IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華邦電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7206347同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法
<>
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図1
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図2
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図3
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図4
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図5
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図6
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図7
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図8
  • 特許-同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20230110BHJP
   H03K 5/00 20060101ALI20230110BHJP
   G06F 1/12 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H04L7/00 370
H03K5/00 V
G06F1/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021165180
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 泰平
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-016190(JP,A)
【文献】特開2004-127147(JP,A)
【文献】特開2000-332734(JP,A)
【文献】特開2000-244469(JP,A)
【文献】特開平01-226212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
H03K 5/00
G06F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力同期化信号を第1所定時間だけ遅延させて第1遅延同期化信号を生成する第1遅延回路と、
前記第1遅延同期化信号を第2所定時間だけ遅延させて第2遅延同期化信号を生成する第2遅延回路と、
入力データを前記入力同期化信号に同期化した第1出力データを出力する第1同期化回路と、
前記入力データを前記第1遅延同期化信号に同期化した第2出力データを出力する第2同期化回路と、
前記第1出力データと前記第2出力データが不一致ならば、前記第1同期化回路に対して、前記第2遅延同期化信号により前記入力データを再同期化することにより前記第1出力データを更新させる再同期化回路と、
を備える同期化回路。
【請求項2】
前記第1出力データを前記第2遅延同期化信号に同期化した第3出力データを出力する第3同期化回路を更に備える、
請求項1に記載の同期化回路。
【請求項3】
前記入力データの最短維持時間よりも前記第1所定時間と前記第2所定時間を合わせた時間が短い、
請求項1又は2に記載の同期化回路。
【請求項4】
前記入力データ、前記第1出力データ及び前記第2出力データは、それぞれ、複数ビットを含み、
前記再同期化回路は、前記第1出力データと前記第2出力データが少なくとも1つのビットにおいて不一致ならば、前記第1同期化回路に対して、前記第2遅延同期化信号により前記入力データを再同期化することにより前記第1出力データを更新させる、
請求項1に記載の同期化回路。
【請求項5】
前記第1同期化回路が第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路であり、前記第2同期化回路が第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路である、
請求項1に記載の同期化回路。
【請求項6】
前記第1同期化回路が第1ラッチ回路であり、前記第2同期化回路が第2ラッチ回路である、
請求項1に記載の同期化回路。
【請求項7】
前記再同期化回路は二入力排他的論理和ゲートを含み、前記二入力排他的論理和ゲートは、前記第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データ及び前記第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの排他的論理和をとり、その結果を示す制御信号を出力する、
請求項に記載の同期化回路。
【請求項8】
前記再同期化回路は二入力論理積ゲートをさらに含み、前記二入力論理積ゲートは、前記制御信号と第2遅延クロックとの論理積をとり、その結果を適応第2遅延クロックとして出力する、
請求項7に記載の同期化回路。
【請求項9】
前記再同期化回路は二入力論理和ゲートをさらに含み、前記二入力論理和ゲートは、入力クロックと前記適応第2遅延クロックの論理和をとり、その結果を主クロックとして出力し、
前記第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路のクロック端子には、前記二入力論理和ゲートから出力される前記主クロックが供給される、
請求項8に記載の同期化回路。
【請求項10】
前記再同期化回路はn個(nは2以上の整数)の二入力排他的論理和ゲートをさらに含み、n個の二入力排他的論理和ゲートのうちi番目(i=1、2、・・・、n)の二入力排他的論理和ゲートは、前記第1同期化回路から出力されたnビットの前記第1出力データの第iビット及び前記第2同期化回路から出力されたnビットの第2出力データの第iビットの排他的論理和演算をして、その結果をnビットの予備制御信号の第iビットとして出力する、
請求項1に記載の同期化回路。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の同期化回路を備える半導体記憶装置。
【請求項12】
入力データを同期化信号により同期化させた第1データと、前記入力データを、前記同期化信号を遅延させた信号により同期化させた第2データと、を比較することと、
前記第1データ及び前記第2データが異なっていれば、前記入力データを、前記同期化信号を更に遅延させた信号により同期化したデータを出力し、そうでなければ、前記第1データを出力することと、を含む、
同期化方法。
【請求項13】
前記比較することは、前記入力データが複数ビットを含む場合に、前記第1データと、前記第2データと、をビット毎に比較することを含み、
前記出力することは、前記第1データ及び前記第2データが少なくとも1つのビットにおいて異なっている場合に、前記入力データを、前記同期化信号を更に遅延させた信号により同期化した前記データを出力し、そうでなければ、前記第1データを出力することを含む、
請求項12に記載の同期化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS回路の論理設計において、電源は、電圧VDD及び電圧VSSを維持する。しかし、もし、フリップ・フロップ回路への入力データがクロックに対して十分なセットアップ・マージン/ホルド・マージンを持たないならば、フリップ・フロップ回路の出力信号は、メタステーブル状態に入る場合がある。つまり、もし、入力データのタイミングと入力クロックのタイミングが近くて、セットアップ・マージン又はホルド・マージンが確保されなければ、出力データの電圧は、電圧VDDにも電圧VSSにもならず、中間電圧になる場合がある。
【0003】
この場合、このような中間電圧になる信号を入力する一部の論理回路は、出力信号の中間電圧を電圧VDDとして扱い、また、このような中間電圧になる信号を入力する他の一部の論理回路は、出力信号の中間電圧圧を電圧VSSとして扱う。また、システムは、このメタステーブル状態により破壊されることがある。
