(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】金属基体用の洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 7/32 20060101AFI20230110BHJP
C11D 3/28 20060101ALI20230110BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20230110BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230110BHJP
C11D 7/36 20060101ALI20230110BHJP
C11D 7/14 20060101ALI20230110BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20230110BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20230110BHJP
C23G 1/18 20060101ALI20230110BHJP
C23G 1/22 20060101ALI20230110BHJP
C23C 22/78 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
C11D7/32
C11D3/28
C11D3/36
C11D3/20
C11D7/36
C11D7/14
C11D3/08
C11D7/26
C23G1/18
C23G1/22
C23C22/78
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021175724
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2019043552の分割
【原出願日】2014-03-13
【審査請求日】2021-10-28
(32)【優先日】2013-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509318158
【氏名又は名称】ピーアールシー-デソト インターナショナル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリス、エリック エル.
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-536707(JP,A)
【文献】特表2002-523612(JP,A)
【文献】特開2004-067977(JP,A)
【文献】特開平5-009764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0059565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
C23G
C23C 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性担体と、
水酸化物アニオ
ンと、
リン酸アニオンと、
アゾール化合
物と、
アラントインと、
を含む、金属基体に適用するための組成物。
【請求項2】
ポリビニルピロリドンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アゾール化合物が、1個の窒素原子を有する環状化合物、2個以上の窒素原子を有する環状化合物、1個の窒素原子と1個の酸素原子を有する環状化合物、及び/又は1個の窒素原子と1個のイオウ原子を有する環状化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アゾール化合物が、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ペンタゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、及び/又はイソチアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アゾール化合物が、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、lH-ベンゾトリアゾール、lH-1,2,3-トリアゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、及び/又は2-アミノ-1,3,4-チアジアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
界面活性剤、ハロゲン化物、キレート剤、増粘剤、シラン、有機溶媒、及び/又はアルコールを含む添加物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
実質的にクロムを含まない、請求項1に記載の組成物。
組成物。
【請求項8】
メタケイ酸アニオンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
アルカリ性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物と少なくとも一部と接触している少なくとも1つの表面を含む、基体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本願は2013年3月16日に米国特許商標庁に出願された米国仮出願第61/802,619号への優先権とその利益を主張するものであり、その全内容は参照することにより本明細書中に取り込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムのような金属及びその合金は、航空宇宙、商業、及び民間産業において多くの用途を有している。しかし、これらの金属はその低い酸化還元(レドックス)ポテンシャルのため、水の存在下で急速に腐食する傾向があり、そのためこれらの金属から作られる目的物の有効寿命を大きく制限し、及び/又は維持費用を増大させてしまう。これらの金属は、目的物に形成されたときに金属の表面が一般に非常に滑らかになるので、塗料付着の問題を有することもある。
【0003】
