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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】置換空気流出部
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20230110BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20230110BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20230110BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/068 B
F24F13/14 D
F24F13/14 E
F24F13/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020551829
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019063771
(87)【国際公開番号】W WO2019229044
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】102018112959.9
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519331604
【氏名又は名称】クランツ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Krantz GmbH
【住所又は居所原語表記】Uersfeld 24, 52072 Aachen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ マクルラ
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー ロスブルフ
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第02366082(EP,B1)
【文献】独国特許出願公開第03921813(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第105485765(CN,A)
【文献】特開2009-046069(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00982550(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0023198(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00924474(EP,A2)
【文献】特開平08-128715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
F24F 13/068
F24F 13/14
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線を有する細長く延びるハウジング(2)を備えた置換空気流出部(1,1’)であって、前記ハウジング(2)が空気分配室(16)を取り囲んでおり、前記ハウジング(2)が、
給気を供給するための接続管片(11)が配置されている空気流入横断面(10)と、
パーフォレーション(13)を有する少なくとも1つの第1の側壁(8)であって、前記パーフォレーションの合計が第1の空気流出面を形成する、第1の側壁(8)と、
少なくとも一列のノズル(14)が配置されている第2の側壁(7)であって、前記ノズル(14)の流出面(15)の合計が第2の空気流出面を形成する、第2の側壁(7)と、
を有しており、
前記第1の側壁(8)および前記第2の側壁(7)が、それぞれ1つの長手方向軸線を有しており、該長手方向軸線が、互いに対して平行に、かつ前記ハウジング(2)の前記長手方向軸線に対して平行に延びており、
前記空気分配室(16)内に、前記ハウジング(2)の前記長手方向軸線に対して平行に延びる、細長く延びる調節エレメント(17,17’)が配置されており、該調節エレメント(17,17’)が、1つの長辺側で回転可能に支承されており、前記調節エレメント(17,17’)は、前記ハウジング(2)内で、前記調節エレメント(17,17’)が前記空気流入横断面(10)と前記第1の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する第1の位置(21)から、前記調節エレメント(17,17’)が前記空気流入横断面(10)と前記第2の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する第2の位置(22)へと移行可能である、置換空気流出部において、