【0004】
別々のクロック・ドメイン間でデータを送受信する際に、同期化回路を用いることがあるが、同期化回路において、このようなメタステーブル状態の問題が生じる場合がある。
【0005】
そこで、別々のクロック・ドメイン間でデータを送受信する際にメタステーブル状態が発生することを抑制するために、データと同期するデータストローブ信号を利用する同期化回路が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開10-135938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような同期化回路はデータストローブ信号に関連した追加回路を必要とし、回路規模が大きいため、より小さい回路規模で入力データを受け側のクロックに同期化することが可能な同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法が求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、同期化を行うことの可能な同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
入力同期化信号を第1所定時間だけ遅延させて第1遅延同期化信号を生成する第1遅延回路と、
前記第1遅延同期化信号を第2所定時間だけ遅延させて第2遅延同期化信号を生成する第2遅延回路と、
入力データを前記入力同期化信号に同期化した第1出力データを出力する第1同期化回路と、
前記入力データを前記第1遅延同期化信号に同期化した第2出力データを出力する第2同期化回路と、
前記第1出力データと前記第2出力データが不一致ならば、前記第1同期化回路に対して、前記第2遅延同期化信号により前記入力データを再同期化することにより前記第1出力データを更新させる再同期化回路と、
を備える同期化回路を提供する(発明1)。
【0010】
かかる発明(発明1)によれば、例えば、データストローブ信号に関連した追加回路等を用いることなく、メタステーブルにはならない第1出力データを出力することができる。したがって、小さい回路規模で同期化を行うことの可能な同期化回路を実現することができる。
【0011】
上記発明(発明1)においては、第1出力データを第2遅延同期化信号に同期化した第3出力データを出力する第3同期化回路を更に備えていてもよい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明2)によれば、メタステーブルにはならず、且つ、第2遅延同期化信号に同期化した第3出力データを出力することができる。
【0013】
また、第2遅延同期化信号が周期的なものであれば、メタステーブルにはならず、且つ、周期的な第3出力データを出力することができる。
【0014】
上記発明(発明1~2)においては、入力データの最短維持時間よりも第1所定時間と第2所定時間を合わせた時間が短くてもよい(発明3)。
【0015】
かかる発明(発明3)によれば、入力同期化信号に同期化した第1出力データと、第1遅延同期化信号に同期化した第2出力データと、が不一致であると判断された時に、安定して入力同期化信号を第2遅延同期化信号により再同期化して、メタステーブルにはならない第1出力データを取得することができる。
【0016】
上記発明(発明1)においては、前記入力データ、前記第1出力データ及び前記第2出力データは、それぞれ、複数ビットを含み、
前記再同期化回路は、前記第1出力データと前記第2出力データが少なくとも1つのビットにおいて不一致ならば、前記第1同期化回路に対して、前記第2遅延同期化信号により前記入力データを再同期化することにより前記第1出力データを更新させてもよい(発明4)。
【0017】
かかる発明(発明4)によれば、入力データに含まれる全てのビットに対する再同期の実行/不実行を揃えることができる。従って、複数ビットを含む入力データにより示される値をそのまま維持した第1出力データを出力することができる。
【0018】
上記発明(発明1)においては、前記第1同期化回路が第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路であり、前記第2同期化回路が第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路であってもよい(発明5)。
【0019】
かかる発明(発明5)によれば、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路を用いて同期化を行うことが可能になる。
【0020】
上記発明(発明1)においては、前記第1同期化回路が第1ラッチ回路であり、前記第2同期化回路が第2ラッチ回路であってもよい(発明6)。
【0021】
かかる発明(発明6)によれば、第1ラッチ回路及び第2ラッチ回路を用いて同期化を行うことが可能になる。
【0022】
上記発明(発明1)においては、前記再同期化回路は二入力排他的論理和ゲートを含み、前記二入力排他的論理和ゲートは、前記第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データ及び前記第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの排他的論理和をとり、その結果を示す制御信号を出力してもよい(発明7)。
【0023】
かかる発明(発明7)によれば、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの論理レベル及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの論理レベルが一致する場合には、論理レベルがLOWの制御信号を出力することができ、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの論理レベル及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路の出力端子からの出力データの論理レベルが一致しない場合には、論理レベルがHIGHの制御信号を出力することができる。
【0024】
上記発明(発明7)においては、前記再同期化回路は二入力論理積ゲートをさらに含み、前記二入力論理積ゲートは、前記制御信号と第2遅延クロックとの論理積をとり、その結果を適応第2遅延クロックとして出力してもよい(発明8)。
【0025】
かかる発明(発明8)によれば、制御信号の論理レベルがHIGHである場合には、第2遅延クロックに対応した適応第2遅延クロックを生じさせることができ、制御信号の論理レベルがLOWである場合には、第2遅延クロックに対応した適応第2遅延クロックを生じさせないようにすることができる。
【0026】
上記発明(発明8)においては、前記再同期化回路は二入力論理和ゲートをさらに含み、前記二入力論理和ゲートは、入力クロックと前記適応第2遅延クロックとの論理和をとり、その結果を主クロックとして出力し、
前記第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路のクロック端子には、前記二入力論理和ゲートから出力される前記主クロックが供給されてもよい(発明9)。
【0027】
かかる発明(発明9)によれば、入力クロックと適応第2遅延クロックとの論理和の結果を主クロックとして第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路に供給することができる。
【0028】
上記発明(発明1)においては、前記再同期化回路はn個(nは2以上の整数)の二入力排他的論理和ゲートをさらに含み、n個の二入力排他的論理和ゲートのうちi番目(i=1、2、・・・、n)の二入力排他的論理和ゲートは、前記第1同期化回路から出力されたnビットの前記第1出力データの第iビット及び前記第2同期化回路から出力されたnビットの第2出力データの第iビットの排他的論理和演算をして、その結果をnビットの予備制御信号の第iビットとして出力してもよい(発明10)。
【0029】
