレバーは、ヒンジ138によって、一方の側でヒンジプラットフォーム140に枢着的に設けられている。レバー装置134は、レバー室142内に位置している。レバー室142は、レバー136の領域で、軸方向の通路120の拡開部143によって形成される。レバー136は、円錐台形状の付加部132を介してばね128によって、このレバー室142内でロックするために互いに離れるように押される。
【0043】
半径方向の孔122は、このレバー室142に直接続いている。レバー136は、半径方向の孔122を選択的に開放または閉鎖することができる。ここでは
図5および
図6に示したようなロック状態で、孔122はレバー136によって閉鎖されている。ロックエレメント124は半径方向外側に向かって押される。ロックエレメント124は球144として形成されている。それぞれ半径方向で最も外側の球124aが、ロック収容部146内に収容される。ロック凹部146は、ケーシング116の内面148に位置している。上述したこのような装置によってロック機構150が形成される。
【0044】
リリース機構110は、さらに電気的に作動するアクチュエータとしてソレノイド(Hubmagnet)152を含んでいる。ばね128の反対側で、ソレノイド152も軸方向の通路120内に位置している。ロック機構150をリリースし、ロック解除するために、ピン154を備えたソレノイド152は、円筒状のプランジャ130の円錐台形状の付加部132に向かって摺動する。レバー136は、半径方向の孔122を解放し、レバー室142と共に、今やそれぞれ1つの退避スペース156を形成し、最も内側の球124bがこの退避スペース内へと移動する。最も外側のロックエレメント124aは相応に同じ方向で内側に向かって動き、基体114とケーシング116との間のロックを解放する。ロックエレメント124aは、このために、ロック凹部146から外へと摺動する。これにより基体114は、ケーシング116内で自由に回転することができる。基体114は駆動体118から連結解除されているので、トルクはもはや伝達されない。
【0045】
トルク工具112はこの実施例でも、電子的に形成されていて、検出および評価手段を備えた適切な制御電子機器を有している。目標トルクが制御電子機器内に記憶され、その都度加えられるトルクと比較される。このために、加えられるトルクは、例えばトーションバーに設けられたひずみゲージによって検出される。検出および評価手段は、このために、加えられたトルク値を制御電子機器へと送り、制御電子機器は、シグナルトランスミッタとして目標トルクに到達した際に、ソレノイド152を、トルク工具112のリリースのために駆動制御するように操作する。
【0046】
図6には、
図5に示したロック状態における、トルク工具112のための本発明によるリリース機構110の横断面図が示されている。この
図6が
図5に対応する限りは、同じ参照符号も使用される。この図により、基体114が、ロック機構150の領域で駆動体118によって取り囲まれている様子が明らかである。この場合、駆動体118はケーシング116を形成している。ロックのためのロックエレメント124のためのロック凹部146は、ケーシング116の内面148全周にわたって分配されている。ロック機構150のロックエレメント124はこのために、レバー136によって、ロック凹部146内にばね128のばね力によって押し込まれる。レバー136は互いに向かい合って配置されている。円筒状のプランジャ130は、ロックエレメント124を半径方向の孔122内に押込み、これにより最も外側のロックエレメント124aによって、基体114が駆動体118に連結される。このようにして、駆動体118から基体114へとトルクが伝達される。
【0047】
図7には、トルク工具212の本発明によるリリース機構210のための別の実施例がロック状態で示されている。トルク工具212は、リリース機構210の領域で概略的に一部のみが示されている。この図は、トルク工具212の軸方向縦断面図である。トルク工具212は、相応のケーシング216によって取り囲まれている円筒状の基体214を含む。ケーシング216はこの場合、基体214を介してトルクをワークピースに伝達するための駆動体218も成している。駆動体218はこのために、ロック機構219を介して基体214に連結される。
【0048】