航空宇宙、商業、及び民間産業において用いられる金属の酸化と分解は重大で費用のかかる問題である。これらの適用において用いられる金属の酸化と分解を防ぐために、保護コーティングを金属表面に適用することができる。この保護コーティングは金属に適用する唯一のコーティングであってもよく、又は他のコーティングを、金属表面をさらに保護するために適用することができる。基体表面にコーティングの適切な付着を提供するために、そして金属表面に腐食耐性を提供するために、基体をコーティングの適用前に洗浄することができる。典型的な洗浄剤として、アルカリベースの洗浄剤があげられ、これは金属表面からグリース、オイル、ワックス、及び汚れを除去する。酸洗浄/エッチングもまた、或いは代替的に行い、金属酸化物(例えば、錆、スマット(smut)等)を除去し、金属表面を次の仕上げ工程のために化学的に活性化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗浄剤は基体を洗浄するときにスマットを作ることがよくあり、その後のコーティングの付着を貧弱で不適当なものにし、基体を洗浄するために多くの工程と多大な時間の使用を必要とし、追加のリンス、脱酸素、及び/又はシーリング工程のような商業的に魅力のない工程を必要とし、及び/又は高温溶液の使用を必要とする。多数工程の洗浄プロセスは金属仕上げのコストに加算され、環境汚染を増大する。そのため、スマットを作らず、金属仕上げプロセスにおけるその後のコーティングの付着を増大するのに効率的であり、適用に対して多数の工程を必要とせず、及び/又は室温で適用可能なアルカリ金属洗浄剤が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、金属基体に適用するための組成物は、水性担体、水酸化物アニオン及び/又はリン酸アニオン、並びに、アゾール化合物、希土類イオン、アルカリ土類金属、及び/又は遷移金属イオンを含む腐食防止剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の態様によれば、金属基体のための洗浄剤組成物は、アルカリメタケイ酸塩配合物を含む。いくつかの態様では、組成物は、水酸化物及び/又はリン酸塩、並びに、例えば亜鉛塩及び/又はアゾール化合物のような腐食防止剤を含む。
【0007】
本明細書において使用されるものとして、以下の用語は以下の意味を有する。
【0008】
本明細書で使用される「基体」という用語は、表面を有する材料をいう。化成コーティング(conversion coating)を適用することに関して、「基体」という用語は、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、及び/又はこれらの金属のいずれかの合金であって、スチールを含むがそれに限定されない前記合金のような金属基体をいう。いくつかの基体の例としては、アルミニウムとアルミニウム合金があげられる。さらなる基体の例としては、高銅アルミニウム基体(すなわち、アルミニウムと銅の両方を含有する合金を含む基体であって、合金中の銅の量が高く、例えば合金中の銅の量が3~4%である基体)があげられる。
【0009】
「コーティング」という用語及び類似の用語は、本明細書において動詞として用いる場合は、組成物を適用するというプロセス、すなわち基体を化成コーティング、下塗り(primer)、及び/又は上塗り(topcoat)と接触させるような、基体を組成物と接触させるというプロセスをいう。「コーティング」という用語は、「適用や、適用する」、「処理や、処理する」、又は「前処理や、前処理する」という用語と同じ意味で用いることができ、また、例えば基体がそのような適用手段により組成物と接触する場合、塗装、噴霧、及び浸し塗りのような様々な形態の適用又は処理を示すように用いることもできる。基体のすべて又は一部を接触させてもよい。すなわち、本発明の組成物は基体の少なくとも一部分に適用することができる。
【0010】
本明細書で「化成処理」又は「前処理」とも称される「化成コーティング」という用語は、金属表面の化学を異なる表面化学に変換させる金属基体用の処理をいう。「化成処理」と「化成コーティング」という用語も、基体に含有される金属とは異なる元素の金属を有する水溶液に金属基体を接触させる金属表面の塗布及び処理をいう。なお、「化成コーティング」及び「化成処理」という用語は異なる元素の金属基体と接触している金属元素を有する水溶液であって、基体の表面が部分的に水溶液に溶解し、金属基体上にコーティングの析出を生じる(任意に、金属基体にコーティングを堆積させる外部的な駆動力を用いる場合もある)ものをいう。
【0011】
本明細書で用いる「メタレート」という用語は幾つかの原子又は小さな基に結合した金属を含有する錯体アニオンをいう。
【0012】
本明細書で用いる「メタケイ酸塩」という用語はメタケイ酸H2SiO3の塩、例えばメタケイ酸ナトリウム、カルシウム、及び/又はバリウムのようなものをいう。
【0013】
本明細書で用いる「希土類元素」という用語は、元素の周期表のIIIB族(又はランタニド系列)の元素又はイットリウムをいう。希土類元素として知られる元素のグループとしては、例えば、元素番号57~71(すなわち、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu)及びイットリウムがあげられる。しかし、幾つかの態様では、以下に示すように、希土類元素という用語は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYをいう。
【0014】
本明細書で用いる「IA族金属イオン」又は「1族金属イオン」という用語は、周期表の最初の列の元素(Hは除く)のイオン(単数又は複数)をいう。IA族又は1族により同定される元素(水素は除く)のグループはアルカリ金属としても知られ、例えばLi、Na、K、Rb、Cs、及びFrがあげられる。
【0015】
本明細書で用いる「IIA族金属イオン」又は「2族金属イオン」という用語は、周期表の2番目の列の元素のイオン(単数又は複数)をいう。IIA族又は2族により同定される元素のグループはアルカリ土類金属としても知られ、例えばBe、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaがあげられる。
【0016】
本明細書で用いられる「遷移金属メタレート」という用語は、遷移金属を含むメタレート化合物をいう。遷移金属として知られる元素のグループとしては、Sc、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Co、Rh、Ir、Mt、Ni、Pd、Pt、Ds、Cu、Ag、Au、Rg、Zn、Cd、Hg及びCnがあげられる。
【0017】
本明細書で用いられる「塩」という用語は、イオン結合された無機化合物、及び/又は溶液において一つ以上の無機化合物のイオン化されたアニオン及びカチオンをいう。
【0018】
本開示において用いられる「含む(comprise)」という用語及びこの用語の変化形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」という用語は、他の付加物、成分、整数、構成要素、又は工程を排除することを意図していない。