前記第1の側壁(8)と、前記第2の側壁(7)とが、突合せライン(20)に沿って互いに突き合わせられていることを特徴とする、置換空気流出部。
【請求項2】
前記調節エレメント(17,17’)が、第3の位置(23)または別の複数の位置に移行可能であり、該第3の位置または別の複数の位置において、前記調節エレメント(17,17’)が前記空気分配室(16)内に突入する、請求項1記載の置換空気流出部。
【請求項3】
前記ハウジング(2)が多角形の横断面を有している、請求項1または2記載の置換空気流出部。
【請求項4】
前記ハウジング(2)が、該ハウジング(2)の長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を備えた、水平方向に配向された上側の側壁(5)と、該上側の側壁(5)に接続する、前記ハウジング(2)の長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線をそれぞれ備えた鉛直方向に配向された2つの側壁(6,9)とを有しており、前記第1の側壁(8)が、水平方向に対して30°~50°、好適には45°だけ傾斜しており、前記第2の側壁(7)が、水平方向に対して10°~20°、好適には15°だけ傾斜している、請求項1から3までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項5】
鉛直方向に配向された複数の側壁(9)のうちの1つが、前記第1の側壁(8)に隣接し、かつパーフォレーション(12)を備えている、請求項4記載の置換空気流出部。
【請求項6】
前記調節エレメント(17,17’)の回転軸線(31)が、前記第1の側壁(8)と前記第2の側壁(7)との間の領域に位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項7】
前記調節エレメント(17,17’)が金属薄板から形成されており、該金属薄板が、前記ハウジング(2)の鉛直方向断面で見て、前記第1の位置(21)における前記調節エレメント(17,17’)上への前記第1の側壁(8)、または前記第1および隣接する鉛直方向に配向された側壁(9)のパーフォレーション加工された領域(13)の投影図に一致するか、またはこの投影図を10%まで上回る幅(b,b‘)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項8】
前記置換空気流出部(1)の横断面で見て、前記調節エレメント(17,17’)が、その第1の位置(21)において、パーフォレーション(13,12)の領域における前記第1の側壁(8)および隣接する鉛直方向に配向された側壁(9)の輪郭に沿うように、前記調節エレメント(17,17’)が曲げられている、請求項4から7までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項9】
前記調節エレメント(17,17’)の回転軸線(31)は、ロッド(30)の長手方向軸線によって形成されており、前記調節エレメント(17,17’)が、機械的な調節手段(28)を有しており、該調節手段(28)により前記調節エレメント(17,17’)が、前記個別の位置(21,22,23)へと移行可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項10】
横断面で見て、水平面上への前記ノズル(14)を備えた前記第2の側壁(7)の投影図が、水平面上へのパーフォレーションを有する第1の側壁(8)の投影図よりも幅広である、請求項1から9までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項11】
前記接続管片(11)が、前記調節エレメント(17,17’)の回転軸線(31)に対峙して位置している、請求項6から10までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項12】
前記ノズル(14)内に、それぞれ1つの回転フラップ(32)が配置されており、該回転フラップ(32)は、それぞれ回転軸線(33)を中心として回転可能に支承されており、それぞれ、前記回転フラップ(32)が前記ノズル(14)の前記流出面(15)を完全に遮断する閉鎖位置から、前記回転フラップ(32)がそれぞれの前記ノズル(14)の前記流出面(15)を完全に開放する開放位置(35)へと移行可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の置換空気流出部。
【請求項13】
前記回転フラップ(32)の前記回転軸線(33)が、前記ノズル(14)の中心軸線(37)に対して垂直方向の平面で回転可能である、請求項12記載の置換空気流出部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向軸線を有して細長く延びるハウジングを備えた置換空気流出部であって、ハウジングが空気分配室を取り囲み、ハウジングが、
