IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-湿潤ガス混合物の除湿方法 図1
  • 特許-湿潤ガス混合物の除湿方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】湿潤ガス混合物の除湿方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230110BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20230110BHJP
   F25B 15/00 20060101ALI20230110BHJP
   F25B 15/02 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B01D53/26 300
B01D53/28
F25B15/00 B
F25B15/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021531754
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2019083081
(87)【国際公開番号】W WO2020114904
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/083485
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シンミン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイシャン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス バールマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ケアル
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528064(JP,A)
【文献】特開2017-221939(JP,A)
【文献】特開2017-221940(JP,A)
【文献】特開2009-185287(JP,A)
【文献】特表2011-510811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F25B 15/00-15/02
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(a)湿潤ガス混合物Gを、構造式(II)
【化1】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤、およびQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させる工程であって、
前記液体吸収媒体AVEは、前記湿潤ガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収し、
前記液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1、および前記湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gを得る工程、
(b)前記液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、前記液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得る工程
を含む、装置V内で、前記湿潤ガス混合物Gを除湿する方法であって、
前記装置Vは、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、前記装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される前記液体吸収媒体の少なくとも1つは、少なくとも1つの接触面を介して前記金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する方法において、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
は、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
は、アルカリ金属イオンであり、
mおよびnは、互いに独立して、0~3の範囲の整数であり、
pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、
p+qの合計は、0~30の範囲の整数であり、
前記金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンから選択されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記液体吸収媒体AVEが水溶液である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記液体吸収媒体AVE中の構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、前記水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記液体吸収媒体AVE中の構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
以下の構成要素
(i)構造式(II)
【化2】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む、液体吸収媒体AVO
(ii)湿潤ガス混合物を前記液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2<103>、
(iii)熱交換器Wx2<108>を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2<109>、および
(iv)前記水吸収ユニットWabs2<103>と前記水脱着ユニットWdes2<109>とを接続し、前記液体吸収媒体AVOを循環させる回路U<115>
を含む、前記湿潤ガス混合物を除湿するための装置Vであって、
前記構成要素の水吸収ユニットWabs2<103>、水脱着ユニットWdes2<109>、回路U<115>の少なくとも1つが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、
前記装置V内には、前記液体吸収媒体AVOが金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する少なくとも1つの接触面が配置されている、前記装置Vにおいて、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
は、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
は、アルカリ金属イオンであり、
mおよびnは、互いに独立して、0~3の範囲の整数であり、
pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、
p+qの合計は、0~30の範囲の整数であり、
前記金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンから選択されることを特徴とする、装置V
【請求項6】
前記液体吸収媒体AVOが水溶液である、請求項5記載の装置V
【請求項7】
前記液体吸収媒体AVO中の構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、前記水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、請求項6記載の装置V
【請求項8】
前記吸収媒体AVO中の構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、請求項5から7までのいずれか1項記載の装置V
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか1項記載の装置Vを含み、さらなる構成要素として、凝縮器<211>、蒸発器<214>および冷却剤を含み、前記冷却剤は、水である、吸収式冷凍機。
【請求項10】
構造式(II)
【化3】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む吸収媒体AVEであって、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
は、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
は、アルカリ金属イオンであり、
mおよびnは、互いに独立して、0~3の範囲の整数であり、
pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、
p+qの合計は、0~30の範囲の整数であることを特徴とする、吸収媒体AVE
【請求項11】
水溶液である、請求項10記載の吸収媒体AVE
【請求項12】
構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、前記水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、請求項11記載の吸収媒体AVE
【請求項13】
構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、請求項10から12までのいずれか1項記載の吸収媒体AVE
【請求項14】
請求項10から13までのいずれか1項記載の吸収媒体AVEの吸収式冷凍機における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤ガス混合物の除湿方法に関する。本発明はさらに、湿潤ガス混合物を除湿するための装置、および本発明による方法における上記装置の使用に関する。本発明はまた、前記の方法および装置において使用される吸収媒体に関する。
【0002】
1.発明の背景
湿潤ガス混合物の除湿は、多くの技術分野で必要である。
【0003】
たとえば建物または車両の換気および空調では、冷却されるべき空気を所望の温度まで冷却する間に、その温度が露点温度を下回るほど湿潤していることが多いので、概して冷却だけでなく空気の除湿も必要とされる。このため、従来の空調システムでは、空気の除湿が消費電力の大部分を占めていた。
【0004】
ビル用空調システムの電力消費量は、乾燥媒体による水の吸着または吸収により空気を除湿した後、水を含んだ乾燥媒体を、水が再び脱着する温度まで加熱して再生することにより削減される。固体吸着剤への吸着と比較して、液体吸着媒体への吸着の利点は、設備の複雑さを低減し、乾燥媒体を少なくして空気の乾燥を行うことができ、太陽熱を用いて水を含んだ乾燥媒体の再生を容易に行うことができることである。
【0005】
湿潤ガス混合物の除湿が使用されるその他の技術分野は、吸収式冷凍機(国際公開第2014/079675号に記載されている原理;本発明によれば、「吸収式冷凍機」は、「吸収式ヒートポンプ」と同義に使用されている)の分野である。ここでは、低圧下で水を蒸発させる間に湿ったガス混合物が形成される。前記混合物からこのようにして形成された水蒸気を除去し、次いでこの湿潤ガス混合物を水の蒸発に返送して新しいサイクルに通過させる必要がある。ここでも、固体吸着媒体上での吸着よりも液体吸収媒体中での吸収が好ましい。
【0006】
最後に、湿潤ガス混合物の除湿は、たとえば、独国特許出願公開第102010004779号明細書に記載されているように、天然ガス抽出の分野においても重要である。
【0007】
空気または天然ガス除湿プラントおよび冷凍機に組み込まれる材料の例には、チタン、銅および貴金属が含まれる。空気除湿プラントにはアルミニウムをベースにした構成要素も設置されている。チタン、銅またはステンレス鋼などの代替材料と比較して、アルミニウムは熱伝導率が高いという利点がある。その上、アルミニウムは処理がより簡単で、より軽く、より安価である。したがって、自動車製造においては、他の材料よりも特にアルミニウム製の空調システムが好ましい。
【0008】
従来、業務用空調システムの液体吸収媒体として使用されてきた臭化リチウム、塩化リチウムまたは塩化カルシウムの水溶液には、空調システムで一般的に使用される構造材料に対して腐食性であり、したがって特定の高価な構造材料の使用を必要とするという欠点がある。この問題は特にアルミニウムの場合に生じる。これらの溶液はさらに、吸収媒体から晶析する塩による問題を引き起こし得る。
【0009】
Y. LuoらによるAppl. Thermal Eng. 31 (2011) 2772-2777では、空気を乾燥させるために臭化リチウムの水溶液に代えてイオン性液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを使用することが提案されている。しかし、このイオン性液体には吸収能力が低いという唯一の欠点がある。
【0010】
Y. LuoらによるSolar Energy 86 (2012) 2718-2724では、空気を乾燥させるために1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートに代えてイオン性液体1,3-ジメチルイミダゾリウムアセテートを使用することが提案されている。しかしながら、1,3-ジメチルイミダゾリウムアセテートは安定ではなく、脱着中にかなり分解する。
【0011】
この問題は、米国特許出願公開第2011/0247494号明細書の段落[0145]で提案されているイオン性液体でも発生する。この文献では、塩化リチウム水溶液の代わりに、液体乾燥剤として酢酸トリメチルアンモニウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムを用いることが提案されている。実施例3では湿った空気からの水の取り込みを一連のさらなるイオン性液体と比較している。
【0012】
中国特許出願公開第102335545号明細書では、空気除湿のための吸収媒体として、上記の問題のないイオン性液体の水溶液が記載されている。吸収媒体は鋼に対して非腐食性であることが報告されている。記載されるイオン性液体は、特に1,3-ジメチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジメチルホスフェートおよび1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジメチルホスフェートである。中国特許出願公開第102335545号明細書は、主に鋼ベースの空気除湿機に関する。しかし、この材料は上記の理由によりアルミニウムと比較して不利である。加えて、中国特許出願公開第102335545号明細書において引用されたイオン性液体により得られた熱伝達は、効率的な空気除湿にとって重要であるが、相対的に低かった。
【0013】
しかしながら、熱伝達は吸収媒体を選択する際に考慮しなければならない重要なパラメータである。したがって、空気除湿吸収の分野では、空気除湿機のさらなる構成要素との間の特に良好な熱伝達を保証する媒体が特に容易に使用可能である。金属成分(たとえば、アルミニウム)が使用される空気除湿機では、吸収媒体と金属表面との間で少なくとも部分的にこの熱伝達が発生する。
【0014】
この文脈で、金属表面の濡れ性が良好であるほど、熱/物質移動能力は高くなる。その結果、より高い除湿能力および高効率が得られる。イオン性液体は一部の金属に対して非腐食性であるため、吸収媒体(吸収剤)として非常に有用である。一方、イオン性液体は無機系吸収剤と比較して相対的に高い粘度を有するので、より良い物質移動および熱移動を実現するためにはイオン性液体の濡れ性を高めるのに有効な添加剤の開発が必要である。
【0015】
本発明の目的は、非腐食性イオン性液体および湿潤添加剤からなる最良の配合物を創り出すことである。
【0016】
この文脈において、独国特許出願公開第102016210478号明細書には、アルミニウム表面を含む装置における用途に特に適した吸収媒体が記載されている。リン酸トリアルキルなどの添加剤を使用する従来技術は水性系の表面張力を低下させることができる。しかし、表面張力および接触角の低減には限界がある。さらに、リン酸トリアルキルは加水分解しやすく、得られたリン酸ジアルキルなどの生成物は腐食を引き起こす可能性がある。
【0017】
同様に、アニオン性添加剤の場合、それらの表面活性能はpHによって容易に影響される。
【0018】
したがって、これらの従来技術の吸収媒体は、この目的のために有利に使用することができるものの、このような有利な挙動を示し、さらにはより良好な熱伝達を提供する他の吸収媒体に対する需要が当該技術分野において依然として存在する。
【0019】
したがって、本発明の目的は、これらの問題を解決し、特に、空調システム、空気除湿機、吸収式冷凍機等、特にアルミニウムベースの空調システムで使用される場合に、従来技術の吸収媒体と比較して改善された熱伝達を保証する吸収媒体をさらに提供することである。
【0020】
驚くべきことに、この度、この課題を解決する吸収媒体が発見された。
【0021】
2.発明の詳細な説明
2.1構造式(II)による化合物
したがって、本発明は第1の態様において、以下の工程:
(a)湿潤ガス混合物Gを、構造式(II)
【化1】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤、およびQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させる工程であって、
液体吸収媒体AVEは、湿潤ガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収し、
液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1、および湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gを得る工程、
(b)液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得る工程
を含む、装置V内で、湿潤ガス混合物G、特に湿潤空気を除湿する方法であって、
装置Vは、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1つは少なくとも1つの接触面を介して金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する方法において、
