(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】JAK及びPI3K阻害剤併用によるB細胞悪性腫瘍の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20230110BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230110BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230110BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021059028
(22)【出願日】2021-03-31
(62)【分割の表示】P 2019104593の分割
【原出願日】2015-04-07
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2014-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515311132
【氏名又は名称】インサイト・ホールディングス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE HOLDINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ペギー・エイ・シャール
(72)【発明者】
【氏名】シュエソン・リウ
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0224190(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0149681(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0149682(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0018034(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0045963(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0005166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015212(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0059835(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0183985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0157430(US,A1)
【文献】TARGETING JAK1/2 AND MTOR IN MURINE XENOGRAFT MODELS OF PH-LIKE ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA,BLOOD,2012年10月25日,Vol.120, No.17,pp.3510-3518,http://dx.doi.org/10.1182/blood-2012-03-415448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬的に許容され得る塩であるJAK1/JAK2の阻害剤を含む医薬組成物と組み合わせて、非ホジキンリンパ腫の処置を必要とする患者における非ホジキンリンパ腫の処置に用いるための、4-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル}ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩であるPI3Kδの阻害剤を含む医薬組成物。
【請求項2】
非ホジキンリンパ腫の処置を必要とする患者における非ホジキンリンパ腫の処置に用いるための、PI3Kδの阻害剤及びJAK1/JAK2の阻害剤を含む医薬組成物であって、前記PI3Kδの阻害剤が、4-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル}ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩であり、前記JAK1/JAK2の阻害剤が、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬的に許容され得る塩である、医薬組成物。
【請求項3】
前記JAK1及び/またはJAK2の阻害剤が、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記PI3Kδの阻害剤が、(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記PI3Kδの阻害剤が、(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記PI3Kδの阻害剤が、(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記PI3Kδの阻害剤が、(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩であるJAK1/JAK2の阻害剤と組み合わせて、非ホジキンリンパ腫の処置を必要とする患者における非ホジキンリンパ腫の処置に用いるための、
(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;及び
(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;並びに
前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩
から選択されるPI3Kδの阻害剤を含む医薬組成物。
【請求項9】
非ホジキンリンパ腫の処置を必要とする患者における非ホジキンリンパ腫の処置に用いるための、PI3Kδの阻害剤及びJAK1/JAK2の阻害剤を含む医薬組成物であって、前記PI3Kδの阻害剤が、
(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;及び
(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;並びに
前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩
から選択され、前記JAK1/JAK2の阻害剤が、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である、医薬組成物。
【請求項10】
前記PI3Kδの阻害剤が、(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記PI3Kδの阻害剤が、(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記PI3Kδの阻害剤が、(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記PI3Kδの阻害剤が、(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オンまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2014年4月8日に出願された61/976,815号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤とPI3Kδの阻害剤の組み合わせを使用してB細胞悪性腫瘍を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
B細胞受容体(BCR)は、正常なB細胞及び大半の悪性B細胞の両方に存在する。BCRの係合は重要な生存シグナルを提供し、BCRシグナルの妨害は、B細胞死をもたらし得る。BCR発現を阻害するようにsiRNAを用いて行われた研究により、BCRによる恒常的なシグナル伝達は、ヒトB細胞リンパ腫の生存及び増殖にとって決定的であることが示されている。これらの細胞におけるBCRシグナル伝達の主な役割は、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)の活性化であるように思われ、これは次にブルトンチロシンキナーゼ(BTK)、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)、及びAKTの活性化を含む細胞生存を促進するいくつかの下流事象をもたらす。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む多くのB細胞悪性腫瘍は、BCR生存シグナルに特に依存すると示されており、これはインビトロでのBCRシグナル伝達成分の遺伝的及び薬理学的阻害に対するそれらの感受性をエビデンスとする。DLBCL細胞はPI3Kと係合し、それは抗アポトーシス性NF-kBシグナル伝達及び生存シグナルを増強し、PI3K/AKT経路の阻害は、インビトロでDLBCL細胞系統の殺傷においてNF-kB阻害と協同することが示されている。
【0004】
サイトカイン及び増殖因子の産生を通した、JAKの異常活性化も、多くの腫瘍タイプにおける悪性細胞増殖及び生存の増加に関連している。JAKは、重要な潜伏転写因子のファミリーであるSTATを含む悪性細胞の増殖及び生存に関与する多くの下流経路を活性化する。臨床的に関連するもののうち、JAKを通してシグナル伝達する血清IL-10及びIL-6のレベルは、正常対照と比較してDLBCLを有する患者において上昇すると見いだされている(Guptaら、2012)。さらに、高い血清IL-10レベルを有する患者は、より短い無事象生存期間を有すると示された(Guptaら、2012)。JAKファミリーのキナーゼのうち、JAK1は、JAK2、JAK3、及びTYK2と協力し、IL-6、IL-10及びインターフェロンを含む多くの炎症性サイトカインのシグナル伝達の媒介において独占的な役割を担うと示されている。
【0005】
DLBCLでは、JAK経路活性化は、オートクリン及びパラクリンメカニズムの両方を通して生じる。腫瘍細胞では、BCRシグナル伝達は、IL-6及びIL-10産生の増加をNF-kB経路の活性化を通してもたらす(Lamら、2008)。DLBCLのサブセットは、STAT3、IL-6、及び/またはIL-10の高発現を有することを特徴としており、JAK阻害はこれらのDLBCL細胞系統において細胞毒性であり、NF-kB阻害剤と協同することが示されている。オートクリン経路を通したJAK/STAT経路活性化に加えて、間質コンパートメントもパラクリン様式でこれらのサイトカイン源を提供し得る(Hodgeら、2005)。
【0006】
これらの理由から、DLBCLなどの、B細胞悪性腫瘍を処置するために使用することができる新しい治療法を開発する必要性がある。この発明は、この必要性及びその他に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは、様々なDLBCL細胞系統でのIL6及びIL10についてプローブするウエスタンブロット分析を示す。
図1Bは、IL6またはIL10で処置されたファイファー細胞でのアクチン及びp-Stat3についてのウエスタンブロット分析を示す。
【
図2】ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブと化合物28の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
図2Bは、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+化合物7と化合物28の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
【
図3】ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブと化合物28の濃度の関数としてHBL-1細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
【
図4】IL10を伴うまたは伴わない、ビヒクル(DMSO)、ルクソリチニブ、化合物28、または化合物28及びルクソリチニブでの処置後のファイファー細胞のウエスタンブロット分析を示す。
【
図5】IL10を伴うまたは伴わない、ビヒクル(DMSO)、化合物7、化合物28、または化合物28及び化合物7での処置後のファイファー細胞のウエスタンブロット分析を示す。
【
図6】ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+化合物16と化合物28の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
【
図7】併用療法からの相乗的アポトーシス誘発を示す、化合物28+/-化合物16で処置されたファイファー細胞のアネキシン-V染色を示す。
【
図8】STAT3及びpAKTに及ぼす効果を示す、化合物28+/-化合物16を用いた処置後のファイファー細胞のウエスタンブロット分析を示す。
【発明の概要】
【0008】
本出願は、それを必要とする患者において、B細胞悪性腫瘍を処置する方法であって、前記患者に:(a)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤;と(b)PI3Kδの阻害剤を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0009】
本出願は、それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾辺縁帯リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞白血病、髄外形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(無症候性骨髄腫として公知)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)、及び胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)から選択された疾患を処置する方法であって、前記患者に:(a)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤;と(b)PI3Kδの阻害剤を投与することを含む、前記方法をさらに提供する。
【0010】
