(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】生体高分子の機械的加工
(51)【国際特許分類】
A61K 47/36 20060101AFI20230110BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230110BHJP
A61K 31/417 20060101ALI20230110BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230110BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230110BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K9/00
A61K31/417
A61K9/70
A61K9/70 401
A61K9/14
A61K9/10
(21)【出願番号】P 2020542212
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 IB2018057788
(87)【国際公開番号】W WO2019073361
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】102017009799.2
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520128266
【氏名又は名称】ソリープラス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン リヒャルト ドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アソグバ-ザント アネッテ
(72)【発明者】
【氏名】ライ ティナ
(72)【発明者】
【氏名】リーツァウ イーザ
(72)【発明者】
【氏名】マルツェヴァ エレナ
(72)【発明者】
【氏名】フォークト アンドレアス
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-502354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136886(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-33/44
A61K47/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体高分子
材料を製造するための方法であって、
乾燥固体形態の少なくとも1種の生体高分子を粉末として用意する工程と、
水溶液を用意する工程と
を含み、
少なくとも1つの薬学的に活性な成分を用意する工程を含んでもよく、
少なくとも1種の生体高分子と、水溶液と、任意成分である少なくとも1つの薬学的に活性な成分とを混合する工程と、
機械的エネルギーの供給により実質的に均質な分布になるまで
、混合した少なくとも1種の生体高分子と、水溶液と、任意成分である少なくとも1つの薬学的に活性な成分とを湿らせて、実質的に均質な湿った
材料を生成する工程
であって、混練することなく湿らせることを行う工程と、
実質的に均質な湿った
材料を混練
して、生体高分子材料を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1種の生体高分子がヒアルロン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの薬学的に活性な成分が、1つまたは複数の免疫グロブリン、免疫グロブリンの断片または画分、免疫グロブリン、またはその合成、半合成、もしくは生合成の断片もしくは画分を模倣する合成物質、キメラ化、ヒト化、またはヒトモノクローナル抗体、Fabフラグメント、融合タンパク質または受容体拮抗薬、抗血管新生化合物、細胞内シグナル伝達阻害剤 分子質量が3kDa以上のペプチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、プラスミド、ペプチド核酸、ステロイド、コルチコステロイド、副腎皮質抑制剤、抗生物質、抗うつ薬、抗真菌剤、[β]抗アドレナリン剤、アンドロゲンまたは抗アンドロゲン、抗貧血剤、同化剤、麻酔剤、蘇生薬、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗動脈硬化剤、抗生物質、抗線維素溶解剤、抗痙攣剤、抗炎症薬、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗低血圧剤、抗凝固剤、防腐剤、抗出血剤、抗筋無力症剤、消炎剤、解熱剤、β-受容体拮抗薬、カルシウムチャネル拮抗薬、細胞、細胞分化因子、ケモカイン、化学療法薬、補酵素、細胞毒性薬、細胞毒性薬のプロドラッグ、細胞増殖阻害剤、酵素およびその合成または生合成類似物質、グルココルチコイド、成長因子、止血薬、ホルモンおよびその合成または生合成類似物質、免疫抑制薬、免疫刺激剤、マイトジェン、マイトジェンの生理学的または薬理学的阻害剤、鉱質コルチコイド、筋弛緩剤、麻薬、神経伝達物質、神経伝達物質の前駆体、オリゴヌクレオチド、ペプチド、(パラ)交感神経様作用剤、(パラ)交感神経遮断剤、タンパク質、鎮静剤、鎮痙剤、血管収縮剤、血管拡張剤、ベクター、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルス増殖抑制剤、創傷治癒物質、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
生体高分子
材料を製造するための方法であって、
少なくとも1種の生体高分子を含む生体高分子微粒子乾燥粉末を用意する工程と、
水溶液を用意する工程と
を含み、
少なくとも1つの薬学的に活性な成分を用意する工程を含んでもよく、
生体高分子微粒子乾燥粉末と、水溶液と、任意成分である少なくとも1つの薬学的に活性な成分とを混合する工程と、
機械的エネルギーの供給により
、混合した生体高分子微粒子乾燥粉末と、水溶液と、任意成分である少なくとも1つの薬学的に活性な成分とを湿らせて、実質的に均質な
湿った材料を生成する工程
であって、混練することなく湿らせることを行う工程と、
得られた実質的に均質な湿った
材料を混練
して、生体高分子材料を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項5】