は、特に、それぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、より好ましくはKまたはNaであり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して、0~3、好ましくは0~2の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数であり、
より好ましくは、pおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~10の範囲の整数であり、
金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、金属は、最も好ましくはアルミニウムであることを特徴とする方法に関する。
【0022】
ガス混合物Gは特に限定されない。「湿潤」とは、本発明の文脈において「水、特に水蒸気を含む」という意味として理解されるべきである。「除湿」とは、少なくとも部分的に水を除去するという意味として理解されるべきである。
【0023】
「少なくとも部分的に」とは、本発明の文脈において「部分的にまたは完全に」という意味として理解されるべきである。
【0024】
したがって、「湿潤ガス混合物G」は、本発明の文脈において、ガス混合物Gが、水、好ましくは水蒸気(「水蒸気」は、ガス状の物理的状態における水を意味するものとして理解されるべきである)を含み、その組成がその他の点で特に制限されないという意味として理解されるべきである。この湿潤ガス混合物の含水率は特に制限されず、特に0.01体積%~99.99体積%(「体積%」は、湿潤ガス混合物Gの全体積に基づく水蒸気の体積を示す)である。湿潤ガスGの組成は、その他の点で本発明による方法の用途に応じて変化してもよい。湿潤ガス混合物Gは、特に湿潤天然ガス、湿潤空気(これは湿った室内空気または吸収式冷凍機での水の蒸発から生じる湿った空気であってもよい)、好ましくは湿潤空気から選択される。湿潤天然ガスの場合、含水率は、特に0.01体積%~15.00体積%であり、湿潤空気の場合、上記含有率は、湿潤室内空気の場合には特に0.01体積%~15.00体積%であるか、または特に95.00体積%~99.99体積%であるが、これは、吸収式冷凍機における水の蒸発から生じる湿潤空気が関係する場合に好ましい範囲である。
【0025】
本発明による「ジアルキルイミダゾリウム」カチオンは、好ましくは、1,3-ジアルキルイミダゾリウムカチオンである。
【0026】
「1~5の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、および5を意味し、すなわち2つの境界値である1および5を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0027】
「1~6の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、および6を意味し、すなわち2つの境界値である1および6を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0028】
「1~8の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、6、7、および8を意味し、すなわち2つの境界値である1および8を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0029】
「0~2の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、および2を意味し、すなわち2つの境界値である0および2を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0030】
「0~3の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、および3を意味し、すなわち2つの境界値である0および3を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0031】
「0~30の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30を意味し、すなわち2つの境界値である0および30を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0032】
「0~10の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10を意味し、すなわち、2つの境界値である0および10を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0033】
「0~5の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、および5を意味し、すなわち2つの境界値である0および5を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0034】
「1~15の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を意味し、すなわち2つの境界値である1および15を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0035】
「ここで、pおよびqは、互いに独立して0~30の範囲の整数であり、p+qの合計は、0~30の範囲の整数である」という条件は、pおよびqの各々について、双方の条件が満たされなければならないことを意味し、すなわち、pは0~30の間の整数でなければならず、qは0~30の間の整数でなければならず、pおよびqの選択はそれらの合計が0~30の範囲内にあるようにしなければならない。
【0036】
「ここで、pおよびqは、互いに独立して0~10の範囲の整数であり、p+qの合計は、0~10の範囲の整数である」という条件は、pおよびqの各々について、双方の条件が満たされなければならないことを意味し、すなわち、pは0~10の間の整数でなければならず、qは0~10の間の整数でなければならず、pおよびqの選択はそれらの合計が0~10の範囲にあるようにしなければならない。
【0037】
本発明による方法は、金属の構造材料から構成された表面OAl(本発明の文脈において、OAlは「金属の構造材料から構成された表面」の略である)を少なくとも部分的に含む装置Vにおいて実施され、そこで、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1つが、少なくとも1つの接触面を介して金属の構造材料から構成された表面OAlに接触している。
【0038】
驚くべきことに、本発明による吸収媒体は、純粋なイオン性液体と比較して低い表面張力を示すことが判明した。さらに驚くべきことに、本発明による吸収媒体とアルミニウムとの接触角は純粋なイオン性液体の場合よりも低く、したがって良好な熱伝達を促進することが認められた。
【0039】
したがって、構造材料OAlの金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0040】
本発明による好ましい鋼材は、ステンレス鋼である。
【0041】
本発明による好ましい貴金属は、白金、金、銀からなる群から選択される。最も好ましい貴金属は、白金である。
【0042】
特に、以下の構成要素:
(i)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVEと接触させるために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を含み、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1、および
(iii)水吸収ユニットWabs1と水脱着ユニットWdes1とを接続し、液体吸収媒体AVEを循環させ得る回路U
を有する装置Vを使用することが可能である。
【0043】
水吸収ユニットWabs1は、特に本発明による方法の工程a)が実施される構成要素である。水吸収ユニットWabs1として使用することができるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。上記吸収器は、水の吸収中に、液体吸収媒体AVEの表面積を大きくすると同時に、水吸収器中での液体吸収媒体AVEの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。特にここでは充填床、スプレーカラム、流下膜、気泡カラム、トレイカラム、湿式スクラバー(たとえばベンチュリースクラバー)、撹拌タンク、およびこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することができる。水吸収器としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。水吸収ユニットWabs1は特に、液体吸収媒体AVEが冷却可能であるように設置された追加の熱交換器Wz1を含んでいてもよい。
【0044】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1は、特に本発明による方法の工程b)が実施されるユニットである。水脱着ユニットWdes1は、水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)に熱を供給し、水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)の表面積を増加させると同時に、水脱着ユニット中での水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)の滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。
【0045】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1として使用することができるのは、特に当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせ、特に上流側熱交換器、特にシェルおよびチューブ熱交換器、プレートおよびフレーム熱交換器を有する水平チューブ蒸発器である。さらに、熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1は、熱交換器が一体化された水脱着器であってもよい。このような熱交換器が一体化された水脱着器は、特にクライミング膜蒸発器、長管垂直蒸発器、短管垂直蒸発器、強制循環蒸発器、撹拌薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes1としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。
【0046】
回路Uは特に、本発明による方法の工程a)からのAVE1を、水吸収ユニットWabs1から水脱着ユニットWdes1に通過させ、より好ましくは、特に本発明による方法が連続的に実施される場合、さらに本発明による方法の工程b)からのAVE2を、水吸収ユニットWabs1から水脱着ユニットWdes1に通過させる。
【0047】
回路Uは、特に導管であり、特にチューブ、ホースからなる群から選択される。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、回路Uは、ポンプも含む。
【0049】
本発明による方法の第1の工程は、湿潤ガス混合物Gを、構造式(II)
【化2】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、
、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させることを含む。接触は、当業者に公知の任意の方法、特に水吸収ユニットWabs1において実施することができる。この接触により、吸収媒体AVEは、湿潤ガス流Gから水分、すなわち水を少なくとも部分的に吸収して、液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1と、湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gとが得られる。
【0050】
湿潤ガス混合物Gから可能な限り多くの水分が吸収されるように、湿潤ガス混合物Gの接触中に吸収媒体AVEを冷却することが好ましい。これは、たとえば水吸収ユニットWabs1内で追加の熱交換器Wz1を介して達成することができる。したがって、湿潤ガス混合物Gの接触中の吸収媒体AVEの温度は、好ましくは2℃~100℃、好ましくは3℃~80℃、より好ましくは4℃~50℃、最も好ましくは5℃~30℃の範囲にある。
【0051】
吸収媒体AVEは、構造式(II)
【化3】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、
、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含み、
ここで、Qは、特にそれぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、さらにより好ましくはKまたはNaであり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して0~3の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して0~30の範囲の整数であり、
ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数である。
【0052】
本発明による方法の好ましい実施形態では、塩Sは、Q、Q(RO)PO からなる群から選択され、好ましくは塩Sは、Q(RO)PO であり、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、Aは、RCOO、R’SO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここでR、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0053】
本発明による方法のより好ましい実施形態では、塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して、メチル、エチル、ブチルからなる群から選択され、さらにより好ましくはメチルまたはエチルからなる群から選択されるジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、かつRは、メチルまたはエチルである。
【0054】
本発明による方法のさらにより好ましい実施形態では、塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され;Rは、メチルまたはエチルである。最も好ましくは、塩Sは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである。
【0055】
ここで驚くべきことに、上記の塩Sの混合物は、より低い表面張力を示し、アルミニウムとの特に小さい接触角を有し、したがって、構造式(II)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤が添加される場合、特に良好な表面濡れ性を保証することが判明した。この結果、相対的に大きな接触面積が得られ、したがってより少ない非湿潤空間も得られ、したがって装置V内の改善された熱伝達が得られ、したがって特に効率的なプロセスも得られる。
【0056】
液体吸収媒体AVEの構造式(II)の化合物は、任意選択的にエトキシル化されるアセチレングリコール化合物として記載することができる。これらは当業者に公知であり、たとえば、米国特許第3,268,593号明細書に記載されている塩基性触媒の促進によってエチレンオキシドおよびアセチレン三級グリコールから合成することができる。構造式(II)では、mおよびnは、互いに独立して、0~3の範囲の整数であり、好ましくは0~2の範囲の整数であり、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数である。より好ましくは、pおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~10の範囲の整数である。
【0057】
最も好ましいのは、構造式(II)の化合物であり、ここで、m=n=2であり、pおよびqは、互いに独立して、0~4の範囲の整数であり、p+qの合計は、0~4の範囲の整数である。
【0058】
上記のように、構造式(II)の化合物からなる群から選択される化合物の1種を塩Sに添加すると有利な特性が得られることが判明した。
【0059】
本発明による方法では、液体吸収媒体AVEは、好ましくは水溶液であり、ここで、特に、構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVE中の構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0060】
本発明による方法では、吸収媒体AVE中の構造式(II)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による方法では、構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVEを使用することが好ましい。
【0061】
本発明によるより好ましい実施形態では、吸収媒体AVEは、上記のような少なくとも1種の塩S、構造式(II)の少なくとも1種の化合物、および構造式(I)
【化4】
の少なくとも1種の化合物を含み、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、
ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、
ここで、zは、1~15、好ましくは1~8の範囲の整数であり、好ましくはx+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0062】
x>1の場合、構造式(I)におけるx単位のzの値は、同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