本方法のいくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は:
3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
[トランス-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(シス-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0011】
本方法のいくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は:
7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン;
(S)-7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン;
4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-{1-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アゼチジン-3-イル}-3-メトキシベンゾニトリル;
4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル;
5-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド;
4-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル}ピロリジン-2-オン;及び
N-{1-[5-クロロ-8-(3-フルオロフェニル)シンノリン-7-イル]エチル}-9H-プリン-6-アミン;
4-クロロ-3’-フルオロ-3-メチル-6-[1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]ビフェニル-2-カルボニトリル;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0012】
本出願は、B細胞悪性腫瘍または本明細書で具体化した疾患のいずれかを処置するために、PI3Kδ阻害剤と組み合わせて使用するためのJAK1及び/またはJAK2の阻害剤も提供する。
【0013】
本出願は、B細胞悪性腫瘍または本明細書で具体化した疾患のいずれかを処置するための医薬品を調製するためのJAK1及び/またはJAK2の阻害剤とPI3Kδ阻害剤の使用をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願は、特に、それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾辺縁帯リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞白血病、髄外形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(無症候性骨髄腫として公知)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)、及び胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)から選択された疾患を処置する方法であって、前記患者に:(a)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤;と(b)PI3Kδの阻害剤を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL)は、再発性または難治性NHLまたは再燃(recucurrent)濾胞性NHLである。
【0016】
いくつかの実施形態では、疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、疾患は、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)である。
【0018】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤とPI3Kδの阻害剤は、同時投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤とPI3Kδの阻害剤は、逐次投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、JAK3及びTYK2よりもJAK1及びJAK1について選択的である。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、JAK2、JAK3、及びTYK2よりもJAK1に選択的である。例えば、本明細書に記載のいくつかの化合物、またはその医薬的に許容され得る塩は、JAK2、JAK3、及びTYK2の1つまたは複数よりもJAK1を優先的に阻害する。いくつかの実施形態では、化合物は、JAK2よりも優先的にJAK1を阻害する(例えば、JAK1/JAK2のIC50比が1を超える)。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK2よりも約10倍JAK1について選択的である。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK2よりも約3倍、約5倍、約10倍、約15倍、または約20倍JAK1について選択的であり、これは1mM ATPでIC50を測定することにより算出される(例えば、実施例Aを参照されたい)。
【0021】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルである。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル(ルクソリチニブ;INCB018424としても知られる)である。ルクソリチニブは、JAK1及びJAK2で1mM ATP(アッセイA)にて10nM未満のIC50を有する。3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル及びルクソリチニブは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2006年12月12日に出願されたUS7,598,257(実施例67)に記載された手法により作製されることができる。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である。
【0022】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、表1の化合物、またはその医薬的に許容され得る塩である。表1の化合物は、選択的JAK1阻害剤(JAK2、JAK3、及びTYK2よりも選択的)である。1mM ATPでアッセイAの方法により得られたIC
50を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
+は、10nM未満を意味する(アッセイ条件について実施例Aを参照されたい)
++は、100nM以下を意味する(アッセイ条件について実施例Aを参照されたい)
+++は、300nM以下を意味する(アッセイ条件について実施例Aを参照されたい)
aエナンチオマー1についてのデータ
bエナンチオマー2についてのデータ
【0023】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0024】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である。
【0025】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0026】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、(R)-3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、(R)-3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、(R)-4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル、(R)-4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル、または(R)-4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル、(S)-3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、(S)-3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、(S)-4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル、(S)-4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル、(S)-4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、表1の化合物は、そのそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年5月21日に出願された米国特許公開第2010/0298334号、2010年8月31日に出願された米国特許公開第2011/0059951号、2011年3月9日に出願された米国特許公開第2011/0224190号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149681号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149682号、2012年6月19日に出願された米国特許公開第2013/0018034号、2012年8月17日に出願された米国特許公開第2013/0045963号、及び2013年5月17日に出願された米国特許公開第2014/0005166号に記載の合成手法によって調製される。
【0028】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、そのそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年5月21日に出願された米国特許公開第2010/0298334号、2010年8月31日に出願された米国特許公開第2011/0059951号、2011年3月9日に出願された米国特許公開第2011/0224190号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149681号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149682号、2012年6月19日に出願された米国特許公開第2013/0018034号、2012年8月17日に出願された米国特許公開第2013/0045963号、及び2013年5月17日に出願された米国特許公開第2014/0005166号の化合物から選択される。
【0029】
本明細書に記載のPI3Kδの阻害剤は、選択的であり得る。「選択的」は、少なくとも1つの他のキナーゼと比較して、化合物が、それぞれ、より大きな親和性または作用強度で、あるキナーゼと結合または阻害することを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、(例えば、PI3Kα、PI3Kβ及びPI3Kγよりも)PI3Kδの選択的な阻害剤である。いくつかの実施形態では、選択性は、少なくとも約2倍、5倍、10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍であり得る。選択性は、当該分野で通例の方法により測定することができる。いくつかの実施形態では、選択性は、各酵素のKm ATP濃度で試験することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の選択性は、特定のPI3Kキナーゼ活性と関連する細胞アッセイにより決定することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、表2に示す化合物である。表2の化合物は、アッセイBにおいて試験されており、表2のIC
50を有するPI3Kδの阻害剤であると示されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
+は、50nM未満を意味する
++は、50nM~200nMを意味する
+++は、50nM~100nMを意味する
【0031】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は:
(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
N-{(1S)-1-[5-クロロ-8-(3-フルオロフェニル)シンノリン-7-イル]エチル}-9H-プリン-6-アミン;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、(S)-7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0033】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-{1-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アゼチジン-3-イル}-3-メトキシベンゾニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0034】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0035】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、5-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0036】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は:
4-[(R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-{1-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アゼチジン-3-イル}-3-メトキシベンゾニトリル;