【0019】
本明細書で開示されるすべての量は、そうでないとの断りがなければ、25℃、一気圧で、組成物の全重量の重量%で与えられる。
【0020】
本発明の態様によれば、金属基体に適用するための組成物はアルカリ性であってもよく、水酸化物、リン酸塩、及び/又はメタケイ酸塩、及び(例えば、亜鉛カチオンのような)金属カチオン及び/又はアゾール化合物を含む腐食防止剤を含むことができる。組成物は水性であってもよく、すなわち組成物はさらに水性担体、例えば水を含むことができる。水性担体は任意に一つ以上の有機溶媒を含んでもよい。適切なそのような溶媒の非制限的な例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、低分子量アルコール等があげられる。使用の際、有機溶媒は組成物の12リットル当たり30gの溶媒から、組成物の12リットル当たり400gの溶媒までの量で組成物中に存在することができ、担体の残りは水である。例えば、ある態様では、有機溶媒は組成物の12リットル当たり100gの溶媒から組成物の12リットル当たり200gの溶媒までの量で組成物中に存在することができ、例えば組成物の12リットル当たり107gの溶媒で担体の残りが水である。しかしある態様では、水性担体は主として水、例えば脱イオン水である。水性担体は上述の金属イオンとアゾール化合物の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量で提供される。
【0021】
ある態様では、水酸化物イオンが1000g溶液当たり0.05~20g、例えば1000g溶液当たり18~20gの量で組成物中に存在することができる。リン酸塩を有する組成では、リン酸塩はリン酸塩(PO4)3-、リン酸二水素塩(H2PO4)-、及び/又はピロリン酸塩(P2O7)4-、例えばリン酸塩(PO4)3-及び/又はピロリン酸塩イオン(P2O7)4-を含むことができる。リン酸塩は1000g溶液当たり50gから1000g溶液当たり10g、例えば1000g溶液当たり70gから1000g溶液当たり90gの量で組成物中に存在することができる。他の適切なリン酸塩の非制限的な例としては、Monsanto(St.Louis、MO)から入手可能なDequest(登録商標)のような有機リン酸塩があげられる。
【0022】
腐食防止剤中の金属カチオン(含有している場合)は腐食防止特性を有する様々な金属カチオンを含むことができる。例えば、ある態様では、金属カチオンは例えばLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのような希土類元素を含むことができる。ある態様では、希土類元素はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び/又はYを含む。例えば、ある態様では、希土類元素はCe、Y、Pr及び/又はNdを含み、ある態様では希土類元素はCe、Pr及び/又はNdを含む。他の適切な金属カチオンとしては、IA族又はIIA族金属カチオン(すなわち、アルカリ金属及びアルカリ土類金属)又は遷移金属カチオン(例えばZn)があげられる。ある態様では、例えば、金属カチオンは希土類イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、Liイオン、Kイオン、Rbイオン、Csイオン及び/又はFrイオンを含むことができる。ある態様では、例えば、金属カチオンはCe、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、K及び/又はMgを含むことができる。ある態様では、金属イオンはCrであってもよいが、他の態様では組成物が実質的にクロムを含まないこともできる。本明細書で用いられる「実質的に」という用語は、近似(approximation)の用語として用いられ、程度(degree)の用語として用いられるものではない。なお、「実質的にクロムを含まない」という用語は、組成物中のクロムの量が無視可能なものであるということを意味する近似の用語として使われ、その場合にもしクロムが組成物中に存在すれば、それは偶発的な不純物であるということである。
【0023】
金属カチオンは組成物中に、組成物のリットル当たり0.01gから組成物のリットル当たり25gまで、例えば組成物のリットル当たり0.05gから組成物のリットル当たり25gまでの濃度で存在することができる。例えば、ある態様では、金属カチオンは組成物中に、組成物のリットル当たり0.05gから組成物のリットル当たり16gまでの濃度で存在することができる。ある態様では、例えば、金属カチオンは組成物中に、組成物のリットル当たり0.1gから組成物のリットル当たり10gまでの濃度で存在することができる。例えば、ある態様では、金属カチオンは組成物中に、組成物のリットル当たり1gから組成物のリットル当たり5gまでの濃度で存在することができる。金属イオンの量の上限は金属イオンの源として使用される塩の溶解度に依存し得る。例えば、金属カチオンが希土類カチオン又は遷移金属カチオンを含む場合、希土類カチオン又は遷移金属カチオンは、組成物のリットル当たり0.01gから組成物のリットル当たり25gまで、又は組成物のリットル当たり0.05gから組成物のリットル当たり10gまでの濃度で存在することができる。例えば、金属カチオンがZnカチオンを含む場合、Znカチオンは0.08g/Lの量で組成物中に存在することができる。金属カチオンがアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンを含む場合、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンは、組成物のリットル当たり0.05gから組成物のリットル当たり16gまで、又は組成物のリットル当たり1gから組成物のリットル当たり5gまでの濃度で存在することができる。以下にさらに詳細に検討するように、金属カチオンは金属塩の形態で組成物中に提供することができ、この場合、本明細書に列挙された量は組成物中の塩の量を反映している。
【0024】