かかる発明(発明10)によれば、nビットの第1出力データとnビットの第2出力データとをビット毎に比較して、第1出力データと第2出力データとが相違しているか否かを示す予備制御信号を出力することができる。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明は、更に、上記発明(発明1~10)を備える半導体記憶装置を提供する(発明11)。
【0031】
かかる発明(発明11)によれば、半導体記憶装置内においてデータの同期化を実行することができる。また、例えば、データストローブ信号に関連した追加回路等を用いる必要がないので、小さい回路規模で同期化を行うことの可能な半導体記憶装置を実現することができる。
【0032】
上記課題を解決するために、本発明は、更に、入力データを同期化信号により同期化させた第1データと、前記入力データを、前記同期化信号を遅延させた信号により同期化させた第2データと、を比較することと、
前記第1データ及び前記第2データが異なっていれば、前記入力データを、前記同期化信号を更に遅延させた信号により同期化したデータを出力し、そうでなければ、前記第1データを出力することと、を含む、
同期化方法を提供する(発明12)。
【0033】
かかる発明(発明12)によれば、例えば、データストローブ信号に関連した追加回路を用いることなく、メタステーブルにはならない第1出力データを出力することができる。したがって、小さい回路規模で同期化を行うことの可能な同期化方法を実現することができる。
【0034】
上記発明(発明12)においては、前記比較することは、前記入力データが複数ビットを含む場合に、前記第1データと、前記第2データと、をビット毎に比較することを含み、
前記出力することは、前記第1データ及び前記第2データが少なくとも1つのビットにおいて異なっている場合に、前記入力データを、前記同期化信号を更に遅延させた信号により同期化した前記データを出力し、そうでなければ、前記第1データを出力することを含んでもよい(発明13)。
【0035】
かかる発明(発明13)によれば、メタステーブルにはならない複数ビットを含む第1出力データを出力することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法によれば、同期化を行うことの可能な同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施形態による同期化回路の構成を示す回路図である。
図2図1に示す同期化回路の再同期が実行されない場合の動作例を示すタイミング図である。
図3図1に示す同期化回路の再同期が実行される場合の第1の動作例を示すタイミング図である。
図4図1に示す同期化回路の再同期が実行される場合の第2の動作例を示すタイミング図である。
図5】本発明の第2の実施形態による同期化回路の構成を示す回路図である。
図6】本発明の第3の実施形態による同期化回路の構成を示す回路図である。
図7図6に示す同期化回路の再同期が実行されない場合の動作例を示すタイミング図である。
図8図6に示す同期化回路の再同期が実行される場合の動作例を示すタイミング図である。
図9図1に示す第1の実施形態による同期化回路におけるクロックと図5に示す第2の実施形態による同期化回路におけるストローブ信号との対応関係を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態に係る同期化回路について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、或る構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものであって、当該構成要素の数、順序又は優先度等を限定するためのものではない。例えば、「第1要素」及び「第2要素」との記載が存在する場合、「第1要素」及び「第2要素」という2つの要素のみが採用されることを意味するものではないし、「第1要素」が「第2要素」に先行しなければならないことを意味するものでもない。
【0040】
[第1の実施形態]
図1に示す第1の実施形態による同期化回路201は、入力データDATAを入力クロックClkに同期化させて、出力データQ3として出力するものである。
【0041】
同期化回路201は、半導体記憶装置に設けられていてもよい。半導体記憶装置は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリなどの半導体記憶装置でもよい。
【0042】
また、同期化回路201がダイナミック・ランダム・アクセス・メモリに設けられる場合、同期化回路201は、メモリ・セルのリフレッシュ間隔を調整する際に参照する温度に関するデータを扱うものであってもよい。
【0043】
入力データDATAは、例えば、第1の系列のクロックに同期しており、また、クロックClkは第2の系列のクロックに同期している。従って、同期化回路201は、データを第1の系列のクロックから第2の系列のクロックに乗り換えさせることができる。
【0044】
同期化回路201は、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213及び第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215を備える。ここで、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213及び第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215は、それぞれ、本発明の第1同期化回路、第2同期化回路及び第3同期化回路の一例である。
【0045】
また、同期化回路201は、2つの遅延回路221、223、二入力排他的論理和ゲート225、二入力論理積ゲート227及び二入力論理和ゲート229を備える。
【0046】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の入力端子D及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の入力端子Dには、1ビットの入力データDATAが供給される。
【0047】
また、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215の入力端子Dには、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力端子Qからの出力データQ1が供給される。
【0048】
遅延回路221は、入力クロックClkを第1の所定の遅延時間だけ遅延させて、第1遅延クロックClk_d1として出力する。また、遅延回路223は、第1遅延クロックClk_d1を第2の所定の遅延時間だけ遅延させて、第2遅延クロックClk_d2として出力する。ここで、遅延回路221及び遅延回路223は、それぞれ、本発明の第1遅延回路及び第2遅延回路の一例である。
【0049】
ここで、入力クロックClk、第1遅延クロックClk_d1及び第2遅延クロックClk_d2は、それぞれ、本発明の第1同期化信号、第2同期化信号及び第3同期化信号の一例である。
【0050】
二入力排他的論理和ゲート225は、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力端子Qからの出力データQ1及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力端子Qからの出力データQ2の排他的論理和をとり、その結果を示す制御信号qchkを出力する。従って、制御信号qchkの論理レベルは、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力端子Qからの出力データQ1の論理レベル及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力端子Qからの出力データQ2の論理レベルが一致すればLOWとなり、一致しなければHIGHとなる。
【0051】
二入力論理積ゲート227は、制御信号qchkと第2遅延クロックClk_d2との論理積を取り、その結果を適応第2遅延クロックcclkとして出力する。従って、制御信号qchkの論理レベルがHIGHであれば、第2遅延クロックClk_d2に対応した適応第2遅延クロックcclkが生じるが、制御信号qchkの論理レベルがLOWであれば、第2遅延クロックClk_d2に対応した適応第2遅延クロックcclkが生じない。