4-[1(R)-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル;
5-{3-[1(R)-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド;
4-[(S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-{1-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アゼチジン-3-イル}-3-メトキシベンゾニトリル;
4-[1(S)-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル;
5-{3-[1(S)-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、PI3Kδの阻害剤は、そのそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年6月28日に出願された米国特許公開第US2011/0015212、2013年8月31日に出願された米国特許公開第2013/0059835号、2010年12月17日に出願された米国特許公開第2011/0183985号、または2011年12月19日に出願された米国特許公開第2012/0157430号の化合物である。
【0038】
いくつかの実施形態では、表2の化合物は、そのそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年6月28日に出願された米国特許公開第US2011/0015212、2013年8月31日に出願された米国特許公開第2013/0059835号、2010年12月17日に出願された米国特許公開第2011/0183985号、または2011年12月19日に出願された米国特許公開第2012/0157430号の方法によって調製される。
【0039】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び(7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0040】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩であり;PI3Kδの阻害剤は、7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0041】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩であり;PI3Kδの阻害剤は、7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0042】
いくつかの実施形態では、本出願は、それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記方法を提供し;PI3Kδの阻害剤は、(7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本出願は、それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本出願は、それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に、4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0045】
本明細書に記載の化合物は、不斉(例えば、1つまたは複数の立体中心を有する)であり得る。別段の指定がない限り、エナンチオマー及びジアステレオマーなどの、全ての立体異性体が意図される。非対称に置換された炭素原子を含有する化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離され得る。光学的に不活性な出発物質から光学活性体を調製する方法は、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成によるなど当該分野で公知である。オレフィン類、C=N二重結合等の多くの幾何異性体も、本明細書に記載の化合物中に存在し得、全てのかかる安定な異性体は、本発明内で企図される。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体が記載され、異性体の混合物または別々の異性体として、単離されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、化合物は、(R)配置を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)配置を有する。
【0047】
化合物のラセミ混合物の分割は、当該分野で公知の多数の方法のいずれかにより実行することができる。方法例としては、光学的に活性な塩形成性有機酸であるキラル分割用酸を用いた分別再結晶が挙げられる。分別再結晶法のための好適な分割剤は、例えば、酒石酸のD体及びL体、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸またはβ-ショウノウスルホン酸などの様々な光学活性ショウノウスルホン酸などの光学活性酸である。分別結晶法に好適な他の分割剤としては、α-メチルベンジルアミンの立体異性体的純粋型(例えば、S及びR体、またはジアステレオマー的純粋型)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
【0048】
ラセミ混合物の分割は、光学活性分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラム上での溶出によっても実行することができる。好適な溶出溶媒組成は、当業者により決定されることができる。
【0049】
本明細書に記載の化合物は、互変異性型も含む。互変異性型は、プロトンの同時移動を伴う隣接する二重結合と一重結合の交換の結果として生じる。互変異性型は、同じ実験式及び全電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体を含む。プロトトロピー互変異性体の例としては、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、及びプロトンが、複素環系の2つ以上の位置を占有し得る環状体、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、及び1H-及び2H-ピラゾールが挙げられる。互変異性型は、平衡状態または適切な置換により1つの型に立体的に固定され得る。
【0050】
本明細書に記載の化合物は、中間体または最終化合物において生じる原子の全ての同位体も含み得る。同位体は、同じ原子番号であるが、異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体としては、三重水素及び重水素が挙げられる
【0051】
本明細書で用いるとき、「化合物」という用語は、示された構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び同位体を含むものとする。1つの特定の互変異性型として名称または構造により本明細書で同定された化合物は、別段の指定がない限り、他の互変異性型を含むと意図される。
【0052】
全ての化合物、及びその医薬的に許容され得る塩は、水及び溶媒(例えば、水和物及び溶媒和化合物)などの他の物質と一緒に見いだされ得るか、または単離され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物、またはその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離」は、化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることを意味する。部分的分離は、例えば、本明細書に記載の化合物が豊富な組成物を含むことができる。実質的分離は、本明細書に記載の化合物、またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物を含むことができる。化合物及びそれらの塩の単離方法は、当該分野で日常的なものである。
【0054】
「医薬的に許容され得る」という句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット・リスク比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症を伴わない、ヒト及び動物の組織との接触した使用に好適である化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すように本明細書で採用される。
【0055】
本明細書で用いるとき、「周囲温度」及び「室温」または「rt」という表現は、当該分野で理解され、一般に、温度、例えば、反応が実行される部屋の温度に関する反応温度、例えば約20℃~約30℃の温度を指す。
【0056】
本発明は、本明細書に記載の化合物の医薬的に許容され得る塩も含む。本明細書で用いるとき、「医薬的に許容され得る塩」は、本開示の化合物の誘導体を指し、ここで親化合物は、存在する酸または塩基部分をその塩形態へ転換することにより修飾される。医薬的に許容され得る塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩;及び同様のものが挙げられるが、これに限定されない。本発明の医薬的に許容され得る塩としては、例えば、無毒性無機または有機酸から形成された親化合物の通常の無毒性塩が挙げられる。本発明の医薬的に許容され得る塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般的に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中または有機溶媒中、または該2つの混合物中で、化学量論量の好適な塩基または酸と反応させることにより、調製することができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、またはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)の様な非水性媒体が好ましい。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)(そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見いだされる。
【0057】
本明細書で用いるとき、「個体」または「患者」という用語は、互換可能に使用され、哺乳類、好ましくはマウス、ラット、その他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、及び最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0058】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、治療有効量で投与される。本明細書で用いるとき、「治療有効量」という句は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により組織、系、動物、個体またはヒトにおいて求められる生物学的または医薬的応答を引き出す活性化合物または医薬品の量を指す。いくつかの実施形態では、患者または個体に投与される化合物、またはその医薬的に許容され得る塩の投与量は、約1mg~約2g、約1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~50mg、または約50mg~約500mgである。
【0059】
本明細書で用いるとき、「処置する」または「処置」という用語は、(1)疾患を阻害すること;例えば、疾患、状態または障害の病理または総体症状を経験しているまたは呈している個体において疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病理及び/または総体症状のさらなる発展を停止させること);及び(2)疾患を寛解させること;例えば、疾患、状態または障害の病理または総体症状を経験しているまたは呈している個体において疾患、状態または障害を寛解させること(すなわち、病理及び/または総体症状を回復させること)、例えば疾患の重症度を低減させること、の1つまたは複数を指す。
【0060】
併用療法
例えば、化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド剤、免疫抑制剤などの1つまたは複数の追加の医薬品、ならびに例えば、WO2006/056399に記載のものなどの、Bcr-Abl、Flt-3、EGFR、HER2、c-MET、VEGFR、PDGFR、cKit、IGF-1R、RAF、FAK、AktmTOR、PIM、及びAKT(例えば、AKT1、AKT2、またはAKT3)キナーゼ阻害剤、または治療抗体などの他の薬剤を、PI3K関連疾患、障害または状態の処置のために、本発明の化合物と併用して使用することができる。該1つまたは複数の追加の医薬品は、同時にまたは逐次的に患者に投与することができる。
【0061】
併用療法において使用するための抗体の例としては、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(商品名アバスチン、例えば、抗VEGF、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(抗CD20)及びc-METを対象とする抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