少なくとも1種の生体高分子がヒアルロン酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの薬学的に活性な成分が、1つまたは複数の免疫グロブリン、免疫グロブリンの断片または画分、免疫グロブリン、またはその合成、半合成、もしくは生合成の断片もしくは画分を模倣する合成物質、キメラ化、ヒト化、またはヒトモノクローナル抗体、Fabフラグメント、融合タンパク質または受容体拮抗薬、抗血管新生化合物、細胞内シグナル伝達阻害剤 分子質量が3kDa以上のペプチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、プラスミド、ペプチド核酸、ステロイド、コルチコステロイド、副腎皮質抑制剤、抗生物質、抗うつ薬、抗真菌剤、[β]抗アドレナリン剤、アンドロゲンまたは抗アンドロゲン、抗貧血剤、同化剤、麻酔剤、蘇生薬、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗動脈硬化剤、抗生物質、抗線維素溶解剤、抗痙攣剤、抗炎症薬、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗低血圧剤、抗凝固剤、防腐剤、抗出血剤、抗筋無力症剤、消炎剤、解熱剤、β-受容体拮抗薬、カルシウムチャネル拮抗薬、細胞、細胞分化因子、ケモカイン、化学療法薬、補酵素、細胞毒性薬、細胞毒性薬のプロドラッグ、細胞増殖阻害剤、酵素およびその合成または生合成類似物質、グルココルチコイド、成長因子、止血薬、ホルモンおよびその合成または生合成類似物質、免疫抑制薬、免疫刺激剤、マイトジェン、マイトジェンの生理学的または薬理学的阻害剤、鉱質コルチコイド、筋弛緩剤、麻薬、神経伝達物質、神経伝達物質の前駆体、オリゴヌクレオチド、ペプチド、(パラ)交感神経様作用剤、(パラ)交感神経遮断剤、タンパク質、鎮静剤、鎮痙剤、血管収縮剤、血管拡張剤、ベクター、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルス増殖抑制剤、創傷治癒物質、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
形成された生体高分子材料を実質的にまたは完全に乾燥した材料となるまで乾燥させる工程と、
実質的にまたは完全に乾燥した材料を微粒子化して微粒子を形成する工程とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
機械的エネルギーの供給手段がミリングである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の生体高分子および水溶液が約1:1w/vの比で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
形成された生体高分子材料を、マイクロニードルの所望の形状を有する成型アレイに成型する工程と、
成形された生体高分子材料を乾燥する工程とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
形成された生体高分子材料をフィルムに作製することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
このPCT国際特許出願は、本明細書において、2017年10月12日に出願された独国優先権特許出願第102017009799.2号に対する優先権を主張し、その内容すべては、全体として本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される実施形態は、概して、生体高分子を加工する方法、およびこれらの生体高分子を利用する用途に関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の治療用剤形は、1つまたは複数の医薬品有効成分(API)と賦形剤と称する追加の成分との混合物を含む。APIは、疾患の予防、処置、または治療に使用されるかどうかに関わらず、生きている組織または生物に対して薬理学的な影響を及ぼす物質である。APIは、自然に発生することもあれば、合成的に、もしくは組み換え方法により、またはこれらのアプローチの任意の組合せにより生成することもできる。
APIを生きている生物に送達するために多数の方法が考案されており、各々が多かれ少なかれ成功している。従来の経口治療用剤形は、固体(錠剤、カプセル剤、丸剤等)、および液体(液剤、懸濁剤、乳剤等)の両方を含む。非経口的な剤形は、他の剤形の中でもとりわけ、固体および液体、ならびにエアゾール剤(吸入器等により投与される)、注射剤(注射器、マイクロニードルアレイ等で投与される)、局所剤(フォーム、軟膏剤等)、および坐薬を含む。これらの剤形は、低分子量のAPIを送達するのに有効な場合もあるが、これらの方法の各々は1つまたは複数の欠点を有し、例えば、高分子量のAPIでは、バイオアベイラビリティが欠如しており、APIの分布の空間的または時間的成分のいずれかを完全に制御することができない。これらの欠点は、生物学的製剤、すなわち薬学的に活性なペプチド(例えば、成長因子)、タンパク質(例えば、酵素、抗体)、オリゴヌクレオチド(例えば、RNA、DNA、PNA)、ホルモン、および他の天然物質または同様な合成物質を投与することにとって、特に課題となるが、これは、これらの薬理学的に活性な生体分子の多くが、消化器官により、または血液系中で少なくとも部分的に分解され、その後に標的部位に送達されるときには最適以下の投薬量であるためである。
【0003】
したがって、それに限定されるものではないがヒトおよび獣医学を含め、生命科学における改善された薬物送達方法が現在必要とされている。あらゆる新規な薬物送達方法に対する1つの重要な目標は、特定かつ制御可能な期間にわたって、身体中の特定の場所に所望の治療剤を送達することであり、すなわち、身体の特定の臓器および組織への1つまたは複数の物質の送達を、経時的に位置および放出を制御することにより制御することである。この局所化され、かつ時間制御された送達を達成するための方法は、徐放性の薬物送達方法として知られている。身体の特定の臓器および組織にAPIを送達することにはいくつかの潜在的長所があり、例えば、患者コンプライアンスの増大、活性の延長、必要用量の低下、全身性副作用の最小化、およびより性能が高い治療薬の使用の許容である。場合によっては、徐放性の薬物送達方法は、他の場合では使用するのにあまりにも有毒または効き目がない治療剤の投与さえ可能とし得る。
従来、制御された送達の経口投与の固体剤形には、大きく以下の5つのタイプ:リザーバおよびマトリックス拡散溶解、浸透圧、イオン交換樹脂、およびプロドラッグ、が存在する。非経口投与薬に関しては、上の固体剤形の大部分、ならびに注射(静脈内、筋肉内等)、経皮系、および移植が可能である。経口および非経口投与の両方のために、デポ、ポンプ、マイクロおよびナノ粒子を含む多数の製品が開発されてきた。
【0004】
コアリザーバとして機能する高分子マトリックスにAPIを組み込むことは、それらの送達を制御するための1つのアプローチである。そのような薬物送達系を製剤化するための現代のアプローチは、技術的能力ならびに適用の特定の要件に依存する。従来の持続的送達系に関しては、以下の2つの主要な構造的アプローチ:シェル、コーティング、または膜などのバリアを通って拡散することによる徐放化、およびコア、またはコアリザーバの他の成分へのAPIの固有の局所的結合力による徐放化、が存在する。
【0005】
特に生物学的製剤を送達するための、治療剤の制御された送達のための別の戦略は、共有結合もしくは切断可能な結合によって、または多孔質ネットワーク構造の内部への捕捉もしくは吸着によって、治療剤を高分子マイクロおよびナノ粒子に組み込むことである。様々な粒子構造、例えばコア/シェル構造を設計できる。典型的には、1つまたは複数のAPIは、コア中、シェル中、または両方の成分中に含有されている。それらの濃度は、その放出パターンを修正するために、それぞれの成分全体にわたって変更できる。高分子ナノスフェアは、APIの制御された送達に有効である場合もあるが、それらも、いくつかの短所を有する。例えば、それらのサイズが小さいことにより、それらは標的組織内外に拡散する可能性がある。静脈内のナノ粒子の使用も、細網内皮系またはマクロファージによる迅速なクリアランスが原因で、限定的となることもある。それにもかかわらず、高分子マイクロスフェアは、依然として重要な送達ビヒクルである。