【0052】
二入力論理和ゲート229は、入力クロックClkと適応第2遅延クロックcclkの論理和を取り、その結果を主クロックlclkとして出力する。
【0053】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211のクロック端子CKには、二入力論理和ゲート229から出力される主クロックlclkが供給される。
【0054】
また、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213のクロック端子CKには、第1遅延回路221からの第1遅延クロックClk_d1が供給される。
【0055】
更に、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215のクロック端子CKには、第2遅延回路223からの第2遅延クロックClk_d2が供給される。
【0056】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211は、入力端子Dに供給される入力データDATAをクロック端子CKに供給される主クロックlclkのLOWからHIGHへの立ち上がりに同期化させた出力データQ1を出力端子Qから出力する。
【0057】
第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213は、入力端子Dに供給される入力データDATAをクロック端子CKに供給される第1遅延クロックClk_d1のLOWからHIGHへの立ち上がりに同期化させた出力データQ2を出力端子Qから出力する。
【0058】
第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215は、入力端子Dに供給されるデータQ1をクロック端子CKに供給される第2遅延クロックClk_d2のLOWからHIGHへの立ち上がりに同期化させた出力データQ3を出力端子Qから出力する。
【0059】
入力データDATAは、まず、入力クロックClkよりも二入力論理和ゲート229により僅かに遅延した主クロックlclkにより第1Dタイプ・フロップ回路211において同期化される。主クロックlclkにより同期化された入力データDATAは、第1Dタイプ・フロップ回路211の出力端子QからデータQ1として出力される。
【0060】
次に、入力データDATAは、入力クロックClkよりも遅延回路221により遅延した第1遅延クロックClk_d1により第2Dタイプ・フロップ回路213において同期化される。第1遅延クロックClk_d1により同期化された入力データDATAは、第2Dタイプ・フロップ回路213の出力端子QからデータQ2として出力される。
【0061】
ここで、入力データDATAの論理レベルが変化するタイミングが入力クロックClkのLOWからHIGHへの立ち上がりのタイミングに近いと(つまり、入力クロックClkに対する入力データDATAの必要なセットアップ・マージン/ホルド・マージンが確保されないと)、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1においてメタステーブル状態が発生する可能性が生じる。
【0062】
また、入力データDATAの論理レベルが変化するタイミングが第1遅延クロックClk_d1の立ち上がりのタイミングに近いと(つまり、第1遅延クロックClk_d1に対する入力データDATAの必要なセットアップ・マージン/ホルド・マージンが確保されないと)、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2においてメタステーブル状態が発生する可能性が生じる。
【0063】
ところで、入力データDATAが同じ論理レベルを維持しているときに、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより入力データDATAが同期化され、次いで、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において第1遅延クロックClk_d1により入力データDATAが同期化されるならば、入力データDATAが第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において第1遅延クロックClk_d1により同期化された後は、二入力排他的論理和ゲート225から出力される制御信号qchkの論理レベルはLOWである。従って、その後、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時には二入力論理積ゲート227の出力端子から二入力論理和ゲート229に供給される適応第2遅延クロックcclkの論理レベルはLOWに維持されている。従って、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がっても二入力論理積ゲート227から出力される適応第2遅延クロックcclkの論理レベルはLOWに維持され、主クロックlclkの論理レベルもLOWに維持される。従って、このような場合には、入力データDATAが第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化されるようなことはない。
【0064】
従って、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりによる同期化により更新された第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、維持される。
【0065】
他方で、入力データDATAの論理レベルが或る論理レベル(HIGH又はLOW)であるときに、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において入力データDATAが入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより同期化され、次いで、入力データDATAの論理レベルが他の論理レベル(LOW又はHIGH)に変化してから、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において入力データDATAが第1遅延クロックClk_d1により同期化されるならば、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において入力データDATAが第1遅延クロックClk_d1により同期化された後は、二入力排他的論理和ゲート225から出力される制御信号qchkの論理レベルはHIGHである。
【0066】
従って、その後、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時には制御信号qchkの論理レベルはHIGHに維持されている。従って、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がると二入力論理積ゲート227から出力される適応第2遅延クロックcclkも立ち上がる。二入力論理和ゲート229の一方の入力端子にこの適応第2遅延クロックcclkが入力され、他方の入力端子の論理レベルはLOWを維持するので、二入力論理和ゲート229から出力される主クロックlclkは、第2遅延クロックClk_d2に対して、二入力論理積ゲート227と二入力論理和ゲート229による遅延時間だけ遅延して、立ち上がる。従って、このような場合には、第2遅延クロックに対応した立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより入力データDATAが第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化される。