以下の薬剤の1つまたは複数を本発明の化合物と組み合わせて使用してよく、非限定的なリストとして表す:細胞分裂阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトスター(camptostar)、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトクストレキサート(methoxtrexate)、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH 66336、R115777、L778、123、BMS 214662、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、Gleevec(商標)、イントロン、ara-C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンリン酸エステル、オキサリプラチン、ロイコビリン(leucovirin)、ELOXATIN(商標)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17.アルファ.エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸エステル、テストラクトン、メゲストロール酢酸エステル、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニソロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ナベルベン(Navelbene)、アナストラゾール(Anastrazole)、レトロゾール(Letrazole)、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、アバスチン、ハーセプチン、ベクザー、ベルケイド、ゼバリン、トリセノックス、ゼローダ、ビノレルビン、ポルフィマー、アービタックス、リポソーマル、チオテパ、アルトレタミン、メルファラン、トラスツズマブ、レロゾール(Lerozole)、フルベストラント、エキセメスタン、フルベストラント、イホスフォミド(Ifosfomide)、リツキシマブ、C225、キャンパス、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコロン(aphidicolon)、リツキサン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、Sml1、フルダラビン、ペントスタチン、トリアプリン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、3-AP、MDL-101、731、ベンダムスチン(トレアンダ)、オファツムマブ、またはGS-1101(CAL-101としても公知)。
【0063】
化学療法剤の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びメルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチンなどのDNA傷害剤等が挙げられる。
【0064】
ステロイド剤の例としては、デキサメタゾンまたはプレドニゾンなどの副腎皮質ステロイド剤が挙げられる。
【0065】
Bcr-Ab1阻害剤の例としては、米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国仮特許出願第60/578,491号に記載の属及び種の化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0066】
好適なFlt-3阻害剤の例としては、WO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示の化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0067】
好適なRAF阻害剤の例としては、WO00/09495及びWO05/028444に開示の化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0068】
好適なFAK阻害剤の例としては、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示の化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0069】
好適なmTOR阻害剤の例としては、WO2011/025889に開示の化合物、及びそれらの医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、特に、イマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性のある患者を処置するため、イマチニブを含む1つまたは複数の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて、使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、多発性骨髄腫などの癌の処置において化学療法剤と併用して使用することができ、化学療法剤単独に対する応答と比較して、処置応答を改善する可能性があり、これはその毒性作用の増悪を伴わない。多発性骨髄腫の処置において使用される追加の医薬品の例としては、例えば、メルファラン、メルファラン+プレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、及びベルケイド(ボルテゾミブ)を挙げることができるが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の処置において使用されるさらなる追加の薬剤としては、Bcr-Ab1、Flt-3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤が挙げられる。相加または相乗効果は、本発明のPI3K阻害剤を追加の薬剤と併用することの望ましい結果である。さらに、デキサメタゾンなどの薬剤に対する多発性骨髄腫細胞の耐性は、本発明のPI3K阻害剤を用いた処置の際に可逆的であり得る。該薬剤は、単一または連続的剤形で本化合物と併用することができるか、または該薬剤は別の剤形として同時または逐次投与することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイド剤は、デキサメタゾンが連続的とは反対に間欠的に投与される場合、本発明の化合物と併用して、患者に投与される。
【0073】
いくつかのさらなる実施形態では、本発明の化合物と他の治療薬との組み合わせは、骨髄移植または幹細胞移植の前、最中、及び/または後に、患者に投与することができる。
【0074】
医薬製剤及び剤形
医薬品として採用するとき、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物の形態で投与することができる。これらの組成物は、医薬分野で周知の様式で調製されることができ、局在的または全身的処置が望ましいかどうか、及び処置される領域に依存して、様々な経路により投与されることができる。投与は、局所的(経皮、上皮、眼及び鼻腔内、腟内及び直腸送達を含む粘膜を含む)、肺(例えば、ネブライザーによるものを含む散剤または噴霧剤の吸入またはガス注入による;気管内または鼻腔内)、経口または非経口であってよい。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または注射もしくは点滴;または頭蓋内、例えば、くも膜下腔内または脳室内投与を含む。非経口投与は、単回のボーラス用量の形態であることができるか、または、例えば、連続的注入ポンプによるものであってよい。局所投与のための医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液剤及び散剤を含んでよい。従来の医薬用キャリア、水性、粉状または油状基材、粘稠化剤等が、必要または望ましくあり得る。本発明は、1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリア(賦形剤)と組み合わせて、有効成分として、本明細書に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含有する医薬組成物も含む。いくつかの実施形態では、組成物は、局所投与に好適である。本発明に組成物を作製する際、典型的には、有効成分は賦形剤と混合され、賦形剤により希釈され、または例えば、カプセル、小袋、紙、または他の容器の形態で、かかるキャリア内に封入される。賦形剤が、希釈剤としての役割を果たすとき、それは有効成分に対するビヒクル、キャリアまたは媒体として作用する固体、半固体、または液体物質であり得る。ゆえに、該組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、噴霧剤(固体または液体媒体中として)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏剤、軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射用水、及び滅菌容器入り散剤の形態をとることができる。
【0075】
製剤を調製するとき、活性化合物は、他の成分と配合される前に、適切な粒度を提供するために粉砕されることができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒度に粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒度は、製剤内で実質的に均一な分布、例えば、約40メッシュを提供するために粉砕することにより、調節されることができる。
【0076】
本明細書に記載の化合物は、錠剤製剤及び他の製剤タイプに適切な粒度を得るために、湿式粉砕などの既知の粉砕方法を用いて粉砕されてよい。本明細書に記載の化合物の微粉化した(ナノ微粒子)調製物は、当該分野において公知の手法により調製することができ、例えば、国際特許出願第WO2002/000196号を参照されたい。
【0077】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤は、付加的に:タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化及び懸濁剤;メチルベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤;甘味料;及び香料を含むことができる。本発明の組成物は、当該分野で公知の方法を使用して、患者への投与後に、有効成分の迅速、持続または遅延放出を提供するように製剤化されることができる。
【0078】
組成物は、単位剤形に製剤化されることができ、各投与量は約5~約1000mg(1g)、より通常は約100~約500mgの有効成分を含有する。「単位剤形」という用語は、単位投与量として、ヒト対象及び他の哺乳類に好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、好適な医薬用賦形剤と合わせて、所望の治療効果を生じるように算出された所定量の活性物質を含有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約5~約50mgの有効成分を含有する。当業者は、これが、約5~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、または約45~約50mgの有効成分を含有する組成物を具体的に表すことを認識するだろう。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約50~約500mgの有効成分を含有する。当業者は、これが、約50~約100、約100~約150、約150~約200、約200~約250、約250~約300、約350~約400、または約450~約500mgの有効成分を含有する組成物を具体的に表すことを認識するだろう。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約500~約1000mgの該有効成分を含む。当業者は、これが、約500~約550、約550~約600、約600~約650、約650~約700、約700~約750、約750~約800、約800~約850、約850~約900、約900~約950、または約950~約1000mgの有効成分を含有する組成物を具体的に表すことを認識するだろう。
【0082】
同様の投薬量は、本発明の方法及び使用で、本明細書に記載の化合物で使用され得る。
【0083】
活性化合物は、広範囲の投薬量にわたって有効であることができ、一般に、医薬的有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、処置される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況に従って、医師により決定されるだろうことが、理解されるだろう。
【0084】
錠剤などの固体組成物を調製するため、主要な有効成分は、本発明の化合物の均一な混合物を含有する固体前製剤組成物を形成するために医薬用賦形剤と混合される。これらの前製剤組成物を均一と呼ぶとき、典型的には、組成物が、錠剤、丸剤及びカプセル剤などの等しく有効な単位剤形中に容易に細分化され得るように、有効成分は、組成物全体を通して均等に分散される。次いで、この固体前製剤は、例えば、約0.1~約1000mgの本発明の有効成分を含有する、上記の単位剤形のタイプへと細分化される。
【0085】
本発明の錠剤または丸剤は、コーティングされ得るか、そうでなければ持続性作用の利点を有する剤形を提供するように配合され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内側薬用及び外側薬用成分を含み得、後者は、前者の外被の形態である。この2つの成分は、胃での分解に抵抗し、内側成分が、十二指腸内へと未変化で通過または放出を遅延させることを可能にする働きをする腸溶性層により、分離され得る。様々な物質が、かかる腸溶性層またはコーティングに使用され得、かかる物質としては、多数のポリマー酸及びポリマー酸とセラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの物質との混合物が挙げられる。
【0086】
本発明の化合物及び組成物が、経口または注射による投与のために組み込まれ得る液体形態としては、水性液剤、好適に風味付けされたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、及び、綿実油、ゴマ油、ココナツ油、またはピーナッツ油などの食用油ならびにエリキシル及び同様の医薬用ビヒクルを伴う風味付けされた乳剤が挙げられる。
【0087】
吸入またはガス注入用組成物は、医薬的に許容され得る水性または有機溶媒またはその混合物中の液剤及び懸濁剤、ならびに散剤を含む。液体または固体組成物は、上記のような好適な医薬的に許容され得る賦形剤を含有してよい。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的または全身的効果のため、経口または鼻腔内呼吸経路により投与される。組成物を不活性ガスの使用により噴霧することができる。噴霧される液剤は、噴霧デバイスから直接吸い込まれてよく、または噴霧デバイスを、フェイスマスク、テント、または間欠陽圧式人工呼吸器に付着することができる。液剤、懸濁剤、または散剤組成物は、適切な様式で、製剤を送達するデバイスから、経口または鼻腔内投与されることができる。
【0088】