基体214は、軸方向の通路220を含んでいる。軸方向の通路220内にはピストン222が位置している。ピストン222は一方では基体214によって、他方ではストッパプレート217によって支持される。ピストン222は、ボールベアリング226によって軸方向可動に支持されている。ボールベアリング226は、ピストン222に設けられた凹部228とボール230とによって形成される。
【0049】
さらに、直角に配置された4つのレバー234(
図8も参照)から形成されるレバー装置232が設けられている。レバー234は、ヒンジ236によってピストン222に枢着的に取り付けられている。レバー234の端部にはロックエレメント238が設けられている。ロックエレメント238は、小さなロックホイール240から成り、これらの小さなロックホイールは、図示したようなロック状態では、ロック凹部242内に位置している。ロック凹部242は、ケーシング216の内面244に設けられている。
【0050】
ソレノイド(Hubmagnet)246は、電気的に作動するアクチュエータとして、ピン248を伴い、ピストン222をロック解除のために軸方向に摺動させる。この場合、ロックエレメント238は、レバー装置232によってロック凹部242から外へと動かされる。基体214は今やケーシング216内で自由に動くことができるようになる。駆動体218は基体214から連結解除され、これにより駆動体218から基体214へとトルクはもはや伝達され得ない。ピストンばね250は、ロックのためにピストン222を再び、図示したようにロック位置へと押し戻す。
【0051】
トルク工具212はこの態様でも、電子的に形成されていて、検出および評価手段を備えた適切な制御電子機器を有している。目標トルクが制御電子機器内に記憶され、その都度加えられるトルクと比較される。このために、加えられるトルクは、例えばトーションバーに設けられたひずみゲージによって検出される。検出および評価手段は、このために、加えられたトルク値を制御電子機器へと送り、制御電子機器は、シグナルトランスミッタとして目標トルクに到達した際に、ソレノイド246を、トルク工具212のリリースのために駆動制御するように操作する。
【0052】
図8には、
図7に示したロック状態における、トルク工具212のための本発明によるリリース機構210の横断面図が示されている。この
図8が
図7に対応する限りは、同じ参照符号も使用される。この図により、基体214が、ロック機構219の領域で駆動体218によって取り囲まれている様子が明らかである。この場合、駆動体218はケーシング216を形成している。ロックのためのロックエレメント238のためのロック凹部242は、ケーシング216の内面244全周にわたって分配されている。ロック機構219のロックエレメント238はこのために、レバー装置232を形成する複数のレバー234によって、ロック凹部242内にピストンばね250のばね力によって押し込まれる。これらのレバー234は、互いに90°の角度を置いて半径方向に配置されている。基体がレバー装置232を介して駆動体218に連結されている限り、トルクは伝達される。リリースの際に連結解除されることにより、基体は駆動体218内で自由に回転可能である。
【0053】
図9には、トルク工具312の本発明によるリリース機構310のための別の実施例がロック状態で示されている。トルク工具312は、リリース機構310の領域で概略的に一部のみが示されている。この図は、トルク工具312の軸方向縦断面図である。トルク工具312は、相応のケーシング316によって取り囲まれている円筒状の基体314を含む。ケーシング316はこの場合、基体314を介してトルクをワークピースに伝達するための駆動体318も成している。駆動体318はこのために、ロック機構320を介して基体314に連結される。
【0054】
基体314は、軸方向の通路322を含んでいる。軸方向の通路322内には軸324が位置している。軸324は、基体314に不動に固定されている。軸324上にはリング体326が位置している。リング体326は軸324に沿って摺動可能に設けられている。リング体326にはレバー装置328が設けられている。レバー装置328は、レバー330を含み、このレバーは、リング体326に、ヒンジ332を介して軸方向で旋回可能に設けられている。
【0055】