【0067】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1又は第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2においてメタステーブル状態が発生し、これにより、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がるタイミングにおいて、制御信号qchkの論理レベルがHIGHになる場合にも、同様に、第2遅延クロックに対応した立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより入力データDATAが第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化される。
【0068】
従って、これらの場合には、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより同期化により更新された第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより更新されることになる。なお、本実施形態において、二入力排他的論理和ゲート225、二入力論理積ゲート227、二入力論理和ゲート229及び第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211は、本発明の再同期化回路の一例である。
【0069】
次に、図2を参照して、入力データDATAが第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化されない場合の例の説明をする。
【0070】
時刻t11において、入力データDATAの論理レベルは、LOWからHIGHに変化する。
【0071】
時刻tc1において、論理レベルがHIGHである入力データDATAは、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において同期化される。従って、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、入力クロックClkが立ち上がる時刻tc1から僅かに遅延した時刻t12以降においてはHIGHになる。
【0072】
時刻tc2において、論理レベルがHIGHである入力データDATAは、第1遅延クロックClk_d1の立ち上がりにより第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において同期化される。従って、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2の論理レベルは、第1遅延クロックClk_d1が立ち上がる時刻tc2から僅かに遅延した時刻t13以降においてはHIGHになる。
【0073】
従って、制御信号qchkの論理レベルは、時刻t12から時刻t13においては、HIGHになるが、時刻t13以降においては、LOWになる。
【0074】
従って、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻tc3においては、出力データQ1と出力データQ2の論理レベルが同一であるため、制御信号qchkの論理レベルはLOWであり、従って、適応第2遅延クロックcclkは生じない。
【0075】
従って、第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりによるDタイプ・フリップ・フロップ回路211における再同期化は生じない。
【0076】
従って、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりによる同期化により時刻t12に更新された第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、維持される。
【0077】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において1回のみ同期化された出力データQ1は、その後、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻において、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215において同期化され、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215の出力端子Qから出力データQ3として出力される。
【0078】
次に、図3を参照して、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1がメタステーブルになり、これにより、入力データDATAが第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化される場合の例の説明をする。
【0079】
時刻tc1において、論理レベルがLOWからHIGHに変化する入力データDATAは、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において同期化されようとする。しかし、入力クロックClkに対する入力データDATAの必要なセットアップ・マージン/ホルド・マージンが確保されないため、時刻tc1以降に第1Dタイプ・フリップ・フロップ211回路の出力データQ1がメタステーブルになる。なお、後述する再同期化により時刻t22以降は、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、HIGHで安定する。
【0080】
時刻tc2において、論理レベルがHIGHである入力データDATAは、第1遅延クロックClk_d1の立ち上がりにより第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において同期化される。従って、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2の論理レベルは、第1遅延クロックClk_d1が立ち上がる時刻tc2から僅かに遅延した時刻t21以降においてはHIGHになる。
【0081】
ここで、上述したように、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1は、時刻tc1から時刻t22までの期間においてメタステーブルであるが、二入力排他的論理和ゲート225においては、論理レベルがLOWであると判断される。
【0082】
従って、出力データQ1と出力データQ2の論理レベルが同一ではないため、二入力排他的論理和ゲート225から出力される制御信号qchkの論理レベルは、時刻t21からHIGHである。
【0083】
なお、図3の例では、時刻tc1以前においては、出力データQ1及び出力データQ2の双方の論理レベルがLOWであるため、制御信号qchkの論理レベルがLOWとなっている。また、時刻tc1から時刻tc2までの期間においては、上述したように、二入力排他的論理和ゲート225において出力データQ1の論理レベルがLOWであると判断され、また、出力データQ2の双方の論理レベルがLOWであるため、制御信号qchkの論理レベルがLOWとなっている。
【0084】
従って、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻tc3においては、制御信号qchkの論理レベルはHIGHであり、従って、適応第2遅延クロックcclkも立ち上がる。
【0085】
図示しないが、時刻tc3の前後においては、入力クロックClkの論理レベルはLOWであり、従って、適応第2遅延クロックcclkも立ち上がりに対応して主クロックlclkも立ち上がる。
【0086】
従って、第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211における再同期化が実行される。従って、時刻t22において、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力信号の論理レベルがその時刻における入力データDATAの論理レベルと同一であるHIGHに更新される。これと同時に、制御信号qchkの論理レベルはLOWになる。
【0087】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化された出力データQ1は、その後、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻において、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215において同期化され、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215の出力端子Qから出力データQ3として出力される。