局所用製剤は、1つまたは複数の従来のキャリアを含有することができる。いくつかの実施形態では、軟膏剤は、水及び、例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択される1つまたは複数の疎水性キャリアを含有することができる。クリーム剤のキャリア組成物は、グリセロール及び1つまたは複数の他の成分、例えば、グリセリンモノステアレート、PEG-グリセリンモノステアレート及びセチルステアリルアルコールと組み合わせた水をベースとすることができる。ゲル剤は、例えば、グリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどの他の成分と好適に組み合わせて、イソプロピルアルコール及び水を用いて、製剤化することができる。いくつかの実施形態では、局所用製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5wt%の本明細書に記載の化合物を含有する。局所用製剤は、選択された適応症、例えば、乾癬または他の皮膚状態の処置のための使用説明書が任意選択的に添付されている、例えば、100gのチューブ内に好適に包装することができる。
【0089】
患者に投与される化合物または組成物の量は、何が投与されるか、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与の様式等に依存して異なるだろう。治療用途では、組成物は、疾患及びその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に停止させるために十分な量で、既に該疾患に罹っている患者に投与され得る。有効な用量は、処置される疾患状態に、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重及び全身状態などの因子に依存する主事臨床医の判断に、依存するだろう。
【0090】
患者に投与される組成物は、上記医薬組成物の形態であることができる。これらの組成物は、従来の滅菌技術により滅菌されることができるか、または滅菌濾過されてよい。水性液剤は、そのまま使用のために包装され得るか、または凍結乾燥され得、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性キャリアと組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3と11の間、より好ましくは、5~9、最も好ましくは、7~8であるだろう。ある特定の前述の賦形剤、キャリア、または安定剤の使用は、医薬品の塩の形成をもたらすだろうことが理解されるだろう。
【0091】
本発明の化合物の治療投与量は、例えば、治療が行われるための特定の使用、化合物の投与の様式、患者の健康及び状態、及び処方医師の判断に従って異なり得る。医薬組成物中の本明細書に記載の化合物の比率または濃度は、投与量、化学的特徴(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多くの因子に依存して異なり得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、非経口投与では、約0.1~約10%(w/v)の化合物を含有する水性生理緩衝液中で提供され得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり、約1μg/体重kg~約1g/体重kgである。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/体重kg~約100mg/体重kgである。投与量は、疾患または障害の進行の型及び程度、特定の患者の健康状態全般、選択される化合物の相対的生物学的効率、賦形剤の処方、及びその投与経路などの変数に依存する傾向がある。有効な用量は、インビトロまたは動物モデル試験システムから得られる用量反応曲線から推定することができる。
【0092】
本発明の組成物は、化学療法剤、ステロイド剤、抗炎症性化合物、または免疫抑制剤などの1つまたは複数の追加の医薬品をさらに含むことができ、その例は、本明細書中に列挙する。
【0093】
キット
本発明は、例えば、癌などのPI3K関連疾患または障害の処置または予防に有用な医薬用キットも含み、これは、治療有効量の本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物を含有する1つまたは複数の容器を含む。当業者に容易に明白であるように、そのようなキットは、必要に応じて、例えば、1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアを有する容器、追加の容器などの1つまたは複数の様々な従来の医薬用キット構成要素をさらに含むことができる。投与されるべき該構成要素の量、投与の指針、及び/または該構成要素の混合に関する指針を示す、挿入物あるいはラベルのいずれかとしての使用説明書も、キット内に含むことができる。
【実施例】
【0094】
実施例1.((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル
【化1】
ステップ1.tert-ブチル(4S)-2,2-ジメチル-4-ビニル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレート
テトラヒドロフラン(140mL)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(5.63g、15.8mmol)の懸濁液に、2.5Mのn-ブチルリチウムを含むヘキサン(7.35mL、18.4mmol)を加えた。深赤色の溶液を0℃で1時間撹拌した。次いで、テトラヒドロフラン(7.3mL)中のtert-ブチル(4R)-4-ホルミル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレートの溶液(Aldrichから入手、3.01g、13.1mmol)を0℃で滴加した。赤色の溶液を室温まで温め、12時間撹拌した。ヘキサンを反応混合物に4:1(v/v)の比率で加えた。懸濁液を、セライトを通して濾過し、濾過物を濃縮した。結果生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチルを含むヘキサンで溶出)によって精製して、所望の化合物を無色の油状物質(1.92g、64%)として得た。
【0095】
ステップ2.tert-ブチル[(1S)-1-(ヒドロキシメチル)プロパ-2-エン-1-イル]カルバメート
メタノール(83mL)中のtert-ブチル(4S)-2,2-ジメチル-4-ビニル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレート(1.90g、8.36mmol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.80g、4.2mmol)を0℃で加えた。混合物を一晩ゆっくりと室温まで温めた。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、濃縮し、次いで酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和NaHCO3(2x)及び飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、所望の生成物を無色の油状物質(1.187g、76%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.81 (1H, m), 5.25 (2H, m), 4.90 (1H, m), 4.25 (1H, br s), 3.67 (2H, m), 1.45 (9H, s)ppm。
【0096】
ステップ3.tert-ブチル[(1S)-1-({[1-(ヒドロキシメチル)プロパ-2-エン-1-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-イル]カルバメート
フラスコに、tert-ブチル[(1S)-1-(ヒドロキシメチル)プロパ-2-エン-1-イル]カルバメート(0.401g、2.14mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(59mg、0.064mmol)、N,N’-(1S,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジイルビス[2-(ジフェニルホスフィノ)-1-ナフトアミド](150mg、0.19mmol)、及び4-ジメチルアミノピリジン(78mg、0.64mmol)を充填した。反応混合物をN2で3回パージし、次いで、塩化メチレン(21.3mL)、及び1.0Mトリエチルボランを含むTHF(130μL、0.13mmol)を順次加えた。10分間撹拌した後、2-ビニルオキシラン(0.150g、2.14mmol)を加え、結果生じた混合物を一晩撹拌した。反応物をジクロロメタン及び飽和NaHCO3水溶液で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0~50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製して、所望の生成物(0.271g、49%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.85 (1H, m), 5.67 (1H, m), 5.84~5.17 (4H, m), 4.83 (1H, m), 4.30 (1H, br s), 3.83 (1H, m), 3.69 (1H, dd, J = 4.5 及び 6.9 Hz), 3.54 (2H, m), 3.36 (1H, dd, J = 4.5 及び 6.9 Hz), 1.45 (9H, s) ppm。
【0097】
ステップ4.2-({(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブト-3-エン-1-イル}オキシ)ブト-3-エン-1-イル酢酸塩
塩化メチレン(10mL)中のtert-ブチル[(1S)-1-({[1-(ヒドロキシメチル)プロパ-2-エン-1-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-イル]カルバメート(268mg、1.04mmol)の混合物に、トリエチルアミン(435μL、3.12mmol)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、塩化アセチル(150μL、2.1mmol)を滴加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次いで水でクエンチした。有機層を濃縮し、結果生じた残渣をシリカゲル(20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製して、所望の生成物(0.26g、85%)を得た。LCMS C10H18NO3 (M-100+H)+に対する計測値: m/z = 200.1;実測値: 200.1。
【0098】
ステップ5.{(5S)-5-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩
500mLの2口丸底フラスコに、ベンジリデン(ジクロロ)(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イド-2-イル)(トリシクロヘキシルホスホラニル)ルテニウム(38mg、0.044mmol)を加えた。窒素で3回パージした後、ジクロロメタン(無水物、8mL)を加え、その後2-({(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブト-3-エン-1-イル}オキシ)ブト-3-エン-1-イル酢酸塩(265mg、0.885mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を真空濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンから25%EtOAcを含むヘキサンで溶出)を介して精製して、所望の生成物を褐色油状物質(0.205g、85%)として得た。LCMS C9H14NO5 (M+H-Bu+H)+に対する計測値: m/z = 216.1;実測値: 216.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.94 (0.17H, m), 5.84 (0.83H, m), 5.69 (1H, m), 4.89 (0.13H, m), 4.70 (0.83H, m), 4.25 (1H, m), 4.05 (4H, m), 3.56 (0.13H, m), 3.38 (0.87H, m), 2.04 (2.49H, s), 2.03 (0.51H, m), 1.38 (9H, s) ppm(生成物は、トランス異性体及びシス異性体の約5:1混合物であった)。
【0099】
ステップ6.[(5S)-5-アミノ-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル]メチル酢酸塩
塩化メチレン(5.2mL)中の{(5S)-5-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩(205mg、0.756mmol)の溶液に4.0M塩化水素を含むジオキサン(1.5mL、6.0mmol)を加えた。反応溶液を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を白色固体として得た。LCMS C8H14NO3 (M+ H)+に対する計測値: m/z = 172.1;実測値: 172.1。
【0100】
ステップ7.{(5S)-5-[(6-ニトロチエノ[3,2-b]ピリジン-7-イル)アミノ]-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩
イソプロピルアルコール(1.7mL)中の7-クロロ-6-ニトロチエノ[3,2-b]ピリジン(156mg、0.727mmol)、[(5S)-5-アミノ-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル]メチル酢酸塩(129mg、0.754mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL、1.5mmol)の混合物を、90℃で2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.21g83%)を得た。LCMS C15H16N3O5S (M+ H)+に対する計測値: m/z = 350.1;実測値: 350.0。