好ましい実施形態では、構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~8の範囲の整数であり、x+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0064】
構造式(I)の化合物は、シロキサン化合物として記載することができる。このような化合物は、当業者に公知であり、Si-H結合の不飽和結合への付加を表す、触媒的ヒドロシリル化プロセスから合成することができる。このようなプロセスは、たとえば、N.N. Greenwood, A. Earnshaw, Chemie der Elemente, corrected print of the 1st edition, VCH, 1990, Weinheim, Basel, Cambridge, New York (Hueckmannによりドイツ語に翻訳)の第466/467頁に記載されている。
【0065】
吸収媒体AVEが、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む場合、構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が3:1~1:3の範囲にあり、好ましくは1:1であることがさらに好ましい。
【0066】
液体吸収媒体AVEは、本発明による方法では、塩Sと構造式(II)の化合物、および任意選択的に構造式(I)の化合物との純粋な混合物の形で使用することができる。より好ましくは、本発明による方法では、液体吸収媒体AVEは、特に、構造式(I)の全化合物、および構造式(II)の全化合物、および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として20.1質量%~92質量%の範囲にある水溶液である。さらにより好ましいのは、AVE中の構造式(I)の全化合物、構造式(II)の全化合物、および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として20.5質量%~90.5質量%の範囲、さらにより好ましくは40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として60.5質量%~76質量%の範囲、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0067】
本発明による方法では、吸収媒体AVE中の構造式(II)の全化合物および任意選択的に構造式(I)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による方法では、構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVEを使用することが好ましい。
【0068】
本発明による方法の第1の工程で得られ、湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gは、したがって、除湿ガス流を表し、これは用途に応じて、除湿空気の形で生活空間または作業空間に戻すことができるか、または天然ガスの場合、発電に供給することができる。
【0069】
本発明による方法の第1の工程で得られる吸収媒体AVE1は、液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する。AVE1は、それに含まれる構造式(II)の化合物および任意選択的に構造式(I)の化合物ならびにそれに含まれる塩Sに関して、AVEと同一であり、好ましくは含水率のみによってそれと区別されることが理解されるであろう。
【0070】
本発明による方法の第2の工程は、液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得ることを含む。この工程はさらに、特に液体吸収媒体AVE1に熱を供給することを含む。熱の供給および少なくとも部分的な除去は、当業者に公知の任意の方法、特に熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1において実施することができる。液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去することにより、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2が得られる。
【0071】
液体吸収媒体AVE2は、それに含まれる構造式(II)の化合物および任意選択的に構造式(I)の化合物、ならびにそれに含まれる塩Sに関して、AVE1と同一であり、好ましくは含水率のみによってそれと区別されることが理解されるであろう。
【0072】
本発明による方法の本質的な特徴は、装置Vが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含むことである(本発明の文脈では、OAlは、「金属の構造材料から構成された表面」の略である)。
【0073】
したがって、構造材料の金属OAlは、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0074】
本発明の文脈におけるアルミニウムの構造材料は、特にアルミニウムの質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合、非合金アルミニウムおよびアルミニウム合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。アルミニウムの構造材料は、好ましくは、非合金アルミニウムである。
【0075】
非合金アルミニウムは、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、より好ましくは90質量%を上回る、さらにより好ましくは95質量%を上回る、さらにより好ましくは98質量%を上回る純度を有するアルミニウムである。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度のアルミニウムである。
【0076】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。したがって、アルミニウムの構造材料は、特に鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0077】
本発明の文脈における「鋼の構造材料」は、特に、鉄の質量分率が存在する他のすべての元素の質量分率よりも大きい任意の鉄合金を意味するものとして理解されるべきである。鋼の構造材料中の鉄の割合は、好ましくは50質量%を上回る、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。本発明によれば、鋼の構造材料は、鉄に加えて、特にニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含み、より好ましくはニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、特にクロムを含み、ここで、これはさらにより好ましくは鋼の構造材料において10.5質量%を超えるが50質量%より小さい質量分率を有する。それと同時に、鋼の構造材料中の炭素の含有率が、常に2.06質量%未満、さらにより好ましくは1.2質量%以下である場合がさらにより好ましい。鋼の構造材料中の鉄、合金化金属(たとえばクロム)および炭素の含有率の合計は、100質量%を超えてはならないことが理解されよう。鋼の構造材料は、特に、鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0078】
本発明の文脈における白金の構造材料は、特に白金の質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合に、非合金白金および白金合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。白金の構造材料は、好ましくは非合金白金である。
【0079】
非合金白金は、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、さらにより好ましくは90質量%を上回る、さらに一層より好ましくは95質量%を上回る、さらに一層より好ましくは98質量%を上回る純度を有する白金である。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度の白金である。
【0080】
白金合金は、白金に加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。
【0081】
白金に関する記載は、銀、金などの他の貴金属、ならびに銅、チタンなどの他の金属についても準用される。
【0082】
本発明による方法のさらに本質的な特徴は、装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1種が、少なくとも1つの接触面を介して、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに接触することである。これは、この接触面において、問題の液体吸収媒体AVE、AVE1またはAVE2が、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに直接接触していることを意味するものとして理解されるべきである。本発明の文脈において、「直接接触している」とは、「濡れていること」を意味するものとして理解されるべきである。したがってAVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体と、接触面に含まれる金属、好ましくはアルミニウムとが、直接接触していることが理解されよう。接触面に含まれる金属がアルミニウムである場合、これは特に限定されず、特に、不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味するものとして理解されるべきである)などの元素アルミニウムまたはアルミニウム化合物からなる群から選択される。
【0083】
装置Vが使用される本発明による実施形態では、装置Vは、以下の構成要素:
(i)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVEと接触させるために設置された、少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を含み、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1
(iii)水吸収ユニットWabs1と水脱着ユニットWdes1とを接続し、液体吸収媒体AVEを循環させ得る回路U
を含み、
VE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体が、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに接触する接触面は、特に、水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1、回路Uの群から選択される構成要素の少なくとも1つに、好ましくは水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1の群から選択される構成要素の少なくとも1つに配置されている。
【0084】
これは驚くべきことに、ここで、本発明による構造式(II)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と少なくとも1種の塩Sとの混合物が、金属、特にアルミニウムの構造材料に対して特に良好な濡れ性を示し、したがって特に良好な熱伝達を保証し、したがってAVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される吸収媒体の1つが、金属、特にアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlと直接接触している、金属、特にアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlを有する装置Vにおける液体吸収媒体として特に適していることが判明したからである。
【0085】
さらに好ましい実施形態では、本発明による方法は連続的に実行される。これは、特に工程b)に続いて工程a)およびb)が少なくとももう1回実施され、各場合に追加で実施される工程a)において使用される液体吸収媒体AVEが少なくとも部分的に、直前に実施される工程b)から得られる液体吸収媒体AVE2である、すなわち、特に各場合に追加で実施される工程a)において使用される液体吸収媒体AVEの含水率と、直前の工程b)からの液体吸収媒体AVE2の含水率とが同一であるという意味として理解されるべきである。
【0086】
この実施形態は、液体吸収媒体AVE1を液体吸収媒体AVE2からの熱で加熱することを含む場合がより好ましい。これは、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、ならびにプレートおよびフレーム型熱交換器からなる群から選択される、追加の熱交換器Wy1で実施することができる。これにより、本発明による方法を特にエネルギー効率の良い方法で実施することができる。
【0087】
本発明はまた、さらなる態様において、本明細書に記載された吸収媒体AVE、ならびに吸収式冷凍機におけるその使用に関する。
【0088】
本発明はまた、さらなる態様において、以下の構成要素
(i)構造式(II)
【化5】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む、液体吸収媒体AVO
(ii)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された、少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2
(iii)熱交換器Wx2を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2、および
(iv)水吸収ユニットWabs2と水脱着ユニットWdes2とを接続し、それによって液体吸収媒体AVOが循環される回路U
を含む、湿潤ガス混合物、特に湿潤空気を除湿するための装置Vであって、
構成要素の水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、回路Uの少なくとも1つが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、
装置V内には、液体吸収媒体AVOが金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する少なくとも1つの接触面が配置されている、装置Vにおいて、
は、特に、それぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、より好ましくはKまたはNaであり、ここで、mおよびnは、互いに独立して、0~3、好ましくは0~2の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数であり、より好ましくはpおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここで、p+qの合計は、0~10の範囲の整数であり、
ここで、金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、ここで金属は、最も好ましくはアルミニウムであることを特徴とする、装置Vに関する。
【0089】
本発明による装置Vは、湿潤ガス混合物、特に湿潤空気を除湿するのに適している。上記装置は、以下の構成要素を含む:
【0090】
第1の構成要素として、本発明による装置Vは、構造式(II)
【化6】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、Q、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVOを含み、
ここで、Qは、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、好ましくは1,3-ジアルキルイミダゾリウムカチオン、さらにより好ましくは、それぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、さらにより好ましくはKまたはNaであり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して0~3の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、
ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数である。
【0091】
本発明による装置Vの好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、Q、Q(RO)PO からなる群から選択され、好ましくはQ(RO)PO であり、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して、1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、Aは、RCOO、R’SO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0092】
本発明による装置Vのより好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して、メチル、エチル、ブチルからなる群から選択され、さらにより好ましくはメチルまたはエチルからなる群から選択されるジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、かつRは、メチルまたはエチルである。
【0093】
本発明による装置Vのさらにより好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、Rは、メチルまたはエチルである。最も好ましくは、塩Sは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである。
【0094】
