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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】電子基板取付けシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230110BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20230110BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G06F1/16 312M
G06F1/16 312E
G06F1/16 312G
G06F1/16 312L
H05K7/14 G
H05K7/14 B
H05K9/00 R
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021514120
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019050687
(87)【国際公開番号】W WO2020056053
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】16/130,804
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519019791
【氏名又は名称】フジフイルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ディケンソン アンドリュー
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-225929(JP,A)
【文献】実開昭62-160599(JP,U)
【文献】特開2001-161627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0300405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 7/14
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
第二の導電性カバーから離隔された第一の導電性カバーを有する筐体と、
第一の側面、前記第一の側面と反対側の第二の側面、および前記第一の側面上の複数の導電性表面部分を有する電子基板と、
前記第一の導電性カバーと前記第二の導電性カバーとの間の前記筐体内の前記電子基板を動作可能に支持する複数の取付けアセンブリであって、前記取付けアセンブリの各々は、
前記複数の導電性表面部分の第一の導電性表面部分に近接した前記第一の側面上の第一の弾性支持部材と、
前記第一の側面と反対側の前記電子基板の前記第二の側面上の第二の弾性支持部材と、
前記第一の導電性表面部分と接触し、前記第一の導電性表面部分から前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーのうち少なくとも一つに接地経路の少なくとも一部を形成する接地部材と、
を含む、複数の取付けアセンブリと、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記接地部材は先端部分を前記第一の導電性表面部分に接続する締結具または接着剤がない場合に前記第一の導電性表面部分に対してバイアスされた先端部分を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第一の弾性支持部材は第一のスルーホールを含み、
前記接地部材は前記第一のスルーホールと同心円状に配列された第二のスルーホールを含み、
前記接地部材および前記第一の弾性支持部材は前記第一のスルーホールおよび前記第二のスルーホールを通って延在する一または二以上の締結要素により前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーのうち少なくとも一つに固定される、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記接地部材は前記第一の導電性表面部分から前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーのうち一つに第一の接地経路の少なくとも一部を形成する第一の弾性接地部材であり、
前記取付けアセンブリの各々は前記複数の導電性表面部分の第二の導電性表面部分から前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーの他方に第二の接地経路の少なくとも一部を形成する第二の弾性接地部材をさらに含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーは前記電子基板の周りにファラデーケージを少なくとも部分的に形成し、
前記接地部材は前記第一の導電性表面部分から前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーのうち少なくとも一つに第一の接地経路の少なくとも一部を形成する第一の弾性接地部材であり、前記取付けアセンブリの各々は、
前記第一の弾性接地部材から前記第一の導電性カバーおよび前記第二の導電性カバーの少なくとも他方に第二の接地経路の少なくとも一部を形成する第二の弾性接地部材と、
をさらに含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記電子基板前記第一の弾性支持部材と前記第二の弾性支持部材との間にある
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第一の弾性支持部材および前記第二の弾性支持部材のうち少なくとも一つは前記第一の弾性支持部材および前記第二の弾性支持部材の他方に向かって突出し、前記電子基板と接触する複数の変形特徴を含む、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第一の弾性支持部材は前記第二の弾性支持部材に向かって突出し、前記電子基板の前記第二の側面と接触する複数の第一の変形特徴を含み、
前記第二の弾性支持部材は前記第一の弾性支持部材に向かって突出し、前記電子基板の前記第一の側面と接触する複数の第二の変形特徴を含み、
前記電子基板は前記複数の第一の変形特徴と前記複数の第二の変形特徴との間で支持される、