【0101】
ステップ8.{(5S)-5-[(6-アミノチエノ[3,2-b]ピリジン-7-イル)アミノ]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩
メタノール(4.0mL)中の{(5S)-5-[(6-ニトロチエノ[3,2-b]ピリジン-7-イル)アミノ]-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩(210mg、0.600mmol)及び10%パラジウム炭素触媒(0.21g)の混合物を、室温で2時間H2のバルーン圧に供した。混合物を濾過し、濾過物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(15%メタノールを含むジクロロメタンで溶出)で精製して、所望の生成物(145mg、75%)を得た。LCMS C15H20N3O3S (M+ H)+に対する計測値: m/z = 322.1;実測値: 322.0。
【0102】
ステップ9.(1R)-1-{1-[(3S)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-2-イル}エタノール
THF(2mL)中の(2R)-2-ヒドロキシプロパンアミド(131mg、1.47mmol)及びトリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート(263mg、1.38mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をエタノール(0.85mL)中に溶解し、エタノール(3.1mL)中の{(5S)-5-[(6-アミノチエノ[3,2-b]ピリジン-7-イル)アミノ]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル}メチル酢酸塩(145mg、0.451mmol)の懸濁液に加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、水(1.0mL)で希釈した。水酸化リチウム(32.4mg、1.35mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。反応混合物をメタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して、所望の生成物を白色固体(95mg、63%)として得た。LCMS C16H20N3O3S (M+ H)+に対する計測値: m/z = 334.1;実測値: 334.0。
【0103】
ステップ10:((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホナート及び((2S,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホナート
塩化メチレン(3.4mL)及びピリジン(0.146mL、1.80mmol)中の(1R)-1-{1-[(3S)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-2-イル}エタノール(100mg、0.300mmol)の溶液(前のステップ)に、p-トルエンスルホニルクロリド(57.2mg、0.300mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(1.8mg、0.015mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで一晩自然に温めた。反応混合物を濃縮し、メタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して2つのピークを得た。分析用HPLC(Waters SunFire C18、2.1×50mm、5μM;流速 3mL/分;注入量 2μL;グラジエントは3分間で2~80%B(A=0.025%TFAを有する水、B=アセトニトリル)):第一ピーク(45.3mg、31%)保持時間 1.81分、LCMS C23H26N3O5S2 (M+ H)+に対する計測値: m/z = 488.1;実測値: 488.1。第二ピーク(8.5mg、5.8%)保持時間 1.88分、LCMS C23H26N3O5S2 (M+ H)+に対する計測値: m/z = 488.1;実測値: 488.1。
【0104】
ステップ11.((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル
ジメチルスルホキシド(0.4mL)中の((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル4-メチルベンゼンスルホナート(前のステップの第一ピークから、27mg、0.055mmol)及びシアン化ナトリウム(4.5mg、0.092mmol)の混合物を、50℃で4時間撹拌した。冷却後、混合物をメタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は30mL/分)で精製して、所望の生成物(14.5mg、76%)を得た。LCMS C17H19N4O2S (M+ H)+に対する計測値: m/z = 343.1;実測値: 343.0。1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 9.51 (1H, s), 8.45 (1H, d, J = 5.5 Hz), 7.97 (1H, d, J = 5..5 Hz), 5.31 (1H, m), 5.20 (1H, m), 4.31 (1H, m), 4.23 (1H, m), 4.02 (1H, m), 2.96 (1H, dd, J = 17.0 及び 4.5 Hz), 2.85 (1H, dd, J = 17.0 及び 4.5 Hz), 2.66 (1H, m), 2.26 (1H, m), 2.09 (1H, m), 1.73 (1H, m), 1.69 (3H, d, J = 6.5 Hz) ppm。
【0105】
実施例1a.((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル水和物
【化2】
実施例25からの((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル(52mg、0.15mmol)をアセトニトリル(8mL)及び水(4mL)の混合物から結晶化した。結果生じた回収された無色プリズム結晶は、X線結晶構造解析に好適であった。
【0106】
結晶データは:約0.520×0.180×0.100mm、斜方晶、P212121、a=6.962(3)Å、b=11.531(4)Å、c=20.799(7)Å、体積=1669.6(10)Å3、Z=4、T=-100.℃、式量=359.42、密度=1.430g/cm3、μ(Mo)=0.22mm-1を示す。
【0107】
データ収集は、Bruker SMART APEX-II CCDシステム、MoKalpha放射線、標準の焦点管、アノード出力=50kV×42mA、結晶からプレートまでの距離=5.0cm、512×512ピクセル/フレーム、ビーム中心=(256.13、253.14)、フレーム総数=1151、振動/フレーム=0.50°、露出/フレーム=10.1秒/フレーム、SAINT統合、hkl最小/最大=(-9、9、-15、15、-27、27)、shelxへのデータ入力=17025、固有データ=3975、2シータ範囲=3.92~55.72°、2シータ55.72に対する完全性=99.80%、R(int-xl)=0.0681、SADABS補正適用で行った。
【0108】
構造を、XS(Shelxtl)を使用して解析し、shelxtlソフトウェアパッケージを使用して精密化、F2に基づくフルマトリックス最小二乗による精密化、Int.Tab.Vol C 表4.2.6.8及び6.1.1.4からの散乱因子、データ数=3975、制限数=0、パラメータ数=235、データ/パラメータ比=16.91、F2の適合度=1.04、R指数[I>4シグマ(I)]R1=0.0505、wR2=0.1242、R指数(全データ)R1=0.0769、wR2=0.1401、最大残差ピーク及びホール=0.724及び-0.277e/Å3、精密化フラックパラメータ=-0.12(13)、CH水素原子の全ては、ライディングモデルを使用して精密化した。OH水素を差異マップから見出し、完全に精密化した。
【0109】
結果は、この非対称ユニットが、50%の確率レベルになった熱楕円体で示される通り、1分子及び1水分子を含有することを示した。3つの立体中心のそれぞれにおける立体化学(上記の化合物の名称及び構造において示されている通り)が確認された。フラックパラメータは0.28(24)まで精密化され、このことは、正確な鏡像異性体設定を示唆している。
【0110】
実施例2.4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
【化3】
ステップ1:2,4,5-トリフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(50mL)中の2,4,5-トリフルオロ安息香酸(5.00g、28.4mmol)の溶液に、N,N-ジメチルホルムアミド(40μL)を加え、その後塩化オキサリル(3.60mL、42.6mmol)を添加した。90分後、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をアセトニトリル(50mL)と同時蒸発させた。次いで、残渣を塩化メチレン(50mL)に溶解した。この溶液を、トルエン(100mL)中の(2S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-アミン塩酸塩(5.52g、36.9mmol)(Synquest製、98%ee)と0.5M水酸化ナトリウム水溶液(142mL、71.0mmol)の冷却した(氷浴)混合物へと滴加した。添加後、氷浴を取り除き、反応物を自然に室温まで温めた。反応物を一晩撹拌した。有機層を分離した。水層を塩化メチレン(50mL)で抽出した。合一した有機層を20%飽和食塩水(75mL)及び水(2×75mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(6.49g、84%)を得た。これをさらなる精製を行わずに直接次のステップで使用した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 9.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.92 - 7.50 (m, 2H), 4.76 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ppm。LCMS C
10H
8F
6NO (M+1)
+に対する計測値: m/z = 272.0;実測値: 272.0。
【0111】
ステップ2:2,5-ジフルオロ-4-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(25mL)中の2,4,5-トリフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド(6.39g、23.6mmol)、アゼチジン-3-オール塩酸塩(3.19g、28.3mmol)及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(8.81mL、58.9mmol)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(75mL)で希釈し、1N HCl(50mL)、1N NaHCO3(60mL)、20%飽和食塩水(50mL)及び水(75mL)で洗浄した。水層をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層を合一し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(7.59g、91.8%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.38 (dd, J = 8.9, 1.9 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 12.8, 6.5 Hz, 1H), 6.38 (dd, J = 12.3, 7.5 Hz, 1H), 5.71 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.74 (dp, J = 15.3, 7.6 Hz, 1H), 4.62 - 4.46 (m, 1H), 4.30 - 4.15 (m, 2H), 3.71 (m, 2H), 1.29 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C13H14F5N2O2 (M+1)+に対する計測値: m/z = 325.1;実測値: 325.1。
【0112】
ステップ3:2,5-ジフルオロ-4-(3-オキソアゼチジン-1-イル)-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
塩化メチレン(93mL)中の2,5-ジフルオロ-4-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド(7.57g、23.3mmol)の溶液に、ヨードベンゼンジアセテート(9.40g、29.2mmol)及び2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンイルオキシ遊離ラジカル(1.82g、11.7mmol)(TEMPO)を室温で加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、0.5N NaHCO3(2×80mL)、20%飽和食塩水(100mL)及び水(100mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(75mL)で抽出した。有機抽出物を合一し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を0%~5%酢酸エチルを含む塩化メチレンで溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、粗生成物を得た。これをMTBE(50mL)及びヘプタン(100mL)から再結晶化させて、所望の生成物(5.44g,72%)を無色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.52 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 12.5, 6.5 Hz, 1H), 6.63 (dd, J = 12.1, 7.6 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 2.1 Hz, 4H), 4.86 - 4.68 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C13H12F5N2O2 (M+1)+に対する計測値: m/z = 323.1;実測値: 323.0。