ここで驚くべきことに、上記の塩Sの混合物は、より低い表面張力を示し、アルミニウムとは特に小さい接触角を有し、したがって、構造式(II)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤が添加される場合に、特に良好な表面濡れ性を保証することが判明した。この結果、相対的に大きな接触面積が得られ、したがってより少ない非湿潤空間も得られ、したがって装置V内の改善された熱伝達が得られる。
【0095】
液体吸収媒体AVOの構造式(II)の化合物は、任意にエトキシル化されるアセチレングリコール化合物として記載することができる。それらの化合物は当業者に公知であり、たとえば米国特許第3,268,593号明細書に記載されている、塩基性触媒の促進によってエチレンオキシドおよびアセチレン三級グリコールから合成することができる。構造式(II)において、mおよびnは、互いに独立して、0~3、好ましくは0~2の範囲の整数であり、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~30の範囲の整数である。より好ましくは、pおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~10の範囲の整数である。
【0096】
最も好ましいのは、m=n=2であり、pおよびqは、互いに独立して0~4の範囲の整数であり、p+qの合計は、0~4の範囲の整数である構造式(II)の化合物である。
【0097】
上記のように、構造式(II)の化合物からなる群から選択される化合物の1種を塩Sに添加すると有利な特性が得られることが判明した。
【0098】
液体吸収媒体AVOは、好ましくは水溶液であり、ここで、特に構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVO中の構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0099】
吸収媒体AVO中の塩Sに対する構造式(II)の全化合物の比は、これ以上制限されない。しかし、吸収媒体AVOにおいて、構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にあることが好ましい。
【0100】
本発明によるより好ましい実施形態では、吸収媒体AVOは、上記のような少なくとも1種の塩S、構造式(II)の少なくとも1種の化合物、および構造式(I)
【化7】
の少なくとも1種の化合物を含み、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、
ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、
ここで、zは、1~15、好ましくは1~8の範囲の整数であり、好ましくはx+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0101】
x>1の場合、構造式(I)におけるx単位のzの値は、同一であっても異なっていてもよい。
【0102】
好ましい実施形態では、構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~8の範囲の整数であり、x+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0103】
吸収媒体AVOが、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む場合、構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が3:1~1:3の範囲にあり、好ましくは1:1であることがさらに好ましい。
【0104】
液体吸収媒体AVOは、本発明による装置Vにおいて、塩Sと構造式(II)の化合物、および任意選択的に構造式(I)の化合物との純粋な混合物の形で使用することができる。より好ましくは、本発明による装置Vにおいて、液体吸収媒体AVOは、水溶液であり、ここで、特に構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVO中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0105】
本発明による装置Vでは、吸収媒体AVO中の構造式(II)の全化合物および任意選択的に構造式(I)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による装置Vにおいて、構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVOを使用することが好ましい。
【0106】
第2の構成要素として、本発明による装置Vは、湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された水吸収ユニットWabs2を含む。水吸収ユニットWabs2は、特に、液体吸収媒体AVOが冷却可能であるように設置された追加の熱交換器Wz2を含んでいてよい。このような水吸収ユニットWabs2として使用することができるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。上記吸収器は、水の吸収中に、液体吸収媒体AVOの表面積を大きくすると同時に、水吸収器中での液体吸収媒体AVOの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。特にここでは充填床、スプレーカラム、流下膜、気泡カラム、トレイカラム、湿式スクラバー(たとえばベンチュリースクラバー)、撹拌タンク、およびこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することが可能である。水吸収器としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ型流下膜を使用することが特に好ましい。
【0107】
第3の構成要素として、本発明による装置Vは、熱交換器Wx2を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、水脱着ユニットWdes2を含む。それに使用することができるのは、特に、当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせである。水脱着ユニットWdes2は、液体吸収媒体AVOに熱を供給し、液体吸収媒体AVOの表面積を増加させると同時に、液体吸収媒体AVOの水脱着ユニットでの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。
【0108】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes2として使用することができるのは、特に当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせ、特に上流側熱交換器、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、プレートおよびフレーム型熱交換器を有する水平チューブ蒸発器である。さらに、熱交換器Wx2を含む水脱着ユニットWdes2は、熱交換器が一体化された水脱着器であってもよい。このような熱交換器が一体化された水脱着器は、特にクライミング膜蒸発器、長管垂直蒸発器、短管垂直蒸発器、強制循環蒸発器、撹拌薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes2としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ型流下膜を使用することが特に好ましい。
【0109】
第4の構成要素として、本発明による装置Vは、水吸収ユニットWabs2と水脱着ユニットWdes2とを接続し、それによって液体吸収媒体AVOが循環される回路Uを含む。回路Uは、好ましくは導管であり、より好ましくはチューブ、ホースからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、回路Uはポンプも含む。
【0110】
本発明による装置Vの本質的な特徴は、上記装置が、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含むことである(本発明の文脈では、OAlは、「金属の構造材料で作られた表面」の略である)。
【0111】
したがって、構造材料の金属OAlは、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0112】
本発明の文脈におけるアルミニウムの構造材料は、特にアルミニウムの質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合、非合金アルミニウムおよびアルミニウム合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。アルミニウムの構造材料は、好ましくは、非合金アルミニウムである。
【0113】
非合金アルミニウムは、特に、99.0質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度のアルミニウムである。
【0114】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。したがって、アルミニウムの構造材料は特に鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0115】
本発明の文脈における「鋼の構造材料」は、特に、鉄の質量分率が存在する他のすべての元素の質量分率よりも大きい任意の鉄合金を意味するものとして理解されるべきである。鋼の構造材料中の鉄の割合は、好ましくは50質量%を上回る、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。本発明によれば、鋼の構造材料は、鉄に加えて、特にニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含み、より好ましくはニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、特にクロムを含み、ここで、これはさらにより好ましくは鋼の構造材料において10.5質量%を超えるが50質量%より小さい質量分率を有する。それと同時に、鋼の構造材料中の炭素の含有率が、常に2.06質量%未満、さらにより好ましくは1.2質量%以下である場合がさらにより好ましい。鋼の構造材料中の鉄、合金化金属(たとえばクロム)および炭素の含有率の合計は、100質量%を超えてはならないことが理解されよう。鋼の構造材料は、特に、鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0116】
本発明の文脈における白金の構造材料は、特に白金の質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合に、非合金白金および白金合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。白金の構造材料は、好ましくは非合金白金である。
【0117】
非合金白金は、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、さらにより好ましくは90質量%を上回る、さらに一層より好ましくは95質量%を上回る、さらに一層より好ましくは98質量%を上回る純度を有する白金である。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度の白金である。
【0118】
白金合金は、白金に加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。
【0119】
白金に関する記載は、銀、金などの他の貴金属、ならびに銅、チタンなどの他の金属についても準用される。
【0120】
本発明による装置Vのさらに本質的な特徴は、液体吸収媒体AVOが、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlに接触する接触面が、上記装置内に配置されることである。これは、この接触面において、液体吸収媒体AVOが、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlに直接接触していることを意味するものとして理解されるべきである。本発明の文脈において、「直接接触している」とは、「湿潤」を意味するものとして理解されるべきである。したがって、液体吸収媒体AVOおよび接触面に含まれる金属、好ましくはアルミニウムが直接接触していることが理解されよう。接触面に含まれる金属がアルミニウムである場合、これは特に限定されず、特に不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味するものとして理解されるべきである)などの元素アルミニウムまたはアルミニウム化合物からなる群から選択される。
【0121】
好ましい実施形態では、装置Vは、さらに熱交換器Wy2(水脱着ユニットWdes2に含まれる熱交換器Wx2に追加される)を含む。熱交換器Wy2は、液体吸収媒体AVOが、水吸収ユニットWabs2から水脱着ユニットWdes2に送られて、水脱着ユニットWdes2は液体吸収媒体AVOから熱を引き出し、液体吸収媒体AVOからの熱を供給可能であるように設置されている。これは、熱交換器Wy2として、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、プレートおよびフレーム型熱交換器から選択される熱交換器を使用することによって保証することができる。
【0122】
さらに好ましい実施形態では、装置Vは、吸収式冷凍機の一部である。したがって、この吸収式冷凍機は、凝縮器、蒸発器、および冷却剤をさらに構成要素として含み、ここで、冷却剤は水である。
【0123】
凝縮器は、特に、導管を介して水脱着ユニットWdes2に接続され、水脱着ユニットWdes2内で液体吸収媒体AVOから少なくとも部分的に除去された水を凝縮するために設置されている。凝縮器は、好ましくは冷却水回路も含む。
【0124】
蒸発器は特に、導管(絞り手段を含み得る)を介して凝縮器に接続され、さらに導管を介して水吸収ユニットWabs2に接続され、凝縮器からの凝縮水を蒸発させるために設置される。蒸発器はまた、好ましくは凝縮水を可能な限り低い温度で蒸発させるために、1バール未満、より好ましくは0.1バール未満の圧力を含む。蒸発器は、さらに好ましくは、熱が引き出され、凝縮水が蒸発され得る装置(たとえば、水が蒸発する空間に冷却剤が通される冷却剤導管)をさらに含む。
【0125】
2.2構造式(I)による化合物
したがって、本発明は、第2の態様において、以下の工程:
(a)湿潤ガス混合物Gを、構造式(I)
【化8】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤、およびQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させる工程であって、
液体吸収媒体AVEは、湿潤ガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収し、
液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1、および湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gを得る工程、
(b)液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得る工程
を含む、装置V内で、湿潤ガス混合物G、特に湿潤空気を除湿する方法であって、
ここで、装置Vは、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1つは、少なくとも1つの接触面を介して金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する方法において、
は、特に、それぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、より好ましくはKまたはNaであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、
ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、
ここで、zは、1~15、好ましくは1~8の範囲の整数であり、
ここで、好ましくはx+yの合計は、1~6の範囲の整数であり、
ここで、金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、ここで金属は、最も好ましくはアルミニウムであることを特徴とする方法に関する。
【0126】
ガス混合物Gは、特に限定されない。「湿潤」とは、本発明の文脈において「水、特に水蒸気を含む」という意味として理解されるべきである。「除湿」とは、少なくとも部分的に水を除去するという意味として理解されるべきである。
【0127】
「少なくとも部分的に」とは、本発明の文脈において「部分的にまたは完全に」という意味として理解されるべきである。
【0128】
したがって、「湿潤ガス混合物G」は、本発明の文脈において、ガス混合物Gが、水、好ましくは水蒸気(「水蒸気」は、ガス状の物理的状態における水を意味するものとして理解されるべきである)を含み、その組成がその他の点で特に制限されないという意味として理解されるべきである。この湿潤ガス混合物の含水率は特に制限されず、特に0.01体積%~99.99体積%(「体積%」は、湿潤ガス混合物Gの全体積に基づく水蒸気の体積を示す)である。湿潤ガスGの組成は、その他の点で本発明による方法の用途に応じて変化し得る。湿潤ガス混合物Gは、特に、湿潤天然ガス、湿潤空気(これは、湿った室内空気または吸収式冷凍機での水の蒸発から生じる湿った空気であってよい)、好ましくは湿潤空気から選択される。湿潤天然ガスについての上記含水率は、特に0.01体積%~15.00体積%であり、湿潤空気について上の記含有率は、湿潤室内空気の場合、特に0.01体積%~15.00体積%であるか、または特に95.00体積%~99.99体積%であるが、これは吸収式冷凍機における水の蒸発から生じる湿潤空気が関係する場合に好ましい範囲である。
【0129】
本発明による「ジアルキルイミダゾリウム」カチオンは、好ましくは、1,3-ジアルキルイミダゾリウムカチオンである。
【0130】