請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記電子基板はスルーホールを含み、
前記第二の弾性支持部材は前記スルーホールを通って延在するブッシング部分を含み、前記ブッシング部分はそこから半径方向外向きに延在する複数の変形特徴を有する、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記電子デバイスは超音波イメージングデバイスであり、
前記電子基板は超音波信号に少なくとも部分的に基づいて視覚画像を生成するように構成された少なくとも一つの処理デバイスを搬送する、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項11】
第二の導電性カバー部分から離隔された第一の導電性カバー部分を有する電子デバイス筐体に回路基板を取り付けるための取付けアセンブリであって、前記第一の導電性カバー部分は取付け特徴を含み、前記取付けアセンブリは
前記取付け特徴に取り付けられ、前記回路基板の第一の側面と接触するように構成された第一の弾性アイソレータと、
前記取付け特徴に取り付けられ、前記第一の弾性アイソレータと反対側の前記回路基板の第二の側面と接触するように構成された第二の弾性アイソレータと、
前記第二の弾性アイソレータと隣接する前記取付け特徴に取り付けられ、前記回路基板から前記第一の導電性カバー部分に接地経路を少なくとも部分的に形成するように構成された接地部材と、
を備える、取付けアセンブリ。
【請求項12】
前記取付け特徴は前記第一の導電性カバー部分から前記第二の導電性カバー部分に向かって延在するボスである、請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項13】
前記第一の弾性アイソレータおよび前記第二の弾性アイソレータのうち少なくとも一つは、
前記少なくとも一つの弾性アイソレータを前記取付け特徴に取り付けるための締結要素を受けるように構成されたスルーホールと、
前記スルーホールの周りに環状に配置された複数の突起表面部分であって、前記複数の突起表面部分は前記回路基板と接触するように構成される、複数の突起表面部分と、
を含む、請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項14】
前記接地部材は弾性金属シート材料から形成された単一の部材である、請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項15】
前記接地部材は第一の接地部材であり、前記接地経路は第一の接地経路であり、
前記取付けアセンブリは前記取付け特徴に取り付けられ、前記回路基板から前記第二の導電性カバー部分に第二の接地経路を少なくとも部分的に形成するように構成された第二の接地部材をさらに備える、
請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項16】
前記回路基板は導電性表面部分を含み、
前記接地部材は前記導電性表面部分と接触し、ばね力により前記導電性表面部分に対してバイアスされるように構成された先端部分を有する弾性部材である、
請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項17】
前記回路基板の前記導電性表面部分は前記回路基板の接地面に導電的に接続される、請求項16に記載の取付けアセンブリ。
【請求項18】
前記回路基板は導電性表面部分を含み、
前記接地部材はほぼ平坦なベース部分と、前記ベース部分からある角度で延在する末端部分とを有する弾性部材であって、前記末端部分は先端部分を含み、
前記ベース部分は前記取付け特徴に取り付けるための締結具を受けるように構成され、
前記先端部分は前記電子デバイス筐体に対する前記回路基板の移動の間にそれとの接触を維持するために前記導電性表面部分に対して撓むように構成される、
請求項11に記載の取付けアセンブリ。
【請求項19】
電子デバイスに回路基板を緩衝取付けし、前記電子デバイスの動作中の電磁干渉を低減するためのシステムであって、前記回路基板は前記回路基板の第一の側面に配置された第一の導電性材料と、前記第一の側面と反対側の、前記回路基板の第二の側面に配置された第二の導電性材料とに実質的に囲まれ、前記システムは、
前記第一の導電性材料と前記第二の導電性材料との間の複数の位置で前記回路基板を弾性的に支持するための手段であって前記第一の側面上の第一の弾性支持部材および前記第一の側面と反対側の前記回路基板の前記第二の側面上の第二の弾性支持部材を含む、弾性的に支持するための手段と、
前記複数の位置の各々において、前記回路基板から前記第一の導電性材料および前記第二の導電性材料のうち少なくとも一つに延在する接地経路を形成するための手段と、
を備える、システム。
【請求項20】
前記接地経路を形成するための手段は前記回路基板から前記第一の導電性材料に延在する第一の接地経路を形成するための第一の手段を含み、前記システムは、前記複数の位置の各々において、前記第一の導電性材料を通過することなく前記回路基板から前記第二の導電性材料に延在する第二の接地経路を形成するための第二の手段をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電子デバイス内の取付けプリント回路基板および他の電子基板に関し、より具体的には、このような基板に関連付けられた物理的な負荷および電磁干渉を低減することのできる取付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型超音波イメージングデバイス等の電子医療機器およびラップトップコンピュータ等の多くの他の電子処理デバイスは典型的に、セントラルプロセッシングユニット(CPU)、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または他のデバイスを操作するための他の電子機器を搬送する少なくとも一つのプリント回路基板(PCB)を含む。このようなデバイスの電磁両立性(EMC)については、PCB上の機器を電磁干渉(EMI)から保護し、操作中に性能を低下させる可能性のある放射妨害波を低減することが重要になる場合がある。さらに、特に携帯型電子デバイスでは、設置および使用から生じる不注意による負荷に耐えられるようにPCBを取り付けることが重要になる場合がある。このような負荷には、例えばユーザが不注意でデバイスを落下させた場合に発生する可能性のある衝撃荷重が含まれる場合がある。これらの課題に対処するために、従来の電子デバイスは例えば3フィートの落下に耐え、連邦通信委員会(FCC)のクラスB規制を満たすのに十分なEMIシールドを提供することができるように設計および構築されている。