【0113】
ステップ4:4-[3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
ジエチルシアノメチルホスホネート(1.95mL、11.8mmol)を、テトラヒドロフラン(12mL)で希釈されたTHF(11.8mL、11.8mmol)中の1.0Mカリウムtert-ブトキシドの冷却した(氷浴)溶液に滴加した。氷浴を取り除き、反応物を室温まで温め、90分間撹拌した。反応溶液を氷浴で再度冷却した。次いで、上記の調製溶液を、テトラヒドロフラン(50mL)中の2,5-ジフルオロ-4-(3-オキソアゼチジン-1-イル)-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド(4.00g、12.4mmol)の冷却(氷浴)溶液に12分間にわたって加えた。反応混合物を30分間撹拌した。氷浴を取り除き、反応物を室温で一晩撹拌し、次いで20%飽和食塩水(75mL)及び酢酸エチル(75mL)の添加によりクエンチした。有機層を分離した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合一した有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルを含むヘキサン(0%~30%)を用いたシリカゲルカラムでフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(2.6g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.59 - 8.37 (m, 1H), 7.33 (dd, J = 12.5, 6.4 Hz, 1H), 6.59 (dd, J = 12.0, 7.4 Hz, 1H), 5.88 (m, 1H), 4.94 - 4.75 (m, 4H), 4.76 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C15H13F5N3O (M+1)+に対する計測値: m/z = 346.1;実測値: 346.1。
【0114】
ステップ5:4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(20.2mL)中の4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.00g、5.15mmol)、4-[3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド(1.78g、5.15mmol)及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(0.31mL、2.1mmol)の混合物を、50℃で一晩加熱した。冷却後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をさらなる精製を行わずに次のステップに使用した。LCMS C24H28BF5N5O3 (M+1)+に対する計測値: m/z = 540.2;実測値: 540.1。
【0115】
ステップ6:4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド
1,4-ジオキサン(10mL)/水(5mL)中の4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド(329mg、0.610mmol)、4-ブロモ-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール(206mg、1.18mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(110mg、0.098mmol)及び炭酸ナトリウム(320mg、3.0mmol)の混合物を、窒素でパージし、110℃で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣をまずシリカゲル(0~100%EtOAc/ヘキサン、その後10%メタノール/ジクロロメタンで溶出)で、次いで、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して、所望の生成物(30mg、9.7%)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 12.17 (1H, s), 8.45 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.10 (1H, s), 7.70 (1H, s), 7.34 (1H, m), 6.61 (1H, s), 4.77 (1H, m), 4.62 (2H, d, J = 9.0 Hz), 4.39 (1H, d, J = 9.0 Hz), 3.64 (2H, s), 2.22 (6H, s), 1.31 (6H, d, J = 7.0 Hz) ppm。LCMS C23H23F5N7O (M+H)+に対する計測値: m/z = 508.2;実測値: 508.0。
【0116】
実施例A:インビトロでのJAKキナーゼアッセイ
本明細書の化合物を、Parkら、Analytical Biochemistry1999,269,94-104に記載された以下のインビトロアッセイに従ってJAK標的の阻害活性について試験した。ヒトJAK1(a.a.837-1142)、JAK2(a.a.828-1132)及びJAK3(a.a.781-1124)の触媒ドメインを、昆虫細胞中でバキュロウイルスを用いて発現させ、精製した。JAK1、JAK2またはJAK3の触媒活性を、ビオチン化ペプチドのリン酸化を測定することにより評価した。そのリン酸化ペプチドは、均一系時間分解蛍光法(HTRF)によって検出した。化合物のIC50は、100mMのNaCl、5mMのDTT、及び0.1mg/mL(0.01%)のBSAを有する50mMのTris(pH7.8)バッファー中に酵素、ATP及び500nMのペプチドを含有する40μLの反応において各キナーゼについて測定した。1mMのIC50測定については、反応におけるATP濃度は1mMであった。反応を室温で1時間実施し、次いで、アッセイバッファー(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)中の20μLの45mM EDTA、300nM SA-APC、6nM Eu-Py20で停止させた。ユーロピウム標識抗体に対する結合は、40分間起こり、HTRFシグナルを、PHERA starプレートリーダー(BMG、ノースカロライナ州ケーリー)上で測定した。JAK1及び/またはJAK2阻害剤についてのデータは、1mM ATPで実施例Aアッセイにおいて化合物を試験することにより獲得した。
【0117】
実施例B:PI3Kδシンチレーション近接アッセイ
材料
[γ-33P]ATP(10mCi/mL)をPerkin-Elmer(マサチューセッツ州ウォルサム)から購入した。脂質キナーゼ基質、D-ミオ-ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PtdIns(4,5)P2)D(+)-sn-1,2-ジ-O-オクタノイルグリセリル、3-O-リン結合(PIP2)、CAS 204858-53-7を、Echelon Biosciences(ユタ州ソルトレイクシティ)から購入した。PI3Kδ(p110δ/p85α)をMillipore(マサチューセッツ州べドフォード)から購入した。ATP、MgCl2、DTT、EDTA、MOPS及びCHAPSを、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。Wheat Germ Agglutinin(WGA)YSi SPAシンチレーションビーズをGE healthcare life sciences(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から購入した。
【0118】
キナーゼ反応を、25μLの最終容量で、Thermo Fisher Scientific製のポリスチレンの384ウェルマトリックスの白色のプレートにおいて実行した。阻害剤をまずDMSO中に連続的に希釈し、プレートウェルに添加した後、他の反応成分を添加した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は、0.5%であった。PI3Kアッセイを20mM MOPS、pH6.7、10mM MgCl2、5mM DTT及びCHAPS 0.03%で、室温で行った。ATPの添加により反応を開始し、最終反応混合物は、20μM PIP2、20μM ATP、0.2μCi[γ-33P]ATP、4nM PI3Kδから成った。反応物を210分間インキュベートし、反応停止緩衝液:150mMのリン酸カリウム pH8.0、20%グリセロール、25mM EDTA、400μM ATPに懸濁した40μL SPAビーズの添加によって終了させた。SPAビーズの最終濃度は、1.0mg/mLであった。プレート密閉後、プレートを室温で一晩振とうし、1800rpmで10分間遠心分離し、生成物の放射能をTopCount(Perkin-Elmer)でのシンチレーション計数によって判定した。GraphPad Prism 3.0ソフトウェアを用いて、阻害剤濃度のログに対する制御活性率(%)の曲線に適合させることによって、IC50決定を行った。PI3Kδ阻害剤についてのデータは、実施例Bアッセイにおいて化合物を試験することにより獲得した。
【0119】
実施例C:リンパ腫のファイファーモデル
方法:
雌SCIDマウス、(5~8週齢、Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)に、1×107個の腫瘍細胞(ファイファー、ATCC番号CRL-2632、バージニア州マナサス)及びマトリゲル(BD Biosciences番号354234)を0.2mLの滅菌食塩水中で接種した。接種は、側腹部皮下に行った。腫瘍組織断片(おおよそ3mm×3mm)を培養細胞の接種の3~6週間後に回収し、細胞接種の代わりに皮下に移植した。組織断片を、鈍先端鉗子(blunt-tip forcep)を使用して固体欠片として移植した。腫瘍を有するマウスの処置は、腫瘍接種の15~25日後に開始され、これは腫瘍のサイズに依存した。動物を、各群において大体等しい平均腫瘍体積となるように分類した。全群における最小平均腫瘍体積は、処置の初日で150mm3であり、群は7動物から成った。実験治療薬、実施例347、をマウスに経口(PO)投与した。処置頻度は、有効性のために最小14日間にわたる1日2回とした。皮下腫瘍のサイズは、デジタルキャリパーを使用して週に2~3回測定した。腫瘍体積は、腫瘍を2次元で測定し、式:体積=[長さ×(幅2)]/2(大きい数字が長さ、小さい数字が幅)を利用することにより算出された。複数の腫瘍が形成された場合、最終体積は、同じ式に当てはめられた個々の腫瘍の合計とした:例えば、2腫瘍;体積={[L1×(W1)2]/2}+{[L2×(W2)2]/2}。腫瘍成長への効果は、腫瘍成長阻害率(%)(TGI率(%))として報告された。TGI率(%)は、式:(1-(Tx体積/対照体積))×100(式中、対照体積は、所与の日のビヒクルまたは未処置腫瘍体積とし、Tx体積は、同じ日の任意の処置群の腫瘍体積とした)を用いて算出した。処置とビヒクル対照との間の統計学的差異は、一元配置分散分析を用いて評価した。
【0120】
結果:
化合物32c(上の表2)を、NHLのサブタイプである、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のファイファーヒト腫瘍異種移植モデルにおける単剤として評価した。ファイファー癌細胞は、インビトロで実施例347の抗増殖作用に感受性であると示された。それゆえ、腫瘍モデルは、ビヒクルまたは0.3、1、3、もしくは10mg/kgでの化合物32cを、14日間にわたり1日2回の経口投薬を受けた、免疫無防備SCIDマウス及び腫瘍を有するマウスへの腫瘍細胞の皮下接種に基づいて確立された。化合物32c処置は、腫瘍成長を用量の増加とともに、22%、24%、36%、及び58%(腫瘍成長阻害率(%))阻害した。
【0121】
実施例D.ウエスタンブロット分析
以下の材料及び方法を、下記のウエスタンブロット分析において使用した。細胞(500万個)を300μl容量の溶解バッファーに溶解した。可溶性画分を遠心分離により回収した。25μlの細胞ライセートを、トリス-グリシンポリアクリルアミドゲルにロードし、電気泳動に供した。タンパク質をニトロセルロース膜へと転写し、以下のタンパク質:ホスホ-Stat3 Y705、ホスホ-Akt S473、pim1、pim2、pim3、c-myc、ホスホ-p70S6K、ホスホ(phosho)-S6、ホスホ-Bad S112及びアクチンについて、Cell Signaling Technologyからの抗体でプローブした。
【0122】
実施例E.細胞系統におけるIL6及びIL10のレベル
高いレベルのIL6及びIL10が、種々のDLBCL細胞系統において見られた(
図1A)。IL6及びIL10は、JAK/STATシグナル伝達を活性化するとも示され、IL10は、DLBCL細胞系統のパネルにわたってIL6よりも強いJAK/STATシグナル伝達のアクチベータ―であった(
図1B)。高いレベルのIL6及びIL10が、DLBCL患者からの血清内に存在し、無事象生存期間の短さ及び国際予後指数スコアの高さと相関した。
【0123】
実施例F.IL10により、ファイファー細胞はPI3Kδ阻害に対して耐性となり、JAK1/2またはJAK1遮断により逆転されることができる。
細胞増殖アッセイ
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞を、10ng/mlのIL10の不在下または存在下で、2000細胞/ウェルで96ウェル培養プレートに播種した。化合物を、まずDMSOで希釈した後にこれらの細胞に加え、その後培養培地で希釈(4倍濃度)した。細胞を、5%CO2で、3日間インキュベーターで培養した。細胞増殖を、細胞力価増殖アッセイ(cell titer-glow assay)(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して評価した。細胞増殖アッセイは、まず、ファイファー細胞(胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)細胞)及びHBL-1細胞(活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL))において実行された。