上記に鑑み、また薬物送達のための従来の方法およびアプローチのいくつかの短所に鑑みて、薬物送達方法および組成物を改善する、意義深く、長年にわたるがいまだに満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、その中に少なくとも1つの医薬品有効成分が存在する、特定の代表的な方法および製剤、例えば本明細書に記載される特定の方法および製剤を企図していることが理解されよう。
本発明は、医薬品有効成分が、方法もしくは加工の間のいかなる時点にも存在しないまたは使用されない、他の代表的な方法、加工、および製剤も企図しており、したがって、本発明は、医薬品有効成分が最終的な製剤中に存在しない製剤も企図していることも理解されよう。したがって、特定の代表的な方法、加工、および製剤が本明細書に記載される場合、本発明は、そのような方法、加工、および製剤が、適切かつ好適に、必要または要望に応じて適合または修正されてもよく、その結果、医薬品有効成分が、方法または加工の間のいかなる時点にも存在しないかまたは使用されず、その結果、医薬品有効成分が、最終的な製剤中に存在しないことも企図していることも理解されよう。
【0007】
したがって、そのいくつかの例が本明細書に記載される本発明の方法および加工は、少なくとも1つの医薬品有効成分を含むことが任意であるように、実行および実装できることが理解されよう。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、例えば、1つまたは複数の医薬品有効成分を送達するための様々な形態で使用でき、かつ多数の相当な予想外の利点を提供し、多数の用途を有する、生体高分子バルク材料を製造および利用する多数の方法を提供する。これらの様々な形態は、本明細書において、多数の潜在的用途と共により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】生体高分子バルク材料を製造するための方法であって、少なくとも乾燥固体形態の生体高分子を粉末として用意する工程と;水溶液を用意する工程と;任意に、少なくとも薬学的に活性な成分を用意する工程と;用意した成分を、機械的エネルギーの供給により実質的に均質な分布になるまで混合して、実質的に均質な湿った塊を生成する工程と;得られた実質的に均質な湿った塊を、実質的にバルク材料の粘稠度になるまで混練する工程とを含む、方法を図示する図である。
【
図2】生体高分子バルク材料を製造するための方法であって、少なくとも、少なくとも1種の生体高分子を含む生体高分子微粒子乾燥粉末を用意する工程と;水溶液を用意する工程と;任意に、少なくとも薬学的に活性な成分を用意する工程と;生体高分子および水溶液を、機械的エネルギーの供給により実質的に均質な分布になるまで混合する工程と;得られた実質的に均質な湿った塊を、実質的にバルク材料の粘稠度になるまで混練する工程とを含む、方法を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の様々な態様および実施形態に詳細に言及する。本発明の特定の好ましい実施形態の以下の述語および説明は、本発明の原理の理解を促進するように提供される。しかしながら、本発明を限定することが意図されないこと、ならびに本発明の原理のさらなる改変、修正、および応用も含まれていることが理解されるであろう。
別途定義されていない場合、「%質量/質量」という用語は、それぞれの実体(例えば、親水性マトリックス)の総質量に基づく、成分(例えば、高分子化合物)の質量濃度を指す。
さらに、別途定義されていない限り、本明細書において使用される、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表現するすべての数は、「約」という用語によってすべての場合において修飾されるものとして理解されよう。したがって、逆に明示されない限り、本明細書において記載される数のパラメーターは、望ましくかつ意図される特性に依存して変化してもよい近似値である。
【0010】
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、かなりの程度まで、完全無欠に近いまたは本質的に完全無欠であるという度合いを広範に指す、明確な用語であると理解されるものとする。例えば、「実質的に完全な」という用語は、かなりの程度まで、完全に近いまたは本質的に完全であるという完全さの度合いを広範に指す明確な用語であると理解されるものとする。言い換えれば、特定の実施形態では、および非限定的な例として、「実質的に完全な」という用語は、少なくとも約90パーセント以上完全であるか、または、かなりの程度まで、本質的に100パーセント完全であるという完全さの度合いを指すものとする。
本出願の目的で、別途述べられていない場合、粒子径は、好ましくは、顕微鏡で、または写真的手段で測定される。
【0011】
本明細書で使用する場合、「製作する(fabricate)」、「製作」、もしくは「製作すること」、および「製造する(manufacture)」もしくは「製造すること」という用語は、交換可能に使用されてもよい。
含水量は、好ましくは、配合および調製によって決定され、好ましくは、肉眼で見える場合は重量測定手順によって決定される。
本発明は、例えば、1つまたは複数の医薬品有効成分を送達するための様々な形態で使用でき、かつ多数の相当な予想外の利点を提供し、多数の用途を有する、生体高分子バルク材料を製造および利用する多数の方法を提供する。これらの様々な形態は、本明細書において、多数の潜在的用途と共により詳細に記載される。
【0012】
本明細書で使用する場合、「高分子(”polymer”、”polymers”)」、「生体高分子(”biopolymer”、”biopolymers”)」、および「生体高分子の」という用語は、それに限定されるものではないが、1つまたは複数のタンパク質、多糖、炭水化物、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、タンパク質ベース高分子、ヒアルロン酸、キトサン、ペクチン、アラビアゴムおよび他のゴム、小麦タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、植物および微生物の細胞溶解物、前記生体高分子のいずれかのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾体、ならびにそれらの任意の組合せを指すように意図されることが理解されよう。本発明の方法および用途に応じて、これらの高分子または生体高分子のうちの1つまたは複数の使用は、薬物送達組成物の放出特性を修正および改善する際の顕著な利点をもたらす。
【0013】