上述のように、金属カチオンは、アニオンと塩のカチオンとしての金属カチオンを有する塩の形態で組成物中に提供することができる(すなわち、金属塩が組成物の金属カチオン源としての役割を担ってもよい)。塩のアニオンは、希土類元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び/又は遷移金属と塩を形成することができる適切なアニオンであり得る。アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、及び希土類元素と塩を形成するのに適したアニオンの非制限的な例としては、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物(例えば、Cl―、Br-、I-又はF-)、硫酸塩、リン酸塩、及びケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)があげられる。しかし、本発明の態様による組成物は少なくとも一つの水酸化物及び/又はリン酸塩を含む。例えば、金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Co、Rh、Ir、Mt、Ni、Pd、Pt、Ds、Cu、Ag、Au、Rg、Zn、Cd、Hg及び/又はCnの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。ある態様では、例えば、金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd及び/又はHgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。ある態様では、例えば、金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd及び/又はHgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。ある態様では、例えば、金属塩は、希土類イオン、アルカイ土類金属イオン、遷移金属イオン、Liイオン、Kイオン、Rbイオン、Csイオン及び/又はFrイオンの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。例えば、ある態様では、金属塩はCe、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、Na、K及び/又はMgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。ある態様では、例えば、金属塩はCe、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、K及び/又はMgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)を含むことができる。
【0025】
ある態様では、例えば、金属カチオンは亜鉛を含み、塩として提供される。亜鉛塩はリン酸亜鉛、フッ化亜鉛、及び/又は同様の亜鉛塩を含んでもよい。ある態様では、亜鉛カチオンが(そして塩として提供される場合は、その塩が)、1000gの溶液当たり0.1gから1000gの溶液当たり12gの量で組成物中に存在する。
【0026】
加えて、ある態様では、組成物は少なくとも二つの金属塩を含むことができ、その少なくとも二つの金属塩は互いに異なるアニオン及び/又はカチオンを含むことができる。例えば、少なくとも二つの金属塩は異なるアニオンを含むが、同じカチオンを含むことができ、又は異なるカチオンを含むが、同じアニオンを含むことができる。
【0027】
本発明の態様によれば、塩は上述のメタケイ酸アニオン及び金属カチオンを含む。例えば、メタケイ酸塩はメタケイ酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を含むことができる。ある態様では、例えば、メタケイ酸塩はLi、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及び/又はRaのメタケイ酸塩を含むことができる。例えば、ある態様では、メタケイ酸塩はLi、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、及び/又はBaのメタケイ酸塩を含むことができる。ある例示的な態様では、メタケイ酸塩はNa、Ca及び/又はBaのメタケイ酸塩を含む。本発明の態様によれば、メタケイ酸塩を含む組成物はアルカリ性のpHを有する。
【0028】
アゾール化合物としては、ピロールのような1個の窒素原子を有する環状化合物、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びペンタゾールのような2個以上の窒素原子を有する環状化合物、オキサゾール、イソキサゾールのような1個の窒素原子と1個の酸素原子を有する環状化合物、及びチアゾール、イソチアゾールのような1個の窒素原子と1個のイオウ原子を有する環状化合物をあげることができる。適切なアゾール化合物の非制限的な例としては、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(CAS:l072-71-5)、lH-ベンゾトリアゾール(CAS:95-14-7)、lH-1,2,3-トリアゾール(CAS:288-36-8)、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール(CAS:2349-67-9)で、これはまた5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオールとも称されるもの、及び2-アミノ-1,3,4-チアジアゾール(CAS:4005-51-0)があげられる。ある態様では、例えば、アゾールは2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールを含む。アゾール化合物は効率的な腐食防止量で、例えば組成物の0.5g/Lから組成物の15g/Lまでの量で組成物中に存在する。ある態様では、例えば、アゾール化合物は組成物の0.7g/Lの量で組成物中に存在することができる。例えば、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールが組成物の1g/Lから組成物の12g/Lまでの量で、そしてある態様では、組成物の10g/Lから組成物の15g/Lまでの量で、又は組成物の12g/Lの量で組成物中に存在することができる。ある態様では、1H-ベンゾトリアゾールが組成物の0.5g/Lから組成物の5g/Lまでの量で、例えば組成物の1g/Lの量で存在することができる。
【0029】
組成物はさらにハロゲン化物イオンを含むことができる。適切なハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、及び臭化物イオンがあげられる。例えば、ある態様では、ハロゲン化物イオンはフッ化物イオンを含む。ハロゲン化物イオンは上記の金属カチオンとの塩の形態で組成物中に提供されることができる。例えば、ある態様では、フッ化物イオンはZnF塩から提供される。ある態様では、ハロゲン化物イオンが、組成物に(そしてハロゲン化物イオンが塩として提供される場合は、その塩が組成物中に)、溶液1000g当たり0.2gから溶液1000g当たり1.5gの量で存在することができる。