【0124】
図2Aは、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
図2Bは、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+化合物7(選択的JAK1阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。結果は、IL10によりファイファー細胞がPI3Kδ阻害に耐性となるが、この耐性はJAK1及び/またはJAK2シグナル伝達を遮断することによって逆転され得ることを示す。従って、PI3Kδ阻害剤及びJAK1及び/JAK2阻害剤が併用された時にファイファー細胞増殖への相乗効果。相乗作用は、IL10無しでも観察された。アポトーシスの誘発は、この組み合わせでも観察された。
【0125】
同様の結果が、ルクソリチニブを用いたHBL-1細胞において観察された。従って、
図3は、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてHBL-1細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
【0126】
実施例G.Pim2のIL10誘発性発現は、JAK1/2阻害剤により遮断される
ファイファー細胞を、IL10を伴ってまたは伴わずに、ビヒクル(DMSO)、ルクソリチニブ(18424)、化合物28、または化合物28及びルクソリチニブ(18424)で24時間処置し、次いでウエスタンブロット分析に供して、以下のタンパク質:ホスホ-Stat3 Y705、ホスホ-Akt S473、Pim2、c-Myc、ホスホ-p70S6K、ホスホ(phosho)-S6、ホスホ-Bad S112及びアクチンについてプローブした。
図4は、Pim2のIL10誘発性発現が、ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤(inhibitior))により遮断されることを示す。IL6及びIL10は、JAK1活性に依存する、Pim2の発現を通して細胞生存を促進する。
図4は、組み合わされた化合物28及びルクソリチニブ処置の存在下でc-Myc及びP-S6の相乗的減少も示す。c-Mycタンパク質の減少は、併用処置の相乗効果に関与し得る。
【0127】
実施例H.Pim2のIL10誘発性発現は、選択的JAK1阻害剤により遮断される
ファイファー細胞を、IL10を伴ってまたは伴わずに、ビヒクル(DMSO)、化合物7、化合物28、または化合物28及び化合物7で24時間処置し、次いでウエスタンブロット分析に供して、以下のタンパク質:ホスホ-Stat3 Y705、ホスホ-Akt S473、Pim2、c-Myc、ホスホ-p70S6K、ホスホ(phosho)-S6、ホスホ-Bad S112及びアクチンについてプローブした。
図5は、Pim2のIL10-誘発性発現が、選択的JAK1阻害剤(化合物7)により遮断されることを示す。
【0128】
実施例I.選択的JAK1阻害剤によるPI3Kδ阻害剤の作用強度の増大
細胞成長及びBCR経路阻害に対する感受性に及ぼすIL-10の効果を試験するため、ファイファー細胞系統をDLBCLのモデル系として使用した。ファイファー細胞は、DLBCLの胚中心B細胞(GCB)サブタイプのものであり、PI3Kδを発現し、PI3Kδ阻害に感受性であり、上述のように複数のサイトカインに反応してJAK/STAT経路を活性化させると示されている。ファイファー細胞を、IL-10及び1μMの化合物16の存在下または不在下で、様々な濃度の化合物28で3日間処置し、細胞成長を、ATP読み取りを使用して測定した(下記の表を参照されたい)。
図6に示すように、IL-10の存在は、化合物28の作用強度を約10倍変えた(IC
50=0.67μM、-IL-10;IC
50=6.36μM、+IL-10)。JAK1阻害剤である、化合物16の添加は、この効果を逆転させ、ゆえに併用は約50倍より強力であった。この系では、JAK1阻害剤単独は効果を有さなかった(IC
50>1μM)。さらに、
図7に示すように(10%FBS+IL10中で3日間処置されたファイファー細胞のアネキシン-V染色を示す;化合物16は、1μMで試験された)、JAK1シグナル伝達と一緒となったPI3Kδの阻害は、アポトーシスの増加をもたらしが、どちらの薬剤も単独では有意な効果を有さなかった。
【表3】
【0129】
実施例J.STAT3リン酸化及びpAKT阻害に及ぼすJAK1及びPI3Kδ併用処置の効果
下流シグナル伝達経路に及ぼす効果を評価するために、ファイファー細胞を化合物28+/-化合物16で4時間処置し、次いで、IL-10で15分間刺激した。抽出物をpAKT及びpSTAT3についてウエスタンブロット法により分析した。
図8に示すように、AKT経路は、ファイファー細胞において恒常的に活性化された。PI3Kδシグナル伝達の遮断は、pAKTの完全な阻害をもたらし、一方でJAK1阻害剤での処置は効果を有さなかった。対照的に、化合物16は、STAT3リン酸化の阻害をもたらし、一方でPI3Kδ阻害剤はもたらさなかった。両化合物の併用は、両方の経路を遮断するために必要とされた。
【0130】
上記に参照した全ての特許、特許公報、及び雑誌論文は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
また、本発明は、下記のものを包含する。
[発明1]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾辺縁帯リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞白血病、髄外形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(無症候性骨髄腫として公知)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)、及び胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)から選択される疾患を処置する方法であって、前記患者に:(a)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤;及び(b)PI3Kδの阻害剤を投与することを含み;
(a)JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が:
3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
[トランス-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(シス-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(シス-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択され;
(b)PI3Kδの前記阻害剤が:
7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン;
(S)-7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン;
4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-{1-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アゼチジン-3-イル}-3-メトキシベンゾニトリル;
4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル;
5-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド;
4-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル}ピロリジン-2-オン;及び
N-{1-[5-クロロ-8-(3-フルオロフェニル)シンノリン-7-イル]エチル}-9H-プリン-6-アミン;
4-クロロ-3’-フルオロ-3-メチル-6-[1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]ビフェニル-2カルボニトリル;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、前記方法。
[発明2]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が:
(R)-3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
(R)-3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
(R)-4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
(R)-4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
(R)-4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
(S)-3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
(S)-3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
(S)-4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
(S)-4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
(S)-4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、発明1に記載の方法。
[発明3]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明4]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である、発明1に記載の方法。
[発明5]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明6]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、発明1に記載の方法。
[発明7]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明8]
PI3Kδの前記阻害剤が:
(S)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((S)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(S)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(R)-4-(3-((R)-1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-クロロ-2-エトキシ-6-フルオロフェニル)ピロリジン-2-オン;
(N-{(1S)-1-[5-クロロ-8-(3-フルオロフェニル)シンノリン-7-イル]エチル}-9H-プリン-6-アミン;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、発明1に記載の方法。
[発明9]
PI3Kδの前記阻害剤が、(S)-7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明10]
PI3Kδの前記阻害剤が、4-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-クロロ-2-[1-(2-ヒドロキシエチル)アゼチジン-3-イル]-3-メトキシベンゾニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明11]
PI3Kδの前記阻害剤が、5-{3-[1-(4-アミノ-3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル]-6-シアノ-2-エトキシ-5-メチルフェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明12]
PI3Kδの前記阻害剤が、(N-{(1S)-1-[5-クロロ-8-(3-フルオロフェニル)シンノリン-7-イル]エチル}-9H-プリン-6-アミン、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明13]
前記疾患が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、発明1に記載の方法。
[発明14]
前記疾患が、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)である、発明1に記載の方法。
[発明15]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤及びPI3Kδの前記阻害剤が同時投与される、発明1に記載の方法。
[発明16]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤及びPI3Kδの前記阻害剤が逐次投与される、発明1に記載の方法。
[発明17]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び(7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。
[発明18]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。
[発明19]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)-6-(3-フルオロフェニル)-3-メチル-5H-チアゾロ[3,2-a]ピリミジン-5-オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。