本発明に従って使用することができる代表的な薬学的に活性な化合物または医薬品有効成分は、それに限定されるものではないが、1つまたは複数の免疫グロブリン、免疫グロブリンの断片または画分、免疫グロブリン、またはその合成、半合成、もしくは生合成の断片もしくは画分を模倣する合成物質、キメラ化、ヒト化、またはヒトモノクローナル抗体、Fabフラグメント、融合タンパク質または受容体拮抗薬(例えば、抗TNF-α、インターロイキン-1、インターロイキン-6等)、抗血管新生化合物(例えば、抗VEGF、抗PDGF等)、細胞内シグナル伝達阻害剤(例えば、JAK1、3およびSYK阻害剤) 分子質量が3kDa以上のペプチド、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸()(DNA)、プラスミド、ペプチド核酸(PNA)、ステロイド、コルチコステロイド、副腎皮質抑制剤(adrenocorticostatic)、抗生物質、抗うつ薬、抗真菌剤、[β]抗アドレナリン剤、アンドロゲンまたは抗アンドロゲン、抗貧血剤、同化剤、麻酔剤、蘇生薬、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗動脈硬化剤、抗生物質、抗線維素溶解剤、抗痙攣剤、抗炎症薬、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗低血圧剤、抗凝固剤、防腐剤、抗出血剤、抗筋無力症剤、消炎剤、解熱剤、β-受容体拮抗薬、カルシウムチャネル拮抗薬、細胞、細胞分化因子、ケモカイン、化学療法薬、補酵素、細胞毒性薬、細胞毒性薬のプロドラッグ、細胞増殖阻害剤、酵素およびその合成または生合成類似物質、グルココルチコイド、成長因子、止血薬、ホルモンおよびその合成または生合成類似物質、免疫抑制薬、免疫刺激剤、マイトジェン、マイトジェンの生理学的または薬理学的阻害剤、鉱質コルチコイド、筋弛緩剤、麻薬、神経伝達物質、神経伝達物質の前駆体、オリゴヌクレオチド、ペプチド、(パラ)交感神経様作用剤、(パラ)交感神経遮断剤、タンパク質、鎮静剤、鎮痙剤、血管収縮剤、血管拡張剤、ベクター、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルス増殖抑制剤、創傷治癒物質、ならびにそれらの組合せを含む。
【0014】
高分子乾燥粉末(凍結乾燥されることもある)が、混練下およびその間に徐々に湿らせられる他の方法に加えて、本発明は、混練が湿潤から分断される、驚くほど都合のよい方法を提供する。好ましい実施形態では、これらの方法は、(1)第1に、高分子(例えば、粉末状の凍結乾燥物または微粒子粉末)を、混練することなく、多少激しく振動/混合させることにより、実質的に均質に湿らせる工程と、(2)第2に、実質的に均質に湿らせられたポリマー材料を混練して、さらなる用途のための材料塊を用意する工程とを含む。本発明のこれらの新規な方法は、いくつかの予想外の長所を有することが発見された。
本発明の方法は、特に、非常に高度な湿潤均質性を有する出発材料に関して特に明確に定義されている、明確に定義された出発材料を使用するため、再現性が高い。本発明の製作方法は、出発材料として、高密度な生体高分子などの高密度な生体材料を使用して開始することが好ましい。
本発明の製作方法のための好ましい出発材料は、例えば実質的に純粋なヒアルロン酸を含むヒアルロン酸である。それでもなお、ヒアルロン酸の使用に加えて、本明細書に記載されるような本発明の方法および用途はまた、同様な様式で、他の生体高分子、生体高分子の混合物、および無機または有機物を含む生体高分子の複合体を利用できることが理解されよう。
【0015】
本明細書に記載される多くの多数の実施形態に加えて、他の好ましい実施形態は、これらのマトリックスを製造する際の品質および効率を増大させることを含む、親水性マトリックスまたは高分子マトリックスの改善された製造を含む。
本発明はまた、薬物送達組成物を製造する方法を広範に包含する。好ましい実施形態では、薬物送達組成物は、少なくとも親水性マトリックスまたは高分子マトリックスを含む。非限定的な例として、薬物送達組成物は、少なくとも、親水性マトリックスまたは高分子マトリックスと、薬学的に活性な化合物との混合物を含む。
【0016】
さらに、非限定的な例として、薬物送達組成物は、少なくとも親水性マトリックスを含み、ここで、親水性マトリックスは、少なくとも1つまたは複数の生体高分子を含み、前記少なくとも1つの高分子を含む1つまたは複数の生体高分子は、少なくとも10,000Da、好ましくは約10,000Da~約4(four)MDa、より好ましくは約20,000Da~約2(two)MDaの分子量を有する。好ましい実施形態では、好適な生体高分子は、それに限定されるものではないが、キトサンを含み、ヒアルロン酸は、親水性マトリックスまたは高分子マトリックスを製造するために使用することができる。他の代表的な生体高分子は、それに限定されるものではないが、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、またはアルギネートのうち1つまたは複数を含むことができる。
【0017】
ここで、特定の代表的な方法および用途を、より詳細に記載する。
製造の実施例A:好ましい一実施形態では、本発明は、生体高分子バルク材料を製造するための方法であって、
- 少なくとも乾燥固体形態の生体高分子を粉末として用意する工程と;
- 水溶液を用意する工程と;
- 任意に、少なくとも薬学的に活性な成分を用意する工程と;
- 用意した成分を、機械的エネルギーの供給により実質的に均質な分布になるまで混合して、実質的に均質な湿った塊を生成する工程と;
- 得られた実質的に均質な湿った塊を、実質的にバルク材料の粘稠度になるまで混練する工程と
を含む、方法を提供する。
製造の実施例B:別の好ましい実施形態では、本発明は、生体高分子バルク材料を製造するための方法であって、
- 少なくとも、少なくとも1種の生体高分子を含む生体高分子微粒子乾燥粉末を用意する工程と;
- 水溶液を用意する工程と;
- 任意に、少なくとも薬学的に活性な成分を用意する工程と;
- 生体高分子および水溶液を、機械的エネルギーの供給により実質的に均質な分布になるまで混合する工程と;
- 得られた実質的に均質な湿った塊を、実質的にバルク材料の粘稠度になるまで混練する工程と
を含む、方法を提供する。
製造の実施例C:さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、医薬品有効成分を含有する生体高分子バルク材料を製造するための方法であって、
- 「製造の実施例A」または「製造の実施例B」に従って生体高分子バルク材料を用意する工程と;
- 医薬品有効成分を粉末または溶液として用意する工程と;および
- 用意した成分を、機械的エネルギーの供給により実質的に均質になるまで混合する工程、
を含む、方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」または「製造の実施例B」に従って製造された生体高分子バルク材料の生体高分子を含む、生体高分子を化学的に架橋する新規な方法を提供する。
化学的架橋の実施例A:好ましい一実施形態では、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」または「製造の実施例B」に従って製造された生体高分子バルク材料の生体高分子を含む生体高分子を化学的に架橋する方法は、少なくとも、「製造の実施例A」または「製造の実施例B」に記載された工程の間の化学架橋剤を、化学架橋剤を水溶液へと溶解させることにより、または水溶液を、架橋剤を含有する媒体で、部分的にまたは完全に置き換えることにより、添加することを含む。その後、化学的架橋の完了は、任意の好適な架橋プロトコルに従って実施できる。