【0088】
次に、図4を参照して、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2がメタステーブルになり、これにより、入力データDATAが第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化される場合の例の説明をする。
【0089】
時刻tc1において、論理レベルがLOWである入力データDATAは、入力クロックClkの立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において同期化される。従って、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、入力クロックClkが立ち上がる時刻tc1から僅かに遅延した時刻t31以降においてLOWになる。なお、図4の例では、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力データQ1の論理レベルは、時刻t31以前においてもLOWである。
【0090】
時刻tc2において、論理レベルがLOWからHIGHに変化する入力データDATAは、第1遅延クロックClk_d1の立ち上がりにより第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213において同期化されようとする。しかし、第1遅延クロックClk_d1に対する入力データDATAの必要なセットアップ・マージン/ホルド・マージンが確保されないため、時刻tc2から第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2がメタステーブルになる。なお、時刻tc3以降は、第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2の論理レベルは、HIGHで安定する。
【0091】
従って、時刻tc2から時刻tc3までの期間において第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213の出力データQ2は、メタステーブルであるが、二入力排他的論理和ゲート225においては、論理レベルがHIGHであると判断される。
【0092】
従って、出力データQ1と出力データQ2の論理レベルが同一ではないため、時刻tc2以降は、二入力排他的論理和ゲート225から出力される制御信号qchkの論理レベルはHIGHである。
【0093】
従って、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻tc3においては、制御信号qchkの論理レベルはHIGHであり、従って、適応第2遅延クロックcclkも立ち上がる。
【0094】
図示しないが、時刻tc3の前後においては、入力クロックClkの論理レベルはLOWであり、従って、適応第2遅延クロックcclkの立ち上がりに対応して主クロックlclkも立ち上がる。
【0095】
従って、第2遅延クロックClk_d2の立ち上がりに対応した主クロックlclkの立ち上がりにより第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211における再同期化が実行される。従って、時刻t32において、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211の出力信号の論理レベルがその時刻における入力データDATAの論理レベルと同一であるHIGHに更新される。
【0096】
第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211において再同期化された出力データQ1は、その後、第2遅延クロックClk_d2が立ち上がる時刻において、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215において同期化され、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215の出力端子Qから出力データQ3として出力される。
【0097】
なお、遅延回路221による第1の所定の遅延時間及び遅延回路223による第2の所定の遅延時間を合わせた時間を、入力データDATAが同一の論理レベルを維持する期間(例えば、入力データDATAのクロック期間)よりも短くすれば、最初の同期化による出力データQ1がメタステーブルとなっても、再同期により安定した出力データQ1を得ることができる。その他の場合を含め、遅延回路221による第1の所定の遅延時間及び遅延回路223による第2の所定の遅延時間を合わせた時間を、入力データDATAが同一の論理レベルを維持する期間よりも短くすれば、同期化回路201から出力データQ3を安定して出力することができる。
【0098】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態による同期化回路203を示す。同期化回路203は、第1の実施形態による同期化回路201と比較すると、第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213が、それぞれ、第1ラッチ回路241及び第2ラッチ回路243に置き換わり、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215が省略されている点が異なる。
【0099】
また、図1及び図5を参照すると、同期化回路203は、第1の実施形態による同期化回路201と比較すると、入力クロックClk、第1遅延クロックClk_d1及び第2遅延クロックClk_d2が、それぞれ、入力ストローブ信号Str、第1遅延ストローブ信号str_d1及び第2遅延ストローブ信号str_d2に置き換わっている点が異なる。
【0100】
ここで、入力ストローブ信号Str、第1遅延ストローブ信号str_d1及び第2遅延ストローブ信号str_d2は、それぞれ、本発明の第1同期化信号、第2同期化信号及び第3同期化信号の他の一例である。
【0101】
更に、適応第2遅延クロックcclk及び主クロックlclkが、それぞれ、適応第2遅延ストローブ信号sstr及び主ストローブ信号lstrに置き換わっている点が異なる。
【0102】
図9に示すように、入力クロックClkの立ち上がり時刻tc1において、入力ストローブ信号Strが立ち下がる。同様に、第1遅延クロックClk_d1の立ち上がり時刻tc2において、第1遅延ストローブ信号str_d1が立ち下がる。更に同様に、第2遅延クロックClk_d2の立ち上がり時刻tc3において、第2遅延ストローブ信号str_d2が立ち下がる。
【0103】
また、適応第2遅延ストローブ信号sstrは、適応第2遅延クロックcclkと同様に、制御信号qchkの論理レベルがHIGHであるときに発生し、そうでないときに発生しない。適応第2遅延ストローブ信号sstrが発生する場合には、適応第2遅延ストローブ信号sstrは、適応第2遅延クロックcclkが立ち上がる時刻と同一の時刻に立ち下がる。
【0104】
初回の同期のための主ストローブ信号lstrは、初回の同期のための主クロックlclkの立ち上がりと同一の時刻に立ち下がる。また、再同期のための主ストローブ信号lstrは、再同期のための主クロックlclkの立ち上がりと同一の時刻に立ち下がる。
【0105】
一般に、Dタイプ・フリップ・フロップ回路は、入力データを入力クロックの立ち上がりに同期させて出力データにする。これに対して、ラッチ回路は、ストローブ信号の論理レベルがHIGHである期間においては、入力データをそのまま出力データとして出力するが、ストローブ信号が立ち下がる時の入力データの論理レベルを持つ出力データを維持する。
【0106】
従って、第2の実施形態による第1ラッチ回路241及び第2ラッチ回路243は、それぞれ、第1の実施形態による第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路211及び第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路213と同様に動作する。Dタイプ・フリップ・フロップ回路をラッチ回路に置き替えることによって、回路規模を縮小することができる。