給気(Zuluft)を供給するための接続管片が配置されている空気流入横断面と、
パーフォレーションを有する少なくとも1つの第1の側壁であって、パーフォレーションの合計が、第1の空気流出面を形成する、第1の側壁と、
少なくとも一列のノズルが配置されている第2の側壁であって、ノズルの流出面の合計が、第2の空気流出面を形成する、第2の側壁と、
を有している、置換空気流出部に関する。
【背景技術】
【0002】
産業的な換気設備は、コスト上の理由から典型的には冷却機なしに使用され、換気は外気の供給によって行われる。室内空気の冷却のために、外気はできるだけ室天井に沿って導入されるので、外気は室床上へと「流れ落ち」、隙間風のない室冷却が達成される。置換空気流出部の重要な基準は、小さなインパルスでの空気の導入であるので、給気と室内空気とのできるだけ小さな混合が高さにわたって行われる。しかし、この種の冷却は、外気が室内空気よりも冷たい場合にしか行うことができない。たとえば夏日に外気温が25℃を越える場合、空気冷却は大抵、エネルギを消費する冷却機を介してしか達成することができない。
【0003】
独国特許出願公開第102014107957号明細書には、夏日にも人間にとって心地よい室内気候を外気によって達成することができる可能性が示されている。このために、この公知の置換空気流出部は、下端部において、環状に配置されたノズルを備えたノズルボディを有している。これらのノズルを介して給気は、増加した速度を有する部分体積流で室に放出される。この増加した空気運動は、人間にとって室温が高い場合に極めて心地よく感じられる。なぜなら、この空気運動は汗の蒸発を促すからである。公知の置換空気流出部は、管状に構成されているので、置換空気流出部は、一方では大きな構造高さを有しており、他方では単に「点状」にしか作業スペースに作用しない。さらに、公知の置換空気流出部は多数の構成部材を有しているので、構造的に手間のかかる構造を有している。
【0004】
独国特許出願公開第3921813号明細書からは、少ない塵埃粒子が室内空気と混合かつ分配され、室床の方向への改善された置換が達成され、これにより作業領域における塵埃濃度が減じられる点で優れている、置換空気流出部が公知である。
【0005】
独国特許出願公開第2842727号明細書は、制御フラップを備えた空気流出部に関する。この制御フラップは、不快に感じられる隙間風現象が発生しないように調節可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、大面積の用途に適しているだけではなく、技術的に簡単な構造を有する代替的な置換空気流出部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
冒頭で述べた置換空気流出部を起点として、この課題は、第1の側壁および第2の側壁がそれぞれ1つの長手方向軸線を有しており、これらの長手方向軸線が、互いに対して平行に、かつハウジングの長手方向軸線に対して平行に延びており、空気分配室内に、ハウジングの長手方向軸線に対して平行に延びる、細長く延びる調節エレメントが配置されており、この調節エレメントが、1つの長辺側で回転可能に支承されており、調節エレメントは、ハウジング内で、この調節エレメントが空気流入横断面と第1の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する第1の位置から、調節エレメントが空気流入横断面と第2の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する第2の位置へと移行可能であることによって解決される。請求項1の趣旨において、「細長く延びる」ハウジングとは、ハウジングの長さが、ハウジングの幅および高さの複数倍であることを意味している。ハウジングの長さは、ハウジングの幅および/または高さの少なくとも2倍の大きさである。設置箇所の寸法設計に応じて、ハウジングの長さは、幅および/または高さの10倍または20倍であってよい。当然ながら、ハウジングの寸法設計は個別の要望に適合されていてよい。
【0008】
第1の側壁および第2の側壁の互いに対して平行、かつハウジングの長手方向軸線に対して平行な配向により、給気の流出が常にハウジングの長手方向軸線に対して垂直方向に行われる。したがって、ハウジングを、室天井に対して平行に配置することができ、給気は、ハウジングの長さにほぼ対応する長さにわたって室内に放出される。第1の側壁のパーフォレーションおよび/または第2の側壁におけるノズルの配置は、側壁の全長に沿って設けられていてよく、または側壁の端部から20cmまでの間隔を置いて終端していてもよい。
【0009】