「1~5の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、および5を意味し、すなわち2つの境界値である1および5を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0131】
「1~6の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、および6を意味し、すなわち2つの境界値である1および6を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0132】
「1~8の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、6、7、および8を意味し、すなわち2つの境界値である1および8を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0133】
「0~2の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、および2を意味し、すなわち2つの境界値である0および2を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0134】
「0~3の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、および3を意味し、すなわち2つの境界値である0および3を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0135】
「0~30の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30を意味し、すなわち、2つの境界値である0および30を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0136】
「0~10の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10を意味し、すなわち、2つの境界値である0および10を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0137】
「0~5の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数0、1、2、3、4、および5を意味し、すなわち2つの境界値である0および5を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0138】
「1~15の範囲の整数」は、本発明の文脈において、すべての整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を意味し、すなわち、2つの境界値である1および15を含むことを意味するものとして理解されるべきである。
【0139】
「ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、かつx+yの合計は、1~6の範囲の整数である」という条件は、xおよびyの各々について、双方の条件が満たされなければならないことを意味し、すなわち、xは、1~5の間の整数でなければならず、yは、0~5の間の整数でなければならず、かつxおよびyの選択は、それらの合計が1~6の範囲にあるようにしなければならない。
【0140】
本発明による方法は、金属の構造材料から構成される表面OAl(本発明の文脈において、OAlは、「金属の構造材料で作られた表面」の略である)を少なくとも部分的に含む装置Vにおいて実施され、そこで、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1つが、金属の構造材料から構成された表面OAlに少なくとも1つの接触面を介して接触している。
【0141】
驚くべきことに、本発明による吸収媒体は、純粋なイオン性液体と比較して低い表面張力を示すことが判明した。さらに驚くべきことに、本発明による吸収媒体とアルミニウムとの接触角は、純粋なイオン性液体の場合よりも低く、したがって良好な熱伝達を促進することが認められた。
【0142】
したがって、構造材料の金属OAlは、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0143】
本発明による好ましい鋼材は、ステンレス鋼である。
【0144】
本発明による好ましい貴金属は、白金、金、銀からなる群から選択される。最も好ましい貴金属は白金である。
【0145】
特に、以下の構成要素:
(i)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVEと接触させるために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を含み、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1、および
(iii)水吸収ユニットWabs1と水脱着ユニットWdes1とを接続し、液体吸収媒体AVEを循環させる回路U
を有する装置Vを使用することが可能である。
【0146】
水吸収ユニットWabs1は、特に本発明による方法の工程a)が実施される構成要素である。水吸収ユニットWabs1として使用することができるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。上記吸収器は、水の吸収中に、液体吸収媒体AVEの表面積を大きくすると同時に、液体吸収媒体AVEの水吸収器での滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。特にここでは充填床、スプレーカラム、流下膜、気泡カラム、トレイカラム、湿式スクラバー(たとえばベンチュリースクラバー)、撹拌タンク、およびこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することが可能である。水吸収器としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。水吸収ユニットWabs1は、特に、液体吸収媒体AVEが冷却可能であるように設置された追加の熱交換器Wz1も含んでいてよい。
【0147】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1は、特に本発明による方法の工程b)が実施されるユニットである。水脱着ユニットWdes1は、水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)に熱を供給し、水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)の表面積を増加させると同時に、水を含んだ液体吸収媒体AVE(特にAVE1)の水脱着ユニットでの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。
【0148】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1として使用することができるのは、特に当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせ、特に、上流側熱交換器、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、プレートおよびフレーム型熱交換器を有する水平チューブ蒸発器である。さらに、熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1は、熱交換器が一体化された水脱着器であってもよい。このような熱交換器が一体化された水脱着器は、特にクライミング膜蒸発器、長管垂直蒸発器、短管垂直蒸発器、強制循環蒸発器、撹拌薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes1としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。
【0149】
回路Uは、特に、本発明による方法の工程a)からのAVE1を、水吸収ユニットWabs1から水脱着ユニットWdes1に通過させ、より好ましくは、特に、本発明による方法が連続的に実施される場合、さらに、本発明による方法の工程b)からのAVE2を、水吸収ユニットWabs1から水脱着ユニットWdes1に通過させる。
【0150】
回路Uは、特に導管であり、特にチューブ、ホースからなる群から選択される。
【0151】
さらに好ましい実施形態では、回路Uはポンプも含む。
【0152】
本発明による方法の第1の工程は、湿潤ガス混合物Gを、構造式(I)
【化9】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、
、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させることを含む。接触は、当業者に公知の任意の方法、特に水吸収ユニットWabs1において実施され得る。この接触により、吸収媒体AVEは、湿潤ガス流Gから水分、すなわち水を少なくとも部分的に吸収し、液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1と、湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gとが得られる。
【0153】
湿潤ガス混合物Gから可能な限り多くの水分が吸収されるように、湿潤ガス混合物Gの接触中に吸収媒体AVEを冷却することが好ましい。これは、たとえば、水吸収ユニットWabs1内で追加の熱交換器Wz1を介して達成することができる。したがって、湿潤ガス混合物Gと接触中の吸収媒体AVEの温度は、好ましくは2℃~100℃、好ましくは3℃~80℃、より好ましくは4℃~50℃、最も好ましくは5℃~30℃の範囲にある。
【0154】
吸収媒体AVEは、構造式(I)
【化10】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、
、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含み、
ここで、Qは、特にそれぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、さらにより好ましくはKまたはNaであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、ここで、zは、1~15の範囲の整数である。
【0155】
x>1の場合、構造式(I)におけるx単位のzの値は、同一であっても異なっていてもよい。
【0156】
本発明による方法の好ましい実施形態では、塩Sは、Q、Q(RO)PO からなる群から選択され、好ましくは塩Sは、Q(RO)PO であり、Qは、アルキル基が、それぞれ互いに独立して、1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、Aは、RCOO、R’SO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここでR、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0157】
本発明による方法のより好ましい実施形態では、塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、アルキル基が、それぞれ互いに独立して、メチル、エチル、ブチルからなる群から選択され、さらにより好ましくはメチルまたはエチルからなる群から選択されるジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、かつRは、メチルまたはエチルである。
【0158】
本発明による方法のさらにより好ましい実施形態では、塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、Rは、メチルまたはエチルである。最も好ましくは、塩Sは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである。
【0159】
ここで驚くべきことに、上記の塩Sの混合物は、より低い表面張力を示し、アルミニウムとは特に小さい接触角を有し、したがって、構造式(I)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤が添加される場合に、特に良好な表面濡れ性を保証することが判明した。この結果、相対的に大きな接触面積が得られ、したがってより少ない非湿潤空間も得られ、したがって装置V内の改善された熱伝達が得られ、したがって特に効率的なプロセスも得られる。
【0160】
液体吸収媒体AVEの構造式(I)の化合物は、シロキサン化合物として記載することができる。このような化合物は当業者に公知であり、Si-H結合の不飽和結合への付加である触媒的ヒドロシリル化プロセスから合成することができる。このようなプロセスは、たとえば、N.N. Greenwood, A. Earnshaw, Chemie der Elemente, corrected print of the 1st edition, VCH, 1990, Weinheim, Basel, Cambridge, New York (Hueckmannによりドイツ語に翻訳)の第466/467頁に記載されている。
【0161】
構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~15の範囲の整数である。
【0162】
好ましい実施形態では、構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~8の範囲の整数であり、x+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0163】
上記のように、構造式(I)の化合物からなる群から選択される化合物の1種を塩Sに添加すると有利な特性が得られることが判明した。
【0164】
本発明による方法では、液体吸収媒体AVEは、好ましくは水溶液であり、ここで、特に構造式(I)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVE中の構造式(I)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0165】
本発明による方法では、吸収媒体AVE中の構造式(I)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による方法では、構造式(I)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVEを使用することが好ましい。
【0166】
本発明によるより好ましい実施形態では、吸収媒体AVEは、上記のような少なくとも1種の塩S、構造式(I)の少なくとも1種の化合物、および構造式(II)
【化11】
の少なくとも1種の化合物を含み、
ここで、構造式(II)において、mおよびnは、互いに独立して、0~3、好ましくは0~2の範囲の整数であり、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~30の範囲の整数である。より好ましくは、pおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~10の範囲の整数である。最も好ましいのは、構造式(II)の化合物であり、ここでm=n=2であり、pおよびqは、互いに独立して、0~4の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~4の範囲の整数である。
【0167】
液体吸収媒体AVEの構造式(II)の化合物は、任意にエトキシル化されるアセチレングリコール化合物として記載することができる。それらの化合物は、当業者に公知であり、たとえば米国特許第3,268,593号明細書に記載されている、塩基性触媒の促進によってエチレンオキシドおよびアセチレン三級グリコールから合成することができる。
【0168】
吸収媒体AVEが、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む場合、構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が3:1~1:3の範囲にあり、好ましくは1:1であることがさらに好ましい。
【0169】
液体吸収媒体AVEは、本発明による方法では、塩Sと構造式(I)の化合物、および任意選択的に構造式(II)の化合物との純粋な混合物の形で使用することができる。より好ましくは、本発明による方法では、液体吸収媒体AVEは、特に、構造式(I)の全化合物、および構造式(II)の全化合物、および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある水溶液である。さらにより好ましいのは、AVE中の構造式(I)の全化合物、構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0170】
本発明による方法では、吸収媒体AVE中の構造式(I)の全化合物および任意選択的に構造式(II)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による方法では、構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVEを使用することが好ましい。
【0171】
したがって、本発明による方法の第1の工程で得られ、湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gは、除湿ガス流を表し、これは用途に応じて、除湿空気の形で生活空間または作業空間に戻すことができるか、または天然ガスの場合、発電に供給することができる。
【0172】
本発明による方法の第1の工程で得られる吸収媒体AVE1は、液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する。AVE1は、それに含まれる構造式(I)の化合物および任意選択的に(II)の化合物ならびにそれに含まれる塩Sに関して、AVEと同一であり、好ましくは含水率のみによってそれと区別されることが理解されるであろう。
【0173】