化学的架橋の実施例B:別の好ましい実施形態では、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」または「製造の実施例B」に従って製造された生体高分子バルク材料の生体高分子を含む生体高分子を化学的に架橋する方法は、化学的架橋材料を混練された生体高分子バルク材料に追加することを含む。その後、化学的架橋の完了は、任意の好適な架橋プロトコルに従って実施できる。
【0019】
乾燥の実施例A:さらに別の好ましい実施形態では、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、および「製造の実施例C」に記載されるような生体高分子バルク材料を含む生体高分子バルク材料を製造した後に、1つまたは複数の工程が、生体高分子バルク材料を実質的にまたは完全に乾燥させるために実施されてもよい。同様な様式で、1つまたは複数の工程は、例えば、「化学的架橋の実施例A」または「化学的架橋の実施例B」に記載の生体高分子を含む、生体高分子バルク材料中の生体高分子と化学的に架橋した後に、生体高分子バルク材料を、実質的にまたは完全に乾燥させるために実施されてもよい。
【0020】
製造の実施例D:さらに別の好ましい実施形態では、医薬品有効成分を含有する生体高分子バルク材料を製造するための方法は、「化学的架橋の実施例A」または「化学的架橋の実施例B」に従って生体高分子バルク材料を用意することと;医薬品有効成分を粉末または溶液として用意することと;生体高分子バルク材料および医薬品有効成分を含む成分を、機械的エネルギーの供給により実質的または完全に均質になるまで混合することとを含む。
乾燥の実施例B:さらに別の好ましい実施形態では、1つまたは複数の工程は、製造の実施例Dに従って製造される、架橋された生体高分子バルク材料を実質的にまたは完全に乾燥させるために実施されることもある。
【0021】
(生体高分子バルク材料の代表的な使用)
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、または「製造の実施例D」のいずれかに従って記載される生体高分子バルク材料を含む生体高分子バルク材料の様々な使用を提供する。代表的な例は、適用物を製作するための、または後に使用するために制御された湿度下で保存するための、生体高分子バルク材料の使用を含む。生体高分子バルク材料はまた、その本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、例えば、適切な切断およびフライス加工技術によって、乾燥の実施例Aまたは乾燥の実施例Bに従って記載されるように実質的にまたは完全に乾燥させる、生体高分子バルク材料の微粒子化を提供する。微粒子化された生体高分子材料は、篩い分けもしくはガス/気流分別、または乾燥条件下の固体微粒子を分離する当技術分野の他のあらゆる技術により分類されてもよい。特定の実施形態では、微粒子化された生体高分子粒子は、油へと、または油を含有している溶媒へとその主成分として懸濁されて、それによって懸濁液を作成してもよい。本発明はまた、それに限定されるものではないが、薬学的または化粧用途のための使用;点鼻薬または目薬としての懸濁液の使用;および皮膚に局所適用するための懸濁液の使用を含む、懸濁液の様々な使用を提供する。本発明はまた、肺上皮を標的とする吸入適用のための、微粒子化された生体高分子粒子の使用を提供する。
【0022】
(マイクロニードルアレイを製作するための生体高分子バルク材料の代表的な使用)
好ましい実施形態では、本発明は、マイクロニードルアレイを製作するための、改善された方法を提供する。非限定的な例として、本発明は、マイクロニードルアレイを製作するための生体高分子バルク材料の使用を提供し、ここで、これは、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料の使用、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料の使用を含む。好ましい実施形態では、マイクロニードルアレイを製作することは、生体高分子バルク材料を、任意の所望の幾何学的形状(それに限定されるものではないが、ニードルの長さ、形状、およびアレイ密度を含む)の成型アレイへと圧力下で、ならびにマイクロニードルの任意の所望の形状、サイズ、および密度、ならびに物質特性で成型することにより達成できる。1つまたは複数の鋳型は、生体高分子バルク材料を、成型アレイへと、圧力下で成型するために使用することができる。好ましい実施形態では、乾燥後、および圧力下で成型する間に、マイクロニードルアレイは、鋳型をマイクロニードル表面修飾生体高分子バルク材料から分離することにより得られる。本発明のマイクロニードルアレイは、それに限定されるものではないが、医薬および化粧品の用途を含む、様々な使用および用途のために設計および製作される。マイクロニードルアレイはまた、マイクロニードルアレイが、任意の所望の幾何学的形状(それに限定されるものではないが、ニードルの長さ、形状、およびアレイ密度を含む)、および例えば、純粋な材料から多成分の混合物までの組成物を有することができるような様式で製作できる。さらに、マイクロニードルアレイは、生体高分子バルク材料が、実質的にまたは完全に溶解可能であるか、溶解不可能であるかのいずれかであってもよく、および生体高分子の任意の架橋度を、マイクロニードルアレイを製作する間に所望の結果を達成するように利用できるように製作できる。
【0023】
特定の好ましい実施形態では、(例えば、ケイ素マイクロニードル型を使用して)成型されたマイクロニードルアレイは、純粋または実質的に純粋なヒアルロン酸、ならびに純粋または実質的に純粋なキトサンを使用して製作できる。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、1つまたは複数の薬学的活性成分を経皮および経皮送達するための、マイクロニードルアレイの使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、接触圧力および継続時間の組合せを用いて皮膚に適用するためのマイクロニードルアレイの使用を提供する。皮膚に対する適用のこれらのタイプはまた、包帯技術により制御できる。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、ワクチン接種のためのマイクロニードルアレイの使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、眼内/硝子体内送達のためのマイクロニードルアレイの使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、ブヨもしくは蚊による咬傷、かゆみを伴う皮膚過敏、ニキビスポット、アレルギー性のかゆみを伴うスポット、かゆみを伴う皮膚炎(dermitis)スポット、または局所的にかゆみを伴う皮膚アレイに適用するためのマイクロニードルアレイの使用を提供する。
【0024】
本発明の他の好ましい実施形態では、マイクロニードルアレイは、完全にまたは本質的に、主成分としての実質的に純粋なヒアルロン酸または純粋なヒアルロン酸からなる。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、キトサンマイクロニードルアレイ、またはかゆみを伴う皮膚アレイに適用するためのキトサンを含有するマイクロニードルアレイの使用を提供する。
【0025】