【0030】
ある態様では、組成物は、炭酸塩、界面活性剤、キレート剤、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、ハロゲン化物、接着促進剤、例えば接着促進性シラン(例えば、アミン及び/又はヒドロキシル官能基を有するシラン、又はジルコニウムアルコキシド及び/又はシランカップリング剤)、及びアルコールのような、しかしこれらに限らない他の成分及び/又は添加物を含有することができる。ある態様では、添加物としては、界面活性剤があげられ、これは溶液中に溶液1000g当たり0.015gから溶液1000g当たり60gの量で存在することができる。本発明の態様で使用するのに適した界面活性剤としては、Dynol 604及びCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤(これらはいずれも、Allentown、PAにオフィスを有するAir Products社から商業的に入手可能)及びTriton X-100(The Dow Chemical Company、Midland MIから入手可能)があげられる。
【0031】
ある態様では、ポリビニルピロリドンが添加剤として使用され、組成物中に溶液1000g当たり0.01gから溶液1000g当たり5g、例えば溶液1000g当たり0.02gから溶液1000g当たり約1gの量で存在することができる。
【0032】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、リン酸亜鉛、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化カリウムは組成物12000当たり19.4gの量で組成物中に存在することができ、リン酸カリウムは組成物12000g当たり57.6gの量で存在することができ、ピロリン酸カリウムは組成物12000g当たり27.6gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.33gの量で存在することができ、リン酸亜鉛は組成物12000g当たり0.8gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、リン酸亜鉛、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0033】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、ポリビニルピロリドン、アラントイン、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり75gの量で存在することができ、リン酸亜鉛は組成物12000g当たり1gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.33gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、ポリビニルピロリドン、アラントイン、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0034】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、及びDMTZ(2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール)、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり75gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.33gの量で存在することができ、DMTZは組成物12000g当たり12gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、DMTZ、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0035】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、カテコールバイオレット(CV)、ZnF、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化カリウムは組成物12000当たり19.4gの量で組成物中に存在することができ、リン酸カリウムは組成物12000g当たり57.6gの量で存在することができ、ピロリン酸カリウムは組成物12000g当たり27.6gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.921gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.8gの量で存在することができ、CVは組成物12000g当たり0.0123gの量で存在することができ、ZnFは組成物12000g当たり0.3gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、CV、ZnF、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0036】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、ZnF、リン酸亜鉛、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり74gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.33gの量で存在することができ、ZnFは組成物12000g当たり1gの量で存在することができ、リン酸亜鉛は組成物12000g当たり0.8gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、ZnF、リン酸亜鉛、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0037】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、AMTZ(2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール)、シスチン、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり57.6gの量で存在することができ、ピロリン酸ナトリウムは組成物12000g当たり27.6gの量で存在することができ、リン酸亜鉛は組成物12000g当たり0.8gの量で存在することができ、AMTZは組成物12000g当たり3gの量で存在することができ、シスチンは組成物12000g当たり3gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、AMTZ、シスチン、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0038】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、シスチン、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり57.6gの量で存在することができ、ピロリン酸ナトリウムは組成物12000g当たり27.6gの量で存在することができ、リン酸亜鉛は組成物12000g当たり1.5gの量で存在することができ、シスチンは組成物12000g当たり1gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸亜鉛、シスチン、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0039】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、Star Right(登録商標)(United Pet Group、Inc.、Madison、WIから入手可能な水質調整剤)、及び界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。ある態様では、適切な水質調整剤をStar Right(登録商標)の代わりに用いてもよい。例えば、アラントイン及びポリビニルピロリドンの混合物を水質調整剤として使用することができ、またある態様では、この混合物は12Lの組成物当たり0.33gのアラントインと0.22gのポリビニルピロリドンを含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり75gの量で存在することができ、水質調整剤(例えば、Star Right(登録商標))は組成物12000g当たり1.8gの量で存在することができ、そして界面活性剤は組成物12000g当たり49gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、水質調整剤(例えば、Star Right(登録商標))、及び界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0040】
本発明のある態様によれば、組成物は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、DMTZ、第1の界面活性剤(例えば、Dynol 604)、及び第2の界面活性剤(例えば、Air Products社からのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤)を含むことができる。水酸化ナトリウムは組成物12000当たり19gの量で組成物中に存在することができ、リン酸ナトリウムは組成物12000g当たり75gの量で存在することができ、ポリビニルピロリドンは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、アラントインは組成物12000g当たり0.23gの量で存在することができ、DMTは組成物12000g当たり12gの量で存在することができ、第1の界面活性剤は組成物12000g当たり25gの量で存在することができ、そして第2の界面活性剤は組成物12000g当たり25gの量で存在することができる。組成物はさらに、組成物全体で12000gを与えるのに十分な量の、及び/又は本明細書に記載の水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アラントイン、DMTZ、並びに第1及び第2の界面活性剤の濃度を有する組成物を提供するのに十分な量の水を含むことができる。
【0041】
本発明のある態様によれば、金属基体(例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金基体)は本発明の態様による組成物と接触している基体を含むことができる。適切な基体の非制限的な例としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、及び/又はマグネシウム基体があげられる。適切な金属基体の他の非制限的な例としては、アルミニウム2024のようなアルミニウム合金を含む高銅合金があげられる。
【0042】
ある態様では、金属基体は金属基体を上述の組成物と接触させる前に前処理をすることができる。本明細書で用いられる「前処理」という用語はその後の処理前の基体の表面改質をいう。このような表面改質としては、当業界で知られているような(表面から不純物及び/又はスマットを除去するための)洗浄、脱酸素、及び/又は溶液若しくはコーティングの適用を含むが、これらに限定されない様々な操作があげられる。前処理には、例えばより均一な出発金属表面の生成、前処理基体上のその後のコーティングに対する接着の改善、及び/又はその後の組成物の析出を容易にするようなやり方での出発表面の改質などの一つ以上の利益を有する。
【0043】
ある態様では、金属基体は、金属基体を組成物と接触させる前に、金属基体を最初に溶媒処理することにより調製することができる。本明細書で用いられる「溶媒処理」という用語は、基体を金属表面上にあるかもしれないインク、オイル等を除去する助けとなる溶媒中で基体をリンスし、ワイピングし、噴霧し、又は浸漬することをいう。あるいは、金属基体は、金属基体を組成物と接触させる前に、従来のグリース除去方法を用いて金属基体を脱脂することにより調製することができる。
【0044】
金属基体は、金属基体を溶媒処理することにより前処理することができる。次いで、金属基体は、本発明の態様による組成物のようなアルカリ性洗浄剤で金属基体を洗浄することにより前処理することができる。
【0045】
ある態様では、金属基体は、組成物を金属基体上に適用する前に、金属を機械的に脱酸素することにより前処理することができる。典型的な機械的脱酸素剤の非制限的な例はスコッチ-ブライト(Scotch-Brite)パッド又は類似の道具を用いる表面の均一な粗面処理である。