本発明による方法の第2の工程は、液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得ることを含む。この工程はさらに、特に液体吸収媒体AVE1に熱を供給することを含む。熱の供給および少なくとも部分的な除去は、当業者に公知の任意の方法、特に熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes1において実施され得る。液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去することにより、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2が得られる。
【0174】
液体吸収媒体AVE2は、それに含まれる構造式(I)の化合物および任意選択的に(II)の化合物、ならびにそれに含まれる塩Sに関して、AVE1と同一であり、好ましくは含水率のみによってそれと区別されることが理解されるであろう。
【0175】
本発明による方法の本質的な特徴は、装置Vが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含むことである(本発明の文脈では、OAlは、「金属の構造材料から構成された表面」の略である)。
【0176】
したがって、構造材料OAlの金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0177】
本発明の文脈におけるアルミニウムの構造材料は、特にアルミニウムの質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合、非合金アルミニウムおよびアルミニウム合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。アルミニウムの構造材料は、好ましくは、非合金アルミニウムである。
【0178】
非合金アルミニウムは、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、より好ましくは90質量%を上回る、さらに一層より好ましくは95質量%を上回る、さらに一層より好ましくは98質量%を上回る純度を有するアルミニウムである。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度のアルミニウムである。
【0179】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。アルミニウムの構造材料は、したがって特に鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0180】
本発明の文脈における「鋼の構造材料」は、特に、鉄の質量分率が存在する他のすべての元素の質量分率よりも大きい任意の鉄合金を意味するものとして理解されるべきである。鋼の構造材料中の鉄の割合は、好ましくは50質量%を上回る、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。本発明によれば、鋼の構造材料は、鉄に加えて、特に、ニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含み、より好ましくはニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、特にクロムを含み、ここで、これはさらにより好ましくは鋼の構造材料において10.5質量%を超えるが50質量%より小さい質量分率を有する。それと同時に、鋼の構造材料中の炭素の含有率が、常に2.06質量%未満、さらにより好ましくは1.2質量%以下である場合がさらにより好ましい。鋼の構造材料中の鉄、合金化金属(たとえばクロム)および炭素の含有率の合計は、100質量%を超えてはならないことが理解されよう。鋼の構造材料は、特に、鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0181】
本発明の文脈における白金の構造材料は、特に白金の質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合に、非合金白金および白金合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。白金の構造材料は、好ましくは、非合金白金である。
【0182】
非合金白金は、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、さらにより好ましくは90質量%を上回る、さらに一層より好ましくは95質量%を上回る、さらに一層より好ましくは98質量%を上回る純度を有する白金である。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度の白金である。
【0183】
白金合金は、白金に加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。
【0184】
白金に関する記載は、銀、金などの他の貴金属、ならびに銅、チタンなどの他の金属についても準用される。
【0185】
本発明による方法のさらに本質的な特徴は、装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1種が、少なくとも1つの接触面を介して、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに接触することである。これは、この接触面において、問題の液体吸収媒体AVE、AVE1またはAVE2が、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに直接接触していることを意味するものとして理解されるべきである。本発明の文脈において、「直接接触している」とは、「湿潤」を意味するものとして理解されるべきである。したがって、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体と、接触面に含まれる金属、好ましくはアルミニウムとが直接接触していることが理解されよう。接触面に含まれる金属がアルミニウムである場合、これは特に限定されず、特に、不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味するものとして理解されるべきである)などの元素アルミニウムまたはアルミニウム化合物からなる群から選択される。
【0186】
装置Vが使用される本発明による実施形態では、装置Vは、以下の構成要素:
(i)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVEと接触させるために設置された、少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を含み、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1
(iii)水吸収ユニットWabs1と水脱着ユニットWdes1とを接続し、液体吸収媒体AVEを循環させる回路U
を含み、
VE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体が、金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに接触する接触面は、特に、水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1、回路Uの群から選択される構成要素の少なくとも1つに、好ましくは水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1の群から選択される構成要素の少なくとも1つに配置されている。
【0187】
これは、驚くべきことに、ここで本発明による構造式(I)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と少なくとも1種の塩Sとの混合物が、金属、特にアルミニウムの構造材料に対して特に良好な濡れ性を示し、したがって特に良好な熱伝達を保証し、したがってAVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される吸収媒体の1つが、金属、特にアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlと直接接触している、金属、特にアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlを有する装置Vにおける液体吸収媒体として特に適していることが判明したからである。
【0188】
さらに好ましい実施形態では、本発明による方法は、連続的に実行される。これは、特に工程b)に続いて工程a)およびb)が少なくとももう1回実施され、各場合に追加で実施される工程a)において使用される液体吸収媒体AVEが、少なくとも部分的に、直前に実施される工程b)から得られる液体吸収媒体AVE2である、すなわち、特に各場合に追加で実施される工程a)において使用される液体吸収媒体AVEの含水率と、直前の工程b)からの液体吸収媒体AVE2の含水率とが同一であるという意味として理解されるべきである。
【0189】
この実施形態は、液体吸収媒体AVE2からの熱で液体吸収媒体AVE1を加熱することを含む場合がより好ましい。これは、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、ならびにプレートおよびフレーム型熱交換器からなる群から選択される、追加の熱交換器Wy1で実施することができる。これにより、本発明による方法を特にエネルギー効率の良い方法で実施することができる。
【0190】
本発明はまた、さらなる態様において、本明細書に記載された吸収媒体AVE、ならびに吸収式冷凍機におけるその使用に関する。
【0191】
本発明はまた、さらなる態様において、以下の構成要素
(i)構造式(I)
【化12】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む、液体吸収媒体AVO
(ii)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された、少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2
(iii)熱交換器Wx2を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2、および
(iv)水吸収ユニットWabs2と水脱着ユニットWdes2とを接続し、それによって液体吸収媒体AVOが循環される回路U
を含む、湿潤ガス混合物、特に湿潤空気を除湿するための装置Vであって、
水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、回路Uの少なくとも1つが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、かつ
装置V内には、液体吸収媒体AVOが金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する少なくとも1つの接触面が配置されている、湿潤ガス混合物、特に湿潤空気を除湿するための装置Vにおいて、
は、特に、それぞれ互いに独立したアルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、より好ましくはKまたはNaであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、ここで、zは、1~15、好ましくは1~8の範囲の整数であり、ここで好ましくはx+yの合計は、1~6の範囲の整数であり、
ここで、金属は、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、ここで金属は、最も好ましくはアルミニウムであることを特徴とする、装置Vに関する。
【0192】
本発明による装置Vは、湿潤ガス混合物、特に湿潤空気を除湿するのに適している。上記装置は、以下の構成要素を含む:
【0193】
第1の構成要素として、本発明による装置Vは、構造式(I)
【化13】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤と、Q、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVOを含み、
ここで、Qは、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、好ましくは1,3-ジアルキルイミダゾリウムカチオン、さらにより好ましくは、それぞれ互いに独立して、アルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、特に1~10個の炭素原子を有する、アルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、KまたはNa、より好ましくはKまたはNaであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、ここで、zは、1~15の範囲の整数である。
【0194】
x>1の場合、構造式(I)におけるx単位のzの値は、同一であっても異なっていてもよい。
【0195】
本発明による装置Vの好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、Q、Q(RO)PO からなる群から選択され、好ましくはQ(RO)PO であり、Qは、それぞれ互いに独立して、アルキル基が1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、Aは、RCOO、R’SO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、1~6個、好ましくは1~4個、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0196】
本発明による装置Vのより好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して、メチル、エチル、ブチルからなる群から選択され、さらにより好ましくはメチルまたはエチルからなる群から選択されるジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、かつRは、メチルまたはエチルである。
【0197】
本発明による装置Vのさらにより好ましい実施形態では、吸収媒体AVO中の塩Sは、一般式Q(RO)PO を有し、Qは、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、Rは、メチルまたはエチルである。最も好ましくは、塩Sは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである。
【0198】
ここで驚くべきことに、上記の塩Sの混合物は、より低い表面張力を示し、アルミニウムとは特に小さい接触角を有し、したがって、構造式(I)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤が添加される場合に、特に良好な表面濡れ性を保証することが判明した。この結果、相対的に大きな接触面積が得られ、したがってより少ない非湿潤空間も得られ、したがって装置V内の改善された熱伝達が得られる。
【0199】
液体吸収媒体AVOの構造式(I)の化合物は、シロキサン化合物として記載され得る。このような化合物は、当業者に公知であり、Si-H結合の不飽和結合への付加である触媒的ヒドロシリル化プロセスから合成することができる。このようなプロセスは、たとえば、N.N. Greenwood, A. Earnshaw, Chemie der Elemente, corrected print of the 1st edition, VCH, 1990, Weinheim, Basel, Cambridge, New York (Hueckmannによりドイツ語に翻訳)の第466/467頁に記載されている。
【0200】
構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~15の範囲の整数である。
【0201】
好ましい実施形態では、構造式(I)において、xは、1~5の範囲の整数であり、yは、0~5の範囲の整数であり、zは、1~8の範囲の整数であり、x+yの合計は、1~6の範囲の整数である。
【0202】
上記のように、構造式(I)の化合物からなる群から選択される化合物の1種を塩Sに添加すると有利な特性が得られることが判明した。
【0203】
液体吸収媒体AVOは、好ましくは水溶液であり、ここで、特に構造式(I)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVO中の構造式(I)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0204】
吸収媒体AVO中の構造式(I)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、吸収媒体AVOにおいて、構造式(I)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にあることが好ましい。
【0205】
本発明によるより好ましい実施形態では、吸収媒体AVOは、上記のような少なくとも1種の塩S、構造式(I)の少なくとも1種の化合物、および構造式(II)
【化14】
の少なくとも1種の化合物を含み、
ここで、構造式(II)において、mおよびnは、互いに独立して、0~3、好ましくは0~2の範囲の整数であり、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~30の範囲の整数である。より好ましくは、pおよびqは、互いに独立して、0~10の範囲の整数であり、ここでp+qの合計は、0~10の範囲の整数である。最も好ましいのは、構造式(II)の化合物であり、ここでm=n=2であり、pおよびqは、互いに独立して、0~4の範囲の整数であり、p+qの合計は、0~4の範囲の整数である。
【0206】
液体吸収媒体AVEの構造式(II)の化合物は、任意選択的にエトキシル化されるアセチレングリコール化合物として記載することができる。それらは、当業者に公知であり、たとえば米国特許第3,268,593号明細書に記載されている、塩基性触媒の促進によってエチレンオキシドおよびアセチレン三級グリコールから合成することができる。
【0207】
吸収媒体AVOが、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む場合、構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が3:1~1:3の範囲にあり、好ましくは1:1であることがさらに好ましい。