【0003】
いくつかの従来の電子デバイスでは、PCBは衝撃荷重を緩和するために既製のゴム製グロメットおよびアイソレータを備えた金属の筐体またはシャシーに取り付けられる。さらに、そのようなデバイスは典型的に、十分なEMIシールドを提供するためにPCBの周囲に取り付けられた第一の端部および金属筐体に取り付けられた反対側の端部を有する一または二以上の接地ストラップを含む。しかしながら、既製のゴム製グロメットおよびアイソレータでは衝撃の分離が不十分であることが多い。同様に、接地ストラップを使用すると、典型的に限られたEMIシールドしか提供されない。さらに、接地ストラップを使用すると、特に複数のストラップがPCBの周囲に設置されている場合、PCBを筐体内に取り付けることが困難になる可能性がある。したがって、設置が比較的容易でありながら衝撃、振動、歪みおよび/またはEMIからの強固な保護を提供することが可能なPCB取付けシステムを提供することは有利であるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】本技術の実施形態に従って構成された電子基板取付けシステムを有する携帯型電子デバイスの等角図である。
図1B】電子基板取付けシステムの態様より詳細に示す電子デバイスの部分的に分解された等角図である。
図2A】本技術の実施形態に従って構成された電子基板取付けアセンブリの分解された等角図である。
図2B図2Aの取付けアセンブリの第一の支持部材の拡大された等角図である。
図2C図2Aの取付けアセンブリの第二の支持部材の拡大された等角図である。
図3A図2Aの取付けアセンブリの断面等角図である。
図3B】本技術の実施形態による、図2Aの取付けアセンブリを備える筐体に回路基板を取り付ける様々な段階を示す一連の等角図である。
図3C】本技術の実施形態による、図2Aの取付けアセンブリを備える筐体に回路基板を取り付ける様々な段階を示す一連の等角図である。
図3D】本技術の実施形態による、図2Aの取付けアセンブリを備える筐体に回路基板を取り付ける様々な段階を示す一連の等角図である。
図4A】本技術の実施形態による、図1Aおよび図1Bの電子基板取付けシステムの振動減衰試験の結果を示すグラフである。
図4B】本技術の実施形態による、電子基板取付けシステムの電気シールド試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の開示はPCBおよび他の回路基板を電子デバイスに取り付けるための装置、システムおよび方法の様々な実施形態を説明する。以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置、方法およびシステムは、PCBおよびその機器が性能を低下させるEMI、放射妨害波、ならびに不注意による衝撃、振動、および/または歪み負荷から保護されるようにPCBを携帯型医療機器および他の電子デバイスに取り付けるために使用することができる。
【0006】
本技術の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、所定の詳細が以下の説明および図1A図4Bに示される。他の例では、プリント回路基板、電子デバイス筐体、超音波イメージングシステムおよび他の医療機器等にしばしば関連付けられる周知の構造、材料、操作および/またはシステムは、本技術の様々な実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために以下の開示において詳細には示されていないか、または説明されていない。しかしながら、当業者は、本明細書に記載される一または二以上の詳細を用いることなく、または他の構造、方法、構成要素等を用いて本技術を実行できることを認識されるであろう。以下で使用される用語は、本技術の実施形態の所定の例の詳細な説明と併せて使用されている場合であっても、最も広く合理的な方法で解釈されるべきである。確かに所定の用語は以下で強調されることさえあり得る。しかしながら、制限された方法で解釈されることを意図した用語は、この詳細な説明のセクションにおいてそのように明確かつ具体的に定義される。
【0007】
添付図面は本技術の実施形態を描写しており、その範囲を限定することを意図するものではない。様々な描写された要素の大きさは必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、これらの様々な要素は読みやすさを改善するために任意に拡大され得る。構成要素の詳細は、本発明をどのように成し、また使用するかを完全に理解するためにそのような詳細が必要でない場合、構成要素の位置およびそのような構成要素の間の所定の正確な接続等の詳細を除外するために図において抽象化され得る。
【0008】
図に示される詳細、寸法、角度および他の特徴の多くは、本開示の特定の実施形態の単なる例示である。したがって、他の実施形態は本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の詳細、寸法、角度および特徴を有することができる。さらに、当業者は本発明のさらなる実施形態が以下に記載される詳細のいくつかを用いることなく実施することができることを理解されるであろう。図において、同一の参照番号は同一のまたは少なくとも概ね類似した要素を識別する。特定の要素の説明を容易にするために、参照番号の最上位桁はその要素が最初に導入された図を指す。例えば、要素110は図1Aに最初に導入され、また図1Aを参照して論じられている。
【0009】
図1Aは、本技術の実施形態に従って構成された電子基板取付けシステム101を有する電子デバイス100の等角図である。図1Bは、電子基板取付けシステム101の態様をより詳細に示す電子デバイス100の部分的に分解された等角図である。最初に図1Aを参照すると、いくつかの実施形態では、電子デバイス100は携帯型医療機器(例えば、携帯型超音波イメージングデバイス)等の携帯型電子デバイスであり得る。しかしながら、本明細書に記載の電子基板取付けシステム101は携帯型電子デバイス、携帯型医療機器、または他のタイプの電子デバイスでの使用に限定されず、PCBまたは他の電子基板が取り付けられた事実上任意のタイプの処理または他の電子デバイスで使用可能であることに留意されたい。
【0010】