【0107】
第2の実施形態においては、第1の実施形態における第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215に対応する第3ラッチ回路がない。しかし、第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路215に対応する第3ラッチ回路を設けてもよい。
【0108】
第2の実施形態によれば、Dタイプ・フリップ・フロップ回路をラッチ回路に置き換えているので、回路規模を縮小することができる。
【0109】
[第3の実施形態]
ところで、例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリにおいては、徐々に蓄積電荷が減少していくメモリ・セルを再充電するためのリフレッシュ回路が設けられている。リフレッシュ回路におけるリフレッシュレート制御のために参照する温度データは複数ビットにより構成される場合もある。このように複数ビットより構成される温度データを同期化回路への入力データにして、クロック乗り換えをする必要が生ずるような場合がある。
【0110】
第1の実施形態による同期化回路及び第2の実施形態による同期化回路は、1ビットのみより構成される入力データを扱うものであるが、例えば、1ビットのみを扱う同期化回路を複数並列に並べるだけだと、ビット間で同期化回路の動作が異なる場合が生じてしまい、正しいクロック乗り換えをすることができない。つまり、あるビットに対応する同期化回路では再同期が生じるが他のビットに対応する同期化回路では再同期が生じない場合が生じてしまい、このような場合には、正しいクロック乗り換えをすることができない。
【0111】
第3の実施形態による同期化回路は、このような問題を生じないようにしたものである。
【0112】
図6は、第3の実施形態による同期化回路205を示す。第2の実施形態による同期化回路203においては、入力データDATAのビット数は1である。これに対して、第3の実施形態による同期化回路205においては、入力データDATAのビット数は複数n(nは、2以上の整数)である。
【0113】
第3の実施形態による同期化回路205は、第2の実施形態による同期化回路203と比較すると、第1ラッチ回路241、第2ラッチ回路243及び二入力排他的論理和ゲート225が、それぞれ、複数(ここでは、n個)の第1ラッチ回路241-1~241-n、複数(ここでは、n個)の第2ラッチ回路243-1~243-n及び複数(ここでは、n個)の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nに置き換わっている点と、n入力論理和ゲート231が追加されている点が異なる。
【0114】
複数の第1ラッチ回路241-1~241-nは、nビットの入力データDATA<n:1>を主ストローブ信号lstrによりラッチして、nビットの出力データQ1<n:1>として出力する。同様に、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nは、nビットの入力データDATA<n:1>を第1遅延ストローブ信号str_d1によりラッチして、nビットの出力データQ2<n:1>として出力する。
【0115】
複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nのうちi番目の二入力排他的論理和ゲート225-i(i=1、2、・・・、n)は、出力データQ1<n:1>の第iビット及び出力データQ2<n:1>の第iビットの排他的論理和演算をして、その結果を予備制御信号Qchk<n:1>の第iビットとして出力する。
【0116】
n入力論理和ゲート231は、予備制御信号Qchk<n:1>の論理和演算をして、その結果を示す制御信号QchkNを出力端子から二入力論理積ゲート227の片側の入力端子に供給する。
【0117】
二入力論理積ゲート227及び二入力論理和ゲート229は、第2の実施形態と同様である。
【0118】
複数ビットの入力データDATA<n:1>の各ビットは、主ストローブ信号lstrにより複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの各々にラッチされ、出力データQ1<n:1>として出力される。
【0119】
また、複数ビットの入力データDATA<n:1>の各ビットは、第1遅延ストローブ信号str_d1により複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの各々にラッチされ、出力データQ2<n:1>として出力される。
【0120】
そして、出力データQ1<n:1>と出力データQ2<n:1>が複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nによりビット毎に比較される。少なくとも1つのビットにおいて出力データQ1<n:1>と出力データQ2<n:1>が相違していることを複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nが出力する予備制御信号qchk<n:1>が示すならば、入力データDATA<n:1>は適応第2遅延ストローブ信号sstrの立ち下がりに対応する主ストローブ信号lstrの立ち下がりで複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいて再ラッチされる。
【0121】
次に、図7を参照して、nビット入力データDATA<n:1>が複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいて再ラッチされない場合の例の説明をする。
【0122】
nビット入力データDATA<n:1>は、入力ストローブ信号Strの立ち下がりに対応する主ストローブ信号lstrの立ち下がりで複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいてラッチされる。従って、複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>は、入力ストローブ信号Strが立ち下がる時刻tc1から僅かに遅延した時刻t41において変化する。
【0123】
次に、nビット入力データDATA<n:1>は、第1遅延ストローブ信号str_d1の立ち下がりで第2ラッチ回路243-1~243-nにおいてラッチされる。従って、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>は、第1遅延ストローブ信号str_d1が立ち下がる時刻tc2から僅かに遅延した時刻t42において変化する。
【0124】
従って、時刻t41から時刻t42までの期間においては、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>の少なくとも一部のビットの論理レベルが複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の対応するビットに一致しなくなる。従って、時刻t41から時刻t42までの期間において、複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nが出力する予備制御信号qchk<n:1>の少なくとも1つの論理レベルはHIGHになり、従って、n入力論理和ゲート231が出力する制御信号QchkNの論理レベルは、HIGHになる。
【0125】
時刻t42以降においては、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>の論理レベルが複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力信号<n:1>の論理レベルと全ビットにおいて一致する。従って、時刻t42以降に、複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nが出力する全ての予備制御信号Qchk<n:1>の論理レベルはLOWになり、従って、n入力論理和ゲート231が出力する制御信号QchkNの論理レベルもLOWになる。