パーフォレーションを有する第1の側壁を介して、給気は緩慢にかつ小さなインパルスで均一に室内に放出される。約0.6m/s~最大1m/sまでの流出速度は、第1の側壁のほぼ全面にわたって存在する。側壁は、穴付き金属薄板によって形成されていてよい。開口の割合は、側壁面積の20%~35%であることが望ましい。第1の側壁は、その閉じている割合により、給気に対する抵抗を形成するので、第1の側壁全体にわたる給気の均一な分配が、接続管片の寸法設計および位置とは無関係に行われる。第1の側壁を介した換気は、外気温が室温よりも低い場合に有効である。
【0010】
外気温が室温を上回ると、心地よい室気候の達成は、本発明に係る置換空気流出部の第1の側壁を介した給気の供給を介してはもはや不可能である。この場合に、効果的かつ人にとって心地よく感じられる換気を得るために、ノズルを備えた第2の側壁が使用される。給気は、高い流出速度でノズルを出るので、乱流の混合換気が発生し、この混合換気は高い室温でも心地よく感じられる。流出速度は、ここではほぼ10m/sであり、つまり第1の側壁における流出速度の10倍である。したがって、心地よい室気候は、給気温度が暖かいにもかかわらず、高い空気速度と、ひいては人に生じる発汗の蒸発とによって達成され、コストのかかる冷却機を省略することができる。
【0011】
上述の両換気種類の間の調節は、細長く延びる調節エレメントを介して行われる。調節エレメントは、第1の位置では、パーフォレーションを介した給気の流出を阻止し、第2の位置では、ノズルを介した給気の流出を阻止する。したがって、室の換気は第1の位置ではノズルを介して、第2の位置ではパーフォレーションを介して行われる。
【0012】
調節エレメントの本発明による調節は、第1の空気流出横断面(パーフォレーション)を完全に閉鎖する可能性を提供するので、給気全体をノズルへの流れのために提供することができる。これにより、本発明に係る空気流出部の作用効率は乱流の混合換気で最大限であり、公知の空気流出部に比べて最適化されている。本発明に係る空気流出部は、「乱流の混合換気」の換気種類でも、「乱流の少ない置換換気」の換気種類でも運転することができるので、互いに異なる2つの換気種類が本発明による機器により可能である。
【0013】
空気流入横断面と第1の空気流出面または第2の空気流出面との間の流れ横断面の遮断は、たとえばパーフォレーションまたはノズル流入横断面を覆うことにより行うことができる。したがって、空気流出面が直接に閉鎖される。代替的には、空気流出面の間接的な閉鎖も可能である。
【0014】
本発明の好適な変化形によれば、調節エレメントが、第3の位置または別の複数の位置に移行可能であり、この第3の位置または別の複数の位置において、調節エレメントが空気分配室内に突入していることが規定されている。これにより、給気が置換空気流出部を第1の空気流出面、つまりパーフォレーションを介しても、第2の空気流出面、つまりノズルを介しても出ることができ、層流の換気と乱流の換気との混合形状が存在することが達成される。さらに、調節エレメントを空気分配室内の異なる位置でロックすることができ、これによりパーフォレーションおよびノズルへの給気の様々な配分を行うことができるので有利である。したがって、給気は多かれ少なかれ乱流にされてよく、空気流出部を流出する給気の流れ状態の適合が個別に可能である。個々のユーザは、空気運動の個別の調節を実施することができ、層流の空気と乱流の空気との割合を無段階に選択することができる。
【0015】
ハウジングが、多角形の横断面を有していると有利である。なぜならば、これにより技術的に簡単にハウジングを形成することができるからである。したがって、第1の側壁は、たとえば簡単な穴付き金属薄板によって形成することができる。確かにハウジングの横断面が三角形に形成されていることも可能であるが、四角形またはより多角形の横断面がより有効である。ハウジングの四角形の横断面では、さらに、換気すべき室に面した側壁が、一方ではパーフォレーションを備える第1の側壁、他方ではノズルを備えた第2の側壁を形成するように分割されることも可能である。
【0016】
ハウジングの構成に関して、ハウジングが、水平方向に配向された上側の側壁と、この上側の側壁に接続する鉛直方向に配向された2つの側壁とを有しており、第1の側壁が、水平方向に対して30°~50°、好適には45°だけ傾斜しており、第2の側壁が、水平方向に対して10°~20°、好適には15°だけ傾斜していると特に有利である。したがって、ハウジングの少なくとも五角形の横断面が存在する。側面の傾斜により、給気が室床の方向に向かって斜めに配向されており、人の作業領域に間接的または直接的に到達することが達成される。
【0017】
室内への層流の給気の水平方向での進入深さを向上させるために、鉛直方向に配向された第3の側壁が、第1の側壁に隣接し、かつパーフォレーションを備えていることが可能である。給気は、第3の側壁をほぼ水平方向で出て、まず水平方向で流れる。これにより、室内への進入深さが向上する。さらに、第3の側壁が、その全高にわたって、またはその高さの一部のみにわたってパーフォレーションを備えていることも可能である。
【0018】