図示されている実施形態では、電子デバイス100は後縁部分に沿って延在するヒンジ106を用いたクラムシェル構成において第二または上側部分104に枢動可能に接続された第一または下側部分102を含む。いくつかの実施形態では、上側部分104は上側部分104が図1Aに示されている開位置まで回転するとグラフィック、テキスト、および/または画像(例えば、超音波画像)を表示することのできるディスプレイ(例えば、LCDまたはLED)を含むことができる。いくつかの実施形態では、下側部分102はデバイス100の操作を制御するために様々なタイプのユーザ入力を受信するための様々な入力デバイス(例えば、タッチパッド、キーパッド、ボタン、ノブ等)を含む制御パネル112を含むことができる。さらに、以下でさらに詳細に説明するように、下側部分102はまた筐体110(ハウジングまたはシャシー110と呼ばれることもある)内に緩衝取付けされ(shock-mounted)、電子基板取付けシステム101(取付けシステム101)によりそれに電気的に接地される電子基板108を含むことができる。図示されている実施形態では、電子基板108は、例えば一または二以上のCPU、GPU、DSP、メモリ、および/またはおよび従来の方法でデバイス100を操作するための他の処理および/または電子デバイスを搬送するPCBである。しかしながら、他の実施形態では、電子基板118は組立て中や使用中等に衝撃、振動、歪みおよび/またはEMIの影響を受けやすい電子デバイス内の処理および/または他の電子機器を搬送する他のタイプの回路基板または同様の基板とすることができる。したがって、「電子基板」という用語は、本明細書では一般に電子機器を機械的に支持し、および/または電気的に接続するPCBおよび他の構造を指すために使用される。
【0011】
次に図1Bを参照すると、いくつかの実施形態では、筐体110は第一または下部カバー116および第二または上部カバー114を含む。図示されている実施形態では、下部カバー116はその上側部分にほぼ長方形の開口部117を有するほぼ長方形のハウジングの形態を有し、上部カバー114は開口部117を覆うように構成された長方形の形状を有するほぼ平坦なパネルの形態を有する。しかしながら、他の実施形態では、上部および下部カバー114および116ならびにそれらのバリエーションは他の構成を有することができる。例えば、他の実施形態では、上部カバー114は下部カバー116のように3次元のハウジングまたは筐体の形態とすることができる。いくつかの実施形態では、上部カバー114および下部カバー116の両方は当該技術分野において周知であり、電子デバイス筐体によく使用される金属材料(例えば、マグネシウム、アルミニウム等)の導電性材料から形成(例えば、鋳造、機械加工等)することができる。
【0012】
図1Bには示されていないが、いくつかの実施形態では、下部カバー116は下部カバー116の内側表面から開口部117に向かって上向きに延在する複数の一体的に形成された導電性ライザーまたはボスを含むことができる。電子基板118は複数の個別の取付けアセンブリ120(取付けアセンブリ120a-hとして個別に識別される)により下部カバー116内のボスに取り付けられる。図1Bに示されるように電子基板118が下部カバー116に取り付けられると、上部カバー114は開口部117の上に配置され、筐体110内の電子基板118に固定するためにその周囲に固定される。いくつかの実施形態では、導電性の上部および下部カバー114および116は電子基板118を完全に囲むかまたは少なくとも実質的に囲む電子基板118の周りにファラデーケージを形成する。知られるように、ファラデーケージは、以下でさらに詳細に説明するように、電磁場が筐体110に入ること、および電子基板118に取り付けられた電子機器の性能を低下させる可能性のあるEMIを引き起こすことを阻止するか、または実質的に軽減させることができる。いくつかの実施形態では、取付けアセンブリ120は電子基板118を衝撃、振動および歪みから実質的に隔てることができ、同時にEMI保護を強化する下部カバー116および上部カバー114への電気接地経路を提供する。
【0013】
示されている実施形態の上部および下部カバー114および116は導電性金属から形成されているが、他の実施形態では、電子デバイス100はプラスチックまたは別の非導電性材料から形成された外部カバーを含むことができ、電子基板118は外部プラスチックカバー内に配置された導電性内部筐体(例えば、金属メッシュ筐体)内に囲まれるか、または少なくとも部分的に囲まれることができる。このような実施形態では、内部の導電性筐体はEMI保護を提供することができ、取付けアセンブリ120は電子基板118から内部筐体までの接地経路を提供するために本明細書に記載のように使用することができる。
【0014】
図2Aは、本技術の実施形態に従って構成された図1Bの取付けアセンブリ120のうち一つの分解された等角図である。図2Bおよび図2Cは、それぞれ本技術の実施形態に従って構成された取付けアセンブリ120の第一の支持部材240および第二の支持部材270の拡大された底部等角図である。取付けアセンブリ120のうち一つのみが図2Aに示されているが、示されている実施形態では、全ての取付けアセンブリ120が同一であるか、または少なくとも実質的に同一であり、従って以下の説明は図1Bに示されている全ての取付けアセンブリ120に適用される。
【0015】
最初に図2Aを参照すると、図1Bの議論において上述されたように、取付けアセンブリ120の各々は下部カバー116(図1B)の内側表面から上向きに延在する対応する導電性ボス230に動作可能に取り付けられる。示されている実施形態では、ボス230は下部カバー116と一体的に形成され(例えば、鋳造され)、従って同じ導電性材料から形成される。他の実施形態では、ボス230は下部カバー116とは別に形成することができ、好適なブラケット、締結具、接着剤、溶接等によりそれらに取り付けられる。ボス230は上側表面239の中央に位置するねじ式の締結具穴238を含む。いくつかの実施形態では、ボス230はまた等しい(例えば、90度)間隔でボス230から放射状に外向きに延在する一または二以上のリブ231(リブ231a-dとして識別される)等の強度または剛性のための構造的特徴を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、取付けアセンブリ120はスタンドオフ232および第一の支持部材240をさらに含む。スタンドオフ232は六角形のヘッド部分234および肩部235により隔てられたねじ部236を含むことができる。六角形部分234の上側表面237はねじ式の締結具穴233を含む。