(薄いおよび厚いフィルムを製作するための生体高分子バルク材料の代表的な使用)
本発明はまた、圧力下および後の乾燥下で、任意の形状およびサイズの薄いフィルムおよび厚いフィルムを製作するための生体高分子バルク材料の使用であって、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料の使用、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料の使用、を含む使用を提供する。好ましい実施形態では、フィルムは、フィルムとしての任意の好適な用途のために、または任意の数の布地薄織物に繋げて使用することができる。フィルムは、好ましくは、医薬および化粧品における用途のため、ならびに薄いフィルムおよび厚いフィルムを使用することから利益を得る他の用途のためにも設計および製作される。フィルムはまた、それに限定されるものではないが、平面か、もしくは折り畳めるか、もしくは巻ける形状、または他のあらゆる所望の構造を含む、任意の好適な構造で設計できる。
【0026】
特定の好ましい実施形態では、本発明は、それに限定されるものではないが、皮膚の傷または領域を含む、内面および局所面を覆うためのフィルムの使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、眼に局所的に適用するためのフィルムの使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症の患者に適用するための、または医学または化粧関連の体腔もしくは他のコンフォーマルコーティングの必要性に適用するための、折り畳めるフィルムの使用を提供する。
【0027】
(実質的に固体の物体を製作するための生体高分子バルク材料の代表的な使用)
本発明はまた、それに限定されるものではないが、例えば、フライス加工、切断、穴あけ、および/または穴抜きにより旋盤を利用することによって、成型および機械的処理を用いて製作することを含む、任意の形状およびサイズの実質的に固体の物体を製作するための、本明細書に記載されるような生体高分子バルク材料の使用を提供する。実質的に固体の物体を製作するための、本明細書に記載されるような生体高分子バルク材料の使用は、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料の使用、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料の使用を含み得る。
【0028】
特定の好ましい実施形態では、これらの実質的に固体の物体は、好ましくは、医薬および化粧品における様々な用途のため、ならびに実質的に固体の物体を使用することから利益を得る他の用途のためにも、設計および製作される。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、生体高分子バルク材料が、それに限定されるものではないが、外科用のねじ、ステープル、釘、メス、はさみ、縫合糸、血管閉鎖デバイス等を含む、医療器具、外科用器具、および附属品のための、任意の形状およびサイズの実質的に固体の物体を製作するために使用される場合に、本明細書に記載されるような生体高分子バルク材料の使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、生体高分子バルク材料が、それに限定されるものではないが、化粧用ボール、くし等を含む、化粧用のツールおよび附属品のための、任意の形状およびサイズの実質的に固体の物体を製作するために使用される場合、本明細書に記載されるような生体高分子バルク材料の使用を提供する。
【0029】
(糸または繊維を製作するための生体高分子バルク材料の代表的な使用)
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、糸または繊維を製作するための生体高分子バルク材料の使用を提供する。例えば、糸は、押出し、ミニ押出しを用いて製作できる。糸または繊維を製作するために、生体高分子バルク材料の使用は、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料の使用、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料の使用を含み得る。さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、薄織物(例えば織布または不織布)を、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料を含む本明細書に記載された生体高分子バルク材料から、製造するための繊維または糸の使用を提供する。さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、医学的および化粧用途のための、薄織物(例えば織布または不織布)の使用を提供する。
【0030】
(多孔質材料および/または固体フォームを製作するための生体高分子材料の代表的な使用)
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料の使用、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料の使用を含む本明細書に記載された生体高分子材料から、多孔質材料および/または固体フォームを製作することを提供する。好ましい実施形態では、本発明は、空気(または任意のタイプのガス)充填多孔性を誘導すること、および低密度高体積の生体高分子製剤をもたらすことにより、本明細書に記載された生体高分子材料から、多孔質材料および/または固体フォームを製作することを提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、医学的および化粧用途のための、多孔質材料および/または固体フォームの使用を提供する。
【0031】
(無機-有機ハイブリッド系を製作するための生体高分子材料の代表的な使用)
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような生体高分子材料の複合体を含む、無機-有機ハイブリッド系を製作することを提供する。例えば、これらの無機-有機ハイブリッド系を製作するために使用することができる生体高分子材料は、それに限定されるものではないが、「製造の実施例A」、「製造の実施例B」、「製造の実施例C」、「化学的架橋の実施例A」、「化学的架橋の実施例B」、もしくは「製造の実施例D」のいずれかに従って記載されたような生体高分子バルク材料、または適用物を製作するため、もしくは後に使用するために制御された湿度下で保存するための生体高分子バルク材料、およびその本質的で都合のよい製作流動学的特性を数ヶ月間失うことなく、本質的にまたは実質的に保存できる生体高分子バルク材料を含む、本明細書に別記されるような生体高分子バルク材料を含む。これらの無機-有機ハイブリッド系は、好ましくは、本明細書に記載されるような生体高分子材料の複合体、およびそれに限定されるものではないが、あらゆる種類の、磁性および導電性材料、顔料、触媒粒子、ならびに/または無機マイクロおよびナノ粒子を含む無機物を含む。複合体は、例えば、導電性複合体を含むことができる。特定の実施形態では、本発明は、マイクロニードルアレイを製造するための、そのような導電性複合体の使用を提供する。