有利には、第1の側壁と、第2の側壁とが、突合せラインに沿って互いに突き合わせられる。したがって、本発明による空気流出部が両方の換気種類で同一の領域を換気することが保証されている。
【0019】
調節エレメントは、その回転軸線が第1の側壁と第2の側壁との間の領域に位置している場合、技術的に極めて簡単に形成することができる。したがって、第1の側壁と第2の側壁とが突合せラインに沿って互いに突き合わせられている上述の場合、調節エレメントの回転軸線は突合せラインの領域に位置している。
【0020】
さらに、調節エレメントが、第1の位置における調節エレメント上への、第1の側壁または第1の側壁および第3の側壁のパーフォレーション加工された領域の投影図に一致するか、またはこの投影図を10%まで上回る幅を有する金属薄板から形成されると有利である。この形式により、一方では製造が廉価であり、他方ではあまりメンテナンスが要求されない技術的に極めて簡単な調節エレメントを達成することができる。
【0021】
代替的には、調節エレメントが、置換空気流出部の横断面で見て、この調節エレメントが第1の位置で、パーフォレーションの領域における第1の側壁および第3の側壁の輪郭に沿うように、曲げられていてもよい。したがって、調節エレメントは、該当する側壁のパーフォレーションをその第1の位置で直接に覆って、該当する側壁に当て付けられている。
【0022】
本発明の特に好適な実施形態によれば、調節エレメントの回転軸線は、ロッドの長手方向軸線によって形成されており、調節エレメントは、機械的な調節手段を有している。この調節手段により、調節エレメントは個別の位置へと移行可能である。たとえば、調節手段は、レバーによって形成されていてよい。レバーは、調節エレメントのロッドに取り付けられており、ハウジングから出るようにガイドされている。これは、最も簡単、かつしたがって最も頑丈かつ最も廉価な種類の調節手段を成す。
【0023】
横断面で見て、水平面への第2の側壁の投影図が、水平面への第1の側壁の投影図よりも幅広であると有利である。
【0024】
さらに、空気流入管片が、調節エレメントの回転軸線に対峙して位置していると有利である。この場合、第1の側壁および第2の側壁も、空気流入管片に向かい合って位置しており、空気流入管片への均一な流れが与えられている。さらに、空気流入管片に向かい合う調節エレメントの回転軸線の配置により、第1の位置から第2の位置へ、または第2の位置から第1の位置への調節エレメントの調節が良好に可能であることが保証されている。第3の位置への調節エレメントの配置も、この形式により有意に可能である。
【0025】
有利には、ノズル内に、それぞれ1つの回転フラップが配置されており、回転フラップは、それぞれ回転軸線を中心として回転可能に支承されており、それぞれ、回転フラップがノズルの流出面を完全に遮断する閉鎖位置から、回転フラップが各ノズルの流出面を完全に開放する開放位置へと移行可能である。これにより、ノズルから流出する給気の方向を変更することができる。これにより、ノズルの流出横断面を閉鎖する第2の可能性も与えられている。
【0026】
回転フラップの回転に関して、さらに、回転フラップの回転軸線が、ノズルの中心軸線に対して垂直方向の平面内で回転可能であると有利であり得る。言い換えると、この場合、回転軸線は、ノズルの中心軸線に対して平行に延びるかまたは中心軸線に一致する軸線を中心として、回転可能である。ノズルフラップの回転軸線を変更することができる可能性により、ノズルの吹出し方向に関して別の可能性が与えられている。
【0027】
最終的に、従属請求項に記載の種々の特徴は、本発明の変化形においてそれぞれそれ自体個別にも、任意の組み合わせにおいて複数でも実施することができることに留意されたい。
【0028】
上述の本発明を以下に図面に示した実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る置換空気流出部の3次元図である。
図2図1に示した置換空気流出部の垂直断面図である。
図3】異なる位置の調節エレメントを備えた置換空気流出部の図2と同様の垂直断面図である。
図4】別の異なる位置の調節エレメントを備えた置換空気流出部の図2と同様の垂直断面図である。
図5】別の異なる位置の調節エレメントを備えた置換空気流出部の図2と同様の垂直断面図である。
図6】代替的な置換空気流出部の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で示す実施形態では、構造的に同一の構成部材および同一に作用する構成部材には同一の参照符号が与えられている。見やすくするために、複数の図面で繰り返し示される全ての構成部材を各図面で改めて示すことはしない。
【0031】
図1には、本発明に係る置換空気流出部1が3次元図で示されている。置換空気流出部1は、2つの端面壁3,4および5つの側壁5,6,7,8,9を備えた細長く延びるハウジング2を有している。上側の側壁5は水平方向に配向されており、この上側の側壁5に続く2つの側壁6,9は鉛直方向に配向されており、したがって上側の側壁5と直角を形成する。上側の側壁5には、空気流入横断面10が設けられている。この空気流入横断面10には、給気を供給するための接続管片11が取り付けられている。代替的には、端面側または鉛直方向の側壁において給気の供給を行うことも可能である。