スタンドオフ232は導電性金属(例えば、軟鋼)等の好適な導電性材料から作成することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第一の支持部材240(第一のアイソレータとも呼ばれる)はブッシング部分250とより広いベース部分248との間に同心円状に配置された外側肩部252を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブッシング部分250はブッシング部分250の周りに均一な円周方向間隔で放射状に外向きに突出する複数の変形特徴246(例えば、弾性変形特徴;変形特徴246a-hとして個別に識別される)を含む。示されている実施形態では、変形特徴246は概ね平坦な、または「四角の」外縁部分を備えた長手方向のリッジの形態を有する。しかしながら、他の実施形態では、変形特徴246は丸みを帯びた外縁部分を備えたリッジ形状等の他の形状および大きさを有することができ、または変形特徴246のうち一または二以上を省略することができる。いくつかの実施形態では、支持部材240はまた肩部252の周りに均一な円周方向間隔で上向きに延在する複数の変形特徴254(例えば、弾性変形特徴;変形特徴254a-hとして個別に識別される)を含むことができる。示されている実施形態では、変形特徴254は突出した表面部分または逆「U」断面形状を備える隆起した「バンプ」の形態を有する。他の実施形態では、変形特徴254は他の形状、大きさおよび/または間隔を有することができ、または変形特徴254のうち一または二以上を省略することができる。
【0018】
図2Aおよび図2Bを同時に参照すると、第一の支持部材240は上側表面255から延在する中央スルーホール242をさらに含む。いくつかの実施形態では、スルーホール242は下側肩部256によってより大きな直径の第二または下側のスルーホール部分242bから隔てられた第一または上側のスルーホール部分242aを含む。図2Bに示されているように、下側スルーホール部分242bは均一な円周方向間隔で放射状に外向きに延在する複数のチャネルまたは溝260(溝260a-dとして個別に識別される)を含む。以下でさらに詳細に説明するように、溝260a-dはボス230のリブ231a-dに適合するように構成される。
【0019】
次に図2A図2Cを同時に参照すると、取付けアセンブリ120は第二の支持部材270およびエンドプレートまたはワッシャ282をさらに含む。第二の支持部材270(第二のアイソレータとも呼ばれる)は第一または上側表面272から第二または下側表面278に延在する中央スルーホール274を含む。いくつかの実施形態では、スルーホール274は内側肩部276によってより大きな直径の第二または下側スルーホール部分274bから隔てられる第一または上側スルーホール部分274aを含む。図2Cに最もよく見られるように、第二の支持部材270は下側表面278の周りに均一な間隔で下向きに突出する複数の変形特徴280(例えば、弾性変形特徴;変形特徴280a-hとして個別に識別される)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、変形特徴280は第一の支持部材240の対向する肩部252上の変形特徴256と同一であるか、または少なくとも大きさ、形状および配置が概ね類似している。しかしながら、他の実施形態では、変形特徴280は異なる形状、大きさ、および/または間隔を有することができ、さらに別の実施形態では、変形特徴280のうち一または二以上は省略することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第一の支持部材240および第二の支持部材270は外力に応答して弾性的に変形する(例えば、弾性圧縮する、または少なくとも部分的に弾性圧縮する)ことのできる合成ゴムもしくは天然ゴムおよび/または他の弾性材料等の弾性および/または伸縮性材料から形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の支持部材240および第二の支持部材270は20-98デュロメータ、30-90デュロメータ、または40-80デュロメータのショアA硬度を有するシリコーン等のシリコーンから形成することができる。他の実施形態では、第一の支持部材240および第二の支持部材270は他のエラストマならびに/または他の好適な伸縮性および/もしくは弾性材料から作成することができる。したがって、第一の支持部材240および第二の支持部材270は本明細書において明示的に言及されない限り特定の材料に限定されるものではなく、一般に衝撃、振動、応力、歪み等からの静的および/または動的負荷を吸収するために撓むおよび/または弾性変形することのできる事実上任意の材料から作成することが理解されるであろう。
【0021】
いくつかの実施形態では、ワッシャ282は中央スルーホール284の周りに均一な間隔で同心円状に配置された複数の凹部286(凹部286a-lとして個別に識別される)を含むことができる。示されている実施形態では、凹部286は中央スルーホール284の周りに30度間隔で配置された対応するスルーホールにより形成される。他の実施形態では、ワッシャ282は異なる間隔でより多いかまたはより少ない凹部286を含むことができる。例示されている実施形態では凹部286はスルーホールにより形成されるが(スルーホールの使用はワッシャ282の製造および使用を単純化する)、他の実施形態では凹部286は窪み、溝、および/または他の特徴により形成することができ、またいくつかの実施形態では凹部286は省略することができる。いくつかの実施形態では、ワッシャ282はベリリウム銅、軟鋼等の好適な導電性金属から形成することができ、第二の支持部材270と同じ直径、または少なくともほぼ同じ直径を有することができる。他の実施形態では、ワッシャ282は他の形状および大きさを有することができ、また他の好適な材料から作成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、取付けアセンブリ120は第一の接地部材290a、第二の接地部材290b、および締結具266をさらに含む。示されている実施形態では、第一の接地部材290aはベース部分292からある角度で延在する末端部分293を含む。ベース部分292はスルーホール294およびワッシャ282に向かって下向きに突出する「バンプ」または丸みを帯びた突起296を含む。より具体的には、突起296は凹部286がワッシャ282においてスルーホール284から配置されているのと同じ半径方向距離でスルーホール294から配置されている。第一の接地部材290aの末端部分293はベース部分292にほぼ平行に外向きに延在するように形成された接触面298を有する先端部分を含む。