【0208】
液体吸収媒体AVOは、本発明による装置Vにおいて、塩Sと構造式(I)の化合物、および任意選択的に構造式(II)の化合物との純粋な混合物の形で使用することができる。より好ましくは、本発明による装置Vにおいて、液体吸収媒体AVOは水溶液であり、ここで、特に構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量は、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある。さらにより好ましいのは、AVO中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.5質量%~90.5質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、40.5質量%~80.5質量%の範囲、さらにより好ましくは60.5質量%~76質量%の範囲にあり、さらにより好ましくは水溶液の総質量を基準として、75.5質量%~75.75質量%の範囲にある場合である。
【0209】
本発明による装置Vでは、吸収媒体AVO中の構造式(I)の全化合物および任意選択的に構造式(II)の全化合物と塩Sとの比は、これ以上制限されない。しかしながら、本発明による装置Vにおいて、構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:19、より好ましくは1:180~1:39、さらにより好ましくは1:159~1:75、より好ましくは1:150~1:79、さらにより好ましくは1:119~1:100の範囲にある吸収媒体AVOを使用することが好ましい。
【0210】
第2の構成要素として、本発明による装置Vは、湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された水吸収ユニットWabs2を含む。水吸収ユニットWabs2は、特に、液体吸収媒体AVOが冷却可能であるように設置された追加の熱交換器Wz2を含んでいてよい。このような水吸収ユニットWabs2として使用することができるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。上記吸収器は、水の吸収中に液体吸収媒体AVOの表面積を大きくすると同時に、水吸収器中での液体吸収媒体AVOの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。特に、ここでは充填床、スプレーカラム、流下膜、気泡カラム、トレイカラム、湿式スクラバー(たとえばベンチュリースクラバー)、撹拌タンク、およびこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することが可能である。水吸収器としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。
【0211】
第3の構成要素として、本発明による装置Vは、熱交換器Wx2を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された、水脱着ユニットWdes2を含む。それに使用することができるのは、特に当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせである。水脱着ユニットWdes2は、液体吸収媒体AVOに熱を供給し、液体吸収媒体AVOの表面積を増加させると同時に、水脱着ユニット中での液体吸収媒体AVOの滞留時間を可能な限り長くするという原理に基づいている。
【0212】
熱交換器Wx1を含む水脱着ユニットWdes2として使用することができるのは、特に、当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせ、特に、上流側熱交換器、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、プレートおよびフレーム型熱交換器を有する水平チューブ蒸発器である。さらに、熱交換器Wx2を含む水脱着ユニットWdes2は、熱交換器が一体化された水脱着器であってもよい。このような熱交換器が一体化された水脱着器は、特にクライミング膜蒸発器、長管垂直蒸発器、短管垂直蒸発器、強制循環蒸発器、撹拌薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes2としては、流下膜、特にシェルおよびチューブ流下膜を使用することが特に好ましい。
【0213】
第4の構成要素として、本発明による装置Vは、水吸収ユニットWabs2と水脱着ユニットWdes2とを接続し、それによって液体吸収媒体AVOが循環される回路Uを含む。回路Uは、好ましくは導管であり、より好ましくはチューブ、ホースからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、回路Uは、ポンプも含む。
【0214】
本発明による装置Vの本質的な特徴は、上記装置が、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含むことである(本発明の文脈では、OAlは、「金属の構造材料から構成された表面」の略である)。
【0215】
したがって、構造材料の金属OAlは、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、白金からなる群から選択され、最も好ましくはアルミニウムである。
【0216】
本発明の文脈におけるアルミニウムの構造材料は、特にアルミニウムの質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合、非合金アルミニウムおよびアルミニウム合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。アルミニウムの構造材料は、好ましくは、非合金アルミニウムである。
【0217】
非合金アルミニウムは、特に、99.0質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度のアルミニウムである。
【0218】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。したがって、アルミニウムの構造材料は、特に鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0219】
本発明の文脈における「鋼の構造材料」は、特に鉄の質量分率が存在する他のすべての元素の質量分率よりも大きい任意の鉄合金を意味するものとして理解されるべきである。鋼の構造材料中の鉄の割合は、好ましくは50質量%を上回り、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。本発明によれば、鋼の構造材料は、鉄に加えて、特にニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含み、より好ましくはニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、コバルト、マグネシウム、マンガン、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、特にクロムを含み、ここで、これはさらにより好ましくは鋼の構造材料において10.5質量%を超えるが50質量%より小さい質量分率を有する。したがって、それと同時に、鋼の構造材料中の炭素の含有率は常に2.06質量%未満、さらにより好ましくは1.2質量%以下である場合がさらにより好ましい。鋼の構造材料中の鉄、合金化金属(たとえばクロム)および炭素の含有率の合計は、100質量%を超えてはならないことが理解されよう。鋼の構造材料は、特に鍛造合金または鋳造合金の形であってもよい。
【0220】
本発明の文脈における白金の構造材料は、特に白金の質量分率が他のすべての元素の質量分率よりも大きい場合に、非合金白金および白金合金の双方を意味するものとして理解されるべきである。白金の構造材料は、好ましくは非合金白金である。
【0221】
非合金白金は、特に80質量%を上回る、より好ましくは85質量%を上回る、さらにより好ましくは90質量%を上回る、さらに一層より好ましくは95質量%を上回る、さらに一層より好ましくは98質量%を上回る純度を有する白金である。これは特に99.0質量%を上回る、より好ましくは99.5質量%を上回る、より好ましくは99.9質量%を上回る純度を有する最高純度の白金である。
【0222】
白金合金は、白金に加えて、特にマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属、より好ましくはマグネシウム、マンガン、シリコン、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金化金属を含む。
【0223】
白金に関する記載は、銀、金などの他の貴金属、ならびに銅、チタンなどの他の金属についても準用される。
【0224】
本発明による装置Vのさらに本質的な特徴は、液体吸収媒体AVOが金属、好ましくはアルミニウム、構造材料から構成された表面OAlに接触する接触面が、上記装置内に配置されることである。これは、この接触面において、液体吸収媒体AVOが、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlに直接接触していることを意味するものとして理解されるべきである。本発明の文脈において、「直接接触している」とは、「湿潤」を意味するものとして理解されるべきである。したがって、液体吸収媒体AVOおよび接触面に含まれる金属、好ましくはアルミニウムが直接接触していることが理解されよう。接触面に含まれる金属がアルミニウムである場合、これは特に限定されず、特に不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味するものとして理解されるべきである)などの元素アルミニウムまたはアルミニウム化合物からなる群から選択される。
【0225】
好ましい実施形態では、装置Vは、さらに熱交換器Wy2(水脱着ユニットWdes2に含まれる熱交換器Wx2に追加される)を含む。熱交換器Wy2は、液体吸収媒体AVOが、水吸収ユニットWabs2から水脱着ユニットWdes2に送られて、水脱着ユニットWdes2は液体吸収媒体AVOから熱を引き出し、液体吸収媒体AVOからの熱を供給可能であるように設置されている。これは、熱交換器Wy2として、特にシェルおよびチューブ型熱交換器、プレートおよびフレーム型熱交換器から選択される熱交換器を使用することによって保証され得る。
【0226】
さらに好ましい実施形態では、装置Vは吸収式冷凍機の一部である。したがって、この吸収式冷凍機は、凝縮器、蒸発器および冷却剤をさらに構成要素として含み、ここで、冷却剤は水である。
【0227】
凝縮器は、特に導管を介して水脱着ユニットWdes2に接続され、水脱着ユニットWdes2内で液体吸収媒体AVOから少なくとも部分的に除去された水を凝縮するために設置されている。凝縮器は、好ましくは冷却水回路も含む。
【0228】
蒸発器は、特に導管(絞り手段を含んでいてもよい)を介して凝縮器に接続され、さらに導管を介して水吸収ユニットWabs2に接続され、凝縮器からの凝縮水を蒸発させるために設置されている。蒸発器はまた、好ましくは凝縮水を可能な限り低い温度で蒸発させるために、1バール未満、より好ましくは0.1バール未満の圧力を含む。蒸発器は、さらに好ましくは、熱が引き出され、凝縮水が蒸発され得る装置(たとえば、水が蒸発する空間に冷却剤が通される冷却剤導管)をさらに含む。
【0229】
3.図面の説明
以下に説明する図1および図2は、本発明による方法および本発明による装置の好ましい実施形態を示す。方法を参照する場合、各デバイスは、インデックス「」でマークされる(たとえば、「Wabs1」)。装置を参照する場合、各デバイスは、インデックス「」でマークされる(たとえば、「Wabs2」)。
【0230】
図1(Figure 1)(「図1(Fig. 1)」と省略される)は、本発明による装置V/Vの実施形態を示す。
【0231】
図1に示される装置Vは、導管<101>を通して取り込み、導管<102>を通して排出する、水吸収ユニットWabs2<103>(任意選択の追加の熱交換器Wz2<104>を有する)と、熱交換器Wx2<108>を含み、かつ導管<111>を通して取り込み、導管<110>、<112>および<113>を通して排出する、水脱着ユニットWdes2<109>と、導管<106>、<111>および<113>または<106>、<111>、<112>および<105>(各場合に任意選択的に導管<114>を有する)から形成される回路U<115>とを含む。図1の装置は、また、導管<106>および<112>を通して取り込み、導管<105>および<111>を通して排出する、さらなる熱交換器Wy2<107>も任意選択的に含み得る。さらに、装置は、液体吸収媒体AVOも含む。上記媒体は、上記構成要素の水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、回路Uの1つ以上に配置される。水吸収ユニットWabs2<103>は、また、任意選択に追加の熱交換器Wz2<104>も含み得る。装置V、特に水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、回路Uからなる群から選択される構成要素の少なくとも1つが、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料から構成された表面OAlに液体吸収媒体AVOが接触する少なくとも1つの接触面がある。任意選択的に、回路Uはまた、液体吸収媒体を運ぶためのポンプをさらに含み得る。
【0232】
装置Vは、吸収媒体AVOを有していない装置Vに対応し、図1および図2の図の説明において、用語U、Wabs2、Wdes2、Wx2、Wy2、Wz2は、それぞれ、U、Wabs1、Wdes1、Wx1、Wy1、およびWz1に置き換えられる。
【0233】
ここで、図1を用いて装置Vを参照しながら本発明による方法を例示的に説明する:
【0234】
湿潤ガス混合物Gの流れ(上記流れは、吸収式冷凍機の蒸発器から発生する湿潤空気、湿潤天然ガスまたは湿潤ガス混合物であってもよく、この選択に関しては図2も参照のこと)は、導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に供給され、そこで導管<105>を介して、または導管<113>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に供給される液体吸収媒体AVEと接触する。水吸収ユニットWabs1<103>は、Wabs1<103>について上記引用した水吸収器のいずれか、特に流下膜であってもよい。水吸収ユニットWabs1<103>において、導管<101>を介して供給されたガス混合物Gを、導管<105>を介してまたは導管<113>を介して供給された液体吸収媒体AVEと接触させることにより、液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1と、導管<102>を介して排出されるガス混合物Gの流れとが得られ、Gは、湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有する。用途に応じて、Gは、特に除湿空気または除湿天然ガスである。水吸収ユニットWabs1<103>は、また、追加の熱交換器Wz1<104>も任意選択的に含み得る。好ましくは、導管<106>、<111>および熱交換器Wy1<107>を介して(または、熱交換器Wy1<107>を使用しない場合、導管<106>、<111>および<114>を介して)、液体吸収媒体AVE1は、次に熱交換器Wx1<108>を含む水脱着ユニットWdes1<109>に送られる。任意選択の熱交換器Wy1<107>では、水を含んだ液体吸収媒体AVE1にさらに熱が供給され得る。次に、水脱着ユニットWdes1<109>において、液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去することにより、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2が得られる。次に、除去された水は、水脱着ユニットWdes1<109>から導管<110>を介して液体または蒸気、好ましくは蒸気として排出される。次に、液体吸収媒体AVE2は、水脱着ユニットWdes1<109>から排出され、水吸収ユニットWabs1<103>に戻される。これは、直接的に、すなわち、図1に破線で示される導管<113>を介して行われてよい。代替的に、かつ好ましくは、液体吸収媒体AVE2は、導管<112>を介して、任意選択の熱交換器Wy1<107>に供給されてもよく、ここで、導管<106>を介して任意選択の熱交換器Wy1<107>に供給される液体吸収媒体AVE1は、導管<112>を介して任意選択の熱交換器Wy1<107>に供給される液体吸収媒体AVE2から熱を供給されている。一旦、濃縮された液体吸収媒体AVE2が、導管<105>または<113>を介して水吸収ユニットWabs1に供給されると、上記媒体は、新しいサイクルにおいてガス流を少なくとも部分的に除湿するためのAVEとして再利用される。この方法では、図1による装置、好ましくは、水吸収ユニットWabs1<103>(図1において、上記ユニットは、熱交換器<104>を含む)、水脱着ユニットWdes1<109>(図1において、上記ユニットは、熱交換器<108>を含む)、回路U<115>(図1において、導管<106>、<111>、<113>、または<106>、<111>、<112>、<105>、さらに各場合に任意選択的に導管<114>で構成される)からなる群から選択される構成要素の少なくとも1つが、アルミニウムの構造材料OAlで作られた表面を少なくとも部分的に含み、液体吸収媒体AVE、AVE1、AVE2の少なくとも1つが、金属、好ましくはアルミニウムの構造材料OAlで作られた表面と接触している少なくとも1つの接触面が、この装置内に配置されていることが、本発明にとって重要である。
【0235】
図2(Figure 2)(略称「図2(Fig. 2)」)は、装置Vが組み込まれた吸収式冷凍機を模式的に示す。構成要素<101>~<114>は、図1に記載された装置Vの場合と同様に示されている。さらに、図2の吸収式冷凍機は、導管<110>を介して水脱着ユニットWdes2<109>に接続され、水脱着ユニットWdes2内の液体吸収媒体AVOから少なくとも部分的に除去された水を凝縮するために設置された凝縮器<211>も含む。凝縮器<211>は、好ましくは冷却水が供給される熱交換器<212>も含む。