【0032】
長手方向で測定したハウジング2の長さLは、ハウジング2の幅Bまたは高さHよりも複数倍大きい。本実施例では、ハウジング2の長さLは、2mであり、幅Bは、0.3m、高さHは、0.40mである。
【0033】
換気される室Rに面して鉛直方向に配向された前側の側壁9は、反対側に位置する鉛直方向に配向された側壁6よりも小さな高さH’を有しており、前側の側壁9は、その高さH’のほぼ半分の高さにわたって、パーフォレーション12を備えている。図1では、互いに離間した複数の孔を有する、平行に配置された3つの列を確認することができる。
【0034】
鉛直方向の前側の側壁9に隣接した側壁8は、水平方向に対して傾斜しており、その面積全体にわたってパーフォレーション13を備えている。これらのパーフォレーション13は、鉛直方向の側壁9のパーフォレーション12と同様に形成されている。側壁8は、以下で第1の側壁8とも呼ばれる。両側壁8,9のパーフォレーション12,13の合計が、置換空気流出部1の第1の空気流出面を形成する。しかし本発明に係る置換空気流出部1は、パーフォレーション加工された1つの側壁8、すなわち第1の側壁8のみを有して形成されていてもよい。鉛直方向に配向された側壁9のパーフォレーション12は省略することができる。
【0035】
最終的に、ハウジング2は、同様に水平方向線に対して傾斜した側壁7をさらに有している。この側壁7は、一方では第1の側壁8に、他方では鉛直方向の後側の側壁6に隣接している。傾斜した側壁7は、以下では第2の側壁7とも呼ばれ、一列のノズル14を備えている。ノズル14の個別の流出面15の合計が、置換空気流出部1の第2の空気流出面を形成する。
【0036】
ハウジング2は、空気分配室16を画定する。この空気分配室16は、以下の図2図5において横断面で図示されている。
【0037】
図2では、置換空気流出部1が横断面で示されており、ハウジング2が五角形の横断面を有していることを確認することができる。この実施例では、ノズル14を備えた第2の側壁7の水平方向に対する傾斜角αは、15°であり、パーフォレーション13を備えた第1の側壁8の水平方向に対する傾斜角βは、45°である。
【0038】
ハウジング2内には、調節エレメント17が配置されている。この調節エレメント17は、パーフォレーション加工された領域における側壁8,9の輪郭にほぼ沿っており、したがって、屈曲部18を有している。図2では、調節エレメント17が、見やすさの理由から、以下で言及する異なる3つの位置で図示されている。実際には、置換空気流出部1は、示された位置の間で調節することができるただ1つの調節エレメント17しか有していない。
【0039】
図2では確認することができない調節エレメント17の長さは、ハウジング2の端面壁3,4の内法間隔に一致しており、したがってハウジング2の長さLよりも僅かに小さい。調節エレメント17は、金属薄板またはフラッププレート19によって形成され、傾斜した両側壁7,8の間の突合せライン20の領域において回転可能に支承されている。突合せライン20は、図2には単なる点として確認することができる。したがって、調節エレメント17がパーフォレーション12,13を覆う第1の位置21から、調節エレメント17が空気分配室16内に突出する第3の位置23を通過して、調節エレメント17が自由な端面24で鉛直方向の後側の側壁6に衝突する第2の位置22へと調節エレメント17を移行させることができる。フラッププレート19の幅bは、フラッププレート19上へのパーフォレーション12,13の投影図にほぼ一致する。
【0040】
図3図5には、本発明に係る置換空気流出部1が、調節エレメント17の異なる位置でそれぞれ示されている。したがって、この場合にその都度流出する給気が対応する矢印25,26,27により示されている。
【0041】
図3には、調節エレメント17がその第1の位置21で示されており、このためパーフォレーション12,13が覆われており、給気は専らノズル14を介して換気すべき室R内に到達する。給気は、矢印25で図示されている。給気は、ノズル14を乱流で出て、高い速度で図示されていない作業場に向かって吹き出される。
【0042】
図4では、調節エレメント17は、置換空気流出部1の空気分配室16内に垂直方向で突入し(第3の位置23)、給気は、パーフォレーション12,13を介しても、ノズル14を介しても、換気すべき室R内へと流出する。矢印25,26,27は、それぞれ流出した給気の方向を示している。
【0043】
第2の位置22において、調節エレメント17の自由な端面24は、鉛直方向の側壁6に当て付けられているので、ノズル14が遮蔽されており、給気は専らパーフォレーション12,13を介して室R内に到達することができる。これは、矢印26,27により示されている。