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、医療デバイスおよび化粧用途のための、本明細書に記載されるような無機-有機ハイブリッド系の使用を提供する。
【0032】
(代表的な実施例)
以下に、特定の代表的で非限定的な例をより詳細に示し、記載する。他の実施形態、および実施形態の意図した利点の多くは、それらが、付随の詳細な説明を参照することでより一層理解されるようになるので、容易に理解されるであろう。当業者であれば、すべて本発明の範囲内である詳細な説明を読む際に、さらなる特徴および利点を認識するであろう。
(実施例1-出発材料としての凍結乾燥粉末)
2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(篩により分類できる)(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊をもたらす。
(実施例2-出発材料として微粒子粉末を使用する)
乾燥した凝縮物質(微粒子化の後に実施例1で製造されたような)を、分析篩(DIN ISO 3310/1、アパーチャ:80μm、53μm、25μm、20μm)で篩い分けにより分類できる。これにより、80μm超、80~53μm、53~25μm、25~20μm、および20μm未満の微粒子画分をもたらすことができる。これらの微粒子を、後に適用するためのより均質かつより再現可能な品質をもたらす混練可能な塊を、さらに再び生成するために使用することができる。
(実施例3-後に使用するための既に配合された材料の保存)
湿った出発材料(依然として混練可能)を、気密密閉されたバイアルの湿度を上げることにより保存できる。この例では、セルロース紙を、50mlファルコンチューブに入れ、Millipore水(脱イオン化され滅菌されている)で飽和するまで湿らせた。その後、25mlファルコンチューブのカバーを反転させ、水に直接接触することを避けるようにセルロース紙の上に置く。その後、構成全体が水の蒸発を避けるように気密密閉されている限り、様々な量の混練可能な塊を第2のファルコンチューブカバーの上に保存できる。
【0033】
(実施例4-成型した純粋なヒアルロン酸マイクロニードルアレイ)
2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(篩により分類できる)(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊をもたらす。その後、混練した材料を、ケイ素マイクロニードル型(Micropoint Technologies Pte Ltd;高さ350μm、底辺幅150μm;高さ450μmおよび550μm、底辺200μm;ピラミッド形マイクロニードルが、500μmピッチ間隔の10×10正方形アレイで配列されている;パッチサイズは、8×8mmである)に入れる。1つの代表的なマイクロニードルアレイ断面は、高さが350μm、および底辺が150μmの寸法であった。別の代表的なマイクロニードルアレイ断面は、高さが450μm、および底辺が200μmの寸法であった。さらに別の代表的なマイクロニードルアレイ断面は、高さが550μm、および底辺が200μmの寸法であった。その後、1つのガーゼ包帯を、依然として湿っている材料の上部表面に付けた。その後、圧力を、手または表面が平らなデバイス(例えば、ガラス板およびクランプ)によりかけることができ、およびマイクロニードルを、型中の圧力により/それによらずに、直ちに、または乾燥させた後に除去できる。マイクロニードルアレイを、それに限定されるものではないが、長さおよび底辺に関する幾何学的形状を含む、任意の所望の幾何学的形状を有するように成型できる。
(実施例5-成型した純粋なキトサンマイクロニードルアレイ)
1(One)gのキトサン(M.W.:50,000~1,000,000;Chitopharm S;ロット:UPBH0243PR)800μlの酢酸(Rotipuran100%)、および1,200μlのMillipore水(脱イオン化され滅菌されている)を含むIKA TUBE MILL C S000中で、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削した。その後、湿らせた材料を、共に混練し、実質的に均質な塊を形成する。混練した材料を、ケイ素マイクロニードル型(Micropoint Technologies Pte Ltd;高さ350μm、底辺幅150μm;高さ450μmおよび550μm、底辺200μm;ピラミッド形マイクロニードルが、500μmピッチ間隔の10×10正方形アレイで配列されている;パッチサイズは、8×8mmである)に入れる。マイクロニードルアレイの1つの代表的な断面は、高さが350μm、および底辺が150μmの寸法であった。マイクロニードルアレイの別の代表的な断面は、高さが450μm、および底辺が200μmの寸法であった。マイクロニードルアレイのさらに別の代表的な断面は、高さが550μm、および底辺が200μmの寸法であった。1つのガーゼ包帯を、依然として湿っている材料の上部表面に付けた。圧力を、2枚のガラス板(5cm×5cm×0.6cm)およびクランプにより、充填した型にかけた。その後、この構成全体を、空気により、60℃で24時間乾燥させた。
1つの研究では、キトサンマイクロニードルを、かゆみを伴う蚊咬傷を持つ4人のボランティアに対して試験した。マイクロニードルを、標準圧力およびいくらかのこする動作により、同じスポットに複数回適用した。すべてのボランティアは、適用が心地よいと感じた。かゆみは、1~2分後に効果的に押さえられ、丸一日それが続いた。
【0034】
(実施例6-ヒスタミン含有ヒアルロン酸マイクロニードルアレイ)
ヒスタミンジヒドロクロリド(ロット:WXBC1586V;Sigma-Aldrich)を、0.3%(m/m)の濃度で、Millipore水(脱イオン化され滅菌されている)中に溶解させた。1(One)mlのこの溶液を、IKA TUBE MILL C S000(25,000rpm、2分、15秒間隔、1秒中断)により、1(One)gの凍結乾燥されたヒアルロン酸粉末(分析篩により分類された、25μm~53μm)中に分散させた。その後、湿らせた材料を、共に混練し、実質的に均質な塊を形成する。その後、混練した材料を、ケイ素マイクロニードル型(Micropoint Technologies Pte Ltd;高さ350μm、底辺幅150μm;高さ450μmおよび550μm、底辺200μm;ピラミッド形マイクロニードルが、500μmピッチ間隔の10×10正方形アレイで配列されている;パッチサイズは、8×8mmである)に入れる。1つのガーゼ包帯を、依然として湿っている材料の上部表面に付けた。圧力を、2枚のガラス板(5cm×5cm×0.6cm)、およびクランプにより、充填した型にかけた。その後、この構成全体を、空気により、60℃で24時間乾燥させた。
【0035】
原理の証明:制御された、膨れ、赤み、およびかゆい感覚を、ヒスタミン装填マイクロニードルを適用することにより経時的に誘導した(10分後に十分な効果)。皮膚に対する影響は、角質細胞の表面薄層をマイクロニードルが貫通しなければ、ヒスタミン溶液の小滴によっては認められなかった。
【0036】
(実施例7-フィルム/シートの製造)