【0236】
図2に示す吸収式冷凍機は、また、導管<216>(任意選択的に絞り手段<213>を含み得る)を介して凝縮器<211>に接続され、かつ導管<101>を介して水吸収ユニットWabs2<103>と接続された蒸発器<214>も含む。蒸発器<214>は、凝縮器からの凝縮水を蒸発させるために設置されている。さらに、蒸発器<214>は、好ましくは媒体を供給する熱交換器<215>もさらに含んでよく、媒体から熱を取り出して凝縮水を蒸発させている(たとえば、特に冷却剤として水を有する冷却剤導管であって、この冷却剤は、蒸発器<214>に通されている)。
【0237】
本発明による方法の一実施形態では(図2を用いて装置Vを参照して以下に説明する)、蒸発器<214>から発生する湿潤ガス混合物Gは、導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に送られる。水脱着ユニットWdes1で除去された水は、導管<110>を介して凝縮器<211>に供給され、そこで上記水は再凝縮される。また、熱交換器<212>として凝縮器<211>に設けられた冷却水回路も同様に任意選択的にそのために使用される。凝縮水は、次に導管<216>を介して蒸発器<214>に供給され、ここで、水の蒸発が特に低圧で行われ、したがって冷却効果がもたらされる。これは任意選択的に絞り手段<213>を使用して実施されてもよい。これにより、蒸発器<214>において冷却作用が得られ、たとえば、冷却剤は、熱交換器<215>を介して冷却され得る。発生した水蒸気は、次に導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に戻される。
【0238】
4.本発明のさらなる態様
1.以下の工程:
(a)湿潤ガス混合物Gを、構造式(I)の化合物および構造式(II)
【化15】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤、およびQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させる工程であって、
液体吸収媒体AVEは、湿潤ガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収し、
液体吸収媒体AVEと比較して高い含水率を有する液体吸収媒体AVE1、および湿潤ガス混合物Gと比較して相対的に低い含水率を有するガス混合物Gを得る工程、
(b)液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比較して相対的に低い含水率を有する液体吸収媒体AVE2を得る工程
を含む、装置V内で、湿潤ガス混合物G、特に湿潤空気を除湿する方法であって、
装置Vは、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、装置Vにおいて、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1つは、少なくとも1つの接触面を介して金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する方法において、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオンであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、
ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、
ここで、zは、1~15の範囲の整数であり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して0~3の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して0~30の範囲の整数であり、
ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数である。
【0239】
2.金属が、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンから選択される、項目1記載の方法。
【0240】
3.Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、R、R’、R’’、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、M=Li、KまたはNaである、項目1または2記載の方法。
【0241】
4.塩Sは、Q(RO)PO であり、Qは、アルキル基がそれぞれ互いに独立して1~6個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基である、項目1から3までのいずれか1項記載の方法。
【0242】
5.吸収媒体AVEが、少なくとも1種の塩S、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む、項目1から4までのいずれか1項記載の方法。
【0243】
6.吸収媒体AVE中の構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が、3:1~1:3の範囲にある、項目5記載の方法。
【0244】
7.液体吸収媒体AVEが、水溶液である、項目1から6までのいずれか1項記載の方法。
【0245】
8.液体吸収媒体AVE中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、項目7記載の方法。
【0246】
9.液体吸収媒体AVE中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、項目1から8までのいずれか1項記載の方法。
【0247】
10.以下の構成要素
(i)構造式(I)の化合物および構造式(II)
【化16】
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む、液体吸収媒体AVO
(ii)湿潤ガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2<103>、
(iii)熱交換器Wx2<108>を含み、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2<109>、および
(iv)水吸収ユニットWabs2<103>と水脱着ユニットWdes2<109>とを接続し、液体吸収媒体AVOを循環させる回路U<115>
を含む、湿潤ガス混合物を除湿するための装置Vであって、
構成要素の水吸収ユニットWabs2<103>、水脱着ユニットWdes2<109>、回路U<115>の少なくとも1つが、金属の構造材料から構成された表面OAlを少なくとも部分的に含み、かつ
装置V内には、液体吸収媒体AVOが金属の構造材料から構成された表面OAlに接触する少なくとも1つの接触面が配置されている装置Vにおいて、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオンであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、ここで、zは、1~15の範囲の整数であり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して0~3の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して0~30の範囲の整数であり、
ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数であることを特徴とする、装置V
【0248】
11.金属が、アルミニウム、鋼、銅、貴金属、チタンから選択される、項目10記載の装置。
【0249】
12.Qが、それぞれ互いに独立して、アルキル基が1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでR、R’、R’’、R、R、Rが、それぞれ互いに独立して1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、M=Li、KまたはNaである、項目10または11記載の装置V
【0250】
13.塩Sが、Q(RO)PO であり、Qが、アルキル基が、それぞれ互いに独立して、1~6個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでRが、1~6個の炭素原子を有するアルキル基である、項目10から12までのいずれか1項記載の装置V
【0251】
14.液体吸収媒体AVOが、少なくとも1種の塩S、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む、項目10から13までのいずれか1項記載の装置V
【0252】
15.吸収媒体AVO中の構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が、3:1~1:3の範囲にある、項目14記載の装置V
【0253】
16.液体吸収媒体AVOが、水溶液である、項目10から15までのいずれか1項記載の装置V
【0254】
17.液体吸収媒体AVO中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、項目16記載の装置V
【0255】
18.液体吸収媒体AVO中の構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、項目10から17までのいずれか1項記載の装置V
【0256】
19.項目10から18までのいずれか1項記載の装置Vを含み、さらなる構成要素として、凝縮器<211>、蒸発器<214>および冷却剤を含み、ここで、冷却剤は、水である、吸収式冷凍機。
【0257】
20.構造式(I)の化合物および構造式(II)の化合物
【化17】
からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤とQ、Q(RO)PO 、(QOPO 2-、QOPO 2-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む吸収媒体AVEであって、
は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
ここで、Aは、RCOO、R’SO 、HSO 、R’’SO からなる群から選択されるアニオンであり、
ここで、R、R’、R’’は、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して、アルキル基であり、
ここで、Rは、水素またはメチルであり、
ここで、Mは、アルカリ金属イオンであり、
ここで、xは、1~5の範囲の整数であり、ここで、yは、0~5の範囲の整数であり、ここで、zは、1~15の範囲の整数であり、
ここで、mおよびnは、互いに独立して、0~3の範囲の整数であり、
ここで、pおよびqは、互いに独立して、0~30の範囲の整数であり、
ここで、p+qの合計は、0~30の範囲の整数であることを特徴とする、吸収媒体AVE
【0258】
21.Qは、アルキル基が、それぞれ互いに独立して、1~10個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでR、R’、R’’、R、R、Rは、それぞれ互いに独立して1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、ここでM=Li、KまたはNaである、項目20記載の吸収媒体AVE
【0259】
22.塩Sが、Q(RO)PO であり、Qが、アルキル基が、それぞれ互いに独立して、1~6個の炭素原子を有するジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでRが、1~6個の炭素原子を有するアルキル基である、項目20または21記載の吸収媒体AVE
【0260】
23.吸収媒体AVEが、少なくとも1種の塩S、構造式(I)の少なくとも1種の化合物および構造式(II)の少なくとも1種の化合物を含む、項目20から22までのいずれか1項記載の吸収媒体AVE
【0261】
24.構造式(I)の全化合物の総質量と構造式(II)の全化合物の総質量との比が、3:1~1:3の範囲にある、項目23記載の吸収媒体AVE
【0262】
25.水溶液である、項目20から24までのいずれか1項記載の吸収媒体AVE
【0263】
26.構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物および全塩Sの総質量が、水溶液の総質量を基準として、20.1質量%~92質量%の範囲にある、項目25記載の吸収媒体AVE
【0264】
27.構造式(I)の全化合物および構造式(II)の全化合物の総質量と全塩Sの総質量との比が、1:1000~1:10の範囲にある、項目20から26までのいずれか1項記載の吸収媒体AVE
【0265】
28.項目20から27までのいずれか1項記載の吸収媒体AVEの吸収式冷凍機における使用。
【0266】
以下の実施例は、本発明を何ら限定することなく上記発明を説明することを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0267】
図1】本発明による装置V/Vの実施形態を示す図である。
図2】装置Vが組み込まれた吸収式冷凍機を模式的に示す図である。
【0268】
実施例
1.使用する化学物質
EMIM DEP(=1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート)をEvonikから入手した。
【0269】
配合物Aは、構造式(I)によるシロキサン化合物の混合物であり、ここで、xの値は1~5の間で変化し、yの値は0~5の間で変化し、zの値は1~15の間で変化した。この混合物は、1010692-67-7のCAS番号を有していた。
【0270】
配合物Bは、構造式(II)によるグリコール化合物の混合物であり、ここで、mおよびnの値は、それぞれ2であり、p+q=4であった。この混合物は、Evonikから入手され、169117-72-0のCAS番号を有していた。
【0271】
2.比較例C1および本発明の例I1~I3:表面張力の試験手順
静的表面張力を、25℃でKruss K12装置上でWilhelmyプレート法により測定した。以下に説明する比較例C1および本発明の例I1~I3について記載するように液体に垂直に浸漬した白金板に作用する力を測定した。白金板と液体との間の力および接触角から表面張力を計算した。
【0272】
異なる実験で以下の液体を試験した:
比較例C1:90質量%のEMIM DEPと10質量%の水との混合物。
本発明の例I1:90質量%のEMIM DEP、9.5質量%の水、および0.5質量%の配合物Aの混合物。
本発明の例I2:90質量%のEMIM DEP、9.5質量%の水、および0.5質量%の配合物Bの混合物。
本発明の例I3:90質量%のEMIM DEP、9.5質量%の水、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物Bの混合物。
【0273】
結果、すなわち測定した表面張力を第1表に示す。
【表1】
【0274】
3.比較例C2~C9および本発明の例I4~I11:接触角の試験手順
それぞれの実施例について以下に記載するように各溶液1滴(2μL)を、寸法3cm×10cm、最大厚さ1mmのアルミニウム板(最高純度のアルミニウム;純度>99.0%)上に滴下した。接触角の測定を、Eko社製のOCA20装置で行った。
【0275】
試験した溶液は、以下の通りであった:
第1の試験シリーズ1では、以下の溶液を測定した:
比較例C2:純水;
比較例C3:20質量%のEMIM DEP、80質量%の水。
比較例C4:40質量%のEMIM DEP、60質量%の水。
比較例C5:60質量%のEMIM DEP、40質量%の水。
比較例C6:80質量%のEMIM DEP、20質量%の水。
比較例C7:90質量%のEMIM DEP、10質量%の水。
【0276】
第2の試験シリーズ2では、以下の溶液を測定した:
比較例C8:99.5質量%の水、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B
本発明の例I4:79.5質量%の水、20質量%のEMIM DEP、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
本発明の例I5:59.5質量%の水、40質量%のEMIM DEP、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
本発明の例I6:39.5質量%の水、60質量%のEMIM DEP、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
本発明の例I7:19.5質量%の水、80質量%のEMIM DEP、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
本発明の例I8:9.5質量%の水、90質量%のEMIM DEP、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
【0277】
結果、すなわち、各場合に測定した接触角を第2表に示す。
【表2】
【0278】
第3の試験シリーズ3では、以下の溶液を測定した:
比較例C9:75質量%のEMIM DEP、25質量%の水。
本発明の例I9:75質量%のEMIM DEP、24.5質量%の水、0.25質量%の配合物A、および0.25質量%の配合物B。
本発明の例I10:75質量%のEMIM DEP、24.25質量%の水、0.375質量%の配合物A、および0.375質量%の配合物B。
本発明の例I11:75質量%のEMIM DEP、24.5質量%の水、0.5質量%の配合物A、および0.5質量%の配合物B。
【0279】
結果、すなわち、各場合に測定した接触角を第3表に示す。
【表3】
【0280】
結果は、本発明による吸収媒体が、より小さな表面張力を示し(C1、すなわちI1~I3)、さらに従来技術のものと比較してアルミニウム含有表面との間でより小さな接触角を示し(C2~C9と比較してI4~I11)、したがって本発明による方法/本発明による装置において良好な熱伝導を保証することを示す。したがって、本発明による添加剤と組み合わせてイミダゾリウム塩を使用すると、驚くべきことに、アルミニウム含有表面のより良好な濡れ性が得られ、したがって、より大きく、より効率的な熱交換が得られる。
図1
図2