レバー330の端部にはロックエレメント334が設けられている。ロックエレメント334は、小さなロックホイール336から成り、これらの小さなロックホイールは、ロック状態では図示したように、ロック凹部338内に位置している。ロック凹部338は、ケーシング316の内面340に設けられている。電気的に作動可能なアクチュエータとして使用されるソレノイド(Hubmagnet)342には、ポット状のシリンダ344が設けられている。ポット状のシリンダ344は、軸324にほぼ相当する直径を有している。基体314とリング体326との間にはばね346が位置している。リング体326は、ポット状のシリンダ344とばね346との間で、ばね負荷による予荷重を受けている。
【0056】
図9に示したようなロック状態で、駆動体318は軸324を、ひいては基体314を駆動する。レバー装置328は、この場合、駆動体318を、基体314に固定された軸324に連結している。
【0057】
図10には、
図9のリリース機構310が示されているが、この場合、ロック解除状態で示されている。これら両図が対応する限りは、同じ参照符号も使用される。目標トルクに到達し、トルク工具がリリースされるべき場合には、ソレノイド342はポット状のシリンダ344で、リング体を軸方向で摺動させロック解除する。この場合、ロックエレメント334は、レバー装置328によってロック凹部338から外へと動かされる。基体314は今やケーシング316内で自由に動くことができるようになる。駆動体318は基体314から連結解除され、これにより駆動体318から基体314へとトルクはもはや伝達され得ない。
【0058】
トルク工具312はこの態様でも、電子的に形成されていて、前述した実施例と同様に、検出および評価手段を備えた適切な制御電子機器を有している。目標トルクが制御電子機器内に記憶され、その都度加えられるトルクと比較される。このために、加えられるトルクは、例えばトーションバーに設けられたひずみゲージによって検出される。検出および評価手段は、このために、加えられたトルク値を制御電子機器へと送り、制御電子機器は、シグナルトランスミッタとして目標トルクに到達した際に、ソレノイド342を、トルク工具312のリリースのために駆動制御するように操作する。
【0059】
図11には、トルク工具412の本発明によるリリース機構410のための別の実施例が原理図で示されている。トルク工具412は、リリース機構410の領域で概略的な一部としてのみ示されている。この場合、ロック機構414を備えたリリース機構410は、ロック状態で示されている。符号416によって、トルク工具412のケーシングが示されている。ケーシング416はこの実施例でも、基体420にトルクを伝達するための駆動体418を成している。基体420はロック機構414を含んでいる。このロック機構414はレバー装置422を含んでいる。レバー装置422は、ヒンジ426を中心として旋回可能に配置されている、ほぼ半径方向の2つのレバー424から成っている。ヒンジ426は、中央の可動ウェブ428の外側端部に位置している。ウェブ428には、プランジャ状の本体430が設けられており、この本体の軸432では、ばね434がウェブ428に予荷重をかけている。
【0060】
レバー424のそれぞれ他方の端部にも、同様にヒンジ436が位置している。図面においてレバー424の下方には、それぞれ1つの湾曲した変向管438が続いている。この湾曲した変向管は、軸方向440から半径方向442へと移行する90°の湾曲を有している。湾曲した変向管438内には、ロックエレメント444が位置している。ロックエレメント444は球である。
【0061】
電気的に作動するアクチュエータとしてのソレノイド(Hubmagnet)448のプランジャ446は、ウェブ428に対して当接している。リリース機構410のロック状態では、ロックエレメント444はレバー424によって変向管438内に押される。最も外側のロックエレメント444aは、この場合、それぞれ、
図11に示したように、ロックのためにロック凹部450内へと移動する。ロック状態では、駆動体418と基体420とは、トルクを伝達するために、常に同じ回転軸線を中心として回転している。
【0062】
トルク工具412はこの態様でも、電子的に形成されていて、前述した実施例と同様に、検出および評価手段を備えた適切な制御電子機器を有している。目標トルクが制御電子機器内に記憶され、その都度加えられるトルクと比較される。このために、加えられるトルクは、例えばトーションバーに設けられたひずみゲージによって検出される。検出および評価手段は、このために、加えられたトルク値を制御電子機器へと送り、制御電子機器は、シグナルトランスミッタとして目標トルクに到達した際に、ソレノイド448を、トルク工具412のリリースのために駆動制御するように操作する。