【0046】
ある態様では、金属基体は組成物を金属基体に適用する前に、金属を溶媒ワイピングすることにより前処理することができる。適切な溶媒の非制限的な例としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン(MPK)、アセトン等があげられる。
【0047】
金属基体を調製するための追加の任意の手順としては、酸洗い液、又は軽い酸エッチング、又はスマット除去剤のような表面漂白剤(表面光沢剤)の使用があげられる。
【0048】
金属基体は、前処理工程の各々の間で水道水又は蒸留/脱イオン水のいずれかでリンスすることができ、本発明の態様による組成物と接触した後に蒸留/脱イオン水及び/又はアルコールで十分にリンスすることができる。しかし、上述のように、本発明のある態様では、上記の前処理手順及びリンスのいくつかは本発明の態様による組成物の適用前又は後に必要としないこともあり得る。
【0049】
望むなら、いったん金属基体を適切に前処理すれば、本発明の態様の組成物を次いで金属基体の表面の少なくとも一部と接触させることができる。金属基体は、浸漬、噴霧、又はブラシ、ローラー等を用いるスプレッディングなどの従来の技術を用いて組成物と接触させることができる。噴霧による適用に関しては、エアスプレーで用いられる従来の(自動的な又は手動の)噴霧技術及び装置を用いることができる。他の態様では、組成物を、電気分解コーティングシステムを用いて適用することができる。
【0050】
金属基体を組成物と接触させた後、金属基体を任意に空気乾燥することができる。しかし、基体を乾燥する必要はなく、ある態様では、乾燥は省略される。リンスは要求されないが、望むなら行うことができる。
【0051】
ある態様では、金属基体はまず機械的摩耗により調製し、次いで湿潤ワイプを行い汚れスマットを除去することができる。次いで、基体を、適用前に、任意に空気乾燥することができる。しかし、基体は乾燥する必要はなく、ある態様では、乾燥は省略される。次に、組成物を金属基体に適用し、例えば、室温より高い熱の非存在下で任意に乾燥させることができる。しかし、乾燥は要求されず、ある態様では、乾燥は省略される。基体はリンスする必要はなく、金属基体を次いでさらに化成コーティング、下塗り及び/又は上塗りでコーティングして仕上げコーティング付きの基体を達成することができる。
【0052】
組成物を浸漬により金属基体に適用するときは、浸漬時間は数秒から複数時間に亘ってもよく、例えば30分未満又は3分以下でもよい。組成物を噴霧塗布を用いて金属基体に適用する場合は、組成物を従来の噴霧塗布法を用いて基体の少なくとも一部と接触させてもよい。組成物が金属基体と接触している滞留時間は数秒から複数時間に亘ってもよく、例えば30分未満又は3分以下でもよい。
【0053】
コーティング組成物は、スワブを介した塗布のような当業界で既知の他の技術を用いて適用することもできる。先と同様に、組成物が金属基体と接触している滞留時間は数秒から複数時間に亘ってもよく、例えば30分未満又は3分以下でもよい。
【0054】
金属基体を組成物と接触させた後、金属基体を任意に空気乾燥し、次いで水道水又は蒸留/脱イオン水でリンスすることができる。あるいは、金属基体を組成物と接触させた後、金属基体を水道水又は蒸留/脱イオン水でリンスし、次いでその後に(望むなら)空気乾燥することができる。しかし、基体は乾燥する必要はなく、ある態様では、乾燥は省略される。なお、上記のように、基体はリンスする必要はなく、金属基体は次いでさらに化成コーティング、下塗り及び/又は上塗りでコーティングして、仕上げコーティング付きの基体を達成することができる。したがって、ある態様では、この引き続いてのリンスは省略することができる。
【0055】
ある態様では、本発明の態様による組成物は1~10分間(例えば3~5分間)金属基体に適用することができ、金属基体の表面は組成物を再適用することにより湿ったまま保つことができる。次いで、組成物を任意に、例えば室温より高い熱の非存在下で、組成物の最後の適用後5~10分間(例えば7分間)乾燥させる。しかし、基体は乾燥させる必要はなく、ある態様では、乾燥は省略される。例えば、ある態様では、溶媒(例えばアルコール)を使用して基体をリンスし、乾燥する工程を省くことができる。(もし行うのであれば)乾燥工程の後、金属基体をさらに化成コーティング、例えば希土類化成コーティング、例えばセリウム又はイットリウム系化成コーティングで処理することができる。このようなコーティングの例としては、セリウム及び/又はイットリウム塩を有するものがあげられる。希土類コーティングに加えて、適切な化成コーティング化学のいずれも、例えばpHの変化により沈殿を形成することができるものを用いることができる。このようなコーティング化学の非制限的な例としては、Alodine 5900(Henkel Technologies、Madison Heights、MIから入手可能)のような三価のクロム、Alodine 5900(Henkel Technologies、Madison Heights、MIから入手可能)のようなジルコニウム、DesoGel(登録商標)(PRC-DeSoto International, Inc.、Sylmar、CAから入手可能)の名前で販売されているもののようなゾルゲルコーティング、コバルトコーティング、バナジウム酸塩コーティング、モリブデン酸塩コーティング、過マンガン酸塩コーティング等だけでなく、YとZrのような、しかしこれらには限定されない組合せがあげられる。化成コーティング(例えば希土類化成コーティング)を5分間金属基体に適用することができる。基体はリンスする必要はなく、金属基体を次いでさらに下塗り及び/又は上塗りでコーティングして仕上げコーティング付きの基体を達成することができる。
【0056】
本開示の特定の態様を説明の目的で上述してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明及びその均等物から乖離することなく本開示の詳細の数多くの変更が可能であることは当業者により理解されるであろう。例えば、本明細書の態様は「ある一つの」水酸化物又はリン酸塩等に関連して記載されてきたが、これらの成分の一つ以上、又は記載された他の成分のいずれかを本開示にしたがって用いることができる。
【0057】