特定の実施形態では、ヒアルロン酸の薄いフィルム/シートは、好ましくは、ガラス板の間でマトリックスを圧し、フィルム/シートが乾燥するまで圧力を維持することにより製造できる。そのプロセスは、フィルム/シートに密に接触させて、湿潤性の布地薄織物を追加することにより加速できる。フィルムは、レーザーアブレーションまたは機械的作用により、あらゆるタイプの破断パターンへと変化させることができる。
【0037】
1つの研究では、2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊にする。その後、実質的に均質な混練可能な塊を、2枚のガラス板(6cm×6cm×0.6cm)の間に置く。実質的に透明なフィルムも、同様な様式で製作できる。
その後、過剰な材料を、必要または要望に応じて除去して、最終製品を製作できる。
【0038】
(実施例8-油懸濁液)
油懸濁液に関して:本発明の高分子または高分子/薬物材料に基づくマイクロおよびナノ粒子を、溶媒としての油または油性組成物中で懸濁する。油懸濁液は、予想外かつ驚くべきことに、凝集または合体に対して安定である。
【0039】
1つの研究では、2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊を生成する。その後、この手法により形成した塊を、乾燥するためにより大きな表面を形成するようにばらばらにし、60℃で24時間乾燥させた。その後、乾燥物質を、IKA TUBE MILL C S000(25,000rpm、3分、15秒間隔、1秒中断)を使用することにより微粒子化し、分析篩(アパーチャ:106μm、80μm、53μm、25μm、20μm)により分類した。その後、53μm~25μmの微粒子の10(Ten)mgの画分を、1mlのGelo Sitin鼻用オイル(PZN:03941654;ロット:243604;以下のものを含有:ゴマ油、炭酸ジカプリリル(dicaprylyl carbonat)、オレンジ油、レモン油、抗酸化剤混合物)中に懸濁させた。
別の研究では、高分子フォームまたは多孔質体に関して、驚くべきことに、気相をバルク物質へと分散させることによって高分子物質(本発明に従って本明細書に記載されるような)を発泡構造へと変化させることにより、水よりも低密度な材料がもたらされることが観察された。
【0040】
(実施例9-架橋を用いるおよび用いない、ヒアルロン酸(HA)フォーム)
9.1.最初は、架橋溶液:BDDE(1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル95%;ロット:1065835)および酢酸(Rotipuran;100%)を、2:1の比率で混合した。その後、この溶液を、millipore水と、1:8の比率で合わせた。この液体(HA1g当たり1mlの液体)を、IKA TUBE MILL C S3000(25,000rpm、2分、15秒間隔、1秒中断)により、HAの凍結乾燥粉末へと分散させることで、湿った多孔質(フォーム)構造をもたらす。その後、架橋プロセスを、気密密閉して、1時間、60℃に加熱することにより活性化する。活性化の後、構成全体を、60℃で24時間乾燥させる。
9.2.混練可能な塊を、実施例1(出発生成物として凍結乾燥粉末を使用する)として述べられる手法で製造する。その後、この混練可能な塊を、中に混練することにより、400mgの乾燥粉末NaHCO3と混合した。その後、この物質の形成された球を、60℃で24時間乾燥させた。乾燥後、体積が明白に増大し、表面上の一部の割れ目が顕著であった。
【0041】
(実施例10-塊状体の形成(例えば、型からの花))
本発明に従って、塊状体を形成できる。肉眼で見える混練し乾燥させた材料を、フライス加工、切断、穴あけ、および成型等により、例えば旋盤で、すべての種類の造形および形成にかけることができる。
【0042】
10.1. 1つの研究では、2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊を生成する。その後、混練可能な塊を、異なる塊状体を形成する異なるシリコーン型を使用することにより、任意の形状で成型することができる。花状物体の繊細な構造を有する成型体を含め、成型された物体を、60℃で24時間乾燥した後に形成できる。
10.2.その後、混練可能な塊のより大きいバッチを、含まれる水の大部分を蒸発させるために、60℃で、72時間乾燥させることができる。
乾燥した後に、その後、未処理の生成物を、穴をあける、切断する、フライス加工する、または彫刻して、様々な形状および構造、例えば、形成できる螺旋構造または異なる切断面を形成できる。
【0043】
(実施例11-フィラメント構造の形成)
織布薄織物、糸、および他のタイプのフィラメント構造は、例えば、ミニ押出機の作用を使用するなどにより、本発明の高密度な高分子材料(または、高分子/高分子もしくは高分子/薬物の混合物)などの高分子材料に基づいて製造され、これらのフィラメント構造は、編組、製織等に使用することができる。
1つの研究では、2~5(two to five)gの範囲の、ヒアルロン酸(「HA」)Na塩(バッチ:041213-E2-P1;1.64MDa;Contipro Biotech)の凍結乾燥粉末、およびHA1g当たり1mlの滅菌された脱イオン水(Millipore;Direct Q-3 UV-R)を、IKA TUBE MILL C S000に入れ、25,000rpmで2分間、1秒中断の15秒間隔で研削する。その後、湿らせた材料を、折り畳み、かつ圧力をかけることにより混練して、実質的に均質な塊を生成する。その後、混練した塊を糸に形成し、糸を様々なフィラメント構造および薄織物のための出発材料として使用する。
【0044】
(実施例12-架橋の例。)
化学的架橋は、本明細書でさらに記載されるように実施でき、種々の応用のすべては、機械的、流動学的、溶解可能、および生分解性の特性を望み通り制御するために、共有結合架橋により修正できる。
1つの研究では、架橋溶液を最初に混合した:BDDE(1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル95%;ロット:1065835)および酢酸(Rotipuran;100%)を、2:1の比率で混合した。その後、この溶液を、millipore水と、1:8の比率で合わせた。この液体(1gのヒアルロン酸または「HA」当たり1mlの液体)を、IKA TUBE MILL C S3000(25,000rpm、2分、15秒間隔、1秒中断)により、HAの凍結乾燥粉末へと分散させることで、湿った多孔質(フォーム)構造をもたらす。その後、架橋プロセスを、気密密閉して、1時間、60℃に加熱することにより活性化する。分散させた直後、架橋液体の塊状体を、圧力下で成型し、60℃で24時間乾燥させることにより形成することができる。一例では、架橋HAの1.0600gの物体を、25mlのMillipore水中に、1ヶ月超にわたって保存した。等量の非架橋HAは、1日未満で溶解していたであろう。溶媒粘度の変化は観察されなかった。
【0045】
(実施例13-ヒアルロン酸マイクロニードル)
走査型電子顕微鏡の画像を使用して、本発明に従って製作されるヒアルロン酸マイクロニードルの詳細を例証した。本明細書に別記されるように、特定の好ましい実施形態では、(例えば、ケイ素マイクロニードル型を使用して)成型されたマイクロニードルアレイは、純粋または実質的に純粋なヒアルロン酸、ならびに純粋または実質的に純粋なキトサンを使用して製作できる。