【0063】
図12には、トルク工具412の本発明によるリリース機構410の
図11の実施例が原理図で示されている。この場合、ロック機構414を備えたリリース機構410は、ロック解除状態で示されている。この
図12が
図11に対応する限りは、同じ参照符号も使用される。
【0064】
ケーシング416は、基体420にトルクを伝達するための駆動体418を形成している。基体420はロック機構414を含んでいる。このロック機構414はレバー装置422を含んでいる。レバー装置422は、ヒンジ426を中心として旋回可能に配置されている、ほぼ半径方向の2つのレバー424から成っている。ヒンジ426は、プランジャ状の本体430を有する中央の可動ウェブ428に位置している。ばね434によって、ウェブ428はばね負荷による予荷重をかけられている。
【0065】
ソレノイド448のプランジャ446は、トルク工具412のリリースの際にウェブ428を押す。この場合、リリース機構410の図示したロック解除状態では、レバー424は湾曲した変向管438の端部によって動かされる。これにより、ロックエレメント444が逃げることができる退避スペース452が生じる。これに対して、ロック凹部450は解放される。これにより、基体420と駆動体418とはもはや互いに連結されていない。したがって、駆動体418は、このリリースされたロック解除状態で、トルクを基体420に伝達することはできない。基体420は、ケーシング416内で自由に回転することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 リリース機構
12 トルク工具
14 基体
16 駆動体
18 駆動体の領域
20 駆動軸
22 駆動体の中空室
24 ソレノイド
26 ソレノイドのピン
28 レバー装置
30 ロック機構
32 回転軸線
34 トグルレバー装置
36 コイルばね
38 軸方向レバー
40 半径方向レバー
42 ヒンジ接続部
44 中央のヒンジ接続部
46 ヒンジ
47 ヒンジプラットフォーム
48 軸方向レバーの外面
50 ロックエレメント
52 球
54 ロック凹部
56 内面
58 反対の側
59 退避スペース
110 リリース機構
112 トルク工具
114 基体
116 ケーシング
118 駆動体
120 軸方向の通路
122 半径方向の孔
124 ロックエレメント
124a 最も外側の球
124b 最も内側の球
126 ストッパ
128 ばね
130 円筒状のプランジャ
132 円錐台形状の付加部
134 レバー装置
136 レバー
138 ヒンジ
140 ヒンジプラットフォーム
142 レバー室
143 拡開部
144 球
146 ロック凹部
148 ケーシングの内面
150 ロック機構
152 ソレノイド
154 ソレノイドのピン
156 退避スペース
210 リリース機構
212 トルク工具
214 基体
216 ケーシング
217 ストッパプレート
218 駆動体
219 ロック機構
220 軸方向の通路
222 ピストン
226 ボールベアリング
228 凹部
230 ボールベアリングのボール
232 レバー装置
234 レバー
236 ヒンジ
238 ロックエレメント
240 ロックホイール
242 ロック凹部
244 ケーシングの内面
246 ソレノイド
248 ピン
250 ピストンばね
310 リリース機構
312 トルク工具
314 基体
316 ケーシング
318 駆動体
320 ロック機構
322 軸方向の通路
324 軸
326 リング体
328 レバー装置
330 レバー
332 ヒンジ
334 ロックエレメント
336 ロックホイール
338 ロック凹部
340 ケーシングの内面
342 ソレノイド
344 ポット状のシリンダ
346 ばね
410 リリース機構
412 トルク工具
414 ロック機構
416 ケーシング
418 駆動体
420 基体
422 レバー装置
424 レバー
426 ヒンジ
428 ウェブ
430 プランジャ状の本体
432 軸
434 ばね
436 ヒンジ
438 湾曲した変向管
440 軸方向
442 半径方向
444,444a ロックエレメント
446 プランジャ
448 ソレノイド
450 ロック凹部
452 退避スペース