【0126】
従って、第2遅延ストローブ信号str_d2が立ち下がる時刻tc3においては、制御信号QchkNの論理レベルはLOWであり、従って、適応第2遅延ストローブ信号sstr及び主ストローブ信号lstrの立ち下がりは発生しない。
【0127】
従って、第2遅延ストローブ信号str_d2の立ち下がりに対応した主ストローブ信号lstrの立ち下がりは発生せず、従って、複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおける再ラッチは発生しない。
【0128】
従って、入力ストローブ信号Strの立ち下がりに対応した主ストローブ信号lstrの立ち下りによりラッチされた複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の論理レベルは再ラッチによって更新されることはなく、そのまま維持される。
【0129】
なお、図7に示すように、時刻tc3から時刻t43までの長さtTranの期間においてnビット入力データDATA<n:1>が変化しても、複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の論理レベルはそのまま維持される。なお、図7は、nビット入力データDATA<n:1>が時刻tc3から時刻t43までの間においてビット間のスキューをもって変化していることを示している。
【0130】
次に、図8を参照して、nビット入力データDATA<n:1>が第2遅延ストローブ信号str_d2の立ち下がりに対応した主ストローブ信号lstrの立ち下がりで複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいて再ラッチされる場合の例の説明をする。
【0131】
まず、nビット入力データDATA<n:1>は、入力ストローブ信号Strの立下りに対応した主ストローブ信号lstrの立ち下がりにより複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいてラッチされる。従って、複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>は、入力ストローブ信号が立ち下がる時刻tc1から僅かに遅延した時刻t51において変化する。
【0132】
従って、図7の場合と同様に、時刻t51からは、複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の少なくとも一部のビットの論理レベルが複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>の対応するビットに一致しなくなる。従って、時刻t51からは、複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nが出力する予備制御信号qchk<n:1>の少なくとも1つの論理レベルはHIGHになり、従って、n入力論理和ゲート231が出力する制御信号QchkNの論理レベルもHIGHになる。
【0133】
次に、図7の例とは異なり、第1遅延ストローブ信号str_d1が立ち下がる時刻tc2の前後にnビット入力データDATA<n:1>の論理レベルが変化する。nビット入力データDATA<n:1>は、第1遅延ストローブ信号str_d1の立ち下がりにより複数の第2ラッチ回路243-1~243―nにおいてラッチされようとする。
【0134】
仮に、時刻tc2におけるnビット入力データDATA<n:1>の各ビットの論理レベルが時刻tc1におけるnビット入力データDATA<n:1>の対応するビットの論理レベルと同一であれば、図7の時刻t42に対応する時刻t52以降は、制御信号QchkNの論理レベルはLOWになる。なお、図8では、時刻t52以降に制御信号QchkNの論理レベルがLOWになるケースについて図示していない。
【0135】
しかし、上述したように、時刻tc2前後にnビット入力データDATA<n:1>の論理レベルが変化するので、第1遅延ストローブ信号str_d1の立ち下がりに対する入力データDATAの必要なセットアップ・マージン/ホルド・マージンが確保されない。これにより、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>の少なくとも一部のビットがメタステーブルになる。又は、複数の第2ラッチ回路243-1~243-nの出力データQ2<n:1>の少なくとも一部のビットの論理レベルが複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の対応するビットの論理レベルに対して不一致のままである。
【0136】
従って、時刻t51以降に論理レベルがHIGHとなっている複数の二入力排他的論理和ゲート225-1~225-nに含まれる少なくとも一部のゲートの出力の論理レベルは、図7の時刻t42に対応する時刻t52以降においてもHIGHを維持する。これにより、図8に示すように、制御信号QchkNの論理レベルは、時刻t52以降においてもHIGHのままである。
【0137】
従って、第2遅延ストローブ信号str_d2が立ち下がる時刻tc3においては、制御信号qchkNの論理レベルはHIGHであり、従って、適応第2遅延ストローブ信号sstrも立ち下がる。
【0138】
従って、適応第2遅延ストローブ信号sstrの立ち下がりに対応した主ストローブ信号lstrの立ち下がりでnビット入力データDATA<n:1>が複数の第1ラッチ回路241-1~241-nにおいて再ラッチされる。これにより、時刻t53において複数の第1ラッチ回路241-1~241-nの出力データQ1<n:1>の論理レベルが更新される。
【0139】
なお、遅延回路221による第1の所定の遅延時間及び遅延回路223による第2の所定の遅延時間を合わせた時間を、入力データDATAが同一の論理レベルを維持する期間(例えば、入力データDATAのクロック期間)から最大スキュー時間を差し引くことにより得た時間よりも短くすれば、最初の同期化による出力データQ1がメタステーブルとなっても、再同期により安定した出力データQ1を得ることができる。その他の場合を含め、遅延回路221による第1の所定の遅延時間及び遅延回路223による第2の所定の遅延時間を合わせた時間を、入力データDATAが同一の論理レベルを維持する期間から最大スキュー時間を差し引くことにより得た時間よりも短くすれば、同期化回路205から出力データQ3を安定して出力することができる。
【符号の説明】
【0140】
211…第1Dタイプ・フリップ・フロップ回路
213…第2Dタイプ・フリップ・フロップ回路
215…第3Dタイプ・フリップ・フロップ回路
241、241-1~241-n…第1ラッチ回路
243、243-1~243-n…第2ラッチ回路
221…第1遅延回路
223…第2遅延回路
225、225-1~225-n…二入力排他的論理和ゲート
227…二入力論理積ゲート
229…二入力論理和ゲート
231…N入力論理和ゲート
Clk…入力クロック
Clk_d1…第1遅延クロック
Clk_d2…第2遅延クロック
qchk…制御信号
qchk<n:1>…予備制御信号
QchkN…制御信号
cclk…適応第2遅延クロック
lclk…主クロック
Str…入力ストローブ信号
str_d1…第1遅延ストローブ信号
str_d2…第2遅延ストローブ信号
sstr…適応第2遅延ストローブ信号
lstr…主ストローブ信号
【要約】
【課題】同期化を行うことの可能な同期化回路、半導体記憶装置及び同期化方法を提供する。
【解決手段】入力同期化信号を第1所定時間だけ遅延させて第1遅延同期化信号を生成する第1遅延回路と、第1遅延同期化信号を第2所定時間だけ遅延させて第2遅延同期化信号を生成する第2遅延回路と、入力データを入力同期化信号に同期化した第1出力データを出力する第1同期化回路と、入力データを第1遅延同期化信号に同期化した第2出力データを出力する第2同期化回路と、第1出力データと第2出力データが不一致ならば、第1同期化回路に対して、第2遅延同期化信号により入力データを再同期化することにより第1出力データを更新させる再同期化回路と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9