示されている実施形態では、図2Aに示されるように末端接触面298が対応するベース部分292から上向きに突出するように第二の接地部材290bを180度反転させることができることを除き、第二の接地部材290bは第一の接地部材290aと構造および機能が同一であるか、または少なくとも概ね類似したものとすることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、接地部材290は、導電性でもありながら弾性またはばねのような性質を示す比較的薄い導電性金属シート材料から形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、接地部材290は0.0005インチから0.025インチ、0.001インチから0.018インチ、または0.005インチから0.012インチの厚さを有するベリリウム銅シート等のベリリウム銅シートから形成することができる。他の実施形態では、接地部材290(「フィンガー」、「導電性フィンガー」、「導電性コンタクト」等とも呼ばれる)は接触先端面298が撓んだ後に元の形状に戻るための好適な弾性を有する他の好適な導電性材料から形成することができる。
【0024】
電子基板118は第一の支持部材240のブッシング部分250を受けるように構成されたスルーホール262を含む。スルーホール262は図2Aでは完全な円形の穴として描写されているが、いくつかの実施形態では取付けアセンブリ120は電子基板118の端部またはその付近で使用することができ、その場合、スルーホール262は電子基板118の一部の円形穴のみを形成し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、スルーホール262はブッシング部分250と同じ直径、または少なくともほぼ同じ直径を有することができる。他の実施形態では、スルーホール262は(例えば、スルーホール262がブッシング部分250の外径よりもわずかに大きい(例えば、0.0005から0.030インチ大きい))ブッシング部分250の隙間嵌めを提供するように構成することができる。さらに別の実施形態では、スルーホール262は(例えば、スルーホール262がブッシング部分250よりも小さい(例えば、0.0005から0.010インチ小さい))ブッシング部分250の締まり嵌めを提供するように構成することができる。
【0025】
電子基板118はスルーホール262の付近に配置された接地パッド264をさらに含むことができる。示されている実施形態では、接地パッド264は約10度から約140度、またはスルーホール262の周りの約80度のアーチを通って延在する導電性表面を提供する。他の実施形態では、接地パッド264はスルーホール262の周りに完全に延在することができる。接地パッド264は第一の接地部材290aの接触面298を接地パッド264のほぼ半径の中心に配置するように選択される第一の半径R1および第二の半径R2を有するように形成することができる。いくつかの実施形態では、接地パッド264は第一の接地部材290aの接触面298により容易にアクセス可能な導電性接触面を提供するために電子基板118の表面上または表面に積層することができる。例えば、いくつかの実施形態では、接地パッド264はPCBおよび他の回路基板の製造において周知の金-銅箔等の好適な導電性箔から作成することができる。さらに、接地パッド264は一または二以上の接地経路(図示されていない)を介して電子基板118の一または二以上の接地面265に電気的に接続することができる。いくつかの実施形態では、接地面265は従来の方法で電子基板118の表面または表面上に形成することができ、銅箔または当該技術分野において周知の他の好適な材料から構成することができる。
【0026】
図3Aは、本技術の実施形態による電子基板118取付け位置の一つにおける組み立てられた取付けアセンブリ120の断面等角図である。図3B図3Dは、本技術の実施形態による筐体110内(図1B)に電子基板118を設置する様々な段階を示す一連の上面等角図である。図3A図2Aを同時に参照すると、取付けアセンブリ120を組み立てて筐体110内に電子基板118を設置するために、スタンドオフ232のねじ部236がボス230内のねじ穴238に挿入される。スタンドオフ232の六角形部分234はスタンドオフ232をボス230に締めることを容易にすることができる。スタンドオフ232がボス230に取り付けられた後、ボス230のリブ231a-dが第一の支持部材240(図2B)の溝260a-dに受けられるように第一の支持部材240がスタンドオフ232上に配置され、ボス230の上側表面239は第一の支持部材240(図2B)の肩部256に接触する。第一の支持部材240がこの位置にあるとき、スタンドオフ232の上側表面237は、例えば図3Aおよび図3Cに示されるようにブッシング部分250の隣接する上側表面258よりわずかに上に突出している。
【0027】
図3Bは、複数のスタンドオフ232(スタンドオフ232a-hとして個別に識別される)および複数の第一の支持部材240(第一の支持部材240a-240hとして個別に識別される)が上述の方法で対応するボス230に取り付けられている電子基板118の設置の段階を示している。次に、ブッシング部分250の各々が例えば図3Aおよび図3Cに示されるように電子基板118内の開口部262の対応する一つに受けられるように、電子基板118が第一の支持部材240上に配置される。次に、第一の支持部材240のブッシング部分250が第二の支持部材270(図2Cおよび図3A)上の内側肩部276に接触するように、第二の支持部材270が第一の支持部材240上に配置される。この段階において、スタンドオフ232の上側表面237が第二の支持部材270の上側表面237と同一平面に、またはわずかに下に配置されるように、スタンドオフ232の六角形部分234は第二の支持部材270の上側スルーホール部分274aを少なくとも部分的に介して延在する。
【0028】