本開示の様々な態様を「含む(comprising)」又は「含む(including)」の用語で記載してきたが、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」態様もまた本開示の範囲内にある。例えば、本開示が腐食防止剤、及び水酸化物、及び/又はリン酸塩を含む組成物を記載する場合、腐食防止剤、水酸化物、及び/又はリン酸塩から本質的になる又はからなる組成物及び/又は溶液も本開示の範囲内にある。同様に、金属イオンを含む(comprising又はincluding)腐食防止剤が記載されている場合、金属イオンから本質的になる(consisting essentially of)又はからなる(consisting of)腐食防止剤も本開示の範囲内にある。したがって、上記のように、組成物は腐食防止剤及び水酸化物及び/又はリン酸塩から本質的になるものでもよい。この文脈上、「から本質的になる」とは、組成物中のいかなる追加の成分も組成物を含む金属基体の腐食耐性や組成物のアルカリ性pHに実質的に影響を与えるものではないことを意味する。例えば、腐食防止剤、及び水酸化物、又はリン酸塩から本質的になる組成物は水酸化物及び/又はリン酸塩以外のアニオンは含まない。
【0058】
本明細書で用いられるように、他にそうでないと明確に断りがなければ、値、範囲、量又はパーセントを表す数字のようなすべての数字は、たとえ「約」という用語が明示的に表れていなくても、その用語が前に付いているかのように読むことができる。さらに「約
」の用語を使用することは測定、有効数字、及び相互交換性に関連する変化の周辺部分を反映しており、すべてこの開示に関する当業者により理解されるとおりである。本明細書に記載される数値範囲はその中に包含されるすべての部分的範囲を包含することを意図している。複数形は単数形を包含し、またその逆も適用される。例えば、本開示が「一つの」金属錯化剤(“a” metal complexing agent)を記載する場合、そのような金属錯化剤(複数)の混合物を使用することができる。範囲が与えられたとき、それらの範囲の端点及び/又はそれらの範囲内の数字は本開示の範囲内で組み合わせることができる。「包含する(including)」等の用語は、「包含するがそれには限定されない」ということを意味する。同様に、本明細書で用いられるように、「~(の上)に」、「~(の上)に適用(塗布)される」及び「~(の上)に形成される」という用語は、~(の上)に、~(の上)に適用(塗布)される、又は~(の上)に形成されるということを意味するが、必ずしも表面と接触している必要はない。例えば、基体「(の上)に形成された」コーティング層は、形成されたコーティング層と基体との間に位置する同じ又は異なる組成物の一つ以上の他のコーティング層の存在を排除するものではない。
【0059】
本明細書に示された数値範囲及びパラメータは概数であってもよいが、具体的な実施例に示されている数値は実際の正確なものとして報告されている。しかし、数値は本質的にそれぞれの試験測定で見出される標準偏差から必然的な結果として生じる特定の誤差を含む。本明細書及び特許請求の範囲で用いる「含む(comprising)」という用語及びその変化形はいかなる変更や追加を排除するように開示を限定するものではない。
【0060】
また、本願の請求の範囲に記載の発明は以下のとおりである。
(請求項1)
水性担体と、
水酸化物アニオン及び/又はリン酸アニオンと、
アゾール化合物、希土類イオン、アルカリ土類金属イオン、及び/又は遷移金属イオンを含む腐食防止剤と、
を含む、金属基体に適用するための組成物。
(請求項2)
メタケイ酸アニオンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項3)
界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項4)
ポリビニルピロリドン、ハロゲン化物、アラントイン、炭酸塩、界面活性剤、キレート剤、増粘剤、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、シラン、及び/又はアルコールを更に含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項5)
組成物が実質的にクロム酸塩を含まない、請求項1に記載の組成物。
(請求項6)
アゾール化合物が、1個の窒素原子を有する環状化合物、2個以上の窒素原子を有する環状化合物、1個の窒素原子と1個の酸素原子を有する環状化合物、及び/又は1個の窒素原子と1個のイオウ原子を有する環状化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項7)
アゾール化合物が、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ペンタゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、及び/又はイソチアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項8)
アゾール化合物が、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、lH-ベンゾトリアゾール、lH-1,2,3-トリアゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、及び/又は2-アミノ-1,3,4-チアジアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項9)
遷移金属カチオンが亜鉛を含む、請求項1に記載の組成物。
(請求項10)
水性担体と、
水酸化物アニオン及び/又はリン酸アニオンと、
アゾール化合物、希土類イオン、アルカリ土類金属イオン、Liイオン、Kイオン、Rbイオン、Csイオン、Frイオン、及び/又は遷移金属イオンを含む腐食防止剤と、
を含む、金属基体に適用するための組成物。
(請求項11)
基体と、
該基体の少なくとも一部の上に請求項1に記載の組成物と、
を含む物品。
(請求項12)
基体がアルミニウムを含む、請求項11に記載の物品。
(請求項13)
組成物上にさらにコーティングを含む、請求項11に記載の物品。
(請求項14)
コーティングが下塗り及び/又は上塗りを含む、請求項13に記載の物品。
(請求項15)
基体と、
該基体の少なくとも一部の上に請求項10に記載の組成物と、
を含む物品。
(請求項16)
基体の少なくとも一部に請求項1に記載の組成物を適用することを含む、物品の製造方法。
(請求項17)
組成物の適用前に基体を前処理することを更に含む、請求項16に記載の方法。
(請求項18)
組成物の少なくとも一部の上にコーティングを適用することを更に含む、請求項16に記載の方法。
(請求項19)
コーティングが下塗り及び/又は上塗りを含む、請求項18に記載の方法。
(請求項20)
基体の少なくとも一部に請求項10に記載の組成物を適用することを含む、物品の製造方法。