【0044】
調節エレメント17の調節は、それぞれ機械的なレバー29の形の調節手段28を介して行われる。このレバー29は、専ら図1において確認することができる。レバー29により、ロッド30が回転軸線31を中心として回転される。回転軸線31は、図2図5では点として図示されている。ロッド30には、フラッププレート19が取り付けられているので、ロッド30の回転は、フラッププレート19の回転を引き起こし、調節エレメント17は、その個別の位置へと移行可能である。回転軸線31は、ハウジング2の長手方向軸線に対して平行に延びている。
【0045】
最終的に、図6は、その3つの位置21,22,23における、代替的に形成された調節エレメント17’を備えた代替的な置換空気流出部1’を示している。調節エレメント17’は、真っすぐな金属薄板として形成されており、図2に示した調節エレメント17とは異なり屈曲部を有していない。したがって、調節エレメント17’の自由な端面24は、第1の位置21において、パーフォレーション12の上方で側壁9に当て付けられ、空気流入横断面10と、第1の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する。第2の位置22では、調節エレメント17’の自由な端面24は、側壁6に当て付けられ、空気流入横断面10と、第2の空気流出面との間の流れ横断面を遮断する。第3の位置23において、調節エレメント17’は、空気分配室16内に突入する。金属薄板として形成されている調節エレメント17’の幅b’は、その第1の位置における調節エレメント17’上へのパーフォレーション12,13の投影図に一致するか、またはその投影図を数パーセントだけ上回る。
【0046】
図2に示した置換空気流出部1に対する図6に示した置換空気流出部1’の別の差異は、ノズル14内にそれぞれ1つの回転フラップ32が配置されていることにある。この回転フラップ32は、回転軸線33を中心として回転可能に支承されている。回転軸線33は、回転フラップ32の、回転フラップの平面に位置する平面内に位置する中心軸線に対して平行に延びており、軸34によって形成されている。この軸34は、回転フラップ32の表面に取り付けられている。当然ながら、別の種類の回転可能な支承も可能である。
【0047】
回転フラップ32は、この回転フラップ32がノズル14の流出面15を完全に遮断する閉鎖位置から、回転フラップ32がノズル14の流出面15を最大限に開放する開放位置35へと移行させることができる。したがって、閉鎖位置では、回転フラップ32は、流出面15に対して平行に延びる平面内に位置している。開放位置35では、回転フラップ32が、流出面15に対して垂直であり、したがって流出する給気に対して平行に延びる平面に位置している。当然ながら、回転フラップ32は、この回転フラップ32が流出面15を部分的に開放する様々な中間位置に留まることもできる。したがって、回転フラップ32は、流出面15と、0°~90°である角度を形成する。回転フラップ32の位置に依存して、ノズル14から流出する給気の方向を変更することができ、たとえば特定の作業領域に向けることができる。
【0048】
回転フラップ32の軸34は、本実施例では、図面に図示されていないねじ結合部を介してリング36に取り付けられている。このリング36は、ノズル14の端部領域に被せ嵌められている。回転フラップ32は、リング36内に位置している。リング36をノズル14の端部領域に対して相対的に回転させることも可能であり、これにより、部分的または完全に開放された回転フラップ32の配向を任意に変更することができる。したがって、リング36の回転は、リング36の周方向で実施することができる。したがって、回転軸線33は、ノズル14の中心軸線37に対して垂直に延びる平面内で回転させることができる。
【0049】
代替的には、軸34が、ノズル14自体に固く取り付けられていてよく、これにより回転フラップ32の配向は、専ら回転軸線33を中心とした回転を介して実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1,1’ 置換空気流出部
2 ハウジング
3 端面壁
4 端面壁
5~9 側壁
10 空気流入横断面
11 接続管片
12 パーフォレーション
13 パーフォレーション
14 ノズル
15 流出面
16 空気分配室
17,17’ 調節エレメント
18 屈曲部
19 フラッププレート
20 突合せライン
21 第1の位置
22 第2の位置
23 第3の位置
24 自由な端面
25~27 矢印
28 調節手段
29 レバー
30 ロッド
31 回転軸線
32 回転フラップ
33 回転軸線
34 軸
35 開放位置
36 リング
37 中心軸線
L 長さ
B 幅
b,b’ 幅
H,H’ 高さ
R 室
α 傾斜角
β 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6