次に、ワッシャ282が第二の支持部材270上の中央に配置され、第一の接地部材290aおよび第二の接地部材290bが続く。図3Aに示されるように、締結具266のねじ部268がスルーホール294および284を通して挿入され、スタンドオフ232内のねじ穴233に挿入される。しかしながら、締結具266が完全に締められる前に、接触面198を直接配置するために第一の接地部材290aを締結具266に関していずれかの方向に回転させ、例えば図3Dに示されるように電子基板118上の接地パッド264と緊密に接触させることができる。さらに、上部カバー114が下部カバー116上に設置されると、第二の接地部材290bの接触面298が筐体110(図1B)の上部カバー114の隣接する内側表面と直接かつ緊密に接触するように第二の接地部材290bを好適な位置に回転させることができる。第一および第二の接地部材290が所望の角度位置に回転されると、締結具266を完全に締めることができる。これを行うことでワッシャ282内の対応する開口部286に第一の接地部材290a上の突起296が保持され、それにより第一の接地部材290aが所望の角度位置に維持される。電子基板118が下部カバー116に完全に取り付けられた後、上部カバー114を下部カバー116(図1B)内の開口部117上に固定することができる。
【0029】
図3Aに示されるように、締結具266が完全に締められるとワッシャ282はスタンドオフ232の上側表面237にしっかりと押し付けられ、第一および第二の支持部材240および270はそれぞれワッシャ282とボス230との間でわずかに圧縮される。その結果、電子基板118は底面の第一の支持部材240(図2A)の変形特徴254と上面の第二の支持部材270(図2C)の変形特徴280との間で圧縮される。しかしながら、それらの弾性的な圧縮性のために、第一の支持部材240および第二の支持部材270は電子デバイス100(図1A)をユーザが不注意に落下させたことに起因する電子基板118への衝撃荷重を大幅に軽減し、および/またはその振動を減衰させることのできる電子基板118に弾性取付け配置を提供する。さらに、第一の支持部材240および第二の支持部材270の順応性はまた、それらが設置中(例えば、取付けボス230のずれ、製造公差等のため)および/または使用中(例えば、熱負荷、デバイスの取扱いミス等のため)に発生する可能性のある電子基板118の歪み(および関連する応力)を低減することを可能にする。一例として、いくつかの実施形態では、第一の支持部材240および第二の支持部材270は、損傷を与えることなく、最大0.075インチ、または最大0.050インチの電子基板118の上向きまたは下向きの移動(すなわち、電子基板118への垂直な移動)を可能にすることができる。別の例として、いくつかの実施形態では、ブッシング部分250の変形特徴246(第一の支持部材240および第二の支持部材270の他の特徴との組合せで、図2A)は、損傷を与えることなく、最大0.200インチ、または最大0.160インチの電子基板118の横方向の移動(すなわち、電子基板118平面内の左右の移動)を可能にすることができる。
【0030】
本技術の他の態様は、いくつかの実施形態では、接地部材290のコンプライアンスは第一および第二の支持部材240および270のコンプライアンスとそれぞれ一致するか、または少なくともほぼ一致することができる。このようにコンプライアンスを一致させることにより、電子基板118が例えば極端な衝撃荷重に応答して移動または振動している場合であっても第一の接地部材290aが接地パッド264との導電性接触を維持し、第二の接地部材290bが上部カバー114との導電性接触を維持することを保証することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の接地部材290aは締結具266が完全に締められると接地パッド264が接触面298に接触し、接地部材290aの末端部分293を予め設定された量(例えば、0.10インチ以下、または0.080インチ以下)上向きに撓ませるように形成することができる。この撓みは第一の接地部材290aに「前もって負荷を加え」、電子基板118が例えば極端な衝撃荷重に応答して接地部材290aから離れる場合であっても、過酷な振動環境において接触面298が接地パッド264との接触を維持することを可能にする。同様に、第二の接地部材290bは上部カバー114が下部カバー116に設置されると上部カバー114の内側表面部分が第二の接地部材290bの接触面298と接触するように形成することができ、上部カバー114が完全に設置されると第二の接地部材290bの末端部分293を予め設定された量(例えば、0.80インチ以下)下向きに撓ませる。この予め設定された撓みにより、過酷な振動環境においても第二の接地部材290bの接触面298が上部カバー114との接触を維持することが可能になる。第一の接地部材290aと接地パッド264との間の導電性接触、および第二の接地部材290bと上部カバー114との間の導電性接触を維持することにより、極端な使用状態においても取付けアセンブリは電子基板118の周りのファラデーケージが維持され、性能が低下しないことを保証することができる。
【0031】
本技術の実施形態に関連付けられた多くの他の利点がある。例えば、いくつかの実施形態では、電子基板118の周囲だけでなく内側部分(例えば、3-4インチ間隔)の周りにも複数の取付けアセンブリ120を使用することにより、(例えば、落下による)衝撃および振動ならびに歪み(例えば、製造公差から生じる歪み等)に起因する電子基板118への潜在的に有害な負荷を実質的に低減することのできる多点緩衝取付けシステムを提供する。さらに、多点取付けアセンブリはまた上部カバー114および下部カバー116(図1B)により提供されるファラデーケージの上面および底面の両方に複数の接地位置を提供する。より具体的には、いくつかの実施形態では、第一の接地部材290aはボス230により対応する接地パッド264(したがって電子基板接地面265)から下部カバー116への直接接地経路を提供する。さらに、第一の接地部材190aは第二の接地部材190bにより接地パッド264から上部カバー114への接地経路の一部を提供し、これは第二の接地部材190bの接触面298を介して上部カバー114への直接接触を提供する。これらの接地経路は、例えば通常は回路基板の周囲にのみ取り付けられる接地ストラップにより提供される従来のEMI接地経路よりも大幅に短い。さらに、本技術の実施形態は、従来技術の接地ストラップおよび関連する締結具を廃棄することにより電子基板118の設置を大幅に簡素化することができ、代わりに上記のように第一および第二の接地部材290aおよび290bによりファラデーケージの上面および下面の両方にそれぞれ直接接地を提供する。
【0032】
図4Aは、本技術の実施形態に従って構成された電子基板取付けシステム101(図1Aおよび図1B)の振動減衰試験結果を示すグラフ400aである。グラフ400aの縦軸402はgを単位とする加速度であり、横軸404は秒(s)を単位とする時間である。この特定の試験では、デバイス100の筐体110(図1Aおよび図1B)は第一のプロット線406で示されるように50gのレベルで励起された。しかしながら、第二のプロット線408が示すように、外側の筐体110がレベル50gで振動していたとしても、筐体110内の電子基板118に取り付けられたヒートシンクはレベル8での振動しか経験しなかった。したがって、グラフ400aは上記の複数の取付けアセンブリ120を用いて電子基板118を筐体110に取り付けることにより、使用中に発生し得る電子基板118への不注意による衝撃、振動および/または他の負荷を実質的に低減することができることを示している。
【0033】
図4Bは、本技術の実施形態に従って構成された電子基板取付けシステム101の放射妨害波試験結果を示すグラフ400bである。グラフ400bの縦軸412はメートル当たりボルト(V/m)を単位とする放射妨害波であり、横軸414はヘルツ(Hz)を単位とする妨害波の周波数である。第一のプロット線416はFCCクラスB規制を満たすために要求される周波数の関数としての放射妨害波の制限を示している。第二のプロット線418は動作中に電子基板118から測定される放射妨害波を示している。第二のプロット線418からわかるように、電子基板118からの放射妨害波はクラスB規制により要求される制限を実質的に下回っている。したがって、本明細書に記載の電子基板取付けアセンブリ120の使用は、電子基板118およびその構成要素を衝撃、振動、および/または歪み負荷から隔てる有効な手段を提供すると同時に、放射妨害波、EMI、および/または他の性能を低下させる事象を低減するために電子基板118と筐体110との間の堅牢な電気的接地接続を提供する。
【0034】
特徴、利点、または同様の言語への前述の説明全体での言及は、本技術を用いて実現され得る特徴および利点の全てが本発明の任意の単一の実施形態であるか、またはそれに含まれることを意味するものではない。むしろ、特徴および利点を指す言語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本技術の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。したがって、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに同様の言語の説明は同じ実施形態を参照することができるが、必ずしもそうである必要はない。さらに、本技術の説明された特徴、利点、および特性は一または二以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。関連技術の当業者は、本技術が特定の実施形態の特定の特徴または利点のうち一または二以上を用いることなく実施することができることを認識されるであろう。他の例では、本技術の全ての実施形態に存在しない可能性のある所定の実施形態においてさらなる特徴および利点が認識され得る。
【0035】
添付の出願書類に記載され得るものを含む上記の特許ならびに出願および他の参考文献は、参照により本明細書に組み入れられている。本発明の態様は、必要に応じて、本発明のさらなる実施を提供するために上記の様々な参考文献のシステム、機能および概念を用いるように修正することができる。
【0036】
文脈において明確に別段の定めをしない限り、明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」等の語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味に解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、等の用語、またはそれらの任意の変形は、二以上の要素間の直接または間接的な接続または結合を意味し、要素間の接続または結合は物理的なもの、論理的なもの、またはそれらの組合せとすることができる。さらに、「ここに(herein)」、「上に(above)」、「下に(below)」という語、および同様の意味の語は、本出願において使用される場合、本出願の特定の部分ではなく本出願の全体を参照する。文脈が許す場合、単数形または複数形を使用する上記の詳細な説明における語はそれぞれ複数形または単数形を含むこともできる。「または(or)」という語は、二以上のリストを参照して、以下の、リスト内の任意のアイテム、リスト内の全てのアイテム、およびリスト内のアイテムの任意の組合せ、という解釈の全てを網羅する。
【0037】
本発明の上記の詳細な説明の例および実施形態は、網羅的であること、または本発明を上記で開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の特定の例は例示の目的で上述されているが、関連技術の当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な同等の修正が可能である。本明細書において提供される本発明の教示は、必ずしも上記で説明されたシステムではなく、他のシステムに適用することができる。本発明のさらなる実施を提供するために上記の様々な例の要素および行為を組み合わせることができる。本発明のいくつかの代替の実施は、上記の実施に追加の要素を含むだけでなく、より少ない要素を含む場合もある。さらに、本明細書に記載の特定の数値は単なる例であり、代替の実施において異なる値または範囲を用いることができる。
【0038】
前述のことから、本発明の特定の実施形態は例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の様々な実施形態の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることを理解されたい。さらに、本発明の所定の実施形態に関連付けられた様々な利点はそれらの実施形態の文脈において説明されてきたが、他の実施形態もまたこのような利点を示し、本発明の範囲内に含まれるように全ての実施形態が必ずしもこのような利点を示す必要はない。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0039】
本発明の所定の態様が以下において所定の形態で示されるが、出願人は任意の数の請求項において本発明の様々な態様を企図している。したがって、出願人は本出願または継続出願のいずれかにおいて、このような追加の請求を追求するために本出願を提出した後、さらなる請求を追求する権利を留保する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B